2014年03月12日

加納朋子「てるてるあした」

てるてるあした

 加納朋子 著
 「てるてるあした」
 (幻冬舎文庫)


親の夜逃げのため、ひとり「佐々良」という町を訪れた中学生の照代。そこで彼女が一緒に暮らすことになったのは、おせっかいなお婆さん、久代だった。久代は口うるさく家事や作法を教えるが、わがまま放題の照代は心を開かない。そんなある日、彼女の元に差出人不明のメールが届き始める。その謎が解ける時、照代を包む温かい真実が明らかになる。−裏表紙より−



ささらさや」の続編です。

頼りなさげだったサヤもすっかりした女性になり・・ということもなく、それなりに相変わらずフワッとした天然な感じの女性になり、サヤの周りで助けてくれていた4人も健在で、今回も大活躍を見せてくれます。

この物語の主人公となるのは、照代という中学生。なんと両親の金銭感覚がおかしくて、贅沢をした上、借金まみれとなり、夜逃げした・・という大変な目にあった彼女は、両親と別れて遠い親戚だというお婆さん・久代の住む「佐々良」へとやってきました。

彼女の母親はとてもきれいな人で、家庭は母親を中心に回っていました。なかなかの浪費家だった母親のお陰で、家は常に火の車。更に父親も母親に惚れ込んでいたため、その浪費を止められず、本人も車に凝っていたため、借金だらけになるのは目に見えていました。

照代の高校入学金さえも使ってしまった両親。こんな環境で育った照代が色々とひねくれてしまうのも仕方ないのですが・・・。私は彼女の言動にイライラすることが多かったんですよね。

もう少し素直に慣れないのか!?と思うことが何度もあり、その度に居たたまれない気持ちになりました。でも、中学生で見知らぬ土地に来て、見知らぬ人と同居して、なかなかの度胸と根性はあります。

その精いっぱい背伸びをして強がっている所もまた痛々しいのですが。


同居することになった久代は、元教師ということで、説教くさい部分も多く、照代にとっては怖くてうっとおしい存在となります。言われたくないことをはっきり言われてしまい、それがまた正論だから辛い。

こういう大人って、子どもからすれば怖いし近づきたくない存在ですね。でも実はこういう人がいることはとてもありがたいことで、いなくなってみて初めてありがたみもわかるんですよね。


終わりの方は涙なしでは読めないほどでした。ずっと涙を拭きながらの読書。家で読んでいて良かったです。

最後に印象に残った言葉を書いておきます。

てるてる あした。きょうはないても あしたはわらう

嫌なことがあったとき、落ち込んだときに思い出したい言葉です。


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2013年12月25日

加納朋子「螺旋階段のアリス」

螺旋階段のアリス

 加納朋子 著
 「螺旋階段のアリス」
 (文春文庫)


大企業のサラリーマンから憧れの私立探偵へ転身を果たした筈だったが−事務所で暇を持て余していた仁木順平の前に現れた美少女・安梨沙。・・亡夫が自宅に隠した貸金庫の鍵を捜す主婦、自分が浮気をしていないという調査を頼む妻。人々の心模様を「不思議の国のアリス」のキャラクターに託して描く七つの物語。−裏表紙より−


この作家さんの作品、久々に読みましたが、これまたちょっと系統の違う作品でした。でも、全編通して流れている優しい空気感は同じでした。

題名やあらすじからわかるでしょうが、「不思議の国のアリス」をモチーフにして描かれている話です。主人公は探偵を始めたばかりの仁木という男性。大企業のサラリーマンから転身したという、ある意味変な人です。奥さんはよく文句言わないな・・と思っていたら、後々その辺は明らかになっていきます。


「探偵始めました」と言ったところですぐに依頼がくるわけもなく、暇な毎日を過ごしていた所へ、不思議な雰囲気を持った美少女・安梨沙が現れます。探偵に憧れていたという彼女の助けも借りて、持ち込まれる依頼をこなしていきます。


どの話も面白かったのですが、特に気に入ったのは「最上階のアリス」という話です。

仁木の先輩から持ち込まれた依頼で、なんてことのない調査のはずが意外な事実が発覚します。相手を思いやる気持ちって、こんなに深いものなのか、と考えさせられました。何とも言えない重い終わり方をする話ですが、これで良かったのかどうか、読み終えてしばらく考えてしまいました。


最後の「アリスのいない部屋」という話で、仁木の私生活や安梨沙の人生や悩み、秘密などが明らかにされていきます。この話で』活躍するのは仁木の妻・鞠子。彼女のキャラクターはなかなか印象的で、私は結構気に入りました。今までの美味しい所を全部持っていたような感じさえしました。

個人的には安梨沙よりも鞠子の方が好きかもしれません。


全編通して、アリスの話が盛り込まれているので、アリスを読んだことがある人なら更に楽しめると思います。私は一度しか読んだことが無く、あまり記憶に残っていなかったので、またアリスの世界に浸りたくなりました。

続編もあるようなので、また探して読んでみようかな?


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2013年04月24日

加納朋子「ガラスの麒麟」

ガラスの麒麟

 加納朋子 著
 「ガラスの麒麟」
 (講談社文庫)


「あたし殺されたの。もっと生きていたかったのに」。通り魔に襲われた十七歳の女子高生安藤麻衣子。美しく、聡明で、幸せそうに見えた彼女の内面に隠されていた心の闇から紡ぎ出される六つの物語。少女たちの危ういまでに繊細な心のふるえを温かな視線で描く、感動の連作ミステリ。日本推理作家協会賞受賞作。−裏表紙より−


久しぶりにこの作家さんの作品を読みました。相変わらず惹き込まれる文章とストーリー展開、そして読み終わった後に、ほ〜っとため息が出るという作品でした。

珍しかったのは、いきなり殺人事件から始まった所。殺人なんて言葉から遠い話を書く作家さんなので、ちょっと驚きました。でも、読み進めると、殺人だけではない部分にスポットが当てられていて、その辺はやはりこの作家さんらしいと感じました。

何よりもずっと流れる温かい雰囲気と優しい文章と登場人物たちが語る言葉が、殺人という殺伐とした物を吹き飛ばしてくれるような気がしました。


一つの殺人事件を通し、被害者となった美少女・麻衣子に関係のある人物たちの物語が描かれています。それを6人の視点で6話、でも連作短編なので、全てつながりがあります。

題名の「ガラスの麒麟」というのは、被害者・麻衣子が書いていた童話のタイトルです。この童話の内容も、彼女の人生をうまく表現してあって、高校生らしい脆さも出ています。

麻衣子自身の言葉で自分のことが語られるのは、この童話だけ(途中、別の物でも語られますがそれは書かずにおきます)なのですが、1話毎に周りの人たちが麻衣子のことを考え語るので、少しずつ彼女の人物像というか、人生がわかってくるようになっています。

その中に少しずつ入っているミステリの要素。それを見事に謎解くのは、麻衣子の通っていた高校の保健室の神野先生です。彼女の鋭い観察力で1話毎にスッキリ謎が解けます。

でもずっと解決しないのが、麻衣子を殺したのは誰か?という問題。それと共に、彼女の人生に興味もあって、次々と読み進めていきました。


謎解きをする神野先生にも忘れられない過去があり、彼女のこともかなり気になります。麻衣子の友人・直子やその父親、父親の親友(悪友?)・小宮とその妻・静香などなど、魅力的な人たちが出てきて、人物だけでも楽しめました。

最後に事件の真相が明らかになるわけですが、そこははっきり言ってあまりスッキリできませんでした。なので、ミステリとしては楽しめないかもしれません。それでも読み終わったらきっと何か重くて尖った物が心に刺さって、しばらくはぼんやり考え事をしたいような、そんな気持ちにさせられるはず。


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2012年06月30日

加納朋子「レインレイン・ボウ」

レインレイン・ボウ

 加納朋子 著
 「レインレイン・ボウ」
 (集英社文庫)


高校ソフトボール部仲間の通夜で再会した、七人の女性たち。二十五歳を迎え、それぞれが悩みやトラブルを抱えていた。過酷な仕事に疲れた看護師、厄介な職場で奮闘する栄養士、過去のあやまちを引きずる主婦・・・。彼女たちは傷つき、迷いながら自分だけの答えを見つけていく―。ミステリのエッセンスを加えながら、前向きに生きようとする女性の姿を描いた、さわやかな青春群像劇。−裏表紙より−


「七人の敵がいる」の陽子の独身時代の話が読めるというので読んでみることにしたこの作品。読み始めてすぐもう一人懐かしい名前を発見しました。「月曜日の水玉模様」の陶子です。知っている人物が出てくるだけでちょっとうれしくなりますね。


渡辺美久が昼食の用意をしているときに高校時代のソフトボール部仲間だった片桐陶子から電話がかかってきました。彼女が「チーズが死んだわ」という一言で、この話は始まります。

そして、チーズこと牧知寿子の通夜に集まったソフトボール部員たち。片桐陶子、小原陽子、渡辺美久、善福加寿美、坂田りえ、三好由美子、井上緑、長瀬理穂の8人・・のはずが、一番チーズと親しかった理穂はなぜか来ませんでした。

高校を卒業して7年経ち、25歳になった彼女たちが、今どんな人生を送り、どんなことを考え、どんな悩みをもち、どんな環境で毎日を過ごしているのかを、それぞれにスポットを当てて1話ずつ描かれています。


結婚し子どもを育てる専業主婦になっている美久の「サマー・オレンジ・ピール」、陽子の「スカーレット・ルージュ」、保育士になっている加寿美の「ひよこ色の天使」、看護師になっている緑の「緑の森の夜泣き鳥(ナイチンゲール)」、まだ自分に人生を決められず無職のままでいるりえの「紫の雲路」、栄養士としてある会社に派遣され社食の調理をしている由美子の「雨上がりの藍の空」、OLになっている陶子の「青い空と小鳥」という7編で構成されています。

題名も綺麗で、全てを合わせると虹になる・・なぜこんな題名を付けたのか?は最後にわかるようになっています。


7話の短編を通して語られるのは、彼女たちそれぞれの人生と、亡くなったチーズのこと。そして、一番親しかったはずなのに通夜に来なかった理穂のこと。

それぞれの話は独立しているのですが、最後に綺麗にまとめられる。本当に「うまいなぁぴかぴか(新しい)」という構成でした。解説の冒頭にも「うまいなあ加納朋子」と書かれていますが、本当にそうだなと大きくうなずきました。


陽子と陶子だけではなく、他の人たちの今後の人生もぜひ読みたいと思いました。姉妹本として出してもらいたいです。


きっと、同年代の女性なら共感できる部分が多いはず。私はもう遠い昔・・という感じですが、懐かしい気持ちで読めました。まあ、高校時代のことなんてさっぱり思い出せませんけど。


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2012年06月13日

加納朋子「七人の敵がいる」

七人の敵がいる

 加納朋子 著
 「七人の敵がいる」
 (集英社文庫)


編集者としてバリバリ仕事をこなす山田陽子。一人息子の陽介が小学校に入学し、少しは手が離れて楽になるかと思ったら−とんでもない!PTA、学童保育所父母会、自治会役員・・・次々と降りかかる「お勤め」に振り回される毎日が始まった。小学生の親になるって、こんなに大変だったの!? 笑って泣けて、元気が湧いてくる。ワーキングマザーの奮闘を描く、痛快子育てエンターテインメント。−裏表紙より−


女は女の敵である」「男もたいがい、敵である」・・という題名が付いた短編が7編あります。つまり7人の敵が登場するということですね。

女同士、夫、義母義家族、男性、先生、子ども、会長・・・7人の敵を相手に、息子のためにがんばる母親の話です。


山田陽子は、編集者としてフルタイムで働きながら、小学生の息子を育てている母親です。夫も働いているけど時間に融通が効くときもあるし、義母も元気で子育てを手伝ってくれるし、息子も小学生になって、やっと楽になる・・と思っていたのですが、小学生になるとPTAという物があったのです。

初めての保護者会に参加した陽子は、あまりにも実りの無いその集まりに呆然としてしまいます。「何か意見はありませんか?」と教師から聞かれても何も発言をしようとしないお母さんたちに憤り、思わず立ち上がって発言してしまった陽子。「仕事を持つ私のような親には保護者会役員なんて無理。専業主婦の人にやってもらうしかない」と言ってしまいます。

その場にいた専業主婦たちを一気に敵に回してしまった陽子でした。


このようにして、まあ自分から敵を作ってしまう部分もかなり多いわけですが、陽子の言い分もわかるんですよね。子育てしながら働いたことがないのによく言うわ!って突っ込まれそうですが・・。

陽子はくだらない内容の話し合うような時間を無駄にすることを嫌います。そんな時間があるなら自分の息子との時間を持ちたい・・と思っています。それって誰もが思っていることですよね。ただ、波風を立てたくないから発言しないだけ。みんなを代表して言ってくれているような所もあって、読んでいて「よく言った!ぴかぴか(新しい)」とすっきりすることもありました。まあ「専業主婦がやればいい」は賛成できかねますが。


PTAというと、女性ばかりの集まりになることにも陽子は疑問をもっています。私もそう思います。それこそ専業主婦で、介護とかも無い人ならともかく、同じように仕事をしているのであれば、父親が参加しても良いと思うんですよね。なぜ何でも母親任せなのか・・。もっともっと協力が必要です。

女性ばかりの集まりになると、確執も生まれやすいですしね。女性ばかりの職場にいた私には思い当たることが山ほどありました。会議では言いたいことを言わずに陰では文句ばかり言う人、発言しないくせに「私のやりたいことを察してよ」と思っている人、本当にたくさんいました。私もそういう所が全く無いとは言いませんが、陰で言うくらいならなるべく会議で言おうとしていました。言い方も難しいので、面倒に感じることもありましたが。


無報酬、つまりボランティアで「子どもの為」というだけの理由でがんばってくれているPTAの人たちは本当に大変なんだと改めて知ることができる内容でした。もっといい方法は無いのかな?本当に思います。古い体質も改善しないと活動自体が続いていかないと思いますね。


この陽子の学生時代の話もあるとか・・。また探して読んでみようと思います。


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2011年04月08日

加納朋子「月曜日の水玉模様」

本屋で見かけて、表紙の感じとあらすじに惹かれて買った本です。

月曜日の水玉模様

 加納朋子 著
 「月曜日の水玉模様」
 (集英社文庫)



丸の内の会社に勤める片桐陶子は、通勤電車の中でリサーチ会社調査員・萩と知り合う。二人は、お互いの身近に起きる小さな事件や不思議な出来事を話し合い、協力して解明するようになった。「月曜日の水玉模様」「火曜日の頭痛発熱」「水曜日の探偵志願」「木曜日の迷子案内」「金曜日の目撃証人」「土曜日の嫁菜寿司」「日曜日の雨天決行」計7編の連作短編集


いつもの電車、いつもの車両、いつもの位置に立った陶子。目の前には爆睡するいつものサラリーマンがいました。彼は曜日毎にネクタイの色を決めているようで、月曜日は水玉模様のネクタイでした。そんな彼がいつも降りる駅で降りない・・。彼が降りた後でその席に座るのを日課にしていた陶子にとって呆然とする出来事でした。

次の日もいつもと違う行動をとる彼が気になりながらも、出勤した陶子の前に、問題の彼が現われます。

調査会社に勤める彼・萩は、しっかりした陶子と違い、ほんわかとしていつも笑顔でのんびりしています。

全く性格の違う二人でしたが、協力しながら様々な事件を解決していきます。

事件とは言っても、殺人とか強盗とかそういう大きな物ではなく、日常のほんの小さな、見過ごすこともあるだろう・・というような事件。

きっと私たちの周りにもあるだろうな・・というような事件。それをすっきりとさり気なく解決してくれます。


ちょっと頭が冴えすぎ!っていう感じもありますけど、読んでいてスッキリできるからこれで良いかな?と思いますし、出てくる人たちもキャラクターがしっかりしていて、読みやすかったです。

私は特に「土曜日の嫁菜寿司」が気に入りました。新幹線で偶然隣りに座った若い女の子にさり気なく恋のアドバイスをしたり、陶子にとって大切な人と再会したり、思わず笑顔になってしまうような素敵な話でした。


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2011年03月28日

加納朋子「モノレールねこ」

モノレールねこ

 加納朋子 著
 「モノレールねこ」
 (文春文庫)



ぼくの家に心地よさ気に居座るようになったデブでちょっとブサイクな野良猫は、あるとき首輪をしてやって来た。ぼくはふと思いついて首輪にそっと手紙を挟み込んでみた。“このねこのなまえはなんですか?”数日後戻って来た猫の首輪には返事があった。そしてぼくはタカキと文通を始めた。−「モノレールねこ」他「パズルの中の犬」「マイ・フーリッシュ・アンクル」「シンデレラのお城」「セイムタイム・ネクストイヤー」「ちょうちょう」「ポトスの樹」「バルタン最期の日」計8編収録


小学生のぼくは、家にやって来たノラ猫の堂々とした態度に惹かれていきます。あるときそのねこが首輪をしているのに気づき、そっと手紙を挟み込みました。

「このねこのなまえはなんですか?」

帰ってきた返事は「モノレールねこ」というものでした。この名前を聞いて思わず納得し、感心したぼくは、それからも首輪に手紙を挟み続け、文通が始まりました。

そんなある日、モノレールねこが変わり果てた姿で発見され・・。当然、文通は自然と終わってしまいました。

そしてぼくは大人になり、就職した会社である女性と出会います。


とても不思議な雰囲気のモノレールねこ。このねこのお陰で見たことのない友だちができたぼく。でも文通相手のタカキはとてもクールで、短い文章の返事しかくれません。いつか会ってあそびたかったのに、どこに住んでいるのかわからないままで、会えずに終わってしまいます。

でも結末はちょっと幸せの予感・・。


この本には、家族などを亡くしたり、それ以外にも過去を無くしたり、様々な物を無くして悲しい気持ちを抱えた人の話が詰まっています。

何度も泣かされました。特に「セイムタイム・ネクストイヤー」は人の優しい気持ちが溢れていて号泣・・。

そして「バルタン最期の日」ザリガニが“俺”として語り部となるこの話。フータという少年に釣り上げられ、飼われる所から話は始まります。初めは迷惑な存在として家庭に入ったザリガニでしたが、フータだけでなく父親も母親もザリガニに話しかけるようになります。

この家族はお互いを思いやるあまり自分の悩みを話さないのですが、ザリガニには話すのです。でも何もできない俺。そして最期には・・・。

まさかザリガニに泣かされるとはもうやだ〜(悲しい顔) 号泣してしまいました。


クスッと笑ったり、号泣したり忙しい話ばかりですが、最後には必ずほんわかと優しい気持ちになれる、そんな本でした。


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2011年01月22日

加納朋子「ささら さや」

ささら さや

 加納朋子 著
 「ささら さや」
 (幻冬舎文庫)



交通事故で夫を突然失ったサヤは、2ヵ月の息子・ユウスケを連れて佐佐良の街へ引っ越した。少し頼りなくて泣き虫なサヤは不可解な出来事に巻き込まれてしまう。だが困った状況になると、亡き夫が他人の姿を借りて助けてくれるのだった・・。


この作家さんの書く話は本当に優しいやわらかい話ばかりで、この作品も悲しい別れをしたばかりの孤独な女性が主人公なのですが、周りの人たちの温かさに支えられ、更に亡くなった夫も助けてくれて、何だか幸せだな・・と羨ましくなりました。


サヤは新婚で、男の子を出産したばかり。まだ2か月の息子と夫と3人で出かけた帰りに事故で夫を亡くします。

事故自体はちょっと笑いの要素を入れたりして軽めに書いてありますが、その後はサヤが可哀そうで・・。思わずウルウルしてしまいました。

息子を夫の姉や母に取られそうになり、内気なサヤはうまく言い返すことができず不安になり、家を出ることにします。そして、亡くなった唯一のサヤの親戚でもあった叔母が住んでいた佐佐良という場所にある家に引っ越すのでした。

引っ越す前から色々と細かい事件に巻き込まれるサヤ。でもそのことに気づいていなかったり、気づいていても何もできないサヤを見かねたように、亡き夫が他人の姿を借りて現われ、助けてくれます。

「馬鹿っサヤ!」と叱りながら・・。

佐佐良では、素敵な隣人たちに恵まれます。3人の親切ででもちょっとやかましい老夫人たちと、ダイヤという5歳の男の子の母親で、ちょっと派手な印象のエリカという女性。

この4人に支えられ、ときには叱られながらも楽しい日々を送るサヤ。

最後にはまた涙が・・もうやだ〜(悲しい顔)


この作家さんが書く主人公はとても性格がキレイな人が多い! サヤも頼りなくて純粋で、支えてあげたくなるタイプ。でも実はしっかりしていて芯が強くて自分を持っている。何だか理想の女性って感じ。

憧れにも似た感情を持ちながら読み進めました。


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2011年01月05日

加納朋子「いちばん初めにあった海」

いちばん初めにあった海

 加納朋子 著
 「いちばん初めにあった海」
 (角川文庫)



堀井千波は引っ越しの準備をしていたとき1冊の本を見つけた。自分の本のはずがなぜか見たことがないその本は「いちばん初めにあった海」という題名で、表紙の色使いに惹かれ読み始めたところ、ページの途中に未開封の手紙がはさまれていた。“YUKI”という差出人からの手紙には「私も人を殺したことがある」と書かれていた。“YUKI”とは誰なのか?なぜ本にはさまれたまま気づかなかったのか?


千波が夜、眠ろうとしているところから話は始まります。眠りたいのに周りの騒音で眠れない・・悶々とした夜を過ごすわけです。ちょっと暗い雰囲気で始まるのですが、妙に気になりました。

騒音が辛くて引っ越しを考えるのですが、その準備中に見つけた1冊の本。それがこの作品の題名になっている「いちばん初めにあった海」

空と海の青を表現したその表紙に惹かれて読み始めた千波は、一気に物語に引き込まれます。その途中にはさまれていた手紙が千波の人生(運命)を大きく変えていくのです。

YUKIという名前に覚えが無かった千波は、学生時代のアルバムを出してきて名前を探します。結城麻子というその友だちのことをすっかり忘れていた千波。

親しくしていたはずの彼女のことをなぜ忘れてしまったのか?


後半、一気に謎が解明されていきます。泣きそうになる場面もあり、最後は優しい気持ちになれる話でした。

ただ、一つ気になる部分が・・。友人の結城麻子は神戸からの転校生ということになっているのですが、言葉が違うバッド(下向き矢印) 大阪弁と兵庫弁の違いはわからないが・・と書いてあるのですが、わざわざ神戸から来たということにしてあるならこだわりをもって欲しかったもうやだ〜(悲しい顔)

「かんにんなあ」「ええねん」← こんなこと言いませんよあせあせ(飛び散る汗)


そしてもう一つの話が・・。「化石の樹」は、ずっとなんの話かな?と思っているうちに一気読みしてしまい、後半に「もしかして」と思い当たり・・という感じ。

読んでいないとなんのことかさっぱりわからないと思いますがたらーっ(汗) ある人の過去がよくわかって、でも今の幸せもわかって良い話でした。


この作家さんは本当に優しい世界観があって、読み終わると優しいふんわりとした気持ちになれます。


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2010年11月12日

加納朋子「掌の中の小鳥」

加納朋子著 「掌の中の小鳥

(創元推理文庫)


「僕」は大学時代、アートクラブに所属する女性・容子に憧れ、油絵を描く彼女のそばにいつもいて絵と彼女をずっと飽きずに眺めて過ごしていた。そんな容子が先輩と付き合うことになり複雑な心境になりながらも相変わらず大作を描き上げる彼女を見続けていたのだが・・。
「私」は高校生の頃、厳しすぎる校則に締め付けられ、登校拒否をしてしばらく学校を休んでしまった。そんな私を心配した両親は、夏休みの間、祖母の家へ泊まりに行くように勧めてくれた。祖母と過ごす日々は楽しく充実していたが、もうすぐ夏休みが終わる頃になると不安な気持ちが押し寄せてどうしようもなくなってしまった。私の様子を見かねた祖母はある賭けをしようともちかける・・。−「掌の中の小鳥」他「桜月夜」「自転車泥棒」「できない相談」「エッグ・スタンド」計5編収録



いきなり「僕」と「私」という二人の誰だかよくわからない男女の話で始まります。そして、この二人が出会って良い関係になる頃からそれぞれの名前や性格的なこともわかってきます。

初めはわけがわからない状態だったのですが、少しずつついていけるようになるとどんどん話に引き込まれる感じがしました。

話が変わるごとに視点が変わり、「僕」こと冬城圭介が視点となって話が進んだり、「私」こと穂村紗英が視点になったりします。これもまた面白かったです。

お互いが経験した少し奇妙な出来事を“エッグ・スタンド”という名前のバーで話し、それを聞いた相手が謎を解く・・という形式で進められ、バーの女性バーテンである泉さんや、常連客である「先生」と呼ばれる老紳士がヒントを出したりしながら謎は解かれていきます。

話す側も聞く側もすごく細かい事まで覚えていて、何度も「え!?そんなこと言ってた?」と戻って確認しないといけないくらい・・。まあ、物語としてそうじゃないと成り立たないわけですけど・・。

それに、二人の関係は言いたいことを言い合って、でもお互いを想い合って、うらやましい限りなんですハートたち(複数ハート)

ちょっと妬ましいくらいでした。

人の気持ちって本当に複雑で、他人から理解しようとするのは難しい・・ということを改めて知らされたそんな気分になりました。あー、自分の気持ちを表現するのも難しい!もうやだ〜(悲しい顔)

解説もとても詳しく、わかりやすく書かれていて、物語を最初から再読できたようなお得感がありました。ぜひ最後まで読んで下さい。


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今読んでいるのは・・
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2010年09月03日

加納朋子「スペース」

加納朋子著 「スペース

(創元推理文庫)


年末、体調を崩し寝込んでいた駒子だったが、全快したのでデパートへ買い物に行った。そこで思いがけない人と再会し、思わず「読んでいただきたい手紙があるんです」と告げた。10数通にもおよぶ手紙に秘められた謎、そして手紙には書かれなかったある物語とは?「スペース」「バック・スペース」の2編収録


駒子が瀬尾さんに渡した手紙にはある謎がありました。謎を解くためには、ちょっと読む視点を変えないとわかりません。視点を変えるとかなり簡単な謎だったということがわかるんですが・・。

ネタばれしないように感想を書くのは難しい作品でした。


バック・スペース」では、まどかという駒子と同じ短大に通う女の子が主人公となって話が進みます(まどかって誰?ということは「スペース」を読むとわかります)。

駒子のことも出てくるのですが、初めて他人から見た駒子の様子が書かれていて、私的にはちょっとイメージが違う気がしました。

駒子が語っていた友人も出てきますが、この人もイメージが違って見えて、何だか不思議な感じ。

20歳前後って「自分は特別」とか「自分が誰かの一番の存在になれたら」とか思うものですよね?やたらと「個性」を出そうとしたりして・・。

「人とは違う」ということが妙に嬉しかったり。

そういう時期を過ごしているまどかと駒子の微妙な心の動きや悩みはきっと女性なら共感できると思います。

私も懐かしく思い出しながら読み、さわやかな気持ちで本を閉じましたわーい(嬉しい顔)



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今読んでいるのは・・
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2010年08月11日

加納朋子「魔法飛行」

加納朋子著 「魔法飛行

(創元推理文庫)


「私も物語を書いてみようかな」という駒子のつぶやきを聞いた瀬尾は「書いてみれば?」と後押しをする。駒子自身が経験した日々のちょっとしたエピソードや謎を、瀬尾に手紙で報告するような形で書き始めた。いくつもの名前をもつ“茜さん”との出会い、幽霊の話、魔法の飛行など、様々な物語を書いて送る駒子に、瀬尾は感想と共に謎の解明を書いて返事する。


前作では「ななつのこ」の作家である綾乃さんに手紙を出し、返事をもらう形で話は進んでいったのですが、今回は駒子が物語を書き、瀬尾に読んでもらい、感想を返事してもらう形で進んでいきます。

まあ、ほぼ同じパターンなのですが・・あせあせ(飛び散る汗)

ただ、今回は短編の間に不思議な手紙が入っていて、最後の物語まで誰が書いた手紙なのか?がわからないまま進んでいきます。

前作と同じように駒子が出会った日常の何気ない出来事で物語は構成されています。

駒子は謎は謎のままで物語を書き終えるのですが、その謎を瀬尾が返事で解決してくれるので、読者はそれを読んで「あ〜なるほどひらめき」とすっきりする感じです。

短大生の駒子は、友人が婚約したり、将来について語ったりするのを見る度に「自分は何も考えていないバッド(下向き矢印)」と落ち込みます。

19歳といえば子どもから大人へ成長するべき年齢で、でも成長できない時期ですよね。微妙な年齢を生きている人、その年齢を経験してきた人には色々と共感できる部分もあると思います。

今回も面白く読め、優しい気持ちで読み終えることができました。


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2010年07月21日

加納朋子「ななつのこ」

加納朋子著 「ななつのこ

(創元推理文庫)


ネットで感想を読んで面白そうだったので、買ってみました。表紙も素敵で、読むのが楽しみになる感じでした。初めての作家さんです。


駒子は「ななつのこ」という本を表紙の絵に惹かれて買った。話も気に入ったので、今まで書いたことのなかったファンレターを書いて作家の佐伯綾乃に送った。自分の身の回りに起きた何気ない事件を書いたところ、思いがけず謎を解明した内容の返事が来た。「スイカジュースの謎」「モヤイの鼠」「一枚の写真」「バス・ストップで」「一万二千年後のヴェガ」「白いタンポポ」「ななつのこ」計7編収録


ミステリーなのですが、人が死んだりするわけではなく、日常何気なく流してしまうような謎を解明していく話です。

駒子と佐伯の手紙のやりとりによって、謎が解明されるわけですが、今ではもう懐かしい感じさえする文通という方法が何だかあったかい気持ちにさせてくれます。

「いったい、いつから疑問に思うことをやめてしまったのでしょうか?いつから、与えられたものに納得し、状況に納得し、色々なことすべてに納得しまうようになってしまったのでしょうか?いつだって、どこでだって、謎はすぐ近くにあったのです」・・と駒子は初めのファンレターに書きます。

こんな軟らかい文章で続けられる文通、そして日常の小さな謎。

ミステリーとして読んだわけですが、とても優しい気持ちになる作品でしたハートたち(複数ハート)

私は特に「白いタンポポ」という話が気に入りました。真雪という小学生の女の子と駒子の心温まる会話が素敵でしたぴかぴか(新しい)


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posted by DONA at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:加納朋子