2024年12月18日

買った本

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 伊坂幸太郎 著
 「モダンタイムス 上下合体版」
 (講談社文庫)※電子書籍


時々読みたくなる作家さん。


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 白蔵盈太著
 「あの日、松の廊下で」
 (文芸社文庫)※電子書籍


面白そうだったので購入してみました。


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 西條奈加 著
 「首取物語」
 (徳間文庫)


お気に入りの作家さんです。世界観が面白いです。


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 今野敏 著
 「探花 隠蔽捜査9」
 (新潮文庫)


大好きなシリーズ。あっという間に読み終えて残念・・

2024年12月17日

柴田よしき「あらたなる日々 お勝手のあん」

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 柴田よしき 著
 「あらたなる日々 お勝手のあん」
 (ハルキ文庫)


ご大老である井伊さまについての不穏な噂が流れる三月の春、おやすは奉公人ではなく料理人として紅屋に雇われる身となった。住み込みからおしげが暮らす長屋への引っ越しで始まった新しい日々は、何もかもが初めてで戸惑いを隠せない。そんな折、大旦那さまのご隠居祝いの宴で、おやすの料理人としてのお披露目を行うための準備も佳境に入る。政一の手助けなく一人で料理の献立を考える最中、大旦那さまはおやすの腕を示すため、招待したお客にある趣向を準備するのだが・・。暗くなる時代の中で、料理人として精一杯生きる女性を描く大好評シリーズ、第十弾!−裏表紙より−


いよいよ江戸幕府も終わりに近づいている激動の時代になってきました。時代が変わることはおやすの料理人人生において良いことなのかどうなのか。時代の変化も気になります。


おやすは奉公人としての勤めを終え、今後は料理人として紅屋に雇われることになりました。住み込みもなくなり、長屋で一人暮らし、でも良かったのですが、とりあえずおしげと共同生活が始まりました。その方が心強いとは思うのでそこは良かったかな。

料理人として雇われるからには、世間にお披露目も必要で、大旦那の隠居祝いの宴でその腕前が披露されることとなりました。

政一の助けは借りずに、おやすが自分で献立を考えることになり、大旦那はもちろん奥様の好みや体調、そして季節も考えなければならず、日々献立で頭がいっぱいでした。

でも料理人としては充実しているので、苦しさよりもある種の楽しみがあり、心穏やかに読み進められました。

ただ、大旦那はおやすの料理の腕をみんなに知ってもらいたいという気持ちが強すぎて、ちょっとした趣向をやろうとします。おやすを世間に知らしめたいのはわかるのですが、目立ちたくないおやすは苦労します。でも結果、大旦那の思惑が当たるのがさすがです。


今回、料理人として独り立ちの一歩を踏み出したおやす。更に横浜に行って西洋料理を食べるという貴重な機会にも恵まれ、食べたことのない味と食材を口にすることができました。

この経験がおやすの今後の人生にどんな影響を与えるのか、楽しみが増えました。

そして、このシリーズのギルバート的な人は誰になるのか?それも楽しみです。とにかくおやすには仕事もプライベートも幸せになってもらいたいと思います。


<お勝手のあんシリーズ>
「お勝手のあん」
「あんの青春〜春を待つころ〜」
「あんの青春〜若葉の季〜」
「あんのまごころ」
「あんの夢」
「あんの信じるもの」
「あんの明日」
「あんとほうき星」
「別れの季節」


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2024年12月13日

上橋菜穂子「香君 西から来た少女 1〜4」

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 上橋菜穂子 著
 「香君 西から来た少女 1〜4」
 (文春文庫)


人並外れた嗅覚を持ち、植物や昆虫の声で香りを聞く少女アイシャ。旧藩主の末裔ゆえ、命を狙われ、ウマール帝国へ行くことになる。遥か昔、神郷よりもたらされたというオアレ稲によって繁栄を極めるこの国には、香りで万象を知る“香君”という活神がいた。アイシャは、匿われた先で香君と出会い・・。壮大な物語が今、開幕!

アイシャは“香君”が抱える苦悩を知り、藩王国視察官のマシュウとともにオアレ稲の謎と向き合うことに。だがそれはウマール帝国への謀叛行為だった。そんな中、オアレ稲に虫害が発生してしまう。民を飢えの危機から救うべく、アイシャたちは動きだすのだが・・。植物と昆虫が人々の運命を大きく変えていく、長編傑作第2幕!

虫害によって国の威信が揺らぐ事態に陥ったウマール帝国。その危機を打開する方法が見つかるが、アイシャは、なぜか、その方法に不安をおぼえる。そんな中、天炉山脈の聖地で、ひとりの男が発見される。男に会うために天炉山脈に向かったアイシャとマシュウは、驚愕の事態に遭遇するのだったーー。 胸に迫る圧倒的な世界観の第3幕!

「飢えの雲、天を覆い、地は枯れ果て、人の口に入るものなし」 恐れていた災いが凄まじい速さで広がる中、アイシャたちは必死に事態の収束を図るが、巨大な国家は、容易に方向転換が出来ない。民に危機が迫る中、孤独を抱えながら生きて来た<香君>が選んだ道とは。比類なき圧巻の物語が、いよいよ完結。 解説・長田育恵
−裏表紙より−


表紙絵は春夏秋冬になっています・・が、このブログではうまく順番に並ばず(左から冬→春→夏→秋)。

2017年に読んだ「鹿の王」以来の新シリーズ。

待ちわびていました!

このシリーズは、1〜2巻が一気に発売され、3巻、4巻は1か月毎に発売されました。お陰でサクサクと読めて助かりました。

狭い範囲の出来事で、国をまたぐわけでもなく、大きな盛り上がりが各巻にあるわけでもないので、感想は一気に書きます。


ウマール帝国という国の話です。もちろん架空の国ですし、架空の世界。便利な電子機器や車や飛行機などの移動手段もありません。

この国は主に農業で暮らしています。主な収穫物は“オアレ稲”という穀物。この稲は丈夫でどんな気候でも土地でも育つ便利な稲で、これさえあれば飢える心配がないという便利な穀物です。

ただ、この稲を植えると周りには何も植えられないし育たないという謎な現象が起きてしまいます。なので、この稲のみに頼って生きていくしかない状況。そしてこの稲をうまく育ているために必要な肥料は、昔から伝えられている方法でしか作られず、いたずらに量を増やすことが出来ませんし、増やしてしまうとうまく育ちません。

その肥料の内容や与えるべき量を決めたのは“香君”という神のような存在の女性。香りによって万象を知るという存在で、代々選ばれし1人がその地位を与えられます。

初代香君はオアレ稲を人々に与え、肥料の作り方を教え、与えるべき量なども決めていましたが、それ以降の香君は稲に祝福を与えるのが仕事でした。


主人公・アイシャは旧藩主の末裔だということで命を狙われていますが、実は嗅覚が優れていて、本来なら匂いのしない毒物の匂いを嗅ぎ分けてしまうほど。そんな能力に目をつけた視察官・マシュウに助けられ、彼と共にオアレ稲の謎について研究するようになります。

今の香君と会ったアイシャは、彼女の苦悩を目の当たりにすることになります。大きな力があるわけではないのに、神のように崇められている苦しさ。そしてオアレ稲が虫害に合っても何もできないもどかしさ。


一つの穀物によって成り立っている国の危うさと、一つの穀物によって人々を制御することの恐ろしさ、たった一種の虫によって全てが壊されてしまう恐怖。そして、1人の人間を神のように崇めて信仰することの異常さ、などなど色々な問題点が詰まった物語でした。

嗅覚に優れた一人の女性だけの力でどうやってこの国を救っていくのか、彼女の人生はどうなっていくのか、気になることがたくさんあって一気読みでした。

最後は素敵な終わり方はしましたが、アイシャの人生の今後はまだまだ気になりますし、彼女の弟はどうなったんだろう?とか、この国の未来も気になりました。もしかしたらまた続きを描いてくれないかな?と期待しています。ぜひぜひ。


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2024年12月11日

今野敏「ボーダーライト」

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 今野敏 著
 「ボーダーライト」
 (小学館文庫)


県内で少年犯罪が急増している―神奈川県警少年捜査課の高尾と丸木が調査を始めた直後、ふたりのよく知る高校生・赤岩が薬物取引の現場で検挙された。赤岩は同級生の賀茂の助言で、取引を邪魔しに行ったのだという。賀茂は古代の霊能者・役小角を自らに降臨させる不思議な少年だった。時を同じくして横浜で売春や特殊詐欺も発生するが、罪を犯した若者たちの共通点は、カリスマボーカルのミサキを擁する人気バンド・スカGのファンだということだけだった。みなとみらい署のマル暴・諸橋らの協力を得て、高尾たちは真相解明を目指す。唯一無二のエンタメ警察小説。−裏表紙より−


多分、シリーズ2作目なのですが、1作目も読んだはずなのに感想文がありませんでした。書き忘れかな?

役小角というのは「えんのおづぬ」と読むのですが、飛鳥時代の呪術者だそうです。

強い力を持つ呪術者だから、高校生の賀茂に降りてくるということみたいです。しゃべり方も古臭く硬くなるので、もしかしたら何か憑いているのかな?という感じはします。

なぜ賀茂に降りるのかは不明なまま。オヅヌが降りていない間は普通の高校生のようですが、この作品ではずっと憑いているのでよくわかりません。


オヅヌが賀茂に憑くと、どこかで何か霊的な力が働いて悪事が行われているということになり、怪しい事件が捜査されていきます。オヅヌの力を借りながら捜査するのは見ていて妙に面白いです。

大の大人が高校生の言いなりになっているなんて。まあ中身は呪術者なのですけど。


今回はカリスマボーカルのミサキという女性が出現したことから事件が始まります。ミサキの所属するバンド・スカGのファンであるという若者たちが次々と詐欺や売春などの犯罪を起こしていきます。

彼女の歌声には人を洗脳する力があるということでしたが、これがもし現実に起きると怖いですね。現代にもたくさんのカリスマボーカリスト、人気のアーティストがいますので、彼ら彼女らに力があったら、と思うとぞっとします。

推し活とかいって熱狂することも多くなっているからこそ余計に影響力がありそうです。

どこか冷静に判断できる部分を自分の中に持っていないと危険ですね。冷静に注意してくれる身近な人がいるとか。


このシリーズ、なんとなく手に取って読んでいますが、もう良いかな?と思わなくもないです。この作家さんは他に面白いシリーズがたくさんありますからね。


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2024年12月10日

買った本

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 柴田よしき 著
 「あらたなる日々 お勝手のあん」
 (ハルキ文庫)


お気に入りのシリーズ。感想書く前に新刊が発売されそう・・・


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 今野敏 著
 「ボーダーライト」
 (小学館文庫)


お気に入りの作家さん。このシリーズは久しぶり。


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 上橋菜穂子 著
 「香君 西から来た少女 1〜4」
 (文春文庫)


1,2巻は一気に発売され、3,4巻は1か月毎に発売され、良いペースで読み切れます。感想が分けて書けそうもないので、一気にご紹介。

2024年12月02日

11月のまとめ

ミカエルの鼓動 (文春文庫 ゆ 13-3)ミカエルの鼓動 (文春文庫)
心臓手術を行うことが出来る医療ロボット・ミカエルを巡る医療関係者の信念とプライドと金銭絡みなどなどの問題が描かれています。色々とくどい部分はありましたが、ミカエルがもっと安定しているのであれば医療にとって本当に素敵なことではあると思います。そこに人間のさまざまな欲望が絡むとろくなことが無い・・
読了日:11月05日 著者:柚月 裕子


月の都 海の果て (講談社文庫 な 97-3)月の都 海の果て (講談社文庫)
シリーズ3作目。なんで読んでいるんだっけ?と自分でも不思議になるシリーズではありますが、後1作で終わると思うので最後まで読むつもりです。何か、登場人物たちに魅力を感じないんですよね・・。しかし、残り1作で全て丸く収められるのだろうか?それだけが不安。
読了日:11月12日 著者:中村 ふみ


最後の晩ごはん 後悔とマカロニグラタン (角川文庫)最後の晩ごはん 後悔とマカロニグラタン (角川文庫)
後輩であり弟のように感じている李英とケンカする海里。でもこれだけ冷静に話し合えたらより絆が深まって良いですね。周りのサポートもさり気なく、そして大胆で素敵です。こんなに出来た人だらけな作品も珍しい・・
読了日:11月15日 著者:椹野 道流


おはようおかえり (PHP文芸文庫)<おはようおかえり (PHP文芸文庫)
代々続く店を長子が継がなければならないというわけではないけれど、なんとなく継ぐつもりでいる長女と、自由奔放な妹。どちらにも悩みはあって、どんな人生を歩んでいくのか、続きも知りたい感じがしました。ちょっと不思議だけど深くて読みやすい話でした。
読了日:11月19日 著者:近藤 史恵


神様の子守はじめました。12 (コスミック文庫α し 1-12)神様の子守はじめました。12 (コスミック文庫α)
最近は、子どもたちの可愛さよりも梓の人の好さが際立つ感じ。でもほんとがんばっていると思います。梓って、人生一回やってきた感じ。心の広さもすごい。子どもたちが育った後、どうやって生きていくんだろう?変な心配をしてしまいます。
読了日:11月24日 著者:霜月りつ


香君3 遥かな道 (文春文庫 う 38-4)香君3 遥かな道 (文春文庫)
一つの穀物でここまで人を支配して、ここまで振り回される世界って、想像するだけでぞっとします。素早く育つのは良いけれど強すぎても困ります。生物の世界は弱肉強食、そして食物連鎖がないとうまくいかないんだと改めて思い知らされました。これで安泰とはいかないんだろうな。続きが気になります。
読了日:11月28日 著者:上橋 菜穂子



全部で6冊。ページ数の少ない本が多かったのでこのくらいですね。

特に印象に残ったのは「香君3」です。

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2024年11月28日

近藤史恵「シャルロットのアルバイト」

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 近藤史恵 著
 「シャルロットのアルバイト」
 (光文社文庫)


雌のジャーマンシェパード、七歳、元警察犬のシャルロットは、ふとしたことから犬のようちえんで子犬と遊ぶアルバイトをすることになった。優しい先生と子犬たちは仲良くすごしていたが、そのドッグスクールには不穏な噂があった。「ここのせいで犬が死んだ」と・・。(表題作)すべての犬好きに贈るハートウォーミング・コージーミステリー第2弾!−裏表紙より−


表題作のほか、「迷子の王子」「謎のお向かいさん」「失くなった迷子札」「天使で悪魔とシャルロット」が収録。


シリーズ2作目。

前回もそうでしたが、今回もずっとシャルロットのことをゴールデンレトリバーだと思ってしまっていました。何度もシェパードだと記述があるのですが、性格がフレンドリーで可愛すぎるのでつい。

まあ何犬でも問題はないんですけどね。

元警察犬ということでかしこさもありますし、もうすっかり大人なので落ち着きもありますが、たまには不満を爆発させることもあります。


今回のシャルロットはいろんな犬と関わることになります。自分の家にも2回犬を預かることになりますし、ドッグスクールで働くことにもなり、そこでもたくさんの犬とあそぶことになりました。


預かった犬たちはどちらもやんちゃな感じでシャルロットはかなり振り回されています。犬自体はかわいらしくて良いのですが、やはり飼い主次第で運命というか、犬の生活は変わるわけで、どんな人間が関わっていくかが大きな問題です。

飼い主となる人たちの問題や隠し事などを、シャルロットの飼い主である夫婦が解決していきます。

殺人などの大きな事件があるわけではないですが、すべての話に謎があって、ただ犬の日常を読む以上に楽しめます。


ちょっと濃い目のミステリを読んだ後などの口直しにもちょうどいいと思います。

シリーズもっと続いてほしいな。期待して待ちます。


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2024年11月25日

伊吹有喜「彼方の友へ」

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 伊吹有喜 著
 「彼方の友へ」
 (実業之日本社文庫)※電子書籍


老人施設でまどろむ佐倉波津子に小さな箱が渡された。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった―戦中という困難な時代に情熱を胸に歩む人々を、あたたかく、生き生きとした筆致で描ききった感動傑作。巻末に書き下ろし番外編を収録。第158回直木賞候補作。−出版社HPより−


この作家さんは結構好きで読むのですが、好きなタイプの作品と、そうでもない作品があるのが難点。

この作品は、あまり面白いと思えずでした。

苦手な時代の話だというのもあるのでしょうが、ちょっとウジウジした男女の話が絡むとどうしても読みにくく感じてしまいます。

しかも、読み終えてから日にちが経ちすぎて忘れている部分も多いので感想が難しいです。


戦争中の日本が描かれています。ただ、爆撃されるような場面は一度しかありません。男性が出兵する様子はよく描かれているので、そこは辛いですが。

描かれているのは、戦時中の雑誌社です。そこで働くことになった佐倉波津子の人生が中心に描かれています。

彼女は「乙女の友」という雑誌に憧れているけれど、おしゃれは苦手な女の子(といってもいいくらいの若さ)。
ある事情で「乙女の友」を作っている雑誌社で働くことになります。・・が、うだつの上がらない彼女を見て、編集者たちは呆れて、というか無視に近い状態の態度をとりました。

女性誌の編集者といえば、戦時中とはいえある程度おしゃれな人が多い中で、おしゃれの出来ない女性が来ても確かに相手にされなさそうではあります。

もちろん編集などの経験もなく、文章力も芸術力もないとくれば仕方ないです。


そんな彼女がどのようにして「乙女の友」と関わり、どうやって雑誌を仕上げていくのか。そして、彼女を含む社員たちの人生が描かれていきます。

戦時中に雑誌を作ることの大変さ、何より女性が社会で活躍する大変さ、読んでいて苦しい場面も多かったです。


しかし、雑誌って今も昔も読むことないからわかりにくいところも多かったですが、カラー写真が使えない時代は今よりももっと大変だったでしょうし、ページを埋めるセンスがかなり必要だっただろうと思うと、その時代に作っていた人を尊敬します。

昔の雑誌、ちょっと見てみたい気がします。


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2024年11月13日

砂原浩太朗「いのちがけ 加賀百万石の礎」

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 砂原浩太朗 著
 「いのちがけ 加賀百万石の礎」
 (講談社文庫)※電子書籍


加賀藩の祖・前田利家が流浪した若きころから大名になった後まで付き従った、股肱の臣・村井長瀬。桶狭間、長篠、賎ケ岳・・名だたる戦場を駆け抜け、利家の危難を幾度も救う。主君の肩越しに見た、信長、秀吉、家康ら天下人の姿。命懸けで忠義を貫き通し、百万石の礎を築いた男を、端正な文体で魅せる傑作。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

読みやすい文章だったのですが、長すぎてなかなか読み終わらず。壮大な話だったな〜と思ったのですが、実は短い期間の、狭い場所の話なんですよね。


前田利家って名前はよく知っていますし、戦国時代の小説やドラマなどでも必ずと言っても良いほど登場する人物ではありますが、はっきり言って誰の家臣だったのかも、どんな人物だったのかも知りませんでした。

戦国時代は結構好きなんですけど・・


そんな、名前は知ってるけど何をやってるかは知らない、前田利家の家臣・村井長瀬の人生が描かれています。人生と言っても、すでに利家の家臣になっているので幼少時代は出てきませんが。

彼の目を通して、前田利家がどんな人物なのか?が描かれていきます。

始めは織田信長の家臣でしたが、どうやら破門されたようです。それには理由があって、確約があるわけではないですが、いずれ家臣に戻れる状態でした。でも村井からすれば、本当に戻れるのか?と不安になる程度の約束で、彼は心配でたまりません。

この時代はいかに戦で功績をあげるか?で出世が決まるので、利家は家臣と共に大将首をとったり、信長の元へいち早く駆けつけたりすることでアピールをしていました。

普通であれば、功績をあげなければ!と野心むき出しにして必死で戦うものでしょうが、利家は静かな闘志というか、闘志すら見せないような穏やかな人物に思えました。でも実際には戦の腕も高く、志も高く、家臣に対しては優しくも厳しいというなかなか魅力的な人物で、村井が惚れるのもよくわかる人でした。

この時代の武士らしく、多くを語らないので、実際の思いはどうなのかわかりませんが、ただ主君のために、家臣の為に、と必死で生きていたようです。


信長亡き後は、秀吉に、家康に・・と多くの武士と同じ道を辿っていきます。武士としての人物像はもちろん、時代の流れもしっかり見て、どちらに付くのかを冷静に考えることも出来るようです。


なかなか魅力的な人物なのだと思えた利家。今後はもう少し注目していきたいです。


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タグ:砂原浩太朗

2024年11月08日

西條奈加「婿どの相逢席」

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 西條奈加 著
 「婿どの相逢席」
 (幻冬舎文庫)


小さな楊枝屋の四男坊・鈴之助は、大店の仕出屋『逢見屋』の跡取り娘・お千瀬と恋仲になり、晴れて婿入り。だが祝言の翌日、大女将から思いもよらない話を聞される・・。与えられた境遇を受け入れ、陰に陽に稼業を支える鈴之助。”婿どの”の秘めた矜持とひたむきな家族愛は、やがて遭見屋に奇跡を呼び起こす。直木賞作家、渾身の傑作人情譚!−裏表紙より−


お気に入りの作家さんなので読みやすかったです。

鈴之助の柔らかくて人当たりの良いキャラクターが素敵で、ある意味空気を読めない感じも羨ましくて、ずっと優しい空気が流れていると思えたのは彼の存在のお陰かと。


この時代に女性ばかりで店を切り盛りするのは大変なことだと思います。でも、なぜ女性が継ぐことになったのか?を知ると激しく納得してしまいます。確かに女性が店を切り盛りする苦労を上回りそうです。

この店の男性はただひたすら「旦那」として存在し、跡取り娘を産ませるだけが仕事であり、存在意義です。

つまり店に出ることはなく、奥にいてやることもなくぼんやり日々を送っていくのみ。

働かなくて食べていけるなんて、すごく素敵じゃん!と思える人もいるでしょうが、きっと人は誰かに頼られないと生きていけないものなんだろうと思うので、「何もしなくていい」と言われるとものすごく虚しくなるものなのでしょうね。

お陰で義父は本当に抜け殻のような、何も考えていないような雰囲気の人でした。でもまあそれは後々変わってはくるのですが。


鈴之助は「何もするな」と言われても黙っていられないタチだったので、あれこれ口を出したり、行動を起こしたり、何となく忙しく日々を過ごしています。鈴之助の場合は妻であるお千瀬が頼ってくれるのでかなり救われているのもあります。

義母や大女将、妻の妹たち。4人からの攻撃はなかなかのものですが、持ち前の明るさで乗り切る鈴之助が素敵でした。


女性だけでは難しい経営面や周りからの嫌がらせ、客の問題など、様々な事件というか出来事があるので、鈴之助も活躍していきます。彼の人柄の良さで解決することも多々あり、ちょっと辛い話も明るく終わってくれました。


これはシリーズ化しても良さそうですがどうかな? 大きな問題は片付いた感もあるので微妙ではありますが、店で巻き起こる様々な出来事を解決していく物語として続けられそうでもあります。

楽しみに待とうかな。



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posted by DONA at 14:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書:西條奈加