高田郁 著
「あい 永遠に在り」
(ハルキ文庫)
上総の貧しい農村に生まれたあいは、糸紡ぎの上手な愛らしい少女だった。十八歳になったあいは、運命の糸に導かれるようにして、ひとりの男と結ばれる。男の名は、関寛斎。苦労の末に医師となった寛斎は、戊辰戦争で多くの命を救い、栄達を約束される。しかし、彼は立身出世には目もくれず、患者の為に医療の堤となって生きたいと願う。あいはそんな夫を誰よりもよく理解し、寄り添い、支え抜く。やがて二人は一大決心のもと北海道開拓の道へと踏み出すが・・。幕末から明治へと激動の時代を生きた夫婦の生涯を通じて、愛すること、生きることの意味を問う感動の物語。−裏表紙より−
やはりこの作家さんの時代小説は読みやすいです。耐え忍ぶ中に強さもあって、自分の意志は貫く、素敵な女性が描かれています。今回はみをつくしシリーズとは違って、夫と子どもを支えて生きている女性ですが。
“蕪かじり”と称されるような貧しい農村に生まれたあいという女性。近所に住んでいた医師となった男性・関寛斎と夫婦となり、彼を支えて生きていました。
少女の頃から苦労をしていたあいは、苦労の中からうまく良い面を見ることができる前向きな性格だったため、少々の苦労も夫を叱咤激励したりそっと見守ったりしながら乗り越えていきます。
子どもにも恵まれ、12人の母となりますが、この頃の子どもは本当によく亡くなっていたので、半分しか自分より長生きしてくれませんでした。落ち込んだり、励まされて立ち直ったりを繰り返しながら、金婚式を迎えたあいは、夫の考えに賛同し、北海道へと旅立ちます。
未開発の地であった、北海道を開拓して余生を送ろうとしたのですが・・。
関寛斎という医師は実在の人物だそうで、あいも実在していました。高田さんが、関寛斎ではなく妻にスポットを当てて書くのはすごく納得できることです。
1冊でまとめてしまったのが残念なくらい、もっと細かく深く描いてもらいたかった部分がたくさんありました。子どもたちとの関わりはもっと知りたかったです。特にあいが頼りにしていたというスミや、薬学の道に進みそうだったテルについてはもっと書いてもらえたらよりあいの気持ちが理解できた気がします。また、関寛斎という人物についてももう少し詳しく知りたかったです。彼の意志の固さや、医療に対する姿勢などはわかりましたが、人となりをもっと知りたかったです。
彼女の生涯は、苦労も悲しみも多かったのですが、これほどまでに信じ合って愛し合える人と添い遂げられた所はとてもうらやましかったです。幸せな人生といえるのかもしれません。
彼女と共に生きたような気持ちになるくらい入り込んで読み切ることができました。
印象に残ったのは、人たる者の本分は、眼前にあらずして、永遠に在りという言葉です。眼の前のこと、今日明日のことだけを見ていてはいけない、将来のこと未来のことを見据えて生きていくのが、人として生きるということ、という意味です。なかなか出来ないことですが、こんな風に考えて生きられたら、人から尊敬されるような偉人として名を遺せるのかもしれません。
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