2016年10月05日

伊坂幸太郎「残り全部バケーション」

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 伊坂幸太郎 著
 「残り全部バケーション」
 (集英社文庫)


当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として適当な携帯番号の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブすることに―。その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏家業コンビの物語。−裏表紙より−


物語は、ある一家が最後の日を迎えている場面から始まります。父親の浮気が原因で離婚することになった夫婦と、寮に入るため家を出る娘の3人家族。この家族、特にお母さんが面白い人で、何かにつけてどっしり構えている感じが浮世離れしていてなかなか笑えました。

一家が最後に3人で出かけようとしているとき、場面が変わって今度は何やら怪しげな商売をしているらしい2人組の話に。当たり屋をやった2人ですが、後輩の岡田が先輩の溝口に対して、突然「足を洗いたい」と言い出します。

こんな商売をしていると、抜け出すのは大変だという印象ですが、意外とあっさりと「わかった」と了承される岡田。でも条件として「適当な携帯番号にメールしてその相手と友達になること」と言われます。よくわからない理由ですが、溝口にしてみれば、こういう条件を出せば失敗して離れられないだろうと思ったようです。

そこまで読むと、もしかして・・と思える展開です。この作家さんお得意の、一見関係なさそうな人物が実はつながっていくというあれですね!?と、ワクワクし始めます。

そう、予想通り始めに出てきた一家と、岡田は連絡を取り合うことに。怪しい商売をしている割にはスムーズに足を洗えたね〜と安心していると、まあそうもいかず一波乱。

2話目以降になると、また全然違う話に。でも違う話に思えてもつながっていくので、注意深く読み進めました。

そして最後の話で一気につながる爽快感!

登場人物たちのキャラクターが面白くて、悪いことをしているはずなのに憎めなくて、どこか抜けている所もあって、最後まで飽きずに読み切ることができました。

やっぱりこの作家さんの話は良いな〜。改めて感じる作品でした。


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2014年02月18日

伊坂幸太郎「マリアビートル」

マリアビートル

 伊坂幸太郎 著
 「マリアビートル」
 (角川文庫)


幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から蜜命を受けた、腕利きの二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の社内で、狙う者と狙われる者が交錯する―。小説は、ついにここまでやってきた。映画やマンガ、あらゆるジャンルのエンターテインメントを追い抜く、娯楽小説の到達点!−裏表紙より−


「グラスホッパー」の続編です。とはいえ、それぞれ独立した話になっているので、どちらを先に読んでも大丈夫・・とはいえ、やはり順番に読んだ方がより楽しめると思います。

「グラスホッパー」と同じように殺し屋が活躍する話です。鈴木や槿(あさがお)が再登場します。2人とも良い味出してます。特に鈴木はこんなキャラだったっけ?と思うくらい。まあ、色んな経験をしたわけですから、性格に変化があってもおかしくないかも。


今回の舞台は、東北新幹線の中。東京駅から出発し、盛岡までの道のりで様々な困難や事件が発生します。登場人物のほとんどが“殺し屋”や闇の社会の人間なのですから、当然ではあるのですが。狭い空間で、人が驚くほど死にます(殺されます)し、ナイフや拳銃が多く登場します。

実際の新幹線でこんなことが起きていたら・・・ありえませんけど、ゾッとします。ネットでどなたかが書かれていましたけど、こんなに人が死んでいる新幹線の掃除大変そうです。しばらくこの車両は使えないですね。


登場する殺し屋は前回と同じようにとても個性的な面々です。

文学通の「蜜柑」と相棒の「檸檬」。檸檬は機関車トーマスの大ファンで、誰に対してもトーマスに出てくるキャラクターに例えます。彼がトーマスのことを語るときは必ず「トーマス君」と言うのが笑えました。

かなり運の悪い「七尾」は、「てんとう虫」と呼ばれています。彼の運の悪さには本当に呆れます。このタイミングでなぜこんな目に!?と驚くような事が必ず起きます。あまりのひどさにこれも笑ってしまいました。彼は見た感じが好青年で頼りない雰囲気をかもし出していて、言葉遣いも丁寧で優しいので、普通にしていたら良い人っぽいのですが、実は相手の首を折るという残虐性の高い殺し方をするんです。

そして誰よりも存在感を出し、不快にさせたのが中学生の「王子」。彼の外面と内面の違いは本当にゾッとしましたし、読み進める度に腹が立って仕方ありませんでした。中学生にしてこの考えと冷静な判断力は末恐ろしい・・。

この王子がした「なぜ人を殺してはいけないのか」という質問に、鈴木が答えるのですが、この答えが納得できるような、妙に冷めた気持ちになるような、何と表現すれば良いのかわからないのですが、モヤモヤしてしまいました。

どんな答えをしたのかはぜひ読んでみて下さい。


ページ数の多い作品ですが、読み進めると止まらないスピード感があり、思ったよりも早く読めました。続きが気になって寝不足になるくらいでした。

最後の方でちょこっと出てきた人たちが全て美味しい所を持っていった感じですが、結末はある意味、ハッピーエンド?というか、一応、スッキリできました。私のお気に入りまで死んでしまったのは残念でしたけど。


読み終わってから題名の意味がわかりました。なるほどね〜。


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2013年11月11日

伊坂幸太郎「グラスホッパー」

グラスホッパー

 伊坂幸太郎 著
 「グラスホッパー」
 (角川文庫)


「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに−「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。失踪感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!−裏表紙より−


“殺し屋小説”ですよ! どんな話なのか不安になりました・・が、読み始めると面白くて一気に惹きこまれました。

さすがに“殺し屋小説”だけあって、人はたくさん死にますし、殺されます。しかも描写がいちいち細かくて、書かれていることを想像しながらは読めない感じでした。

この作家さんの得意な構成になっていて、3人の視点で描かれた物語が交代で出てきます。視点が変わるときにはそれぞれの名前がハンコのように押されています。


視点となる人物は、元教師・鈴木、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの殺し屋・蟬の3人です。

鈴木は唯一、殺し屋ではなく、亡き妻の復讐を誓う純粋な人間で、彼がいることで物語が重くなり過ぎず、読者の感情に近い所で語られるので読みやすかったような気がします。

鯨は、かなりの大男なのでこんなコードネームで呼ばれています。彼を見て、彼の声を聞くと、人はなぜか無性に死にたくなります。首を吊ったり、飛び降りたり・・。彼に説得されると、きちんと遺書まで書いて死んでいく。とても不思議な人物です。

蟬は、ナイフを使って刺し殺します。人数が多ければ多いほど興奮するタイプで、一家惨殺最高!と思っています。蟬のようにうるさいからこんなコードネームが付けられています。


鈴木が狙う人物が目の前で車に轢かれて死亡するのを目撃してしまう所から話は始まります。しかもその事故が“押し屋”と呼ばれる殺し屋の仕業だとわかり、あわてて犯人らしき人物を追います。

鈴木と押し屋と思われる男性や家族と過ごす場面が、何とも言えない不思議な雰囲気を出していて、でも妙に気になって目が離せない感じがして、どんどん読み進めてしまいました。

更に、鯨や蟬と鈴木が出会う所からは読むのを止められませんでした。

とても軽い感じの話なのに、それぞれに悩みや苦悩があって、意外と心に刺さる言葉もあったりして、読み応えもありました。


最後はキレイにまとまって、収まる所に収まって、ハッピーエンドでした。・・・・いや、たくさん人が死んだのに「ハッピー」ではないですがふらふら

続編も読んでみようと思います。しかし、続編ってどういうこと!?


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2013年09月27日

伊坂幸太郎「オー!ファーザー」

オー!ファーザー

伊坂幸太郎 著
 「オー!ファーザー」
 (新潮文庫)


父親が四人いる!? 高校生の由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに、女好き、博学卓識、スポーツ万能。個性溢れる父×4に囲まれ、息子が遭遇するは、事件、事件、事件−。知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。−裏表紙より−


あらすじを読んでも面白そうな作品。父親が4人もいるってどういうこと!?・・気になりますよね?

その理由はたぶん、ほとんどの人が想像するであろうことなんですけど、本当の父親が誰なのかを知るために、DNA鑑定をすれば良いじゃないか!と息子である由紀夫も提案します。でも、4人は「そんな鑑定なんかして、もし、俺が父親じゃなかったらどうすんだよ」と言って、高校生になった今でも4人それぞれが「自分が父親だ」と言い張っています。

大学教授の“悟”は最年長らしく他の3人よりはまともな発言が多く、一般的な父親像に一番近い存在かもしれません。とはいえ、普通ではない部分も多いですけど。由紀夫の頭の良さは彼から譲り受けたものかも?

ギャンブラーな“鷹”は、何でもすぐに賭けにしようとします。あまり良い影響があるとは思えない人ですね。由紀夫の勘の鋭さは彼から?

中学教師をしている“勲”は、いつも鍛えていて、体力自慢の男です。由紀夫に喧嘩の仕方も教えてくれました。身体能力の高さは彼から?

元ホストで今はバーを経営している“葵”は、女好きで、息子の前でもナンパして歩くような人。女性からも好かれます。心の中では文句言いながらも女性に優しい所は彼から?

とまあ、誰の息子であってもおかしくない育ち方をしています。

変な家庭環境で育ったせいか、どこか達観した感じのある由紀夫。ハチャメチャな行動をとる父親や、同級生たちに振り回されつつ、どこか冷静に判断しようとして発する言葉はなかなかトゲと冷たさが加わって笑えます。

母親もいるのですが、彼女はこの話の間、長期出張に出ていてほぼ出てきません。最後に美味しい所を全て持って行った感じはありましたが、出てこないのにすごく個性的なキャラクターを出していました。


家族以外の人たちも本当に個性的で、自己中でマイペースで、そんな彼らの巻き起こす事件や、巻き込まれる事件には笑わされました。人が亡くなったりしてなかなかのピンチに立たされても、何だかこの人たちがいれば大丈夫と思わされる、妙な安心感がありました。

とても面白かったので、また彼らの話が読みたいと思いました。読める日が来れば良いな・・。


この話は映画化されるようです。帯に俳優さんが載っていますが、私的にはイメージが違いますけど、父親たちを誰が演じるのか?の方が気になります。


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2013年04月23日

伊坂幸太郎「バイバイ、ブラックバード」

バイバイ、ブラックバード

 伊坂孝太郎 著
 「バイバイ、ブラックバード」
 (双葉文庫)


星野一彦の最後の願いは何者かに<あのバス>で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」―これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。<特別収録>伊坂孝太郎ロングインタビュー。−裏表紙より−


この作家さんらしい不思議な雰囲気の物語でした。しかも普通の日常が描かれているような雰囲気もあり、でもそれだけではない・・という特異な話です。


星野一彦は、何かの理由で<あのバス>に乗せられ、命にかかわるような過酷な所へ連れて行かれようとしています。理由もバスの正体も、誰がどこへ連れて行くのかも明らかにされないまま話は進みますが、彼のそばにいる見張り役の女性のお陰で、とにかく怖い所へ連れて行かれるのだということは想像がつくようになっています。

見張り役の女性・繭美は、背も高く太っていて金髪で、言動はガサツで声も大きくて、一度暴れると誰にも止められない・・という一度見たら絶対に忘れないであろう女性です。

彼女を連れて、星野は付き合っている5人の恋人に別れを告げてまわります。恋人1人に1話。まず恋人と星野の出会いが書かれ、星のマークを挟んで「あれも嘘だったのね」という恋人の言葉から次のシーンが始まります。そして、星野は告げる別れの言葉と繭美の暴言・・。


始めは繭美の暴言にイライラさせられ、2話目の頭を読んでまた同じパターンが続くのか・・とちょっと嫌気がさしたのですが、わかれ話をしたときの反応が違ったり、恋人の性格が変わっていたり、様々なタイプの話が用意されていて、結局は最後まで楽しく読み切ることができました。

更に、あんなに嫌な奴だった繭美のこともどんどん好きになっていく!自分でも驚きでした。


話の後に、作者のインタビューが載っているのですが、それを読んで、自分が作者の思惑通りにはまっていたことがわかりました。1話目に普通の女性を出して、2話目以降で少しずつ変化をもたせている・・とか。私が思ったままやん!すごい単純なのか!?

まあそれはともかく。

最後まですべてのことがはっきりさせられるわけではないので、もやもやした感じは残るかもしれません。でも、この作品ではこういう終わり方も良いのかな?と思いました。


さあ、次は何を読もうかな?


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2012年12月17日

伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」

アヒルと鴨のコインロッカー

 伊坂幸太郎 著
 「アヒルと鴨のコインロッカー」
 (創元推理文庫)


引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は−たった一冊の広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ! 注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。


話は“僕”がモデルガンを持って書店の裏口に立ち、ボブ・ディランを口ずさんでいる所から始まります。その始まり方に驚かされ、一気に話に引き込まれました。

なぜ書店を襲っているのか疑問に思っているうちに、話はいきなり二年前の出来事に。一瞬頭に「?」が浮かびますが、すぐにこの作家さんの得意技だと気づき、あまり深く考えずに読み進めることにしました。

二年前の出来事には“僕”こと椎名は出てきません。そこに出てくるのは琴美というペットショップ店員と、その恋人らしきブータン人のドルジ、そして元恋人の河崎。

3人がどんな関係で、どんなことを考えながら過ごしていて、どんな事件に巻き込まれたのかが細かく書かれています。そちらに深入りしかけたら、また現在に戻ります。

現在に出てくるのは、二年前の登場人物の中では河崎のみ。そして、ドルジらしき外国人も影はあります。あと1人、琴美だけは一切出てこないので、その理由が知りたくてどんどん読み進めていきました。

そして少しずつ絡み合ってくる現在と過去。すべての謎が解けるとき、驚きと悲しみがありました。


一見関係ない2つの出来事をうまく一つにまとめて解決させていく・・やっぱりすごいと感心させられました。

題名も読む前は意味がわからなかったのですが、読み終えるとよくできた題名だということがわかりますし、これ以外にはなかったかもしれないと思いました。


さて、伊坂作品、次は何を読もうかな??


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2012年10月05日

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」

ラッシュライフ

 伊坂幸太郎 著
 「ラッシュライフ」
 (新潮文庫)


泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場−。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。―裏表紙より―


読み終わったときに「堪能した〜!」と満足のいく作品でした。この作家さんらしい、不思議な、でも全てが収まるべき所に収まる感じが心地よかったです。

初めにエッシャーのだまし絵の一つが載せられています。お城のような建物の外階段が上がっているような下がっているような・・というあの有名な絵です。

どういう意味があるのかわからないまま読み始めました。・・・で、読み終わると「なるほど」と納得できます。

物語全てがだまし絵のような、不思議な展開になっているんです。話の中にも「エッシャー」の話は時々出てきます。


話は主に、4人の視点で進められます。泥棒の黒澤、新興宗教的な物にはまっている河原崎、旦那と別れて不倫相手と再婚しようとしている京子、リストラされて求職中の豊田。

4人の話は、挿絵によって区切られていて、全く違う話のように描かれます(挿絵にはそれぞれの人物に関係のある物が使われています。黒澤は泥棒、河原崎は神様、京子は車、豊田は犬を連れた人)。ただ、場所や関わった人物など、少しだけ何か接点があるようになっています。

しばらくそのまま並行した状態で話が進んでいくので、何が書きたいんだろう??と不安になってきました。でも、4人の言動や人生の描かれ方が面白くて、気づけばページをめくってしまっているような状態が続きました。

そして最後にはそれぞれの人生が交差し始めて・・。


なるほど、こういう風にこの人たちは関わっていたわけね・・と納得して読み終えることができました。

この作家さんは他の作品に出てきた人物を少し登場させてファンを楽しませてくれます。私は間が空きすぎたので気付かずスルーしてしまったのですが、後で知って戻って読み直しうれしくなりました。

久々に読んで面白かったですし、泥棒の黒澤のことが妙に好きになってしまったので、黒澤が出てくるという作品も読んでみようと思います。


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2010年12月21日

伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」

伊坂幸太郎著 「ゴールデンスランバー

(新潮文庫)


数年前に映画化されて、見に行くかどうか迷った作品です。やっと文庫化されたので読んでみました。


仙台で行われた首相のパレード。たくさんの人が見ている前で、首相が何者かに爆殺された。犯人として名前が挙がったのは“青柳雅春”という青年。ところが彼は無実だった。数年前、アイドルを強姦から救ったことで一躍有名になった彼がなぜ犯人として追われることになったのか?遠慮なく銃も撃ってくる警察関係者たちに怯えながら逃げる青柳雅春。彼は逃げ切ることができるのか?


首相のパレードが行われ、テレビでその中継を見ている女性二人の様子から話は始まります。あまり興味が無い二人は、テレビ中継自体も真剣に見ていたわけではなく、ランチを食べながら何となく見ていた・・という感じでした。

突然、画面が騒がしくなったと思ったら爆発が起きていて、首相が殺害されたことを知るのです。

その後は、捜査の様子が書かれるのか?と思ったら、今度は病院で入院中の患者たちがテレビの報道にかじりつく様子が書かれます。・・・私はこの流れについていけなくなったんですが。

この一見関係なさそうな人たちも後で深く関わってくるんですよね〜。

犯人は青柳雅春という青年。逃げ回る彼を追いかける警察関係者の様子はかなり恐ろしく、というかついていけないくらいの異常さ。街中でも銃を撃つ!しかもそれさえも青柳のせいにするという、本当にあり得ない事態に。

青柳雅春は実は何もしていません。ところが犯人として追われることになるのです。身に覚えのない罪で追われ、しかも証拠も次々と出てくる様子は本当にハラハラドキドキしました。自分が追われているようなそんな気分にさえなるくらい。

真犯人は絶対に単独じゃないことがわかりますし、しかも国のトップの方の強い権力をもった集団が関わっているとしか思えない。

マスコミにも犯人扱いされ、これだけ証拠も出てくると、みんな「青柳が犯人だ」と思うでしょう。でも孤独な彼を助けてくれる人もいて、少し温かい気持ちにもなれました。

「人を信頼するのが僕の強み」なんて言うくらい彼は人を信じて、何度裏切られても信じていきます。そんな人柄も周りを動かす力になるんでしょうね。


必死で逃げる青柳雅春と彼の周りで助けようとする動き、そして執拗に追い回す人たち。誰が味方で敵なのか?後半は驚くほど一気に読んでしまうスピード感ある話でした。この作家さんにしては珍しい感じ?でも面白かったです。


題名の「ゴールデンスランバー」というのは、ビートルズの曲名です(「Golden Slumbers」といいます)。私は知りませんでした。優しい子守唄だそうですよ。解散間近の頃に書かれた曲だそうです。主人公が何度か口ずさんでいて気になったのでネットで調べて聴いてみました。なかなかキレイな曲。



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どうでもいいことですけど、登場人物の名前がほぼみんなフルネームで連呼されていたのが気になりました。主人公も“青柳雅春は〜”とずっと書かれていましたし、友だちは森田森吾、元彼女は樋口晴子・・・。何ででしょうね?
しかも私、主人公のことをどうしても「あおやぎがしゅん」と読んでしまって治らなかった・・もうやだ〜(悲しい顔)

今読んでいるのは・・
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2010年06月19日

伊坂幸太郎「死神の精度」

伊坂幸太郎著 「死神の精度

(文春文庫)


苦情処理係で働く一恵は、どこにでもいるような平凡な地味な女性。自分でもそう思っている彼女は自分に自信もなく、ある日声をかけてきた千葉という男性のことも疑い騙そうとしていると思い、警戒する。この千葉という男性は実は死神だった。一恵に近づき調査して、「死」を与えるかどうか判断するために来たのだ−「死神の精度」他「死神と藤田」「吹雪に死神」「恋愛で死神」「旅路を死神」「死神対老女」計6話収録


題名の通り、死神が主人公(と言って良いのか?)の話です。

ターゲットに接近し、一週間調査した後「見送り」か「可」かを決めて報告します。「可」と判断された場合、その人には翌日死が訪れますもうやだ〜(悲しい顔)

死神は、ターゲットに接近しやすいような状況や姿で現れるため、この話の主人公である千葉もその相手によって若者だったり、おじさんだったりイケメンだったりします。

死神には市や町の名前が付いていて、ミュージックを愛しているためCDショップで視聴していて、人間に素手で触ると人は気絶してしまいます。

死神と藤田」では、藤田というやくざにつかまってしまいます。そうやって藤田に接近することになったわけです。部下の阿久津という若者と親しくなり、共に藤田を助けようとします。まあ、結局は死ぬわけですけどね・・バッド(下向き矢印)

吹雪に死神」では、雪山で遭難したことになり、ある洋館へ入り込みます。そこでは連続殺人が起きているのですが、それは死神が「可」と判断した人たちがそろっているせいなのです。この話では同僚と一緒になり、二人で推理して事件は解決させます。

恋愛で死神」は、萩原という男性が死ぬのを確認する所から始まります。そして回想していく展開になっています。萩原の恋愛相談にのる形で接近しました。

旅路を死神」では、人殺しの森岡という若者を千葉が車に乗せます。逃亡する森岡と話をしながら旅を続け、ホテルにも泊まります。そこで塀に落書きしていた若者と出会い、会話することで千葉はまた新たな人間の気持ちを知ります。

死神対老女」では、いきなり老女から「人間じゃないでしょ」と言われます。美容院を営む老女から「「明後日、客にたくさん来てほしいから客を連れてきてほしい」と頼まれます。なぜ明後日に客が来てほしいのか?謎のまま千葉は助けます。


死神からみた人間の様子は、不思議というか、何気なくやっている行動などにも疑問をもったりして、自分のことも見つめ直せる感じでした。←ちょっと大げさかな?

千葉は任務につくといつも雨が降るので「雨男」と言われます。でも千葉は「雨男」は「雪男みたいなもの?」なんてずれた返しをするんですわーい(嬉しい顔) 死神ですからね。ずれた返しをする度に人間からは「面白いね」と言われ、それがまた理解できない千葉です。真剣に仕事しているのに「面白い」とはどういうことだ?むかっ(怒り)・・ってわけです。

短編集ですが、それぞれの話に出てきた人が他の話しにも登場したりして、それも楽しめます。ぜひ、1話目から順番に読んで下さい。


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今読んでいるのは
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2009年11月06日

伊坂幸太郎「陽気なギャングの日常と襲撃」

伊坂幸太郎著 「陽気なギャングの日常と襲撃

(祥伝社文庫)


銀行強盗の4人組それぞれが巻き込まれた4つの事件。更に誘拐事件まで起きて、銀行強盗と同じように協力(?)しながら解決していく。


陽気なギャングの続編です。

前半は4人それぞれの日常の中で巻き込まれる事件が書かれていて、後半には4人全員で事件に取り組みます。前半と後半はとても強い関わりがあって、前半に出てくる何気ない細かい部分が出てくるので「ここで出てくるのか」なんて感動もありますぴかぴか(新しい)

全員で行動するよりも、個々に行動しているときの方がより個性が際立って感じました。その後で全員がまとまると更に4人の関係がわかりやすくなって「確かにこの4人じゃないとね」と思えるんですよ。

書くのはなかなか大変そうですが、話はまだまだ作れそうです。また続編が出たら良いな・・わーい(嬉しい顔)


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2009年11月02日

伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」

伊坂幸太郎著 「陽気なギャングが地球を回す

(祥伝社文庫)


映画化されていたそうですね〜。知りませんでしたがく〜(落胆した顔) 確かに映像化しても映えそうな話です。


嘘を見抜く・正確な体内時計・スリ・演説・・が得意な4人が集まって銀行強盗をしている。ところが逃亡中に事故に合い、現金輸送車襲撃犯たちにせっかく盗んだ大金を横取りされてしまう。諦めきれない4人は取り返そうと動き出すが・・


この作家さんの作品に必ず登場するちょっと変わった人物がこの作品でも登場。今回の場合は4人とも変わっていると言ってもいいかもしれませんがあせあせ(飛び散る汗)

銀行強盗を悪いことだと認識してやっていないというだけでも十分変ですしね。更に、その家族たちも銀行強盗をしていると知っているのに止めないがく〜(落胆した顔) 「それってどうなん?」って思ってしまいますふらふら

銀行強盗に失敗してから次々と事件が起き、お金を取り返そうと動く4人は事件に巻き込まれます(自分から進んで巻き込まれた感もあり) 後半は謎がどんどん解明されていきながら、どんでん返しも何度かあり、面白い結末でした。・・と言いつつ、結構結末は見えていたんですけどねたらーっ(汗)


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2009年10月19日

伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」

伊坂幸太郎著 「オーデュボンの祈り

(新潮文庫)


コンビニ強盗未遂で逃亡していた伊藤が気づいたら知らない島に来ていた。この島(萩島)は江戸時代から外界との関わりを絶っているという。住人は謎めいた人ばかりで、しかも喋るカカシが居る!「未来が見える」というそのカカシが次の日に殺されてしまう。自分が殺されることがわかっていたはずのカカシはなぜ黙って殺されてしまったのか。


この人の作品は、考えさせられることが多いなーと。しかも、普段考えないようなこと。でも本当は身近にある問題なのに普段は気づいていないようなこと。

今回も「人が生きていくためにどれだけの犠牲を強いているのか?」という大きな、でも忘れてしまいがちな問題が語られています。

思わず目を背けたくなるような話も・・。

外界との関わりを絶っている島。しかも150年も前から。住人はかなり変わっていて謎めいていて、普通では考えられないようなルールもあります。そんな住人たちの物語にはみんな悲しみがあり、じんわりと沁みてくる感じです。

カカシが殺された謎だけではなく、萩島の世界にも引き込まれてしまう作品でした。カカシがしゃべったりするような不思議な世界観なのに、違和感無く読めてしまいましたぴかぴか(新しい)


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2009年09月24日

伊坂幸太郎「チルドレン」

伊坂幸太郎著 「チルドレン」 (講談社文庫)


この作家のことを知ったのは最近のことです。読む本が無くなったときにネットで評判とか感想とかを読んでいて見つけた作家でした。

で、この本を手に取ったのはただ単に目立っていたからあせあせ(飛び散る汗) 派手な色使いと派手な絵の本に囲まれるようにして置いてあったので、シンプルな絵のこの本が逆に目立っていたんです。


変わった考え(信念)をもつ陣内が引き起こしたり巻き込まれたりする事件を周りの友人、後輩たちから見た視点で進んで行くストーリー。短編集だが、他の話とも関連があって、一話と言っても良い内容になっている。


1話目に銀行強盗にあう所から始まり、気づけば話に引き込まれていましたわーい(嬉しい顔)

読み進める毎に「この陣内って何なのexclamation&question」という疑問が浮かび、でも妙に魅力的で、どんどん好きになってしまいます。

陣内は社会的に「普通」な考えとは違う所に生きている人で、他の人なら必ず(しかも自然に)「普通はこんなことしないだろう」とか考えてから行動してしまうのに、自分が思った通りに行動できるんです。周りの人から見れば「変な人」たらーっ(汗) でもみんながこんなにストレートに行動を起こすことができたら、もっと世の中もスムーズに流れるのかもしれない・・なんて思ってしまいます。

障害者に対する態度や、子どもたちに対する態度など、主人公の陣内から色々と教えてもらったようなそんな気がしました。

「子供のことを英語でチャイルドと言うけれど、複数になるとチャイルズじゃなくて、チルドレンだろ。別物になるんだよ」   なるほど〜、1人だとおとなしいけど集団になると強気になる子どもっているよね・・・感心してしまいましたぴかぴか(新しい)

ただ、「この人、本当に信念をもって行動してるの??」って疑問に思う行動をすることもあって・・がく〜(落胆した顔) それがまた惹きつけられる魅力の一つなのかもしれません。


ということで、この作家のことを気に入ったので、他の本も読んでみようかな??と思いまするんるん

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posted by DONA at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:伊坂幸太郎