2022年02月02日

横山秀夫「ノースライト」

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 横山秀夫 著
 「ノースライト」
 (新潮文庫)


北からの光線が射しこむ信濃追分のY邸。建築士・青瀬稔の最高傑作である。通じぬ電話に不審を抱き、この邸宅を訪れた青瀬は衝撃を受けた。引き渡し以降、ただの一度も住まれた形跡がないのだ。消息を絶った施主吉野の痕跡を追ううちに、日本を愛したドイツ人建築家ブルーノ・タウトの存在が浮かび上がってくる。ぶつかりあう魂。ふたつの悲劇。過去からの呼び声。横山秀夫作品史上、最も美しい謎。−裏表紙より−


久しぶりの横山秀夫作品です。

警察小説以外では「クライマーズ・ハイ」「陰踏み」に続いて3作目です。

やはり、警察小説が良いですね。でもこれも面白かったです。ちょっとマニアック過ぎる部分があって理解出来ていないところもありましたけど。


建築士・青瀬は、依頼人からの「自分が好きなように建てて欲しい」という要望に応えて、今までで最高傑作とおも言える家を建てました。業界からも評価されたその家は、その後、他の人からも「同じような家を建ててほしい」と言われるくらいの物件になりました。

中も見てみたいと言われた青瀬は、住人に連絡を取ろうとするが、電話が全く通じず不審に思い、家まで行くと、どうやら一度も住んでいない様子でした。

しかも誰かに荒らされていて、鍵も壊れていました。中には窓から外を眺めるように置かれた一脚の椅子。

住人はどこに行ったのか、住まない家をなぜ青瀬に建ててくれと依頼したのか、置かれた椅子の意味は?と様々な疑問にいきあたり、とにかく住人の行方を探し始めます。


建築士が、一度引き渡した家を見に行くことはあるのか疑問ですが、思い入れのある家だけにそういうこともあるのかもしれません。家主の思惑が気になり、後半はほぼ一気読みでした。

青瀬の人生だったり、他の仕事の話だったりはあまり興味がわかなかったのですが、大掛かりな仕掛けというか思いに最後まで納得いかない部分もありました。

残された椅子についても色々と探り始めますが、その辺りの記述は理解できているか自分でも疑問です。とはいえ、そんな魅力的な椅子だったら一度は座って見たい気もします。


家主と青瀬の因縁?やそこまでして家を建てる意味なんかは共感出来ませんでしたが、青瀬が設計した家が見てみたいと強く思いました。題名から予想できるように、北からの光を取り入れるという家。土地の傾斜などをうまく利用した家のようですが、北からの光を入れようなんてよく実行できたなと感動しました。

暗くないんだろうか?寒くないんだろうか?など色んな疑問がわきます。

でもきっと柔らかい光が入り込む素敵な家なんだろうと思うと、見てみたいものです。


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2022年02月01日

1月のまとめ

キンモクセイ (朝日文庫)キンモクセイ (朝日文庫)
終始、本当にこんなことが起こっていたら怖いなと思いながら読みました。詳しい部分が理解できていたかは疑問ですが、こんなことで人を殺すことが出来る人がいることは単純に恐ろしいです。終わり方がちょっとあっさりし過ぎな気はしました。
読了日:01月12日 著者:今野 敏


ロボット・イン・ザ・ガーデン ロボット・イン・ザ・シリーズロボット・イン・ザ・ガーデン ロボット・イン・ザ・シリーズ
ベンの性格がちょっと苦手で、その言動にイライラするエイミーの気持ちがよくわかりましたが、少しずつタングと共に成長していく姿は感動しました。何よりもタングが子どものようで可愛かったです。最後はうまくいきすぎな気はしますが、良い終わり方だったと思います。
読了日:01月22日 著者:デボラ・インストール


チョコレートクリーム・パイが知っている (mirabooks)チョコレートクリーム・パイが知っている (mirabooks)
どうなっても良いわ!ハンナは意味わからん!とか文句ばかり言っているくせに相変わらずの一気読み。そして予想通りの人が殺され、予想通りの展開。でも最後は驚きでした。また複雑になっていくな・・まあどうなっても良いけど。
読了日:01月26日 著者:ジョアン フルーク


湯島天神坂 お宿如月庵へようこそ 三日月の巻 (ポプラ文庫)湯島天神坂 お宿如月庵へようこそ 三日月の巻 (ポプラ文庫)
2作目。結構内容を忘れていましたが大丈夫でした。相変わらず何が秘密なのかよくわからないお宿ですが、従業員たちの一生懸命にもてなそうとする姿は読んでいて気持ち良かったです。
読了日:01月31日 著者:中島久枝,山本祥子


全部で4冊。相変わらずの少なさです。

2日くらいで読めた本が2冊もあったのになぜ・・・。

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2022年01月24日

乃南アサ「美麗島紀行」

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 乃南アサ 著
 「美麗島紀行」
 (新潮文庫)


美しき、麗しの宝島、台湾。数奇な運命を辿ったこの島に魅了された作家が、丹念に各地を歩き、人々と語り合い、ともに食べ、その素顔を描き出す。日本人の親友の妹と結婚した考古学者、日本統治下時代を「懐かしくて悔しくて」と語る古老、零戦乗りを祀る人々。そうした彼らの面影には私たちが見失った私たち自身の顔も浮かび上がるのだった――。歴史と人に寄り添った、珠玉の紀行エッセイ。−裏表紙より−


エッセイとか自叙伝とか苦手なんですが、以前、この作家さんのエッセイを読んで面白かったので、今度は旅行記にチャレンジしてみました。

旅行先が台湾ということで、こちらも興味がありました。特に行きたいという想いはないのですが、台湾について知りたくて。

台湾がどこにあるかということは知っていますし、大体の大きさとか雰囲気はわかります。でもそれくらいの知識しかありません。知識と呼べないほどです。

そんなに浅い感情しかないのに、台湾の方は東日本大震災の時には真っ先に救助隊を派遣してくれましたし、多額の義援金も寄付して下さいました。親日家が多いともよく聞きます。

台湾に対して日本はどんなことをしてきたのだろう?と疑問でした。でもこの作家さんのように行って確かめよう!という行動力も強い思いもない私。ちょうど良い本に出会えました。


読み始めると、作家さんも同じ疑問を持って旅行していることがわかり、興味津々になりました。でも出てくるのは日本が台湾を占領して統治していたという話ばかり。

そうだよね、歴史というか現代社会の授業で習ったような気がしていたんだよな・・。なのにどうして親日家が多いんだろう?

色んな所に出かけて行っては台湾の歴史を学ぶ作家さん。その度に「日本に占領されて」と出てきます。なかなか答えが出てきません。


最後まで読んで何となくわかったのは、結局、日本が台湾から去った後、中国など他の国に占領された時の方がよりひどい扱いを受けたから、日本の方が良かったという感じだったのか?ということ。

もっと劇的に何か貢献したのかと思ったらそんな感じか・・とちょっとがっかり。

でもどんな理由であれ、辛い目に合わせてきた、ひどいことをしてきた私たちの国に対して、親しみを覚えてくれたり、助けようと思ってくれたりしてくれるのは本当にありがたいですし、感謝しかありません。


もう少し台湾のことを知る努力をすることは必要ですね。まずは学校の授業で現代社会をもっと詳しく教えていってほしいと思います。私は台湾の話題にもっと耳を傾けようと思います。


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2022年01月20日

今野敏「継続捜査ゼミ2 エムエス」

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 今野敏 著
 「継続捜査ゼミ2 エムエス」
 (講談社文庫)


警察学校校長を最後に退官した後、女子大教授となった小早川は未解決事件を取り上げる「継続捜査ゼミ」を主宰する。5人のゼミ生が次のテーマを「冤罪事件」に決めるなか、学園祭でのミスコン反対運動を推進する女子学生・高樹晶と小早川が議論を交わした後、高樹がキャンパスで襲撃された。傷害容疑で任意同行を求められる小早川。疑いが晴れない教授のため、ゼミ生たちが推理と行動を始める! 女子大を舞台にした人気シリーズ最高潮!!−裏表紙より−


シリーズ2作目は、継続捜査のことよりも、小早川が傷害事件の容疑者になったことを重点的に描いています。

学園祭が近づく大学。学生たちも準備に忙しく、空気も浮足立っている感じです。でも小早川のゼミ生たちは意外と変化がなく、いつも通りに生活しているようです。


学園祭の目玉となるのが「ミスコン」です。ミスコンなんて今もあるんだと思っていたら、やはり反対派がいるようで、ビラを配ったり演説したりして活発に動いていました。

小早川は「別にやっても良いんじゃない?」というスタンスだったので、反対派を先導する学生と議論をすることになりました。お互いに意見をぶつけ合った後、その日だけでは決着がつかなかったため、お互いの言い分を改めて考えるということで一旦別れました。

その後すぐに、その学生が何者かに襲われ、病院に搬送される事件が起きます。当然、直前に被害者と一緒にいた小早川が疑われます。事件に気づいて首を突っ込んでしまったせいもあるのですが、何を言っても容疑が晴れないどころか、小早川の言動が全て裏目に出てしまい。疑いが濃くなる事態でした。

表立って動けない小早川に代わり、ゼミ生たちが色々と調査を始めます。


ゼミの内容は冤罪事件を取り上げていました。ただ、そちらはあっさり終わりました。でもあっさりではありましたが、腹が立つ展開で、これはもう少し深く調べて欲しかった気はします。


小早川の件は、警察の動き方が気になりました。とりあえず誰も亡くなっていないわけで、ここまで真剣に捜査するものなのか?と思いましたし、何よりも自分の立場だけでここまで偏った捜査の仕方をするものなのか?と疑問でした。

現実世界ではもっと公平な見方をしてもらいたいものです。きっと実際にはこんなことはないと信じたいです。


<継続捜査ゼミ>
「継続捜査ゼミ」


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2022年01月17日

西條奈加「せき越えぬ」

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 西條奈加 著
 「せき越えぬ」
 (新潮文庫)


東海道箱根の関所には、曰くありげな旅人が訪れる。離縁され故郷に帰る女。江戸から夜逃げをした夫婦・・。実直な番士武藤一之介は、親友の騎山市之助から関所に関する法外な依頼をされる。一之介は逡巡するも決断する。友の人生の岐路に際し何もしないのは裏切りも同然。たとえこの身に害が及んでも必ず友を助けなければならない―。関所をめぐる人間ドラマを描いた圧巻の人情時代小説。−出版社HPより−


物語は、武藤という真面目な武士が箱根の関所を越えようとしている所から始まります。初めての箱根越えで汗だくになり、関所を越えるために必要な書類を濡らして文字が滲んで読めなくなってしまいます。

読めなくなるとは言ってもよく見れば読める程度だったのでいけるだろうと思っていたら、融通に利かない役人に止められてしまいます。融通が利かないというより、難癖をつけていじめているかのような役人の態度に、真っ向からぶつかって行ってしまい、ますます通してもらえなくなりました。

真面目過ぎるのも考え物です。

その役人の態度が気になった武藤は、下役と親しくなり、事情を聞くことに。事情を知っても放っておけば良いのに首を突っ込んでしまったため、関所の番士を入れ替える事態にまで発展し、気付けば武藤自身が番士として勤務することになっていました。


二話目以降は、番士となった武藤たちの仕事ぶりが描かれていきます。

箱根の関所というのはあまり歴史に詳しくない人でも知っている有名な関所ですね。ここを越えると江戸に出られますし、逆に江戸にも入ることが出来る重要な場所でした。

将軍のいる江戸に怪しい人を入れるわけにいきませんし、重要な人物を江戸から出すわけにもいかない。最後の関門でした。


色んな人が関所を越えていきますが、特に印象に残ったのは妊婦さんの話でした。この時代、男性でも越えるのが難しかった箱根ですが、女性は更に大変でした。妊婦だからといって調べが甘くなることはなく、足止めされることも多かったようです。

ここに出てくる妊婦さんも調べに時間がかかってしまい、関所内で産気づいてしまいます。でもここで産んでしまったら、子どもと離れ離れにならざるを得ないということで、武藤たちは必死で策を練ることになりました。

奔走する様子を読みながらも、なんて大変な時代なんだと腹が立ちました。


武家の女性はもっと大変で、基本的には江戸から出ることは出来ないくらいでした。武家の女性は将軍家にとって人質のようなものだからです。色々理不尽な時代ですね。


最後の話がメインのようでしたが、これはあっさり終わり過ぎていたのでちょっと物足りない感じでした。この終わり方だと続編は無さそうですが、出来ればまた武藤たちの活躍が読みたいです。


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2022年01月11日

買った本

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 伊坂幸太郎 著
 「フーガはユーガ」
 (実業之日本社文庫)


感想が難しい作品でした。


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 今野敏 著
 「キンモクセイ」
 (朝日文庫)


こちらは内容が難しい作品です。


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 横山秀夫 著
 「ノースライト」
 (新潮文庫)


珍しく警察小説ではありませんでしたが、久しぶりに読めて嬉しかったです。


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 柴田よしき 著
 「あんの夢 お勝手のあん」
 (ハルキ文庫)


大好きなシリーズになりました。

2022年01月05日

12月のまとめ

美麗島紀行 (新潮文庫)美麗島紀行 (新潮文庫)
台湾という国について本当に知らないことだらけなことに自分で驚きました。東日本大震災で多額の義援金を下さったこと、どの国よりも早く救助隊を送ってくれたこと、なぜなんだろう?と思ったのに調べようともしませんでした。日本が植民地として支配していたというのに親日家が多いのが不思議ですし困った時に手を差し伸べてくれることに感謝しかありません。もっと日本人が勉強すべき事柄がたくさんありました。
読了日:12月08日 著者:乃南 アサ


ノースライト(新潮文庫)ノースライト(新潮文庫)
珍しく警察小説ではなく、建築士の話でした。北からの光を取り入れるって考えないな〜。私の乏しい想像力では彼の渾身の家が頭で再現しきれなかったのが残念です。悲しいことが多いですけど、きっとみんな幸せになれると思える結末で救われました。
読了日:12月19日 著者:横山秀夫


フーガはユーガ (実業之日本社文庫)フーガはユーガ (実業之日本社文庫)
辛い描写が多くて何度も目をそむけたくなる感じでした。双子だから支え合えたのはせめてもの救いなのかもしれませんが、最後が悲しすぎました。二人とも幸せになってほしかった・・。
読了日:12月23日 著者:伊坂 幸太郎


あんの夢 お勝手のあん (ハルキ文庫 し 4-7)あんの夢 お勝手のあん (ハルキ文庫)
とにかくみんな無事で良かった。大きな被害を受けた割には早い立ち直りで、大規模な工事もすぐに始まりまた美味しい料理が食べられる旅館が再開できそうです。武者修行にも行けてまたおやすは大きくなりました。
読了日:12月29日 著者:柴田 よしき



全部で4冊。相変わらずの少なさでした。どの本も時間がかかった気がします。

特に印象に残ったのは「あんの夢」です。
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2021年12月22日

吉永南央「紅雲町珈琲屋こよみ 初夏の訪問者」

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 吉永南央 著
 「紅雲町珈琲屋こよみ 初夏の訪問者」
 (文春文庫)


お草が営む紅雲町の小蔵屋では、近頃町にやってきた親切で物腰がスマートな男のことが話題になっていた。ある日、その男は小蔵屋を訪ね、お草に告げた。「私は、良一なんです」。お草が婚家に残し、三歳で水の事故で亡くなった息子・良一。男はなんの目的で良一を騙るのか、それとも・・。ほろ苦くも胸を打つ人気シリーズ第8弾。−裏表紙より−

あらすじを読んでびっくり! まさかの出来事です。でももし本当に生きていてくれたらどんなに良いか、と期待してしまいました。

お草さんはさすが母親だからわかるのか、ほとんど動じることなくその言葉を聞いていました。でも実は息子が事故で亡くなった時、遺体を見ていなかったそうで、そんなことを聞いたらますます本当に息子なんじゃないの!?と期待が膨らみます。

でも冷静なお草さんは、なぜ彼がそんな発言をしたのか、どんな目的があるのかを冷静に聞いていきます。昔の手紙を見せられたり色々証拠という物を出してくる彼に、静かに諭すお草さん。

何より、久実ちゃんにも相談しませんし、親友にも言わないところが強い。

誰にも心配かけず、静かに動向を見守って対処していきました。


彼にまつわるアレコレ以外に、久実ちゃんの恋も色々あります。彼氏はなかなかの好青年っぽいので応援したいところですが、このままで良いのか?と不安になる出来事も。

久実ちゃんにはいつも笑っていてほしいです。


お草さんのお店はお客さんもたくさんついていて、売れ行きも好調です。これからも素敵なお店とお草さんの様子を読んでいくのが楽しみです。


<紅雲町珈琲屋こよみ>
「萩を揺らす雨」
「その日まで」
「名もなき花の」
「糸切り」
「まひるまの星」
「花ひいらぎの街角」
「黄色い実」


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タグ:吉永南央

2021年12月15日

近藤史恵「散りしかたみに」

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 近藤史恵 著
 「散りしかたみに」
 (角川文庫)


歌舞伎座での公演中、毎日決まった部分で桜の花びらが散る。だれが、なんのために、どうやって花びらを降らせているのか?女形の瀬川小菊は、探偵の今泉文吾とともに、この小さな謎の調査に乗り出すことになった。1枚の花びらが告発する許されざる恋。そして次第に、歌舞伎界で30年以上にわたって隠されてきた哀しい真実が明らかにされていく―。歌舞伎座を舞台に繰り広げられる。妖艶な魅力をたたえた本格ミステリ。−裏表紙より−


シリーズ2作目。前回も悲しい物語だった気がしますが、今回も・・。

起きた事件は、そこまで大きくなく、誰かが殺害されるわけでもありません。ただ、公演中に毎日同じ場面で花びらが一枚降ってくるだけ。

花びらが一枚落ちてくるだけなら放っておけば良いやん、と思いますが、その舞台に立って芝居をしている役者からすれば気になるもので。まあ確かに毎日毎日同じ場面で必ず一枚だけ降ったら気になるかもしれませんけど。

他の場面で降らしていた花びらが残っていて、ということでもないとなれば、誰が何のために降らせているのか?と調べたくなるのはわかる気がします。


師匠に「気になるから調べろ」と言われてしまったら、調べなければならないのが弟子というもので、小菊は友人でもある探偵の今泉に相談することにします。でもなぜか今泉は話を聞いたとたんに「調べるのはやめろ、放っておけ」と言い出します。辛く悲しいことに巻き込まれるからというだけで、細かい理由は語ってくれません。

そんな曖昧なことで師匠が納得するはずもなく、小菊は再び調べ始めます。そこで浮上したのが同じ歌舞伎役者の若手の人。ちょっと色気もあってモテるその役者の怪しげな行動に注目して調べるわけですが、彼は同じ場面で舞台に立っているので直接手を下すことは出来ない。

・・・と色々調べていくわけですが、進捗状況を知らせる度に悲しげになっていく今泉の様子も気になりますし、その役者の周りにいる人たちも気になり、誰が犯人なのか?ということよりも、どこに着地点があるのか?というのが気になってしまいました。

花びらを一枚降らせるだけなんですから、そこまで大きな動機ではないだろうと思っていたのですが、最終的には・・・。


謎が解明されると、歌舞伎の世界の狭さに呆れますし、そこまでして守らないといけない伝統って何なんだろう?と不思議でなりませんでした。

こんな結末を迎えるほどのことをしたわけでもないのに・・と色んな意味で悲しくなりました。

もっと気楽に生きてはいけないものでしょうか。伝統を守るって大変なことなんですね。

絶対に関わりたくないと思ってしまいました。まあ関わることはないでしょうけど。


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2021年12月06日

秋川滝美「幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動」

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 秋川滝美 著
 「幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動」
 (講談社文庫)


お祭り復興と連動し、閉店危機を免れた堀内百貨店だが、「聖域」であるデパ地下も売上低迷。事業部長の高橋伝治は、人気おにぎり屋を出店させようと奮闘するが、出来たてに拘りを持つ店主は断固拒否。バブル世代の高島マーケ部長、瑠衣そして若手店員の協力を得て「迷わば進め」の伝治が繰り出す奇策で奇跡が起こる!?−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

読み始めてしばらくしてから2作目だと気づきました・・。それくらい1作目を読んでいなくても何とか理解できる内容で良かったです。ただ、登場人物の人となりを詳しく知りたければやはり1作目から読む方がより楽しめるとは思います。


百貨店の話なのですが、閉店危機を1作目でお祭り復興というイベントと共に盛り上げて乗り越えたようです。でもその時の危機は乗り越えても、その売り上げを継続しなければ閉店危機は続くわけで。

今回はやはり売り上げが落ちてきている店をどうやって盛り上げるか?を悩み苦しむ人たちの様子が描かれています。

ただ単に百貨店だけが売り上げを伸ばせば良いというわけにはいかず、すぐ近くにある商店街も共に売り上げを伸ばさないと、客は呼べないということでどうすれば両方に客を呼んで、商品を買ってもらえるのか?を考えないといけないのでより一層大変です。

しかも一時的な売り上げではなく、長期的に売り上げを伸ばす方法となると一人のアイディアでは何ともなりません。商店街の人たちや百貨店の店員、更には百貨店を経営する会社の事業部長も色んな店を巡りながら知恵を絞ります。


自分だったら、どんな百貨店だったら買いに行くか?ということを考えながら読みました。もともと買い物が好きでは無いので、結論から言うと「どんな店でも要らない物は買わない」っていう考えしか出ず。ではどんな物が要る物だろう?と考えるとやはり食べ物かな?となるので、この話の方法はある意味、正解なのかもしれません。

高価な物を買うなら百貨店に行こうとなりますけど、高価な物を買うのは一年に一回あるかないかですから、客足と売り上げを伸ばすためには地下を盛り上げるのが大事なのかもしれません。

でも単価が安いからな・・・とか、自分が経営しているわけじゃないのに色々と考えてしまいました。


今回の方法でうまくいくか?は疑問ですけど、これをきっかけにして相乗効果が出れば良いと思います。商店街も盛り上がってほしいです。シャッター街は寂しいですから。


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タグ:秋川滝美
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