2024年04月17日

高田郁「幾世の鈴 あきない世傳 金と銀 特別巻(下)」

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 高田郁 著
 「幾世の鈴 あきない世傳 金と銀 特別巻(下)」
 (ハルキ文庫)


明和九年(一七七二年)、「行人坂の大火」の後の五鈴屋ゆかりのひとびとの物語。八代目店主周助の暖簾を巡る迷いと決断を描く「暖簾」。江戸に留まり、小間物商「菊栄」店主として新たな流行りを生みだすべく精進を重ねる菊栄の「菊日和」。姉への嫉妬や憎しみに囚われ続ける結が、苦悩の果てに漸く辿り着く「行合の空」。還暦を迎えた幸が、九代目店主で夫の賢輔とともに、五鈴屋の暖簾をどう守り、その商道を後世にどう残すのかを熟考し、決意する「幾世の鈴」。初代徳兵衛の創業から百年を越え、いざ、次の百年へ──。−裏表紙より−


いよいよシリーズ最終巻。読み終わるのが寂しすぎて、ゆっくり丁寧に読もうとしたのに、1話毎の結末が気になって次々と読んでしまいました。


ずっと気になっていた、妹・結のこともしっかり描いてくれて嬉しかったです。読み始めると、彼女はそこまで姉・幸のことを恨んでいたのか・・と胸が痛くなるほどでした。そして、そうやって恨みを抱いて生きていてもしんどいだけだということに気づいていないことも辛かったです。

夫はすっかり別人のようになってのんびりと暮らしているのに、結だけがカリカリイライラ。そういう世界から出たはずなのになかなか気持ちを変えられない彼女の様子は目を背けたくなりました。

でも最後にはちゃんとハッピーエンドが用意されていて、本当にうれしかったですし、良かったと思えました。幸と再会する日もいつか訪れるのかもしれません。その場面が描かれることは無いでしょうが、そういう想像が出来るようになったことが嬉しいです。


そして、菊栄の店も実家の商売も、更には元夫との関係も、全てが先を見据えて良い感じに展開したのも良かったです。彼女の商売の工夫は最後まで感心させられました。


最後に幸。彼女の人生は結婚と別れのくり返しではありましたが、大好きな店のために役に立てたことは素晴らしいことだと思います。ただ、これが現代ならここまで結婚しないで済んだだろうとは思いますが。

とにかく、最後の結婚は自ら望んで出来たのが本当に良かった。子どもには恵まれませんでしたが、それでも次に託すことが出来る物が遺せたのは素敵です。幸たちが育てた店は、これからもきっと繁盛していくことでしょう。着物という物が着られなくなったとしても、みんなで知恵を出し合って繁盛できそうです。


あ〜、読み終わってしまった・・・。でも良かった・・・・。


この作家さんはまだまだ書きたい題材があるそうで、また新たなシリーズが始まってくれるだろうと思うので、それを気長に楽しみに待ちたいです。そしていつかまた「五鈴屋」の物語も読んでみたいです。もちろん「みをつくし料理帖」も。


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」
「碧流篇」
「瀑布篇」
「淵泉篇」
「合流篇」
「風待ち篇」
「出帆篇」
「大海篇」
「契り橋」


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2023年10月23日

高田郁「契り橋 あきない世傳 金と銀 特別巻(上)」

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 高田郁 著
 「契り橋 あきない世傳 金と銀 特別巻(上)」
 (ハルキ文庫)


シリーズを彩ったさまざまな登場人物たちのうち、四人を各編の主役に据えた短編集。五鈴屋を出奔した惣次が、如何にして井筒屋三代目保晴となったのかを描いた「風を抱く」。生真面目な佐助の、恋の今昔に纏わる「はた結び」。老いを自覚し、どう生きるか悩むお竹の「百代の過客」。あのひとに対する、賢輔の長きに亘る秘めた想いの行方を描く「契り橋」。商い一筋、ひたむきに懸命に生きてきたひとびとの、切なくとも幸せに至る物語の開幕。まずは上巻の登場です!−裏表紙より−


あらすじがきれいにまとめられているので、それを読んだらわかりやすくて良いですね〜。

どの短編も面白かったのは、結局どの登場人物も大好きで、まるで実在する人物、しかも知り合いかのように好ましく思って読んでいるからでしょうね。

本編では脇役として存在感を出していた4人にスポットを当てているので、彼らの考えていることや想いがわかるようになっていて最高でした。

特に、ずっと何で井筒屋の三代目になったのか気になっていた惣次のことは読んでスッキリしました。でもまあ、幸は彼と添い遂げなくて良かったのかもしれないとも思いましたけど。彼の奥さんに対する態度がなんだか・・。心の中でさんざんなことを言っておきながら結婚する意味がよくわかりませんでした。ある意味人助け的なことだったのか?

幸という商いの天才が隣りにいなければ、惣次も五鈴屋で輝けたのかもしれないと思うと、ほんの少し可哀そうにはなりました。


お竹さんの苦悩は読んでいて辛かった。いつまでも元気で若々しいイメージだったのに、そうかそんな年齢になったのか・・としみじみ。素敵な店に奉公したお陰で、幸せに暮らしていけそうで安心しました。ずっとビシビシ意見をいってもらいたい存在です。彼女の一言が店を救ったこと何度もありますからね。


そして賢輔。ずっと長い間、すぐ近くにいながらも想いが告げられない苦しさ。私には想像しかできませんが、きっと大変だっただろうと思います。店のことも一番に考えないといけませんし。でも彼は一番成長した気がします。最後はそうか、そうくるか、な展開で嬉しくなりました。

でもそうなると、幸と妹・結の関係はどうなるのか?と心配でもあります。


佐助にもそんな相手がいたんだね、という話も面白かったです。

ほんと、五鈴屋の人たちはみんな幸せになってほしいと強く思いました。


これは特別編の上。まだ下巻もあるんです! なんて嬉しい! 

次はあの人やあの人のことを描いてほしいな。賢輔のその後も知りたいし。

上下の2巻といわず、まだ続けて欲しいシリーズです。


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」
「碧流篇」
「瀑布篇」
「淵泉篇」
「合流篇」
「風待ち篇」
「出帆篇」
「大海篇」


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2023年01月06日

高田郁「駅の名は夜明 軌道春秋U」

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 高田郁 著
 「駅の名は夜明 軌道春秋U」
 (双葉文庫)


妻の介護に疲れ、行政の支援からも見放された夫は、長年連れ添った愛妻を連れ、死に場所を求めて旅に出る(表題作「駅の名は夜明」)。幼い娘を病で失った母親が、娘と一緒に行くと約束したウイーンの街に足を運ぶ。そこで起きた奇跡とは?(「トラムに乗って」)。病で余命いくばくもない父親に、実家を飛び出し音信不通だった息子が会いに行くと・・(「背中を押すひと」)。鉄道を舞台に困難や悲しみに直面する人たちの再生を描く九つの物語。大ベストセラー『ふるさと銀河線 軌道春秋』の感動が蘇る。−裏表紙より−

「トラムに乗って」「黄昏時のモカ」「途中下車」「子どもの世界 大人の事情」「駅の名は夜明」「夜明の鐘」「ミニシアター」「約束」「背中を押すひと」


Uとはなっていますが、Tも短編だったので、どちらから読んでも問題ないですし、つながりもありません。ただ、旅や鉄道に関する物語の数々という意味でシリーズになっています。

どれも素敵なお話でしたが、特に印象に残ったのは「トラムに乗って」「黄昏時のモカ」「駅の名は夜明」「ミニシアター」です。

トラムに乗って
1話目から海外の話でびっくりしました。舞台はウィーン。おしゃれな街というイメージですが行ったことはありません。
娘を亡くした母親が、娘と一緒に行こうと約束していた場所がウィーンでした。病気で娘を亡くし、夫婦間もぎくしゃくして離婚するしかないかと思っている時に1人で行くことになった旅行。新婚旅行で行ったウィーンを旅していたら奇跡が起きます。途中も涙しましたが、最後も涙。きっと今後の人生うまくいってくれるだろうと思える嬉しい涙でした。


黄昏時のモカ
1話目と繋がりがある話です。1話目で出会っていた老婦人がいるのですが、その人が今度は主役となります。このまま連作短編になるのかと思ったのですが3話目は全く違う話です。
この老婦人は夫を亡くし、その遺影を持って思い出のウィーンを一人で旅しています。そこである外国人男性と出会うのですが、その人との会話がカッコいいというか素敵でこんな風に年齢を重ねたいものだと思わされました。この話でも最後に感動が待っています。


駅の名は夜明
表題作だけあって感動する話でした。ただ、読むのが辛い場面が多かったです。最後が何とかなってくれたので良かったですが。
老夫婦がお互いに支え合って生きていくのは本当に大変。子どもが親の介護をするのも大変なのに、自分も老いているのに介護だなんてどれほど大変なことか。介護をしたことがない私がいうのも変ですけど。国の制度でなんとか助けられないものでしょうか。色々考えさせられました。


ミニシアター
珍しくちょっと笑えるコミカルな話でした。でもこの作家さんらしく人との繋がりや人の温かみなどが感じられる内容になっていて、最初はちょっと顔をしかめる感じですが途中からはずっとほほえましく読みました。車内でのこんなやりとり、何だか素敵です。


普段、この作家さんの壮大な時代小説を読んでいると、ちょっと物足りない気はしますが、短編とはいえどれも感動できる良い話ばかりです。一度読んでみては?


<軌道春秋シリーズ>
「ふるさと銀河線」

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2022年10月27日

高田郁「あきない世傳 金と銀<十三> 大海篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳 金と銀<十三> 大海篇」
 (ハルキ文庫)


宝暦元年に浅草田原町に江戸店を開いた五鈴屋は、仲間の尽力を得て、一度は断たれた呉服商いに復帰、身分の高い武家を顧客に持つことで豪奢な絹織も扱うようになっていた。だが、もとは手頃な品々で人気を博しただけに、次第に葛藤が生まれていく。吉原での衣裳競べ、新店開業、まさかの裏切りや災禍を乗り越え、店主の幸や奉公人たちは「衣裳とは何か」「商いとは何か」、五鈴屋なりの答えを見出していく。時代は宝暦から明和へ、「買う手の幸い、売っての幸せ」を掲げて商いの大海へと漕ぎ進む五鈴屋の物語、いよいよ、ここに完結。−裏表紙より−


長かったシリーズもいよいよ最終巻。前作の様子を見ると終わりそうにもない感じでしたが、最終巻を読み始めてもその思いは変わらず。後半どころか終わる手前くらいまで問題山積で本当に最終巻なのか?と心配になりました。


前作の終わりで気になっていた衣裳競べは色々な妨害がありつつも、五鈴屋らしい衣裳で勝負に出て、モデルとなった女性が活きるような素晴らしい終わり方でした。優勝とはならなくても、五鈴屋の名前をしっかり残せたのがさすがです。

そしてもう一つの問題となっていた、庶民と身分の高い武家との買い物方法について。店側としては、高い商品を扱えて売ることが出来るのは嬉しいことですし、商売としてありがたいことではありますが、この時代、庶民と身分の高い武家の人が同じ空間に立っているだけでも息が詰まる状況。

楽しいはずの買い物の時間が苦痛になっては、お客にとって悲しいことですし、お客が離れていく原因にもなってしまいます。それを防ぐにはどうすれば良いのか?と悩んでいた幸でしたが、こちらもうまく2つを分かれさせて、店も商売も広げることができました。

・・と良いことばかりで終わればいいのですが、そうはいかないのが高田郁作品。


うまく行き始めると邪魔をするものが現れます。しかもその相手は幸が信頼していたあの人。結構早い段階で怪しいとは思っていましたが・・。まあこれにもオチがあったのでその辺は読んでみてください。


ずっと気になっていた妹・結との関係は、最終巻になってもほぼ進展なしで、このまま終わるのか??と思ったらこちらも最後に大きな出来事が。でもこの問題に関しては残念ではありました。まあ姉妹なんて意外とこんなものかもしれません。


最後の最後は心がじ〜んと温まるような話もあり、ほろりと涙して終わりました。

全てがすっきり終わったわけではないので、まだまだ読んでいたい気はしましたが、とりあえず番外編的な物を書いてくださるそうなので、それを楽しみに待つことにします。

また新たなシリーズも書いてくれるかな?楽しみです。


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」
「碧流篇」
「瀑布篇」
「淵泉篇」
「合流篇」
「風待ち篇」
「出帆篇」


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2022年04月28日

高田郁「あきない世傳 金と銀(十二) 出帆篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳 金と銀(十二) 出帆篇」
 (ハルキ文庫)


浅草田原町に「五鈴屋江戸本店」を開いて十年。藍染め浴衣地でその名を江戸中に知られる五鈴屋ではあるが、再び呉服も扱えるようになりたい、というのが主従の願いであった。仲間の協力を得て道筋が見えてきたものの、決して容易くはない。因縁の相手、幕府、そして思いがけない現象。しかし、帆を上げて大海を目指す、という固い決心のもと、幸と奉公人、そして仲間たちは、知恵を絞って様々な困難を乗り越えて行く。源流から始まった商いの流れに乗り、いよいよ出帆の刻を迎えるシリーズ第十二弾!!−裏表紙より−


いよいよ呉服が扱えるようになる!?とわくわくしながら読み始めましたが、やはりそう簡単にはいきません。

今もそうでしょうけど、昔は商売をするのが大変でした。お上からの許可が無いと扱えない商品がありますし、値段設定もありますし、仲間との兼ね合いやライバルの仲間との競合もあります。

袖の下を渡すのも暗黙のルールになっていますし。でも五鈴屋を始め仲間たいtもそこまで裕福なわけではないので、その工面にも苦労させられます。額面通り支払うべきなのか、何か方法は無いか?をさぐる幸。

そういう時に頼りになるのは元旦那さん。彼とのやりとり、そして仲間たちの協力でやっと後半になって呉服の商売が始まります。


呉服を扱うことになったら、今まで来てくれていた客の足が遠のくのではないか?という不安や、また新たな問題も出てきました。

商売をするというのは、自分の代で終わって良いというのではなく、代々伝えていくものでもあって、後継者の話もチラチラと出てきています。幸が望んでいる人が継いでくれると良いのですが。


そして、呉服を扱っても今までの客も来てくれて、更に新しい客も掴むという難問にどう立ち向かうのか?も楽しみですし、最後に出てきた問題もどうなっていくのか楽しみです。

妹・結の店との直接対決にもなりそうで、どうやって打ち負かすのか、爽快な結末が見たいと思います。


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」
「碧流篇」
「瀑布篇」
「淵泉篇」
「合流篇」
「風待ち篇」


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2021年10月05日

高田郁「あきない世傳金と銀十一」

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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀 十一 風待ち篇」
 (ハルキ文庫)


湯上りの身拭いにすぎなかった「湯帷子」を、夕涼みや寛ぎ着としての「浴衣」に──そんな思いから売り出した五鈴屋の藍染め浴衣地は、江戸中の支持を集めた。店主の幸は「一時の流行りで終らせないためにはどうすべきか」を考え続ける。折しも宝暦十年、辰の年。かねてよりの予言通り、江戸の街を災禍が襲う。困難を極める状況の中で、「買うての幸い、売っての幸せ」を貫くため、幸のくだす決断とは何か。大海に出るために、風を信じて帆を上げる五鈴屋の主従と仲間たちの奮闘を描く、シリーズ第十一弾!!−裏表紙より−


妹・結からの仕打ちにも負けず、幸は力強く立ち上がります。幸の方は結が元気でやっているか心配しているのですが、妹の方は相変わらずの冷たい態度です。しかも、結の店は店の者たちをあまり大事にしていないような噂が聞かれて、読んでいて私も心配になってきました。従業員を大事にしない店は長続きしない気がします。更にはお客にも愛されないと思うので、早々と潰れそうです・・。

良いライバル店として長く存在してほしいんですけどね〜。ダメかもしれません。



幸は売り出した藍染めの浴衣地を何とか江戸の人たちにずっと着てもらいたい、後世まで残していきたいという思いを強くし、どうすればみんなに広く伝わるだろうか?と考えました。

新たな染めの模様を考えることも必要ですし、何か大きな話題になるようなことも必要です。

歌舞伎役者や力士などから知恵をもらったり、染物に携わる職人にも話を聞き、浅草太物仲間の人たちとも話合い、一作を通してずっと悩み続けることになりました。


江戸にやって来た菊栄の商売もうまくいきかけたのに、問題が持ち上がって一時止まることになり、そのことに対しても心を痛める幸。でも菊栄の商売はあまり心配しなくても彼女なら乗り越えるだとうと思えたのでそこはあまり心配せずにすみました。


最終的に幸が下した決断は、同じ浅草太物仲間にとって驚くべきことでした。どんなことだったかは読んでのお楽しみ。なるほど、それこそお客様のことを第一に考える商売、「買うての幸い、売っての幸せ」を貫こうとする幸らしい、五鈴屋らしいやり方です。

度重なる妨害にも負けずに売り切る姿勢には、今回も感動させられました。五鈴屋さんたちと一緒に涙ぐんでしまいました。


最後には更に驚くべき発言&展開が! いよいよ幸による大逆転劇が起こるのか!?

続きが待ち遠しいです。


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」
「碧流篇」
「瀑布篇」
「淵泉篇」
「合流篇」


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2021年03月18日

高田郁「あきない世傳金と銀<十> 合流篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀<十> 合流篇」
 (ハルキ文庫)


呉服太物商でありながら、呉服仲間を追われ、呉服商いを断念することになった五鈴屋江戸本店。だが、主人公幸や奉公人たちは、新たな盛運の芽生えを信じ、職人たちと知恵を寄せ合って、これまでにない浴衣地の開発に挑む。男女の違いを越え、身分を越えて、江戸の街に木綿の橋を架けたい──そんな切なる願いを胸に、試行錯誤を続け、懸命に精進を重ねていく。両国の川開きの日に狙いを定め、勝負に打って出るのだが……。果たして最大の危機は最高の好機になり得るのか。五鈴屋の快進撃に胸躍る、シリーズ第十弾!!−裏表紙より−


前作は痛くて苦しい巻でしたが、今作は平穏で幸せな巻でした。

とはいえ、前作の苦しさから抜け出すための試行錯誤が繰り返されたので、苦しい場面はたくさんありました。でもこれを完成させれば絶対に成功する!という確信があるのでかなり前向きな気分で進められました。

読者側もただひたすら「がんばれ!やれば出来る!」と応援すれば良かったので、苦しまずに読めました。


いよいよ、大坂から菊栄さんがやって来ました。幸にとってはかつての女主人ですが、今は良い友人となっている菊栄。今回は彼女がカッコいい活躍を見せてくれて嬉しかったです。

菊栄さんにも色々と大変な部分はあるのでしょうが、商売上手な彼女ですから、江戸でもきっとうまくやれるはずです。そして、幸たちの支えにもなってくれるはず。

そう思うと心強くて頼もしくて、幸と共に感謝感謝な気分になりました。


相変わらず色んな人たちに助けられている幸。彼女の人柄に惹かれてみんな助けてくれるのでしょうが、今後も彼女の元、店が繁盛していく、いやお客様に愛される店になるのを楽しみにしています。

今回は妹が何もしてきませんでしたが、彼女が黙っているとも思えないので、どうなるのか・・。いつかは姉妹仲良くできたら良いのですが。


そして、今回は良いことがもう一つあって、お梅どんの春に私も嬉しくなりました。彼女の存在は江戸本店を明るくしてくれるので、いつまでも元気で幸せでいてほしいです。


次回も平和に過ぎたら良いですけど、そうはいかないでしょうね・・・。でも幸たちなら乗り越えていってくれるでしょう。


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」
「碧流篇」
「瀑布篇」
「淵泉篇」


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2020年12月28日

高田郁「あきない世傳金と銀<九> 淵泉篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀<九> 淵泉篇」
 (ハルキ文庫)


大坂から江戸に出店して四年目、まさにこれから、という矢先、呉服太物商の五鈴屋は、店主幸の妹、結により厳しい事態に追い込まれる。型彫師の機転によりその危機を脱したかと思いきや、今度は商いの存亡にかかわる最大の難関が待ち受けていた。だが、五鈴屋の主従は絶望の淵に突き落とされながらも、こんこんと湧き上がる泉のように知恵を絞り、新たなる夢を育んでいく。商道を究めることを縦糸に、折々の人間模様を緯糸に、織りなされていく江戸時代中期の商家の物語。話題沸騰の大人気シリーズ第九弾!!−裏表紙より−



前作の終わり、ええ〜!?という状態だったので、あわてて読みました。でもやっぱり気のせいではなく本当にやらかしていました・・・結・・。

頭が良くて、店主として店を切り盛りして、誰からも慕われて、その上綺麗なお姉ちゃんをもつと、ひねくれたくなる気持ちはわかりますけど、商売を手伝っていただけに、どんな結果になるかもわかった上でやったかと思うと腹が立ちます。

奉公人たちも辛いな・・・店主の妹がやったことだけに、責めるにせめられない・・。苛立ちをぶつける先がありません。目の前で落ち込む店主を見たら余計に。

今までも色んな困難を乗り越えて来た人たちですから、今回もそれぞれが知恵を絞って何とか乗り越えていくのですが、結が起こした事件だけではなく、更に大きな問題まで。それこそ商売が成り立たないほどの大問題が。


さすがにもう無理なんじゃ??とあきらめかけますが、それは読者の私だけで、幸も店の人たちも諦めません。今まで支えてくれた奉公人たちや、他の店の人たち、お客様、様々な人たちが色んなアイディアをさり気なく与えてくれ、また今度も助けてくれました。


大坂から幸の馴染みの人たちも江戸に出てきてくれそうですし、みんなで幸を五鈴屋を盛り立ててくれています。それもこれも、幸や奉公人たちのお客様を大切にする気持ちがそうさせるのでしょう。

まだまだ問題は山積しています。江戸店がどんな素敵な店になってくれるのか今後も楽しみです。ついでに、結も幸せになれると良いのですが・・。

<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」
「碧流篇」
「瀑布篇」


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2020年08月06日

高田郁「あきない世傳金と銀 瀑布篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀<八> 瀑布篇」
 (ハルキ文庫)


遠目には無地、近づけば小さな紋様が浮かび上がる「小紋染め」。裃に用いられ、武士のものとされてきた小紋染めを、何とかして町人のものにしたい──そう願い、幸たちは町人向けの小紋染めを手掛けるようになった。思いは通じ、江戸っ子たちの支持を集めて、五鈴屋は順調に商いを育てていく。だが「禍福は糾える縄の如し」、思いがけない禍が江戸の街を、そして幸たちを襲う。足掛け三年の「女名前」の猶予期限が迫る中、五鈴屋の主従は、この難局をどう乗り越えるのか。話題沸騰の大人気シリーズ第八弾!!−裏表紙より−


幸たちが町人のものにしようと頑張っている「小紋染め」も少しずつ受け入れられてきて、腕のいい職人に支えられながらどんどん枚数を増やしていきました。

そうなると今度はデザインを増やさなければ飽きられてしまう・・ということで、新たなデザインを考えるのに四苦八苦しています。

そして、いくら小紋染めで人気が出ても、女名前で商いが出来ない以上、幸の後継者を決めなければ店は続けられません。

誰を次の店主にするのか?という大きな問題にも頭を悩ませることになります。

そこへ更に、妹・結の恋愛、そして嫁入りという問題も浮上。お年頃ですから仕方ないのですが、彼女の想いを知っているだけに一筋縄ではいかない状況・・。

幸は、商売を長年やっていてるだけあってしっかりした女性ですが、妹はまだまだ幼い所があり、危うい所もたくさんあるので、「いつかわかってくれる」とか「そのうち何とかしよう」なんて思っていたらだめだぞ・・と心配していたらやはりやってくれました!

それをすることで、五鈴屋にどれだけの迷惑、損害を与えるのか、姉の幸に泥を塗ってしまうということもわからずに行動してしまうあたりが、彼女の幼さを物語っています。


色んなことが落ち着いて、これから商売をどう大きく発展させていくか?を考えれば良いだけだったのに、また大問題発生で終了。今後どうなっていくのか・・・。


次の巻はもうすぐ発売のようです。早く手に入れて早く読むことにします。


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」
「碧流篇」


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2020年06月15日

高田郁「あきない世傳金と銀<七> 碧流篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀<七> 碧流篇」
 (ハルキ文庫)


大坂天満の呉服商「五鈴屋」の七代目店主となった幸は、亡き夫との約束でもあった江戸に念願の店を出した。商いを確かなものにするために必要なのは、身近なものをよく観察し、小さな機会を逃さない「蟻の眼」。それを胸に刻み、懸命に知恵を絞る幸と奉公人たちだが―。ものの考え方も、着物に対する好みも大坂とはまるで異なる江戸で、果たして幸たちは「買うての幸い、売っての幸せ」を実現できるのか。待望のシリーズ第七弾!−裏表紙より−


読み終わったのが10月の終わり。もうすでに7か月くらい経ってしまいました・・。

細かい部分は覚えていないので、大まかに書いておいて、また改めてまとめます。

すでに、次の巻も手元にあり、いつでも読める状況ですから、早く書いて次を読むことにします。


江戸に出店して、何度か躓きながらも、少しずつ江戸の人たちにも愛される店になってきました。

番頭や手代たち、そして幸も色々アイディアを出し合って、みんなで店を盛り立てています。


女名前がダメな店主の問題も、ある人の出現により、良い方向に転がっていき、少しではありますが幸が店主を続けられる期間が延びました。

なるほど、そのために彼は死んだことになっていなかったのね、と納得です。

とはいえ、いつかは誰かに継がさないといけないので、問題が解決したわけではないですが。


まだまだ軌道に乗ったとは言えない江戸店。そして、店主の後継者問題。問題は山積みですが、これからどんな成長、商いを見せてくれるのか楽しみです。


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」


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2019年08月16日

高田郁「あきない世傳金と銀<六> 本流篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀<六> 本流篇」
 (ハルキ文庫)


大坂天満の呉服商「五鈴屋」は、天災や大不況など度重なる危機を乗り越え、江戸進出に向けて慎重に準備を進めていた。その最中、六代目店主の智蔵が病に倒れてしまう。女房の幸は、智蔵との約束を果たすべく立ち上がった。「女名前禁止」の掟のもと、幸は如何にして五鈴屋の暖簾を守り抜くのか。果たして、商習慣もひとの気質もまるで違う江戸で「買うての幸い、売っての幸せ」を根付かせたい、との願いは叶えられるのか。新たな展開とともに商いの本流に迫る、大人気シリーズ待望の第六弾!−裏表紙より−


前作で、六代目店主・智蔵が倒れてしまい、まさか・・と思っていたら、今作はいきなり葬儀の場面からスタートしました。やはり・・と幸の度重なる不運に泣きそうになりました。

幸は、悲しみが深すぎたのか、泣くこともできず、淡々と葬儀をこなしていきます。現店主が急死したのですから、決めないといけないことは山ほどあります。悲しんでばかりはいられないのが現状です。


今まで、3人の店主に嫁いだ幸ですが、いよいよ兄弟もいなくなり、後継ぎも生まれないままです。この時代、「女名前禁止」という決まりがあったので、幸が跡を継ぐわけにはいきません。

本当、腹立たしい決まりです。この時代の男尊女卑にはイライラさせられます。ほとんど「女性は産む機械」という立場でしかありません。幸のように商売上手な女性もたくさんいたでしょうに・・。


跡継ぎをどうするか?もかなり難題ですが、それはとりあえず期間限定で幸が仮の店主として店を続けることになりました。跡継ぎは一旦保留です。その期間中に、江戸の店を開店させ、軌道に乗せることに力を注ぐことにしました。


夫に次々先立たれる不孝を味わった幸ですが、ここから幸の商売の才能がいかんなく発揮されるかと思うと、かなり楽しみでもあります。

モタモタしている間に、新刊が出てしまいました・・。急いで読まなくては!


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」

「転流篇」



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2019年01月25日

高田郁「花だより みをつくし料理帖 特別巻」

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  高田郁 著
 「花だより みをつくし料理帖 特別巻」
 (ハルキ文庫)


澪が大坂に戻ったのち、文政五年(一八二二年)春から翌年初午にかけての物語。店主・種市とつる家の面々を廻る、表題作「花だより」。澪のかつての想いびと、御膳奉行の小野寺数馬と一風変わった妻・乙緒との暮らしを綴った「涼風あり」。あさひ大夫の名を捨て、生家の再建を果たしてのちの野江を描いた「秋燕」。澪と源斉夫婦が危機を乗り越えて絆を深めていく「月の船を漕ぐ」。シリーズ完結から四年、登場人物たちのその後の奮闘と幸せとを料理がつなぐ特別巻、満を持して登場です!−裏表紙より−


久しぶりの「みをつくし」 澪に会える!と楽しみに読みました。なかなか出てこないんですけどね・・。


まず「花だより」 これは澪が去った後の“つる家”の話。みんな元気そうです。種市が澪に会うため旅に出ることにしたのですが・・。種市と共にもどかしい気持ちになりました。


「涼風あり」 これも気になっていた、澪がちょっと恋心を抱いていた相手・数馬のその後の話。変わった奥さんとの生活は微笑ましくて幸せそうでホッとしました。


「秋燕」は、野江ちゃんのその後。彼女のことも心配でした。やっと澪も登場し、2人の良い関係も見られて嬉しい一話でした。野江ちゃんも幸せになってくれそうです。


そして「月の船を漕ぐ」で、澪と源斉先生の話がやっと読めました。でもなかなか苦労も多そうです。読んでいて辛くなる話でした。澪も源斉も不器用ですからね・・。


やっと読めた、やっと再会できた人たちに嬉しくてずっと半泣き状態になってしまいました。

これで本当にお別れみたいです・・。寂しすぎます。でもいつかまた会えたら良いなと思いつつ、また1巻から読み直してみます。

素敵な作品との出会いに改めて感謝!


<みをつくし料理帖>
「八朔の雪」
「花散らしの雨」
「想い雲」
「今朝の春」
「小夜しぐれ」
「心星ひとつ」
「夏天の虹」
「残月」
「美雪晴れ」
「天の梯」


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2018年05月25日

高田郁「あきない世傳金と銀<五> 転流篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀<五> 転流篇」
 (ハルキ文庫)


大坂天満の呉服商、五鈴屋の六代目店主の女房となった主人公、幸。三兄弟に嫁す、という数奇な運命を受け容れた彼女に、お家さんの富久は五鈴屋の将来を託して息を引き取った。「女名前禁止」の掟のある大坂で、幸は、夫・智蔵の理解のもと、奉公人らと心をひとつにして商いを広げていく。だが、そんな幸たちの前に新たな試練が待ち受けていた。果たして幸は、そして五鈴屋は、あきない戦国時代を勝ち進んでいくことができるのか。話題沸騰の大人気シリーズ待望の第五弾!−裏表紙より−


現代ではありえないであろう、三兄弟に順番に嫁すという事態になってしまった幸。この時代は女性に選択権は無いのでありえることなんでしょうね・・。しかし、幸しかいないのか!とも思ってしまいます。それだけ幸の商才がすごいということなのでしょうが。

今回の結婚が一番スッキリして幸が幸らしく要られる状態かもしれません。夫自身が「操り人形に徹する」と言ってくれていますから、かなりやりやすいです。

本当はそんなことしなくても、幸が表に出られたら一番良いのですが、この時代は女性では店主にはなれないので仕方ありません。

あらすじにもあるように、幸の支えとなってくれていた義母であるお家さんも亡くなってしまい、幸の負担は大きくなっています。でも、幸の商才が存分に発揮できるのは良いことだと思います。

今回も、今に通じるような売り方をどんどん思いついて実行に移していく幸。そして、その売り上げに貢献したのが、幸の妹とお竹どん。

二人が今で言うモデルとなって、様々な商品と着こなしを披露することで、お客さんは買いやすくなりました。

幸には色んな困難が待ち受けていましたが、それでも商売はどんどん上向いて行きます。そろそろ目標でもある江戸に進出か!?という所までこぎ着けそうそうです。

でも、そんな風に明るく終わらないのがこのシリーズ。最後はまた試練が訪れてしまいます。

とても気になる状態で終わったというのに、しばらくはこのシリーズの新刊は出ないとか。

「みをつくし料理帖」の番外編が出るそうなので、そちらを読みながら首を長くしつつ待つことにします。


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」


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2017年09月19日

高田郁「あきない世傳金と銀<四> 貫流篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀<四> 貫流篇」
 (ハルキ文庫)


江戸時代中期、長く続いた不況を脱し、景気にも明るい兆しが見え始めた。大坂天満の呉服商、五鈴屋でも、五代目店主の惣次とその女房幸が、力を合わせて順調に商いを広げていた。だが、徐々に幸の商才を疎むようになった惣次は、ある事件をきっかけに著しく誇りを傷つけられ、店主の地位を放り出して姿を消す。二度と戻らない、という惣次の決意を知ったお家さんの富久は、意外な決断を下す。果たしてその決断は五鈴屋を、そして幸を、どのような運命へと誘うのか。大人気シリーズ第四弾!−裏表紙より−


前作、目標も高く掲げ、元々あった商才を活かしながら生き生きと店主として過ごしていた惣次ですが、あらすじにあるように家から出て行きました。

プライド高い男って面倒くさい!とイライラさせられたわけですが、幸はただただうまく支えられ無かった自分を責めるばかり。

そして、まあそうなるだろうな〜という展開になります。読んでいる方なら想像したであろう展開ですね。

自分が幸の立場だったら複雑な心境だろうな・・と思いつつ読み進めました。でも途中からはこれが一番しっくりくる状態なのかな?とも思えました。

幸の商才が発揮されますし、でも女性である幸は表に出ずにいられますし。男性のプライドを傷つけることもありません。ややこしいですけど、これが一番良いのかも。

物が売れにくい時代にどうやって売っていくか、色々な方法を思いつく幸に感心することが何度もありました。


とはいえ、何もかも良い展開というわけではなく、辛い別れもありますし、困難も待ち受けているわけですが。

今回は涙をいっぱい流す羽目になりました。

このままうまくいけば良いのにと思いますが、最後の様子を見るとそうはいかないようで・・。

今度は幸はどんな知恵を絞るのか、楽しみです。


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」


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2017年04月26日

高田郁「あきない世傳金と銀<三> 奔流篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀<三> 奔流篇」
 (ハルキ文庫)


大坂天満の呉服商「五鈴屋」の女衆だった幸は、その聡明さを買われ、店主・四代目徳兵衛の後添いに迎えられるものの、夫を不慮の事故で失い、十七歳で寡婦となる。四代目の弟の惣次は「幸を娶ることを条件に、五代目を継ぐ」と宣言。果たして幸は如何なる決断をし、どのように商いとかかわっていくのか。また、商い戦国時代とも評される困難な時代にあって、五鈴屋はどのような手立てで商いを広げていくのか。奔流に飲み込まれたかのような幸、そして五鈴屋の運命は? 大好評シリーズ、待望の第三弾!−裏表紙より−


前作で未亡人となってしまった幸。でも四代目とは厳密には夫婦と言えないような浅い関係だったので、特に落ち込むこともなくぼんやりとその関係は終了。

そして、今度は五代目の妻に!? という所で終わっていました。

店主となる男性が言い出したら、この時代の女性に選択権はなく、当然そういう流れになるよね〜ということです。

今度こそ、賢い幸の出番かな?と思ったら、またまた色々あるんですよね・・。

その辺りはネタバレになるので書きませんが、この時代だからこそ女性の在り方が難しいなと改めて感じる展開でした。

女性は出しゃばってはいけないんです。常に男性の後ろで陰で支えていく存在でなければなりません。ただ求められるのは子どもを産むこと。しかも後継ぎとなる男子を。

賢さは隠して、でも気遣いは大切で、家の中や外にも気を配って、でも夫より目立たないように。本当に女性って難しいです。

幸の聡明さはこの時代には損なことですね。良いアイデアを思いついても、いかに夫の面目をつぶさずに伝えるかを考えないといけませんし、前面に出て動くわけにもいきませんし、でも口を出さないと店はつぶれそう・・。

幸が男性ならとどれだけ思ったか。

最後も何とも驚きの展開になっていたので、次でどうなっていくのか楽しみなような不安なような複雑な気持ちで読み終えました。今度こそ幸の手腕が発揮されると良いのですが。

<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」


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2016年08月29日

高田郁「あきない世傳金と銀<二> 早瀬篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀<二> 早瀬篇」
 (ハルキ文庫)


学者の娘として生まれ、今は大坂天満の呉服商「五鈴屋」に女衆として奉公する主人公、幸。十四歳の幸に、店主徳兵衛の後添いに、との話が持ち上がった。店主は放蕩三昧で、五鈴屋は危機に瀕している。番頭の治兵衛は幸に逃げ道を教える一方で、「幸は運命に翻弄される弱い女子とは違う。どないな運命でも切り拓いて勝ち進んでいく女子だす」と伝える。果たして、「鍋の底を磨き続ける女衆」として生きるのか、それとも「五鈴屋のご寮さん」となるのか。あきない戦国時代とも呼べる厳しい時代に、幸はどのような道を選ぶのか。話題沸騰のシリーズ第二弾!−裏表紙より−


前作はじっくりゆっくり読み進めたのですが、二作目はどうしても先が気になって一気読み。最後にまた気になる終わり方をしたので、三作目が出るまでどうすればいいんだ!?とモヤモヤしています。


番頭の治兵衛から「店主の後添いに」と望まれてしまった幸。今の店主は周りから「阿保ぼん」と呼ばれるくらい、あそび回って店のことを考えない人。そんな人の奥さんになるなんて・・と、読みながら「絶対にダメ!」と思っていたのですが、この時代は女性が自分の意志で何かを決めることは簡単ではなく、周りから固められるようにして、勝手に人生が決められてしまいました。

でもまあ、賢い幸が彼を立ち直らせながら店も立て直すんだろうと思っていたらなかなかそう簡単にはいかず。

この先の展開は何を書いてもネタバレになるので難しいのですが、幸は苦労するってことです。でも想像していたような嫌な思いは何とか避けられたので、それだけは良かったですが。14歳でお嫁入りするなんてかわいそう!と思っていたのですが、ある意味それくらい子どもであったことが幸いしたわけです。


台所のことなど、店の奥向きのことばかりをしていた頃でさえ、商いについて勉強していた幸ですから、ご寮さんになるとなれば、勉強にもますます実が入り、驚くほど賢くなっていきます。

番頭さんから「商いの知恵を思いつこうと思ったら、まずは知識をたくさん身に着けることが大事」と言われて、更に勉強に力が入っていきます。

彼女の強さとかわいらしさに惚れ惚れしながら読んでいたら、あっという間に終わってしまいました。しかも驚きの展開!

後半年は待たないといけないだろうな・・。首を長くして待ちます。


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」



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2016年05月30日

高田郁「あきない世傳金と銀 源流篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀 源流篇」
 (ハルキ文庫)


物がさっぱり売れない享保期に、摂津の津門村に学者の子どもとして生を受けた幸。父から「商いは詐なり」と教えられて育ったはずが、享保の大飢饉や家族との別離を経て、齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出されることになる。慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、番頭・治兵衛の才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。果たして、商いは詐なのか。あるいは、ひとが生涯を賭けて歩むべき道か―大ベストセラー「みをつくし料理帖」の著者が贈る、商道を見据える新シリーズ、ついに開幕!−裏表紙より−


発売されてすぐに買ったのですが、この作家さんの話は絶対に泣くだろうと思って、寝る前にちょっとずつ読み進めていました。お陰で手を付けてから数か月かかってしまいました。面白くないわけではなく、一気に読むのが勿体なくて・・。

前半はやはり号泣! 涙をぼろぼろ流しながら寝た日が何度かありました。後半は泣くことはなかったですが、主人公・幸に思い入れが強くなってしまっているからハラハラさせられて、次々読みたくなる感じでした。


幸という少女が主人公の物語です。小さな村の学者の娘として生まれた彼女は「女に学問はいらない」という時代なのがかわいそうなくらい、学問に興味をもって何でも知りたがる子どもでした。

優しい兄から色々なことを教えてもらい、少しずつ文字も読めるようになってきた幸。でも、両親は学問よりも誰かの嫁となって夫を支えて生きていくために必要なことばかりさせようとします。

ほんと、理不尽な時代です。


そんな彼女が少し大きな町・大坂の天満へ奉公に出ることになりました。敏い彼女らしい行いを繰り返しながらも下働きとして日々を過ごしていくのですが、男の子たちが番頭から読み書きや商売のことを習っているのを知って、何とかして自分も習いたいとのぞき見してしまいます。

その熱心さに気づいた番頭が、幸を目にかけるようになるのですが・・。


質素倹約が言い渡されている時代に、呉服屋が売れ行きが良いわけがなく、日々の商売はかなり苦労しています。それでも大店としての看板に傷はつけられないので、体面も保たないといけなくて、中身は火の車状態。

なかなか大変な職場ではありますが、働いている人たちが良い人が多くて、幸は比較的自由に過ごせている気がしました。口の悪い人もいますが、そこまで根に持つ感じではないので、いじめられているようには見えませんし。


物語はまだ始まったばかり。商売のことを少しずつ知っていっている幸が今後どんな人生を歩んでいくのか楽しみです。でも最後に嫌な予感しかしないような描写があったので、かなり心配でもあります。きっと2冊目以降は涙涙になるんでしょう・・。


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2015年08月17日

高田郁「蓮花の契り 出世花」

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 高田郁 著
 「蓮花の契り 出世花」
 (ハルキ文庫)


下落合で弔いを専門とする墓寺、青泉寺。お縁は「三昧聖」としてその湯灌場に立ち、死者の無念や心残りを取り除くように、優しい手で亡骸を洗い清める。そんな三昧聖の湯灌を望む者は多く、夢中で働くうちに、お縁は二十二歳になっていた。だが、文化三年から翌年にかけて、江戸の街は大きな不幸に見舞われ、それに伴い、お縁にまつわるひとびと、そしてお縁自身の運命の歯車が狂い始める。実母お香との真の和解はあるのか、そして正念との関係に新たな進展はあるのか。お縁にとっての真の幸せとは何か。生きることの意味を問う物語、堂々の完結。−裏表紙より−


1作目を読んだのは約4年前。内容は何となく覚えていましたが、細かい人間関係などは忘れてしまっていました・・。1作目を読み直してから読めば良かったと後悔しながら読み進めましたが、途中からはそんなことどうでも良いくらい話に入り込んでいました。


ふたり静」「青葉風」「夢の浮橋」「蓮花の契り」の4編が収録されています。短編なので、じっくり1話ずつかみしめるようにして時間をかけて読みました。


今回はあらすじにもあるように、実母であるお香との関係が鍵になっています。

母親であるお香は、娘の縁ともちろん共に生きていきたいと願っているわけですが、縁にとっては“捨てられた”という思いがどうしても拭い去れずわだかまりが残っているので簡単に「では一緒に暮らしましょう」というわけにはいきません。

そんな中「青葉風」でお香が亡き夫の連れ子に、ある頼みごとをし、何とか縁との関係を修復しようと画策します。“画策”という言い方をすると嫌な奴みたいに聞こえますが、お香はまっすぐな人で憎めないので、2人にとって良い方法はないか?と考えながら読んでいました。

夢の浮橋」では縁がどんな人生を選択するのかが気になっていたのに、大変な痛ましい事故が起こってしまい、先の人生を悩むよりも目の前で起きている事故と被害者たちの弔いに全ての時間を捧げることになり、その懸命な姿に涙が流れました。

そして、お香の気持ちと、お縁の気持ち、お互いに想い合っているのにうまくいかない状態なのが切なくてまた涙・・。


最後の「蓮花の契り」では正念にまた試練というか、今後の人生の選択を迫られます。簡単に「僧として生きていく」と言い切れない難しい立場の正念。彼の悩みにも涙が流れました。そこに巻き込まれるようにお縁の将来も変化することに。

この題名で結末がわかった、とおっしゃる方もいるように、“蓮花”といえば・・と考えると、2人がどんな選択肢を選んで今後の人生を決めたのかがわかりそうですね。


2作でこの物語が終わったのはとても残念です。でも、きれいな終わり方をして、お縁も正念もこれからは迷いなく生きていけそうなので、安心して本を閉じることが出来ました。


あとがきもまた素敵でした。特に最後の1文、あなたの悲しみに、この物語が届きますように。に残りの涙を持って行かれました。


これで高田さんの作品は読み終わりました。次の作品を楽しみにして首を長くして待つことにします。

<出世花>
「出世花」


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2015年05月19日

高田郁「晴れときどき涙雨 高田郁のできるまで」

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 高田郁 著
 「晴れときどき涙雨 高田郁のできるまで」
 (幻冬舎文庫)


『銀二貫』、『みをつくし料理帖』シリーズなどで大人気の時代小説作家・高田郁。その優しさと温もりに満ち溢れた作品の源流は、ここにあった!! 法曹界を志し、挫折を味わったこと。交通事故に遭い、後遺症に苦しんだ日々のこと。阪神・淡路大震災の経験―。艱難辛苦を乗り越え手にした希望とは? 文庫版あとがきを加えた、貴重な初エッセイ集。−裏表紙より−


漫画原作を書いていた頃の高田さんが、4年半に渡って連載していたエッセイを一冊にまとめた作品です。

この作家さんのことはすっかりお気に入りになり、出版されたら(文庫になったら)読んでいますが、本人のことはほとんど知らずにいました。漫画の原作を書かれていたことは知っていましたが、それ以前に法曹界を目指していたことも知らず、作家になってからも色々苦労されていたことも知りませんでした。

挫折を味わったことで、人の痛みがわかり、こんなにやさしい物語が描ける作家になれたのかもしれません。


とても短いエッセイがいくつも収められていて、さらっと読んでしまえますが、一話毎にじわ〜っと涙が溢れる感じがして、しっかりかみしめて読みたい作品でした。

自分の想いを文章にしたら、誰かに対する文句や世の中に対する不満などを書いてしまいそうですが、高田さんは違いました。自分に対する不甲斐なさや悔しさなどは書かれていますが、誰に対しても文句が書かれていません。そこがすごいと思います。


他の小説と同じように、温かく優しい涙をときどき流しながら読み終えました。彼女のように、人のことを思いやり、そっと頭をさげられるような人間になりたいと強く思いました。

人に感謝する気持ちをもっているからこそ、周りにも素敵な人が集まってきますし、うまく助けてもらえるのでしょうね。

私が今からやり直せることがあるのか?はかなり疑問ですが、日常のちょっとしたことにも目を向けて、少しでも感謝の心をもつように出来たら良いと思います。


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2015年04月08日

高田郁「あい 永遠に在り」

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 高田郁 著
 「あい 永遠に在り」
 (ハルキ文庫)


上総の貧しい農村に生まれたあいは、糸紡ぎの上手な愛らしい少女だった。十八歳になったあいは、運命の糸に導かれるようにして、ひとりの男と結ばれる。男の名は、関寛斎。苦労の末に医師となった寛斎は、戊辰戦争で多くの命を救い、栄達を約束される。しかし、彼は立身出世には目もくれず、患者の為に医療の堤となって生きたいと願う。あいはそんな夫を誰よりもよく理解し、寄り添い、支え抜く。やがて二人は一大決心のもと北海道開拓の道へと踏み出すが・・。幕末から明治へと激動の時代を生きた夫婦の生涯を通じて、愛すること、生きることの意味を問う感動の物語。−裏表紙より−

やはりこの作家さんの時代小説は読みやすいです。耐え忍ぶ中に強さもあって、自分の意志は貫く、素敵な女性が描かれています。今回はみをつくしシリーズとは違って、夫と子どもを支えて生きている女性ですが。

“蕪かじり”と称されるような貧しい農村に生まれたあいという女性。近所に住んでいた医師となった男性・関寛斎と夫婦となり、彼を支えて生きていました。

少女の頃から苦労をしていたあいは、苦労の中からうまく良い面を見ることができる前向きな性格だったため、少々の苦労も夫を叱咤激励したりそっと見守ったりしながら乗り越えていきます。

子どもにも恵まれ、12人の母となりますが、この頃の子どもは本当によく亡くなっていたので、半分しか自分より長生きしてくれませんでした。落ち込んだり、励まされて立ち直ったりを繰り返しながら、金婚式を迎えたあいは、夫の考えに賛同し、北海道へと旅立ちます。

未開発の地であった、北海道を開拓して余生を送ろうとしたのですが・・。


関寛斎という医師は実在の人物だそうで、あいも実在していました。高田さんが、関寛斎ではなく妻にスポットを当てて書くのはすごく納得できることです。

1冊でまとめてしまったのが残念なくらい、もっと細かく深く描いてもらいたかった部分がたくさんありました。子どもたちとの関わりはもっと知りたかったです。特にあいが頼りにしていたというスミや、薬学の道に進みそうだったテルについてはもっと書いてもらえたらよりあいの気持ちが理解できた気がします。また、関寛斎という人物についてももう少し詳しく知りたかったです。彼の意志の固さや、医療に対する姿勢などはわかりましたが、人となりをもっと知りたかったです。


彼女の生涯は、苦労も悲しみも多かったのですが、これほどまでに信じ合って愛し合える人と添い遂げられた所はとてもうらやましかったです。幸せな人生といえるのかもしれません。

彼女と共に生きたような気持ちになるくらい入り込んで読み切ることができました。

印象に残ったのは、人たる者の本分は、眼前にあらずして、永遠に在りという言葉です。眼の前のこと、今日明日のことだけを見ていてはいけない、将来のこと未来のことを見据えて生きていくのが、人として生きるということ、という意味です。なかなか出来ないことですが、こんな風に考えて生きられたら、人から尊敬されるような偉人として名を遺せるのかもしれません。


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posted by DONA at 14:51| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書:高田郁