2015年04月22日

コリン・ホルト・ソーヤー「旅のお供に殺人を」

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 コリン・ホルト・ソーヤー 著
  中村有希 訳
 「旅のお供に殺人を」海の上のカムデン騒動記8
 (創元推理文庫)


入居者向け娯楽活動の不毛さに音を上げた高級老人ホーム<海の上のカムデン>の面々は状況の改善に乗り出し、スペイン語講座、さらにはメキシコへのバス旅行が実現のはこびとなる。アンジェラとキャレドニア以下参加者一行11人は、添乗員つきツアーをおおむね楽しんでいた・・・新入りの老婦人が、突然の死に見舞われるまでは。老人探偵団が異国の地で大騒ぎする、シリーズ第八弾。―裏表紙より―


今回はあまり間を空けずに新刊が発売され喜んでいましたが、これがシリーズ最終巻ということなので、寂しくもあります。まだまだ続けられそうなのに残念です・・・。


今回の話の舞台は、メキシコ。いつもカムデンにいるイメージの彼女たちが、なぜメキシコに行っているのか?それは、あらすじにもあるように、娯楽活動の一環なんです。

あまりにも老人扱いされる内容の娯楽活動に嫌気がさした入居者たちは、スペイン語講座なんてものを始めることにしました。何でも器用にこなすアンジェラがスペイン語がなかなか上達しないことにイライラして、「本場でスペイン語が聞きたい!」と言い出した所から、メキシコ旅行が実現することに。

バスツアーでメキシコ! カムデンの位置がいまいちわからないので、バスでどのくらいかかるのか?把握できませんが、さすが老人ばかりの旅、やたらとトイレ休憩をはさんで、時間をかけていっていました。しかも、カムデンを長い間離れられない!ということで、3回に分けて旅行します。

う〜〜ん、面倒くさそう!

しかも、老人の集団って、言うこと聞かないんですよね!これは想像がつきますけど、まず集合時間に揃わないし、荷物が多いし、その荷物がなぜか紛失するし、「ここは見たくない」なんて我儘も言い出す始末・・。

ツアーガイドの苦労がよくわかります。

普通に旅するだけでも大変なのに、更に旅行者の中に突然死する者が出てしまい、ますます大騒ぎに。

仲間が死んでも旅を続けようとする老人たちにも驚かされましたが、キャレドニアが気持ちを説明してくれてようやく納得できました。老人にとっては“死”って近い物なんですよね。いちいち悲しんでいられない! もちろん悲しいけれど、それ以上に自分の今を大事にしたい。その気持ちはわかる気がします。


今回もミステリ的には犯人もわかりやすかったですが、アンジェラの危機と老人たちの旅行風景が面白くて、最後まで楽しめました。

いつか作者が続編を書いてくれる気になることを期待しつつ、気長に待つことにします。


<海の上のカムデンシリーズ>
「老人たちの生活と推理」
「氷の女王が死んだ」
「フクロウは夜ふかしをする」
「ピーナッツバター殺人事件」
「殺しはノンカロリー」
「メリー殺しマス」
「年寄工場の秘密」

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2014年01月18日

コリン・ホルト・ソーヤー「年寄り工場の秘密」

年寄り工場の秘密

 コリン・ホルト・ソーヤー 著
  中村有希 訳
 「年寄り工場の秘密」海の上のカムデン騒動記7
 (創元推理文庫)


高級老人ホーム<海の上のカムデン>に変化が起きた。長年すんでいたトッツイが、近所にできた老人ホームに引っ越したのだ。三週間後、その彼女がアンジェラとキャレドニアに依頼する。転居先に出る幽霊の正体を見極めてほしいというのだ。同じ屋根の下にいた縁で・・・というよりは退屈しのぎが目的で、名物コンビは“潜入捜査”を敢行するが・・・!? 老人探偵団シリーズ第七弾。―裏表紙より―

前作を読んだのはなんと4年前! やっと新作が読めました。前作で「作者の消息が不明」と言われていたのですが、作者が元気で執筆活動中だと判明したそうで、ホッとしました。


今回もアンジェラとキャレドニアの2人は元気です。近所に出来た老人ホーム“黄金の日々”に幽霊の調査に出かける事になりました。

数日間、お試し入居する形で出向いていった2人。でも、そこの食事が驚くほど質素で不味くて、キャレドニアはかなり不満です。夜は我慢できずに外出してハンバーガーを買って来てしまいました。

アンジェラも食事は気に入りませんが、キャレドニアほどは食に執着があるわけではないので、嫌がらずに調査を進めていきます。そこのホームにいた男性・コニーがとても素敵で、アンジェラの肩に腕をまわしたり、手の甲に接吻したりするので、ますます気に入ったようです。

この幽霊騒動がメインになるのかと思ったのですが、これは意外とあっさり解決し、今度はカムデンで殺人事件が発生してしまいます。

“黄金の日々”からコニ―や他数名の人たちも引っ越してきているため、よく知らない人物もいて捜査は難航します。もちろん、いつものように素敵な警部補・マーティネスやスワンソン刑事もやって来て、2人は嬉々として手伝います。

楽しい捜査に加え、アンジェラはコニ―とどうやってお近づきになるか?という楽しみもあるので、いつもより更に張りきっている感じです。


犯人の目星は早い段階でつきますし、動機もわかりますので、ミステリとしては簡単というか物足りないでしょう。でも、老人たちの活躍がかわいらしくて、健気で憎めなくて、他の部分で楽しめるのでこのシリーズは大好きです。

彼女たちのように、優雅な老後を過ごしたいものだと毎回思います。まあ無理でしょうけど・・。


このシリーズはどうやら残り1作だけのようです。寂しいですが、最後の1作を楽しみに待つことにします。


<海の上のカムデンシリーズ>
「老人たちの生活と推理」
「氷の女王が死んだ」
「フクロウは夜ふかしをする」
「ピーナッツバター殺人事件」
「殺しはノンカロリー」
「メリー殺しマス」


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2010年03月24日

コリン・ホルト・ソーヤー「メリー殺しマス」

コリン・ホルト・ソーヤー著 「メリー殺しマス
海の上のカムデンシリーズ6

(創元推理文庫)


クリスマスシーズンを迎えた高級老人カムデン。ロビーに飾られている大きなクリスマスツリーの下に入居者の死体が・・。転倒による死亡事故か?と思われていたが、アンジェラとキャレドニアは殺人と決め付け、警部補が止めるのも聞かず勝手に捜査を始める。


被害者の女性は色々問題があったので、周りの人から文句が絶えませんでした。お陰で、容疑者も山のよう・・バッド(下向き矢印)

他にもたくさん事件を抱えているマーティネス警部補は、アンジェラたちを事件から遠ざけるために策を練りますが、ことごとく失敗し、積極的に聞き込みをしてしまう二人ふらふら しかも「警察に協力している」とか言い出す始末あせあせ(飛び散る汗)

あまりにも積極的に動くため、アンジェラは命を狙われてしまいます。

主人公のアンジェラが日常生活を送りながらも、ほぼずっと事件のことを考えているので、事件を中心に話は進んでいくので、飽きることがありません。

キャレドニアの言葉には重みがあり、特に夫婦に対してしたアドバイスが心に残りました。
「あんたが奥さんに、奥さんの一日はどうだったって訊いてあげたのはいつだい?あんたが、奥さんを尊敬の眼で見たのはいつだい?(中略)そうだよ、何かを求めるなら、まず自分が与えないとね」
・・確かに。自分がやらないことを相手に求めてもダメなんですよね。改めて反省した私ですたらーっ(汗)

作者の生死が不明ということが解説に書いてありました。シリーズはもう終わってしまうのか・・??とても悲しいですもうやだ〜(悲しい顔)

<海の上のカムデンシリーズ>
「老人たちの生活と推理」
「氷の女王が死んだ」
「フクロウは夜ふかしをする」
「ピーナッツバター殺人事件」
「殺しはノンカロリー」


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2010年03月02日

コリン・ホルト・ソーヤー「殺しはノンカロリー」

コリン・ホルト・ソーヤー著 「殺しはノンカロリー
海の上のカムデンシリーズ5

(創元推理文庫)


ダイエットに効果があると評判の美容スパで、従業員が殺害された。捜査がなかなか進まず、客の入りも悪くなり、経営が悪化するのを恐れた経営者のドロシーは、友人であるアンジェラに捜査の協力をもとめる。


捜査協力を求められるほどに捜査能力を見込まれたアンジェラわーい(嬉しい顔) 今回は、スパに潜入捜査をすることに・・。

当然一人で行くはずもなく、キャレドニアを連れて行ったわけですが、「ダイエットとキャレドニア」なんて全く反対の言葉というくらい縁のない話なので、かなり嫌がられます。

それでも何とか引っぱり込んで一緒に捜査をするのですが、正体がばれてはいけないので、他の客たちと共にダイエットプロに励む必要があります。アンジェラは元々、美容に興味がありますから喜んで参加しますが、キャレドニアは何かと言い訳をしながら避け続けまするんるん

今回はスパの客も従業員も個性的な人が多く、更に読み応え十分な作品になっています。

シリーズの続きがやっと発売されたようなので、また読もうと思います揺れるハート


<海の上のカムデンシリーズ>
「老人たちの生活と推理」
「氷の女王が死んだ」
「フクロウは夜ふかしをする」
「ピーナッツバター殺人事件」


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今読んでいるのは・・

2009年12月30日

コリン・ホルト・ソーヤー「ピーナッツバター殺人事件」

コリン・ホルト・ソーヤー著 「ピーナッツバター殺人事件
海の上のカムデンシリーズ4

(創元推理文庫)


列車に轢かれて死んだ男性の遺体が見つかった。その男性は老人ホーム(海の上のカムデン)の入居者と親交があった。被害者のことを聞くために入居者の女性に質問するが、ショックが大きくて答えてもらえない。困った警部補はアンジェラたちに協力を頼む。


今回は警部補から正式に協力を頼まれて、大喜びのアンジェラとキャレドニアの二人は、張り切って捜査を始めますグッド(上向き矢印) ただ、入居者(エドナ)に話を聞いてくるだけでよかったはずが、そうもいかず・・あせあせ(飛び散る汗)

エドナの財産を管理している義兄も現れ、その失礼な態度にイライラしたり、ロビーに新たに置かれたインコが良い味を出したり、アンジェラたちに協力者が現れたり、ますます快調に話が進んでいきます。

事件の核心に近づくと今回もアンジェラに危険が・・。でも今回は強い味方がそばにいて、読んでいてもかなり安心できますわーい(嬉しい顔)

老人ならではの動きにも笑わされますし、最後まで楽しんで読むことができましたぴかぴか(新しい)


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2009年11月28日

コリン・ホルト・ソーヤー「フクロウは夜ふかしをする」

コリン・ホルト・ソーヤー著 「フクロウは夜ふかしをする
海の上のカムデンシリーズ3

(創元推理文庫)


高級老人ホーム海の上のカムデンで出入り業者が連続して殺害された。始めは捜査をする気が起きなかったアンジェラたちだったが、捜査が進展しないのを見て手伝う(?)ことに。警部補たちに必死で止められるが、いつものように気にせず危険を顧みず独自に捜査を進める。


今回はお気に入りのハンサムなマーティネス警部補ではなく、別の刑事がやって来たので、かなり不満なアンジェラとキャレドニアですたらーっ(汗) でも、途中で担当が代わり警部補が来てくれるようになるととたんにご機嫌で捜査を手伝います。

アンジェラ自身も殺人事件とは違う所で巻き込まれてしまい、そちらの解決と、殺人との関連も調べることにがく〜(落胆した顔) 最終的にとても危険な状態にまでなってしまいます。

若者との関わりや刑事との話の中で幾度となく出てくる「老人の想い・考え方」に感動させられたり、ホームで出される美味しそうな食事の数々によだれを垂らしそうになったり、とても忙しくそして面白く読めますグッド(上向き矢印)

刑事から見た老人たちの様子の描写には思わず笑ってしまうことも・・わーい(嬉しい顔)

後半は事件の動きも早く、あっという間に読めてしまいましたぴかぴか(新しい)


<海の上のカムデンシリーズ>
「老人たちの生活と推理」
「氷の女王が死んだ」


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今読んでいるのは・・

2009年10月10日

コリン・ホルト・ソーヤー「氷の女王が死んだ」

コリン・ホルト・ソーヤー 「氷の女王が死んだ
 
海の上のカムデンシリーズ2

(創元推理文庫)


新しくカムデンに入所してきたエイミーは、その横柄な態度と辛辣な発言であっという間にみんなに嫌われてしまう。そのエイミーが何者かに殺されてしまい、警察の捜査が始まる。アンジェラとキャレドニアの仲良し二人組は、お気に入りの警部補を手伝うため、カムデンの仲間に聞き込みを開始する。


相変わらずかわいらしいご老人二人が大活躍()です。いくら止めても言うことを聞かず、独自の方法で調査をすすめては、独自の推理を披露し、周りを振り回します。

ハンサムな警部補に恋心を抱き、ちょっとした仕草や言葉に喜んだり落ち込んだりして、まるで女子高生のようですハートたち(複数ハート) いつまでも若くいられる秘訣かもしれませんグッド(上向き矢印)

入所仲間のアル中のおじいさんを何とか救おうとして、二人で力を貸したりもするので、本当に毎日が忙しく充実しています。

でも途中で必ず老人らしく「走ることができない」とか「目が悪い」とかいう文章が出てきて、想像しては笑ってしまうことがありましたわーい(嬉しい顔)

素敵なご老人二人のことがますます好きになる、そんな作品です。

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今読んでいるのは

2009年09月22日

コリン・ホルト・ソーヤー「老人たちの生活と推理」

コリン・ホルト・ソーヤー著「老人たちの生活と推理

(創元推理文庫)



なんて題名なんだ!?
すごく暗いというか、固そうな題名です。
でも、表紙の絵はすごくポップでかわいい感じ。そのギャップに惹かれて手に取った本です。


高級老人ホームに住むセレブな老人たち。その老人ホームの敷地内で殺人事件が発生!好奇心旺盛な老人たちが事件に首をつっこんでかきまわしていく。中でも言いたいことをずけずけ言う小柄なアンジェラとみんなに好かれる明るい性格でかなり大柄のキャレドニアを中心として老人とは思えないほどの行動力で事件解決に乗り出す。


「よし!事件を解決するぞ!」と決意しても、やはりご老人。色々と問題が発生します。その老人ならではの苦労がどうにもかわいらしくて笑えてしまいます。例えば「目が悪いから見えなかった」「階段は使えない」「耳が遠くて聞こえない」などなど。耳が遠いから内緒話もできません。

老人たちの個性も素敵で、アンジェラはみんなから煙たがられる性格ですが、私はどうにも憎めませんでした。自分を老人と認めないプライドの高い女性で、小さな身体で精一杯存在をアピールする様子がかわいく思えて仕方ありませんでしたハートたち(複数ハート)

それと対照的なのがキャレドニア。背も高く横にも広く、とにかく大柄。そして明るくみんなに好かれる性格。老人であることに誇りをもっていて、捜査にやって来た若い刑事に語って聞かせる「老人について」の話は、わかりやすくいちいち「なるほど」と思える言葉ばかりです。

全体的に明るく話は進んで行くのですが、油断すると途中で泣きそうになる場面が・・。私は電車の中でちょうどその場面になってしまい、必死でこらえないといけませんでしたもうやだ〜(悲しい顔)

面白くて考えさせられる所もあって、ミステリーとしてもよくできた作品だと思います。


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