
佐々木譲 著
「北帰行」
(角川文庫)
旅行代理業を営む卓也は、モスクワから来たターニャと名乗る女性をアテンドする。日本語を巧みに操るターニャは、乃木坂で卓也の車を降りるなり、拳銃を発砲し舞い戻ってきた。彼女は家族の復讐のために来日した暗殺者だったのだ−。暴力団、ロシアン・マフィア、警視庁、三つの組織に追われ、二人は東京、新潟、稚内と逃避行を重ねることに。五日間の脱出行の果て二人が見た風景は−。緊迫のクライム・サスペンス!−裏表紙より−
日本人の父親を持つターニャは、旅行代理業の卓也に日本に滞在中の世話を頼みます。ホテルからある場所へ送ってもらった彼女は、建物の中に入ったとたんに拳銃を撃って車へと戻ってきました。
そこから卓也は彼女と共に、日本の暴力団に狙われてしまいます。組長を撃たれた暴力団は、襲ったのが女性だとは言えないまま、部下の1人が密かにターニャと卓也を追いかけます。
殺人事件ですから、当然、警察も捜査に乗り出しますし、ターニャが属しているというロシアン・マフィアも暴力団との駆け引きを始めたため、2人は3つの組織から追われることになりました。
「妹の仇を討ちにきた」と説明したターニャを見捨てることもできず、ずるずると巻き込まれていく卓也。彼の家族にまで被害が及びそうになり・・・。
始まりから一気に話に引き込まれ、その後もどんどん読むスピードが上がるような、ハラハラドキドキの展開で面白かったです。
ただ、卓也の気持ちと行動は最後まで理解できなかったんですよね。
確かにターニャは冷酷な暗殺者とは言えないかもしれません。でも、あっさりと拳銃を撃つわけですし、卓也の家族のことも彼を従わせる材料として持ち出すような人ですから、情けをかける必要は無いはず。
なのに、いつまでも行動を共にしますし、最後には・・・ネタばれになるので書きませんが、最後が特に理解不能でした。
途中までは、追われる側と追う側の駆け引きが面白かったのですが、最後の方では頭に「?」がいっぱい浮かんでしまい、そのまま終わってしまいました。
ちょっと残念な作品でした。
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