2022年06月06日

神楽坂淳「うちの旦那が甘ちゃんで 3」

9784065149898_w.jpg

 神楽坂淳 著
 「うちの旦那が甘ちゃんで 3」
 (講談社文庫)


江戸で「九両泥棒」というものが流行っていた。情報は入るが、盗難届は出ない。「十両以上の盗み」は打ち首、九両なら遠島。ぎりぎりの線を狙った盗賊だ。しかも、盗みに入るのは繁盛している料理屋ばかりらしい。風烈廻り同心の月也は、沙耶と料理屋を開いて囮捜査をすることに・・。大好評書下ろし時代小説。−裏表紙より−


2作目も読んだはずですが感想を載せていなかったようです。すでに内容は覚えていませんが。

相変わらずほのぼのとした雰囲気の話です。事件は起こるわけですが、そこまでひどい物ではないということと、同心であるはずの月也がのんびりしているのも原因でしょう。

お役目はしっかりこなしてはいるのですが、元々ほんわかとした雰囲気のする人なので、どうしてもふんわりとした話になってしまいます。


今回も小者の役目をはたしている妻の沙耶が目覚ましい活躍を見せます。本来であれば同心である月也が考えるべきことも、彼のいないところで考えて行動に移します。

沙耶は気配りの出来る人なので周りが手を差し伸べてくれて、彼女も実はあまり行動していない感じです。ある程度の考えを誰かに言うと、周りが具体化して実行してくれる。

羨ましい人物です。それだけ人間が良いということなのでしょうけど。


今回の事件は、かなり大掛かりな仕掛けで解決しましたけど、そこまでやらないとダメだったか?と後になると思いました。それくらいやった方がエンタメ性はありますけど。


巻の終わりには次作のプロローグ的な物が描かれているようです。次がいつ読むかわからないので、それまで読まずにおいておくことにしました。次の巻を読む前に読むつもりです。


<うちの旦那が甘ちゃんでシリーズ>
「うちの旦那が甘ちゃんで」


↓ ランキングに参加中 ポチッと押して下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:神楽坂淳

2022年03月10日

中島久枝「湯島天神坂 お宿如月庵へようこそ 三日月の巻」

978-4-591-16123-4.jpg

 中島久枝 著
 「湯島天神坂 お宿如月庵へようこそ 三日月の巻」
 (ポプラ社文庫)※電子書籍


如月庵は上野広小路から湯島天神に至る坂の途中にある、知る人ぞ知る小さな宿だが、もてなしは最高。気働きのある部屋係がいて、板前の料理に舌鼓を打って風呂に入れば、旅の疲れも浮世の憂さもきれいに消えてしまうと噂だ……。
そんな如月庵の離れに、謎の人物が逗留しているらしい。離れは女中頭の桔梗がつきっきりで世話をしているが、どうやら桔梗の過去にも関わりがあるようで……。
大好評お江戸人情シリーズ第2弾!
−出版社HPより−


久しぶりに読んだので、1作目のことはほとんど忘れていました。それでも特に困ることなく読めて良かったです。

ちょっと「お勝手のあん」シリーズと混同しそうではありますが。


如月庵は小さな宿。そこで繰り広げられるお客と部屋係との物語が描かれています。部屋係としてはまだまだ新米の梅乃は、1作目と同じようにお客さまに対してやりすぎなくらい世話を焼きます。

普通そこまでやるか?というか、もし自分が客として泊っていたらそこまでやられたら逆に嫌になりそうと思うくらい。


お客さまの家族の問題にまで首を突っ込んだり、お客さまの代わりに料理屋に行ったり、お客さまの代わりに友人を説得しに行ったり。
さすがにそこまでやるか?と言われてしまうこともあるのですが、最終的にはみんな感謝するということはこれで良いのかもしれませんが、本当に心配になります。

宿に泊まっただけの人にそこまでするのが「お・も・て・な・し」だとすれば、働けないなとつくづく思います。


今回は女中頭の過去にも少し触れていますし、謎めいたお客さまもいて少し盛り上がる所もあり、1作目よりもサクサク読めました。

まだ続くようなので、また機会があれば読むつもりです。

<如月庵シリーズ>
「お宿如月庵へようこそ」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:中島久枝

2021年11月29日

今村翔吾「九紋龍 羽州ぼろ鳶組」

034375.gif

 今村翔吾 著
 「九紋龍 羽州ぼろ鳶組」
 (祥伝社) ※電子書籍


火事を起こし、その隙(すき)に皆殺しの押し込みを働く盗賊千羽(せんば)一家が江戸に入った。その報を受け、新庄(しんじょう)藩火消通称“ぼろ鳶(とび)”組頭・松永源吾(まつながげんご)は火付けを止めるべく奔走(ほんそう)する。だが藩主の親戚・戸沢正親(とざわまさちか)が現れ、火消の削減を宣言。一方現場では九頭の龍を躰(からだ)に刻み、町火消最強と恐れられる「に組」頭“九紋龍(くもんりゅう)”が乱入、大混乱に陥(おちい)っていた。絶対的な危機に、ぼろ鳶組の命運は!?−出版社HPより−


今回の悪者は、火付け盗賊団です。

この時代に火付けをするのは、それだけでも死罪になり、家族や親戚までもが罪に問われるくらいの大罪だというのに、火事の隙に盗みまで働くとは!なんてひどい奴ら!と憤っていたら、更にその店の奉公人を女子どもも容赦なく殺してしまうという極悪非道ぶり。

これは思いっきり憎めますし、やっつけがいのある悪者たちなので、最終的にすっきり爽快で終わってくれるだろうと読み進めていると、謎の火消が現れます。

なぜか、火事の現場で弥次馬たちを遠ざけようと暴れる火消です。野次馬たちとの乱闘があるせいで、他の火消も火事場に駆けつけることが出来ずにまたケンカになって、現場は大混乱になっていました。

火消一人が相手なら倒して行けそうなものですが、その火消は身体も大きくて力も強かったため、倒すことも出来ず毎回苦戦させられました。

また、かなり無口で親しい人もいないため、なぜそんな行動をとっているのかを聞き出すことも出来ませんでした。

本当は火付け盗賊団だけを相手にすればいいはずなのに、謎の火消が立ちふさがるせいで、思うように犯行を止められません。


なぜその火消はそんな行動をするのか?盗賊団の正体は?など早く答えが知りたくて次々と読み進めることになりました。

途中には、源吾の奥様の言動に笑わされ、残虐な犯行を少し薄めてもらいながらの読書でした。


源吾やその仲間たちはもちろんかっこいいのですが、誰よりも奥様がかっこよくて面白くて大好きになりました。最後の場面でも大活躍してくれて、今後も楽しみな存在になりました。


まだまだ続きそうなシリーズ。次々追いかけていこうと思います。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

2021年11月02日

佐々木裕一「姫のため息 公家武者信平ことはじめ(二)」

9784065219270_w.jpg

 佐々木裕一 著
 「姫のため息 公家武者信平ことはじめ(二)」
 (講談社)※電子書籍


京都の公家から江戸の武家へ。前代未聞の転身を遂げた信平。婚儀を結んだ妻・松姫は紀州徳川家の姫君だった。藩主は信平が千石取りの旗本になるまでは輿入れをさせない心づもりだが、松姫はひと目見た信平を忘れられず……!(「姫のため息」)実在の公家武者が秘剣で成り上がる時代小説、始まりの物語第二弾!−出版社HPより−


前作で本人があまり意識しないうちに結婚することになった相手・松姫が再び登場します。周りは2人がお互い会ったこともなく顔も知らないと思っていますが、実はお互い名乗らないまま会っていましたし、松姫の方は信平のことを認識していて、更には好ましく思っていました。

信平の方は綺麗な女性に会ったとは思っていますし、ちょっと好きかも?という感じになっていますが、その人が松姫だとは知りません。こういう展開ってもどかしいです・・。

でも松姫はかなり積極的なご様子。なのでうまく父親を説得して結婚までもっていきそうではあります。


この2人の恋はともかく、松姫の父親はある騒動に巻き込まれて行くため、だんだんときな臭い雰囲気に。父親に直接手を出すのは難しいから娘を何とかしようと考えている悪者が。

そういう安易な発想をするのがものすごく腹が立ちます。だからあんたたちは出世できないんだよ!と言ってやりたい気分になります。

そのおかげで松姫と信平が良い感じな雰囲気になっていくわけですから、良かったのかもしれませんけど。


表題作以外の話でも、信平は優男に見せつつ強いという場面がたくさんあり、爽快な終わり方をしてくれます。家臣というか、お目付け役の2人も信平に文句を言いながらも好きになってきているようですし、2人とも強くもあるのでカッコいい場面もあり彼らのことも好きになってきました。

松姫も可愛い性格をしていますし、今後はどうなっていくのか気になります。

まだまだ話は続くのですが、こんな感じでのんびりと過ごしながら悪者を倒していくのでしょうね。まるで暴れん坊将軍のようです。いや、暴れん坊将軍をかっこよく若くして、公家の格好をしないといけないですね。


先は長そうですが少しずつ追いかけていきます。


<公家武者信平ことはじめ>

「狐のちょうちん」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

2021年10月26日

今村翔吾「夜哭鳥 羽州ぼろ鳶組」

034337.gif

 今村翔吾 著
 「夜哭鳥 羽州ぼろ鳶組」
 (祥伝社)※電子書籍
 

「八咫烏(やたがらす)」の異名を取り、江戸一番の火消加賀鳶(かがとび)を率(ひき)いる大音勘九郎(おおとかんくろう)を非道な罠(わな)が襲う。身内を攫(さら)い、出動を妨害、被害の拡大を狙う何者かに標的にされたのだ。家族を諦(あきら)めようとする勘九郎に対し、「火喰鳥(ひくいどり)」松永源吾(まつながげんご)率いる羽州(うしゅう)「ぼろ鳶(とび)」組は、大音一家を救い、卑劣な敵を止めるため、果敢に出張るが……。業火(ごうか)を前に命を張った男たちの団結。手に汗握る傑作時代小説。−出版社HPより−


今回の事件は、かなり腹が立つ卑劣な物でした。動機も納得できませんし、あり得ない物。そんなことで放火するとか意味がわかりません。他に方法があると思うのに、悪い奴というのはほんと浅はかですね。浅はかだからこそ捕まるんですけど。


ぼろ鳶組と並んで人気の高い、加賀鳶組。その組頭である勘九郎も事件に巻き込まれてしまいます。その他の火消たちも次々と犠牲に。

火消といっても、武家が抱えている火消もあれば、町で町人が作っている火消もあります。ただ、その出動にはいろいろと手順があるそうで、その面倒臭いところを利用されて、今回の火付けは行われました。

出動を促す鐘を鳴らすのが誰が一番じゃないといけないとか、その鐘が鳴らされないと出動できないとか・・。

火をつけた悪者は、火事を広げて被害を大きくしたいので、鐘を鳴らすのを出来るだけ遅らせようとしました。そのために取った行動が腹が立つ! 火消本人を狙うのではなく、身内を攫って脅すというやり方!

しかもその動機がくだらない! ひたすら腹が立つ相手だったので、同情することも無く、ただただぼろ鳶組の人たちと他の火消たちを応援していれば良かったのである意味読みやすく、入り込みやすかったですけど。


今回もぼろ鳶組の人たちの活躍ぶりと、頭である源吾の潔さと、その奥様の嫌味の効いた言葉の数々にスカッとさせられました。いつも頼りなさげな新之助も大活躍で、彼のかっこよさが際立っていましたし、新たな仲間も増えてこれからも楽しみになりました。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:今村翔吾

2021年07月12日

佐々木裕一「狐のちょうちん 公家武者信平ことはじめ(一)」

9784065213070_w.jpg

 佐々木裕一 著
 「狐のちょうちん 公家武者信平ことはじめ(一)」
 (講談社文庫)※電子書籍


十五歳の公家・信平は仏門に入ることを嫌い、将軍・家光の正室である姉の孝子を頼って江戸に出た。五十石の貧乏旗本暮らしを始めた信平は、清き心と秘剣の腕で、江戸を大きく揺り動かしていく。 公家から名門・鷹司松平家を立ち上げた実在の傑人を描く大人気シリーズ、その始まりの物語が大幅に加筆し登場!−出版社HPより−


ずっと気になっていたシリーズでしたが、既刊冊数が多くて手を出すのをためらっていました。この度、新装版として再版されたのでとりあえず電子書籍で購入してみました。


結果、面白かった!

読んで良かったです。今後も追いかけていきたいシリーズになりました。


時代小説ですが、軽くサラッと読める内容です。


主人公は公家の出身である松平信平。松平という姓でわかる通り、身分は高いですが、家を継げることはないので、仏門に入るしかない状態でした。でもそんな生活を嫌がった信平は将軍の正室である姉を頼って江戸に出ました。

一応、正室の弟ということで受け入れてはもらえますが、姉の立場も微妙な感じで、結局は五十石というお安い給料で武士になることに。

使用人も2人つけてもらえましたが、1人は老武士の葉山、もう1人はお初という女性で家事全般を引き受けるはずが何やら怪しい雰囲気です。結局、2人とも幕府から遣わされたお目付け役ということなので、かなり窮屈な生活を強いられるはずでした。

でも信平の性格がとてものびのびしていてあまり些末なことにこだわらないので、お目付け役に見守られながらもマイペースに生活していきます。

特にお役があるわけでもないですし、出世欲も無い信平は毎日町をぶらぶらして暮らしていきます。そんな日常に起こる様々な問題に立ち向かっていくのがこの物語の主軸になるわけです。


1冊の間に数年が経つのですが、数年経つとは思えないくらい姿も言葉使いも変えない信平は、いつまでも自分のことを「まろ」といいますし、公家の衣装を着たままうろつくので、ちょっとした有名人になりました。

見た目もカッコいいということなので、女性は放っておかないようですが、信平自身は興味がなさそうです。

かっこよくて剣の腕もたつ信平。彼の活躍が今後も楽しみです。

少しずつ追いかけていこうと思います。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:佐々木裕一

2021年05月26日

今村翔吾「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」

9784396342982 (1).jpg

 今村翔吾 著
 「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」
 (祥伝社文庫)※電子書籍


かつて、江戸随一(ずいいち)と呼ばれた武家火消がいた。その名は、松永源吾(まつながげんご)。別名、「火喰鳥(ひくいどり)」――。しかし、5年前の火事が原因で、今は妻の深雪(みゆき)と貧乏浪人暮らし。そんな彼の元に出羽新庄(でわしんじょう)藩から突然仕官の誘いが。壊滅した藩の火消組織を再建してほしいという。「ぼろ鳶(とび)」と揶揄(やゆ)される火消たちを率(ひき)い、源吾は昔の輝きを取り戻すことができるのか。興奮必至、迫力の時代小説。(解説・吉田伸子)−出版社HPより−


この作家さんの「くらまし屋」シリーズを読んで面白かったので、こちらも読んでみました。読書メーターで読友さんにお勧めもされました。

なるほど、面白かった!

くらまし屋は裏の稼業なわけですが、こちらはきちんとした公の仕事、火消です。しかも、武家火消。そういうのがあるのは知りませんでした。そういえば、よく「町火消」って言いますね。町人がやるか、武士がやるかってことでしょうね。なぜ両方必要なのかはよくわかりませんけど。

もしかしたら、武家屋敷での火事を町火消では消しにくいのかな?


このシリーズの主人公は松永源吾という火消として活躍していた人。昔は「火喰鳥」という異名を付けられるくらいのカリスマ的火消でしたが、大きな火事が原因で心に傷を負ってしまい、火消を辞めて浪人暮らしをしていました。

そんな彼の昔の姿を知っていた、とある武士から誘いを受け、出羽新庄藩の火消組織を立て直すという大役を引き受けることに。

財政難でもある藩なので、お金が掛けられない中での立て直し。もともといるメンバーたちも素人のような動きしか出来ない人たちでした。そこでまず始めたのは、使える人を探すことでした。

とはいえ、お金が足りないので町火消から引き抜いたり、他の藩から引き抜くわけにはいきません。

日常生活を送りながら、気になる人を見つけていった源吾。力が強かったり、身軽で屋根の上にも飛び乗れたり、風をよむことで火の流れをみることができたり、色んな才能をもった人たちを仲間にすることが出来ました。

せっかく良い仲間を見つけたのに、実は源吾に問題が。引退することになった5年前の心の傷が癒えておらず、実は火が怖かったのです。それをどうやって乗り越えていくのかが一つのテーマになっています。


昔は火事が起きたら、火を消すというよりも延焼を防ぐために風下の家を壊していくという方法で、火事を止めていました。何とももどかしい状態です。そんな危ない現場に飛び込んでいくのはかなり勇気がいるでしょう。

率先して飛び込んでいく源吾たちの姿は本当にかっこよくて、惚れ惚れしながら読み進めました。


更に、源吾の奥さんが良い味を出しているんです! 旦那さんに対して冷たい感じがするのですが、さすが火消の妻、かっこいい姿を見せてくれました。

続きも楽しみです。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:今村翔吾

2021年04月22日

尾崎章「替え玉屋 慎三」

502.jpg

 尾崎章 著
 「替え玉屋 慎三」
 (祥伝社文庫)



表向きは評判の髪結い。その裏稼業は、巧みな化粧で人を他人そっくりに仕立て上げ、機知と騙りで悪を退治する「替え玉屋」―お武家嫌いの町人慎三は、ある小藩の窮状を聞き、渋々腰を上げる。筆頭家老一派による米横流しの絡繰りを暴いて糾弾すべく、死んだはずの男の替え玉を国許に向かわせ…。慎三の仕掛ける二重三重の罠が悪を追いつめる、痛快時代小説!書下ろし。−裏表紙より−


先に2作目から読んで面白かったので、1作目に戻ってみました。主人公・慎三がなぜこんな稼業を始めたか?がわかるかと思ったのですが・・。

結局そういう謎の部分は謎のままで、もちろん慎三の過去も秘密のままでした。その辺りは少しずつ明らかにしていくんでしょうね。


今回の依頼は、武家からでした。武士が嫌いな慎三ですが、依頼内容を聞いて引き受けることに。

その内容は、時代小説や時代劇のファンなら、「はいはい、ありがちなやつね」って感じです。藩の中の一派が悪事を働いて、でもその中心人物が藩の中でも重要な役についているので誰も反抗できない・・というパターン。

そしてヒーロー登場! このままではいけない!と勇気をもって、命を懸けて立ち上がる人がいるんですよね。そして、そのヒーローは悪者たちによって殺害されてしまう。

でもそれで終わってしまったら、悪が勝ってしまうので、必ずその遺志を継ぐ人が現れます。

今回は遺志を継いで立ち上がった人たちを助けるのが依頼。うんうん、よくあるやつね・・と思うはず。普通の時代小説なら、ものすごく腕の立つ剣客を用心棒にして、その剣客がバッサバッサと敵を倒して行くのですが、この小説では違います。

ここで「替え玉屋」という意味が出てくるわけです。どうやって依頼を成し遂げたのか、更に痛快なこともたくさんあるので、そこは読んでのお楽しみということで。


主人公・慎三はまだキャラクターがわかりにくいですが、他の人たちは魅力的です。代筆屋・文七、元盗人・辰吉、剣客・新之丞。彼らの協力なしでは依頼を成し遂げられません。慎三の理解者でもあり、熱くなってしまうのを抑えたり、役目がたくさんあって、大活躍です。


シリーズはまだ続いているので、早めに続きも読むことにします。


<替え玉屋慎三>
「伊勢の風」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

2021年02月10日

辻堂魁「帰り船 風の市兵衛」

033621.gif

 辻堂魁 著
 「帰り船 風の市兵衛」
 (祥伝社文庫)


日本橋小網町の醤油酢問屋「広国屋」に風のように一人の男が現われた。“算盤侍”の唐木市兵衛である。使用人の不正を明らかにしてほしいということだったが、折しも広国屋で使う艀に直買い(密輸)の嫌疑がかかっていた。市兵衛は店を牛耳る番頭の背後にいる、古河藩の存在を知る。その側用人と番頭の企みとは?風の剣を揮う市兵衛の活躍やいかに。−裏表紙より−


シリーズ3作目です。2作目の感想は書いていませんが・・。いつか再読して書く予定。


あらすじを読んで、そういえば「算盤侍」だった、と思い出すくらい、算盤が出てこない巻でした。しかも事件自体、特に調査するまでもなくちょっと突ついてみたらどんどん敵の方からボロを出す状態で、苦労なく解決します。

でもその分、市兵衛の剣の強さが際立った感じはしたのでそれはそれで良いのかもしれません。


武士の時代、武家にとっては見栄を張るというか、身分相応の見せ方をしないといけないのに財政は苦しくて、でも大っぴらに副業をするわけにもいかず、商人に頭を下げてお金をもらうのはプライドが許さないし、でもお金は必要で。

そうなると、藩の中でもお金を持っている者は重宝されますし、上の人にお金を撒いて出世出来たりします。戦国時代なら敵の大将の首をとったら出世できることもあるのですが、平安な時代にはそうもいきません。だから、出世したい人はお金がもっとたくさん欲しい。

どうやってお金を手に入れるか?知恵を絞ると、やはり違法な所に手を出すんですよね。これはいつの時代も同じです。こういう違法なことをしてお金を得る人の話を読む度に、こういう悪いことに頭を使えるなら他の方法も考えられそうなのにと思います。

そして巻き込まれるのは、商人の中でも出世が見込めないような二番手三番手の人たち。違法なことをすればお金が手に入る立場にあり、働いている店に対して不満があると付け込まれます。

「広国屋」の番頭たちもある意味被害者ではあるんですが、徹底的に悪者として描かれているので、彼らが負けた瞬間、スカッと出来るのは良かったです。


今回も出て来た気味の悪い敵。変な技を使う女性なのですが、市兵衛の好敵手となりそうです。

読みやすくて面白い時代小説なので、続きも読んでいく予定です。

<風の市兵衛>
「風の市兵衛」

↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

2021年01月19日

中島久枝「お宿如月庵へようこそ」

978-4-591-15635-3.jpg

 中島久枝 著
 「お宿如月庵へようこそ」
 (ポプラ文庫)※電子書籍


時は江戸。
火事で姉と離れ離れになった少女・梅乃が身を寄せることになったのは、お宿・如月庵。
如月庵は上野広小路から湯島天神に至る坂の途中にあり、知る人ぞ知る小さな宿だが、もてなしは最高。かゆいところに手の届くような気働きのある部屋係がいて、板前の料理に舌鼓を打って風呂に入れば、旅の疲れも浮世の憂さもきれいに消えてしまうと噂だ……。
梅乃は部屋係として働き始めるが、訪れるお客は、何かを抱えたワケアリの人ばかり。
おまけに奉公人達もワケアリばかり。美人で男好きな部屋係に、いつもパリッとしているがやたらと強い中居頭。強面で無口だが心は優しい板前、宿に来るお客を全て覚えている下足番。そしてそれらを束ねる女将。
個性豊かな面々に囲まれながら、梅乃のもてなしはお客の心に届くのか? 
そして、行方不明の姉と再会は叶うのか?
心温かくなるお江戸人情シリーズ第一弾!
−出版社HPより−


初めましての作家さんです。読書メーターでの感想を読んで面白そうだったので、とりあえず電子書籍で手に入れました。

文章は軽くて読みやすい感じでしたが、いきなり重い展開になったのでちょっとペースダウン。主人公に魅力を感じる前にいきなりだったので、大変なことになった・・とは思いましたが、これからどうなるんだろう?大丈夫かな?といった感情があまり湧かず。

しかも、読んでいる途中でお気に入りの作品が発売されたのでそちらを読んでしまい、ますます読み進められず。似たような雰囲気の本を挟んだらダメですね・・・。


火事のせいで唯一の肉親だった姉とはぐれてしまい、天涯孤独となった主人公・梅乃。如月庵という宿に拾われる形で、部屋係として働くことになりました。小さいながらも評判のお宿ですが、やって来るお客さんたちは色々訳ありの人が多く、問題を起こしてくれます。

梅乃は新人なのですが、担当したお客さんの役に立ちたい!という思いが強すぎて、そこまで口を出すか!?ということも言ってしまいます。言った後で「どうしよう?」と悩んでしまいます。


その度に、他の奉公人たちに助けてもらったり、突き放されたりしながら何とか解決していきます。


この物語の大きな軸としてあった、火事で行方不明になった姉の捜索というのがあるのですが、それがあっさりと解決してしまってびっくり。更に、しきりに「この宿には秘密がありそう」と書かれている割には、特に変わったことがあるように感じられないのも気になります。何かの布石なのか??

シリーズ何冊か出ているので、追いかけていけば色々解明されるのでしょう。

次も電子書籍で手に入れて読むことにします。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:中島久枝

2021年01月05日

今村翔吾「くらまし屋稼業」

9784758441803.jpg

 今村翔吾 著
 「くらまし屋稼業」
 (ハルキ文庫)※電子書籍


万次と喜八は、浅草界隈を牛耳っている香具師・丑蔵の子分。親分の信頼も篤いふたりが、理由あって、やくざ稼業から足抜けをすべく、集金した銭を持って江戸から逃げることに。だが、丑蔵が放った刺客たちに追い詰められ、ふたりは高輪の大親分・禄兵衛の元に決死の思いで逃げ込んだ。禄兵衛は、銭さえ払えば必ず逃がしてくれる男を紹介すると言うが──涙あり、笑いあり、手に汗を握るシーンあり、大きく深い感動ありのノンストップエンターテインメント時代小説、ここに開幕!(解説・吉田伸子)−出版社HPより−


初めましての作家さんです。読書メーターでの感想を読んで面白そうだったので、とりあえず電子書籍で手に入れました。


物語の始めにいきなり主人公・堤平九郎が出てくるのですが、すぐに違う人たちの話が始まります。しかもかなり不穏な雰囲気。やくざ稼業から抜け出そうとする2人の男たち。やくざ稼業から抜け出すだけでも大変なことなのに、親分に指示されて集めに行ったお金を持ったまま逃げるという恐ろしいことをしようとしていました。

当然、あっという間にたくさんの手下たちから命を狙われます。このままでは殺されてしまう・・という状態で逃げ込んだのは、別の親分の元でした。

しばらくは匿ってもらえますが、やはりこちらの親分としても、別の家の手下たち(しかも当然ながら強面の男性たち)に周りでウロチョロされると鬱陶しいわけで、親分としては追い出したい・・。そこで「くらまし屋」の出番です。

くらまし屋というのは、夜逃げ屋のことですが、夜逃げよりも更に巧妙に逃がしてくれます。

ただし、その分だけ料金はお高め。くらまし屋の堤平九郎と一度会って話をした上で、逃がしてもらえるかが決まるという大変さもあります。

逃がすと決めたら、絶対に何があっても逃がす、という謳い文句だけに、くらまし屋としても自分たちが「逃がそう」と思える相手でないとやりません。


くらまし屋のメンバーは、平九郎の他に、七瀬というしっかりしてきれいな女性と赤也という色んな人に化けられるきれいな男性の3人です。

平九郎は普段は飴屋をしているのですが、ものすごく剣の腕も立ち、何やら暗い過去を抱えている感じです。他の2人も色々ありそうですが、平九郎が一番謎めいています。



彼らの人生も気になりますし、3人の掛け合いが面白いですし、逃がす側だけではなく逃がしてもらう側の人生も興味深いですし、更には今回出て来た強い敵もまだまだ出て来そうなので、続きがとても楽しみになりました。

実際にすでに2作目も読みましたが、変わらず面白かったので、これからも追いかけていく予定です。


しかも、この作家さんの他のシリーズも面白いそうで、そちらも読んでみようかな?でも先にこちらのシリーズを読み切った方が良いかな?と悩み中。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:今村翔吾

2020年02月19日

尾崎章「伊勢の風 替え玉屋慎三」

034601.gif

 尾崎章 著
「伊勢の風 替え玉屋慎三」
(祥伝社文庫)


廻船問屋尾張屋は、商売敵である遠州屋の差し金で、専売許可札を盗まれ燃やされてしまった。札がなければ船荷が番所を通関できず、店は潰れる。尾張屋に泣きつかれた稀代の策士慎三は、荒事に不向きな筆屋の文七を尾張屋の船に乗せ、見切り発進させる。手本もない札の花押、署名、割り印をどう復元するというのか。江戸から伊勢へ、遠州屋と瀬戸際の攻防が始まる。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。新しい作家さんに出会いたくて、、「本が好き」で献本申し込みしました。


替え玉屋慎三というシリーズの2作目ということで、話についていけるか不安でしたが、全然大丈夫でした。

もちろん1作目から読んだ方が、登場人物たちの人となりや状況などがより深くわかるので、もっと面白いと思いますが、話自体は2作目から読んでも楽しめました。



替え玉屋という裏の稼業を持つ慎三。彼の元にやって来た廻船問屋尾張屋は、炭の専売許可札を盗まれてしまったことを打ち明け、取り返してほしいと泣きつきます。

主人が殺され、跡取り息子も放蕩三昧で家に寄り付かないありさまの尾張屋は、商売がうまくいかなければ店をたたむしかない状況にまで追い詰められています。

盗み出したのは、慎三の仲間である辰吉と因縁のある男とわかり、彼の復讐のためにも手を貸すことに。


この慎三という人物がどうしてこんな稼業を始めたのか?や、何よりも彼がどんな人生を歩んできてどんな人物なのかということは、2作目だけあってほとんど語られず。

訳アリの人たちを使って仕事をする、しかも裏の仕事なのですから、しっかりした人物かと思えば、ちょっと抜けたようなところもあって、でもかなりの切れ者でもありそうで、彼の人柄がわからないのがちょっと残念ではありました。


専売許可札の盗難にはライバル店が絡んでいる上に、役人も一枚噛んでいる状況・・。まあこれは予測できる展開ですが、この大ピンチをどうやって逆転するのか、本当にハラハラさせられました。

そんな難題に挑むのが、頭である慎三ではなく、仲間内でも二番手とされる文七という筆屋。本当に大丈夫か?と本人も不安になりますが、色んな人の助けも借りながら何とか成し遂げます。


ハラハラさせられる分、最後は痛快! 読み終わったらスッキリ!でした。

でも、慎三に何か起こりそうな雰囲気を最後に残してあったので、続きがものすごく気になります。


そして何より、1作目を読んでみたい!と強く思ったので、早く手に入れたいと思います。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:尾崎章

2019年12月23日

今井絵美子「行合橋 立場茶屋おりき」

9784758433075.jpg

 今井絵美子 著
 「行合橋 立場茶屋おりき」
 (ハルキ文庫)


行合橋は男と女が出逢い、そして別れる場所―品川宿にある立場茶屋おりきの茶立女・おまきは、近頃度々やって来ては誰かを探している様子の男が気になっていた。かつて自分を騙し捨てた男の顔が重ったのだ。一方、おりきが面倒をみている武家の記憶は戻らないまま。そんな中、事件が起きる・・(「行合橋」)。亀蔵親分、芸者の幾千代らに助けられ、美人女将・おりきが様々な事件に立ち向かう、気品溢れる連作時代小説シリーズ、待望の第二弾、書き下ろしで登場。−裏表紙より−


「はまゆう」「行合橋」「秋の果て」「名草の芽」「別れ霜」の5編収録。


早めに読むと言いつつ、前作を読んでから2年以上経ってしまいました。お陰で細かい部分はすっかり忘れてしまっていました。


読みながら、そういえば立場茶屋ってどんな店なのかよくわからないんだったな・・とか、おりきの人柄とかを少しずつ思い出す感じでした。

結局、立場茶屋の意味がよくわからないですけど、とにかくランチもやっているカフェのような感じだろうとは思います。ウェイトレスと料理人がいて、それぞれの役割も現代と同じ感じです。


常連さんは顔を覚えられて、少しすいている時間に来ているお客さんは、店員さんとも話す機会が増えて、色々と細かい事情も知っています。そうなると、その事情によっては店員さんが巻き込まれ、巻き込まれた店員さんを気遣って女将のおりきも巻き込まれていく・・という展開が多くなっています。


現代と違って、電話やメールなんかが無いせいで、もどかしい状態になることもしばしば。

例えば、おりきの所で預かっている、記憶を無くした武士なんかのことも、ネットで情報を求めたらすぐに素性がわかりそうですが、この時代なのでどこの誰だかわからないまま話が進んでいきます。

そんな武士とおりきとの間にちょっと素敵な雰囲気が流れ始めたと思ったら・・・。


おりきの過去も少しずつ明かされていっていますが、まだ細かい事情が残っていそうです。

そして、武士の素性はどういうものなのか? おりきとの関係はどうなるのか? 

色々と気になることが満載状態で終わってしまったので、今度こそ早めに読もうと思います。


<立場茶屋おりき>
「さくら舞う」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:今井絵美子

2019年06月24日

神楽坂淳「うちの旦那が甘ちゃんで」

9784065118306_w.jpg

 神楽坂淳 著
 「うちの旦那が甘ちゃんで」
 (講談社文庫)


はっきり言って月也は「ぼんくら」である。月也とは沙耶の旦那で、風烈廻方同心を拝命している。のほほんとした性格から盗人を取り逃がすことが多く、小者(付き人)たちは愛想を尽かして次々と辞めていった。次の小者を誰にするか。考えあぐねていた沙耶が思いついたのは、なんと「自分」だった。―新感覚時代小説。−裏表紙より−



初めましての作家さんです。

ポップな雰囲気の表紙絵そのままに、軽いタッチで描かれた時代小説です。時代小説を読み慣れない人でも読みやすそうで、お勧めです。


「風烈廻方」というあまり聞きなれない役に就いている月也。風烈廻方とは、町奉行所の中の部署で、火事が起きないように風の強い日でも昼夜問わず見回る役のことだそうです。その同心として働いています。

同心というのは、1人で見廻るわけではなく、小者を連れていきます。小者に、犯人や容疑者を確保する際に必要な道具を箱に入れて担がせてついて来させるわけです。

同心は、さっと身軽に動けるように何も持たずに歩いているわけですね。何だか便利なのか不便なのかわからないですが・・。


ここに出てくる月也は、「ぼんくら」と陰で言われてしまうような人。それでよく同心なんかやってると感心しますが、読み進めるとなるほどと納得できる所もたくさんありました。頭の方はあまりよくないようですが、剣術の腕は確かで、大抵の人には負けませんし、義理人情に厚いので、良い采配を振るうこともあって「いいことしたね〜」と思うときもあります。

でもその分、その優しさに付け込まれてしまうことも多々あり、問題も多い人物です。

そんな同心のそばにいても、出世は見込めないから、小者も付いていたくないんですよね・・。まあわからなくもないです。働くのは楽そうですけど。


月也の奥さん・沙耶は、かなり頭の切れる女性です。良い人を妻にしたな〜とそこだけは評価したいくらいです。

沙耶は、自分の旦那が頼りないことをよく知っています。小者が居つかない理由もわかっているので、何とかしたいとは思うのですがなかなか。そこで思いついたのが、自分が小者になるということ。

これには月也が「格好悪い」と拒否します。そんなこと言っている場合か!と叱りたくなりますが、まあ妻に荷物を担がせてついて来させるのはかなり格好悪そうですからね・・。

とはいえ、自分で担いで歩くのもかなりみっともないので、沙耶にお願いすることに。

沙耶がついてきてくれるお陰で、事件もどんどん解決していきます。

沙耶は普通に捜査するのではなく、色んな知恵を働かせて解決に導いていきます。その方法は感心してしまいました。

ほんと、出来た奥さんです。


沙耶のお陰で出世もしていきそうな月也。まだシリーズは始まったばかりなので、今後の展開が楽しみです。


↓ ランキングに参加中 ポチッと押して下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:神楽坂淳

2019年06月20日

風野真知雄「妻は、くノ一 星影の女」

321804000139.jpg

 風野真知雄 著
 「妻は、くノ一 星影の女」
 (角川文庫)


平戸藩御船方書物天文係の雙星彦馬は、天体好きの変わり者。そんな彦馬の下に、織江という嫁がやってきた。彦馬は、美しく気が合う織江を生涯大切にすると誓うも、わずか一月で新妻は失踪してしまう―織江は平戸藩の前藩主・松浦静山の密貿易疑惑を探るため、幕府が送り込んだくノ一だった。そうとは知らない彦馬は、織江の行方を追って江戸へ。様々な謎を解きながら愛する妻を捜す、彦馬の新たな暮らしが始まった!−裏表紙より−


初めましての作家さんです。 ネットで絶賛されていたので読んでみました。

初めての作家さんのときは、文章が慣れなくて始めが読みにくいことが多いです。この作品も例外ではなく、話に入りにくい部分がありました。


彦馬という天体が好きで、天体の話ばかり夢中になってしまう変わり者がいました。そんな彼になぜかきれいなお嫁さんがやってきます。美人なだけではなく、彦馬と話も合う織江のことをかなり気に入り、末永く幸せに暮らしていけると信じていたのですが、突然失踪してしまいます。

失踪直前に、織江が誰かと戦っているのを見た彦馬。でもそれは夜の闇の中で見たことなので、本当にそうだったかは確信がもてませんでした。

失踪してしまった織江のことが忘れられず悩む彦馬に、織江が江戸にいたという情報が入ります。

この時代、簡単に外に出ていくことが難しく、日数もかかることから、まだ若いのに隠居を願い出て、甥っ子に家督を譲って江戸へ旅立つことにしました。

たった一月一緒に暮らしただけの女性のことをここまで想い続けることが出来るのは、ある意味変わり者でもありますし、ちょっとうらやましくもあります。ここまで愛される織江は幸せ者です・・。


織江がなぜ失踪したのか?は、読者にはわかるようになっています。彦馬のいた藩を探っていたくノ一で、とりあえず任務を終えて戻っていたのです。とはいえ、まだ完璧に任務が終わったわけではなく、またこの藩のことは探ろうとはしているようですが、織江は面が割れているので違う人を使いそうです。


1作目は彦馬の江戸までの道中の様子と、織江のその後、そして江戸で彦馬がどんな暮らしをしていくのか?が描かれています。

純粋な彦馬が一方的に騙されているなら居たたまれないですが、どうやら織江も憎からず思っているようで、そこは救いです。

今後二人が再会する日がくるのか、出会うまでどんな生活を送っていくのか、シリーズはかなり続いているようなので、展開が楽しみです。


↓ ランキングに参加中 ポチッと押して下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:風野真知雄

2019年05月29日

知野みさき「落ちぬ椿 上絵師 律の似面絵帖」

9784334773281.jpg

 知野みさき 著
 「落ちぬ椿 上絵師 律の似面絵帖」
 (光文社文庫)


辻斬りで母を亡くし、上絵師の父も失意のうちに死んだ。律は、幼い弟のためにも、父の跡を継ぎ、布に家紋や絵を描く上絵師としての独り立ちを目指していた。そんな折、馴染みの同心が持ち込んだ似面絵に「私が描く方がまし」と口走り・・。副業として請け始めた似面絵が、様々な事件を解決へと導いてゆく! 恋に仕事に一途な女職人の活躍を描く新シリーズ。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。 読みやすい時代小説でした。コロコロと視点が変わるのが気にはなりましたが。


両親を相次いで亡くした律は、父の跡を継いで上絵師として生きていこうとします。才能もありそうですし、それなりに腕はありそうですが、やはり偉大な父を超えることは難しいようです。この時代“女”というだけでハードルも上がりますから、余計に食べていくのは大変です。


何度もくじけそうになる律を。幼馴染のお香やその兄・涼太、隣人で指南所の師匠でもある今井たちが支えてくれます。特に涼太のことは、昔からあこがれを抱いていて、彼の言動に一喜一憂する律がけなげでかわいかったです。ただ、涼太は大店の跡取り息子なため、身分の違いから想いを告げることが出来ない状態です。涼太も律のことを妹のようにかわいがりつつ、やはり想っているようで、2人は両想いなのですが・・。そんな2人をお香は心配して何かと仲を取り持とうとしています。


律がなかなか上絵師として生計が立てられない中、たまたま同心が持ち込んだ似面絵に口を出し、自ら描いてみせたら次からも頼まれるようになります。それがちょっとした生活のたしになっていくことになりました。

代金をもらうように周りから言ってもらい、少しずつ生活の兆しが見えてきました。似面絵を描くことも本業の練習になっていますし、律の今後が楽しみになりました。もちろん恋の行方も。

シリーズを追いかけることにします。


↓ ランキングに参加中 ポチッと押して下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:知野みさき

2019年04月23日

「なさけ <人情>時代小説傑作選」

9784569768144.jpg

 細谷正充 編
 「なさけ <人情>時代小説傑作選」
 (PHP文芸文庫)


差配から住人まで全員が悪党の長屋に引っ越してきた新住人をめぐる騒動(「善人長屋」)、人の縁を取り持つ“結び屋”が出合った、見合い相手に不可解な態度を取る娘の哀しき真実(「まぶたの笑顔」)、つらいお店奉公に耐えかねた幼い丁稚に、大旦那さまが聞かせた不思議な話(「首吊りご本尊」)など、書籍未収録作品や書き下ろし作品を加えた時代小説アンソロジー。ほろ苦くも心を揺さぶる珠玉の六作を収録。−裏表紙より−


女性時代小説作家さんたちによるアンソロジーです。新たな出会いに便利ですが、今回は初めての作家さんが志川節子、村木嵐だけでした。「なさけ」という題名にも惹かれたので、仕方ないですね。


西條奈加「善人長屋」坂井希久子「抜け殻」志川節子「まぶたの笑顔」田牧大和「海の紺青、空の碧天」村木嵐「地獄染」宮部みゆき「首吊りご本尊」の6編です。



子どもがいなくなるという話が2話もありました。昔はそれだけ“神隠し”的なことも多かったということなのでしょうね。
子どもの手を離したせいで行方不明になる・・これは想像しただけで胸が苦しくなる状況ですよね。子どもがいつか帰って来ると信じたい気持ちと、自分のせいで・・と責める気持ちで、今までの生活が出来なくなるのはわかる気がします。読むのが辛い話たちでした。


気に入ったのは田牧大和「海の紺青、空の碧天」です。姉想いの弟と、どっしりと動じず大人な姉、そしてその婚約者。3人の様子、人柄が素敵で、話もどうなるのか?とワクワクする展開でした。スッキリ爽快な結末でした。


そして、初読みの2人ですが。志川節子の話は読みやすく、面白かったので他も探してみようと思いますが、村木嵐の話はちょっと・・。ずっと暗い気持ちになる展開だったのでどうかな?と思いました。大人すぎ??



色々な作家さんの話が読めて、新たな出会いもあって、素敵なアンソロジーでした。また他のも読んでみたいです。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 

2019年01月15日

坂井希久子「ふんわり穴子天 居酒屋ぜんや」

9784758440608.jpg

 坂井希久子 著
 「ふんわり穴子天 居酒屋ぜんや」
 (ハルキ文庫)


寛政三年弥生。預かった鶯を美声に育てて生計を立てる、小禄旗本の次男坊・林只次郎は、その鶯たちの師匠役となる鶯・ルリオの後継のことで頭を悩ませていた。そんなある日、只次郎は、満開の桜の下で得意客である大店の主人たちと、一方的に憧れている居酒屋「ぜんや」の別嬪女将・お妙が作った花見弁当を囲み、至福のときを堪能する。しかし、あちこちからお妙に忍びよる男の影が心配で・・。桜色の鯛茶漬け、鴨と葱の椀物、精進料理と、彩り豊かな料理が数々登場する傑作人情小説第二巻。−裏表紙より−


1話毎に只次郎とお妙の視点で交互に描かれるのは、1作目と同じです。

1話目では、「ぜんや」の常連客たちで花見をすることになりました。そこにやって来たのは、只次郎の義姉の父。娘とはなかなか深い溝がありそうです。見た目がイマイチな義姉ですが、子どもたちはかわいく素直に育っているようなので、人柄は良いのかな?と。癖の強い父親と義姉の関係が今後どうなっていくのか? たぶん、これからも出てくることでしょう。


只次郎は、師匠役の鶯・ルリオの後継鳥を探しています。これが今作の大きなテーマとなっています。

ルリオが優秀過ぎてなかなか見つかりません。やっと見つかっても、その鳥が鳴かない・・。これが林家の家計を支えているので、大変な問題です。


お妙は相変わらず謎も多いですが、少しずつ過去が明らかになっています。お勝との関係も近すぎず遠すぎず素敵です。更にお勝の御主人も登場し、彼も良い人そうで今後も楽しみになりました。


今回も美味しそうな料理と客たちの人間模様が面白くて、最後まで楽しめました。次も楽しみにしています。


↓ ランキングに参加中 ポチッと押して下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:坂井希久子

2018年09月27日

安住洋子「み仏のかんばせ」

09406480.jpg

 安住洋子 著
 「み仏のかんばせ」
 (小学館文庫)


女衒に手込めにされ逃げだした志乃は、江戸に出て松助と名乗り、首切り役人として名高い山田浅右衛門の下で男として中間奉公をしていた。ある日、山田家にとって大切な罪人の肝を夜盗に奪われてしまい、家に迷惑をかけるのを恐れて中間奉公を辞した。針売りになった志乃だったが、憧れていた壮太が同じ長屋に越してくる。普通の幸せを諦めかけていた志乃も、壮太と気持ちを確かめ合い夫婦になる。しかし、壮太にも隠された過去があった! 人に言えない秘密を持つ者同士が、互いを支えて懸命に生きる姿を描いた、感動の人情時代小説!−裏表紙より−


以前読んだ「しずり雪」が面白かったので、こちらもネットで購入。

でも、「しずり雪」ほど面白くなかったかな・・。


志乃という主人公が、松助と名乗って男性として中間奉公をするという始まりは面白かったのですし、その奉公先が首切り役人の家というのも魅力的でしたが、中間を辞めて女性に戻ってからは・・。

女性として描かれる方が長かったのでそれが残念です。

女性として、想い人と結ばれたわけですが、そのお相手にも何やら暗い過去があるようで、それもあっさりと明かされてしまいますし、そこからも軽い感じで話は進むのでもう少しページ数を増やしてじっくり書いてほしかったです。

もう一山、ふた山欲しかったかな?

志乃の人生を最後まで描かなくても良かったような。その分、首を切られる武士の気持ちや人生、女性として生きる大変さ、夫となった男性の葛藤などを長く深く描いてもらえたら・・。

泣きかけては泣けず、の繰り返しになってしまいました。


とはいえ文章は読みやすいので、また他の作品に挑戦してみようと思います。


↓ ランキングに参加中 ポチッと押して下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:安住洋子

2018年08月31日

坂井希久子「ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや」

9784758440004.jpg

 坂井希久子 著
 「ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや」
 (ハルキ文庫)


家禄を継げない武家の次男坊・林只次郎は、鶯が美声を放つよう飼育するのが得意で、それを生業とし家計を大きく支えている。ある日、上客の鶯がいなくなり途方に暮れていたときに暖簾をくぐった居酒屋で、美人女将・お妙の笑顔と素朴な絶品料理に一目惚れ。青菜のおひたし、里芋の煮ころばし、鯖の一夜干し・・只次郎はお妙と料理に癒されながらも、一方で鶯を失くした罪責の念に悶々とするばかり。もはや、明日をも知れぬ身と嘆く只次郎が瀕した大厄災の意外な真相とは。美味しい料理と癒しに満ちた連作時代小説、新シリーズ開幕。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

そのせいか文章に慣れるまでちょっと時間がかかってしまいました。同じ行を何度が読んでしまったりして・・。1話目の後半に差し掛かる頃にはすっかりはまっていて、登場人物たちも魅力的で次々読み進めました。

1話目が、只次郎という武士(とはいえ、町人のような気さくさをもつ男性)の視点で描かれていて、女将・お妙はちょっと謎めいた存在だったので、このまま私生活は明かされずに進むのか?と思っていたら、次からはお妙の視点でも描かれていました。

素朴な料理を出す「ぜんや」。町人はもちろん、只次郎のような武士にも贔屓にされてなかなか繁盛しています。名物は美人女将・お妙。そして、その義理の姉・お勝。

お妙は顔と料理の腕が魅力なのですが、穏やかな性格も人気の理由です。一方、お勝はお妙の亡き夫の姉なのですが、年齢もいっていますし、はっきり言って美人とは言い難いのですが、サバサバした性格が魅力。

誰が相手でも言いたいことをはっきり言ってしまうのが、逆に心地良いと思われているようです。

そんな2人の魅力と美味しい料理でもてなしてくれるので、常連がたくさんいるのも納得です。

「ぜんや」には、只次郎が持ち込む問題や、他のお客が絡んだ問題などが持ち込まれ、それをみんなで解決していくわけですが、そこにはこの時代の人たちの苦労や生き方などが描かれています。

只次郎も気楽な次男坊となってはいますが、次男坊ならではの苦労もあるようです。

この只次郎を始め、出てくる人たちがそれぞれ良いキャラクターで、すっかり魅了されてしまいました。

シリーズは続いているようなので、忘れないうちに続きも手に入れたいです。


↓ ランキングに参加中 ポチッと押して下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:坂井希久子