
堀川アサコ 著
「定年就活 働きものがゆく」
(角川文庫)
60歳の妙子は定年後も継続雇用の話を受けるつもりだったが、後輩女子たちの揶揄と同年の課長の栄転話に頭にきて、意地で会社を辞めてしまう。夫とはすでに死別、娘は結婚していて、一人暮らしに暇を持て余した妙子は就活を始めるが、どこもハラスメントな会社ばかり。しかも娘夫婦の15歳の養女・瑠希が転がり込んできて―。60代はまだまだ若い!第二の仕事や生き甲斐はどうやって探す?「定年」「就活」のサバイバル小説。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。
定年就活という言葉に興味をもち「本が好き」で献本申し込みしました。
定年なんてまだまだ先だと思っていたのですが意外と近くなってきた・・とちょっと焦りのようなものを感じているこの頃。確かに後〇年で退職と言われてもきっと時間を持て余すだろうと思います。
インドア派で行動力も無い私でさえそう思うのですから、バイタリティに溢れる妙子はどう考えても暇になってしまいます。
本当は65歳まで働くつもりだったのに、売り言葉に買い言葉のような状態でつい辞める宣言をしてしまった妙子は、再就職するために就活を始めます。
何も再就職しなくても趣味を始めれば良いのに、とも思いますが、世間の人たちが働いている時間にのんびりするのは何だか申し訳ない、気が引けるというのです。この気持ちよくわかります。普段、日祝以外仕事しているのに、たまにお盆休みなんかで平日にぶらぶらしていると何だか肩身が狭いような気がしてしまいます。たまの休みなんだから堂々とすれば良いのですけど何となく・・。
そういう人は再就職するのが充実した毎日を送るために一番良いのでしょうね。妙子はあくまでも「正社員」にこだわって仕事を探しています。そこも素晴らしい精神力だと感心します。
いくつかの会社に面接に行くのですが、なかなか良い職場に巡り会えません。始めに行った会社は読んでいてゾッとさせられました。ここで働いている人たちってどういう神経なんだろう?これで良いと思っているのか?と色々疑問がわきました。実際にこんな会社あるのか?あったら怖すぎます。
就活を始めた妙子の元にやって来たのは、孫の瑠希。孫とは言っても娘夫婦が養子縁組した子どもなので、妙子にとって血のつながりはありません。それでも妙に気が合って、何度も「私に似ている」とか「亡くなった夫に似ている」とかの言葉が出てきます。始めこそ気を使っていたのですが、すぐに打ち解けて本当の祖母と孫のようになれるのも素敵です。
妙子は娘のことを「暗い」と言い、結構辛辣な評価をしているのですが、読んでいるとそこまで言わなくても・・という気持ちになりました。確かにちょっとネガティブではありますけど、養女に迎えた娘のことを大事に考えていて、素敵な母親だと思います。初めて親になったというのにしっかり親子関係が出来ていてすごいと思いますけどね。
妙子の就活は身内はもちろん、親友や親戚も巻き込みながら進んでいきます。最終的にはどんな場所で働くのか?は読んでみてください。この先もきっと定年まで、いや身体が動かなくなるまで妙子はここでバリバリ働いていくでしょう。
娘や孫ともケンカしながら、文句を言い合いながら楽しく過ごしていくに違いありません。
私もこんなバイタリティ溢れる60歳になりたいものですが、難しそう。私なりにそれなりに充実した毎日が過ごせたらそれで良いかな?と高望みは止めて、とりあえず定年までの〇年を過ごしていくことにします。
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