2024年12月13日

上橋菜穂子「香君 西から来た少女 1〜4」

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 上橋菜穂子 著
 「香君 西から来た少女 1〜4」
 (文春文庫)


人並外れた嗅覚を持ち、植物や昆虫の声で香りを聞く少女アイシャ。旧藩主の末裔ゆえ、命を狙われ、ウマール帝国へ行くことになる。遥か昔、神郷よりもたらされたというオアレ稲によって繁栄を極めるこの国には、香りで万象を知る“香君”という活神がいた。アイシャは、匿われた先で香君と出会い・・。壮大な物語が今、開幕!

アイシャは“香君”が抱える苦悩を知り、藩王国視察官のマシュウとともにオアレ稲の謎と向き合うことに。だがそれはウマール帝国への謀叛行為だった。そんな中、オアレ稲に虫害が発生してしまう。民を飢えの危機から救うべく、アイシャたちは動きだすのだが・・。植物と昆虫が人々の運命を大きく変えていく、長編傑作第2幕!

虫害によって国の威信が揺らぐ事態に陥ったウマール帝国。その危機を打開する方法が見つかるが、アイシャは、なぜか、その方法に不安をおぼえる。そんな中、天炉山脈の聖地で、ひとりの男が発見される。男に会うために天炉山脈に向かったアイシャとマシュウは、驚愕の事態に遭遇するのだったーー。 胸に迫る圧倒的な世界観の第3幕!

「飢えの雲、天を覆い、地は枯れ果て、人の口に入るものなし」 恐れていた災いが凄まじい速さで広がる中、アイシャたちは必死に事態の収束を図るが、巨大な国家は、容易に方向転換が出来ない。民に危機が迫る中、孤独を抱えながら生きて来た<香君>が選んだ道とは。比類なき圧巻の物語が、いよいよ完結。 解説・長田育恵
−裏表紙より−


表紙絵は春夏秋冬になっています・・が、このブログではうまく順番に並ばず(左から冬→春→夏→秋)。

2017年に読んだ「鹿の王」以来の新シリーズ。

待ちわびていました!

このシリーズは、1〜2巻が一気に発売され、3巻、4巻は1か月毎に発売されました。お陰でサクサクと読めて助かりました。

狭い範囲の出来事で、国をまたぐわけでもなく、大きな盛り上がりが各巻にあるわけでもないので、感想は一気に書きます。


ウマール帝国という国の話です。もちろん架空の国ですし、架空の世界。便利な電子機器や車や飛行機などの移動手段もありません。

この国は主に農業で暮らしています。主な収穫物は“オアレ稲”という穀物。この稲は丈夫でどんな気候でも土地でも育つ便利な稲で、これさえあれば飢える心配がないという便利な穀物です。

ただ、この稲を植えると周りには何も植えられないし育たないという謎な現象が起きてしまいます。なので、この稲のみに頼って生きていくしかない状況。そしてこの稲をうまく育ているために必要な肥料は、昔から伝えられている方法でしか作られず、いたずらに量を増やすことが出来ませんし、増やしてしまうとうまく育ちません。

その肥料の内容や与えるべき量を決めたのは“香君”という神のような存在の女性。香りによって万象を知るという存在で、代々選ばれし1人がその地位を与えられます。

初代香君はオアレ稲を人々に与え、肥料の作り方を教え、与えるべき量なども決めていましたが、それ以降の香君は稲に祝福を与えるのが仕事でした。


主人公・アイシャは旧藩主の末裔だということで命を狙われていますが、実は嗅覚が優れていて、本来なら匂いのしない毒物の匂いを嗅ぎ分けてしまうほど。そんな能力に目をつけた視察官・マシュウに助けられ、彼と共にオアレ稲の謎について研究するようになります。

今の香君と会ったアイシャは、彼女の苦悩を目の当たりにすることになります。大きな力があるわけではないのに、神のように崇められている苦しさ。そしてオアレ稲が虫害に合っても何もできないもどかしさ。


一つの穀物によって成り立っている国の危うさと、一つの穀物によって人々を制御することの恐ろしさ、たった一種の虫によって全てが壊されてしまう恐怖。そして、1人の人間を神のように崇めて信仰することの異常さ、などなど色々な問題点が詰まった物語でした。

嗅覚に優れた一人の女性だけの力でどうやってこの国を救っていくのか、彼女の人生はどうなっていくのか、気になることがたくさんあって一気読みでした。

最後は素敵な終わり方はしましたが、アイシャの人生の今後はまだまだ気になりますし、彼女の弟はどうなったんだろう?とか、この国の未来も気になりました。もしかしたらまた続きを描いてくれないかな?と期待しています。ぜひぜひ。


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2022年10月04日

上橋菜穂子「風と行く者 守り人外伝」

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 上橋菜穂子 著
 「風と行く者 守り人外伝」
 (新潮文庫)


つれあいの薬草師タンダと草市を訪れた女用心棒バルサは、二十年前、共に旅した旅芸人サダン・タラムの一行と偶然再会する。魂の風をはらむシャタ“流水琴”を奏で、異界“森の王の谷間”への道を開くサダン・タラムの若い女頭エオナは、何者かに狙われていた。再び護衛を頼まれたバルサは、養父ジグロの娘かもしれないと気づいたエオナを守るため、父への回顧を胸にロタ王国へと旅立つが。−裏表紙より−


久々のバルサは更に歳を重ね、落ち着いた中年の女性になっていました。タンダとも良い距離間で信愛しあい、仲良く暮らしているようで、それが読めただけでも幸せな時間でした。


20年前にジグロと共に護衛として旅を共にした、旅芸人サダン・タラムの一行と再会し、偶然助けたことで再び護衛として旅を共にすることになったバルサ。

彼らと旅をしながら、20年前のことも思い返しているので、読者もバルサと共に20年前に行ったり、現在に戻ったりする感じになります。

サダン・タラムという旅芸人は音楽を奏で、踊ることで人々に平和と幸せをもたらしながら旅をしているのですが、その頭にしか奏でることが出来ない特別な琴を使い、異界への扉を開くことも出来るため、とある国へ行くことになりました。

その異界への扉を開けて欲しくない誰かによって命を狙われることになった頭・エオナを守りながらの命がけの旅。

実はこのエオナはもしかしたら養父・ジグロの娘かもしれない、というバルサにとっては複雑な状況です。


20年前の苦い経験も思い出しつつ、今の頭であるエオナをしっかり守り、励まし、任務を遂行していくバルサは、中年になってもカッコいい女性のままでした。

口では冷たいことを言いますが、誰よりも熱い思いを秘めていて、その言動に励まされる人がたくさん。読者ももちろん励まされます。


旅を終えて帰ったバルサを出迎えるタンダ。この最後の場面もとても素敵でした。

今回、タンダはほとんど出番が無かったので、またいつか2人の活躍が読みたいです。


<守り人シリーズ>
「精霊の守り人」
「闇の守り人」
「夢の守り人」
「虚空の旅人」
「神の守り人 上−来訪編」
「神の守り人 下−帰還編」
「蒼路の旅人」
「天と地の守り人 第一部ロタ王国編」
「天と地の守り人 第二部カンバル王国編」
「天と地の守り人 第三部新ヨゴ皇国編」
「流れ行く者 守り人短編集」
「炎路を行く者 守り人作品集」

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2019年10月24日

上橋菜穂子「精霊の木」

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 上橋菜穂子 著
 「精霊の木」
 (新潮文庫)


環境破壊で地球が滅び、様々な星へ人類は移住していた。少年シンが暮らすナイラ星も移住二百年を迎えるなか、従妹のリシアに先住異星人の超能力が目覚める。失われた<精霊の木>を求め、黄昏の民と呼ばれる人々がこの地を目指していることを知った二人。しかし、真実を追い求める彼らに、歴史を闇に葬らんとする組織の手が迫る。「守り人」シリーズ著者のデビュー作、三十年の時を経て文庫化!−裏表紙より−


この作家さんのデビュー作ということで、読んでみました。

デビューの時からこんなに複雑な世界観と人物像を描いていたなんてすごい!

複雑な内容で所々わかりにくい場面もありました・・。

詳しい内容を忘れてしまったので、またいつか再読して感想を書きます。


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2018年07月17日

上橋菜穂子「炎路を行く者 守り人作品集」

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 上橋菜穂子 著
 「炎路を行く者 守り人作品集」
 (新潮文庫)



『蒼路の旅人』、『天と地の守り人』で暗躍したタルシュ帝国の密偵、ヒュウゴ。彼は何故、祖国を滅ぼし家族を奪った国に仕えるのか。謎多きヒュウゴの少年時代を描いた「淡路の旅人」。そしてバルサは、養父と共に旅を続けるなか、何故、女用心棒として生きる道を選んだのか。過酷な少女時代を描いた「十五の我には」−やがてチャグム皇子と出会う二人の十代の頃の物語2編。−裏表紙より−


ヒュウゴね〜・・・。はっきり言って「誰だっけ?」状態で読み進めました。最後まではっきり思い出せず。

それでも「守り人シリーズ」の世界観がわかっていれば、十分楽しめますし、多分バルサたちにとって厄介だったであろうヒュウゴのことが好きになりました。


物語の冒頭から不穏な雰囲気。そして悲しい結果が待っていました。ほんと、戦争って残酷です。命からがら逃げだしたヒュウゴはまだ命を狙われている中、リュアンという女性に助けられました。

彼女はタラムーという生物を通してしか話すことが出来ない不思議な存在。彼女の雰囲気はタンダに似ているかも。軟らかくて優しい雰囲気が一気に好きになりました。

そんな彼女がもっと活躍してくれたら良かったのですが、ほとんど出てこなくて残念。


ヒュウゴは少年時代から過酷な人生を歩んできたので、裏の社会では一気にボス的存在になりました。でも自分の生きていく道がなかなか見つからず悩む日々。

そんな彼が選んだ道は、シリーズの中で出てくるわけですが、彼なりに信じた道だということがわかったので良かったかな?



そしてもう1話は、バルサの少女時代の話。とはいえ、少女とは思えないくらいのしっかりぶりなんですけどね。

それだけ過酷な人生を生きてきたということなんですが、もっと幼いままで生きられたら良かったのにと少し寂しい気持ちにもなります。

そうなったら、チャグムたちが救われなかったかもしれませんし、難しい所です。

バルサの話は短くて、もっと読んでいたくなりましたし、またバルサの活躍を読みたいと強く願ってしまいました。続編書いてくれないかな??


<守り人シリーズ>
「精霊の守り人」
「闇の守り人」
「夢の守り人」
「虚空の旅人」
「神の守り人 上−来訪編」
「神の守り人 下−帰還編」
「蒼路の旅人」
「天と地の守り人 第一部ロタ王国編」
「天と地の守り人 第二部カンバル王国編」
「天と地の守り人 第三部新ヨゴ皇国編」
「流れ行く者 守り人短編集」


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2017年09月25日

上橋菜穂子「鹿の王4」

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 上橋菜穂子 著
 「鹿の王4」
 (角川文庫)


岩塩鉱を生き残った男・ヴァンと、ついに対面したホッサル。人はなぜ病み、なぜ治る者と治らぬ者がいるのか―投げかけられた問いに答えようとする中で、ホッサルは黒狼熱の秘密に気づく。その頃仲間を失った<火馬の民>のオーファンは、故郷をとり戻すべく最後の勝負を仕掛けていた。病む者の哀しみを見過ごせなかったヴァンが、愛する者たちが活きる世界のために下した決断とは―!? 上橋菜穂子の傑作長編、堂々完結!−裏表紙より−


ついに、ついに2人が出会いました!

どんな雰囲気になるのか?と思ったら、何とも静かに会話していました。どちらも達観した感じなので、言い争いになるわけはないんですけど。

彼らの会話はなかなか重くて、難しい問題についてだったので、読み応えがありました。時間が無い中での会話なのはわかっていましたが、もっと長く話して欲しいとさえ思いました。

どうして人は病むのか、病んでも治る人と治らない人がいるのはなぜなのか、病まない人がいるのもなぜなのか。本当に難しい問題です。簡単に答えが出ないから、人は神など目に見えない大きな力が関係していると考えてしまうんでしょうね。

伝染病なら、誰かからうつったんだと思えますが、それ以外の腫瘍が出来たり、心臓に欠陥があったりするような病気ってどうして罹るんでしょう?罹る人と罹らない人の差はなんでしょう?

医学が発達した現代でも原因不明の病気っていっぱいあります。それを、まだまだ未発達な医学を使っているらしいこの時代で答えを見つけるのは至難の業です。

それでも懸命に説明して、ヴァンも何とか理解しようとします。2人にとって有意義な会話となって良かったのですが、そこからまた怒涛の展開が待っていました。


とうとう黒狼熱の秘密に気づいたホッサル。黒幕と思われる人物にも行き当たり、何とかして止めようとします。

黒幕やその手下たちの気持ちも何となくわかるだけに、悲しい結末になりました。

そして、ヴァンが選んだ道が・・。

この場面は涙無しでは読めない状態に。彼の決断もわかりますし、彼についていくと決めた人たちの決断もわかります。

でも悲しい・・。でもなぜか明るい未来も見えるような素敵な決断にも思えて、泣けて仕方ありませんでした。

きっと、彼らはどこかで幸せに暮らしてくれているだろうと信じて、本を閉じました。


長かった物語も終了。読み終わって大きなため息をついてしまいました。それくらい壮大で素敵な物語でした。読んで良かったです。


<鹿の王>
「鹿の王1」
「鹿の王2」
「鹿の王3」


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2017年09月22日

上橋菜穂子「鹿の王3」

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 上橋菜穂子 著
 「鹿の王3」
 (角川文庫)


何者かに攫われたユナを追い、<火馬の民>の集落へ辿り着いたヴァン。彼らは帝国・東乎瑠の侵攻によって故郷を追われ、強い哀しみと怒りを抱えていた。族長のオーファンから岩塩鉱を襲った犬の秘密と、自身の身体に起こった異変の真相を明かされ、戸惑うヴァンだが・・!?一方、黒狼熱の治療法をもとめ、医術師ホッサルは一人の男の行方を追っていた。病に罹る者と罹らない者、その違いは本当に神の意志なのか―。−裏表紙より−


いつの時代も、国同士で戦争をすれば、苦しむのは庶民なんですよね。戦争を仕掛けるのはトップの人たちなのに、彼らは何の痛みも被らない。

侵略されて、命は助けられても、生活は苦しくなっていまい、その苦しさが根深く恨みとして残ってしまうのは仕方ないことなのかもしれません。

でもそれに巻き込まれる人たちはかわいそうでなりません。

ヴァンもユナも被害者。

今回の病を利用して、これが「神の意志」だとする噂が流れていきます。なぜか一民族はこの病に罹らないとなれば、こういう考えが浮かぶのも仕方ないですが、何でも「神」で片づけるのは都合よすぎです。


結局巻き込まれた形のヴァンは、ユナのために精一杯抗うことになり、そのヴァンを見つけたくてホッサルも精一杯追いかけることになります。

そして、どちらも国の勢力争いに巻き込まれる形で同じ場所に向かう・・。

いよいよ両者が出会いますが、彼らはどんな会話をするのか!?楽しみな最後です。3〜4巻は一気に読むことをお勧めします。


<鹿の王>
「鹿の王1」
「鹿の王2」


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2017年08月18日

上橋菜穂子「鹿の王2」

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 上橋菜穂子 著
 「鹿の王2」
 (角川文庫)


謎の病で全滅した岩塩鉱を訪れた若き天才医術師・ホッサル。遺体の状況から、二百五十年前に自らの故国を滅ぼした伝説の疫病“黒狼熱”(ミツツアル)であることに気づく。征服民には致命的なのに、先住民であるアカファの民は罹らぬ、この謎の病は、神が侵略者に下した天罰だという噂が流れ始める。古き疫病は、何故蘇ったのか―。治療法が見つからぬ中、ホッサルは黒狼熱に罹りながらも生き残った囚人がいると知り・・!?−裏表紙より−


なんか、このあらすじって前作の内容っぽいな。

それはともかく。

あらすじのようなことが1冊目にありまして、もっと病が広がる事態になってしまいます。しかも病にかかってはいけないような人たちが・・。

でも、この世界では治療するということに対して消極的な考えの人も多く、昔の日本みたいに病になるのは神の祟りで、祈祷して治そう!という考えに近い物があって、天才医術師がいても治療が進まない状況に。

しかも医術師がやろうとしているのは、この世界ではかなり先端をいく「ワクチンを体に入れて戦わせる」という方法。知らなければ抵抗ありそうな方法ですから、なかなか打たせてもらえません。

そのワクチンも今回の病がはっきり何なのかわかっていないため、完璧に効くとは言えない物。そうなるとますます抵抗されてしまいます。

ワクチンを作るためにも、一人病から逃れた奴隷・ヴァンを探さないといけないわけですが、彼は元々軍人なのでなかなか見つけられません。

彼は彼なりに生きる道を見つけていきそうな感じでしたが、まあそう簡単に平和は訪れませんね・・。

何だか病を逃れるのは良いけど、別の怪しい状態になっていて、彼や一緒に生き延びた幼子・ユナの今後もかなり気になります。

そして、医術師・ホッサルは政治にも巻き込まれつつ、治療に消極的な人たちにも足を引っ張られつつ、病から人々を救う道を見つけられるのか?

今回も気になる状況のまま終了。どうやって2人は出会って、どんな治療法を見つけるのか?楽しみです。


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2017年08月17日

上橋菜穂子「鹿の王1」

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 上橋菜穂子 著
 「鹿の王1」
 (角川文庫)


強大な帝国・東乎瑠(ツオル)から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた騎士団“独角”。妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てるが!? たったふたりだけ生き残った父と子が、未曽有の危機に立ち向かう。壮大な冒険が、いまはじまる―!−裏表紙より−


大好きな作家さんの新シリーズです。本屋大賞にも選ばれたそうで、文庫化されるのを待っていました!

架空の世界の話で、物語が始まる前にまず大まかな地図が描かれています。そして、登場人物の一覧。

それを見ただけでワクワクします。と同時に、これはまた頭が混乱しそうだな・・とも思うのですが。

人の名前もわかりにくいですし、国の名前も難しい。更に出てくる動物の種類も変わった名前ですし、国同士の関係性も難しい。

この1冊目はとにかくその辺りの関係性や、どんな人物なのか、どういう人生を歩んで来たのか、時代背景などを理解するのに必死になりました。

架空の世界の話なので、どの時代の話というのもありませんから、どの程度発展している世界なのかも知っていく必要があります。まあとりあえず車や飛行機などは無さそうですから、人は健脚でとにかく歩いて移動している感じです。動物にも乗りますが。

食事もガスや水道などもなくて、地道に水を汲んで来て薪で料理しているようですし、医術もこれからって感じです。

そんな医術がこの物語のメインテーマの一つとなっていて、天才と言われる医術師・ホッサルが中心となって話が進んで行きます。


ヴァンという奴隷が、囚われている洞窟で不思議な病にかかったのに生き延びた所から話は始まります。奴隷や奴隷の監督たちなどの大人数の中、彼と幼子・ユナだけが生き残ったため、とにかく逃げることになりました。

どうやら前日に犬に襲われたことが病のきっかけのようではありますが、何の病かわからないまま話は進みます。

大量に人が死んでいることに気づいた国王が、ホッサルを呼び寄せて原因を探るように頼みます。彼は大量に亡くなった現場にも行き、大昔流行したある病ではないか?と考えます。

生き残ったヴァンを探し出して、彼に作られたであろう抗体を調べたい、と考えるのは自然な流れでしょう。奴隷として探すというより、病の原因を探るために彼を探し出すことに。

恐ろしい病が再流行したのか?と不安になっている間に1巻は終了。


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2013年08月15日

上橋菜穂子「流れ行く者」

流れ行く者

 上橋菜穂子 著
 「流れ行く者 守り人短編集」
 (新潮文庫)



王の陰謀に巻き込まれ父を殺された少女バルサ。親友の娘である彼女を託され、用心棒に身をやつした男ジグロ。故郷を捨て追っ手から逃れ、流れ行くふたりは、定まった日常の中では生きられぬ様々な境遇の人々と出会う。幼いタンダとの明るい日々、賭事師の老女との出会い、そして、初めて己の命を短槍に託す死闘の一瞬−孤独と哀切と温もりに彩られた、バルサ十代の日々を描く短編集。−裏表紙より−


またバルサとタンダに会えました! それがとにかく嬉しかったです。しかも、二人の幼い頃の話が読めるなんて!

バルサは13歳ですが、さすがに幼い頃から苦労しているだけあって、どこか達観したような大人びた雰囲気があります。でもやはり13歳なので、青いな〜と思う部分もたくさんあります。

タンダは11歳。まだトロガイ師の弟子にはなっていません。彼は年齢通りに幼くてかわいらしい少年です。この頃から真っ直ぐで優しくて、でも強い意志を持つ魅力的な子ども。将来、あんな青年になるのが見えるようです。


浮き籾」「ラフラ<賭事師>」「流れ行く者」「寒のふるまい」の4編収録されています。

浮き籾」と「寒のふるまい」は、バルサとタンダの話です。幼い頃からタンダはバルサが大好きで、バルサもタンダがお気に入り。タンダがバルサに会いたくて色々工夫している所や、バルサがタンダの様子に癒やされている所が、今と変わらなくて、微笑ましい話でした。

作者のあとがきにも書かれていますが、「ラフラ」は難しい話でした。この話がきちんと理解できるようになるには、私はまだまだ経験不足なようです。

流れ行く者」は、バルサとジグロの話です。この話は読んでいて複雑な感情がわきました。バルサがジグロを慕っている様子も、ジグロがバルサを鍛えている様子も、ジグロの気持ちを考えると痛々しい思いがして、辛かったです。ジグロがバルサを抱きしめるシーンは泣けてきて仕方ありませんでした。

いつか、ジグロの話も読んでみたいと思いました。


解説もとてもよかったです。このシリーズの、この作家さんのファンなら絶対に共感できる解説でした。ぜひ最後まで読んでもらいたいです。


バルサとタンダ、そしてジグロ、もちろんトロガイ師にもまたいつか再会したいと思います。まだまだ彼女たちの物語、書けると思うんですけどね〜。ぜひ書いてもらいたいです。


<守り人シリーズ>
「精霊の守り人」
「闇の守り人」
「夢の守り人」
「虚空の旅人」
「神の守り人 上−来訪編」
「神の守り人 下−帰還編」
「蒼路の旅人」
「天と地の守り人 第一部ロタ王国編」
「天と地の守り人 第二部カンバル王国編」
「天と地の守り人 第三部新ヨゴ皇国編」


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2012年08月29日

上橋菜穂子「獣の奏者 4完結編」

獣の奏者W

 上橋菜穂子 著
 「獣の奏者 W完結編」
 (講談社文庫)


闘蛇と王獣。秘められた多くの謎をみずからの手で解き明かす決心をしたエリンは、拒み続けてきた真王の命に従って王獣を増やし、一大部隊を築き上げる。過去の封印をひとつひとつ壊し、やがて闘蛇が地を覆い王獣が天に舞う時、伝説の大災厄は再びもたらされるのか。傑作大河物語(ファンタジー)巨編。大いなる結末へ。


読み終わったとたん、大きなため息が・・ぴかぴか(新しい) 「守り人シリーズ」のときもそうでしたが、何ともいえない満足感と幸福感が湧き上がってきました。

悲しい結末ではあったのですが、それだけではない終わり方で、この悲しい出来事が無駄では無かったと思えるので満足できたんだと思います。


真王・セィミヤから王獣の部隊を作るように命令されたエリンは、2年かけてその命令を実行に移しました。新たに野生の王獣を連れてきて、前からいたリランたちと同じように、竪琴や声、手の動きなどで自分の命令を聞くように訓練したのです。

これで、敵国が闘蛇を操って襲ってきても負けない強い国になった・・・と手放しで喜べないのが、この物語の深い所なのですが。

遠い昔の言い伝えによると、王獣を操って闘蛇と戦わせたとき、国が滅びるほどの惨劇が起きてしまうというのです。その言い伝えは真実なのか?きちんと育てれば変化があるのでは?とエリンは必死で探ります。

王獣や闘蛇の秘密を探りながらも、もし惨劇が繰り返されたとき、自分はどういう行動を取ればいいか?も常に考え、覚悟を決めるエリン。息子を遺して行きたくない気持ちと戦いながら任務を果たします。


終わりの方は、涙が止まらない状態になりましたし、感想を書きながらも泣けてきます。でも始めに書いたように、悲しいだけじゃない涙なんです。

ホント、読んで良かった・・心からそう思える作品でした。出会えたことに感謝したくなりました。

またこんな幸せな気持ちになれる作品を読みたいです。


<獣の奏者>
「獣の奏者 T闘蛇編」
「獣の奏者 U王獣編」
「獣の奏者 V探求編」


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このシリーズ、表紙も素敵でした。表紙を前に向けて並べておきたいくらい!
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2012年08月28日

上橋菜穂子「獣の奏者 3探求編」

獣の奏者3

 上橋菜穂子 著
 「獣の奏者 V探求編」
 (講談社文庫)


愛する者と結ばれ、母となったエリン。ある村で起きた闘蛇の大量死の原因究明を命じられ、行き当たったのは、かつて母を死に追いやった禁忌の真相だった。夫と息子との未来のため、多くの命を救うため、エリンは歴史に秘められた真実を求めて、過去の大災厄を生き延びた人々が今も住むという遥かな谷を目指すが・・・。


前作から11年後の話です。

その間の話も書いてほしいくらい、色々なことが起きています。何より驚くのは、エリンが結婚し、子どもを産んでいることです。子どもは男の子で、名前はジェシ。夫が誰なのかは書くとネタバレになるかな?と思うので、上巻では書かずにおきます。

ただ、Vの始めには、すでに家族と離れて行動していたので、エリンが時々息子のことを思い出している部分でしか母親として見ることが出来ないため、あまり実感がわかないまま読み進める感じでした。終わり近くになって夫や息子と過ごす場面が増えてくると、ジェシの目線で書かれることがあり“母は〜”という記述を見る度に「母って誰?」と思いながら読んでいました。

エリンがジェシに語りかけたり、守ったりするのを見て、やっと少しずつ「母親なんだな」と思えるようになりました。


闘蛇の大量死の原因を探ることは、亡き母が処刑される原因となった出来事を探ることと同じで、母の想いを無にするのでは?と悩むエリン。それでも、真実を告げずに死を選んだ母と同じ道よりも、真実を明らかにし、闘蛇も人も平和に過ごせる方法を探ることにしました。

しかし、探れば探るほど、闘蛇を人が育てることの無謀さや残酷さに気づいていき、エリンはますます苦しむことになります。

更に、平和な国も危うい状態に・・。周りの国が攻めてくるとの噂が聞こえてきて、しかもその国でも闘蛇を育てているという話まで聞こえてきます。このままでは戦は避けられ無い・・。

国を統べる真王(ヨジェ)・セィミヤは、エリンを招き、ある命令を下します。


エリンは王獣を乗りこなすことのできる唯一の人物。だからこそ様々な人から狙われることにもなり、結婚して子どもを産んでも静かな日々を送れるはずもなく・・。母親が処刑されたときから過酷な運命を背負ってしまったエリンには、今後も平和な日々は訪れないのかと思うと、辛くてたまりません。

ジェシもエリンによく似て賢そうです。彼の成長も楽しみです・・が、彼の人生も心配ではあります。両親と早く別れることにならなければ良いのですが・・。

どんな結末が待っているのか。楽しみなような、終わるのが残念なような、複雑な心境ではありますが、やっぱり気になるのでさっさと4巻も読みきることにします。


<獣の奏者>
「獣の奏者 T闘蛇編」
「獣の奏者 U王獣編」


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2011年07月27日

上橋菜穂子「神の守り人 下−帰還編」

神の守り人 下

 上橋菜穂子 著
 「神の守り人 下−帰還編」守り人シリーズ5
 (新潮文庫)



ロタ王国は南北で対立しているため、いつ内戦が起きてもおかしくない状況。そんなロタ王国にとって、アスラは大きな利用価値があったのだった。アスラはバルサト引き離され“猟犬”シハナの策略によって、畏ろしき神・タルハマヤと一つになる儀式へと送り出されてしまう。バルサはアスラを助けることができるのか?


旅を続けるバルサとアスラ。アスラはバルサが生きる厳しい世界を目の当たりにし、命がけで自分を守ってくれることに感謝しながらも、カミサマの存在に頼る気持ちが残っていた。

途中、アスラは共に旅をしていた商人たちが狼の群れに襲われるのを見て、思わずカミサマの力を解放して狼を殺してしまいました。カミサマの力を使いながら嬉しそうに微笑むアスラを見て背筋が凍るような恐ろしさを感じたバルサ。改めてアスラの中にある力の強さを感じたのでした。

シハナの策略により、二人は引き離されることになり、バルサは瀕死状態に。タンダと再会することはできたのですが・・。

タンダは「これ以上何もできることはない」と言いますが、バルサは「だれかが伝えなければ・・あの子に、人を殺すことのおぞましさを・・」とアスラを助けることを改めて決めたのでした。


最後にアスラはまだ幼い少女でありながら、ものすごい決断をします。頼りなくて小さいイメージだったアスラの内に秘めた強さを感じました。その決断で身も心もボロボロになってしまうのですが、その決断はあまりにもすごくて、思わず涙が出てしまいました・・。

兄・チキサも最後まで妹を助けようと力を尽くし、妹と同じようにボロボロになってしまいます。でもこの件で彼もまた一回りも二回りも大きくなりました。


ラストも静かな終わり方で、余韻も素晴らしくて、兄妹の幸せを強く願いながら読み終えることができました。



<守り人シリーズ>
「精霊の守り人」
「闇の守り人」
「夢の守り人」
「虚空の旅人」
「神の守り人 上−来訪編」


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2011年07月23日

上橋菜穂子「神の守り人 上−来訪編」

神の守り人 上

 上橋菜穂子 著
 「神の守り人 上−来訪編」守り人シリーズ5
 (新潮文庫)



ロタ王国でバルサは少女・アスラと出会う。彼女は畏ろしき神・タルハマヤを内に宿していた。そのため“猟犬”と呼ばれる呪術師たちに命を狙われていたのだった。タンダが止めるのも聞かず、少女を助けたバルサ。彼女を連れて逃亡の旅に出ることに。一方タンダもアスラの兄・チキサと共に猟犬に捕まってしまった・・。


今回の舞台は、新ヨゴ皇国の西側に位置するロタ王国。バルサはタンダと共に買い物に出かけていました。そこでタンダは旧友・スファルと再会するのですが、スファルは幼い兄妹を狙っていました。チキサとアスラという兄妹は、なぜ狙われるのか?

兄妹を捕らえに行った者たちが何かすごい力によって倒されるのを見たバルサは、その力の強さとどこから発せられているのかわからないことに驚き怯えたのでした。

その正体が幼い少女・アスラの内に宿る畏ろしき神の仕業だとは知らず、でもどんなに力を持っているとはいえあまりにも幼いその少女の姿を見ていると放ってはおけず少女を連れて逃げることにしたバルサ。

タンダはその想いを汲んで、何とか追手を引きとめて時間稼ぎをすることにします。ところがアスラの兄・チキサと共に捕まってしまい・・。


アスラの内にあるのは強大な力を持つ神で、ある罪で母親が死刑になったときに、アスラは神を解き放ち、処刑人を始め見物していた人たちを全て虐殺してしまいました。そんな妹の姿を見て怯えつつも何とか救いたいと思う兄。でも妹は「困ったらカミサマが助けてくれる」と言い続け、どんな恐ろしい力を使っているのか理解しきれていない感じです。

兄に説得され、何とかカミサマに頼らず生きようとするのですが、まだ完全に断ち切れない様子。バルサはそんな少女を命がけで守って逃亡します。

バルサの懸命な姿を見て何かを感じているアスラ。このまま旅を続けたら力に頼らない生き方を見つけてくれるかもしれません。

ロタ王国内部の情勢も問題がありそうな雰囲気。

そして、タンダとバルサは離れ離れになってはいますが、強い信頼関係で結ばれていて、きっと何があっても大丈夫と思える安心感があります。

結末が気になりつつ、下巻へ・・。



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2011年07月14日

上橋菜穂子「虚空の旅人」

虚空の旅人

 上橋菜穂子 著
 「虚空の旅人」守り人シリーズ4
 (新潮文庫)



新ヨゴ皇国の皇太子・チャグムは、隣国サンガル王国の新王即位儀礼に招待され、教育係でもある星読博士・シュガと共に旅に出た。サンガル王国で<ナユーグル・ライタの目>と呼ばれる不思議な少女と出会った。その少女を見たチャグムは、なぜかナユグの存在を再び感じ、不安な気持ちになるのだった。


サンガル王国は、たくさんの島によって構成されている国です。それぞれの島には“島守り”と呼ばれる島の長がいて、王家の血を引く女性と結婚することが義務付けられており、妻が王家との関係を取り持つ形になっています。

妻たちは王家の血を引いているため、幼い頃から王家の教育を受けていて、政治的にも大きな力を持っています。女たち独自のネットワークがあり、何かあれば“夫よりも王家を大事にする”という気持ちでいるのです。

そんな国でチャグムが刺激を受けないわけがありません。しかも、不思議な雰囲気を醸し出す少女と出会ったわけですから・・。

<ナユーグル・ライタの目>というのは、チャグムの国では“ナユグ”と呼ばれている“もう一つの世界”の使者の魂が、少女の身体に乗り移ってサンガル王国の視察に現われたということです。数日間、もてなした後は魂を海に返すという名目で、少女の身体に重しを付けて海へ突き落す儀式が行われるのです。つまり、<ナユーグル・ライタの目>となった少女には死が待っているわけです。

少女から“ナユグ”の存在を感じ取ったチャグムは、何とかして少女を救いたいと思います。ところが、少女の身体に呪術師の魂まで入っていることがわかり・・。

サンガルの王家の娘・サルーナや王の次男・タルサンと力を合わせて陰謀を砕こうと画策します。


この旅で更に色んなことを学んだチャグム。何よりも人の命の大切さ、尊さを強く感じ、兵や民を駒のように使いたくない!と固く誓うのでした。

この頃から本当に立派になっていたんですね。物語のエンディングがどうなるのか?を感じさせるような話でした。

最後のチャグムとシュガの会話に涙が・・。二人の絆はここで更に強くなったわけです。



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2011年07月07日

上橋菜穂子「夢の守り人」

夢の守り人

 上橋菜穂子 著
 「夢の守り人」守り人シリーズ3
 (新潮文庫)



新ヨゴ皇国に戻ったバルサは、ユグノという放浪の歌い手と出会った。彼は人買いに襲われていたため、護衛しながらタンダの家へ向かうことにした。タンダは姪のカヤが数日間目覚めないことを心配し、様子を探り始めた。トロガイ師の言うことを聞かずに危険な呪術をかけたため、魂と身体を引き裂かれて、人鬼と化してしまう。


夢の世界で咲く“花”。その花が満開となり、種を作るために受粉する季節がやって来ました。受粉するためには、夢を見る人の魂が必要なので、寂しい夢を見ている人が目覚めないという現象が起き始めました。

タンダの姪・カヤ、チャグムの兄の母親・一ノ后、そしてチャグム・・。数日間目覚めないカヤを心配したタンダの兄は、タンダに助けを求めます。原因がわからなかったタンダは、自分の魂を飛ばし、カヤの魂を探します。

ところが、夢の世界で<花番>と出会い、罠をかけられて戻れなくなってしまいました。しかも<花守り>として身体を乗っ取られてしまい、人鬼となって歌い手・ユグノを襲い始めたのでした。

ユグノを守るバルサは、タンダと思われる獣に襲われ焦ります。身体は彼の物なので殺すわけにも大きく傷つけるわけにもいかず、でも相手は命を掛けて襲ってくるので半端ない力。さすがのバルサも苦戦を強いられます。

ユグノは花の種を植えて広める役割を持っています。そんな彼がなぜ花を守るはずの<花守り>に襲われるのか?


夢に囚われてしまう人たちには共通点がありました。それは、今の人生に不満があり、夢から覚めたくないと思ってしまう所。一ノ后は、息子(皇太子だったが亡くなったことでチャグムが引き継いだ)を亡くしたことから立ち直れず、悲しみに囚われてしまっています。カヤは結婚が嫌で、チャグムはバルサたちと過ごした日々に戻りたくなっています。

息子を失った悲しみを越えられない后の気持ちが痛いほど伝わってきた後半、何度も涙してしまいました。チャグムも皇太子としての重荷に日々耐えている健気さがたまりません。


初めて読んだときは、トロガイ師の過去が書かれている話・・という認識でしかなかったこの作品。数年経って、再読するとまた違う感じ方になりました。もちろん、トロガイ師の過去も重要ではありますが、タンダとバルサの絆の強さだったり、チャグムの想いや彼を見守る周りの人たちの不安な気持ちや思惑なんかも重要なんだと再認識しました。


トロガイ師はタンダとバルサは似ていると言います。やらねばならんと思うと、自分のことは二の次になってしまう。
でも決定的に違うのは、あいつはひどくさびしいやつで、いつも自分の人生を、今いるところまでだと思ってる。先を夢みていないから、命をかける瞬間の思いきりがちがう。
二人をよく知っているトロガイ師の言葉が強く印象に残りました。



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2011年06月30日

上橋菜穂子「闇の守り人」

シリーズの最終話を読み終わったとたん、また初めから読みたくなったので、久々の再読です。感想をまだ書いていなかったので、ブログでは初登場です。


闇の守り人

 上橋菜穂子 著
 「闇の守り人」守り人シリーズ2
 (新潮文庫)


女用心棒のバルサは、25年ぶりに故郷のカンバル王国へ戻った。命がけでバルサを守り続けて、汚名を着せられたまま亡くなった養父・ジグロのために、彼の本当の姿を語るために。新ヨゴ皇国からつながる洞窟を抜けるという厳しい道を選んだバルサは、その道中である兄妹と出会う。彼らとの出会いが、バルサを思わぬ方向へ導く・・。


他にも道はあったのに、あえて過酷な洞窟を抜ける方法を選んで故郷に戻るバルサ。その洞窟は25年前、ジグロが幼かったバルサの手を引いて故郷から逃げた道でした。

短槍に刻まれた模様をたどって進まないと、複雑すぎて迷ってしまうような洞窟。しかもそこは<山の王>が支配する闇の王国に通じると言われていて、もし見つかるとヒョウル<闇の守り人>に食い殺されるという伝説がありました。

そのため、松明を使うことも、足音を立てることもできません。そんな洞窟の途中である兄妹と出会います。妹・ジナが周りの子どもを見返すために肝試しのようなつもりで洞窟に入り、兄・カッサが後を追ってきていました。ヒョウルに襲われていたジナを助けようとしたカッサですが、足がすくんでしまいます。そこへバルサがやって来て助けたのでした。

二人に自分のことは内緒にしてほしいと頼んで別れましたが、二人は隠してはおけずに大人に話してしまいます。そのことがバルサの運命を大きく変えてしまいます・・。


カンバル王国は、北に位置するため、冬が長く土地も痩せていて作物がほとんど取れません。貧しい国なのです。そんな国にとって命を繋ぎとめる大きな儀式が数十年に一度行われていました。それは<山の王>から<ルイシャ>と呼ばれる高価な宝石が贈られる<ルイシャ贈りの儀式>です。

その儀式は決まった間隔で行われるわけではなく、<山の王>が決めたときに連絡があります。そこでは王の槍と呼ばれる槍使いの精鋭たちが試合を行い、一番になった者とヒョウルが共に槍舞を舞うことで山の扉が開かれ、ルイシャが贈られるのでした。


養父・ジグロの汚名を晴らすために帰郷したはずのバルサでしたが、ジグロの弟・ユグロ(カンバル王国で最高の権力者)に命を狙われ、逃げているうちに今度は儀式にまで参加することになってしまいます。

儀式では悲しい再会もあり・・。


亡きジグロの想い、そしてバルサの怒りと悲しみを知り、何度も涙してしまう話でした。

シリーズの中で唯一、バルサの人生を深く掘り下げたような内容の話で、これを読めばバルサがわかると言えるかもしれません。


<守り人シリーズ>
「精霊の守り人」


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2011年06月15日

上橋菜穂子「天と地の守り人 第三部」

天と地の守り人 第三部

 上橋菜穂子 著
 「天と地の守り人 −第三部 新ヨゴ皇国編−」守り人シリーズ7
 (新潮文庫)



ロタとカンバルが同盟を結び、新ヨゴ皇国を守るためにそれぞれが軍を貸してくれた。チャグムはその軍を率いて故郷を目指すことに。一方、バルサはナユグが春を迎えることで起きるであろう災害を知らせるため、同じく新ヨゴ皇国へ。そしてタンダが兵として戦に行ったことを知り、助けに向かう。チャグムの軍は国を守ることができるのか?災害を逃れるすべはあるのか?


チャグムとバルサは別々に新ヨゴ皇国へ戻ることになります。バルサは、呪術師たちに災害について知らせて、国の人たちを何とか逃れさせようとします。チャグムは、ロタとカンバルの軍の先頭に立って国に入りました。

バルサは、タンダのことを知り、あわてて彼を助けに行くことにしました。途中で四路街という町に行き着き、そこに住む町民たちをロタ王国へ逃がす協力をします。この国の帝(チャグムの父)は、自分の住む所でもある都以外は捨てる決意を固めたため、タルシュ定刻の軍に町を取られるくらいなら・・と焼き払う恐れがあるというのです。


帝を始め、新ヨゴ皇国の軍を率いる武将も、タンダたちのような草兵と呼ばれる寄せ集めの兵のことを捨て駒のようにしか考えていないことが信じられませんでした。同じ人間なのに、なぜそんなに非道になれるのか・・。本当に呆れてしまいますし、怒りで震えそうになりました。

でも、後半になりチャグムと再会した後の帝の様子を見ていると、実は彼もかわいそうな人だったのかもしれない・・と思うようになりました。天子として崇め奉られるような人生が幸せだとは思えません。実際に天子ならともかく、他の人と変わりない何の力も無い人間なのですから。違う家に生まれていれば違った人生があっただろうにもうやだ〜(悲しい顔)


チャグムは、ロタとカンバルの兵の後ろにいるように言われますが、助けてくれている兵たちに戦わせて自分だけ見ていることはできない・・と、先頭を切って戦に斬り込んで行きました。大怪我をして宮に戻った彼は、家臣たちが驚くほど風貌が変わっていました。それだけの経験を積んで戻った彼の言葉はみんなを動かしました。

チャグムが国を治めることになったときに戦で大きな被害を蒙った民たちから、さらに重税を搾り取ることだけはしたくなかった。と、他国から借りる決意をします。この文章、今日本を動かしているらしき政治家たちに読ませたい!と思ってしまいました。一瞬、現実に戻りましたあせあせ(飛び散る汗)

バルサがタンダを探すとき、なんの根拠もないけれど、タンダが死んだら、自分には、なにか感じられるはずだ、と、バルサは思っていた。それを感じないということは、タンダは、生きている。くだらない思いこみでも、そう思っていたかった。という文章があり、思わず涙ぐんでしまいました。そして彼のことを「つれあい」と言うバルサ。やっとここまできたか・・と思うと感動しました。


「精霊の守り人」から始まったこのシリーズもとうとう終わりです。読み終わったとたん、大きなため息が出ました。何も考えられないようなすごい余韻・・。

ラストシーンがまた良くて、幸せになりました。

あとがきも良かったです。最後の文章にまた泣きそうになりました。ぜひ最後まで読んでください。


守り人シリーズは長かったですけど、色んなエピソードがつまっていて、登場人物たちがみんな活き活きとしていて、本当に面白い物語でした。読んで良かったですぴかぴか(新しい)

また1から読み直したいと思います。


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2011年06月10日

上橋菜穂子「天と地の守り人 第二部」

天と地の守り人 第二部

 上橋菜穂子 著
 「天と地の守り人 −第二部 カンバル王国編−」守り人シリーズ7
 (新潮文庫)



再会したバルサとチャグムは、バルサの故郷・カンバルへ向かい旅をしていた。北に位置するカンバルは、雪と山の厳しい自然環境の中にあるが、とても綺麗な国だった。チャグムはカンバル王にロタ王国との同盟を持ち掛けに行くが、すでにタルシュ帝国からの力が深く入り込んでいた。更にナユグに春が来ていることであちこちに雪崩が起きる雰囲気があり、予断を許さない状況に・・。


久々にバルサとチャグムが二人で旅をします。懐かしい気持ちで読みましたが、やっぱりあの頃とは違うんですよね。

チャグムが大きくなってるということが強く感じられました。背もバルサより高くなっていますし、精神的にもしっかりしました。何より驚いたのは自分のことを「おれ」と言うこと。でもバルサ以外の人に話すときは「わたし」に変えて、そんな小さなことでも感動してしまいました。やっぱり私、親目線なんですあせあせ(飛び散る汗)

そして、悲しいことにバルサが年を取っているのもよくわかります。チャグムに支えられることもあり、何だか寂しい気持ちになります・・。でもこれもこのシリーズを応援したくなる理由かもしれませんが。

今回は、バルサの故郷・カンバルへ。途中も様々な妨害に合いながら何とかたどり着いた二人を待っていたのは、既にタルシュ帝国の影響を大きく受けてしまっているカンバル王とその家臣である“王の槍”たちでした。

更に、ナユグ(もう一つの世界)に数百年ぶりに春が来たせいで、こちら側の世界にも様々な影響が出始め、雪崩や川の増水なども心配されるようになりました。

チャグムはナユグが見える珍しい存在のため、危険を感じてあせります。彼が苦しみ、それを糧にして更に成長していく姿には、また涙が出ました。


そして、兵として徴集されてしまったタンダ。彼もナユグのことを心配し、ボロボロの身体ながら師匠に魂を飛ばし危険を知らせるのでした・・・。

後1冊で終わってしまうのは本当に残念です。でも、どうやって終わらせるのか?楽しみでもあります。


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2011年06月06日

上橋菜穂子「天と地の守り人 第一部」

天と地の守り人 ロタ王国編

 上橋菜穂子 著
 「天と地の守り人 −第一部 ロタ王国編−」守り人シリーズ7
 (新潮文庫)



大海原に自ら身を投げたチャグム皇子を探し出して欲しいという密かな依頼を受けたバルサは、小さな手掛かりを追って旅に出た。タルシュ帝国からの侵略と、戦になるという危険な状況の中、死んだことになっているチャグムが生きているらしい・・というわずかな希望を胸にチャグムを探す。様々な危険を回避しながらも、バルサはチャグムに再会できるのか?



前作が気になる終わり方だったので、楽しみに待っていました。でも、これでシリーズが終わってしまうかと思うと何だか寂しい・・。大事に読もうと思います。


で、第一部。初めにチャグムからシュガに宛てた手紙が書かれています。それを読んで強くなったチャグムの様子がわかり、何て大きな物を背負ってしまったんだろう・・と思うと泣けてきました。

そして、バルサに依頼が。バルサなら大丈夫、チャグムを助けてくれる!と安心したとたんに、新ヨゴ皇国(チャグムの国)の情勢に変化が起き、戦が始まりそうな予感がして、更には隣りのロタにも内紛、タルシュ帝国は密偵を放ち・・・とどんどん危険が増していくので、何だか不安になってきましたがく〜(落胆した顔)

その不安を解消したくて、早くバルサがチャグムを助ける場面を見て安心したくて、どんどん読み進める感じでした。


チャグムは本当に強く、立派な青年になりました。バルサと共に、親のような気持ちになって涙ぐんでしまいました。

バルサに「死んだことになっているんだから、そのまま皇子としてではなく一般の民と同じように生きる道を選んでは?」と薦められるのですが、チャグムは「その道に行っても、楽にはなれない」「わたしが背負っているのは、重荷じゃなくて、・・・・夢だから」と答えます。

みんなに幸せに暮らしてもらいたい、助けたい・・という想いが「夢だ」と言えるような立派な皇子になったのです。感動しました。


せっかく二人は出会えても、タンダにも危機が訪れていて、こちらもバルサに助けてもらいたい!と思ってしまい、「バルサがいっぱいいれば良いのに・・」なんて甘い考えも浮かんでしまいます。


次は北の国、カンバル王国を舞台に物語は進むようです。バルサの故郷でもあるカンバル。どんな進展があるのか楽しみです。



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2010年08月16日

上橋菜穂子「蒼路の旅人」

上橋菜穂子著 「蒼路の旅人

(新潮文庫)


「守り人」シリーズ、第6作目です。


新ヨゴ皇国から海を隔てた南に位置するサンガル王国は、タルシュ帝国に攻め込まれて、敗れてしまった。サンガル王国から助けを求める手紙をもらった新ヨゴ皇国の帝は、その存在を疎ましく感じている息子・チャグムをサンガル王国へ差し向けた。罠だと知りながらも行かざるを得ない旅。チャグムは1人で大国に立ち向かう。


1作目「精霊の守り人」ではかなり幼くて泣き虫だったチャグムですが、6作目ともなると立派な青年に。とはいってもまだ15歳という若さで、国を背負う立場になっていて何だかかわいそうになる部分もありますもうやだ〜(悲しい顔)

父親である現在の帝(国で一番偉い人)からもチャグムは嫌われています。チャグムが若い割りにしっかりしていて、人望も厚いので、父親は帝の座を奪われるのでは?と心配しています。

1作目で、この父親は我が子であるチャグムを殺害するように命じたこともあり、二人の間には拭いきれない因縁が・・。

父親に反発するような形で、今回の旅に出ることになったチャグム。まだ子どもなのに、一国を背負うことに強い不安やプレッシャーを感じて潰されそうになっています。

もっとも簡単なのは、あの海に飛びこんでしまうことだ。−死んでしまえば、この身体にのしかかっている、重い重い責任を、なくしてしまえる。(中略)たくさんの人たちに守ってもらい、助けてもらった命なのに、なにもかも投げだして、逃げてしまいたい自分が、なさけなかった。

こんなに悩むチャグムに同情してしまい、涙が止まらない場面がたくさんありました。何もかも捨てて逃げたい気持ちは痛いほどわかります。

この話は今回、終わっていません。次の「天と地の守り人」という3部作で物語は終わりへと向かっていきます。

とても気になる所で終わっているので、とっても気になりつつ、次の文庫化を待つことにします。


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