泉ゆたか 著
「おんな大工お峰 お江戸普請繁盛記」
(角川文庫)※電子書籍
「息子を閉じ込める牢だって?」采配屋の与吉から普請仕事を請け負うおんな大工のお峰に、珍妙な依頼が舞い込んだ。笊職人の亀造の九つになる息子が、腕白を通り過ぎて長屋住人に迷惑をかけ続けており、女房と相談のうえ、家に牢を作る苦渋の決断をしたという。江戸城小普請方の家に生まれるも父を亡くし、大工として生きるお峰がひねり出した、痛快な代案の普請とは? ほっこり心が温かくなる人情時代小説!−出版社HPより−
「虎の極楽」「猫の柱」「親子亀」「弟の恋」「河童の家族」の5編収録の連作短編。
初めましての作家さんです。
読み始め引き込まれる雰囲気があったのですが、急に家を出た辺りから少し置いて行かれた感じはありました。すぐに話には入っていけましたが、一瞬「これ誰?」「なんのこと?」みたいな場面転換というか環境の変化がありました。
江戸城小普請方という普請を行う家に生まれたお峰。この時代、女が家を継ぐことはないわけですが、お峰は大工仕事が好きで、父親の仕事を見に行ってそばについているうちに腕も確かなものになっていました。
それでも家を継ぐのは弟。父親が亡くなり、家を存続させるために親戚に助けられながらも、弟にしっかり後を継いでもらおうと奮闘していましたが、弟がなかなかやる気を出してくれず。
悩んでいたところ、お峰には縁談が持ち込まれます。この時代、女は嫁に行って子を産んで、というのが当たり前、それが義務でしたから当然のことなんですが、お峰は何とかして大工仕事を続けたくて家を出ます。
家を出て頼ったのが昔仲良くしていた幼馴染でもある人の家。彼女は夫を亡くし、小さい子どもと実家で暮らしています。その家は采配屋という普請仕事を請け負って、その仕事を職人に割り振るという仕事をしているので、そこから仕事をもらおうとしたわけです。
女性の職人は珍しく、また信用もされにくいので普通なら雇ってもらえないのですが、采配屋がうまく立ち回ってお峰にも仕事を回してくれました。
一から家を作るというのではなく、建てた家や店に手を加えたり修理したりするのが主な仕事です。
珍しい依頼があったり、女性ならではの悩みが起きたり、屈辱を感じたり、苦労が絶えないですが充実した日々を送っています。
弟と再会するとまた別の悩みも出てくるわけですが、周りの人にも支えられながら乗り越えていきます。
お峰の成長と、この時代の生活の様子も見られて、登場人物たちのこともわかってくると楽しくなりました。
シリーズ2作目も手元にあるので、早めに読みたいです。
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