2017年11月04日

柴田よしき「風味さんのカメラ日和」

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 柴田よしき 著
 「風味さんのカメラ日和」
 (文春文庫)


東京を離れ洋菓子屋を営む実家に戻った風味は、幼馴染の頼みでカメラ講座に通うことに。いつも写真がボケてしまう老人、寂しくない写真を撮りたい中年女性などが集う中、講師の知念大輔は、カメラマンを挫折した天然なイケメン。だが、彼はレンズを通して受講生の心を癒していく。カメラ撮影用語解説もついた文庫書き下ろし。−裏表紙より−


この作家さんにしてはサラッと読み終わって、あまり印象に残らない感じの話でした。面白くないわけではないのですが、グッと刺さるようなこともなく・・。


東京で働いていた風味が実家に戻り、ぼんやり過ごしているときに、幼馴染から頼まれてカメラ講座に通うことになります。生徒が集まらなくて困っている幼馴染を助けるつもりで、仕方なく通うことになったのですが、講師と写真に興味を持ち、はまっていきます。

同じ被写体を撮っても、それぞれみんな違う雰囲気の写真が撮れることに感動してしまうんです。

確かにそうですよね。写真って上手い下手だけではないそれぞれの持ち味というか、性格が表れるような気がします。

私自身、昔はうまく撮れていると自信があったのですが、最近はどうもうまく撮れない・・。思ったタイミングでシャッターが押せない気がしています。

そういうのも習えば出来るようになるのかな??   それはともかく。


講師の知念は過去に挫折した経験があるカメラマン。でも、観察眼は鋭くて、生徒の撮った写真を見るだけで、謎を解明したり、問題点をうまく指摘して直していったりできる人。

難しい用語も少ない上に、もしわからない用語があっても巻末に解説してありますから、あまり悩まずに読めるのも良い感じ。


最近は、スマホで撮ることがほとんどですが、たまにはカメラも引っ張り出してみようかな?と思わされました。


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2017年08月30日

柴田よしき「紫のアリス」

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 柴田よしき 著
 「紫のアリス」
 (文春文庫)


人生最悪の日―不倫を清算し、結婚の夢を捨てた紗季が会社を辞めた日、夜の公園で見たのは男の変死体と「不思議の国のアリス」のウサギ。引っ越したマンションで隣人のお節介に悩む紗季に元不倫相手が自殺したという知らせが。不思議の迷宮で、十重二十重のトリックにがんじがらめの紗季が辿りついたのは?−裏表紙より−


この作家さんは色んな話を書くな〜と感心させられました。

久々に後味の悪いすっきりしない話でした・・。


会社の上司との不倫を解消して以来、何となく会社にいる意味を失っていた紗季は、突然会社を辞めようと思い立ちます。すっぱりやめたのは良いけれど、特に何をしようということもなく、ぼんやりと公園で佇んでいるとそこに現れたのはアリスのウサギ。

突然のことに驚いていると、足元に死体があることに気づき、あわてて逃げだしてしまいます。

その夜以来、身の回りで変なことばかり起き始め・・。


マンションの隣人の老婦人が色々と協力してくれるようになりますが、読者としては、彼女のこともどんどん怪しく見えてきて、次々事件が起きる度に、ちょっとずつ忘れていた過去の記憶を思い出していく紗季の姿も怪しく感じられ、出てくる人物すべてが犯人に見えてくるという何ともハラハラドキドキの展開。

どうやら紗季の学生時代に事故死した同級生のことが関係あるらしいということまではわかるのですが、そこからはなかなか謎が解けていきません。その上、次々事件も起きるので混乱してしまいます。


やっとすべてが解決できた!と思ったら・・・と、最後まで安心できない展開です。

結局の真相はどうなんだろう? 想像にお任せしますって感じなので、すっきりできないです。

でもこの話はすっきりしない方が良いのかもしれないな、とも思うんですけどね。あの人が犯人で終了だったら、別の意味ですっきりできないかも。

不思議の国のアリスの話も絡んで、ますます謎めいた話になりました。


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2016年12月16日

柴田よしき「猫は毒殺に関与しない 猫探偵正太郎の冒険5」

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 柴田よしき 著
 「猫は毒殺に関与しない 猫探偵正太郎の冒険D」
 (光文社文庫)


誰が犯人だ!? 桜川ひとみの自宅で開かれた鍋パーティ。作家仲間である四方幸江を陰で中傷する人物を探り出す。どれが、ひとみに任された役割りだった。だが、パーティ参加者の中に、大きな殺意を抱く者がいて・・。(表題作) いつもクールに謎を解く猫探偵 正太郎が、生涯二度目の恋をした!?(「正太郎、恋をする」)珠玉の三編を収録。−裏表紙より−


正太郎のシリーズを私が最後に読んだのは2010年なので、6年前になります・・。もっと前だと思っていました。それくらい待ち遠しかったということなんでしょうけど。

発売されると知って急いで買ってきたわけですが、ちょっと寝かしておきたくなる感覚にもなったんですよね。何だかもったいなくて。でも結局は読んでしまいました。


猫は毒殺に関与しない」「猫は三日ですべて忘れる」「正太郎、恋をする」の三編が収録されています。

正太郎の活躍を3話も読める!と楽しみに読み始めると、正太郎がなかなか出てこない!あれれ・・と思っている間に1話目終了。それなりに内容としては面白くて、相変わらずひとみさんのおとぼけぶりが発揮されて笑えるんですけど、正太郎はちらっとしか出てこないですし、推理もしない(泣)

そして、2話目。今度こそ!と思いつつ読み始めたら、すぐに正太郎が登場。でも正太郎視点ではなくて、誰!?という人の視点で話は進み、正太郎も関わってはいたけれど重要な存在ではなく、観察者として存在していただけでした。内容は「馬鹿だね〜」という感じ。男ってやつは本当にダメだね、と呆れていたら、女もかなり根性悪いね、と思ってしまい、最終的には人って本当に嫌な存在だわ、となりました。

いよいよ最終話。ここでやっと正太郎目線の話が登場しました。しかも正太郎が二度目の恋!トマシーナ以来の恋におちた正太郎がいじらしくてかわいかったです。そして最後には軽くどんでん返しもあって「そうだったのか〜」と感心する終わり方でした。


結局、1話しか正太郎らしい話が無かったのでとても残念ですし、かなり物足りない気持ちになりました。でもきっと次は早めに書いて下さると信じて、続きも待つことにします。

今回も長い間待てたんだから、次も待ちますよ!


<猫探偵正太郎シリーズ>
「ゆきの山荘の惨劇」(角川文庫)
「消える密室の殺人」(角川文庫)
「猫は密室でジャンプする」
「猫は聖夜に推理する」
「猫はこたつで丸くなる」
「猫は引っ越しで顔をあらう」


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2016年09月05日

柴田よしき「女性作家」

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 柴田よしき 著
 「女性作家」
 (光文社文庫)


実力はあるが作品が売れていない悩みを抱える作家・佐古珠美はかつて、ベストセラー作家・豪徳寺ふじ子の秘書だった。奔放なふじ子に振り回され、恋人の芝崎夕貴斗を奪われてしまう。ある日、夕貴斗の消息を探るライターが現れ、彼の遺書らしき手紙があると珠美に告げる―。二人の女性作家の過去と現在が複雑に絡み合い、情念がうごめく。そして衝撃の結末が!−裏表紙より−


この作家さんらしくないような、ある意味らしいといえるような複雑な作品でした。重い内容でも軽く読める作風の物が多いだけに、これはちょっと重い感じがしました。


始めは売れない作家・佐古珠美の視点で話が進められます。以前秘書をしていた作家・ふじ子が入院したということで、その面倒を見に行っている彼女。辞めたはずの彼女がなぜ面倒を見ているんだろう?と本人も思っていますし、読んでいても同じように疑問に思いながら読み進めました。

そして次はいきなり話は過去へとびます。今度はふじ子の若い頃の話になり、彼女がどんな半生を送って今のような作家になったのかが描かれます。よくあるような嫁姑問題で苦労をしたらしいことはそこでわかるようになっています。

再び現代に戻り、珠美とふじ子の話へ。珠美もふじ子の半生を知ることになり、そこから謎がどんどん増えて、一気にミステリー仕立てに。


たくさんの謎はどんな解決をしていくのか、ということも気になりますし、何より二人の女性作家の関係が気になって仕方ありませんでした。

でも二人の関係の複雑さが、一気読みするのを止めてしまい、読み終わるまで時間がかかってしまいました。女性が読むと思い当たる部分が多少なりともあると思います。そういう細かい所が引っかかってしまい、読み進めるのが嫌になる部分もありました。


どうして女性ってこうもドロドロした関係になってしまうんでしょう・・。

この二人ほどの関係ではないにしても、きっと女性なら誰しもこういう友人っているはず。特定の誰かを思いながら読むと余計に辛いし、読み終わった後も重い気分になってしまいました。


男性が読んだらどうなんだろう?たぶん、ほとんど理解できずに終わる気がします。

女性の方で、重い気分になりたいときに読むことをお勧めします。


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2016年03月30日

柴田よしき「愛より優しい旅の空 鉄道旅ミステリ2」

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 柴田よしき 著
 「愛より優しい旅の空 鉄道旅ミステリ2」
 (角川文庫)


鉄道の旅を愛し、突然姿を消した叔父。そのゆくえを探し、一心に列車に乗り続ける香澄だが、いつしか各駅停車旅の醍醐味を味わっていた。京急の歌う電車に秘めた技術者の願い、南阿蘇鉄道で出会った美しい蝶、小海線の大カーブをめぐる考察・・・・やがて、新たな情報に導かれ、今なお震災の爪痕が残る東北へ向かうことになるのだが―線路がつなぐ人々の想いが心揺さぶる、鉄道旅ミステリ第二弾!−裏表紙より―


前作からの続きで、早めに読んだつもりだったのですが、人の名前なんかは忘れてしまっていて、何度か「誰だっけ?」となってしまいました・・。でもまあ、登場人物自体が少ないので、問題なく読めます。


今回で完結っぽいので、前作から探していた香澄の想い人が見つかるのか?というのが、結末に描かれていると思いつつもそれまでの旅の様子も楽しむことができました。

若干、恋愛事情が絡んできて、私の苦手部分は増えたのですが、それほどくどくは無かったので、何とかスルーできました。しかし、香澄が想い人の現状がわからないまま誰かと付き合うなんて思ってもみませんでしたが。しかも「へえ、この人と」って感じですし。でもある意味お似合いな気はしますけど。

想い人を探すためだけに大学を決めて、好きでもない鉄道旅同好会に入った、強い意志をもつ香澄のことを、周りの人は「おとなしくて繊細な女性」と思っているのはちょっと違和感がありました。行動力はあるけど、おとなしいのでしょうね。あまり清楚なイメージをもっていなかったので、2作目で急にお嬢さまっぽいイメージに脳内を変更しました・・。


想い人が急に消えた理由は、想像通りでした。でも彼の現状は驚きました。なるほど、こういう結末になったか、という感じ。とても悲しいですが、それだけではないある意味彼らしい状況で、妙に納得できました。

震災後の東北の様子が出てくるので、泣きそうになる場面が多くなりました。今は時間がありませんが、いつか自由な時間がとれたら、ゆっくり東北にも旅してみたいと思います。できるだけ早く。


さ、次は何を読もうかな?


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2015年12月09日

柴田よしき「夢より短い旅の果て 鉄道旅ミステリ1」

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 柴田よしき 著
 「夢より短い旅の果て 鉄道旅ミステリ1」
 (角川文庫)


四十九院香澄は、大学入学と同時に「鉄道旅同好会」の扉を叩いた。根っからの鉄道好きが集まるこの会に入部して、三年前に起きたある事件の真相を探りたいという切実な動機があったのだ。こどもの国線、氷見線、飯田線―列車に揺られ、旅先で出会った人々と話し、土地の名物を味わううち、鉄道に興味のなかった彼女が、ゆっくりと変わりはじめる。読めば旅に出たくなる、叙情豊かな鉄道ミステリ第一弾。−裏表紙より―


香澄以上に鉄道に興味のない私。香澄と違って旅よりも自宅が好きな私に楽しめるのか心配ではありましたが、ミステリも絡んでいて面白く読めました。

何よりこの作家さんの文章は私に合うんですよね。さらさらと読めます。


香澄は鉄道旅同好会に入るために大学を選び、上京して一人暮らしを始めました。ただただ、ある人の行方を探すためだけに。

入会しても、正会員になるためには、同好会の人気ブログに魅力的な記事を載せなければ認めてもらえないことを知り、必死な思いで割り当てられた鉄道に乗りました。色々な人に助けられて、正会員になった香澄ですが、しばらくはどの列車に乗っていても探し人のことばかり考えてしまう状態でした。

でも旅先で出会って仲良くなった人や、謎の行動をする気になる乗客、同好会OBなどと共に旅をするうちに、どんどん列車の旅に魅力を感じていきます。

私も旅をするなら列車が良いと思うので、自分も列車に乗っている気分で、書いてある景色を想像しながら読み進めました。

列車旅が好きな人はもちろん、それほど興味のない人でも、読んだらきっと旅に出たくなります。色々な鉄道に乗って、乗客や景色をじっくり見てのんびりしたくなります。

なかなか時間は取れませんし、香澄のように一人で旅ができるほど根性もないですが・・。

最後まで読んで、一番気になったのは主人公の名字。どうしてこんな珍しい名字にしたのか?何か理由があるのかな??

第二弾も発売されたので、早めに買って読もうと思います。


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2015年06月02日

柴田よしき「桜さがし」

桜さがし

 柴田よしき 著
 「桜さがし」
 (集英社文庫)


中学時代から十年来の仲間である歌義、陽介、綾、まり恵の四人は、今は作家として京都郊外の山奥に独居する恩師・浅間寺のログハウスに招待され、その途中の山道で一組の男女と出会う。幸福そうに見えた二人だったが、一ヶ月後に心中死体で発見され・・・。出会いと別れ、つらい恋、そして事件。四人に訪れる人生の岐路。古都の移ろいゆく季節の中、せつない青春群像を描く、傑作ミステリ連作集。−裏表紙より−


猫探偵正太郎シリーズにも登場する、浅間寺と愛犬のサスケも活躍するミステリです。浅間寺の教え子で、卒業して10年以上経っても繋がりがある4人の物語です。

初めは恋愛小説だとばかり思い込んでいたので、なかなか読む気にならなかったのですが、実際はミステリ要素も多く、この作家さんらしい深い内容で面白かったです。しかも、あまり人が死なないミステリなので、暗くならずに読めました。

まあ、中心となるのは4人それぞれの恋愛事情なのですが、あまりくどくなかったので私でも大丈夫でした。


学生時代からの友人、という奴が私にはいないので、どういう感覚なのかわかりませんが、やはり子どもから大人になる過程を知られている相手って、秘密もなくて良いような、でも隠したい過去も知られているのは気恥ずかしいというか、うっとおしい存在にもなるのかな?と思いました。

この物語に出てくる4人は特に、恋愛が絡んでいるので余計に難しいかもしれません。

ハッキリ言って、彼らがくっつこうが、別れようがどっちでも興味は無かったのですが、それぞれがちゃんと前を向いて、未来を見据えて進んで行く様子が読めたのは良かったです。

浅間寺の淡い恋も読めましたし。彼の意外な人間臭さみたいなものも垣間見れただけでも、読んだ甲斐がありました。


久しぶりの柴田作品で、やはり読みやすいし面白かったので、また近々読みたいと思います。まだまだ読んでいない作品はあるのですが、多いから逆に何から読んでいいのかわからないんですよね・・。

色々とネットで調べてみることにします。


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2014年02月28日

柴田よしき「小袖日記」

小袖日記

 柴田よしき 著
 「小袖日記」
 (文春文庫)


上司との不倫に破れて自暴自棄になっていたあたしは、平安時代にタイムスリップ! 女官・小袖として『源氏物語』を執筆中の香子さまの片腕として働き、平安の世を取材して歩くと、物語で描かれていた女たちや事件には意外な真相が隠されていた―。ミステリーをはじめ幅広いジャンルで活躍する著者の新境地。解説・堺三保−裏表紙より−


この作家さん、本当に色々書かれる方ですが、この作品はSFっぽい雰囲気で、でもミステリーでもあるという不思議な話。ジャンル分けが難しいです。

主人公は名前がありません。“あたし”という表記で、彼女の目線で語られる物語になっています。

上司との不倫をしてフラれてしまったあたしは「死んでやる!」という気持ちで夜の公園にいました。頭がクラッとして気づいたら平安時代に飛んでいました。

しかも、ただタイムスリップしたのではなく、どうやら“小袖”という女官と入れ替わったらしいのです。変える術もなく、平安時代で過ごすことになったあたしは、源氏物語を執筆中の香子さまに仕えることに。

というわけで、源氏物語でも有名な「夕顔」「末摘花」「」「明石」「若紫」という題名の5編が収録されています。


源氏物語って、個人的に好きではないので、きちんと読んだ覚えがありません。そんな私でも知っているような有名な女性たちの話になっているので、源氏物語を知らなくても楽しめますよ。

でもきっと、源氏物語に詳しければより面白かったのではないかと思います。

光源氏のロリコンぶりとか、この時代の男性の浮気癖とか、イライラする部分も多いのですが、女性の側の事情やこの時代ならではの事情などがわかると、確かに読みやすくなるのかもしれないと思いました。

女性側の悲しさや寂しさに苦しくなるような所もありました。きっとこの作品は女性が読まないと共感できないと思います。


ラストがちょっと駆け足過ぎて、色々気になることを残したまま終わってしまったのが残念でした。もう少しじっくりその後のことなんかを読みたかったです。

あたしと入れ替わって現代にいたであろう、小袖はどうやって生活していたのか?なんかも書いてほしかったです。


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2014年02月07日

柴田よしき「ランチタイムは死神と」

ランチタイムは死神と

 柴田よしき 著
 「ランチタイムは死神と」
 (徳間文庫)


わたしは死神。人が死ぬ時に魂を死後の世界、黄泉の国へと連れて行くのが仕事です。今、わたしがここにいるのは、あなたか、あなたのそばにいる誰かが、もうじき死ぬからなんですよ・・。憧れの男性の婚約者が死ぬという妄想に囚われてしまったOL多美。窓際族の総務部主任島野に悩みを打ち明けると、存在感の薄い中年男は、奇妙なことを言い出した―。感涙の不思議ミステリー。−裏表紙より−


ホント、色んな作品を書く作家さんだな、と再認識しました。途中、誰の作品を読んでいるのか忘れてしまうくらい、雰囲気が違う話でした。


幕前、幕間、幕後という3話には、入院中の母親からもらった千円で昔話の本を買った少年の様子が描かれています。まず少年が読むのが「おむすびころろん」次は「舌きりすずめ」。この2話が題名となって、多美と麦穂という2人の女性の話が描かれます。

この題名や昔話の内容と、話があまり合わない気がしたのですが、その辺は気にしなくても楽しめます。


あらすじにもあるように、この話には“死神”が出てきます。人間界では“島野”と名乗って生活しているわけですが、この死神はちょっと不思議。伊坂さんの「死神の精度」と違って、島野はいるのかいないのかよくわからない感じ。はっきり言って存在がややこしいです。

おむすびころりん」で出てくる多美は、島野から「好きな人が死ぬけど、あなたの人生と交換するか?」なんて言われてしまいます。片思いの相手が数日後に死ぬ、だからあなたの残りの寿命をあげたらどう?なんて、簡単に決められるわけもなく、悩んだ多美は、実家に戻って母親の顔を見ることにします。

そこにあそびに来た幼馴染の時枝という女性の話はほろりとさせられました。彼女が島野に切った啖呵も素敵でした。こんな友人がいる限り、多美は大丈夫だと安心できました。


舌きりすずめ」の麦穂は、島野から「ある人と綱引きをしていて、あなたが勝ったから相手が死ぬんだ」なんて言われます。相手が死んだのは自分のせいだと思いながら生きていく人生なんて耐えられない・・と悩む彼女。でも、最後には「相手も幸せな人生だったんだ」と納得できて、前を向いて生きていけそうな終わり方をしました。


そして、昔話を読んでいた少年ですが、彼にも悲しい出来事が起こりそうです。彼についてはちょっと後味が悪いというか、結末のわからない終わり方をしていました。何とか乗り越えていってくれることを願います。


解説の矢崎存美さんも書いていましたが、もし自分の前に死神が現れて「残りわずかです」と言われても、私は「あ、そうなんだ」としか思えない気がします。特に未練もないな・・と。でもこんな考えはダメですね。寿命が続く限り、きちんとしっかりと人生を全うしないといけない、と改めて思わされる作品でした。


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2014年01月03日

柴田よしき「クロス・ファイアー」

クロス・ファイア

 柴田よしき 著
 「クロス・ファイアー」
 (徳間文庫)


日本プロ野球のチームに、女性選手が入団。東京レオパーズ所属の楠田栞は、左腕で下手投げの中継ぎ投手。客寄せパンダと陰で囁かれつつも、同僚で親友の早蕨麻由と励まし合いながら、野球に恋に奮闘している。ある日栞は、臨時コーチの雲野と出会う。雲野は言う。おまえの恵まれた体と素質を活かせ、一流になれ、と。女性投手では前例のない、ある目標のための特訓が始まった・・。−裏表紙より−


この作家さん、色々な作品を書かれるんだと改めて感心しました。

これは、野球に詳しくないと書けない作品です。野球が好きな私にはぴったりの話でした。


プロ野球チームに女性選手が入団した、という設定の話で、現在の日本プロ野球ではまだ実現していないことです。私は野球が好きですし、女性ですが、プロ野球チームに女性が入団してほしいか?というとそこは賛成ではないです。

やはり、男性と女性では体力の差が歴然としていますし、超えられない壁は大きいと思うんですよね。この話に登場する栞と麻由という2人の女性選手もその差を埋められず苦しんでいます。

そりゃそうですね・・。当然、数イニングしか投げられませんから、中継ぎがメインになってきますし、彼女たちが投げることで男性ファンを呼び寄せようという思惑が見え見えになってしまいます。

プロとして雇われたからには「客寄せパンダ」で終わりたくないと思う彼女たちは、もがくことになります。しかも、自分たちが失敗したら後に続く女性がつぶされてしまうんですよね。「先駆者」としての責任が2人の肩にのしかかっているわけです。


将来が見えず、漠然と毎日を過ごしていた栞の前に、彼女を鍛えるためだけにやって来たというコーチが現れます。「女性を選手として雇うなんてあり得ない」と公然と反対していたそのコーチに特訓されることになった栞は、どうなっていくのか・・・。

思うように練習がこなせない自分にイライラして、周りのことも信じられなくなって、ボロボロになっていく栞。彼女が苦しむ姿は読んでいてつらかったです。しかも、結末が見えないまま終わってしまうんですよね・・。


解説の方が書かれているように、私も続編を希望します。ぜひ読みたいです。


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2013年05月30日

柴田よしき「風精の棲む場所」

風精の棲む場所

 柴田よしき 著
 「風精(ゼフィルス)の棲む場所」
 (光文社文庫)


京都・北山の奥深く。ミステリ作家の浅間寺竜之介は、愛犬のサスケとともに、地図にも載っていない風神村を訪れた。村に棲息する美しい蝶を模した舞を見てほしいと、ファンの少女から誘われたのだ。通し稽古の直後、舞手の一人が胸を刺され殺された。多感な少女たちの想いが複雑に交錯する。「村の乙女の伝説」が暗示する神隠しの真相とは!? 哀切の本格ミステリ。

猫探偵・正太郎シリーズにも登場していた作家の浅間寺竜之介先生が主役となっている話です。もちろん、愛犬のサスケも一緒。犬は嫌いな私ですが、このサスケはかわいい! 正太郎と一緒にいるときは、関西弁をペラペラしゃべる犬なのですが、今回は人間しかそばにいないので「ワン」としか言いませんけどね・・。


ファンだという少女・美夢からメールをもらい、地図に載っていない村を訪ねることになった竜之介。山奥の村で、徒歩で向かうしかなく、なかなか困難な道行となります。村は、かなり昔の雰囲気を残している場所で、電気は一応とおっているようですが、街灯もなく、舗装されていない道路と、藁ぶき屋根。そして屋根からは白い煙が立ち上っています。

あまりのレトロさに懐かしさよりも驚きを感じながら、村の雰囲気を満喫していました。

そして、本来の目的である舞を見ることになり、あまりの優雅さに涙しながら食い入るように見つめ、感動していると、その直後に舞手の一人が殺害されて発見されました。

ある意味密室状態で、目撃証言から犯人がいないという結果になり、竜之介は犯人を捜すことにしました。


舞の様子はとても丁寧に描かれていて、まるでその場にいて見ているような感動がありました。私の乏しい想像力でも綺麗な映像が浮かびました。ただ、事件の推理をするときに誰がどの位置にいて、どのように出入りして・・と説明をする場面はかなりわかりにくかったです。図にしてほしいくらい。

まあ、図にされたからといって、推理できたとは思えませんけど・・。

あまりにも理不尽な動機による殺人。でもそのきっかけを作った理由はとてもいじらしく、かわいいもので、その落差が妙に悲しさを誘いました。

と、普通のミステリーかと思ったら、最後にもう一つ不思議な出来事が起きて、始めから終わりまで、この題名にふさわしい、不思議な雰囲気をもった作品になっていました。


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2013年03月16日

柴田よしき「ぼくとユーレイの占いな日々」

ぼくとユーレイの占いな日々

 柴田よしき 著
 「ぼくとユーレイの占いな日々」
 (創元推理文庫)


徹夜のアルバイトを終えた石狩くんが出逢った、冗談みたいな厚化粧の女。彼の過去の行動を当てる彼女は大人気占い師、摩耶優麗だった! 石狩くんはある事件をきっかけに優麗が率いる占いの館・魔泉洞に就職してしまう。次々に持ち込まれる不思議な事件を鮮やかに解くユーレイの名推理と、超個性的な面々に振りまわされる石狩くんの受難の日々を描いた、ユーモアミステリ短編集。−裏表紙より−


優麗(ゆうれ)という名前だから“ユーレイ”。本人が、のばさず切って発音するようにと常々言っているため、誰も「ユーレイ先生」とは呼びませんが・・。

占いと言いながら実はユーレイ先生の鋭い観察力と、推理力によって導き出される答えで、お客である依頼者の悩みを解決していくという方法で話が進んでいきます。

話の中にも出てきますが、占いってある意味セラピーに似てるんですよね。

私は占ってもらったことがありません。テレビや雑誌なんかでやっている星占いとかは見ますが、それも参考にする程度で、ラッキーカラーが何色だからといってその色の服を着るようなことまではしません。

ただ、「イライラしないようにしましょう」というようなアドバイス的なことは妙に気をつけたりするんですよね。それってつまり、セラピーみたいなものかな?と。

・・などと、感心(納得?)しながら読み進めました。


ユーレイ先生の観察力と推理力は確かにすごくて、鮮やかな謎解きには驚かされるばかりでした。何よりも彼女のキャラクターが素敵!

いや、素敵とは違うか?・・面白すぎ!

ものすごいマイペースで、真っ直ぐで、熱くて、でも冷めていて、強烈なキャラをしています。

更に彼女よりも濃いキャラの人もいるんです。それは、彼女の秘書兼ボディガードなどなど・・のウサギちゃん。屈強な男性なのになぜかおねぇ言葉をしゃべります。そして仕事にかなり厳しくてシビア。暴走しがちなユーレイ先生をうまくコントロールしています。

こんな強烈なキャラに囲まれていると、主人公・石狩くんがすっごく普通に感じられて(実際に標準的な男性ではあるんですが)、彼が気の毒でたまりませんでした。色々と文句を言いながらもユーレイ先生に尽くしているのが笑えます。


ミステリーとしても楽しめますし、キャラクターもストーリーも面白い作品でした。

続編も書く予定みたいなので、楽しみに待つことにします。文庫化はいつになるか・・・気が遠くなりそうですけどね。



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2012年12月08日

柴田よしき「竜の涙 ばんざい屋の夜」

竜の涙

 柴田よしき 著
 「竜の涙 ばんざい屋の夜」
 (祥伝社文庫)


「竜の涙」を飲んだことがありますか?都会の片隅で今夜もそっとカウンターに置かれる一皿、一杯。迷子になったり傷ついたり、意固地になったり独りぼっちになった彼女たちの心に、そっと染みるふうわりとしたお出汁の香。ヒット作『ふたたびの虹』で人々を癒した女将の包丁の音が、ことこと今宵もまな板で鳴って、ばんざい屋の夜が始まる・・・人気シリーズ第二弾。


前作では、女将の過去や人生について書かれる部分が多かったのですが、今回は「ばんざい屋」のお客さんたちの話がメインになっています。

でも、話の中にある優しい雰囲気は健在。読んでいる間、穏やかに流れる時間を過ごすことができました。


ばんざい屋に訪れるのは、ある広告代理店の女子社員たち。さまざまな立場の彼女たちは、それぞれ悩みを抱えています。

恋の悩みや仕事の悩みから、自分が生きるべき道を模索することまで、悩みの中身は違っても、みんな女性ならではの悩み。女将が出すさり気ない料理や、女将が掛けるさり気ない言葉で、少し気分が楽になって帰って行きます。

特に凝った高級な料理でもなく、説教臭い言葉でもない、でも女将の心が目一杯こもった料理と言葉にはずっしりと響く重みがあるものばかり。

女将の過去を知ってから読むと特に響く気がしました。


今回は、恋人・清水の出番は少なかったですが、彼の存在も女将にとって良い安らぎになっているようで、微笑ましい関係を続けているようです。


最後にはばんざい屋にも大きな転機が訪れることになりました。これでシリーズが終わりにしないで、ぜひ続けてほしいと願います。


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2012年12月04日

柴田よしき「ふたたびの虹」

ふたたびの虹

 柴田よしき 著
 「ふたたびの虹」
 (祥伝社文庫)


東京・丸の内の片隅にある小料理屋「ばんざい屋」。女将の作るちょっぴり懐かしい味に誘われて、客たちが夜な夜な集まってくる。クリスマスの嫌いなOLの悩み、殺された常連客が心ひそかに抱いていた夢、古い指輪に隠された謎と殺意・・。数々の人間模様をからめながら、自らも他人にいえない過去を持つ女将が鮮やかに解決する恋愛&ヒューマン・ミステリーの傑作。


大好きな作家さんなのに、この作品は全く知りませんでした。今まで私が読んできた作品とはちょっと違う雰囲気でしたが、とても面白かったです。

女性の心情を描くのがとても上手い方ですが、それがこの話では存分に活かされていた気がします(・・って何だか上から目線ですけど)。

読み始めから謎めいた雰囲気を感じて、続きが気になって読むのが止まらない状態になりました。でも、終わってしまうのは勿体なくて、時間をあけて読もうとしてしまうような・・。ずっとこの「ばんざい屋」に居たい気がしました。


吉永という女将が一人で切り盛りしている小料理屋「ばんざい屋」名前の通り、京都のおばんざいが売りのお店です。女将が心を込めて作る料理は評判がよく、更に女将の雰囲気も好ましくて、常連客がたくさんいます。

お客との距離感を大事にしているので、しつこく話しかけたり自分のことをしゃべるようなこともしません。静かに飲みたい人にはたまらないお店で、女性のお客さんも多いです。(もし、近くにあったら通うだろうな・・。)


女将には秘密にしている過去があります。お客が持ち込む謎解きもあるのですが、何よりも女将の謎が一番気になります。どんな過去なのか、少しずつ明かされていくのですが、全く予測がつかない物でした。

そんな彼女を女将の趣味であるブロカント集めをきっかけに知り合った、清水という男性が支え助けていきます。

彼との関係も読んでいて微笑ましい物でしたし、最後には本当に幸せな気分になれました。辛いこともあったけど、これからはきっと幸せになれる・・そんな終わり方。


読んで良かったです。続編ももう購入しました。読むのが楽しみです。



   誕生日
本日は、私の誕生日ですあせあせ(飛び散る汗) あっという間の一年です・・。誕生日だからって浮かれるような年齢でも無くなってますが、お祝いを言われるとちょっと嬉しいですね。





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2012年05月15日

柴田よしき「いつか響く足音」

いつか響く足音

 柴田よしき 著
 「いつか響く足音」
 (新潮文庫)


かつては理想郷、今となっては古臭いだけのこの団地。借金まみれのキャバ嬢に、息子夫婦から絶縁された老女。猫に執着するカメラマンや、多額の保険金を手にした未亡人。みんな孤独で、寂しくて。どこで道を間違ったのだろう?あの甘やかで、温かな場所に帰りたい−。それでも他人同士が肩寄せ合う空間は、なぜだかとても心安らぐ。「共に生きる」意味を問う、感涙の連作小説集。−裏表紙より−

「最後のブルガリ」「黒猫と団子」「遠い遠い隣町」「いつか響く足音」「闇の集会」「戦いは始まる」の6話収録されています。


ある団地の住人が主役となってそれぞれの話が語られます。出てくる住人は、キャバ嬢・朱美、その友人・絵理、食事を作って配るおばさん・里子、保険金を手にした未亡人・静子、カメラマン・克也、家庭を顧みなかった・仲島の6名。

まず出てくるのは朱美の部屋に転がり込んだ絵理です。彼女はカードを使いすぎて多額の借金を抱えて逃げて来ました。学生時代に知り合いだった朱美と偶然出会って「うちに来たら?」と誘われました。そんな風に声を掛けてくるということは、朱美は絵理に好意を持っているのか?と思ったら、そうではありませんでした。

それは次の話で明らかになります。嫌いではないけど、ハッキリ言ってどうでもいい存在・・という感じ。絵理が我儘な女性に感じていたのですが、この話で私のイメージが逆転しました。

そして3話目では、1話目から登場していた肉じゃがを持ってきたおばさん・里子の人生が語られます。彼女は息子の嫁とうまくいかず、夫にも先立たれ、寂しい毎日を過ごしています。亡き夫や息子のために磨いた料理の腕を生かして、大量にに物を作っては住人に配るのです。配らずにはいられない、自分の存在価値が見出せない、そんな女性です。

里子が料理を配る住人のうちの1人でもある静子が4話目の主人公。彼女も波乱の人生を歩んできました。そして2人の息子がいながらも、寂しい生活を送っているのです。

5話目では団地の敷地内で猫の写真ばかりを撮っているカメラマン・克也の人生が語られます。なぜ彼は猫の写真を撮るのか?その理由が明かされます。そして、ちょっとした秘密も。

最終話では、絵理の借金問題をどうするか?を住人たちが集まって話し合うことになり、そこで仲島という男性が登場します。彼はなかなかしっかりした意見を出し、絵理のことを救おうとします。彼の人生も少しですが語られます。


話に出てくる人たちはみんな孤独で、自分の人生はどこで間違えてしまったんだろう?と後悔しながら生活しています。そんな話ばかりですから、全体的に暗い雰囲気が漂う作品でした。

人生って、先が全くわからない物なんだ・・と改めて思い知らされるような話で、今ある程度幸せだからといって手を抜いてはいけない、もっと一生懸命に生きなければ!と決心したくなりました。


エピローグで、ほんの少し光が差してきた感じがしたので、暗い気持ちのまま終わらずに良かったです。


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2011年10月28日

柴田よしき「貴船菊の白」

貴船菊の白

 柴田よしき 著
 「貴船菊の白」
 (祥伝社文庫)



亡き妻が行きたがっていた秋の京都−そこは刑事なって初めて関わった事件で犯人が自殺した場所だった。刑事を辞めた男が15年ぶりに訪れたその場所には、貴船菊の花束が手向けられていた。花束に導かれるように自殺した男の妻と久々に再会し・・。−「貴船菊の白」他「銀の孔雀」「七月の喧噪」「送り火が消えるまで」「一夜飾りの町」「躑躅幻想」「幸せの方角」計7編収録


京都を舞台にしたミステリーが7話収録されています。ミステリーというか、恋愛小説のような雰囲気もあり、登場人物が話す京都弁が心地良い静かなイメージの作品集でした。


貴船菊の白」に出てくる元刑事は名前が書かれていません。短い話の中で名前も無い彼の人柄が全て出ているような気がしました。事件当時、自殺した犯人の妻は、夫が自殺したことを聞かされてもほとんど反応することもなく、淡々と受け止めていました。その態度を見て「冷たい女性」という印象をもったわけですが、実は彼女には強い想いがありました。何とも悲しい気持ちのする話でした。

ちなみに「貴船菊」というのは、表紙に描かれている花のことです。コスモスに雰囲気は似ているかも?でもコスモスより花びらが広めかな?と。私もよく知りませんが。


どれも面白かったのですが、特に気に入ったのは「幸せの方角」です。中年男性二人が久々に京都で再会し、酒を酌み交わすのですが、酒の力を借りてお互いの過去の恋愛話を語り合います。そして、片方の男性が語った話が切なくて・・。でも最後には前を向いて歩こう!という強い決意も見えて、とても素敵な話でした。


中にはやりきれない想いのまま終わる話もありますし、ゾクっとさせられる話もあります。でもそんな話の中にもどこか悲しい部分や、愛情溢れる部分があって、温かい気持ちにもなれます。そして、ちょっとした謎もあり・・。

この作家さんは女性の描き方がとても上手だな〜と改めて感じました。そこが好きでたくさんの本を読んでいるのですが。一見、強く見える女性も中身はものすごく弱かったり、逆に弱そうに見える女性に一本強い芯が通っていたり、複雑な恋愛の駆け引きやどうにもならないもどかしさなんかもとても細かく書かれています。

共感できるか?というと、自分がお子様すぎてなかなか難しいのですが、それでもやはり同性として理解できる部分は多いです。


久々に読んでやっぱり面白かったので、また他の本も読んでみようかな??


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2011年05月06日

柴田よしき「フォー・ディア・ライフ」

フォー・ディア・ライフ

 柴田よしき 著
 「フォー・ディア・ライフ」
 (講談社文庫)



新宿二丁目で無認可の保育園を営む園長・花咲慎一郎、通称“ハナちゃん”は、慢性的な資金不足を補うために、探偵業もこなしている。身体を張った危険な仕事もし、失踪した少女を探し出し、更に巻き込まれた事件も解決しなければいけなくなり・・。


保育園の園長が主人公ということだったので、きっと久々にさわやかな話が読めるんだろう・・と思っていたのですが、意外とハードボイルドでした。

ちょっとショックだったんですけど、やっぱりこの作家さんの作品は面白いです。気付けば入り込んでいました。


主人公の花咲慎一郎は、元刑事(マル暴)の肩書きを生かして、探偵業もやっています。探偵業と言っても浮気調査とかではなく、暴力団を相手にするようないわゆるヤバい仕事。

保育園は24時間営業なのに、資金繰りのためには副業もいる・・ということで、ヤバい仕事をやらないと短時間で高い収入を得られないからなんですが。ほとんど寝る暇も無いほど働き続ける花咲の様子はちょっと痛々しい感じ。

ただ、周りで支えてくれる人も当然いるわけで。その人たちがまた良い味出しているんですよね〜。

まず、保育園で働く保育士たち。彼女たちもそれぞれ事情を抱えていて、それでも子どもたちが大好きで安い上に過酷な職場で働いています。

そして女医さん。花咲の保育園に来る子どもたちは、ほとんどが日本国籍を持っていません。つまり、保険証も無いわけです。そんな子どもを普通の病院で診てもらおうとしても、断られることが多いのです。それでも診てくれるこの女医さんも、やっぱり訳ありですけど・・。厳しくも優しい人です。

更には恋人のような存在でもあるレストラン経営者の女性。さり気ない一言で花咲を助けてくれます。でも多くは聞かず、語らず・・でクールだけど優しい人。


そんな女性たちに支えられながら探偵業も続ける花咲。暴力団事務所に連れ去られた少年を助け、家出した少女を探す・・という比較的楽な仕事を始めたはずが、気づけば殺人事件にまで発展して花咲自身にも命の危険がせまることに・・。

次々と起きる事件に目が離せなくなりました。


子どもたちの国籍の問題とか、裏の世界で働きながら子育てをする外国人女性たちの問題とか、社会問題も取り上げられていて、考えさせられる場面もたくさんありました。


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2011年04月26日

柴田よしき「水底の森 下」

水底の森 下

 柴田よしき 著
 「水底の森 下」
 (文春文庫)



逃げ続ける風子の容疑は高まっていくばかり。所轄刑事・遠野要は風子の過去を知る人物たちから話を聞き、彼女の波乱に満ちた半生を知る。犯人は本当に彼女なのか?そして、遠野要にも衝撃の展開が・・。


ページ数の多い、本当に長い物語でした。

でも読んでいる間は気付かないような長さ。読み終わって初めて「長かったな〜」と。

きっと、風子の人生をずっとそばで見ているような感覚になるからだろうとは思いますが。それほど彼女の人生は重たかったです。

幼い頃から父親に恨まれ嫌われ捨てられた彼女。そこからの人生は誰かに頼り、誰かの人生に深く関わり、利用され、翻弄され、自分という物をほとんど持たずに生きている感じでした。

誰かの人生に深く関わる割には、自分で心の底から愛していた男性はただ1人・・という悲しい過去。

“魔性の女”と呼ばれがちな女性ですが、そんな言葉で片付けるには重たすぎ、まじめすぎ、まっすぐすぎる女性。


ミステリーなので、事件を解決していくわけですが、途中からもうそんなことはどうでもいいような感覚がしてくるくらい、風子の人生に深く関わってしまう感じがしました。

そして、遠野要。彼のことは私には理解できませんでした。あまりにも唐突に狂っていったように見えて・・。人はそれだけ簡単に落ちることができるのか?と思うと怖い気がしました。


ずっとそばで風子の人生を見てきたわけですが、共感できたか?と言うと、実は全くできなかったんですよね・・。

何度も「もっと強くならなきゃ!自分の意志を持って!」と叫びたくなるくらいもどかしい気持ちがして・・。

きっと、せめて一度でも死ぬほど人を好きになったことがある女性や、誰かの人生を変えるほど深く関わったことのある人なら共感できる所もあるのかもしれない・・と思います。

私にはちょっとわかりにくい、難しい感情がたくさん書かれていた作品でした。


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2011年04月25日

柴田よしき「水底の森 上」

水底の森 上

 柴田よしき 著
 「水底の森 上」
 (文春文庫)



あるアパートの一室で、顔を潰された死体が発見された。その部屋の住人・風子は行方不明になっていた。遠野要ら所轄刑事たちは、風子の行方を追う。殺害されていた男性は誰なのか?風子の行方は?


殺人事件の起きた現場(風子の部屋)では、なぜかシャンソンのテープがエンドレスで流れていました。隣人が不思議に思って覗いた所、死体があった・・というわけです。

死体発見の少し前に買い物していた姿を目撃されて以来、忽然と姿を消した風子。

重要参考人として遠野刑事たちは行方を追います。

行方を追うために、風子の半生を探り始めた遠野刑事と竹中刑事。


彼らに様々な関係者から語られる風子の半生。そして、風子自身が回想という形で語られる半生。時間が戻ったり進んだりしながら語られる風子の半生をすぐそばに居て見ているような感じがしました。

まだまだ点がいっぱいある状態で、一見、結びつきそうにない事柄たちですが、これが下巻でどうやって結びついていくのか?

そして、どうやって事件は、この物語は終焉を迎えるのか?

色々と、展開が楽しみな状態です。


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2010年10月09日

柴田よしき「朝顔はまだ咲かない」

柴田よしき著 「朝顔はまだ咲かない小夏と秋の絵日記−」

(創元推理文庫)


あたしの名前は鏡田小夏。高校時代にあったいじめから“ひきこもり”になったあたしにとって、母親と二人で暮らすマンションが唯一の居場所。そんなあたしを訪ねてくれるのは親友の宮前秋。いつも日頃出会った不思議な出来事を話してくれて、あたしと外の世界を結ぶ役目をしてくれている。少女二人の青春ミステリ連作集。


“ひきこもり”か〜。私はそんな経験ありませんし、周りの人が・・ということもなく縁のない問題でした。

この本を読んで“ひきこもり”にも色々タイプがいたり、事情も違ったりすることがわかりました。親のせいではない(と言いきれない場合もあるでしょうけど)こともわかりました。

それに、こんなネットが発達した時代じゃなかったら“ひきこもり”ということは起きないのかもしれないな〜と思いました。小夏が言うには「ひきこもりでも世の中と少しでも繋がっていたいと考える人は多い」とか。もし、電話もネットもなければ、自分で家を出るしかないわけで・・。

だからこそ、ここ数年で急激に増えたんでしょうけど。

小夏は、まだマシな方(こんな言い方が良いのかわかりませんが)で、人が嫌いなわけでも外が怖いわけでもないんです。だから少しずつ外にも出られるようになっていきますし、人との関わりもまだもっているわけです。

小夏が受けた“いじめ”は結構ひどいと思います。私の時代では無かったような感じバッド(下向き矢印) そりゃ学校も辞めるわね・・と思えるくらいの物でした。

しかも「ある日突然」というのが辛い。きっかけとなった事件は「窓を閉めて」という話に出てきますが、全く意味がわからない。なんで小夏がターゲットになったのか。子どもって本当に残酷です。

19歳という微妙な年齢の二人の少女。将来も不安だし、いつまでも親に頼っていられないし、常に不安定な感じ。でも、親友がそばにいてくれる・・二人の関係は言いたいことを言い合って、悩みを相談して、とても羨ましい関係。

こんな関係を築けるような人に出会えることは本当に幸せだろうな・・と思いました。


短編の一つ一つに日常に起きた謎があって、それを小夏が解決する・・という形で話は進みます。

そして、短編を始めから読んで行くと、小夏が、そして秋が少しずつ変わっていく様子、大人になっていく様子がわかります。

最後に「新学期−エピローグ−」で小夏の生活環境が大きく変化し、大人として一歩進んでいく。

とても素敵な構成だと思いますし、最後まで楽しく読めました。


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今読んでいるのは・・
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