2023年08月09日

アミの会「おいしい旅 想い出編(1)」

322202000833.jpg

 アミの会 編
 「おいしい旅 想い出編(1)」
 (角川文庫)


15年ぶりに再会した友人と訪れた京都。昔話に花を咲かせるが、みなそれぞれに事情を抱えていた・・(「あの日の味は」)。亡くした夫との思い出を胸にひとり旅をしていた故郷・神戸で偶然出会った青年。一緒にスイーツ巡りをすることになるが(「幸福のレシピ」)。住んでいた街、懐かしい友人、大切な料理。温かな記憶をめぐる「想い出」の旅を描いた7作品を収録。優しい気持ちに満たされる、文庫オリジナルアンソロジー。−裏表紙より−


柴田よしき「あの日の味は」
福田和代「幸福のレシピ」
矢崎存美「下戸の街・赤羽」
光原百合「旅の始まりの天ぷらそば」
新津きよみ「ゲストハウス」
秋川滝美「からくり時計のある町で」
大崎梢「横浜アラモード」

7話収録されています。お気に入りの作家さんが3名。全員読んだことがある作家さんたちですが、ほとんどはアンソロジー、しかもアミの会で読んだだけです。

旅行にかかせない「食」がテーマとなって描かれている作品が収録されているので、美味しい物を食べるのが好きな私にはぴったりな作品集です。

「幸福のレシピ」が一番印象に残りました。それはたぶん、地元のことが細かく描かれていて、土地が思い浮かべやすかったからでしょう。実在のスイーツ店もたくさん出てきて、その度に「あの店、美味しいよね」なんて思えたのも良かったです。ちょっぴり切ない話でしたが、最後が本当に「幸福」で、読んでいても幸せになれました。

「あの日の味は」は、昔の同級生たちのちょっとした同窓会のような内容なのですが、このままいったら誰かの悪口を言いだしたり、実は彼女はこんな感じで・・と不幸話になったりするのか?と心配でしたが、最後までふんわりと温かい雰囲気だったので読みやすくて安心しました。

「からくり時計のある町で」は、女性だったら少しは思い当たることがあるんじゃないか?と思う内容でした。親友と思っていた人とちょっとしたことですれ違ってしまう・・。そして素直に結婚する友を祝福できない複雑な心境。大抵の女性が、わかる気がする、と思えるのでは? 


全体的に、コロナ禍の話が多くて、もちろん避けられない事態ではあるのですが、現実の話ではないのでここまで描かなくても良い気がしました。コロナの話が出る度に現実に引き戻される感じがあってその辺りは残念ではありました。

それでも旅が好きな人、食べることが好きな人、美味しい物が好き!な人は楽しめる作品集ですので、ぜひ読んでみてください。

アンソロジーでしか読んだことのない作家さんたちもいつかちゃんと長編を読んでみようと思います。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 15:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2023年07月25日

浜田悦子「発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ」

624363_mid.jpg

 浜田悦子 著
 「発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ」
 (実務教育出版)


2300人以上の親子、支援者をサポートしてきた、おうち療育アドバイザーによる、発達障害&グレーゾーンの子どもが自分をうまくコントロールできるよう導くコツ。−帯より−


初めましての作家さんです。子どもに携わる仕事をしているので興味があって「本が好き」で献本申し込みしました。

第1章 なぜ「今の言葉かけ」ではうまくいかないのか?
第2章 子どもの問題行動を止めるための3つのポイント
第3章 自分の言葉かけのクセに気づくコツ
第4章 「共感された!」と子どもが感じる言葉かけのコツ
第5章 子どもの問題行動に反応しないコツ

以上5項目で書かれています。

子どもに携わる仕事をしていて、今までにグレーゾーンと思われる子どもにもたくさん会いました。まだ年齢的に小さいので、はっきり診断がされたわけではないですが、指示が通りにくかったり、1人だけ別の行動を始めたり、こだわりが強すぎて他の子どもとケンカが多発したり、集団で生活していると困ってしまう子どもがいました。

そういう子どもに対して、大人は困ったな、やりにくいなと思ってしまいますが、実際には子どもの側も生活しにくいのだろうと思います。わがままに見られてしまうことも多いので、注意されることも多くなり、毎日楽しくないだろうと心配になることもありました。

親御さんを含め、みんなで話し合って対応を考えることが出来ると良いのですが、診断が出ていないと親御さんにはなかなか言えないもので、そうなると保育園内だけでの話し合いになり、対応も一時的な物となってしまうのが残念でした。


この本を書かれたのは「発達障害・グレーゾーン専門家庭療育アドバイザー」の浜田悦子さん。そんな職業あるんだ、とまずそこに感心。「家庭療育」というのは、専門家が行う療育を家庭でもやりましょうということです。

専門家ではないので、そこまできちんとは出来なくても、家庭でも出来ることはありますし、やった方が親も子どもも生活しやすくなります。でもどうやれば良いのか? そこでこの本が必要になります。はっきりとした診断を受けていなくても、ちょっと育てにくいなと思うお子さんの場合は、この本を読んで少しずつでも実践できたら良いですね。


ここに書かれているのは、少し大きめの子どもについてなので、私には参考にならない部分もありましたが、ほとんどの部分は読みやすく、「そうすれば良いのか」と納得できました。集団の中ではなかなか対応も難しいですが、おうちでは出来ることも多そうです。

浜田さんも何度も書かれていますが、全てをやろうとしないで「スモールステップ」でやると実践できそう。子どもに対しても、例えば、朝の支度をさせる時、顔を洗って歯を磨いて服を着替えて荷物を用意して・・・と一気にやらせようとせず、顔を洗うだけでも出来たら褒める。まずは子どもが出来ていることをさせて、出来たら褒める。この繰り返しをすると良いそうです。

これだったら、親も「まだ出来てないのか!」とイライラしなくてすみそうです。顔を洗うのは出来ないという子どもだったら、パジャマを脱ぐ。でも良いですし、朝食のために椅子に座る。でも良いと思います。いきなり子どもが出来ないことをさせようとせず、出来ていることをさせて、出来たら褒める。それに慣れたら、次の日はまた少し増やす。

そうやって、ほんの少しずつ増やしていくと良いそうです。朝の忙しい時にぼんやりとしている子どもを見たらイライラとしてしまうでしょうが、ほんの少しのことをさせることで、お互いにイライラは減っていきそうです。


私が一番印象に残ったのは「無反応」という言葉です。子どもが問題行動を起こした時に注意したり怒ったりしないということ。以前見た子どもで、何でもすぐに泣いてしまうことがあったのですが、それに対して「〇〇だから今はダメよ」とか必死で諭してわからせようとしたり、とにかく泣き止ませようと「泣かないよ」と声をかけたりすると余計に泣いてしまったり、だんだん泣き方が大げさになったり、何か不快なことがあったらとにかく泣いてみよう、と思うようになったりすることがありました。

そういう時に一度あえて放置したことがあるのですが、その方があっさり泣き止んであそび始めたり、みんなの所に戻って来たりしたのです。意外とその方が良いのか?と思いながらも、何だか泣いている子どもを放置することに罪悪感というか違和感があって、その後も声をかけてしまっていました。

浜田さんは声をかけること、視線を送ることさえも子どもにとっては刺激となり、「泣いたら見てくれる」「泣いたら声をかけてくれる」と感じてしまうからよくない。と書かれています。全く別の部屋に行ってしまうのは難しくても、背を向けたりあえて別のこと(例として、洗濯物を畳むなどと書かれていました)をすることで、子どもは落ち着くのだそうです。

落ち着いた後は、気持ちを受け止め、「〇〇だから泣いたのね」と声をかけると良いそうです。なるほど、私が気にしていたことは逆効果だったんです。放置、無反応の後、落ち着いてから声掛けした方が子どもも落ち着いて言葉が聞けますね。今後、実践したいと思います。


イラストも多く、文章も簡単に書かれていますし、具体例も多くてわかりやすかったですし、サッと読み切ることができました。

ちょっとうちの子気になる、育てにくいなど、もし周りで悩んでいる方がおられたら、この本はお勧めです。グレーゾーンでなくても子育て本としても参考になることは多そうです。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 14:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2023年07月21日

標野凪「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」

ISBN978-4-575-52570-0-main01.jpg

 標野凪 著
 「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」
 (双葉文庫)※電子書籍


住宅地の奥でひっそりと営業している、おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」。この喫茶店には、がんばっている毎日からちょっとばかり逃げ出したくなったお客さんが、ふらりと訪れる。SNSで発進されるていねいな暮らし”に振り回されたり、仕事をひとりで抱え込み体調を崩したり・・。目まぐるしく変わる世の中で疲れた体と強ばった心を、店主そろりの美味しい料理が優しくほぐします。今宵も「あなたの悩みに効くメニュー」をご用意してお待ちしております。心がくつろぐ連作短編集、開店。−出版社HPより−


初めましての作家さんです。ネットで感想を読んで面白そうだったので読んでみました。

読み始めから不思議な雰囲気の話で、もしかしてファンタジー?と思いつつ読み進めると、別にファンタジーでもなく。不思議な世界観のある、でもしっかりと日常が描かれた作品でした。

コロナ禍で疲れてしまった人たちが、おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」で癒される、という内容なのですが、良い意味でも悪い意味でも印象に残りませんでした。

今、あらすじを読んでもそんな話だったっけ?って感じです。

私自身、コロナ禍でも、マスクをすることと消毒が強化されたこと以外には変化が無かったせいかもしれませんが、特に疲れていなかったんですよね。自宅待機も、在宅ワークも出来ない仕事ですから普通に出勤していましたし、元々出不精なので旅行に行けないことも外食出来ないことも何のストレスにもならないですし。

コロナのせいで疲れて・・というのがあまり理解できていないせいで、ここに出てくる人たちに何も共感出来なかったんですよね。

色々影響を受けて大変な思いをされた方が読んだら、感動したり、何か心に刺さったりするのかもしれません。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:標野凪
posted by DONA at 15:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2023年07月06日

原田ひ香「人生オークション」

9784062777605_w.jpg

 原田ひ香 著
 「人生オークション」
 (講談社文庫)※電子書籍


不倫の果てに刃傷沙汰を起こして謹慎中ののり子叔母さんと、就活に失敗してアルバイトをする私。一族の厄介者の二人は叔母さんのおんぼろアパートの部屋にあふれるブランドのバッグから靴や銀食器、着物までをせっせとネットオークションにかけていく。すばる文学賞作家が描く、ゆるやかな再出発の物語。−出版社HPより−


2作収録されています。・・が、読み終わってすぐ、2作目はどんな話だったっけ?と思うくらい印象に残らない話でした。

1作目(表題作)は、私自身フリマアプリを使って、ちょっと私物を売ったりしているので、興味津々で読みました。

この主人公である、のり子叔母さんは、フリマアプリではなく、オークションの方ではあるのですが、ブランド物をたくさん持っている人はこちらの方が良さそうです。

過去に色々あって、事件にまで発展させた叔母さんですが、自分の持っているブランド物のバッグなどを手離していくうちに、心も過去を清算していくような感覚になっていきます。最後には前を向いて歩いて行けそうな感じにまでなりました。

それに影響を受けて、人生に迷っていた姪っ子も立ち直れそうです。

こういうハッピーエンドな話は読んでいて気持ちが良くて好きです。


2作目は・・・私の苦手な恋愛系だったので、さらりと読んでしまって印象に残らず。感想を書くために軽く読み返してみましたが、結末が思い出せないくらいです。

恋愛物が好きな方は面白いのかもしれません。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:原田ひ香
posted by DONA at 14:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2023年05月16日

平岡陽明「イシマル書房編集部」

9784758441278.jpg

 平岡陽明 著
 「イシマル書房編集部」
 (ハルキ文庫)※電子書籍


満島絢子は念願かなって神保町の小さな出版社にインターンとして採用された。しかし、当のイシマル書房は親会社から「半年で経営が改善されなければ他社に株を売却する」と最後通告を受ける―会社存続の危機に、石丸社長を中心に、理由あり作家、引退していた編集者、活版職人で絢子の祖父、元ヤンキーの営業マン、全国の書店員・・など「小説」を愛する人々が立ち上がった。果たして起死回生のベストセラー小説は産まれるのか?書き下ろし長編。−出版社HPより−


初めましての作家さんです。文章的には読みやすかったですが、展開はあまり好きでは無いかも。


出版社の裏側的な話だということで、興味津々で読み始めました。出版社と書店、作家の関係性や契約の仕方などそういう裏側の部分はとても興味深く、面白く読めました。

小さな出版社が存続の危機。どうやって立て直すか! これは本当に楽しみな展開ではあったのですが、その後の流れがあまり好みではありませんでした。

何でもうまくいきすぎな展開は、それでも良かったのですが、だったらあの人はどうしてあんな結末になったのかが納得できず。読んでいない方にはわからないですね、すみません。でもネタバレになるので書きません。


理由ありの作家さんに原稿を頼むのは話題作りにも良いですし、実力があるならきっと売れるだろうこともわかるのですが。せっかく主人公が素敵な能力をもっているのにそれがあまり生かされないのも残念でした。

私も登録している読書メーターが出てきたのは親近感が湧きましたけど、そこももっと何か展開があれば良かったかな?と思います。

面白くないわけではないのですが、ちょっと不満の残る作品でした。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:平岡陽明
posted by DONA at 14:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2022年11月14日

原田ひ香「三千円の使いかた」

207100.jpg

 原田ひ香 著
 「三千円の使いかた」
 (中公文庫)※電子書籍


就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)。結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)。習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)。そして一千万円を貯めた祖母・琴子。御厨家の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越えるため、お金をどう貯めて、どう使うのか?−出版社HPより−


この作家さんの作品は2作目かな? 以前読んだ作品も面白いテーマだった気がします。


始めは何だか微妙な内容だと思っていたのですが、どんどん興味が出てきて面白くなっていきました。

一人暮らしを始めた美帆のことはイマイチ好きになれませんでしたが、おばあさんの琴子さんは良い味出していました。

一千万円を貯めた彼女は、でもその貯金を使わないでおこうとはせず、有意義なことに使いたいと考えています。そういう所が良いなと。無駄遣いはしないし倹約するけど、使う時は使う。お金との付き合い方が上手です。


美帆は貯金に興味がなく、そんな余裕もなく、家賃などの経費で一月の給料を使ってしまう状態でした。その状況に特に危機感を抱いていなかったのですが、優しくしてくれた先輩が解雇されたことや保護犬を見たことをきっかけにして、少しずつお金を貯めるということに意識を向けるようになります。

そこでアドバイスしてくれたのが、薄給な夫と結婚した上に、子どももいる姉の真帆。節約してうまくやりくりをして六百万円貯めている彼女の助言を元に、固定費などを見直すことにしました。


短編のようになっていて、それぞれの話で視点が変わります。基本的に美帆が主役っぽいのですが、視点は琴子になったり真帆になったりします。

なので、お互い相手のことをこんな風に思っていたのかと知ることが出来てなかなか面白かったです。

何より琴子のバイタリティ溢れる行動は読んでいて爽快でした。考え方などいつかは参考にしたいと思いました。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:原田ひ香
posted by DONA at 14:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2022年11月09日

津村記久子「とにかくうちに帰ります」

120141_l.jpg

 津村記久子 著
 「とにかくうちに帰ります」
 (新潮文庫)※電子書籍


うちに帰りたい。切ないぐらいに、恋をするように、うちに帰りたい―。職場のおじさんに文房具を返してもらえない時。微妙な成績のフィギュアスケート選手を応援する時。そして、豪雨で交通手段を失った日、長い長い橋をわたって家に向かう時。それぞれの瞬間がはらむ悲哀と矜持、小さなぶつかり合いと結びつきを丹念に綴って、働き・悩み・歩き続ける人の共感を呼びさます六篇。−出版社HPより−


初めましての作家さんです。

ネットでの感想を読んでいたら面白そうだったので読み始めたのですが、なぜこれを読もうと思ったんだっけ?と自分で疑問に感じるくらい思っていたのとは違う話が始まって戸惑いました。

文章も私には合わない感じで慣れるまで時間がかかりました。

「とにかくうちに帰ります」という題名なのにそんな話がなかなか出てこず、何となくエッセイのような雰囲気もあり、とりあえず職場での愚痴を読まされている状態が辛かったです。

あらすじを読んだら、なるほどそういう意味でうちに帰りたいんだ。とは思えるのですが、そういう意味でなら読まなくて良かったかも。


そして最終話になってやっと本当の意味での「とにかくうちに帰ります」になりました。

よく東京の人が「帰宅難民」になって駅のホームに溢れかえっているのをニュースで見ますが、その状況を文章で読んでいる感じ。そうか、だからあんな現象が起こるんだと変な感心をしてしまいました。

確かに職場で気まずい状況を目撃してしまったら出社せざるを得ませんが、他に部屋はなかったのかな?とか、こういう状況になることは分かっているんだから早く帰れば良いのにとか、ツッコミどころが満載でした。

そこまでして帰りたい家があるってある意味幸せなのかもしれませんけど、雨はいつかおさまるんだから動かずに待てば良いのにと思ってしまいました。ほとんど共感できず。


最後までよくわからない読書でした。でもネットでの評判は良さそうなので、私に合わないだけなのでしょう。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:津村記久子
posted by DONA at 14:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2022年10月25日

北大路公子「生きていてもいいかしら日記」

9784569678405.jpg

 北大路公子 著
 「生きていてもいいかしら日記」
 (PHP文庫)※電子書籍


40代、独身。好きなもの、昼酒。座右の銘は「好奇心は身を滅ぼす」。“いいとこなし”に見えるけれど、なぜかおかしいキミコの日々。
「結婚しないの?」と聞かれた時の答え方、圧力鍋との15年戦争、父のゴミ分別の不可解なルール、朝はなぜ眠いかについての考察など、日常の出来事に無駄な妄想で切り込んでいく。読んでも何の役にも立たないけれど、思わず笑いがこみあげて、不思議と元気が出てくるエッセイ集。。
−出版社HPより−


苦手なエッセイですが、ネットでの感想を読んで面白そうだったので読んでみました。初めましての作家さんです。


読み終わってしばらく経っていますが、改めてあらすじを見てびっくりしました。キミコさんって40代だったのね??勝手に私より年上だと思っていました・・。

40代にしてこの枯れ方はどうなんだ!?

ここまで堕落した生活をしていたらそりゃ周りは色々言いますわね。まだ若いですから。


普段、私は年齢を気にせず生活していますが、やはり40代と50代は違うなと感じることが多々あります。体力的なこともですけど、脳的なことも。

今まででは考えられないようなミスをしますし、物を失くしたこともあります。しかもなぜ失くしたのかもわからない状態。自分でショックなことがたくさんあります。

毎日ちゃんと働いていますし、昼酒も飲みませんし、食事もしっかり食べていますがこんな感じですから、キミコさんは50代になったらどうなるんだろう?と他人事ながら心配になってしまいます。


生活ぶりは大丈夫か!?って感じですが、考えていることはさすが作家さんだけあってクスクス笑ってしまうことばかり。かなり短い話がたくさん詰まっているのですが、電車で読んでいると笑いをこらえるのに必死になるくらいでした。

各話の題名からして笑えます。例えば「乳の立場がない」「圧力鍋と私の十五年戦争」「中年カップル、ドームに行く」「開け、頭の蓋」「朝はなんで眠いのよ」・・

どんな話が待っているのかワクワクしながら読むと、想像を超えてくる内容なので笑えます。まあ題名から想像できる話なんて無いんですけどね。


なかなか面白かったのでまた作品を読んでみようかな?と思う反面、この生活ぶりを読んで心配になるのも嫌だと思う所もあって、しばらく様子をみようと思います。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:北大路公子
posted by DONA at 14:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2022年07月20日

秋川滝美「幸腹な百貨店」

9784062939034_w.jpg

 秋川滝美 著
 「幸腹な百貨店」
 (講談社文庫)


中部事業部長となった高橋伝治は、以前店長をしていた堀内百貨店が閉店の危機にあることを知る。古巣のピンチに自ら乗り込んだ伝治だが、何でも「気合い」で乗り切ってきたバブル部長を若手店員たちは煙たがる。伝治は彼らと旨いお店で腹を割りつつ、お祭り復興に取り組む地元店主たちとも知り合って・・。−裏表紙より−


先に2作目を読んでしまっていた作品です。やっと1作目が読めました。

閉店危機にある百貨店の立て直しをする話ですが、2作目もあるということはとりあえず乗り越えていますね。

こういう話で、立て直せずに終了、というのはなかなかないでしょうけど。


どうやって立て直していくか?に知恵を絞る様子が描かれていますが、それだけではなく、中間管理職となった元店長・伝治が「最近の若いもんは」と愚痴をこぼす様子も描かれていて、同じような立場にある人はかなり共感できると思います。

私自身、ある程度の年齢になっていますから、若い人たちと働くこともあり、頭が痛いこともよくあります。

なるべく「自分の若い頃はこんなじゃなかった」とか「もっと出来ていた」とは思わないようにしていますが、それでも「さすがにこんなに出来ないことはなかった」とかつい思ってしまうので、愚痴りたい気持ちはよくわかります。

伝治も職場に行っては、若い人たちの動きに呆れていました。

直接注意すれば良いのでしょうが、きっと若い人は注意されるのを嫌うだろうと思って、スルーすることになり、それがまたイライラするわけです。ほんと、人に注意するのって難しいですよね。

伝治と若い人の関りを読んでいると、一緒になって悩んでしまうくらいでした。


でも、この話では若い人も意外とやるね〜!となりますし、立て直しもとりあえずはクリア出来て、ハッピーエンドになるので読んでいてスッキリ出来ます。

現実ではそう簡単にはいかないでしょうけど。


百貨店の存在意義が昔ほど無くなってきている感じがします。実際に潰れていく店もあることですし。どうやって生き残っていくのか、難しい問題ですが、まだシリーズは続いているようなので、彼らの知恵や工夫を楽しみに読み進めていきたいです。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:秋川滝美
posted by DONA at 15:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2022年03月04日

堀川アサコ「定年就活 働きものがゆく」

322104000288.jpg

 堀川アサコ 著
 「定年就活 働きものがゆく」
 (角川文庫)


60歳の妙子は定年後も継続雇用の話を受けるつもりだったが、後輩女子たちの揶揄と同年の課長の栄転話に頭にきて、意地で会社を辞めてしまう。夫とはすでに死別、娘は結婚していて、一人暮らしに暇を持て余した妙子は就活を始めるが、どこもハラスメントな会社ばかり。しかも娘夫婦の15歳の養女・瑠希が転がり込んできて―。60代はまだまだ若い!第二の仕事や生き甲斐はどうやって探す?「定年」「就活」のサバイバル小説。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

定年就活という言葉に興味をもち「本が好き」で献本申し込みしました。

定年なんてまだまだ先だと思っていたのですが意外と近くなってきた・・とちょっと焦りのようなものを感じているこの頃。確かに後〇年で退職と言われてもきっと時間を持て余すだろうと思います。

インドア派で行動力も無い私でさえそう思うのですから、バイタリティに溢れる妙子はどう考えても暇になってしまいます。


本当は65歳まで働くつもりだったのに、売り言葉に買い言葉のような状態でつい辞める宣言をしてしまった妙子は、再就職するために就活を始めます。

何も再就職しなくても趣味を始めれば良いのに、とも思いますが、世間の人たちが働いている時間にのんびりするのは何だか申し訳ない、気が引けるというのです。この気持ちよくわかります。普段、日祝以外仕事しているのに、たまにお盆休みなんかで平日にぶらぶらしていると何だか肩身が狭いような気がしてしまいます。たまの休みなんだから堂々とすれば良いのですけど何となく・・。

そういう人は再就職するのが充実した毎日を送るために一番良いのでしょうね。妙子はあくまでも「正社員」にこだわって仕事を探しています。そこも素晴らしい精神力だと感心します。

いくつかの会社に面接に行くのですが、なかなか良い職場に巡り会えません。始めに行った会社は読んでいてゾッとさせられました。ここで働いている人たちってどういう神経なんだろう?これで良いと思っているのか?と色々疑問がわきました。実際にこんな会社あるのか?あったら怖すぎます。


就活を始めた妙子の元にやって来たのは、孫の瑠希。孫とは言っても娘夫婦が養子縁組した子どもなので、妙子にとって血のつながりはありません。それでも妙に気が合って、何度も「私に似ている」とか「亡くなった夫に似ている」とかの言葉が出てきます。始めこそ気を使っていたのですが、すぐに打ち解けて本当の祖母と孫のようになれるのも素敵です。


妙子は娘のことを「暗い」と言い、結構辛辣な評価をしているのですが、読んでいるとそこまで言わなくても・・という気持ちになりました。確かにちょっとネガティブではありますけど、養女に迎えた娘のことを大事に考えていて、素敵な母親だと思います。初めて親になったというのにしっかり親子関係が出来ていてすごいと思いますけどね。


妙子の就活は身内はもちろん、親友や親戚も巻き込みながら進んでいきます。最終的にはどんな場所で働くのか?は読んでみてください。この先もきっと定年まで、いや身体が動かなくなるまで妙子はここでバリバリ働いていくでしょう。

娘や孫ともケンカしながら、文句を言い合いながら楽しく過ごしていくに違いありません。

私もこんなバイタリティ溢れる60歳になりたいものですが、難しそう。私なりにそれなりに充実した毎日が過ごせたらそれで良いかな?と高望みは止めて、とりあえず定年までの〇年を過ごしていくことにします。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ




タグ:堀川アサコ
posted by DONA at 15:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2021年12月06日

秋川滝美「幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動」

9784065149362_w.jpg

 秋川滝美 著
 「幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動」
 (講談社文庫)


お祭り復興と連動し、閉店危機を免れた堀内百貨店だが、「聖域」であるデパ地下も売上低迷。事業部長の高橋伝治は、人気おにぎり屋を出店させようと奮闘するが、出来たてに拘りを持つ店主は断固拒否。バブル世代の高島マーケ部長、瑠衣そして若手店員の協力を得て「迷わば進め」の伝治が繰り出す奇策で奇跡が起こる!?−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

読み始めてしばらくしてから2作目だと気づきました・・。それくらい1作目を読んでいなくても何とか理解できる内容で良かったです。ただ、登場人物の人となりを詳しく知りたければやはり1作目から読む方がより楽しめるとは思います。


百貨店の話なのですが、閉店危機を1作目でお祭り復興というイベントと共に盛り上げて乗り越えたようです。でもその時の危機は乗り越えても、その売り上げを継続しなければ閉店危機は続くわけで。

今回はやはり売り上げが落ちてきている店をどうやって盛り上げるか?を悩み苦しむ人たちの様子が描かれています。

ただ単に百貨店だけが売り上げを伸ばせば良いというわけにはいかず、すぐ近くにある商店街も共に売り上げを伸ばさないと、客は呼べないということでどうすれば両方に客を呼んで、商品を買ってもらえるのか?を考えないといけないのでより一層大変です。

しかも一時的な売り上げではなく、長期的に売り上げを伸ばす方法となると一人のアイディアでは何ともなりません。商店街の人たちや百貨店の店員、更には百貨店を経営する会社の事業部長も色んな店を巡りながら知恵を絞ります。


自分だったら、どんな百貨店だったら買いに行くか?ということを考えながら読みました。もともと買い物が好きでは無いので、結論から言うと「どんな店でも要らない物は買わない」っていう考えしか出ず。ではどんな物が要る物だろう?と考えるとやはり食べ物かな?となるので、この話の方法はある意味、正解なのかもしれません。

高価な物を買うなら百貨店に行こうとなりますけど、高価な物を買うのは一年に一回あるかないかですから、客足と売り上げを伸ばすためには地下を盛り上げるのが大事なのかもしれません。

でも単価が安いからな・・・とか、自分が経営しているわけじゃないのに色々と考えてしまいました。


今回の方法でうまくいくか?は疑問ですけど、これをきっかけにして相乗効果が出れば良いと思います。商店街も盛り上がってほしいです。シャッター街は寂しいですから。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:秋川滝美
posted by DONA at 14:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2021年09月30日

黒田基樹「戦国「おんな家長」の群像」

9784305709448_250.jpg

 黒田基樹 著
 「戦国「おんな家長」の群像」
 (笠間書院)


戦乱の世で「家」を支え、時代とともに消えていった女たち  浅井茶々や寿桂尼など、大河ドラマや歴史小説でスポットが当たることも多い戦国時代の女性たち。実際に「家」の長となる女性はいたのか?いたとしたらどのような「活躍」をしたのか、なぜ戦国の終わりとともに姿を消したのか  史料をもとに、その謎に迫る。。−帯より−


初めましての作家さんです。戦国時代は好きなので興味があって「本が好き」で献本申し込みしました。


思ったよりも堅苦しくて難しかったです。私のあまりよろしくない頭では理解しにくい部分がたくさん・・。でも戦国時代は、日本史の中でも好きな時代なので時代背景を思い浮かべながら何とか読めました。

もっと具体例というか、物語調の部分があった方が読みやすいと思います。


この時代の「家」というのは現在でいう「家」とは違って、もっと広い物のことです。現在でいうと市とか県とかに当たるでしょうか。なので、「家長」とは市長とか県知事のことになりますね。

戦が起こることを考えると「国」単位のような気もしますが。


基本的に昔からトップに立つのは男性と決まっていて、この時代は世襲制なので、父親から長男へという流れになっていました。でも男の子が生まれなかったり、幼くして亡くなってしまったりすることもあり、そんな時は弟や従兄弟、次男三男などへと権力が移っていきました。婿養子のようなこともあったようですね。

それでも子どもが跡を継いだ時にまだ幼かったら、誰が「長」として色んなことを決定していくのか?といえば、母親だったり妻だったりするわけです。そうして「おんな家長」というものが生まれたそうです。


おんな「家」長という人は、歴史上に何人かいるそうですが、一般的に有名な人は浅井茶々ですね。豊臣秀吉の奥さんといえばわかりやすいでしょうか。秀吉が出てくるドラマには必ず登場する女性です。

私が見たドラマでは「秀吉の最愛の女性」という紹介がされていて、やたらとベタベタしていた覚えがあります。実際には何人もいる奥さんのうちの一人ですし、正妻でもありませんが。まあこの時代は正妻=一番好きな女性というわけではないでしょうけど。逆に正妻は政略結婚の可能性が高いので、義務感で結婚したというパターンが多そうです。

彼女は、秀吉が存命の時は何もしていませんが、亡くなった後は息子の代わりに「長」として色んな決定を下していたそうです。それは、彼女が出した手紙で明らかだそうです。他国に対しても要望書を出したりしているので、彼女が家を動かしていたと見られるそうです。具体的にどんな手紙だったのかも丁寧に書かれていますが、私にはあまり理解できず。でも何かしらの重要なことを決めていたそうです。


でも結局は女性がそんな決定を下すことに対して、家臣の中には嫌悪感を募らせる人もいました。これは昔も今も同じですね。そして、そんな「おんな家長」は戦国時代を最後に見られなくなるそうです。

そこは何だか不思議です。戦国時代のようにいつどうなるかわからないような不安定な時の方が女性が権力を持てて、安定してからは持てないなんて。

統一政権の成立とその継続は、社会における自力救済を抑制し、それに代わって、政権を中核にした新たな社会秩序を生成し、それを固定化していくものであった。その過程で、女性の政治・軍事からの排除が進行した可能性がうかがわれる。

ということです。・・よくわからないですけど。


今回の総裁選には女性も出馬していましたが、やはり選ばれることはありませんでしたね。でもきっと近い将来には女性首相も出てくれると思うので、その時にどんな国になっていくのか楽しみです。初めての女性は叩かれるでしょうね・・。まあ男性がなっても一度は叩かれるんですけど。日本が世界に誇れるようなそんな国になると良いと私は思います


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:黒田基樹
posted by DONA at 15:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2021年03月11日

山本幸久 「男は敵、女はもっと敵」

9784087464252.jpg

 山本幸久 著
「男は敵、女はもっと敵」
 (集英社文庫)※電子書籍


仕事に恋に真剣に生きる女たちの日常とは!?
舞台は東京。仕事に恋に真剣に生きる女たち。ある時は泣き、ある時は笑い、彼女たちが日常の中で、不確かながらもつかんだモノとは……。文庫オリジナル書き下ろし短編収録。(解説/宮下奈都)
−出版HPより−


初めましての作家さんだと思っていましたが、後で調べてみると「エール!」というアンソロジーで読んだことがありました。しかも感想を読むと「合わない」と書いていました・・。

なるほどね。

今回もやっぱり合わなかったんですよね。

始めから最後まで何が言いたいのかわかりませんでした。

別の男性に当てつけるように他の適当な男性に結婚をせまり、その相手が憐れんで結婚してくれたり、結婚した後もシレッと生活を続けたかと思ったらサクッと別れて、数年後には「そんなこともあったね〜」的な関係になっている。意味がわかりませんし、理解できません。


主人公の考えが一つも共感出来ませんし、登場人物の誰のことも好きになれず、読み進めながら「これって何で読んでるんだっけ?」と思っていました。

結局誰が敵だったんだろう??最後までわかりませんでした。


大人の恋愛をしたことのある女性や、ゴタゴタした関係性なんかが好きな方には楽しめるのかもしれません。



↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
タグ:山本幸久
posted by DONA at 15:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2021年03月10日

木内一絵「風の向こうへ駆け抜けろ」

09406428.jpg

 木内一絵 著
「風の向こうへ駆け抜けろ」
(小学館文庫)※電子書籍


芦原瑞穂(18歳)は地方競馬界にデビューした、数少ない女性騎手。敬愛する亡き父親への思慕から競馬界に身を投じた。だが、彼女の受け皿となったのは今にもつぶれそうな「藻屑の漂流先」と揶揄される寂れた弱小厩舎。そこにいる調教師、厩務員たちは皆それぞれが心に傷を抱え、人生をあきらめきったポンコツ集団だった。 弱小厩舎のため強い競走馬も持てず、さらなる嫌がらせを受け、困っていた矢先に出合った一頭の馬。虐待により心身共にボロボロだったこの馬も懸命な介護と歩み寄りにより、生まれ変わったかのような素晴らしい競走馬に変貌を遂げる。当初は廃業寸前だった厩舎も、瑞穂の真摯な努力と純粋な心、情熱から、徐々に皆の心は一つとなり、ついには夢のまた夢である狭き門、中央競馬の桜花賞を目指すまでになる。が、その行く手には様々な試練が待ち受ける。温かな絆でつながった彼らの運命は…?−出版HPより−


初めましての作家さんです。この作家さんの他の作品が文庫化されるのを待っているのですが、こちらも面白そうだったので読んでみました。


競馬界の話でした。地方競馬界にデビューした数少ない女性騎手、18歳の瑞穂の話です。

競馬学校の間に好成績を残し、期待の新人として注目されつつあったのですが、彼女の就職先は地方のつぶれそうな弱小厩舎でした。しかも、厩務員たちが一癖も二癖もあるややこしい人ばかりで、初日から苦労させられます。

大きくて有名な厩舎の場合は、一流の馬がたくさんいるのですが、その分新人ジョッキーにレースの出番はありません。弱小の場合は、新人でもレースに出る機会はありますが、馬がいない・・。いるけど走れる馬がいません。一流のジョッキーが乗っても勝てない馬ばかりです。

厩務員が癖がすごいせいか、馬の方も癖が強くて瑞穂も乗りこなせない状態でした。


あまりにも勝てないため、いよいよ潰れるしかないのか?という所まで来たとき、虐待を受けてボロボロになった馬・フィッシュアイズに出会います。

走れるはずのこの馬は、気性の粗さと虐待によって、人にも慣れない状態にまでなり、身体も痩せてボロボロでした。この馬を譲り受けて厩舎で大事に育てた所、かなり強い馬だということがわかりました。

瑞穂とフィッシュアイズの成長にワクワクさせられました。・・この部分はワクワクで面白かったんです。


でも、やはり競馬の世界って辛いな〜と思いました。ジョッキーはもちろん競争が激しくて大変ですけど、それ以上に馬が大変です。

競馬馬の命って本当に短い。一流の馬になっても、走って勝てる期間は短いですし、勝てなくなったらお払い箱になる感じもとても辛いです。怪我することもありますしね。足を怪我したら終わりですし・・。

こういう話を読むと、人間って非情なことをするな、と感じてしまいます。普通にお肉を食べておいてこんなことを言うのは違うのかもしれませんけど。


せめて、人間に可愛がられて、走れても走れなくても馬として幸せに生きてほしいと願ってしまいます。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
タグ:木内一絵
posted by DONA at 15:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2021年03月09日

高殿円「上流階級 富久丸百貨店外商部 其の一」

09406661.jpg

 高殿円 著
 「上流階級 富久丸百貨店外商部 其の一」
 (小学館文庫)※電子書籍


天下の富久丸百貨店芦屋川店で、外商員として働く鮫島静緒(37)。日本一の高級住宅街・芦屋に住む本物のセレブたちに、ロレックスの時計やダイヤの指輪を持参してお買い物をしていただくのが仕事だ。新人外商員の静緒に課されたノルマはなんと、月1500万円! 職場の正社員としては珍しく高卒からのたたきあげで働く静緒は、顧客の要望に応えるため、そしてマンネリ感満載の百貨店業界を立て直すため、前のバイト先・パティスリー「ローベルジュ」での人脈をフル活用して全力で奔走する。 静緒をパティスリーから引き抜いたカリスマ外商員・葉鳥士朗の勧めで、静緒は実家から芦屋の高級マンションに引っ越した。ところがそこには思わぬ同居人が。大嫌いな同僚の桝家修平(29)も、葉鳥の勧めでその部屋に住んでいたのだ。バツイチ独身の静緒だが、桝家は実は、セクシャリティの問題を抱えていて……。−出版HPより−


この作家さんの作品では「トッカン」がお気に入り。あらすじを読むと同じようながんばる女性のお仕事小説みたいだったので読んでみることに。


主人公は、静緒という37歳の女性。わざわざ細かい年齢設定しなくても・・と思いそうですが、この年齢は意外と大事になってきます。まあ40歳でも良さそうですけど、40手前というのが必要かもしれません。ある程度の人生経験を踏んできて、社会人として油が乗ってきて、でもプライベートは?みたいなお年頃ですね。こういう感覚は男女関係なくありそうです。

静緒は、百貨店で働いています。過去にとある販売戦略で大きなヒットを出し、その能力を買われる形で、外商員に抜擢されました。外商員といえば、外商カードのお得意様を担当する人ですね。

庶民にとっては遠い存在ですが・・。芦屋のマダムたちに百貨店から高級品をお持ちして、お勧めして「あら、こちら素敵ね」なんて言わせながらカードをバンバン切らせるのがお仕事。

月のノルマが1500万というのですからすごいことです。

全く縁のない世界のことですから、百貨店で売っている商品の中からお客様に合う物をいくつか持って行って売るだけだと思っていたのですが、読んでみるとなかなか奥が深い。

冠婚葬祭の手配から、家のリフォーム、手に入りにくい流行りのフィギュアなどなど、百貨店では扱っていないような商品まで売るというのですからすごいです。

ちょっとした便利屋さんのようです。・・・あ〜、この例えが庶民ですね・・。


代々同じ外商員さんからお買い物をして、色々助けてもらっているので、担当さんの役割はとても重要です。ご家族の人生に寄り添いながら常に好みの物、必要な物を手に入れてお買い上げいただくように、時には無償で働かないといけないことも。

お客様と外商員の信頼関係が大事なんですよね。


現実世界では全く縁のない世界なので、本の中ではちょっとお金持ち感覚が味わえてそれだけでも読んで良かったです。

主人公の頑張る女性も素敵でしたし、彼女の同居人もなかなか面白いですし、上司も良い感じ。シリーズ3作目まで発売されているので、早く続きも手に入れようと思います。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
タグ:高殿円
posted by DONA at 14:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2021年02月18日

青山美智子「猫のお告げは樹の下で」

TD005304_20200603095638.jpg

 青山美智子 著
 「猫のお告げは樹の下で」
 (宝島社)※電子書籍


失恋のショックから立ち直れないミハルは、ふと立ち寄った神社で、お尻に星のマークがついた猫――ミクジから「ニシムキ」と書かれたタラヨウの葉っぱを授かる。宮司さんから「その“お告げ”を大事にした方が良いですよ」と言われたミハルは、「西向き」のマンションを買った少し苦手なおばの家を訪れるが……。中学生の娘と仲良くなりたい父親。なりたいものが分からない就活生。家族をないがしろにしたと後悔する頑固おやじ。転校先でクラスに馴染めない男の子。20年来の夢を諦めるべきか迷う主婦。自分のしたいことに臆病になった占い師。なんでもない言葉をきっかけに、思い悩む人たちの世界がガラッと変わっていく――。猫のお告げが導く7つの温かい物語です。−出版HPより−


ニシムキ」「チケット」「ポイント」「タネマキ」「マンナカ」「スペース」「タマタマ」の7編収録。

初めましての作家さんです。軽く読める文章で読みやすかったです。

人生に疲れたり、迷ったり、悩んだりした男女7人が、偶然立ち寄った神社で不思議な猫・ミクジから、4文字のお告げの文字が書かれたタラヨウの葉をもらいます。

タラヨウの葉というのは、細いもので傷をつけたらそのまま残るので、手紙などにも使えそうです。そんな葉っぱに書かれる4文字。それが1話毎の題名にもなっている言葉たちです。


「ニシムキ」と書かれた葉をもらった女性は、失恋から立ち直れず毎日をぐずぐず過ごしていました。以前から苦手意識を持っていたおばの家にあそびに行くことになり、買ったばかりだというそのマンションが西向きであることに驚きます。苦手に思っていたおばさんの意外な面を見ることができ、生きるヒントをもらいました。


どの話も同じような展開で進むのですが、飽きることなく読めましたし、それぞれの悩みも共感できる部分があって、それを解決するときには同じようにスッキリ出来ました。

「チケット」は特に好きな話でした。中学生の娘と父親のよくある父娘関係の悩みなのですが、どうすれば仲良く出来るだろうか?と悩む父親が奮闘する話です。ここに出てくる奥さんが素敵だったんです。「私さぁ、決めてることがあるんだ」(中略)「生まれ変わったら、あなたの娘になるの。それで、べっとべとに愛してもらう」(中略)「でも今世は耕介さんの奥さんでけっこう満足してるから、今後もよろしく」 って言うんです。最高じゃないですか!素敵な夫婦です。娘が初めて、大好きなアイドルグループのライブに行った時の様子も一緒にワクワク出来て面白かったです。


他の話も悩みはそれぞれ違いますが、その人なりに深い悩みで、たった4文字のヒントから答えを導き出して、次のステップに進んでいく様子は読んでいてスッキリしました。

温かい文章と物語だったので、他の作品も読んでみようと思います。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
タグ:青山美智子
posted by DONA at 14:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2020年02月10日

ゆきた志旗「Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防」

9784086801133.jpg

 ゆきた志旗 著
 「Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防」
 (集英社オレンジ文庫)


物心ついた頃から“ブス”だったわたし。子供の時に参列した結婚式に憧れて、せめて誰かの幸せな瞬間を演出したいと、ウェディングプランナーの職に就いた。様々なお客様が人生の門出を祝おうとホテルを訪れる。そんなわたしが、やり手の美形上司・久世課長に求婚された!?「香澄さん、ずっと探していました。あなたのような・・・絶世のブスを」「はあ!?(怒)」
−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

文章自体は読みやすかったのですが、何度も出てくる「ブス」「ブス」という言葉にうんざりしてしまいました・・。

美人じゃなくても、心がきれいで、常に前向きに生きているカッコいい女性の話かと思ったのですが、予想よりも主人公が暗めだったのであまり好きになれず。

更に、上司というイケメンから何度も言い寄られるというシチュエーションもイマイチ好きになれず、しかもその上司がやたらと彼女に対して「ブス」と言うのがイライラしました。

この小説って誰が読んだら楽しめるんだろう??

ある程度自分の容姿に自信がある女性? それともブスが好きな男性?

共感できる所も多いですけど、共感したくないし、言葉がとにかく不快でした。

最後まで救いが無かったので、暗い気持ちのまま終了。

シリーズ化されているようですが、私はもういいかな?


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
タグ:ゆきた志旗
posted by DONA at 14:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2019年10月23日

大山淳子「あずかりやさん」

978-4-591-14527-2.jpg

 大山淳子 著
 「あずかりやさん」
 (ポプラ文庫)


「一日百円で、どんなものでも預かります」。東京の下町にある商店街のはじでひっそりと営業する「あずかりやさん」。店を訪れる客たちは、さまざまな事情を抱えて「あるもの」を預けようとするのだが・・。「猫弁」シリーズで大人気の著者が紡ぐ、ほっこり温かな人情物語。
−裏表紙より−


この文庫の表紙の上に、更にカバーが掛けられて売られています。

そのカバーにはこう書かれています。

それは、栃木の本屋さん「うさぎや」から始まった。「この本を一人でも多くの人に読んでほしい!」書店員たちの情熱は、オリジナルカバーやのれん仕掛けとなって結実し、2500冊という驚異の売り上げを記録することになったー。

つまり、元のカバーでは売れ行きがイマイチだったけど、オリジナルカバーを付けたら売れてきた・・ってこと!?なんだかびっくりな展開です。

カバーのせいばかりではないのでしょうが。書店員さんたちがそんなに薦める本なら面白いだろうと、貸してもらったので読んでみました。


この作家さんは猫弁シリーズを読んで馴染みがあるのですが、視点がコロコロ変わるのが読みにくいと思っていたので心配でした。今回はそこまで気にならずに読めましたが、視点が物だったりするのが読みにくかったです・・。


一日百円で何でも預かる、という店が舞台になっています。一日百円はコインロッカーを考えても安いですね。そして、期限内に取りに来なかったら、その預かり物は店主の物になるというシステム。

一見、良いね!って感じのシステムですけど、要らない物を捨てに来る人がいそうで心配です。実際、そういう人もいたようです。今時、物を捨てるのにもお金がかかるわけで、百円で捨てられたらラッキーですもんね。


店主は全盲の男性。だから、預かる物がどんな物なのか細かくは知ることが出来ません。それでも、持ち前の鋭い感性で、預けに来た人の事情や物の存在意義などを推理していくことで、色んな人たちを助けていきます。

そんな店主のことを、店先に掛けられているのれんや、客の座る座布団、店にあるガラスケースなどが温かく見守りつつ、語り部となって物語を進めていきます。


終始、温かい雰囲気の流れる物語でした。特に大きな盛り上がりもなかったですが、ほっこりできる内容で、殺伐とした小説などを読む合間に読むにはぴったりです。

続編も出ているようです。彼がどんな人生を歩んでいくのか気になるので、いつか読んでみようと思っています。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
タグ:大山淳子
posted by DONA at 14:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2019年10月07日

山本甲士「がんこスーパー」

9784758442060.jpg

 山本甲士 著
 「がんこスーパー」
 (ハルキ文庫)


リストラの憂き目に遭いつつも転職口が見つかりホッとしていた中年男・青葉一成。だがそれもつかの間、今にも潰れそうな弱小スーパーの副店長として派遣されることになってしまう。ミッションはもちろん売り上げアップ。しかし、店長には他店のスパイと疑われ、パートの面々もやる気なし。逆境のなかで、ある日ご近所の老女からヒントを得た青葉は、崖っぷちスーパー再生のために立ち上がる! 第二の人生を豊かにしたい人へ贈る、栄養満点の温かな物語。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

いきなり主人公がリストラされそうになっているところからスタート。でも彼・青葉は転職口があるので安心していたら、実はその就職先が潰れそうなスーパーだったとわかり、一気に落ち込みます。

近くに大手スーパーがあって、ほとんどの客を取られてしまっている状況のスーパー。その店をどうすれば立ち直せるのか?

スーパーの副店長という立場で行ったところ、店長からはスパイと疑われ、なかなか意見が通りません。そういうときに味方にすべきはパートのおばさまたち!

色々と話を詰めていくと、実はおばさまたちにも意見があって、それを取り入れていったら、青葉の意見も聞いてくれるようになります。こうやってうまくいくのは、パートさんたちがやる気がある場合だけですけどね。もしとりあえず自給さえもらえれば、という考えの人ばかりだったら、働く環境を変えようなんてこと思わないでしょうから。


まず始めたのは、お客さんに親身になって対応すること。来てくれる数少ない客を逃がさないでおこうという作戦です。笑顔で挨拶をし、手助けが必要なら声を掛け、何でもいいから会話をする。たったこれだけでも、パートさんも笑顔が増え、明るい雰囲気になりました。

確かに良い方法ですね。でも、私のように知らない人とは会話したくない人間にとっては、行きたくないスーパーですけど・・。


次に改革したのが、地元で採れる野菜の販売でした。「がんこ野菜」と名付け、地元の人が作った野菜を、作った本人の設定した値段で販売します。その野菜を使ったお惣菜も販売したところ、高評価!

お陰でどんどん経営も持ち直してきます。そうなると、少し余裕も出てきて、店内の細かい部分を修理したり、改装したりすることも出来て、良い方向に転がっていくんですね。


はっきり言って、こんなに簡単に経営が持ち直すなら苦労しないよ!というご都合主義的な展開なのですが、この話の場合はこれで良いと思います。とはいえ、もう1〜2回くらい何か展開があっても良かった気はしますけど・・。もう少しページ数を増やして。

大手のスーパーに出来ないことを、地元の小さいスーパーがやってくれたら、利用客としては本当に助かりますし、理想的ですよね。2軒回ればすべて揃うという状態になれば本当に素敵。

最後のオチも何となく見えてしまいましたが、想像通りの展開になってくれたことで、安心して読み切ることができました。


初めて読んだ作家さんでしたが、他も面白そうなので読んでみようと思っています。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
タグ:山本甲士
posted by DONA at 15:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2019年07月08日

伊坂幸犬郎・犬崎梢・木下半犬・横関犬・貫井ドッグ郎「Wonderful Story」

9784569767536.jpg

 
 伊坂幸犬郎・犬崎梢・木下半犬・横関犬・貫井ドッグ郎 著
 「Wonderful Story」
 (PHP文庫)


伊坂幸太郎・大崎梢・木下半太・横関大・貫井徳郎―当代きっての人気作家5人が、「犬」にちなんだペンネームに改名(?)して夢の競演。昔話でおなじみの犬の思わぬ裏話や、「犬吠埼」で繰り広げられる物語、悪人が連れてきた犬や、人のために働く盲導犬の抱える秘密、そしてやたらと見つけてくる犬の謎とは・・。個性豊かな犬たちが踊る、感動ありサプライズありの全体未聞の小説“ワンソロジー”、ここに登場!−裏表紙より−


イヌゲンソーゴ」「海に吠える」「バター好きのヘミングウェイ」「パピーウォーカー」「犬は見ている」の5編収録。

アンソロジーじゃなくて、ワンソロジーだそうです。

5人の作家がそれぞれ、名前の漢字の一字を犬に変えて、犬にちなんだ話を描いています。若干、強引な改名をされている方もおられますが・・。

多分、全員読んだことがある作家さんだと思いますが、木下さんと貫井さんはほとんど読んだことがありません。


よく読むというか、お気に入りの作家さんたち3人の作品は、やっぱり好みでした。

伊坂さんの「イヌゲンソーゴ」は、どんな展開を見せるのか楽しみで次々読みました。昔話や童話などなどの中で犬が出てくる有名なお話をモチーフに描かれています。これは何の話?と考えながら読むのも面白かったです。最後にすべてがきれいにまとまる所がスッキリ出来て良いです。

大崎さんの「海に吠える」は、ちょっと切ない物語でした。離婚しそうな両親の間に挟まれる形になってしまった小学生の男の子。田舎に引っ越すことになった父親と彼の生活は、都会に住む母親からは同情されるような環境。でも、彼は胸を張って生きていきます。もちろん、犬も彼を大きく助けることになります。

横関さんの「パピーウォーカー」は、題名の通り介助犬とそれを世話する家族や犬と家族を繋げる職員が登場します。介助犬に起こる出来事と、パピーウォーカーの関係性がちょっと切ない物語でした。介助犬の賢さとカッコよさを改めて感じさせられました。


ほとんど読んだことのない2人の作品は、やはりちょっと合わない部分も・・。

木下さんの「バター好きのヘミングウェイ」は、途中まで何を言っているのかわからない状態でした。最後の最後で、なるほどとスッキリはしたのですが、そこまでがガラも悪くて好みではなかったです・・。

貫井さんの「犬は見ている」は、ちょっとゾクッとしました。とはいえ、見られているのが犬ですから、まあそこまで怖くはないのですが、不気味な雰囲気に感じられました。


私は犬が苦手なのですが、物語としては読んでいても嫌ではなく、面白い話も多くて最後まで楽しめました。

きっと犬好きさんにはたまらない作品集だと思います。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
posted by DONA at 15:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他