2010年11月18日

池波正太郎「剣客商売 春の嵐」

池波正太郎著 「剣客商売 春の嵐

(新潮文庫)


幕府の中枢で対立している田沼意次と松平定信。二人の家臣が次々と辻斬りに斬り殺されるという事件が起きた。辻斬りをする頭巾の侍は「あきやまだいじろう」とはっきり名乗っていて、更に背格好も似ているということで秋山大治郎が疑われてしまう。意次の娘・三冬と結婚していることもあり、窮地に追い込まれてしまった大治郎は、身の証を立てるため家から一歩も出ない生活を続けることに・・。辻斬りの狙いは何なのか?


大治郎もずいぶん有名な剣客になったんだね〜・・なんて喜んでいられない事件が起きました。

有名だから名前を使われたのか、それとも個人的に恨みをかっているのか?剣客だけに自分では気づかない恨みをかうこともあるのです。

大治郎の人柄を知っている人には、大治郎が犯人ではないことがわかるのですが、証拠が無い限り身の潔白を証明できず、ずっと家にこもることになってしまいます。

しかも、対立する松平定信の家臣まで殺されたとなると、当然黙っているわけもなく、何度も「身柄を引き渡せ」と強く言われてしまいます。

証人を作るため、弟子に家に泊まりこんでもらい、大治郎が1人きりにならないように工夫もしました。

だからといってずっと家にいるわけにもいかないので、小兵衛は必死で辻斬り犯を探します。十手持ちの弥七とその子分・徳次郎にも協力を頼み(というか、二人に協力する形で)捜査を続ける小兵衛。

手裏剣が得意な秀や、大治郎の弟子たちも巻き込んで大捜査が行われます。


シリーズで初めての長編。読み応えも充分で、楽しめる作品です。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年11月13日

池波正太郎「鬼平犯科帳12」

池波正太郎著 「鬼平犯科帳12

(文春文庫)


若き日、平蔵と左馬之助は高杉道場の竜虎と呼ばれ、もう1人又兵衛を加えて三羽烏とも呼ばれていた。又兵衛は盗賊になって、火付盗賊改方の長官・鬼平となった平蔵の前に、二十数年ぶりに現われた。若き日に腕前が互角だった二人の対決は・・。−「高杉道場・三羽烏」他「いろおとこ」「見張りの見張り」「密偵たちの宴」「二つの顔」「白蝮」「二人女房」計7編収録


密偵の一人・粂八が経営している船宿に二人の盗賊がやって来ました。隠し部屋で二人の様子を盗み聞きした粂八が平蔵に報告した中に又平衛の名前が・・。

二人の盗賊は又平衛を誘って、金がうなっているという寺へ押し込みを掛けることにしたようだった。平蔵はさっそくその寺へ潜り込み、盗賊が現われるのを待つことにしました。

そして又兵衛との対決があるのですが・・。まあ、当然、平蔵が勝つわけですけど、捕らえた又平衛を、本人が名乗った偽名のまま裁きにかけることにして、家名が傷つかないように配慮した平蔵でした。


いろおとこ」は、寺田金三郎という同心の話。兄を盗賊に殺害された金三郎は、兄の跡を継いで同心になりました。そして誰にも相談することなく、兄の敵を捜し続け、命を危険にさらすことに・・。捜査のやり方に腹を立てた平蔵に注意されます。

密偵たちの宴」は、私の大好きな話です。五郎蔵、おまさ、宗平、伊佐次、粂八、彦十という、数いる密偵の中でも平蔵が特に信頼を寄せて頼りにしている6人が、密かに集まって酒盛りしています。おまさを除く5人は平蔵の鼻をあかしてやろうという悪戯心を出し、忍び込む店を探し始めます。そしてこっそり忍び込んでうまく成功させます・・・が、平蔵は全てお見通しでした。

平蔵の密偵たちを大事にする気持ちや、密偵たちの平蔵を慕う気持ちがよくわかる、ちょっと笑えてドキドキできる話です。

白蝮」は、津山薫という女盗賊の話。この盗賊、実は沢田同心の道場仲間だった森初子という女性でした。沢田同心は辛い気持ちを押し殺して、薫を倒します。


<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
「鬼平犯科帳3」
「鬼平犯科帳4」
「鬼平犯科帳5」
「鬼平犯科帳6」
「鬼平犯科帳7」
「鬼平犯科帳8」
「鬼平犯科帳9」
「鬼平犯科帳11」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年11月04日

池波正太郎「剣客商売 待ち伏せ」

池波正太郎著 「剣客商売 待ち伏せ

(新潮文庫)


父・小兵衛の恩人で、今では大治郎のこともかわいがってくれている若林春斎という隠居の元を訪ねた帰り道、猿子橋のたもとで「親の敵!」と斬りかかられた。何とかかわした大治郎は曲者に声をかけた。すると声を聞いて人違いに気づいた曲者は逃げ去った。後日、誰と間違えられたのか調べると、意外な人物の醜い過去が明らかになった−「待ち伏せ」他「小さな茄子二つ」「ある日の小兵衛」「秘密」「討たれ庄三郎」「冬木立」「剣の命脈」計7編収録


いきなり“敵”と間違えられて斬りつけられた大治郎ですが、さすがに斬られることはなく、しかも無用な争いを避けるため自ら名乗って相手の正体を聞こうとします。

何も言わずに逃げた曲者たちでしたが、大治郎は自分が誰と間違われたのか気になってしまいます。そして、その日の自分の行動を思い出し、若林の元を再度訊ねるのでした。

そこから出てきた侍に話掛けた所、その人物はあっさり「自分と間違えたのだろう」と認めます。その人柄に触れ、気になった大治郎は小兵衛に相談します。


結末は何とも虚しいというか、悲しい終わり方で、「人間って本当に色んな側面(というか顔?)を持っているんだな・・」と改めて感じる話でした。

この話で、妻・三冬が妊娠したことがわかります。慌てふためく大治郎の姿もまた好感持てました。


小さな茄子二つ」では、以前も登場した小兵衛の昔の弟子・落合孫六が再び登場します。今回は、義弟の使いで金を借りに行った帰りに襲われ、無様にも金を奪われてしまいます。それを聞いた小兵衛に再び激怒され・・・。実は金を貸してくれた人と、襲って金を奪った人はグルになっていて、小兵衛の力を借りて詐欺グループをこらしめます。

剣の命脈」は、志村又四郎という剣客の話。大病を患っている志村は、余命わずかと医者からも宣告されています。「大治郎と真剣で立ち合いたい」という思いが捨てられず、弱り切った身体を引きずるようにして大治郎宅へ向かいますが・・。何とも寂しい最期を迎えた志村の様子は涙を誘います。

ある日の小兵衛」では、小兵衛が過去に関係をもった女性の話が出てきます。若かりし日の小兵衛の初々しい様子が読める話です。


何度読んでも面白い話ばかりです。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年09月06日

池波正太郎「鬼平犯科帳11」

池波正太郎著 「鬼平犯科帳11

(文春文庫)


順番的には10巻の感想を書くべきなんですが、なぜか見当たらない・・もうやだ〜(悲しい顔)

元々、家族の本だったのを途中から私が引き取って買い揃えていったので、家族の誰かの本棚にいるのかもたらーっ(汗)

・・ということで、1冊とびます。


“うさぎ”という愛称で可愛がられている同心・木村忠吾が、同性愛者の侍に気に入られ、誘拐されてしまった。この侍の正体は?−「男色一本饂飩」他「土蜘蛛の金五郎」「穴」「泣き味噌屋」「密告」「毒」「雨隠れの鶴吉」計7編収録


私も大好きな同心の一人、木村忠吾が誘拐されてしまいます。

剣の腕もイマイチで、同心としてはどうなの?というくらい情けない人なのですが、ひょうきんでお調子者で、平蔵からも他の与力や同心からも愛される人なんです。

名物の「うさぎ饅頭」に似ているから・・という理由で「うさぎ」とか「うさ忠」とか呼ばれています。

その日、忠吾は大好物の一本饂飩を食べにいつもの店へ。機嫌良く食べていると急にそばに来た侍が、忠吾のお尻を触って来ます。

怒った忠吾は先に店を出たのですが・・。

助け出された忠吾はしばらく周りから冷やかされます。でも平蔵だけは「みさおを守った」ことを信じてくれ、思わず涙した忠吾でした。


土蜘蛛の金五郎」では、平蔵が乞食姿になり、潜入捜査をします。金の無い人には裏で、無料でごはんを食べさせる・・という奇特な店がありました。普通の人なら「良いご主人だね」で終わるのですが、平蔵は「何か裏がある」と読み、潜入することに。

風呂にも入らず、月代もそらず、髭も伸び放題にするという徹底した変装ぶりに、改めて感心しました。

」という話は、私が大好きな話です。大店の隠居になっている男が、昔は名の通った盗賊の頭で、今は引退したのに盗みの虫がおさまらず、隣の大店へこっそりと盗みに入ることにしました。

元手下で、今は番頭の男と二人で大穴を掘り、店の誰にも気づかれずに大金を盗んで、更にはこっそりと返しに行く手口は、鮮やかで何だかスカッとするんですよね〜。

やってることは盗みなので、悪いことなんですけどね・・。

今回も面白い話がいっぱいでした。



<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
「鬼平犯科帳3」
「鬼平犯科帳4」
「鬼平犯科帳5」
「鬼平犯科帳6」
「鬼平犯科帳7」
「鬼平犯科帳8」
「鬼平犯科帳9」



↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年09月04日

池波正太郎「剣客商売 狂乱」

池波正太郎著 「剣客商売 狂乱

(新潮文庫)


友人・牛堀の道場へあそびに行った小兵衛は、そこで石山という武士と出会った。剣術を習いに来たはずの石山はなぜか道場破りのような態度をしたため、牛堀に叱られ道場を飛び出した。その後偶然小兵衛が石山を見かけたときには見知らぬ若侍に対し、暴行を働いていたのだった。どうして彼はそんな行動に走ったのか・・「狂乱」他「毒婦」「狐雨」「仁三郎の顔」「女と男」「秋の炬燵」計6編収録


足軽という低い身分なのに強すぎ、それを自慢に思っていた石山。家中の偉い人を助けたため、周りからうとまれても優遇されていることが更に周りの怒りをかうことになっていました。

小兵衛の友人で剣客の牛堀は、剣術の腕はもちろん、人柄も良いと評判で「剣を習わなくても、牛堀先生の側にいるだけで修行になる」と言われるほどの人物です。

そんな牛堀の元へ修行に行かせれば少しは石山の人柄も変わるのでは?と入門させようとしたのですが・・。

小兵衛に暴行現場を見られた石山は、小兵衛を倒すために後を付け回すようになります。当然、簡単に斬れる相手ではないので、ずっと付いて回る日々が続きました。

そんな石山を見て、小兵衛は「実は寂しい奴なのかもしれない」と優しく声をかけるのですが・・。

何ともやりきれないような結末でした。

狐雨」は、秋山親子の知人で、剣術の腕はひどいのに父親の跡を継いで剣術道場の主となった杉本又太郎という人の話。弟子よりも弱い主についていく弟子がいるわけもなく、どんどんさびれていく杉本道場。でも、あるときを境に突然、驚くほどの強さを身につけます。題名から少し想像できそうですね。

仁三郎の顔」は、大治郎が以前旅先で助けた男・仁三郎の話。とても温厚で、大治郎に対して恩義を忘れない律儀な男のはずが、実は冷酷な殺人鬼でした。


人間ってとても複雑な生き物だな・・と改めて感じてしまうような短編集です。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年08月18日

池波正太郎「剣客商売 隠れ蓑」

池波正太郎著 「剣客商売 隠れ蓑

(新潮文庫)


数年前、旅先で盲目の老武士をいたわりながら旅を続ける托鉢僧と出会った大治郎は、その姿に感動し、思わず紙に包んだ金子を渡した。その老僧に江戸で再会した大治郎は、試し斬りされかけていたのを助け、家まで送り届けた。そこから老武士と老僧、二人の関係を知ることになり・・−「隠れ蓑」他「春愁」「徳どん、逃げろ」「梅雨の柚の花」「大江戸ゆばり組」「越後屋騒ぎ」「決闘・高田の馬場」計7編収録


兄弟でも夫婦(男性同士だから夫婦とは言わないですけど)でもなさそうなこの二人。実は28年間命を狙い、狙われる関係、つまり仇討ちの敵同士だったのです。

仇討ちのためにつけ狙われていた老僧は「追われるよりも追う方がマシ」と気づき、逆にこっそり武士の後をつけるようになったのです。

やがて武士の目が見えなくなって、悲観して自殺しかけたのを見て思わず助けてしまい、そこから武士は僧の身分を知らないまま旅を続けることになったのです。

何とも悲しい二人の旅でした・・。

梅雨の柚の花」は、大治郎の道場に入門した新しい弟子・笹野新五郎の話。めでたく2人目の弟子となった新五郎ですが、来た時は何かを思い詰めたような不思議な気を発していました。出生から生い立ちまで色々と事情があり、更に、ある人を斬ろうという気持ちで修行をしていたのです。

越後屋騒動」では、小兵衛が越後屋の孫・伊太郎の誘拐事件に巻き込まれます。この大店は、内部事情が複雑なようで・・。


大治郎の道場にも弟子が入門し、妻も迎え、色々と環境に変化が見られます。妻・三冬はまだまだ新米主婦なので、失敗も多いですが、これがまた微笑ましくて、大治郎夫婦の様子もこのシリーズを読む楽しみの一つになっています。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 18:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年08月12日

池波正太郎「鬼平犯科帳9」

池波正太郎著 「鬼平犯科帳9

(文春文庫)


見回りの途中で馴染みの茶店に立ち寄った平蔵は「雨引の文五郎」という盗賊が歩いているを見かけた。後を追うと、文五郎は見知らぬ男に襲われた。平蔵は二人を捕らえるために大声で名乗ると、男は文五郎を助けるように平蔵へ斬りかかり、文五郎は逃げてしまった−「雨引の文五郎」他「鯉肝のお里」「泥亀」「本門寺暮雪」「浅草・鳥越橋」「白い粉」「狐雨」計7編収録


捕まえた男は「落針の彦蔵」という盗賊で、文五郎に恨みを持っていたため、命を狙っていました。そういう事情を一切語ろうとしない彦蔵でしたが、平蔵は馴染みの老盗賊の宗平に助けを求め、事情を把握しました。

文五郎も捕らえるため、彦蔵を一度逃がし、おびき出す作戦に出た平蔵でしたが・・。

鯉肝のお里」では、女盗賊お里を捕まえるために見張りをしていた、密偵のおまさと五郎蔵にちょっとした事件が。平蔵のことを密かに恋焦がれていたおまさでしたが、今回のことで五郎蔵と夫婦になり、今後、夫婦でますます平蔵を助けることになります。

本門寺暮雪」は、平蔵の友人・録之助が命を狙われ、それを助けようとし、命がけの戦いを強いられることになった平蔵の話。朝、平蔵が出掛ける前に妻・久栄の髪から笄が落ちて割れたことで、嫌な予感がした久栄は必死で夫を止めるのですが・・。結局予感は当たってしまいました。

狐雨」では、同心・青木助五郎が狐に憑かれて狂ってしまいます。平蔵の妻・久栄が冷静に対処したお陰で大事にならず、何とか解決する事ができます。


相変わらず、命がけで部下や友人、家族を守り、役目も果たし、大忙しな平蔵の話です。


<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
「鬼平犯科帳3」
「鬼平犯科帳4」
「鬼平犯科帳5」
「鬼平犯科帳6」
「鬼平犯科帳7」
「鬼平犯科帳8」

↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 16:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年07月31日

池波正太郎「剣客商売 新妻」

池波正太郎著 「剣客商売 新妻

(新潮文庫)


大治郎は大坂から江戸へ帰る途中、滞在した宿で身に覚えの無い呼び出し状を渡された。呼び出された場所へ行くと、突然斬りかかられた。人違いだったらしく、曲者たちは逃げて行った。宿へ帰った大治郎は、誰と間違えられたのか調べたところ、鳥居という人物だとわかった。鳥居は、公金横領の罪を着せられたため、江戸へ身の潔白を訴えに行く途中だった−「新妻」他「鷲鼻の武士」「品川お匙屋敷」「川越中納言」「金貸し幸衛門」「いのちの畳針」「道場破り」計7編収録


旅先の宿で偶然同姓同名の武士と一緒になった大治郎。その人物は鳥居という偽名を使って泊まっていたため、同じ名前だった大治郎が間違えられました。

鳥居は結婚したばかりで、その新妻は江戸へ旅立つ夫のことを励ますために自害しました。励ますために自害する・・すごい時代ですよね。自分のせいで死に方を誤らないように・・ということなんですが、それにしてもすごい覚悟です。

品川お匙屋敷」では、佐々木三冬が偶然通りかかった怪我を負った女から筆を託された所から話は始まります。その女は間もなく死んでしまうのですが、三冬は大治郎に相談します。

託された筆には、禁制の品である異国の香が入れられていて、三冬は密貿易の組織から命を狙われ、地下牢に監禁されてしまいます。

それを命がけで助けた大治郎に、三冬の父である田沼意次は「娘を嫁にもらってくれ」と頭を下げます。

・・ということで、もどかしい二人の関係はやっとすっきりし、晴れて夫婦となりました。


夫婦となった二人ですが、三冬は剣士として男として長く生きてきたので、家事は一切できません。大治郎は一人暮らしが長かったため、家事はある程度できます。なので、逆転したような不思議な夫婦ができあがりました。

二人の初々しい会話や行動は、読んでいて微笑ましく、いつまでも見守っていたいような気持ちになります。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年07月15日

池波正太郎「鬼平犯科帳8」

池波正太郎著 「鬼平犯科帳8

(文春文庫)


非番もなく働きづめだった同心の小柳は妻の死に目にもあえなかった。妻は非常な難産で、男の子を生みおとすと共に息絶えてしまい、生まれた子どもも死んでしまった。それまでの小柳はおっとりした人柄だったが、これ以来、職務に励み、腕も磨き、男らしさを増した。そんな小柳同心は、又八という盗賊を牢から逃がしてしまった−「あきれた奴」他「用心棒」「明神の次郎吉」「流星」「白と黒」「あきらめきれずに」計6編収録


墓の前で長官である長谷川平蔵に「小柳、ゆるせよ」と頭を下げられたことで、全てを水に流した小柳でしたが、やはり、妻子を一度に亡くしたこと傷は簡単に癒えるわけもなく、人が変わったように剣術の稽古に励み、職務に命をかけるようになりました。

始めは「死ぬつもりなのでは?」と心配されましたが、どんどんたくましくなっていく小柳を見て安心し、今では平蔵が何かあったときには頼りにするような存在に・・。

そんな小柳は、又八という盗賊をとらえたのですが、牢から逃がしてしまいます。牢から逃がした罪で、小柳は捕まってしまいますが、理由も言わずに黙って牢に入っていました。

小柳と又八の間に何があったのか?

命がけで職務を全うする小柳の強さに感動する話です。

用心棒」では、平蔵が浪人のような風体になり、高木軍兵衛という用心棒を手助けします。見た目は強そうな高木ですが、実際はとても弱い・・でもそれは雇ってくれている店には内緒でした。そんな高木の人柄に惹かれたこともあり、平蔵が助けます。

明神の次郎吉」は、左馬之助が昔の恩人の最期をみとってくれた次郎吉に感謝して恩返しをする話。その次郎吉は実は盗賊で、偶然見かけた元盗賊のおまさに見つかってしまいます。左馬之助の純真さを大事に思う平蔵は、密かに捜査を進め、次郎吉を捕まえます。


人とは良い事をしたり悪い事をしたり、色々な面をもっているもので、複雑だからこそ面白いこともある・・と改めて知ることができる作品です。


<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
「鬼平犯科帳3」
「鬼平犯科帳4」
「鬼平犯科帳5」
「鬼平犯科帳6」
「鬼平犯科帳7」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年07月10日

池波正太郎「剣客商売 白い鬼」

池波正太郎著 「剣客商売 白い鬼

(新潮文庫)


その日、小兵衛は若き日の愛弟子・庄蔵が尋ねて来ると言うので楽しみに待っていた。ところが連絡も無くいつまでも来なかった。次の日、庄蔵の勤める沼田藩に駆けつけてみると、庄蔵は腕を切り落とされ、寝込んでいるとのこと。復讐するために小兵衛は犯人を追う−「白い鬼」他「西村屋お小夜」「手裏剣お秀」「暗殺」「雨避け小兵衛」「三冬の縁談」「たのまれ男」計7編収録


久しぶりに愛弟子に会えるのを楽しみにしていた小兵衛ですが、その弟子が襲われたということで、犯人を追い始めます。

犯人は、金子伊太郎という男。母親からひどい仕打ちをうけていたせいで、女性全般が嫌いになってしまいました。そして次々と女性を惨殺するようになり、沼田藩でも必死で追っていました。

ところが、江戸へ逃げたことがわかり、庄蔵が偶然見かけたため後をつけたところ、気づかれて斬られてしまったのです。

金子の境遇はかわいそうではありますが、その後の女性に対する仕打ちは納得できませんし、同情もできません。


手裏剣お秀」は、杉原道場という小さな道場の娘であるお秀という女性の話。道場主の父親が病気のため、お秀が代役として道場を支えています。手裏剣が得意なお秀と知り合うことになった小兵衛が、お秀を襲撃から守ります。

三冬の縁談」は、ずっと「自分より強い男性としか結婚しない」と公言していた三冬に持ち込まれた縁談の話。「試合をして負けたら嫁に行く!」と言った三冬ですが、その試合相手のことを知っていた大治郎は、「三冬殿は負けてしまう・・」と落ち込んでしまいます。結婚させたくなくて小兵衛に相談するのですが・・。


ずっと何ともうまく進まない関係だった大治郎と三冬が今回、少し前進することになります。

不器用な二人ですから、見ているともどかしい感じですが、その様子が微笑ましくて、何とかうまくいってほしいもんだな〜とか思ってしまいます。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年06月26日

池波正太郎「鬼平犯科帳7」

池波正太郎著 「鬼平犯科帳7

(文春文庫)


先週末に2夜連続でドラマが放送されましたね。ワールドカップもあったから見た人は少なかったかな・・??


盗賊の庄右衛門は、心臓の病で倒れ一時は命も危ぶまれる状態にまでなったが、三年間温泉で療養した結果、思いがけず元気になり、隠居金を作るため最後のお盗めをしようと考えていた。ところが、江戸へ戻る途中に手下から襲われ、偶然居合わせた岸井左馬之助に助けられる−「雨乞い庄右衛門」他「隠居金七百両」「はさみ撃ち」「泥鰌の和助始末」「寒月六間掘」等計7編収録


昔堅気、というか地味な盗みをする庄右衛門。金のない所からは盗まず、殺さず、女を手籠にせず・・という3カ条をきちんと守り、長年盗みを続けてきていました。

ある日突然、病に倒れ、再起不能だと思われたため、手下は悪だくみを考えます。次の盗みのために準備した大金を、盗んでやろう・・というわけです。

ところが思いがけず元気になってしまったため、御頭の命を狙うはめに・・。

平蔵の友人、左馬之助の活躍で、庄右衛門は命を助けられました。でも結局、平蔵に捕まりますが・・。

はさみ撃ち」では、ある盗賊団の引き込み役が入り込んだ店が実は元盗賊の店だった・・・というちょっとワクワクする展開になっています。

泥鰌の和助始末」には、平蔵や左馬之助の恩人が出てきます。平蔵の息子・辰蔵の通う道場に現われた松岡重兵衛は、若い頃の二人がおもしろ半分でやろうとした盗みを止めるため、自分の裏の顔である盗賊の姿を見せました。それをいつまでも恩義に感じていた二人は、何とか助ける道はないか?と思案します。

寒月六間堀」は、平蔵が偶然見かけた老武士の仇討を助ける話。息子を理不尽に殺されてしまった老武士のやりきれない想いと、必死で仇討をしようとする健気な様子に惹かれた平蔵は、役目を離れ独自に助けます。


息子・辰蔵も少し落ち着いてきて、剣の腕も少しは上達し、真面目になってきました。今回は何度か活躍を見せます。


<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
「鬼平犯科帳3」
「鬼平犯科帳4」
「鬼平犯科帳5」
「鬼平犯科帳6」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年06月17日

池波正太郎「剣客商売 天魔」

池波正太郎著 「剣客商売 天魔

(新潮文庫)


20年ほど前、修行先で知り合った笹目庄平という男と親しくなった小兵衛は、その息子・千代太郎のたぐい稀な身体能力に驚き、剣術を教えるよう勧める。数年後、千代太郎は近所の道場へ行っては道場破りを繰り返すようになり、何人もの命を奪うようになってしまった。責任を感じた小兵衛は、自ら千代太郎を始末する決意をする−「天魔」他「雷神」「箱根細工」「夫婦浪人」「約束金20両」「鰻坊主」「突発」「老僧狂乱」計8編収録


まだ現役で活躍していた頃の小兵衛が出会った千代太郎は、高い塀を軽々と飛び越えて現われました。その動きを見て、父親の庄平に剣術を教えるよう勧めるのですが、精神面をうまく育てることができなかったようで、悪い噂ばかりが聞こえる状態でした。

そして20年後、小兵衛の私邸へやって来た千代太郎は「ある道場へ行く」と宣言して去ります。大治郎をその道場へ行かせて警護させますが、別の道場へ現われ、筆頭弟子たちを殺害してしまうのです。小兵衛は、大治郎と協力し、千代太郎を倒すことにします。

何人もの剣客を殺してきた千代太郎ですが、きちんと教育してもらえなかったのが何だかかわいそうでもあり、小兵衛の友人の息子を倒す辛さもあり、とても悲しい話です。

雷神」では、弟子からなれ合い試合の許しを求められた小兵衛が、その試合の審判を頼まれてしまいます。大治郎には父親の気持ちが理解できず、怒ってしまうのですが・・。意外な結末があります。

箱根細工」は、父の用事で旅に出た大治郎の話。父の友人の見舞いに行くのですが、その友人が命を狙われていたため、しばらく共にいて助けます。これも悲しい話です。

夫婦浪人」は、男色の浪人の話。男同士で好き合って一緒に暮らす人たちが昔もいたんですね・・。小兵衛がふとしたことから知り合いになり、面白半分で近づくのですが・・。


今回は少し、悲しい話が多い感じですね。でも、最後の最後に少しほっとする出来事があって悲しみをやわらげてくれます。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年06月10日

池波正太郎「鬼平犯科帳6」

池波正太郎著 「鬼平犯科帳6

(文春文庫)


年が明けて、家族との団欒を楽しむために私邸に戻った平蔵と久栄だったが、日頃の疲れもあり平蔵は寝床から出ずにずっと眠っていた。そんな毎日を過ごしている平蔵の元へ、与力の佐嶋がやって来た。佐嶋の叔父が事件に巻き込まれたということで助けを求めにきたのだ−「礼金二百両」他「猫じゃらしの女」「剣客」「狐火」「大川の隠居」「盗賊人相書」「のっそり医者」計7編収録


いつも忙しく、しかも命がけで働いている平蔵に、妻の久栄は「なぜそこまでするのか?」と問います。それに対し「つくづくとばかばかしく思うが、この御役目がおれの性にぴたりはまっているのだ」と答えます。

長官である平蔵自らが率先して命をかけて働くことで、下の者たちはついてくるわけで、サボるわけにはいかないのです。

この仕事に誇りと自信をもっている平蔵は更に「他のだれがやっても自慢ではないがおれほどにできまい」とも言います。何とも頼もしい言葉です。

この御役目には、目に見えないというか公に出来ないお金がどうしてもかかってしまいます。元盗賊で今は捜査を手伝ってくれている者たちにも気前よくお金を渡さなければ、生活に困ってまた盗賊に戻りかねませんし、身を粉にして働いてもらえません。

詳しい情報を手に入れたければお金を握らせないといけない場面も多くあります。ですが、幕府からもらえるお金なんてしれていて、平蔵も私産をなげうって御役目にあたっているのです。

礼金二百両」は、そんな平蔵の金銭的な苦労も垣間見え、それを支える与力・佐嶋や妻・久栄の気持ちも痛いほどわかる話になっています。

大川の隠居」ではちょっとスカッとするような、笑える話が書かれています。老盗の友五郎が、評判の鬼平の鼻をあかしてやろう!と役宅へ忍び込み、平蔵の煙管を盗みます。病床にあったとはいえ、自分の部屋へ忍び込まれたことが腹立たしくもあり、でも何ともにくめない友五郎に惹かれてしまい、軽く仕返しをすることに・・。


平蔵の苦労や元盗賊で今は助けてくれている人たちの活躍が楽しめる作品集です。


<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
「鬼平犯科帳3」
「鬼平犯科帳4」
「鬼平犯科帳5」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年05月22日

池波正太郎「剣客商売 陽炎の男」

池波正太郎著 「剣客商売 陽炎の男

(新潮文庫)


湯船につかって、気を緩めていた三冬を無頼の浪人たちが襲いかかった。全裸にもかかわらず怯まず撃退し、襲われた理由を調べるために大治郎に協力を頼む−「陽炎の男」他「東海道・見付宿」「赤い富士」「嘘の皮」「兎と熊」「婚礼の夜」「深川十万坪」


三冬というのは、老中・田沼意次の娘ということになっていて、一応隠し子的な存在なので名字は佐々木です。

小さい頃から男装して剣術を習っていて、女剣士として道場でも上位に位置する腕前を持っています。

偶然、小兵衛に助けられたことから恋心を抱き、小兵衛の妻(内縁)・おはるにやきもちを妬かれるほど・・。

で、今回も小兵衛に助けてもらうつもりで手紙を出しますが、小兵衛は大治郎に任せます。

赤い富士」は、小兵衛が偶然見た、赤い富士の描かれた絵の話。家を焼かれてしまったために新居を建て直している小兵衛。この富士の絵が気に入ってしまい、譲ってもらおうとするのですが・・。

兎と熊」は、小兵衛の碁仲間でもある医師・小川宗哲の弟子・道歩の娘が誘拐された話。助け出すために動き出した小兵衛は偶然、違う所から解決の糸口を見つけます。

婚礼の夜」は、大治郎が以前世話になった浅岡鉄之助という剣客の話。全国に修行の旅をしていた大治郎が旅先でお世話になった道場にいた浅岡が、大治郎を訪ねて来ました。ところが、刺客に狙われていることがわかり・・。


今回は、小兵衛が大治郎に任せてしまうことが多く、大治郎の活躍をたくさん読むことができます。

父親のように世渡りもうまくなく、まだまだぎこちない感じの大治郎ですが、真っすぐな気持ちで突き進む様子は読んでいてほほえましい感じです。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年05月14日

池波正太郎「鬼平犯科帳5」

池波正太郎著 「鬼平犯科帳5

(文春文庫)


長谷川平蔵は夜回りを終えて、役宅へ帰ろうと歩いていると、突然斬りつけられた。返り討ちにした平蔵だったが、その日を境に凶悪な押し込みが続き始める。必死で捜査をする平蔵にまた刺客が襲い掛かる−「兇賊」他「深川・千鳥橋」「乞食坊主」「女賊」「おしゃべり源八」「山吹屋お勝」「鈍牛」計7編収録


網切の甚五郎という兇賊の罠にかかってしまった平蔵を助けるのは、鷺原の九平という盗賊。九平は“ひとりばたらき”という仲間をもたずに一人きりで盗みに入る盗賊です。

普段は居酒屋のおやじをやっていて、偶然店に来た平蔵を見ていてすっかり気に入ってしまい、こっそり平蔵を助けるために動いていました。

何とも憎めない盗賊です。

深川・千鳥橋」は、間取りの万三という男の話。大工として家や店の建築に関わり、こっそり仕掛け(後で忍び込めるように)を施しておいたり、その店の間取り図などを盗賊に売って大金を得る人がいたんですよ・・恐ろしい話ですよね。もちろんバレたら捕まります。

乞食坊主」は、平蔵の剣術仲間だった録之助の話。世の中の面倒から逃れるために坊主姿でありながらどこの寺にも属さず、乞食のようなことをしていた録之助は、偶然、盗賊二人の密談を聞いてしまい、命を狙われることになります。平蔵と久々に再会を果たし、盗賊を捕まえるため協力します。

おしゃべり源八」は、口数が少なく真面目に働いていた同心の源八の話。捜査中に行方不明になった源八が、百姓として生活している所を発見されます。帰ってきた源八は記憶を無くしていたのですが、無口だったはずがかなりのおしゃべりになっていました。捜査中だった事件の犯人に見つけられ、命を狙われます。


盗賊や同心、昔の友人など色々な人たちに助けられながら盗賊を捕まえていく平蔵の活躍が楽しめる話ばかりです。


<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
「鬼平犯科帳3」
「鬼平犯科帳4」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年04月30日

池波正太郎「剣客商売 辻斬り」

池波正太郎著 「剣客商売 辻斬り

(新潮文庫)


このシリーズも大好きで、全て読みました。何度も・・。
ただ、1冊目を貸していて手元に無いので、2冊目から感想を書くことにします。

夜の闇の中、家路を急ぐ小兵衛をするどい太刀風が襲いかかった。大きな体躯のその武士は、最初の一太刀を小兵衛に避けられあわてて逃げて行った。辻斬りと思われるその武士を追いかけ、正体を明らかにし、懲らしめることにした小兵衛は、息子・大治郎と共に策を練る−「辻斬り」他「鬼熊酒屋」「老虎」「悪い虫」など計7編収録


背も低く、体も細い小兵衛と、背も体も大きい息子・大治郎が活躍する話です。

この親子はどちらも凄腕の剣客ということで、様々な死闘を繰り広げます。

世の中の裏も表も知り尽くし、達観している雰囲気さえある父・小兵衛に、息子・大治郎はいつも振り回されます。それでも父親を心から尊敬しているので、何かあれば必ず父親に相談し、頼りにします。

体型も考え方も全く反対のような二人の対比が面白く、決闘シーンはかっこよく、二人の優しさにほろりとさせられ、次々読み進めてしまいます。

今回の「辻斬り」でも、辻斬りを懲らしめようとしたために逆に命を狙われ、罠にはまってしまいます。それでも二人は決して負けないのですが・・。

読みやすい短編集ですので、機会があれば1冊目から読んでみてはいかがでしょう?私的には「鬼平」よりも好きです。

↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 21:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年04月22日

池波正太郎「鬼平犯科帳4」

池波正太郎著 「鬼平犯科帳4

(文春文庫)


上杉謙蔵と名乗るその浪人は、みすぼらしい格好をしているが相当の腕前を持っていた。怪しい男から平蔵の息子・辰蔵を暗殺するように依頼された上杉だったが、辰蔵が体調を崩して路上で苦しんでいるのを見て、思わず助けた。その上、「暗殺するつもりだった」と告白し、結局辰蔵の味方になってしまう−「霧の七郎」他「五年目の客」「血闘」「密通」など計8編収録


息子の辰蔵のことは、残念な感じでいつも書かれていて、「出来の悪い息子」ということになっています。ところが、今回はちょっと父親譲りの懐の深さみたいなものが見えました。

まあ、最終的には平蔵から「だからお前はだめなんだ」と言われてしまうのですが・・。

密通」は、妻・久栄の伯父から依頼されて個人的に事件を捜査することになった話。伯父のことが好きではない久栄は夫に頼むときからかなり嫌そうです。事件の内容もひどい話で、読んでいて顔をしかめる部分もたくさんありました。

血闘」では、平蔵が最大のピンチに陥ります。幼い頃から知っている女密偵・おまさが盗賊のアジトに監禁されてしまったのを救出に向かったのですが、なかなか味方の援護が得られず、思いがけず命をかけた戦いになってしまいます・・。


<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
「鬼平犯科帳3」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年03月16日

池波正太郎「鬼平犯科帳3」

池波正太郎著 「鬼平犯科帳3


体調を崩している平蔵の治療のため役宅に出入りする指圧の名手・中村宗仙に、最近怪しい動きがある。山田同心は偶然、宗仙と浪人者が会っている所を見て、密かに調べ始めた−「麻布ねずみ坂」他「盗方秘伝」「艶婦の毒」「兇剣」「駿州・宇津谷峠」「むかしの男」の6話収録


前作の終わりに平蔵は高熱を出し、その後もあまり体調が良くないまま今回の話に進んでいます。

今回活躍を見せた山田同心は、子どもがたくさんいて、しかも病気をしていたりして安い給料では生活が苦しい状態でした。実は不純な動機(やっかみと羨ましさの混ざったような)で宗仙の屋敷の前にたたずんでいたわけですが・・。

そんな山田同心の気持ちを聞かなくても察した平蔵は、罪の意識を告白しようとした山田を止め、黙って見舞金を差し出します。そういう気遣いがさりげなくできる上司だからこそ、部下たちも命がけでついていこう!と思えるのでしょうね。

盗方伝授」は、京都へ旅することになった平蔵が偶然出会った老盗に見込まれ、弟子にされそうになる話。病気は回復したのですが、働き詰めの平蔵を休ませようという心使いから幕府は「解任する」と言い渡します。そこで、京都へ旅することにした平蔵なのですが・・。

艶婦の毒」は、平蔵のお供をさせられた同心・木村忠吾が出会ってのめり込んでしまった女の話。題名からわかるように、とても毒の強い怪しい女性です。

兇剣」では、鬼平の暗殺計画をたてた盗賊に殺されかけます。親友の岸井左馬之助に助けられて何とか生き延びることができました。

その左馬之助は幼馴染の一人に偶然出会います−「駿州・宇津谷峠」実は裏の世界に身を置くその幼馴染、人殺しまでやっています。

むかしの男」では、平蔵の妻・久栄のむかしの恋人が出てきます。娘・お順をさらわれたり、平蔵が留守の間に大事件に発展・・。でも与力・佐嶋が機転を利かせてうまく解決していきます。

今回は、平蔵だけではなく、数多くいる部下たちの活躍も見られ、また違った楽しさがありました。

<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」

↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

今読んでいるのは・・
posted by DONA at 11:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年02月17日

池波正太郎「鬼平犯科帳2」

池波正太郎著 「鬼平犯科帳2

(文春文庫)


その日、鬼平こと長谷川平蔵は剣友の岸井左馬之助を見舞った帰りに見かけた蕎麦屋へふらっと立ち寄った。そこで見かけた客の目が気になり、後を付けるが撒かれてしまう。その男の正体は蛇(くちなわ)の平十郎という盗賊で、以前から平蔵の暗殺を企んでは失敗していた。−「蛇の眼」他「谷中・いろは茶屋」「女掏摸お富」「妖盗葵小僧」「密偵」「お雪の乳房」「埋蔵金千両」の計7編収録


偶然、見かけた客の目が気になるというだけで、特に怪しい点はなくても追いかけてみる・・こういう直感に似た捜査でかなりの功績をあげている鬼平。

蛇の平十郎は、押し入った先の人たちを皆殺しにする冷血な盗賊です。そういう盗賊に対しては容赦なく切り捨ててしまう平蔵に上役は「やりすぎだ」と言いますが、鼻で笑うような強い意志をもって役目をこなしています。

女掏摸お富」は、元スリの女の話。スリの素性を隠して結婚し、所帯をもっていたお富が、元の仲間に見つかってしまいゆすられて仕方なく、スリを働くことに・・。

密偵」は、元盗賊で今は火盗改方の密偵をしている弥市の話。元盗賊ということで、盗賊時代の仲間には恨まれ、火盗改方には義理があり・・と、間で揺れ動くことになってしまいます。

平蔵が見せる、非情さと優しさにホロッとするそんな短編集です。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


今読んでいるのは・・
posted by DONA at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎

2010年01月06日

池波正太郎「鬼平犯科帳1」

池波正太郎著 「鬼平犯科帳1

(文春文庫)


山本周五郎と同じくらい好きな作家さんです。この方の本もほとんどがボロボロ状態・・あせあせ(飛び散る汗)


火付盗賊改方という役所の長官である長谷川平蔵は、殺人を犯すような非情な盗賊に対して容赦がなく、必ず捕まえ処罰してしまう所から怖れられ「鬼の平蔵(鬼平)」と呼ばれている。しかし、実際には人情に厚く、金離れも良いので、手下からは慕われ尊敬されていて、彼のためなら命を捨てられるという者が多い。8話収録の短編集


映像化や舞台化され、かなり有名になっているシリーズですから、知っている方も多いと思います。

奉行所とは違って、切捨て御免という許しをもらっている役所なので、勝手に判断して切ってしまうこともでき、身軽に動けるのが特徴です。(抵抗せずに捕まった場合は、牢屋に入れられて裁きを待つので、奉行所と同じ所もありますが。)

平蔵は一話目の途中から長官になります。若い頃には好き放題あそび回っていた平蔵だけに、武士だけではなく町人たちの生活ぶりもよく知っていて、義理や人情に厚く、与力や同心たちに慕われるのも当然で、一話目から目覚しい活躍を見せます。

いきなり1人の同心が身を滅ぼしていく話から始まるので驚かされますが、その後の話は盗賊たちと火盗改(かとうあらため)たちの駆け引きや、平蔵の手下の動かし方などに惹きつけられますぴかぴか(新しい)

このシリーズは24巻まで続きます。



↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押していって下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 19:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池波正太郎