2011年05月17日

堂場瞬一「讐雨」

讐雨

 堂場瞬一 著
 「讐雨」
 (中公文庫)



連続少女誘拐殺人事件の犯人・間島を逮捕して、残った裏付け捜査をしに行った鳴沢は、署に戻る途中で爆破事件に巻き込まれた。治療後に署に戻った鳴沢は犯行声明が書かれた手紙を見つける。更に高橋と名乗る男性から「間島を釈放しなければ爆発は続く」という電話がかかってくる。


今回の鳴沢は東多摩署で働いています。そこで冷酷な殺人者・間島と出会うのです。

間島は幼い少女を誘拐し、首を絞めて殺害した上、その首を切り落とすという残虐な手口で犯行を重ねていました。しかも少女の髪を切って家族の元へ郵送するという非道ぶり。

逮捕された間島はあらゆる感情が抜け落ちたような、ベテランの刑事でさえ背筋がぞっとするような異常者と呼べるタイプの人間でした。

殺害した様子を自慢げに語る間島に対しての怒りと、被害者遺族たちに対する悲しさや申し訳なさで疲れ切った捜査員たちの前に、今度は爆破事件が・・。

犯人は間島の釈放を要求するのですが、その動機がわからず捜査は難航します。


爆破事件の犯人はきっとこの人だろう・・とか、動機は多分これだろう・・というのは結構早い段階でわかってしまいます。でも、それだけではない深さがあるように感じました。

なぜ爆破なんて大きなことを起こしたのか?その動機が少しわかるだけに辛かったです。簡単に「気持ちがわかる」なんて言えないですけど。

心のどこかで共感してしまう自分がいました。頭ではだめなことだとわかっていても、どうしようもない・・・。

鳴沢もいつもにも増して苦悩していました。相変わらず真っすぐで、うっとおしい感じですけどねあせあせ(飛び散る汗) 周りの人が言うように、もっと落ち着いて肩の力を抜けば良いのに!と思います。「自分がいなきゃ警察は回らない!」と思い込んでない??と突っ込み入れたくなります。これは毎回思いますけど。

恋の行方は微妙な感じです。何かサプライズを考えているようですけど、その男性目線の感じがイラッとしてしまいます。優美ならきっと「サプライズよりもマメに声を聞かせてほしい」と言うはず。心配しながら待つ身にもなれよ!


次は少しは進展するのかな?楽しみなような、歯がゆいような微妙な気持ちですけど。


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2011年02月18日

堂場瞬一「帰郷 刑事・鳴沢了」

帰郷

 堂場瞬一 著
 「帰郷 刑事・鳴沢了」
   刑事・鳴沢了シリーズ5
 (中公文庫)



鳴沢了は、父の葬儀のため故郷の新潟へ帰っていた。葬儀の次の日、突然訪ねて来た男が時効を迎えたある事件の再捜査を依頼してきた。その男・鷹取正明が捜査を依頼してきたのは、了の父親にとって唯一の未解決事件だった。了は休暇を利用して事件を再捜査することにした。


正明が依頼してきた事件は、了の父親の葬儀の日に時効を迎えたのでした。その偶然を何かの縁のように感じた了は捜査を始めます。とはいえ、管轄外のしかも時効を迎えた事件を捜査する権限は、当然ありません。

父親に勝負を挑むような、父親を超えたい気持ちで1人で調べ始めた了。事件関係者に話を聞くのですが、当時、第一容疑者だった男からは煙たがられ、他の関係者からも疑問をぶつけられたり、あからさまに迷惑がられたり、なかなか思うように調べられません。

しかも、警察学校で同期だった安藤という新潟中署刑事からも妨害を受けるのでした。偶然再会した昔の同級生・中尾や、元刑事の緑川などに助けてもらい、更に大西海刑事にも協力してもらい、事件を解決してきます。


このシリーズも5作目になりました。今回、しばらくは1人で捜査をする了ですが、途中で懐かしい海君と再会し、協力してもらいます。

鳴沢は、海君や中尾がなぜ自分を無償で助けてくれるのか?がわからない所があります。他人の気持ちを分析するのが好きなくせに全然わかってない!パンチ

中尾に「友だちだから」と言われ、海君から「もっと一緒に捜査して教えてもらいたかった」と言われ、かなり戸惑います。

自分の魅力に気付いていないんですよね〜。それが読んでいて腹立たしい。

事件を解決したことで、父親を亡くしたことで、やっと父親や祖父の存在を受け入れた鳴沢。亡くなってから気付いても遅いよ!と怒りが・・。でも家族なんてそういうものかもしれませんけどね。

父親との確執がある種メインテーマみたいになっていたこのシリーズ。その割にはあまり確執の原因が明確になっていませんし、目立った争いもなかった・・。

なのに、亡くなってしまって・・・続きは大丈夫か?と不安になりました。余計なお世話ですけど

まあ、最後に恋人・優美との関係に変化がありそうな雰囲気だったので、それを楽しみに続きを読もうかな??わーい(嬉しい顔)


<刑事・鳴沢了シリーズ>
「雪虫」
「破弾」
「熱欲」
「孤狼」


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2010年11月06日

堂場瞬一「孤狼 刑事・鳴沢了」

堂場瞬一著 「孤狼 刑事・鳴沢了
刑事・鳴沢了シリーズ4

(中公文庫)


所轄の刑事が1人死亡し、1人が失踪した。本庁に理事官に突然呼び出された鳴沢了は、消えた刑事の捜索を命じられた。新しい相棒は今敬一郎という縦にも横にも驚くほど大きな刑事。二人は詳しいことを聞かされないまま極秘の捜査を開始する。ところが捜査を進めていると二人の前に謎の組織がたちはだかる。更に警察を辞めた小野寺冴も巻き込んで事件は思わぬ方向へ・・。


4冊目となったこのシリーズ。個人的に、今回の相棒が一番好きかも揺れるハート

将来は実家の寺を継ぐ予定だという異色な刑事で、説教くさい所もありますが、イラッとするほどでもなく、豪快に食べ、豪快に笑い・・という好感のもてる人です。でも、意外と短気なところもあって・・。

鳴沢も色々と文句を言ってはいましたが、結構気に入って信頼していたような。鳴沢と正反対な性格か?と思わせておいて、似ている部分も多い。ただ、名前が気に入りませんでしたがく〜(落胆した顔) っていうか、ややこしいむかっ(怒り) 漢字で「今」と書いて「こん」と読むわけですが、普通に「いま」と読む場面もあって・・普段(普通)は「いま」と読むことが多いので気づけば「いま」と読んでしまっていました。まあ別に良いんですけど

久々に冴も登場。少しは丸くなったような?また出てくるかもしれないと思わせるちょっとした謎を残してくれました。

前回、やっと鳴沢の味方になる人が現れましたが、今回もちゃんと出てくれてしかもきちんと支えてくれました。これも続きを読もうと思わせてくれる嬉しい出来事です。

相変わらず、前半に広げられるだけの風呂敷を広げ、後半にどんどんしぼんでいく感じがしましたけどあせあせ(飛び散る汗) それでも明るく読み終えることができました。 これが本当の話だったら最悪な結末ですけどふらふら

<刑事・鳴沢了シリーズ>
「雪虫」
「破弾」
「熱欲」


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2010年09月28日

堂場瞬一「熱欲」

せっかく読み終わったので、旅行記を休んでこちらの感想を先にかきます。


堂場瞬一著 「熱欲 刑事・鳴沢了
刑事・鳴沢了シリーズ3

(中公文庫)


生活安全課に異動した鳴沢了は、大掛かりなマルチ商法詐欺事件の捜査に関わることになった。被害者が加害者でもあるこの事件は、協力者を確保するだけでも大変な作業になり、難航してしまう。更には自殺や殺人まで起き、中国系マフィアの存在まで浮かびあがる。


やっと3冊目。相変わらず分厚い本ですが、意外と早く読み終えた気がします。

今回は初めから展開が早かったような・・。無駄が少ないというか。了のウジウジした感情を表す部分が少なかったのかも。

今まで絶対に明かさなかった自分の罪をあっさりと他人に告白してしまいましたし。しかも本当に短い文章で会話の内容は書いてなかったので、あっさり・・という感じが抜けませんでした。

明かした相手は、内藤という友人の妹・優美だったのですが、この妹もあっさりと兄にしゃべってしまうんですよね〜バッド(下向き矢印) 了の苦しみを兄にも軽くしてあげてほしかったのかもしれませんけど、そんなあっさり秘密をしゃべってしまうような人ってどうなの??と思ってしまいました。

・・・と、また事件と関係ない部分を書いてしまいました。

今回は、家庭内暴力に苦しむ女性の話かな?と思ったらマルチ商法、詐欺事件と大がかりな雰囲気に。刑事課から異動になった了はじっくり腰を据えて捜査することに居心地の悪さを感じているようでしたが、始めに書いたように展開が早かったです。

更に今回は前作までと違って悲しい終わり方ではなかったですし。まあ微妙ではありますが・・。でも結構明るい終わり方な気がしました。問題は山積みですけどあせあせ(飛び散る汗)

マフィアとの対決があっさりしすぎな気もしました。ちょっと大風呂敷を広げすぎたのかも??

さて、次はどうなるんでしょうか?


<刑事・鳴沢了シリーズ>
「雪虫」
「破弾」


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今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:23| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書:堂場瞬一

2010年08月23日

堂場瞬一「破弾」

堂場瞬一著 「破弾 刑事・鳴沢了
刑事・鳴沢了シリーズ2

(中公文庫)


新潟県警を辞めた了だったが、他にやるべき仕事を見つけることができず、刑事を続けることに。警視庁多摩署で現場に戻った了が担当することになったのは、ホームレス傷害事件。刑事部屋で孤立する存在の美女刑事・冴と組んで事件を捜査し始めるが・・。


前作の終わりで祖父との別れを経験した鳴沢了。どんな変化を遂げるかな?と楽しみに読みました。

「刑事」という職業にますます固執し始めた感じがしました。口では(心の中では)「いつ辞めても良いんだから」とか言っていましたが、結局は辞められないこともわかっていますし、手柄をあげて認められたい気持ちも強くなっています。

突っ張っている感じが更に強くなって、読んでいて痛々しい気持ちになりました。

今回の相棒は女性刑事。しかも鳴沢と同じように孤立している女性。「刑事」に固執している感じもよく似ている二人ですが、なぜか一線を越えてしまう・・。

その辺が理解できず、二人のもどかしい関係がどうでもよくて、読み流す部分も多くなってしまいましたバッド(下向き矢印) 「刑事である」ことにこだわる割に、こういう所は「人間」に戻るわけね??って感じふらふら 何となく悲しい関係でもあって、見てられない・・。


犯人が何となく早めにわかってしまいました。でも、鳴沢をどんどん苦しめて作者は鳴沢を孤独にさせたくて仕方ないのか?と思いました。

このシリーズにさわやかな結末は無いのかな?


さんざん書いてきましたが、でも結局私は続きを読むだろうと思います。鳴沢の不器用でまっすぐな感じがこの先どうなるのか?やっぱり妙に気になってしまうから・・。


<刑事・鳴沢了シリーズ>
「雪虫」


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今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:20| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書:堂場瞬一

2010年07月05日

堂場瞬一「雪虫」

堂場瞬一著 「雪虫 刑事・鳴沢了

(中公文庫)


何度も本屋さんで見かけていたのに、手が伸びない本でした。今回ふと読んでみようと思ったので買ってみました。初めての作家さんです。


祖父も父も刑事という家系に生まれた鳴沢了は「俺は刑事に生まれたんだ」と言い新潟県警捜査一課の刑事になった。湯沢で殺された老女が、昔、ある宗教の教祖だったということを突き止めた。それが事件に関係あるのではないか?と更に調べを進めると、祖父も父も何か知っているようだった。ところが二人とも了を事件から遠ざけようとする。


なかなか渋い警察小説でした・・。

主人公の鳴沢了がとにかく真面目で融通がきかない。「刑事」という仕事のために全てを捧げている人。主人公がこんな人だから、全体的に堅いイメージになってしまうのかも・・たらーっ(汗)

いきなり若い刑事に対して服装について注意します。ネクタイや靴など、きちんと整えているのが刑事として当然だ!というわけなんです。そんな様子を見ていると鳴沢っておじさんかと思ってしまったのですが、実は29歳exclamation びっくりでした。

考え方も行動も、てっきり40代くらいかと・・。で、この考え??この先どうなるのか・・。年数を重ねて色々経験したら少しは丸くなっていくのかもしれませんががく〜(落胆した顔)


祖父は「仏の鳴沢」と異名をとるくらい上司にも部下にも信頼され、犯人に対しても諭して自供させるので恨まれることがありませんでした。引退しても祖父の周りには自然と人が集まるような人望のある人です。

父親は今も現役で署長をしています。以前は「捜一の鬼」と恐れられた存在でした。今回の事件で、了とは捜査本部で一緒になります。

祖父とは師弟のような良い関係なのですが、父親とはまともに口もきかない状態。少し話せるようになっても、父親のとった行動が納得できず反発しています。


宗教団体や、50年前の殺人事件などが絡んできて複雑化する事件は、意外な結末を見せます。

終わり方は、私個人的には好きではありませんし、納得もいきませんバッド(下向き矢印) でも・・・難しい所ではあります。読み終わっても色々考えてしまいました。

このシリーズはまだまだ続きます。今回の経験で鳴沢了がどのくらい変化するのか楽しみでもあります。


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今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:26| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書:堂場瞬一