2010年10月28日

高田郁「花散らしの雨 みをつくし料理帖」

高田郁著 「花散らしの雨 みをつくし料理帖

(ハルキ文庫)


元飯田町に移転し新たに開店した「つる家」では、店主・種市の負担を減らすために下足番としてふきという少女を雇った。よく働くふきをみんなは可愛がるのだが、同じ頃に有名料理店で澪の創作料理を真似した料理が出されるようになった。更に考案中の料理まで真似されるようになり澪は不安になってしまう−「俎橋から−ほろにが蕗ご飯」


腰が悪い種市とあまり体力のない芳の二人に負担をこれ以上かけるわけにはいかない・・ということもあって、口入屋から持ち掛けられた下足番の少女を雇うことにした澪。

この少女は澪と同じように早くに両親を亡くしているということで親近感を覚え、ますます可愛がっていたのですが・・。

前回嫌がらせをされた料理店から離れたので、もう妨害されることもないだろうと思っていたのに次々真似をされると澪も我慢できなくなり、直接交渉に行くことに。本当に気の強い澪です。


花散らしの雨−こぼれ梅」では、幼馴染の野江ちゃんが斬られて怪我をしたということで、味醂の絞り粕(こぼれ梅)で元気づけようとします。会いたいけど会えない、悲しい関係にある二人のちょっとした会話が涙を誘う話でした。

一粒符−なめらか葛饅頭」では、店を手伝ってくれていて澪のお隣さんでもあるおりょうの息子・太一が麻疹にかかってしまいます。麻疹は昔、命を落としかねない大病で、おりょうにまで移ってしまい、澪と芳が必死で看病します。

銀菊−忍び瓜」は、淡い恋の話。澪と同じ名前の少女・美緒が澪がお世話になっている源斉医師に恋心を抱き、勝手に澪にやきもちを焼きます。澪もちょっと恋をし始めた感じ・・。何だかせつない話でした。


美味しそうなご飯たちと、静かに流れる物語、とても心地よく読めました。


<みをつくし料理帖>
「八朔の雪」


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今読んでいるのは・・
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2010年10月21日

高田郁「八朔の雪 みをつくし料理帖」

高田郁著 「八朔の雪 みをつくし料理帖

(ハルキ文庫)


色んなブログで感想を見ていて「面白いのかも」と思いつつ、手が伸びていなかった本です。


神田御台所町にある蕎麦屋「つる家」で働く澪は、故郷の大坂で幼い頃両親を水害で亡くし、天涯孤独だった。偶然出会った料理屋のおかみと共に江戸へ来た澪は、大坂と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚を頼りに日々精進を続けている。店を任されるようになり、苦労しながらもやっと認めてもらえた頃、名料理店から非道な妨害を受けるようになる・・。


天涯孤独でかわいそうな身の上だけど周りの人たちに恵まれている澪。幼くして両親を亡くしてしまってさまよっていたのは本当に可哀そうでした。でも、それ以後は、良い人に守られていてうらやましいくらいです。

周りに良い人が集まってくるのは、澪が素直で優しい性格だからでしょう。でも、ちょっと負けん気が強くて、短気な所もあって、完璧な人間・・というわけでもない所が私には好感もてました。

天性の味覚をもっていて、それを武器に江戸で成功しようとがんばる澪。大坂とは水の味が違うとか・・。今でもそれは一緒ですね。 私みたいに凡人の舌を持っている人間にはきっと気づかない味の違いでも料理人はこだわらないと成功しない。

出汁をとることさえ難しい。

東京の料理の味が濃いのは、この時代からなんですね。肉体労働者が多いから・・だとか。なるほど・・と感心してしまいました。


狐のご祝儀−ぴりから鰹田麩」では、まだ江戸の味に慣れない澪がしょうゆ辛い味に悩み、どうすれば江戸の人たちに好まれる味が出せるのか・・創意工夫します。

八朔の雪−ひんやり心太」では澪の身の上話が語られます。

初星−とろとろ茶碗蒸し」では“つる家”を任されることになった澪が、出汁の取り方を工夫し、苦労を重ねてやっと自分でも納得のいく味を出します。そしてそれを茶碗蒸しとして客に提供し、とうとう料理の番付にのるまでに・・。

夜半の梅−ほっこり酒粕汁」では、放火事件が起き“つる家”が焼け落ちてしまいます。落ち込む店主と澪。ある人の助けもあって、屋台で再開することになりました。


要所要所で泣きそうな場面があって、何度も涙を拭かないといけない話ばかりでした。

出てくる人たちも良い人ばかりで、蕎麦屋“つる家”の店主・種市を始め、客にも恵まれている澪がちょっとうらやましく感じる所もありました。


シリーズ化しているので、続きも楽しみに読もうと思います。


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