
朝比奈あすか 著
「いつか、あの博物館で。アンドロイドと不気味の谷」
(東京書籍)
ロボット博物館への校外学習で同じ行動班になった、安藤悠真、長谷川湊、清水陽菜、市川咲希の四人の中学一年生。その博物館には、「美しすぎる」アンドロイドの気象予報士が展示されていた。その日の体験をきっかけに、それぞれがロボットと人間の違いを考える。完璧な美しさや強さを持つロボット、やさしい言葉をかけてくれるロボット、いつまでも死なないロボット……。それでも、ロボットにはない自分だけの心を確かめ、他者と触れ合い、距離感に悩みつつも、気持ちがつながる瞬間を大事に、新しい自分を作っていく――。不思議な縁でつながった、性格や家庭環境の異なる男女四人。彼らの中学一年から三年までの三年間をそれぞれの視点から描いた、現代社会に生きるさまざまな子どもたちの姿を切り取る著者による、中学生たちの日常(いま)の群像劇。−出版社HPより−
たまにはSFっぽい話も良いかな?と思い「本が好き!」で献本申し込みしました。
あらすじをきちんと読んでから申し込めばいいのに、思ったのと内容が違って驚きました。
これは児童書というやつかな?
文字が大きくて行間も広めで、サラッと読み切れました。挿絵は無いですけど。
今現在中学生の方が読むとより深く感じることがありそうです。
むか〜しむかし中学生だった私は懐かしいような、少し苦しいようなそんな読了感になりました。
とはいえ、自分が中学生時代にここまで色々考えていたか?は疑問ですけど。その日その日が過ぎていけばそれで良いという感じだった気がします。
この作品に出てくるのは中学生の男女4人。一年生の彼らが校外学習で偶然同じ班になり、ロボット博物館で一緒に行動している所から始まります。賑やかでクラスでも人気者のグループにいるタイプの湊と陽菜、反対に地味で真面目なタイプの悠真と咲希。
全くバラバラで団結力もなく、一緒に行動するのも難しいグループでしたが、班をまとめることになった悠真が「不気味の谷」について話したことで何となくまとまっていきます。
「不気味の谷」私は聞いたことがなかったので、悠真の説明に他の3人と一緒になって「へえ〜」と感心してしまいました。確かにアンドロイドが人間に似すぎていたら不気味に思うこともあるでしょうね。そういう表現をするのか、勉強になりました。
ここからアンドロイドを研究したり、実は急に進化してアンドロイドが身近な存在になって、日々の暮らしにも深く関わるようになる・・とSFチックな話に天かいしていくのかと思ったら、とにかく青春物語という展開が続きます。
中学生活を送る中で、周りの友達や家族、幼馴染や先生などなど、色んな人と関わって、それぞれがどう考え、どう感じながら行動しているか?が4人の視点で順番に描かれます。
中学生って、まだまだ子どもですけど、自分で考えて行動しないといけないことも増えて、でも出来ないこと(制限されること)も多いですね。小学生の頃は何となく気の合う友だちとふざけ合ってあそんでいたら終了する感じでしたが、中学生になると気の合う友だちとだけ関わるというわけにはいかないです。
例えば部活でもそうですし、他のクラブ活動や塾なんかもそうですが、気が合わない同級生がいても関わらないというわけにもいかず、悩みも増えます。また、次に行く高校は自分で選ばないといけないので、そこでも大きな悩みと不安が。
そして、格差も生まれていきます。成績はもちろん、家庭の事情も関わってきますから、自分が行きたいと思っても行けない場合があり簡単にはいきません。
自分を見つめ直す良いきっかけにはなるでしょうが、この4人のように冷静に考えている子どもはどのくらいいるのでしょう?少なくとも私は何となく進学を決めたなと思い返していました。
もっと色々考えていたら違う人生もあったのかもしれません。・・いや、変わらないか?
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