2018年06月19日

宮下奈都「羊と鋼の森」

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 宮下奈都 著
 「羊と鋼の森」
 (文春文庫)


高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく―。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。映画化されたそうですね。

単行本のときからずっと気になっていた作品でした。題名も気になりますし、内容も。ピアノ調律師の話だなんて。どうやって一冊描かれるのか?興味津々でした。

読んでみて、私がピアノ調律師に対して軽い気持ちでいたということがよくわかりました。奥が深いんですね。一流のピアニストの方たちは調律に対してもこだわりがあって、お気に入りの調律師がいたり、好みの音を作るように言ったりするというのは知っていましたが、一般人でもこだわる人はこだわるんだ・・と驚かされました。

私もピアノがほんの少々弾くので、調律はしてもらうのですが、調律師の方に「弾いてみて下さい」とか「これで良いですか?」なんて言われた記憶がありません。

もし言われて弾いても違いがわからないかも・・。

ご自分で弾かれて「違うでしょ?」と言われたことはありますが、はっきり言ってわかりませんでした。

みんなそんな感じなんだと思っていたのでショックでした。きちんと音にこだわって「こんな感じの音」としっかり好みが伝えられるんですね。どうすればそんな風になれるんだろうか??


憧れのピアノ調律師になれた外村という青年が成長していく物語なのですが、調律師としてだけではなく、人として大人として男性としてどのように成長していけば良いのか悩んで苦しんでいきます。

素敵な先輩たちに囲まれて、その仕事ぶりを参考にしたり、依頼者たちに教えられたりしながら、自分なりの「音」を探していきます。


全体的に柔らかい文章で描かれていて、常に木に囲まれているような、鳥のさえずりや小雨の降る音なんかが聞こえてきそうな雰囲気の物語でした。

盛り上がりがほとんどないのですが、淡々と流れる感じがまた心地よかったです。題名も素敵です。


そういえば、調律さぼってるな〜と思い出したので、近々頼まないと・・。



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2018年05月23日

桂望実「嫌な女」

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 桂望実 著
 「嫌な女」
 (光文社文庫) 


初対面の相手でも、たちまちするりとその懐に入ってしまう。小谷夏子は男をその気にさせる天才だ。彼女との未来を夢見た男は、いつの間にか自らお金を出してしまうのだ。そんな生来の詐欺師を遠縁に持つ弁護士・石田徹子は、夏子がトラブルを起こすたび、解決に引っぱり出されるのだが……。対照的な二人の女性の人生を鮮やかに描き出し、豊かな感動をよぶ傑作長編。−裏表紙より−


以前読んだ「ハタラクオトメ」は軽く読める明るい感じの小説でしたが、この作品は読むのに時間がかかりました・・。

ページ数の多さもあるのですが、主人公でもある弁護士の徹子先生のことが好きになれず、その遠縁の夏子のことは更に好きになれず、なかなか読み進められませんでした。


夏子が問題を起こして、徹子に頼って来るという展開で話は進みます。1話目から時間が進んでいるので、夏子も徹子も年齢を重ねていきます。

性格も生き方も違う二人の女性が年齢を重ねていくのもこの物語の魅力になっているのでしょうが、とりあえず二人とも好きではないのでどうでも良いと思ってしまいました。

夏子のことはたぶん、女性はほとんどの人が苦手なタイプだと思うでしょう。男性は好きかもしれませんが。徹子や周りの人たちのように「次はどんなトラブルを起こした?」と興味はもてませんでした。そんなに大人になれていないってことかもしれませんが。

徹子は、弁護士に向いているのか微妙な感じのまま、人生に大きな波もなく歩んでいきます。もしかしたら、自分の人生と似ているから好きになれなかったのかも?と思わなくもない感じですが、どうして夏子にここまで振り回されるのか、その理由が理解できないせいもあると思います。


終わりの方にあった、弁護士事務所のベテラン事務員の言葉には感動させられましたが、それ以外はあまり印象に残らない感じでした。


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2018年05月07日

山田五郎「知識ゼロからの西洋絵画 困った巨匠たち対決」

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 山田五郎 著
 「知識ゼロからの西洋絵画 困った巨匠たち対決」
 (幻冬舎)



「偉大な天才のダメッぷり」とも書いてある作品です。西洋絵画は昔から好きで、この題名に興味をひかれたので「本が好き!」で献本申し込みました。


ダ・ヴィンチ対ミケランジェロ、デューラー対クラーナハ、カラヴァッジョ対レンブラント、モロー対ロセッティ、クールベ対マネ、ドガ対セザンヌ、ゴッホ対ゴーガン、の7対決が解説されています。

名前を聞いただけで作品まで思い浮かぶ画家(ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ゴッホ、ドガ、ゴーガン、マネ、セザンヌ)もいますが、名前を聞いてもピンとこなくて紹介されている絵を見て「あ〜、この絵の作者!」とわかる画家(レンブラント、クラーナハ)もいます。

作品も名前も知らなかった画家もいました・・。まだまだ知識が浅いです。


近い年代の画家同士を色々なダメさを強調して対決させていて、有名で天才な画家たちも人間なんだな〜と面白く読めました。この絵はそういう思いが込められているのか、とかこういう生活を送っている中で描かれたのか、とか勉強になることもたくさんありました。

これを知ってから絵を見たらまた違った感じ方をするのかもしれません。


特に驚いたのはカラヴァッジョ対レンブラント。カラヴァッジョは何と殺人を犯したそうで、逃げ回りながら絵を描いていたとか。なんでもありですね。一方のレンブラントは破産してしまって、大変な生活を送っていたそうです・・。

更にモロー対ロセッティ。モローはニートで、ロセッティはイケメンの浮気性。う〜ん・・画家も人の子なんですね。

そして、ゴッホは性格に難ありだったせいで仕事が続かず、弟・テオの資金援助を受けながら画家として活動していました。なのに自分を傷つけまくりで、最期も悲惨でした・・。ゴーガンは絵はうまいのに商売が下手で、選ぶ道全てのタイミングを外してしまって生活苦。辛い人生です。


天才というのは、何かしら性格が歪んでいたり、日常生活に支障が出たりするのかもしれません。真っすぐすぎたり情熱的過ぎたりしてうまく絵が売れないことも。

依頼者の望む絵を素直に描ける画家ばかりではないんですね。そのせいで苦しい生活を送る人が多かったようです。


そして、時代の先取りをする画家もまた辛い・・。売るためには、当然その絵を欲しいと思う人が必要なわけで、時代に合った人気のある描き方をしないと売れないんですよね。だから亡くなってから人気が出て(時代が追いついて)売れることも出てくるわけです。もっと楽な生き方あるだろうに、と何度も思わされました。



一番印象に残ったのはセザンヌのこと。個人的に今までセザンヌの絵画を見ても良いと思えなかったのですが、この著者が「セザンヌは絵が下手」とはっきり書いておられたのでちょっとすっきりしました! やっぱり下手なんだ〜。

また近くで絵画展があったら見に行くつもりなので、そのときはまた読み返そうと思います。


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2018年04月18日

小路幸也「スタンダップダブル! 甲子園ステージ」

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 小路幸也 著
 「スタンダップダブル! 甲子園ステージ」
 (ハルキ文庫) 


対照的なキャラの双子――エースの青山康一とセンターの健一を擁する神別高校野球部は、北北海道大海を勝ち抜き甲子園へ!彼らが優勝を目指す特別な「理由」を知る前橋絵里は、全国紙のスポーツ記者。彼女の前に、神別高校の監督・田村と高校時代にチームメイトだったスポーツライター・塩崎が現われ、周囲をしつこくかぎ回りはじめる。塩崎は、田村との間に因縁があるらしく……。野球を知らなくても楽しめるハートフル・エンターテインメント、感動のクライマックス!−裏表紙より−


この本の前に何冊か別の本を読んだのですが、ややこしいので先にこちらの感想を書いてしまいます。


1作目で甲子園へ出場することが決まった彼ら。甲子園に行くことが目標ではなく、あくまで優勝することが目標の彼らは淡々と甲子園へ向かいます。

鉄壁のセンターラインを持っている強い彼らですが、さすがに全国の予選を勝ち抜いてきた本戦では勝つのが難しい状況に。でも強い思いで優勝を狙っているので、ますます団結力は固くなり、思わぬ強さも発揮し始めます。

新たに監督になった田村の采配も素晴らしくて、何度も「なるほど!」と思わされました。現実にもこういう人いないのか!?いたらぜひあの球団の監督になってもらいたい!

選手たちの気持ちもしっかり理解して、適材適所に選手を割り振って、確実に点を取っていく様子は爽快でした。

なかなかこんな風に点を取っていくことも、勝っていくことも出来ないとは思うので、あまりにも出来すぎな感じがぬぐえませんが、この話の場合は出来すぎじゃないと成立しませんから、これで良いと思います。

これ以外の終わり方はないでしょう。

途中、記者と選手の視点がころころ変わるので、ちょっと話が途切れる感じがしたのは残念でしたが、すっきりした終わり方が早く読みたくてほぼ一気読みでした。


詳しくなくても楽しめますが、多少野球のことは知らないと、楽しさは半減するかも。野球用語も多いですし、監督の戦略に「なるほど」と納得できないと意味がわからないと思います。

多少、野球が好きな人は楽しめると思うので読んでみてはどうでしょう? 特に高校野球ファンは楽しめそうです。


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タグ:小路幸也
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2018年04月16日

小路幸也「スタンダップダブル!」

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 小路幸也 著
 「スタンダップダブル!」
 (ハルキ文庫) 


三十一歳を目前に北海道支局に「飛ばされ」た、全国紙スポーツ記者の前橋絵里。そこで出会った弱小の神別高校野球部が、旭川支部予選を勝ち上がっていく。彼らの不思議な強さの「秘密」に惹かれた絵里はやがて、ナインが甲子園を目指す特別な「理由」を知る。その中心には、見た目はそっくりで性格が対照的な、エースの青山康一とセンターの健一という双子がいて……。野球を知らなくてもワクワクして元気が出るハートフル・エンターテインメント、待望の文庫化!−裏表紙より−


題名の「スタンダップダブル」って何?と一瞬思ってしまいました。「スタンディングダブル」のことなんですね。ツーベースヒット、しかも滑り込まずにセーフになることです。

というように、野球をある程度知っていないと楽しめない内容だと思います。

高校野球について描かれています。北海道のあまり強いという評判がなかったある高校の話です。

取材に行った記者・前橋が、彼らの強さに気づいたところから始まります。

センターの選手が、打者が打つ前から守備に指示を出して、ほとんどをアウトにしてしまうのです。彼の双子の弟がピッチャーで、天才的な能力を発揮しますし、守備も完璧。

お陰でほとんど点を取られることなく、試合に勝っているのです。

そして何よりも彼らの団結力はとても固くて、それも強さの要因となっています。

なぜ彼らの団結力はここまで固いのか? 調べていくと、過去に悲しい出来事がありました。


この巻では、甲子園に出場するまでのことが描かれています。純粋な彼らの様子は読んでいて応援したくなりました。

甲子園で優勝するのが彼らの目標なのですが、それは難しいだろうと思いつつも、何とか納得できる終わり方をしてほしいと強く願いつつ読み終えました。


続きは「スタンダップダブル! 甲子園ステージ」で。


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タグ:小路幸也
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2018年01月18日

柚木麻子「3時のアッコちゃん」

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 柚木麻子 著
 「3時のアッコちゃん」
 (双葉文庫) 


澤田三智子は高潮物産の契約社員。現在はシャンパンのキャンペーン企画チームに所属しているが、会議が停滞してうまくいかない。そこに現れたのが黒川敦子女史、懐かしのアッコさんだった。会議に出すアフタヌーンティーを用意して三智子の会社に五日間通うと言い出した。不安に思う三智子だったが・・!?表題作はじめ、全4編を収録。読めば元気になるビタミン小説、シリーズ第二弾!−裏表紙より−


表題作ほか、「メトロのアッコちゃん」「シュシュと猪」「梅田駅アンダーワールド」全4編を収録。


2作目ということですが、1作目をすっかり忘れていた私でも楽しめました。

ただ、短編4話のうち、2話しかアッコちゃんが出てこないのが残念! 題名にもなっているのになぜ出てこないのか・・。


1作目で会社の後輩だった三智子が、1話目で登場。会社での会議がなかなかうまく進まないことをアッコちゃんに相談します。そこでアッコちゃんは、会議にお茶を取り入れるように勧め、自らお茶を提供しに来てくれました。

最初はお茶なんかが会議の助けになるのか?と疑っていた社員たちも、少しずつお茶を楽しみに待つようになり、またアッコちゃんのアドバイスによって進められることで、話がスムーズになっていくことに気づいていきます。

ダラダラと長いだけの会議をやめて、短くても中身の濃い会議が出来るようになりました。

この話はうらやましいというか、参考に出来るならしたいくらいでした。頭の固い人たちが多いから難しいでしょうけど、アッコちゃんのアドバイスの中には参考になりそうな言葉もありそうです。


2話目にもアッコちゃんは出てきますが、三智子は出てきません。いや、出てきますが話の内容には直接関係がありません。それでも、ある会社員の女性を見事に救って、元気づけるところはさすがアッコちゃん! この話もアッコちゃんの言葉が刺さります。


3、4話目は、アッコちゃんは出てきません。かなり寂しいのですが、どちらも仕事や人生に悩む人たちを周りの何気ない言葉や行動によって救っていく話になっています。

どちらも最後は良かった〜と思える展開を見せるので、読んでいて明るく前向きな気持ちにさせてもらえます。

3話目は、イノシシが登場したのも面白かったです。結構身近な存在のイノシシですが、まだ遭遇したことはないので、ちょっと見てみたい気もします。実際に見たら固まってしまうのかもしれませんが。


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タグ:柚木麻子
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2017年12月26日

柏井壽「鴨川食堂」

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 柏井壽 著
 「鴨川食堂」
 (小学館文庫)


鴨川流と娘のこいし、トラ猫のひるねが京都・東本願寺近くで営む食堂には看板がない。店に辿り着く手掛かりはただひとつ、料理雑誌『料理春秋』に掲載される<鴨川食堂・鴨川探偵事務所―“食”捜します>の一行広告のみ。 縁あって辿り着いた客は、もう一度食べてみたいものに出会えるという。夫の揚げていたとんかつを再現したいという女性、実母のつくってくれた肉じゃがをもう一度食べたいという青年など、人生の岐路に立つ人々が今日も鴨川食堂の扉を叩く。寂しさも辛さも吹き飛ばす、美味しい六皿をご用意しました。京都のカリスマ案内人、初の小説!−裏表紙より−


初めましての作家さんです。ドラマ化もされたという作品で、ネットで感想を読んで面白そうだったので読みました。

でもまあ、う〜〜ん。読んでいる間は面白いと思っていたのですが、同じようなパターンで進んでいくのを読んでいるうちに飽きてきたというか、どうでもよくなった?感じです。

短編なのに、途中で失速しました。


「食」を探すというのは面白くて、なるほど誰にでも思い出の味ってあるもので、それを探して再現してくれるのは嬉しいだろうと思います。私にも食べたいケーキがあります。もう亡くなられた方が作ってくれたので、食べられないんですけど・・。再現してもらえたら嬉しいだろうな。

でも、他に魅力がなかったんですよね・・。

娘のこいしのことも、父親の流のことも、どんな人物なのかよくわからないまま終わりましたし、「食探し」があまりにもあっさりしていてドキドキ感もなかったのが残念です。

食を探している場面は確かに重要ではないのでしょうが、ちらっと見せてほしかったです。どうやって探し出したんだろう?と思うものが多かったので。


シリーズになっていて、何冊か発売されているようですから、人気はあるようですね。2作目以降は面白いのかもしれません。また機会があれば読んでみようかな?


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タグ:柏井壽
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2017年12月13日

荒木源「ヘビメタ中年」

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 荒木源 著
 「ヘビメタ中年」
 (小学館文庫)


梅が岡高校時代にヘヴィメタルバンド・ブラッククローを組んでいたメンバー四人は、三十余年の時を経てバンドを再結成する。当時と比べて、みな外見に変化はあるものの、ヘビメタを愛する気持ちにまったく変わりはないのだ。今は市民病院の医者であるボーカルの江並は、ある日、手術予定の患者・山口から手術を拒まれる。聞けば、ライブハウスで完全ヘビメタ仕様で絶叫する彼のライブ映像を目にしたようだ。代わりに近隣の病院で手術を受けるという山口だったが、その担当医を調べていくうちに、江並はあることに気づく。話は思わぬところまで波及していく――。−裏表紙より−


題名の通り、ヘビメタバンドをやっている中年男性の話です。

高校時代に組んでいたバンドメンバーで再結成。「いい年してそんなことして」という家族がいないというのは素敵な環境です。

とはいえ、医者がヘビメタバンドをやっているとなると、手術を拒む患者もいるようで。私だったら気にしないけどな・・。派手な衣装で怒鳴るように歌っている担当医を見たら引くのかな?でも手術の腕は別な気がしますけど。

1話目では、そんな感じで患者から手術を拒否されてしまった、医者でボーカルの江並がどうやって患者を納得させるか?が描かれています。ヘビメタバンドに対する愛情と、医者としての立場に少し悩みつつ、でもやっぱりヘビメタをやっている自分に誇りをもって対処する姿はちょっとかっこよかったです。


2話目以降も江並の視点で描かれるのかと思ったら、次は別のメンバーになって、4人のメンバーそれぞれの現在の生活と、ヘビメタに対する思いなどが描かれていきます。


最後の話は意外な展開もあって、最後まで面白かったです。

中年になっても、人生をかけられる趣味があるって素敵だとあこがれるような気持ちで読みました。

今のうちにそんな趣味を見つけておきたいと強く思わされました。何かに夢中になっている人ってやっぱり輝いていますよね。


ミステリーが続いてしまったときなどに読むと良い感じです。サクッと読めますしね。


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タグ:荒木源
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2017年11月27日

青木祐子「これは経費では落ちません!〜経理部の森若さん〜」

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 青木祐子 著
 「これは経費では落ちません!〜経理部の森若さん〜」
 (集英社オレンジ文庫) 


森若沙名子、27歳、彼氏なし。入社以来、経理一筋。きっちりとした労働と、適正な給料。過剰なものも足りないものもない、完璧な生活をおくっている、はずだった。最近、そんな気配のなかった同期に恋人ができて、少し迷いが生じている。ある日、営業のエース・山田太陽が持ち込んだ領収書には「4800円、たこ焼き代」。経理からは社内の人間模様が見えてくる?−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

題名を読んでも面白そうですし、あらすじも面白そうだったのですが・・。

題名を見て勝手に強い女性がビシッと「これは経費では落ちません!」と断って、どうすれば経費に出来るかをアドバイスしていくような、痛快な話かな?と思っていたのですが、全く違いました。

主人公の森若さんは、ビシッと強気な女性ではなく、できるだけ波風を立てず、とにかくお給料分だけ働いて、地味にでも真面目に仕事をこなしていきたいタイプ。公私混同はあり得ない、プライベートはしっかり守ります!というタイプ。

波風立てずに過ごしたいと思うのはかなり共感出来ます。でもそんな小説だったら面白さ半減な気がします。


27歳という年齢らしく、恋人がいないことを気にしていない振りをしつつ、実は気にしていたり、同期に恋人が出来たら妙に焦ったりしていて、そこも共感出来たんですけどね。

もっと題名に合うようなビシッと指導するような感じが良かったな・・と。

どうやらややこしい領収書を持ち込んでくる営業の男性と良い雰囲気になりそうではありますが、そこには全く興味がわかず。


もうすぐ3巻も発売されるということで人気はあるようなので、私に合わないだけみたいです。私は続きはもう良いかな??


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タグ:青木祐子
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2017年10月25日

森沢明夫「津軽百年食堂」

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 森沢明夫 著
 「津軽百年食堂」
 (小学館文庫) 


弘前で百年続く「大森食堂」を離れ、孤独な東京でアルバイト生活をする陽一。同じ弘前出身で、写真家になるために上京したものの、夢やぶれそうな七海。ふたりは運命に導かれるように出逢い、惹かれ合うが、やがてふるさとの空へ、それぞれの切なる憶いをつのらせていく。 一方、明治時代の津軽でひっそりと育まれた「大森食堂」初代の賢治とトヨの清らかな恋は、いつしか遠い未来に向けた無垢なる「憶い」へと昇華されていき・・。 桜舞う津軽の地で、百年の刻を超え、永々と受け継がれていく《心》が咲かせた、美しい奇跡と感動の人間物語。−裏表紙より−


弘前で3代続く食堂の話です。

この作家さんらしい、ほっこりと温かい雰囲気の漂う物語でした。

主に描かれるのは、4代目となる陽一のこと。彼は食堂を継がずに、東京へ出て働いています。そこで偶然出会ったのが、筒井七海という女性。彼女も同じ弘前出身ということで、意気投合します。

彼女の視点でも物語が描かれ、東京での2人がどうやって親密になっていき、どんな悩みを抱え、どうやって乗り越えていくのか?という青春物語にもなっています。


そしてもう一人、賢治の話もたくさん出てきます。初代として「大森食堂」を開店させる彼。彼にも素敵な出会いと開店までの道のりがあって、こちらもほのぼのと読み進められます。

2代目はどうやらダメな人だったようですが、3代目もしっかりと暖簾を守り、4代目へと引き継ぐことになりそうです。


「津軽百年食堂」という題名から、食堂での日常が描かれていそうな気がしますが、それよりも食堂を続けてきている大森家の人生について描かれている作品でした。

号泣するほどの感動はありませんでしたが、それなりにほろりとさせられる部分もあります。読み終わってすぐは、じわっと感動がわいてきますが、時間が経つと細かい内容を忘れるくらいの淡々とした印象でもありました。


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タグ:森沢明夫
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2017年10月23日

奥田英朗「マドンナ」

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 奥田英朗 著
 「マドンナ」
 (講談社文庫)


人事異動で新しい部下がやってきた。入社四年目の彼女は、素直で有能、その上、まずいことに好みのタイプ。苦しい片思いが始まってしまった(表題作)ほか四十代・課長達の毎日をユーモアとペーソス溢れる筆致で描く短編5編を収録。上司の事、お父さんの事、夫の事を知りたいあなたにもぴったりの一冊です。−裏表紙より−


「マドンナ」「ダンス」「総務は女房」「ボス」「パティオ」が収録されています。

「ガール」が面白かったので読んでみました。

「ガール」は、30代を中心とした女性の話だったのですが、この「マドンナ」は、40代男性、しかも課長たちの話になっています。男性目線で語られるので、女性としては共感は全くできません。

ただ、男性っていつまでも子どもというか、幼い考えを持っているんだな〜と妙に感心。というか軽く呆れてしまいました。


表題作「マドンナ」は特に情けなくて、笑ってしまいました。良い年齢したおじさんが部下の女性に惚れてしまうなんて・・。しかも一線は超えない物の、公私混同甚だしい態度を見せますから呆れてしまいます。女性の部下全員にこういう態度ならともかく、美人だからといって態度が違うのは腹が立ちます。

まあ、女性もイケメンが周りにいたらテンションが上がるんですから、男性だって美人な部下にクラクラしても仕方ないんですけど。


どの話も面白かったですが、特に気に入ったのは「ボス」です。女性の上司ってやりにくいんだろうなと改めて思わされました。女性である上に、今までと違うやり方をされたら余計に大変です。

これも男性目線で書かれてはいるのですが、私的には女性ボスの気持ちになって読んでしまいました。現実にもこんな風に働き方を改革できるような女性が活躍できる社会になれば良いと思いました。

今の男性社会の中では女性は働きにくいです。独身でも大変ですが、家庭を持つと余計に大変。保育園を増やすとかそういうことだけではない改革が必要ですね。


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タグ:奥田英朗
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2017年09月26日

つるみ犬丸「日本酒BAR「四季」春夏冬(あきない)中 さくら薫る折々の酒」

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 つるみ犬丸 著
 「日本酒BAR「四季」春夏冬(あきない)中 さくら薫る折々の酒」
 (メディアワークス文庫)


恵比寿の繁華街の片隅にたたずむ「四季-Shiki-」。 日本酒専門のこの店で供されるのは、客の好みに合わせたお酒と自慢の料理。 仕事でへとへとの体には爽やかな爽酒でほっと一息、くたくたの心には薫り高い薫酒で心ゆくまでゆったりと。 あなたの疲れた心と体に、ぴったりのお酒がここにあります。酒と肴と思い出と、人生に寄り添うこの店に、どうぞ癒されにいらっしゃい。 実在する日本酒が多数登場。読んだら飲みたくなる、日本酒レビューも収録。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

読み始めは面白い展開だったので一気に引き込まれたのですが、途中から失速・・。

何だろう? 読んでいる時は面白くて、どんどん読み進めていけたんですけど、本を閉じたらあまり心に残る物が無い・・。

話毎に美味しそうな料理と、それに合う日本酒が出てきて、お酒好きな人にはたまらない内容です。

だからといって、日本酒片手に読む本とは違うような。

日本酒のガイドブックに近いかもしれません。


「おれ」こと冴蔵の生い立ちが珍しくて、そこを掘り下げていくのかと期待したのですが意外とあっさりスルーされ、店主の楓さんの引きずっている問題を深く掘り下げるのかと思ったら、これまた意外とあっさり解決し、その辺りには重きを置いていないのかもしれません。

日本酒のことは色々書いてあって参考になりそうだったので、とりあえず名前をメモしておこうかな? そして日本酒がたくさんある店で飲んでみたいと思います。

あまり得意ではない日本酒が好きになれたら良いな。って感じでしょうか。


何も考えたくないとき、疲れているときに読むと良いかもしれません。


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タグ:つるみ犬丸
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2017年08月29日

小川糸「ツバキ文具店」

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 小川糸 著
 「ツバキ文具店」
 (幻冬舎)


ラブレター、絶縁状、天国からの手紙…。鎌倉で代書屋を営む鳩子の元には、今日も風変わりな依頼が舞い込む。伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします。−「BOOK」内容紹介より−


初めましての作家さんです。少し前に、テレビドラマ化されたそうで、ドラマが面白かったと聞いたので、本を読んでみました。


祖母から文具店を受け継いだ鳩子。文具店を営みながら、代書屋もやっています。代書屋って本当にある仕事なのかな?よく知りませんが、自筆で手紙を書くことが減ったこの時代だからこそ、必要な職業なのかもしれません。

本の中には、鳩子が書いた手紙も載っています。きちんと彼女が書いた文字のままに。

一人の人が書いたとは思えないくらい色んな文字が書けて、しかもどの字も綺麗で読みやすいので、羨ましくなりました。

ここまできれいじゃなくても良いから、読みやすい字が書ける人になりたかったな・・としみじみ。


前半は、あまりにも何も起こらず、淡々と話が進み過ぎて、気分も乗らない感じでしたが、徐々に面白くなっていきました。

代書を頼むような手紙ですから、普通に季節のあいさつ的な物は少なくて、ラブレターだったり絶縁状だったり変わった物が多いわけです。その内容や文字の美しさ、手紙へのこだわりなんかを読んでいるうちに、どんどん面白くなってきました。

手紙を代書するって、何となく文章は考えてあってそれを本人に代わって書くのだと思っていたのに、実際には文章から考えるんです。そこにまず驚かされました。手紙を出す人と相手の人柄や、どんなことを伝えたいかなど詳しく聞いた上で、文章も考えて書くなんて!

しかも、便せんや封筒、字を書くペン(筆記具)、更には貼る切手にまでこだわって選んで完成させます。

一度書いた手紙は、翌朝まで封をせずに置いておき、冷静な目で読み返してから投函します。

その細かいこだわりに感動しました。

ここまでのこだわりや文章、文字の美しさは、やはり小さい頃の訓練があったからこそのことで、鳩子は本当は子どもらしくしていたかったようですが、努力は報われている気がしました。


感動する手紙や出来事もいくつかあって、泣いてしまう所もありました。

ただ、登場人物たちのあだ名が・・。変なあだ名が多くて、物語の邪魔をしているように感じられたのが残念。良いアクセントだと思えれば良いのでしょうが、私は引っかかってしまいました。

これはまだまだ続編が書けそうですがどうかな? 続きが出たら読んでみたいです。


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タグ:小川糸
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2017年08月03日

森沢明夫「ミーコの宝箱」

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 森沢明夫 著
 「ミーコの宝箱」
 (光文社文庫)


ミーコは風俗と福祉の仕事を両立しながら娘のチーコを育てるシングルマザーだ。幼い頃に両親に見捨てられ、躾の厳しい祖母との関係に苦しんだ過去を持つ。苦労の絶えないミーコだが、彼女の特技は、毎日一つ、小さく光る宝物を見つけること。ミーコの宝箱に入っている、一番大切な宝物とは・・。一人の女性の半生を通して、母と子、人と人の絆を温かく描き出す。−裏表紙より−


読み終わってすぐは色々と感想が出てきていたはずなのに、何日も経ってしまった今となってはあまり感想が出てこないくらい、私の中では印象の薄い内容でした。


一話目で、読むのをやめようか?と思うような描写があって、かなり引いてしまいましたが、それを超えると大丈夫でした。

ミーコという女性が大人になるまでどんな人生を歩んで来たか?が主に描かれているわけですが、本人が言うほど虐待されていたようには思えませんでしたし、祖母が厳しくても祖父は助けてくれたわけで、ある意味愛情たっぷりに育ててもらったんじゃないかな?と思うと、それほど重い内容でもなく、どうして彼女の半生を描こうと思ったのかな?と読みながら疑問を感じてしまいました。

確かに両親に捨てられるという体験は、子どもにとってかなり大きなことで、心に消えない傷を負うことでしょう。でもそれに代わる愛情をもらったのだから良いのでは?と思います。

実際、ミーコは毎日一つ宝物を見つけて集める、という素敵なことを実行するような良い人に育っているわけで、娘も真っすぐ育っているようですし、問題無さそう。

ただまあ、男性運は無いのかも? それも彼女のやさしさが生んだ結果なので、何とも言えませんが。


ミーコの祖母がミーコに対する気持ちを祖父に話す場面では泣きそうになりましたが、それ以外は泣きそうにもならず。

そんな感じで、最後まで何となくふわっとした雰囲気の中進んで行って終わった・・というのが私の感想かな?


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タグ:森沢明夫
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2017年05月15日

穂高明「これからの誕生日」

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 穂高明 著
 「これからの誕生日」
 (双葉文庫)


千春はバス事故で友人たちや教師を失った。一人生き残った罪悪感に苛まれ、引きこもりがちになる。そんな千春を取り巻く人々―弟、伯母、担任教師、亡くなった友人の母親、新聞記者、ケーキ店の店主―の視点で、ひとが新たな一歩を踏み出してゆくまでの道のりを丹念に辿ってゆく。明日を生きるための強さを優しく描きだした連作短編集。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。ネットの評判が良くて読むことにしました。

内容が重くて、どんな風に感想をまとめたら良いのか、はっきり言って今でもよくわからないです。

バス事故にあって、同じ部活の友人たちや顧問の先生が全員亡くなって、1人だけ奇跡的に助かった少女の話なのですが、もし自分が彼女の立場だったらどう思うだろう?とずっと考えながら読んでいて、どんどん苦しくなっていきました。

あらすじにあるように、短編の一つ一つに違う人から見た少女の姿が描かれていて、一話毎に「じゃあ、この人の立場で少女を見たら自分はどう思うんだろう?」という考えもわいてきて、頭の中がごちゃごちゃになりました。

もし自分一人が生き残ったら、絶対に「どうして自分だけが?」という気持ちにはなるでしょうし、どうしても「生き残ってごめんなさい」という気持ちにもなると思います。同じ学校に通い続けるなんてこと、出来ないと思います。

この少女の場合は、母親もちょっと問題ありな人なので転校という選択肢も無く、引きこもってしまう気持ちもよくわかります。・・が、何だかこの少女、どこか可愛げが無いというか最後まで好きになれなかったんですよね。自分でもどこが気になったのかわかりませんが。

そして、周りの人たちの対応も嫌悪感しかわかず。ただまあ、遺族が「どうしてうちの子ではなく、あの子が生き残ったんだ!」と怒りを募らせる気持ちはわかるんですよ。でも、その思いを彼女にぶつけるのはどうなんだろう?と思ってしまいます。愛想よく接する必要もないですけど、辛く当たらなくても・・と思いました。

家族の対応もイマイチ納得できませんでした。弟はともかく、伯母さんも母親もどうしてそんな接し方?と疑問がわきました。

色々な人間模様が読めたのは良かったですし、実際にこういう体験をしたことがあるわけではないので、自分がどんな対応するかもわかりません。だからこういう反応もあることなのかもしれません。・・が、読んでいて不快なことがたくさんありました。

最後にはどうやら立ち直ってくれそうな雰囲気になって良かったです。あまりにもあっさりとはしていましたが。

ただ純粋に涙を流して終わるような話ではありませんでした。


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タグ:穂高明
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2017年01月28日

奥田英朗「我が家の問題」

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 奥田英朗 著
 「我が家の問題」
 (集英社文庫)


夫は仕事ができないらしい。それを察知してしまっためぐみは、おいしい弁当を持たせて夫を励まそうと決意し―「ハズバンド」。新婚なのに、家に帰りたくなくなった。甲斐甲斐しく世話をしてくれる妻に感動していたはずが―「甘い生活?」。それぞれの家族に起こる、ささやかだけれど悩ましい「我が家の問題」。人間ドラマの名手が贈る、くすりと笑えて、ホロリと泣ける平成の家族小説。−裏表紙より−


甘い生活?」「ハズバンド」「絵里のエイプリル」「夫とUFO」「里帰り」「妻とマラソン」の6編収録されています。



「家日和」に続く第2弾。家庭内のちょっとした問題を取り上げた短編集です。

どれも面白かったのですが、特に気に入ったのは「ハズバンド」と「夫とUFO」「里帰り」です。

甘い生活?」の夫の悩みは何だか妙に刺さってしまって、周りに「贅沢な悩みだ」と言われている彼のことがかわいそうになってしまって読みにくかったです。女性目線では本当は逆なのでしょうが・・。


ハズバンド」は、夫が会社で辛い思いをしているらしいと知った妻が、せめてお昼休みくらい安らぎをあげたいと考え、お弁当を作ることにした話です。そのお弁当は肩に力を入れず、さり気なく工夫を凝らして、見た目は普通でも味は美味しいように、毎日作るために頑張りすぎないように作られていて、こういうお弁当って最高に妻の愛情が入っている素敵な物だなと感動しました。この妻の心使いに気づいているかどうか怪しいですが、彼女もそれを望んでいるわけではないから良いのでしょうね。


夫とUFO」は、夫が急に「UFOを見た。宇宙人と会話した」と言い出す話です。しばらくはこの話はどこへ向かうんだろう?と心配になるのですが、最後には感動させられました。妻が子どもたちに言った「これからおとうさんを救出してきます」宣言がかっこよすぎでした。


里帰り」は、新婚の2人が初めてのお盆にお互いの実家に顔を出す話です。初めはどちらか行かなくても良いのでは?など悩む2人ですが、結局お互いの実家に強行スケジュールで帰ります。お互いの実家のことが気に入って、最後は丸く収まる感じが心地よかったです。


絵里のエイプリル」だけは 結局どうなるんだろう?と気になる所で終わっていますが、他はすべてすっきりと収まり、爽快な気分にさせられる読後感でした。

シリーズはまだあるようなので、文庫化を待って読もうと思います。


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タグ:奥田英朗
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2016年11月07日

安藤祐介「被取締役新入社員」

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 安藤祐介 著
 「被取締役新入社員」
 (講談社文庫)


小中高といじめられ続け、入社した会社もすぐ解雇。究極のダメ男・鈴木信男は、なぜか一流広告会社に採用される。そこで命じられたのは、エリート社員たちのストレスの捌け口となる「被取締役(とりしまられやく)」の極秘任務だった。かつてない下から目線”で仕事の本質を衝いて反響と感動を呼んだ、ドラマ原作大賞受賞作。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

ネットでの感想を読んで面白そうだったので読んでみたのですが、表紙の絵や題名からも軽い話だと思ったら意外と重い感じがしました。

一流会社で働いていると確かにストレスは多いでしょう。それを解消させるためにダメダメ男の鈴木信男が採用されます。社長に改名され、会社では「羽ケ口(はけぐち)信男」。つまり、ストレスの捌け口になるべく配属されたわけです。

彼には、様々な秘密の決まりがあります。週に3回は遅刻すること、必ず定時に帰ることなど。とにかく失敗をして上司から怒られまくるのが彼の役目。

ストレスがたまりそうな任務ですが、その分報酬が役員並み。普通の人ならいくら給料が高くてもやっていられませんが、彼なら大丈夫。始めから失敗だらけのやる気のない男ですから。

特に努力することなく、数々の失敗を繰り返し、思惑通りに毎日怒鳴られまくっています。お陰で今まで怒られていた社員が怒られなくなり、彼を小馬鹿にすることでチームの団結力も上がるという、社長の思惑がばっちりはまっていきます。

まあ、そのままうまく機能して終わったら、物語として成り立たないわけで、それからは徐々におかしな方向へ。

彼のドジぶりがある取引先の社長に気に入られてしまい、そこからどんどん「被取締役」の役目が果たせなくなっていきます。

社長は不機嫌になっていくわけですが、会社の業績としては上がるし、何とも微妙な事態に。

最終的にはたぶんこうなるだろうと予想していた感じで収まっていくのですが、私にはちょっとその辺りが納得できず。


ダメ男の鈴木が成長してがんばって正社員(他の社員と同じような社員)として再雇用される、というようになってほしかったのですが、どうも棚ぼた感が抜けない感じで終了。

結局、彼は何の努力もしてないまま、でも何となくハッピーエンドな終わり方。

う〜〜ん、なんか読み終わってもモヤモヤしてしまいました。

これからはきっと努力をしてがんばっていくだろうとは思えたので、それを信じて良しとするか!って感じです。


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タグ:安藤祐介
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2016年09月28日

森淳一「ランドリー」

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 森淳一 著
 「ランドリー」
 (双葉文庫)


僕の名前はテル。コインランドリーで洗濯物を見張る仕事をしてる。小さい頃の頭のケガのせいで、周りの人とうまく付き合えないみたいだ。ある日、忘れ物を届けたことがきっかけで水絵さんと知り合った。水絵さんは綺麗だけど、笑った顔を見たことがない。数日後、水絵さんは「私は変わる」と言って故郷に帰った。乾燥機にワンピースを忘れて。忘れ物は届けなくちゃ。僕は水絵さんの故郷に向かった―痛々しいほどピュアな男女の、切なすぎる物語。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

読み始めから、何が言いたいのかな?と思っていました。だんだん、テルと水絵の関係性がどうなっていくのかが気になって、気づけば読み終わっていました。

1時間もかからず読み終えてしまえる、軽い文章の作品です。

読み終わって、帯に「泣ける」と何度も書いてあるのを見てびっくり。どこで泣けるんだろう?・・と感じる私って、無感動な人なんだろうか?と不安になってしまいました。

どうやら、テルの無垢な優しさに感動するらしいのですが、う〜〜ん。まあ確かに優しいといえば優しいのですが、やさしさよりも純粋さが魅力な人で、それを周りの人がうまくカバーしてこその魅力だと思います。

そこがうまくカバーできていない感じがして、残念でした。特に、水絵には共感もできなければ、魅力も申し訳ないですが感じられず。テルの純粋さに惹かれて、彼女も心を入れ替えるのかと思えばそうでもなく・・。

最後は何とか反省してまっすぐに生きて行きそうにはなりましたけど、また何かきっかけがあったら戻ってしまいそうで心配な人です。


この作品は映画化されたそうです。ラストシーンは映像だと綺麗で感動しそうだと思いました。もしかしたら、映像でのどかな風景なんかを織り交ぜながら話が進む方が楽しめるのかもしれません。


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タグ:森淳一
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2016年09月12日

大鐘稔彦「孤高のメス 死の淵よりの声」

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 大鐘稔彦 著
 「孤高のメス 死の淵よりの声」
 (幻冬舎文庫)


練達の外科医・当麻鉄彦のもとに末期癌の患者が訪れる。苦慮の末、選択した抗癌剤が劇的に効き、患者はめざましい回復を見せるが、折しもその頃、日本癌治療学会では、癌と戦うなと唱えて一躍時の人となった菅元樹の発言をめぐり、シンポジウムが紛糾するのだった―。患者の為の真の医療とは何かを問う、シリーズ最新刊。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。シリーズ物とはいえ、12巻も出ているとは知らずに、面白そうだったので「本が好き」で献本申し込みしました。

私にとって初といっても良いほど珍しい医療物です。ドラマとかで見るのは好きなんですけど、小説は読まないです。理由は自分でも謎ですが。たぶん、難しいだろうと思うからでしょうけど。


話はいきなり誰か知らない人の遺骨を散骨する場面から始まります。シリーズを読んでいる人にとっては馴染みの人たちなのでしょうが、初めての私には知らない人ばかり。当麻というのが主人公だということはわかっていますけど。

そこから病院へ場面が移ります。当麻ドクターが勤務している琵琶湖湖畔の病院。やって来たのはおなかが張ってどうしようもなくなった女性。様々な検査を緊急に行った結果、癌であることが判明しました。珍しい癌だとわかり、しかもすでに末期の状態で、あまり長くはもたないだろうと推測されました。

今のままでは手術も難しいということで、効果のありそうな抗癌剤を投与。少しでも癌細胞が小さくなってくれれば手術もできるかもしれない、と少しの望みをかけることに。

その抗癌剤が彼女には劇的に効き目があり、あっという間に数値が安定していき、予想よりも早く回復して退院できることになりました。「奇跡だ」と病院のスタッフたちでさえも驚くような回復をみせたのでした。


彼女の治療をしている合間にも、病院なので次々と患者が訪れます。当麻ドクターはどうやら外科医の中で名医として有名な人なので、遠方からも患者がやってきます。しかも他の病院では断られたような難しいケースが次々と。

当麻ドクターは部下の医者たちをうまく教育しながら、次々と手術を成功させていきます。その手並は素人の私から見てもなかなかのもの。

手術のシーンも臨場感たっぷりで、ハラハラドキドキしながら読みました。


ただ、登場人物が多すぎて誰が誰だかわからなくなっていくのには困りました・・。シリーズを読まずにこの巻から読み始めた私が悪いのでしょうが、新たに登場したであろう人物のことも細かく説明されるため、いちいち過去に戻ったり回想したりして、ちょっと混乱する所がありました。本筋を見失いそうになる部分も。

でも当麻ドクターの人柄や手術シーンのかっこよさに感動している間に一気に読み進めることができましたし、気づけば終わっていたという感じがありました。

医療関係者ではないので、細かい医療用語はほとんど理解できませんが、それでも楽しむことができたのは良かったです。

シリーズを始めから読もうかな?と思う反面、12巻もあるのか・・と気後れしてしまっています。みなさんの感想を読んで考えようかな?


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タグ:大鐘稔彦
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2016年09月09日

北川恵海「ちょっと今から仕事やめてくる」

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 北川恵海 著
 「ちょっと今から仕事やめてくる」
 (メディアワークス文庫)


ブラック企業にこき使われて心身共に衰弱した隆は、無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。同級生を自称する彼に心を開き、何かと助けてもらう隆だが、本物の同級生は海外滞在中ということがわかる。なぜ赤の他人をここまで?気になった隆は、彼の名前で個人情報をネット検索するが、出てきたのは、三年前に激務で自殺した男のニュースだった―。スカっとできて最後は泣ける、第21回電撃小説大賞<メディアワークス文庫賞>受賞作。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。題名に惹かれて買いました。


隆は、ある企業の営業マンとして働いていますが、上司や会社の方針と合わず、なかなか実力を発揮できずに悩んでいます。その日も上司からことごとくダメ出しをされ、頭ごなしに叱られ、落ち込んでいたため、何となくフラフラとホームから線路へと跳び下りそうになりました。

そのとき彼の腕をグッとつかんで引き戻した人物が、ヤマモト。ヤマモトは、隆の同級生だと言っていますが、隆は記憶にありません。他の同級生に連絡したところ確かに「ヤマモト」はいたらしい。

ということで、とりあえず信用して仲良くなっていく2人。仕事の後に呼び出して飲んだり、買い物に行ったりどんどん親密になりました。

仕事の愚痴を言うと、ヤマモトは「辞めたらいい」とあっさりアドバイスしてきます。「仕事を辞める」ということを考えもしなかった隆は衝撃を受けますが、ヤマモトに少しずつ説得され、とうとう辞める決心をします。

でもどうやら、ヤマモトというのは同級生ではないらしい・・ということがわかり、謎が深まっていきます。


とはいえ、ヤマモトの正体はあまり重要ではないというか、どんな人物だったとしても問題はなくて、それよりも隆が会社をどうやって辞めてすっきりと良い人生を送れるのか?の方が重要なので、ヤマモトのことは「救世主」的な存在として受け入れられました。

隆が仕事を辞めるシーンはかっこよかったですが、そんなにきちんと言えるならもっと早く言いたいことを言っていれば、もう少しラクに仕事ができたのでは?とも思ってしまいました。


仕事に悩んでいたり、上司や同僚との関係に疲れていたりする人にはぜひ読んでもらいたい作品です。人生において仕事って重要な物ですけど、人生を終わらせないといけないくらい悩むほどの価値はあるのかな?と、冷静に考えてもらいたいです。

肩の力を抜いて、ラクに仕事ができると良いですね。現実は難しいですけど・・。たまには辞める覚悟でズバッと言ってみるのも良いかもしれません。


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タグ:北川恵海
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