
上橋菜穂子 著
「風と行く者 守り人外伝」
(新潮文庫)
つれあいの薬草師タンダと草市を訪れた女用心棒バルサは、二十年前、共に旅した旅芸人サダン・タラムの一行と偶然再会する。魂の風をはらむシャタ“流水琴”を奏で、異界“森の王の谷間”への道を開くサダン・タラムの若い女頭エオナは、何者かに狙われていた。再び護衛を頼まれたバルサは、養父ジグロの娘かもしれないと気づいたエオナを守るため、父への回顧を胸にロタ王国へと旅立つが。−裏表紙より−
久々のバルサは更に歳を重ね、落ち着いた中年の女性になっていました。タンダとも良い距離間で信愛しあい、仲良く暮らしているようで、それが読めただけでも幸せな時間でした。
20年前にジグロと共に護衛として旅を共にした、旅芸人サダン・タラムの一行と再会し、偶然助けたことで再び護衛として旅を共にすることになったバルサ。
彼らと旅をしながら、20年前のことも思い返しているので、読者もバルサと共に20年前に行ったり、現在に戻ったりする感じになります。
サダン・タラムという旅芸人は音楽を奏で、踊ることで人々に平和と幸せをもたらしながら旅をしているのですが、その頭にしか奏でることが出来ない特別な琴を使い、異界への扉を開くことも出来るため、とある国へ行くことになりました。
その異界への扉を開けて欲しくない誰かによって命を狙われることになった頭・エオナを守りながらの命がけの旅。
実はこのエオナはもしかしたら養父・ジグロの娘かもしれない、というバルサにとっては複雑な状況です。
20年前の苦い経験も思い出しつつ、今の頭であるエオナをしっかり守り、励まし、任務を遂行していくバルサは、中年になってもカッコいい女性のままでした。
口では冷たいことを言いますが、誰よりも熱い思いを秘めていて、その言動に励まされる人がたくさん。読者ももちろん励まされます。
旅を終えて帰ったバルサを出迎えるタンダ。この最後の場面もとても素敵でした。
今回、タンダはほとんど出番が無かったので、またいつか2人の活躍が読みたいです。
<守り人シリーズ>
「精霊の守り人」
「闇の守り人」
「夢の守り人」
「虚空の旅人」
「神の守り人 上−来訪編」
「神の守り人 下−帰還編」
「蒼路の旅人」
「天と地の守り人 第一部ロタ王国編」
「天と地の守り人 第二部カンバル王国編」
「天と地の守り人 第三部新ヨゴ皇国編」
「流れ行く者 守り人短編集」
「炎路を行く者 守り人作品集」
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