
コリン・ホルト・ソーヤー 著
中村有希 訳
「旅のお供に殺人を」海の上のカムデン騒動記8
(創元推理文庫)
入居者向け娯楽活動の不毛さに音を上げた高級老人ホーム<海の上のカムデン>の面々は状況の改善に乗り出し、スペイン語講座、さらにはメキシコへのバス旅行が実現のはこびとなる。アンジェラとキャレドニア以下参加者一行11人は、添乗員つきツアーをおおむね楽しんでいた・・・新入りの老婦人が、突然の死に見舞われるまでは。老人探偵団が異国の地で大騒ぎする、シリーズ第八弾。―裏表紙より―
今回はあまり間を空けずに新刊が発売され喜んでいましたが、これがシリーズ最終巻ということなので、寂しくもあります。まだまだ続けられそうなのに残念です・・・。
今回の話の舞台は、メキシコ。いつもカムデンにいるイメージの彼女たちが、なぜメキシコに行っているのか?それは、あらすじにもあるように、娯楽活動の一環なんです。
あまりにも老人扱いされる内容の娯楽活動に嫌気がさした入居者たちは、スペイン語講座なんてものを始めることにしました。何でも器用にこなすアンジェラがスペイン語がなかなか上達しないことにイライラして、「本場でスペイン語が聞きたい!」と言い出した所から、メキシコ旅行が実現することに。
バスツアーでメキシコ! カムデンの位置がいまいちわからないので、バスでどのくらいかかるのか?把握できませんが、さすが老人ばかりの旅、やたらとトイレ休憩をはさんで、時間をかけていっていました。しかも、カムデンを長い間離れられない!ということで、3回に分けて旅行します。
う〜〜ん、面倒くさそう!
しかも、老人の集団って、言うこと聞かないんですよね!これは想像がつきますけど、まず集合時間に揃わないし、荷物が多いし、その荷物がなぜか紛失するし、「ここは見たくない」なんて我儘も言い出す始末・・。
ツアーガイドの苦労がよくわかります。
普通に旅するだけでも大変なのに、更に旅行者の中に突然死する者が出てしまい、ますます大騒ぎに。
仲間が死んでも旅を続けようとする老人たちにも驚かされましたが、キャレドニアが気持ちを説明してくれてようやく納得できました。老人にとっては“死”って近い物なんですよね。いちいち悲しんでいられない! もちろん悲しいけれど、それ以上に自分の今を大事にしたい。その気持ちはわかる気がします。
今回もミステリ的には犯人もわかりやすかったですが、アンジェラの危機と老人たちの旅行風景が面白くて、最後まで楽しめました。
いつか作者が続編を書いてくれる気になることを期待しつつ、気長に待つことにします。
<海の上のカムデンシリーズ>
「老人たちの生活と推理」
「氷の女王が死んだ」
「フクロウは夜ふかしをする」
「ピーナッツバター殺人事件」
「殺しはノンカロリー」
「メリー殺しマス」
「年寄工場の秘密」
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