2015年03月09日

横山秀夫「64(ロクヨン)」上下

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  横山秀夫 著
 「64(ロクヨン)」上
 (文春文庫)


元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、<昭和64年>に起きた誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう、組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。−裏表紙より−

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 横山秀夫 著
 「64(ロクヨン)」下
 (文春文庫)


記者クラブとの軋轢、ロクヨンをめぐる刑事部と警務部の全面戦争。その狭間でD県警が抱える爆弾を突き止めた三上は、長官視察の本当の目的を知り、己の真を問われる。そして視察当日、最大の危機に瀕したD県警をさらに揺るがす事件が―。驚愕、怒涛の展開、感涙の結末。ミステリベスト二冠、一気読み必至の究極の警察小説。

久しぶりの横山秀夫作品。しかも、新作! 私が最後にこの作家さんの作品を読んだのは、調べてみると3年半くらい前の「クライマーズ・ハイ」の再読でした・・。

あまりにも久しぶりでうれしすぎて勿体無くて、じっくり時間をかけて読みました。でも、続きが気になって次々ページをめくってしまう・・。相変わらず読み応えのある作品でした。

D県警シリーズも久しぶりです。二渡も登場して、シリーズを読んでいる人にはたまらない作品になっています。相変わらず底の知れない、謎の多い人物で、特に彼のことがお気に入りというわけでもなかったのに、懐かしい気持ちでうれしくなりました。


この作家さんお得意の警察物で、殺人などの事件を解決するようなミステリーではありません。県警の中で起きた問題を解決すべく奔走する1人の警察官にスポットを当てて、話が進んでいきます。

中心となるのは、三上という広報官。「広報官」という肩書の人にスポットを当てる所がこの作家さんらしいですね。警務部に属する部署なのですが、県警内にある記者クラブと警察とのパイプ役になります。元刑事の彼は、広報が記者と仲良くすることを良しと思わない刑事の気持ちがよくわかるので、その経験を活かしてどちらともうまく関係を築いていました。

ところが、一人娘が行方不明になるという出来事をきっかけに、彼の中で何かが壊れてしまい、刑事からは疎まれ、記者からは吊るし上げにされ、いままで順調だった関係がどんどん壊れていきます。

そんな中、突然、警察庁長官がD県警の管轄で昭和64年に起きた誘拐殺人事件の視察に来ることが決定し、記者クラブからの質問も受け付けなければならない状態に。しかも、遺族からは「受けたくない」と拒絶されてしまいます。更に、この長官視察には実は裏の目的があることが判明して、刑事部からの反発まで起きてしまい、三上はあちこちから糾弾されてしまいます。

こんな感じで、次々と巻き起こるD県警内のいざこざや問題を、三上がどう考えて悩んで解決させていくかが描かれているのですが、刑事部に戻りたい気持ちと、今の仕事をやり遂げなければ!という気持ちとの間で揺れる彼の心情が読んでいて痛いくらい伝わってきて目が離せない状態になりました。


それにしても、警察って変わった組織だなと改めて思いました。一般の会社でも、部署同士で多少のライバル心なんかはあるでしょうが、ここまで派閥というか自分の部署を守るためなら何でもする!みたいな考えが理解できませんでした。

刑事部でも警務部でも、同じ県警じゃないか!とは思えないんですね。ライバル心を越して、敵対心むき出しな彼らの行動に呆れる部分もたくさんありました。自分の会社だから守りたい!という気持ちはわかるんですけどね・・。


上下巻でたっぷり描かれたD県警の事件。読み応えも十分で、最後まで楽しめました。次の作品はいつ書いてくれるのか?筆が遅い作者ですから、の〜んびり気長に待つことにします。


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2011年08月30日

横山秀夫「クライマーズ・ハイ」

久々に再読しました。横山秀夫作品、久しぶりですぴかぴか(新しい)

クライマーズ・ハイ

 横山秀夫 著
 「クライマーズ・ハイ」
 (文春文庫)



1985年、群馬県御巣鷹山に航空機が墜落した。この未曽有の大惨事に地元紙は事故の様子を伝えるべく取材を始めた。この事故の全権デスクを命じられたのは、遊軍記者・悠木。彼はその日、衝立岩に登る予定だった。共に登るはずだった同僚の安西は病院に運ばれていた。安西に何があったのか?悠木は彼のことが気になりながらも、全権デスクとして新聞を作り続けた。


この航空機事故のとき、私は中学生でした。テレビでその映像を見てぞっとしたことを覚えています。生存者が救出される場面も覚えています。「よく無事でいてくれた・・」と他人ながら思いましたし、周りに生存者がいない状態で救助を待つ気持ちはどんな物だろう?とも思いました。心にどんな傷を残したのか?と思うと泣けてきて仕方ありませんでした。

その事故について書かれているということで、読むのは辛いだろうと思っていたのですが、展開の早さ、そして事故を記者の立場から見るという自分とは違う目線だったので、一気読みでした。


本来なら通るはずもない場所を通って偶然、群馬県に墜落してしまった・・ということで「もらい事故」なんてことを言い出す記者もいるほど、あまりの大事故に浮足立っていた地元の新聞社。

悠木は、数年前に部下を死なせてしまったことで、どこにも属さず遊軍記者として新聞社にいました。気楽な立場だったはずが、今回の事故では全権デスクに指名されてしまいます。

それを引き受けたときは熱い気持ちをもっていた彼ですが、上司や販売部からの圧力に屈してしまう所が何度もあり、せっかく現地で取材してきた部下の記事を載せなかったり、無意味に当たり散らしたり・・とかなり弱い人間だということがどんどん明らかにされます。そのくせ、必死になって上司に立ち向かっていく・・でも結局怒鳴り散らしただけで、何もできない。

こういう話で、主人公はいくら頼りないように書かれていても、きっといずれは大活躍して、ヒーローになるんだろうと予想しがちですが、そうならないのがこの作家さんのすごい所です。等身大というか、現実によくいる普通の人を書いているんだな・・と。だから話に引き込まれてしまう。


衝立岩というのは、登山家にとっても難所といわれる所だそうで、事故も多いこの場所を登るのは、初心者の悠木にとってとても覚悟のいることでした。そんな悠木を見て、安西は「大丈夫」と励まし、共に登ることを誓います。ところが、当日になって悠木は全権デスクになってしまい、安西は倒れて病院へ・・。

安西が倒れた背景には、新聞社の汚い部分が隠されていて、彼も多くの悩みや苦しみを抱えていたことがわかります。


話は、17年後に悠木が安西の息子と共に衝立岩に挑戦しながら、事故直後のことを思い出す・・という形で進みます。そのときは必死すぎてわからなかったことも、時間が経って冷静に見つめることができて、改めて振り返るわけです。

最後には泣きそうになる部分もありました。そして「命」や「生きる」ということを考えさせられる作品でした。


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2010年05月20日

横山秀夫「影踏み」

横山秀夫著 「影踏み

(祥伝社文庫)


かなり前に読んでいたのに感想を書いていなかった作品です。久しぶりに読んでみたくなって、寝る前にコソコソ読みました。

忍び込みのプロ・真壁修一は、刑務所を出所してすぐ、ある家に向かった。そこは二年前に忍び込んだ稲村家。逮捕直前に忍び込んだ真壁は夫婦の寝室で殺意を感じたのだ・・。事件は何も起こっていなかったが、気になった真壁は秘密を探り始めた−「消息」他「刻印」「抱擁」「業火」「使徒」「遺言」「行方」計7編収録


初めて読んだときは、一瞬とまどいました。修一には双子の弟がいるのですが、それが語りかけてくるんですよね・・。修一の中耳に存在するという啓二。この意味がよくわからなくて、慣れるまで時間がかかりました。

火事で弟を亡くした修一は、遺体を見て必死で弟に呼びかけ、魂を自分の元へ呼び寄せたのです。お陰で、死んでからも一緒にいられる・・・・・。

双子の気持ちはよくわかりませんが、修一いわく「双子というものは、互いの影を踏み合うようにして生きているところがある」のだそうで、啓二が死んだとき「一人・・独り・・。自分の影を失うということだった」と思い、呼び寄せたわけです。しかも火事の原因が・・もうやだ〜(悲しい顔) 確かにこのまま別れるのは辛かっただろうと思います。

双子の前に久子という女性が現れ、双子で取り合う(啓二が生きているとき)ことがありました。久子とは出所後に再会するのですが、修一は啓二の手前、積極的になれず、もどかしい関係が続きます。

双子の不思議な関係だけではなく、泥棒の手口も結構わかる・・かも? 忍び込みやすい家ってあるんだね〜・・なんて妙に感心したりしてあせあせ(飛び散る汗)

ひとつひとつの話は、修一のノビ師(人が寝ている夜中にこっそり忍び込む泥棒)としての日常で起きる事件を双子(他人から見たら一人なんですが)で解決していく形になっています。

何気なく書かれている文章や事柄、色んな細かい場所に解決へのヒントが隠されていて、解決したときに「あ〜、なるほど」とスッキリできる感じです。こういう所が横山作品らしいと言えるのかも?

クールな修一と子どもっぽくて情熱的な啓二、二人の対比も面白いです。

最後はちょっと涙・・。全体的に暗い印象ではありますが、話の内容的に仕方ないと思いますね。警察小説のイメージが強い横山秀夫ですが、こういうのも良いかな?と思います。


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2010年04月24日

横山秀夫「看守眼」

横山秀夫著 「看守眼

(ジョイ・ノベルス)


R県警の事務職員である山名悦子は、機関誌の編集作業中に、定年退職者全員が書く回想手記が1人分足りないことに気づく。30年近く留置場の看守として働いてきた近藤宮男の原稿だった。自宅へ催促に行くと、妻が「捜査に出ている」と言う。−「看守眼」他「自伝」「口癖」「午前五時の侵入者」「静かな家」「秘書課の男」計6編収録


警察に勤める人の中でも、地味な存在である事務員と看守の話です。

看守は当然、捜査権は無いので普段一切捜査には関わらない立場なのですが、看守には看守の眼があり、ベテラン看守だった近藤はどうしても気になる容疑者がいたため、定年退職後に独自に捜査を始めます。

プロとしての誇りのようなものが感じられて、かっこよく見えました。

自伝」は、大きな会社の社長である男性の自伝を書くことになったライターの話。気難しい社長は今まで他のライターが気に入らず次々首にしてきたが、一人だけ認めてくれた。その理由は?意外な結末に驚かされます。

口癖」は、調停委員をしている女性の話。離婚調停に訪れた女性を見知っていたため、様々な葛藤や駆け引きが行われます。

午前五時の侵入者」は、S県警のホームページにウイルスが送られてきた話。情報管理課に勤め、ホームページ作成に携わる男性が気づいてすぐに対処したのですが・・。警察内部の確執も書かれています。

静かな家」は、新聞に書いた記事をきっかけに事件が起きる話。「センスがない」と自分を卑下している新聞記者が何とかして認められようとがんばるのですが、空回りしてしまい、事件に巻き込まれてしまいます。

秘書課の男」は、政治家の秘書としてかわいがられた男の話。「オヤジ」と呼んで尊敬し、支え続けた秘書の男が、自分の犯した失態をきっかけにオヤジから嫌われてしまいます。


色々な職業についている人たちが、それぞれの仕事で悩みや誇りなどをもっていて、それが小さな出来事によって事件へと発展していく話が書かれています。

話は短くて、読みやすいです。


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2009年12月05日

横山秀夫「真相」

横山秀夫著 「真相

(双葉文庫)


息子を殺し、10年後に捕まった犯人の自供によって知らされた息子のもう一つの顔。知りたくなかった真相を知ったことによって変化する家族の絆−「真相」他「18番ホール」「不眠」「花輪の海」「他人の家」の計5編収録

この本は、警察関係の話ではありません。事件の当事者や家族、友人たちなど関係者の事件後の物語です。

息子の死を忘れようとしながらも犯人が捕まらないことも原因になって忘れられず、苦しんでいる家族の元に「犯人逮捕」の情報が告げられます。その犯人から語られた内容で信じていた息子の意外な一面が明かされて父親は更に傷つくことになります。二度も殺されたようなそんな気分だろうな・・としんみりしてしまいました。でも私は父親よりも娘の方に感情移入してしまったのですがあせあせ(飛び散る汗)

「18番ホール」は選挙に初めて出馬した男性の話。題名自体が「なぜ出馬するのか?」の理由になっています。選挙に出るというのは気苦労が多いというのがよくわかりますが、この男性の場合は動機が不純なので同情できない部分も多かったですバッド(下向き矢印)

「不眠」はリストラされた男性が治験薬を試すバイトをして眠れなくなった話。眠れないから夜中に出歩き、事件と遭遇してしまいます。

「花輪の海」は空手部の合宿中におぼれて死んだ学生の同級生たちの10年後の話。事故のことを知りたいと母親から連絡があった・・と聞き、同級生で集まるのですが、そこから話は展開していきます。厳しい合宿から逃れたい気持ちが引き起こした悲劇です。

「他人の家」は強盗の前科を持つ男の出所後の話。過去を隠して生きていくのですが、ネットで情報が流れてしまい、周りの人にバレてしまいます。家も追い出された男と妻は知り合いの老人に助けられます。でもそのままハッピーエンドというわけにはいかないんですよね〜。最後までどんでん返しは待っています。

一つ一つの話の展開が早く、最後まで結果がわからない状態で話は進むので、とても面白く読めました。考えさせられることも多い作品でした。



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2009年11月21日

横山秀夫「半落ち」

横山秀夫著 「半落ち

(講談社文庫)


映像化されていますから、ご存じの方も多いでしょうね。

梶警部が「妻を殺しました」と自首してきた。殺害の方法や動機などについてはスラスラと自供するのだが、殺害から自首するまでの二日間の行動を語らない。空白の二日間に何があったのか?


現職の警官が自首してきたということで、警察は大騒ぎになってしまいます。「妻殺し」ですからね・・当然ですがたらーっ(汗) それにしても自分たちの保身に必死な警察にあきれます。

強行犯係の刑事・検事・記者・弁護士・裁判官・刑務官・・6人の視点で、この事件が語られています。それぞれの思惑や感情、人生も巻き込んで話は進んでいきます。

空白の二日間、何をしていたか?上層部は「妻の死を嘆いて自分の罪を悔いて自殺しようとしたが死にきれず悩んだ二日間」ということで片を付けたいわけですが・・パンチ 空白の二日間が埋まらない限り「完落ち」にならないため題名が「半落ち」なわけです。

二日間何をしていたか?はわかってみると「なるほど」という感じで、でも案外あっさりしていますが、わかるまでの周りの動きがとても面白く、視点も変化があって読みやすく、あっという間に読めました。


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2009年11月05日

横山秀夫「震度0」

横山秀夫著 「震度0ゼロ」

(朝日文庫)



この作品はあらすじを読んだ時点で、読もうかどうしようか?と悩んでしばらく買わずにいました。


阪神大震災が起きた朝、N県警本部警務課長が姿を消した。なぜ彼は姿を消したのか?テレビでは阪神大震災について大々的に報道される中、N県警の幹部たちはそれぞれの思惑を胸に彼のことを調べ始める。


震災については思い出したくないので、読むのを躊躇していましたたらーっ(汗) ですが、ほとんど震災については出てこないという話を聞き、改めて買って読んでみました。

確かに出てきません・・。逆に腹立たしくなるほどに。

テレビでは報道されていて(だから、被害状況だけはずっと書かれているんですもうやだ〜(悲しい顔))、関係ない県とはいえ警察として何かすべきなのでは?と思うのに、それを言い出すのは一部の人だけ。ほとんどの人が「それよりも警務課長を探せexclamation」なんですよねバッド(下向き矢印) あきれるというか、情けないというか・・。もちろん作り話ですけど。現実だったら困る・・

警察関係者の思いとか考えがわかるという意味ではなかなか面白いと思えましたが、まだちょっと読むには早かったかな?とも思いました。

たぶん、何年か経たないと再び読むことは無いと思います。横山さんの作品では珍しい・・ 震災に関係ない方には面白く興味深く読めると思いますよわーい(嬉しい顔)


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2009年10月26日

横山秀夫「第三の時効」

横山秀夫著 「第三の時効

(集英社文庫)


横山秀夫の作品はほぼ全部好きなんですが、中でもこの本は一番のお気に入りです。


未解決の殺人事件が時効を迎える。事件発覚から15年で迎える「第一の時効」、時効期間が停止する国外滞在期間を入れた真の時効が「第二時効」。更に刑事たちにも知らされていない「第三の時効」があるという。「第三の時効」とは何か?未解決の事件を解決するために仕組まれた罠とは?−「第三の時効」他「沈黙のアリバイ」「囚人のジレンマ」「密室の抜け穴」「ペルソナの微笑」「モノクロームの反転」の6編(計7編)収録。


F県警捜査一課強行犯係のメンバーが活躍する話です。強行犯係は1班〜3班あり、それぞれ精鋭の刑事たちで編成されていて、お互いライバル視しています。

第三の時効では2班が中心となって活躍します。班長の楠見は公安上がりの冷血な人で、現場の刑事(部下)たちには一切説明をせずに一人で動き、緻密な罠をしかけます。ハッキリ言ってムカつく人ですが、この緻密な罠には驚かされますし、最後まで目が離せない展開になっています。「え〜exclamation そういうことexclamation&question」という結末です。

沈黙のアリバイ」は1班の話。取調べを担当する刑事と容疑者の駆け引きが面白いです。これは初めから犯人がわかっているのですが、罪を認めない犯人をどうやって落とすのか・・が書かれています。

囚人のジレンマ」は強行犯係の3つの班をまとめる立場の田畑課長の話。個性的で精鋭部隊でライバル視し合っている3つの班をまとめるなんて想像しただけでも大変な仕事ですバッド(下向き矢印) 上司らしく上から言ってみても「あっそ」って態度の3人の班長たちに頭を悩ませる課長に同情してしまいます・・。これも思わぬ展開に驚かされますexclamation×2

密室の抜け穴」は3班の話。密室だったはずのマンションから逃げた容疑者。誰に責任があるのか?会議が行われ、そのやりとりで謎が解明していきます。

ペルソナの微笑」は1班の矢代刑事の話。幼い頃、犯人に利用され誘拐事件の手伝いをしてしまった過去があり、心に傷をもっている矢代が、同じ過去をもつ少年を捜査することになり・・。

モノクロームの反転」は1班と3班の合同捜査の話。ライバル同士、相手に出し抜かれないために策を弄するのですが、最終的に協力(?)して犯人を逮捕します。

どの話も次々と謎が出てきて、展開も速く、読むのが止められない状態になりました。


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2009年10月22日

横山秀夫「顔 FACE」

横山秀夫著 「 FACE

(徳間文庫)


似顔絵婦警の平野瑞穂は「似顔絵の改ざん」という過去の傷が癒えないまま復職している。「いつかまた似顔絵を描きたい」という強い思いをもちながらも、与えられた部署でひたむきに職務をこなしていく。


「陰の季節」の中にも登場した平野瑞穂を主人公にした短編集です。男社会で必死に生きていく主人公に思わず感情移入してしまいました。

「だから女は使えねえ!」・・あり得ない言葉です。思わず出た言葉なのでしょうが、これは言ったらダメでしょうむかっ(怒り) 「女だから」とか「男だから」とか関係ないときにそれを言われたらかなり腹が立ちますちっ(怒った顔) 男社会に苦労していない私が言うのも変ですけど・・あせあせ(飛び散る汗)

魔女狩り」は新聞記者にネタを流した内部犯を探し出す話。似顔絵を描けなくなった瑞穂は広報室に配属されます。その上司がまたひどくて瑞穂が配属されるとわかったときに「一人減と同じだ」と言っていたとか・・。そんな上司を見返すために必死で内部犯探しをし始めます。

決別の春」は電話相談室での話。新設された電話相談室への転属が決まり、初めに受けた電話の相手の相談に懸命にのる瑞穂ですが、意外な結末が待っています。

疑惑のデッサン」は瑞穂の後任として似顔絵を描いている後輩婦警の話。瑞穂に対してライバル心を燃やしている後輩はすごく突っ張って見えますが脆い面もあります。

共犯者」は銀行強盗の通報訓練と同時に起きた本当の銀行強盗事件の話。一部の限られた人にしか知らされていない訓練の日時。それとほぼ同時に起きた本当の事件。「誰かが漏らしたのでは?」と警察内部にも捜査が行われ、手伝いをしていた瑞穂も監察による事情聴取が行われてしまいます。

心の銃口」は拳銃の話。拳銃に恐れを抱く瑞穂と射撃を得意とする女性警官、拳銃を利用した男性警官のそれぞれの心の動きが描かれています。

本編では全て瑞穂の目線でストーリーが展開していくのですが、プロローグとエピローグは他の人から見た瑞穂の姿が書かれています。婦警に憧れて働き始めた瑞穂が苦労をしながらも最後にはまた希望に満ち溢れた様子に見えた・・・良い展開ぴかぴか(新しい)だな〜と思います。

作者が男性なので、細かい所では「ちょっと違う・・たらーっ(汗)」と思う点もありますが、ここまで書けるのはやっぱりすごいです。



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今読んでいるのは
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2009年10月13日

横山秀夫「動機」

横山秀夫著 「動機

(文春文庫)



警務課の発案で始めた警察手帳の一括保管。その手帳30冊が盗まれてしまった。当直の警官がいる前でどうやって手帳は盗まれたのか?−「動機」他、「逆転の夏」「ネタ元」「密室の人」の3編(計4編)を収録。


あらすじを読んだだけですごく興味をもちました。「絶対に面白い!」・・この気持ちは裏切られませんでしたぴかぴか(新しい) さすが!って感じです。

警務課と刑事課の因縁というか、ライバル心がむき出しになって、読み応え十分でした。刑事であることの誇りを強くもっている刑事たちと、その誇りが負担になるときもあるのではないか?という警務課員。「たかが手帳」というわけにはいかない・・。

改めて警察官の大変さというか、苦労やストレス・プレッシャーなんかを感じました。生半可な気持ちではできない職業ですよね。

「逆転の夏」は18歳の女性を殺害した男の人生が描かれています。人を殺しておいて「自分は悪くない」と思うような男性ですし、自分の人生が殺人によって狂わされたからといって「自業自得むかっ(怒り)」とか思ってしまいますが、少し考えさせられる場面もありました。あまり書くとネタバレになるので表現が難しいのですがふらふら

「ネタ元」は新聞社という男性社会の中でもがく女性記者の話。こちらの方が同じ女性としては感情移入しやすいかな?ただ、私はここまで出世欲とか無いので微妙ですけど・・。

「密室の人」は裁判官の話。裁判中に居眠りをしてしかも妻の名前を寝言で言ってしまう。本来あってはならない居眠りですが、結構あることらしく、そのことにびっくりでした。居眠りをしただけの事柄から複雑な人間関係へと発展していきます。

どの話も読みやすく、面白い作品でした。



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これから読もうとしているのは
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2009年09月16日

横山秀夫「ルパンの消息」

横山秀夫著「ルパンの消息」 (光文社文庫)

横山秀夫さんがデビュー前に書いた作品だそうで、そうは思えないほどの完成度に驚かされます。


一本のタレ込み電話から、15年前に起きた自殺が殺人事件の疑いでよみがえる。当時高校生だった3人が立てた「ルパン作戦」というテスト用紙を盗み出す計画、更には3億円事件も関わってきて話が進んでいく。時効まで後わずか。ほとんど証拠の無い状態で刑事たちがそれぞれの技術を駆使して自白を引き出していく。


ドラマ化された物を先に見ていたので、結末も知っていることだし、きっと話しに入り込めないだろう・・と思いながら読み始めたのですが、気づいたら集中して入り込んで読んでいましたぴかぴか(新しい) 結末を知っていても充分楽しめる作品でした。

取調べ室でダラダラと続く容疑者たちの告白。まるでその場にいるかのように話が進んでいき、校長室に忍び込む様子を語っているときには読んでいる私までドキドキしてしまいました。

刑事たちもそれぞれのやり方でうまく話を引き出し、自白を促していくのですが、その個性も細かく描かれています。

話が進むにつれて、謎も増えていき「どうなっていくのか?」と目が離せない展開になっています。

これは、途中で読むのをやめにくい。そんな一気読み必至の作品です。
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2009年09月11日

横山秀夫「臨場」

横山秀夫著 「臨場」(光文社文庫)
 

少し前にドラマ化されたのでご存知の方も多いかもしれませんが。


主人公の倉石は検視官という職業。事件が起きたら現場へ駆けつけてその死因を特定する仕事。倉石は、死体の状況だけではなく周りの状況も全て見て死因を突きとめる。


ドラマほど変人ぶりはひどくありませんが、それでも自分の信念を貫く姿勢は、ちょっと周りから煙たがられる存在かもあせあせ(飛び散る汗)

その仕事ぶりは完璧で、捜査の方向を見誤りそうになっているときも正しい方向へ導く。・・寡黙で仕事のできる人、素敵です黒ハート わーい(嬉しい顔)

短編集になっていて、中には考えさせられる事件(介護や心中、自殺等)もありますし、検視官というあまり聞き慣れない職業のことも知ることができる。そんな作品です。

今、読んでいるのは
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2009年09月09日

横山秀夫「陰の季節」

横山秀夫著 「陰の季節」 (文春文庫)


私がミステリーを読み始めたのは、海外の作家さんが書いている作品だったのですが、日本の作家さんが書いている作品を読むきっかけになったのがこの本でした。(これより前に読んだ日本のミステリーもあったのですが、私には合わずバッド(下向き矢印)

しかも、テレビドラマで見てから読んだというミーハーな状態ふらふら

ドラマはドラマで面白かったのですが、原作は話の進め方が違っていてそれはそれで面白く、「この人の他の本も読んでみたい!」と思う作品でした。


D県警の二渡警視は総務課の人事を担当する警察官。警察OBの一人が人事に反発して天下りポストから移動することを拒否する。一人が人事に従わないと警察組織全てが崩れてしまう・・。なぜそのポストに固執するのか?解明にのりだす。表題作を含む短編集。


ミステリーというと、事件が起こってそれを警察やその他主人公たちが解決していく・・というパターンですが、この作品は警察内部の話で、しかも「捜査一課」などではなく「総務課」という一般人にはあまり馴染みのない部署の話なんです。

警察の人事ってこうなってるんだ〜、天下りって・・なんて、警察内部の事情がわかって面白いんでするんるん

警察の内部(というか仕組み?)なんかが好きな人や興味ある〜っていう人には楽しめる話だと思います。

今、読んでいるのは・・
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