
柴田よしき 著
「あらたなる日々 お勝手のあん」
(ハルキ文庫)
ご大老である井伊さまについての不穏な噂が流れる三月の春、おやすは奉公人ではなく料理人として紅屋に雇われる身となった。住み込みからおしげが暮らす長屋への引っ越しで始まった新しい日々は、何もかもが初めてで戸惑いを隠せない。そんな折、大旦那さまのご隠居祝いの宴で、おやすの料理人としてのお披露目を行うための準備も佳境に入る。政一の手助けなく一人で料理の献立を考える最中、大旦那さまはおやすの腕を示すため、招待したお客にある趣向を準備するのだが・・。暗くなる時代の中で、料理人として精一杯生きる女性を描く大好評シリーズ、第十弾!−裏表紙より−
いよいよ江戸幕府も終わりに近づいている激動の時代になってきました。時代が変わることはおやすの料理人人生において良いことなのかどうなのか。時代の変化も気になります。
おやすは奉公人としての勤めを終え、今後は料理人として紅屋に雇われることになりました。住み込みもなくなり、長屋で一人暮らし、でも良かったのですが、とりあえずおしげと共同生活が始まりました。その方が心強いとは思うのでそこは良かったかな。
料理人として雇われるからには、世間にお披露目も必要で、大旦那の隠居祝いの宴でその腕前が披露されることとなりました。
政一の助けは借りずに、おやすが自分で献立を考えることになり、大旦那はもちろん奥様の好みや体調、そして季節も考えなければならず、日々献立で頭がいっぱいでした。
でも料理人としては充実しているので、苦しさよりもある種の楽しみがあり、心穏やかに読み進められました。
ただ、大旦那はおやすの料理の腕をみんなに知ってもらいたいという気持ちが強すぎて、ちょっとした趣向をやろうとします。おやすを世間に知らしめたいのはわかるのですが、目立ちたくないおやすは苦労します。でも結果、大旦那の思惑が当たるのがさすがです。
今回、料理人として独り立ちの一歩を踏み出したおやす。更に横浜に行って西洋料理を食べるという貴重な機会にも恵まれ、食べたことのない味と食材を口にすることができました。
この経験がおやすの今後の人生にどんな影響を与えるのか、楽しみが増えました。
そして、このシリーズのギルバート的な人は誰になるのか?それも楽しみです。とにかくおやすには仕事もプライベートも幸せになってもらいたいと思います。
<お勝手のあんシリーズ>
「お勝手のあん」
「あんの青春〜春を待つころ〜」
「あんの青春〜若葉の季〜」
「あんのまごころ」
「あんの夢」
「あんの信じるもの」
「あんの明日」
「あんとほうき星」
「別れの季節」
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