2022年02月15日

今野敏「キンモクセイ」

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 今野敏 著
 「キンモクセイ」
 (朝日文庫)


法務官僚殺害の容疑者として、アメリカ人の殺し屋の可能性が浮上。警察庁警備局警備企画課のキャリア・隼瀬順平へ、専任チームでの対処を上司から命じられるが・・。「キンモクセイ」とは何か?誰が味方で敵なのか?警察インテリジェンス小説の傑作。−裏表紙より−


インテリジェンスか〜。確かに小難しい内容でした。なので、細かい所は理解出来ていたか疑問ではありますが、エンタメ性もあったので最後まで飽きずに読めました。

アメリカ人の殺し屋なんてものが出てくる時点で、これはスピード感のある小説だろうと予想できますね。そんな予想をしていたら、意外と殺し屋に狙われるようなことはありませんからちょっと肩透かし状態になります。

でも、誰が味方で誰が敵なのか、どうしてこんな展開になってしまうのか、など疑問が次々と出てきて、主人公と一緒に逃げ回っているような気持ちになりました。

謎の言葉「キンモクセイ」も気になりますし。


読み終わってみたら、何でそんなことで殺し屋なんかが出て来るのか理解できませんし、そこまで重要な秘密なのか?と思ってしまいました。

国家機密というにはあまりにもお粗末というか、そんなこと国民は何となく起きるんじゃないかと感じているし、今更殺人を犯してまで隠すことだろうか?と思います。

実行するとなったら確かに国民には知られたくないでしょうが、まだまだ計画の始めの段階で、もしバレてもいくらでも言い訳が出来そうなのに、事を大きくしてどうする?という感じでした。

そう思うのは、私の理解力が低いせいかもしれませんが。


ものすごく盛り上げた割には、最終的にあっさり終わってしまった感じもあり、そこも残念でした。必死で逃げ回っていたのは何だったんだ?

最後にもう一度どんでん返しが欲しかったです。


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2022年01月20日

今野敏「継続捜査ゼミ2 エムエス」

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 今野敏 著
 「継続捜査ゼミ2 エムエス」
 (講談社文庫)


警察学校校長を最後に退官した後、女子大教授となった小早川は未解決事件を取り上げる「継続捜査ゼミ」を主宰する。5人のゼミ生が次のテーマを「冤罪事件」に決めるなか、学園祭でのミスコン反対運動を推進する女子学生・高樹晶と小早川が議論を交わした後、高樹がキャンパスで襲撃された。傷害容疑で任意同行を求められる小早川。疑いが晴れない教授のため、ゼミ生たちが推理と行動を始める! 女子大を舞台にした人気シリーズ最高潮!!−裏表紙より−


シリーズ2作目は、継続捜査のことよりも、小早川が傷害事件の容疑者になったことを重点的に描いています。

学園祭が近づく大学。学生たちも準備に忙しく、空気も浮足立っている感じです。でも小早川のゼミ生たちは意外と変化がなく、いつも通りに生活しているようです。


学園祭の目玉となるのが「ミスコン」です。ミスコンなんて今もあるんだと思っていたら、やはり反対派がいるようで、ビラを配ったり演説したりして活発に動いていました。

小早川は「別にやっても良いんじゃない?」というスタンスだったので、反対派を先導する学生と議論をすることになりました。お互いに意見をぶつけ合った後、その日だけでは決着がつかなかったため、お互いの言い分を改めて考えるということで一旦別れました。

その後すぐに、その学生が何者かに襲われ、病院に搬送される事件が起きます。当然、直前に被害者と一緒にいた小早川が疑われます。事件に気づいて首を突っ込んでしまったせいもあるのですが、何を言っても容疑が晴れないどころか、小早川の言動が全て裏目に出てしまい。疑いが濃くなる事態でした。

表立って動けない小早川に代わり、ゼミ生たちが色々と調査を始めます。


ゼミの内容は冤罪事件を取り上げていました。ただ、そちらはあっさり終わりました。でもあっさりではありましたが、腹が立つ展開で、これはもう少し深く調べて欲しかった気はします。


小早川の件は、警察の動き方が気になりました。とりあえず誰も亡くなっていないわけで、ここまで真剣に捜査するものなのか?と思いましたし、何よりも自分の立場だけでここまで偏った捜査の仕方をするものなのか?と疑問でした。

現実世界ではもっと公平な見方をしてもらいたいものです。きっと実際にはこんなことはないと信じたいです。


<継続捜査ゼミ>
「継続捜査ゼミ」


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2021年08月30日

今野敏「炎天夢」

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 今野敏 著
 「炎天夢」東京湾臨海署安積班
 (ハルキ文庫)


東京湾臨海署管内で強盗事件が発生。強行犯第一係は、交機隊小隊長・速水の協力を得て、夜明けを待ち家宅捜索を開始、犯人の身柄を確保した。しかし、続けざまに無線が流れ、江東マリーナで死体が浮かんだという。被害者はグラビアアイドルの立原彩花と判明。近くのプレジャーボートで被害者のものと思われるサンダルが見つかった。ボートの持ち主は、立原が愛人との噂がある芸能界の実力者だというが……。芸能界を取り巻くしがらみに、安積班が立ち向かう! ドラマ化常連の大人気シリーズ待望の文庫化。−裏表紙より−


前作は短編でしたが、今作はまた長編に戻りました。お陰で読みごたえ十分です。ただ、長編になると事件も大きくなり、捜査本部が出来るせいで安積班がバラバラに動くのが残念です。

それぞれ本庁の人間と組んで捜査に当たりますが、それはそれで活躍はしているようです。でもやはりメンバー同士の絡みが読めた方が個人的には嬉しいのですが・・。

捜査本部になると、人数が増える分、活躍の場所が少ない気がします。須田は相変わらず鋭い観察力で安積だけではなく、捜査本部でも意見が採用されがちですし、村雨はいざという時に安積の良い相談相手になってくれますが、それ以外のメンバーが目立たない。そこがどうしても残念です。


今回の事件の被害者はグラビアアイドル。でもそこまで有名ではなく詳しい人は知っているという程度の人物でした。グラビアアイドルが殺されたということよりも、彼女が芸能界の大手事務所の所長の愛人ではないか?ということの方が大きな問題となりました。愛人との仲がこじれて殺害したのではないか?という容疑がかかったわけです。

まあ当然考える動機ですよね。相手が業界の大物ということで、安積警部補が事情聴取に訪れます。高圧的な態度をとる人が多い警察官ですが、彼はとても紳士的に対応するので、容疑者も比較的素直に話してくれることが多いようです。業界の大物と聞いたらかなり怖そうなイメージになりますが、聞き出すのがうまい安積係長のお陰で好印象になりました。


このシリーズの醍醐味である、警察内の人間関係の問題ももちろんしっかりと描かれています。今回は捜査本部内での色々な人間関係でした。捜査を指揮する人物の思惑や立場、そして安積係長の捜査本部内での立ち振る舞いなど、読み応えのある内容でした。

表面だけ見ていたらきっと彼は自信満々で意見を変えない真っすぐな警察官だと思うのでしょうが、内側では色々悩んでいたり、ものすごく周りに人間の思惑などを考慮して発言していたりする、迷いも多い人だとわかります。そこが人間臭くて好きな所です。


シリーズはまだまだ続きそうです。今度はまた安積班だけの話も読みたいです。


<安積班シリーズ>
「二重標的」
「虚構の殺人者」
「硝子の殺人者」
「警視庁神南署」
「神南署安積班」
「残照」
「陽炎」
「最前線」
「半夏生」
「花水木」
「夕暴雨」
「烈日」
「晩夏」
「捜査組曲」
「潮流」
「道標」


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2021年03月29日

今野敏「任侠浴場」

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 今野敏 著
 「任侠浴場」
 (中公文庫)


日村誠司が代貸を務める阿岐本組は、小さいながらも人情味溢れる昔ながらのヤクザ。人望の篤い親分・阿岐本雄蔵の元には一風変わった経営再建の相談が次々持ちかけられる。今度の舞台は古びた銭湯!? 乗り気な組員たちの一方、不安でいっぱいの日村。こんな時代にどうやって・・。そして阿岐本組は銭湯の勉強と福利厚生(?)を兼ねてなぜか道後温泉へ―。大好評「任侠」シリーズ第四弾!−裏表紙より−


出版社、学校、病院に続いて、今回は銭湯。なるほど、思いつかなかったですが、納得の業界です。

親戚筋に当たる同業者から持ち込まれた銭湯の立て直し。明らかに胡散臭い話なのに、妙に乗り気な組長。それを見て胃が痛くなる代貸・日村。いつもの構図です。このシリーズのファンとしては「お!始まった始まった!」と嬉しくなってしまうのですが、日村は大変です。

銭湯を立て直すにあたり、組長は温泉旅行に行くことを決定します。組員もみんな連れて行こうという計画。立て直しのヒントを捜すのと、日ごろの疲れをいやす目的でした。

いつもの日村を知っている人からすれば、彼がどんな行動をするのかは想像できます。組長も当然そう思うわけで、日村を休ませるためにある行動に出ます。お陰でゆっくり出来たわけですが。

温泉慰安旅行先でのトラブルの場面もなかなか笑えました。組長、お茶目すぎです。


あるヒントを得て、銭湯の立て直しを始めたのですが、今回もものすごく基本的な所をもう一度見つめ直すという方法がとられました。組員たちも手伝いたくて仕方ない様子を見せ、普通の人なら面倒くさがるような作業も真面目に真剣にこなしていきます。

彼らの働きを見て、自分の仕事を見つめ直す銭湯の主人たち。

といういつもの展開です。


こんなに何でもうまくいくかな?という展開もいつも通りですが、このシリーズはこれが定番で、これが一番心地いいので最高の読書時間になりました。

やっぱり好きだな〜このシリーズ。


次は何を立て直すだろう?? 経営が苦しい業界、たくさんありますから、どんどん立て直していってもらいたいです。


<とせいシリーズ>
「とせい」
「任侠学園」
「任侠病院」


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2020年12月24日

今野敏「連写 TOKAGE3特殊遊撃捜査隊」

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 今野敏 著
 「連写 TOKAGE3特殊遊撃捜査隊」
 (朝日文庫)


国道246号沿いでバイクを利用した強盗が連続発生、警視庁の覆面捜査チーム「トカゲ」に出動命令がくだる。IT捜査専門の捜査支援分析センターも動員され、「黒ずくめのライダー」を捜すが、なぜか糸口が見つからない・・。犯人はどこへ消えたのか?−裏表紙より−


シリーズ第3弾です。前作を読んだのは2012年ですから、約8年前!? 覚えていないわけだ・・。このシリーズは始めから読まなくても大丈夫なので何とかなりました。

TOKAGEというバイクに乗った捜査チームの話で、バイクに乗るのが得意な警察官たちによって構成されています。とはいえ、交通機動隊とは別部隊で、普段は刑事として事件の捜査をしていて、バイクの機動力が必要な事件が発生したら、チームが集められるという部署です。

あまり表立って活動しないので、誰がメンバーなのかも秘密です(とはいえ内部の人間にはわかっています)し、制服があるわけではありません。

そんなTOKAGEチームが集められて今回捜査するのは、バイクを利用した強盗事件。

バイクに乗ってやって来て、ライダースーツの状態でコンビニ強盗を起こして、警察がやって来る前にバイクで逃走するという犯人。どうやら複数人いる様子だということで、チームもバイクで走りながら捜査します。

奇しくも強盗と同じスタイルで聞き込みにやってくるメンバーに、被害者も驚きますし、周りの人たちもおびえてしまう状況。彼らが聞き込みした方が色々細かい部分が聞けて良いということはわかるのですが、それにしても効率が悪い気がしてしまいます。


この強盗にはバイクならではの特徴があり、そのことに早く気づけたのはバイク乗りならではなのかもしれません。そして、犯人の狙いが他にありそうだということになり、警戒を強めていきます。


3作目でやっとTOKAGEチームの特徴が生かせた内容になっていました。今まではもっと活躍してほしい!と不満だったのですが。


ただ、時々はさまれる、新聞記者のゴタゴタは要らなかったな〜と。もっとチームだけの話で良かった気がします。

題名の「連写」というのは、チームメンバーの上野の能力のことで、バイクを走らせながら何気なく見ている景色を頭の中でカメラのシャッターを切るようにしながら自然と記憶出来るのです。だからこそ気づける事件解決の糸口がありました。上野くん、成長していますよ!


次作も楽しみにしています。


<TOKAGEシリーズ>
「TOKAGE 特殊遊撃捜査隊」
「天網」



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2020年10月06日

今野敏「棲月 隠蔽捜査7」

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 今野敏 著
 「棲月 隠蔽捜査7」
 (新潮文庫)


鉄道のシステムがダウン。都市銀行も同様の状況に陥る。社会インフラを揺るがす事態に事件の影を感じた竜崎は、独断で署員を動かした。続いて、非行少年の暴行殺害事件が発生する。二件の解決のために指揮を執る中、同期の伊丹刑事部長から自身の異動の噂があると聞いた彼の心は揺れ動く。見え隠れする謎めいた“敵”。組織内部の軋轢。警視庁第二方面大森署署長、竜崎伸也、最後の事件。−裏表紙より−


いよいよ大森署での最後の事件となった竜崎。変人、堅物の竜崎もさすがに大森署を去るのは寂しいようで、読者としても寂しい限りです、部下たちはよくこんな人について行ったものです。でも、正論を言ってくれるし、意見がコロコロ変わることも無いし、基本的に部下に任せてくれるのですから、まあ信頼しても当然ではあります。

きっと、次の署長に戸惑うだろうとは思いますが。


最後の事件は、竜崎の方から飛び込んでいった形になりました。鉄道と銀行が同じようにシステムダウンしたと聞いて、誰に指示されたわけでもなく自ら部下たちを動かして捜査を始めてしまいます。

普通の署長ならあり得ない話です。自分から仕事を増やすようなことをするなんて・・。

でも、警察の人ならこうあるべきだとは思います。


ただの故障であればいいと思っていたのですが、当然そうではなく・・・。伝説的ハッカーまで登場して事件は複雑化していきます。


竜崎個人としては、息子が留学したいと言い出したことでまた混乱するはめに。無駄な留学をさせる気はないので、本人を含め色んな人からの意見を聞きつつ、最終的には妻の冴子に任せつつ、これも良い具合に落ち着きそうです。


次はまた別の場所での捜査が始まります。大森署の人たちとの別れは寂しかったですが、また新たにどんな人たちと会えるのか、どんな敵にぶつかっていくのか、色々楽しみなことも増えました。

早く文庫化してほしい!!


<隠蔽捜査>
「隠蔽捜査」
「果断」
「疑心」
「初陣」
「転迷」
「宰領」
「自覚」

「去就」



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2020年08月20日

今野敏「道標」

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 今野敏 著
 「道標」東京湾臨海署安積班
 (ハルキ文庫)


東京湾臨海署刑事課強行犯第一係、通称「安積班」。そのハンチョウである係長・安積剛志警部補の歩んできた人生とは? 警察学校や交番勤務時代、刑事課配属から現在の強行犯第一係長に至るまで、安積剛志という一人の男の歴史をたどる短篇集。安積班おなじみのメンバー、村雨、須田、水野、黒木、桜井、そして安積の同期、交通機動隊小隊長・速水の若かりし頃や、鑑識・石倉との最初の出会いなど「安積班」ファンにも見逃せない一冊がここに誕生!−裏表紙より−


大好きなシリーズです。

しかも今回は、お気に入りの安積係長にスポットを当てた作品ということで、終始微笑みながら読みました。外では我慢しましたけど・・。


1編は今野敏さんのエッセー集に収録されていて既読でしたけど、他は初なので楽しめました。

警察学校時代の若かりし安積さんから始まり、交番勤務をしていた頃、刑事新人時代、そして強行班の係長になるまでのそれぞれの活躍が読めました。

安積係長本人の視点よりも、周りの人から見た班長が描かれているので、より一層かっこよさが際立つ!

昔から冷静沈着で、でも正義感が強くて熱い人。私の想像通りの安積係長がいました。


部下たちもそれぞれ思いはあるのでしょうが、係長を尊敬して信頼しているので、とてもまとまっています。

今度は係長以外の人たちにもスポットを当てて、どんな刑事人生を歩んで今の彼らがあるのか?も知りたいと思いました。


でもとりあえず、今度はじっくりと重い長編で事件の捜査を読みたいですが。


<安積班シリーズ>
「二重標的」
「虚構の殺人者」
「硝子の殺人者」
「警視庁神南署」
「神南署安積班」
「残照」
「陽炎」
「最前線」
「半夏生」
「花水木」
「夕暴雨」
「烈日」
「晩夏」
「捜査組曲」
「潮流」


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2019年12月18日

今野敏「流行作家は伊達じゃない」

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 今野敏 著
 「流行作家は伊達じゃない」
 (ハルキ文庫)


流行作家・今野敏はどう生きてきたのか―。北海道の信号のない町に生まれて五十八年。漫画家に憧れていた少年は、いつの日か詩を書き始め、ジャズと空手に出会い、そして作家への道を歩んだ。初恋の淡い思い出。高校での寮生活や大学進学での上京物語。就職したレコード会社での苦労話など・・著者の軌跡を綴った自伝エッセイ。東京湾臨海署シリーズでおなじみ、安積&速水の警察学校での青春の日々を描いた、特別書き下ろし短編「初任教養」も収録。作家生活三十五周年記念!ファン待望の一冊。−裏表紙より−


読んだという記録のために書きます。

エッセイというか、作家さんの自伝にあまり興味がないので、書下ろし短編だけ読みました。

安積係長は、学生時代から冷静沈着で、中年のようですし、速水は熱い男でした。2人の変わらない人柄が読めて面白かったです。


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2019年04月02日

今野敏「去就 隠蔽捜査6」

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 今野敏 著
 「去就 隠蔽捜査6」
 (新潮文庫)


大森署管内で女性が姿を消した。その後、交際相手とみられる男が殺害される。容疑者はストーカーで猟銃所持の可能性が高く、大正女性を連れて逃走しているという。指揮を執る署長・竜崎伸也は的確な指示を出し、謎を解明してゆく。だが、ノンキャリアの弓削方面本部長が何かと横槍を入れてくる。やがて竜崎のある命令が警視庁内で問われる事態に。捜査と組織を描き切る、警察小説の最高峰。−裏表紙より−


久しぶりの隠蔽捜査。前回は冴子さんがあまり出て来ず寂しかったのですが、今回はたくさん出てくれました。大きなテーマとして“ストーカー”というのがあり、女性の連れ去り事件が発生して捜査することになるのですが、それ以外に竜崎の娘と恋人の関係もおかしくなっていて、それを解決することになるのです。 娘も大変ですが、お陰で冴子さんがまたいい味を出しくれたのはファンとして嬉しい限りです。よくこんな変人の堅物と暮らしていけるな〜と毎回感心します。


今回も竜崎の大森署管内で事件が発生し、捜査本部が作られます。そうなると同期の伊丹刑事部長も登場し、彼とのやりとりにもニヤニヤさせられます。

そして、今回竜崎の足を引っ張るのは方面本部長の弓削。彼はノンキャリアなので竜崎の方がちょっと上のような、でも本当は弓削の方が立場は上で、ややこしい関係性です。こういう人って変にプライドが高いから大変です。ひがみ根性もあるせいで、竜崎が言う正論にいちいち引っ掛かってしまいます。

そんな彼と現場での指揮をめぐって争いに・・。どう見ても竜崎が正しいと思うのですが、やはり縦社会の厳しい警察ですから、命令系統が破られるとうるさいんですよね。正しいことをしたはずの竜崎の立場が危ぶまれます。


最後はとても気になる終わり方。もしかして竜崎は元に戻るのか? それは嬉しいような、でも出来れば彼には現場にいてもらいたいような複雑な心境になりました。

続きが気になるので、早く文庫化してほしい!!


<隠蔽捜査>
「隠蔽捜査」
「果断」
「疑心」
「初陣」
「転迷」
「宰領」
「自覚」



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2019年03月18日

今野敏「継続捜査ゼミ」

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 今野敏 著
 「継続捜査ゼミ」
 (講談社文庫)


元刑事、警察学校校長を最後に退官した小早川の再就職先は三宿女子大学。「刑事政策演習ゼミ」、別名「継続捜査ゼミ」を担当し、5人の女子大生と挑む課題は、公訴時効廃止後の未解決の殺人等重要事案。逃走経路すらわからない15年前の老夫婦殺人事件だった。警察小説の名手が贈る、新たなる捜査が始まる!−裏表紙より−


大好きな作家さんなので、何でも読みたくなるのですが、シリーズが多すぎて追うのが大変で新シリーズに手を出すのをためらっていました。でも、面白かったので読んで良かったです。それに、ちょっと他のシリーズとは雰囲気が違うので混同しなくて良さそう。一応、これも警察小説になるのかな?


元・刑事で、最後は警察学校の校長をやってから退官した小早川が、再就職したのは女子大の准教授。そこで担当している「継続捜査ゼミ」が話の中心となります。ゼミ生は5人。彼女らと共にゼミの課題として、過去の事件を推理し、捜査します。

何て面白そうなゼミ! 大学でこんなゼミがあったらぜひ参加したい!


小早川は元刑事なので、コネを使って実際にお蔵入りした事件の資料を借り出して題材にします。これって大丈夫?と心配になってしまうほど詳しく後輩たちから聞き出し、細かいことまで知った上で捜査出来るので、本当に羨ましい!

素人がする捜査ですから、簡単に解決できないはずですが、「5人寄れば文殊の知恵」的なことと、ビギナーズラックのような感じで解決。まあこれは現実にはあり得ないでしょうけど。


事件の捜査も面白かったですし、ゼミ生のことも小早川や彼らを手伝う現職の刑事たちのことも気に入ったので、次も文庫化を待って読むつもりです。

しかし、また新たなシリーズにはまってしまったな・・・・・。


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2018年05月17日

今野敏「マル暴 甘糟」

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 今野敏 著
 「マル暴 甘糟」
 (実業之日本社文庫)


甘糟達夫は「俺のこと、なめないでよね」が口ぐせのマル暴刑事だ。ある夜、多嘉原連合の構成員が撲殺されたという知らせが入る。コワモテの先輩・群原虎蔵と捜査に加わる甘糟だが、いきなり組事務所に連行されて―!? 警察史上、もっとも気弱な刑事の活躍に笑って泣ける<マル暴>シリーズ第一弾!<任侠>シリーズの阿岐本組の面々も登場!−裏表紙より−


この作家さんはシリーズが多いので、なかなか追いつきません。やっと新たなシリーズを読んでみました。

今回の主人公は、マル暴の刑事。得意の任侠ものですね。

マル暴刑事というと、どちらが暴力団関係者かわからないような風貌をしているイメージですが、この甘糟は細身で優しい顔をしている珍しい刑事です。

なので、よくヤクザさんたちからなめられてしまい、口ぐせが「俺のことなめないでよね」という何とも可愛らしい言葉。

真面目に真摯にヤクザさんたちとも向き合うので(本人に自覚無しですが)、意外と信頼されていて、よくスカウトされるという面白い人。

先輩刑事や、捜査本部の他の部署の刑事たちにも気を使って、ヤクザさんたちには精一杯気を張って、日々「向いてないな」と思いながら刑事を続けています。

あらすじでは「気弱」な刑事となっていますが、気弱ではなく真面目という感じです。芯がしっかりしているので、ブレないのが魅力です。

事件は二転三転しながらも、マル暴たちがうまくコントロールして穏便に解決させていきます。


彼の活躍は今後も楽しみです。また文庫化したら読もうかな?


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2017年07月11日

今野敏「潮流 東京湾臨海署安積班」

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  今野敏 著
 「潮流」東京湾臨海署安積班
 (ハルキ文庫)



東京湾臨海署管内で救急搬送の報せが三件立て続けに入り、同じ毒物で全員が死亡した。彼らにつながりはなく、共通点も見つからない。テロの可能性も考えられるなか、犯人らしい人物から臨海署宛に犯行を重ねることを示唆するメールが届く―。強行犯第一係長・安積警部補は過去に臨海署で扱った事件を調べることになり、四年半前に起きた宮間事件に注目する。拘留中の宮間は、いまだ無罪を主張しているという。安積は再捜査を始めようとするが・・。
−裏表紙より−


1年ぶりの安積班です。そして、久しぶりの長編。読み応え十分でした。

最近、あまり安積班のメンバーが活躍しないと思っていたので、久しぶりに頑張ってくれて嬉しかったです。

特に黒木!彼のあんなに熱い面を見ることが出来たのは嬉しかった。何だか感動してしまいました。普段は冷静だけど、やるときはやるぞ!って感じなので、彼がメンバーから信頼されるのがよくわかりました。須田との関係も良い感じです。


今回の係長は、上からの圧力に負けず、過去の事件を再捜査するために奔走することに。上からの圧力がかかるのはいつものことですが、今回は特に警察が嫌がる、冤罪かもしれない事件の洗い直しというパターン。

孤立無援だと思っている係長に、意外と仲間はたくさんいてくれて、的確なアドバイスと全面的な協力体制、強力なバックアップもあって思う存分捜査することが出来ました。

これだけ協力してもらえるのは、係長の人柄と実績があるからなわけで、そういう意味でも係長のかっこよさが際立った作品でした。

相変わらず周りの目を気にしすぎる感じのある係長ですが、最後はビシッと解決してくれました。メンバーたちもそれぞれ活躍してくれて、大満足の作品になりました。

次も1年後かな?長いですが楽しみに待つことにします。


<安積班シリーズ>
「二重標的」
「虚構の殺人者」
「硝子の殺人者」
「警視庁神南署」
「神南署安積班」
「残照」
「陽炎」
「最前線」
「半夏生」
「花水木」
「夕暴雨」
「烈日」
「晩夏」
「捜査組曲」


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2017年06月12日

今野敏「自覚 隠蔽捜査5.5」

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 今野敏 著
 「自覚 隠蔽捜査5.5」
 (新潮文庫)


畠山警視は実技を伴うスカイマーシャルの訓練中、壁に直面する。彼女は共に難事件を乗り越えた竜崎に助言を求めた(「訓練」)。関本刑事課長は部下戸高の発砲をめぐり苦悩した。そこで竜崎の発した一言とは(表題作)。貝沼副署長、久米地域課長、伊丹刑事部長。彼らが危機の際に頼りにするのは、信念の警察官僚、大森署署長竜崎伸也だった―。七人の警察官の視点で描く最強スピン・オフ短篇集。−裏表紙より−


「.5」ということで、竜崎の視点ではなく、周りの人から見た竜崎の姿が描かれます。今回は彼の身近にいる警察官たちと3作目で竜崎が恋した畠山警視から見た竜崎の姿。

うん、やっぱり変な人だ、竜崎は。でも本当は彼が正解なんですけど。彼が普通の人に思えるような世界になったら平和かもしれませんね。

でも今の世の中としてはやっぱり変人。どんだけ真っすぐなんだ! 原理原則を重んじる、自分の信念も曲げない男。曲げないはずの信念も他人の意見の方が正しいと思ったらすぐ曲げるし。

「お前がそう思うなら、それで良いんじゃないか」って、部下に言える上司ってかっこいいですよね。とっつきにくくて怖いけど、彼になら怒られても納得できそうです。

上司から信頼してもらっている中で仕事が出来たら最高ですよね。みんなこんな感じなら仕事が楽しくなりそうです。


シリーズ内でよく登場する、反抗的だけど仕事の出来る刑事・戸高もなかなかの活躍を見せてくれました。意外と人望あるんだとわかってちょっとうれしくなりました。

愛読者の中には「戸高の視点での話が読みたい」という意見もありますが、私はあまり読みたくないかも。彼は私生活が謎な方が面白い気がします。たまには主役でも良いですけど、彼が心の中でどう思っているか?は知りたくないかな。


短編ですが、読み応えがあってとても楽しめました。

ただ残念なのは、家庭のことが出てこなかったこと。冴子さんファンとしてはさみしい限りです。

まだ続きもあります。早く文庫化してくれないかな〜。


<隠蔽捜査>
「隠蔽捜査」
「果断」
「疑心」
「初陣」
「転迷」
「宰領」


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2017年04月18日

今野敏「触発 警視庁捜査一課・碓氷弘一」

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 今野敏 著
 「触発 警視庁捜査一課・碓氷弘一」
 (中公文庫)


朝のラッシュで混雑する地下鉄駅構内で爆弾テロが発生、死傷者三百名を超える大惨事となった。威信にかけ、捜査を開始する警視庁。そんな中、政府上層部から一人の男が捜査本部に送り込まれてきた。岸辺和也陸上自衛隊三等陸曹―自衛隊随一の爆弾処理のスペシャリストだ。特殊な過去を持つ彼の前に、第二の犯行予告が届く!!犯人の目的は、いったい何なのか!?−裏表紙より−


今野敏作品は9月以来なので、約半年ぶり?でもやっぱり私に合うな〜と再認識しました。読みやすいんですよね。


これはかなり以前から発売されていた「碓氷弘一シリーズ」です。新たなシリーズに手を出すのをためらっていた間にもう何冊も発売されています・・。シリーズの多い作家さんですからね〜。

読んだらまたはまってしまいました。・・ということで、これもまた追いかけることになりそうです。


地下鉄の駅構内で爆弾が爆発する事件が発生し、多くの犠牲者が出ました。地下鉄の構造って規模の小さい爆発でも被害がかなり大きくなるそうで、描かれている内容が詳細すぎて読むのが辛いくらいでした。

目撃者もいない中、捜査は難航します。そんなとき、政府の上の方の人が密かに動いて、自衛隊の爆弾処理のスペシャリストが捜査本部に送り込まれてきます。

独特な雰囲気を持つ人ですが、さすがにプロだけあって、犯人のミスリードに騙されることなく淡々と捜査を進めていきます。

何とも言えない動機で起こされた事件で、やりきれない気分になりました。まあ殺人事件なんて、納得いく動機があるわけないんですけど・・。


「碓氷弘一」シリーズというわりには、碓氷はあまり活躍しなかったな・・。結局このシリーズは彼がどんなスペシャリストと組んで事件を解決していくか?という内容のようで、彼はある意味脇役的な存在みたいです。

捜査一課に所属しながらも、外から来た人間をうまく立てて事件を解決していくのは珍しいかもしれませんね。

2作目以降になったらもう少し彼の人格もわかってきそうですし、これはやはり読み進めるしかなさそうです。


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2016年09月23日

今野敏「廉恥」

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 今野敏 著
 「廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕」
 (幻冬舎文庫)


警視庁強行犯係・樋口顕のもとに殺人事件の一報が入る。被害者は、キャバクラ嬢の南田麻里。彼女は、警察にストーカー被害の相談をしていた。ストーカーによる犯行だとしたら、警察の責任は免れない。被疑者の身柄確保に奔走する中、樋口の娘・照美にある事件の疑惑が・・。警察組織と家庭の間で揺れ動く刑事の奮闘をリアルに描く、傑作警察小説。−裏表紙より−


もう続きは書かないのかとあきらめかけていたシリーズに新作が出ました! 調べたら前作を読んだのは2010年3月でした。もう6年半経ちます・・。

シリーズ4作目となる今作ですが、登場人物のほとんどを忘れていても十分楽しめる作品になっています。まあ、樋口については知っておいた方がより楽しめるでしょうが。


前作では思春期の真っただ中にありながらも、普通に父親とも会話できていた娘が、大学生となった今回になって反抗期が出てきています。ほとんど父親と口を利かなくなった彼女。それなのに、樋口の元に娘が事件にかかわっているかもしれないという情報がもたらされます。

樋口が担当する事件ではないので、気がかりではありながらもどうしようもなくて地味に悩んでしまいます。・・が、持ち前のまじめさと頑固さでうまく乗り越えていくわけです。


樋口が担当する事件は、ストーカー殺人と思われる事件。ストーカー被害にあっていると警察に相談もしていたので、また警察が非難されると上層部は焦っています。ストーカーを止めるのはなかなか難しいとは思いますが、殺される前に何とか出来なかったのか?と思ってしまいますよね。

マスコミ対策も兼ねてやって来たのは、女性キャリアの小泉。彼女のお世話係として樋口が指名され、戸惑いながらも彼女と捜査本部の間を取り持とうとします。

キャリアとか官僚とかって、嫌なイメージしかないですけど、この小泉はなかなか鋭い指摘もしてくれて、役に立っていました。特に、女性全般の意見を求められたときに、返した答えが的確で、読みながら思わずうなずいてしまいました。

彼女はまた登場しそうで楽しみです。


この樋口顕シリーズは、隠蔽捜査シリーズと似ているとよく言われています。結局、この作家さんが描く刑事像が似ているからでしょうね。確かに似ていますが、頑固さと真面目さでは、竜崎に勝てるものはいません。樋口はかなりマイルドですし、竜崎ほどの自信はもっていないので、おどおどした感じが多いです。そこが好感持てるんですよね。

新作が出たからには、また続きも書いてくれるのかな?楽しみに待つことにします。


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2016年07月27日

今野敏「捜査組曲 東京湾臨海署安積班」

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  今野敏 著
 「捜査組曲」東京湾臨海署安積班
 (ハルキ文庫)


お台場の公共施設で放火との通報が入った。安積班のメンバーが臨場すると、警備員がいち早く消火活動を始めており一大事にならずに済んだ。警備員から聞き込みをした須田は、何か考え込んでいて・・。三日後、またしても同じ施設内で強盗事件が起きる。珍しく須田がこの事件を担当したいと安積に頼むが―(「カデンツァ」より)。安積班をはじめ、強行犯第二係長・相楽、鑑識係・石倉、安積の直属の上司・榊原、それぞれの物語を音楽用語になぞらえて描く、安積班シリーズ待望の文庫化。−裏表紙より−


大好きな安積班シリーズ。1年半ぶりの文庫です。

今回は短編です。音楽用語が題名になっていて、それにちなんだ内容の話が書かれています。音楽用語でまとめることで、安積班や捜査のチームワークの大切さみたいなものを描きたかったのかな?と思います。

短編の1話ずつの視点がそれぞれ違っていて、今回は安積班のメンバーに加えて、隣の係長で安積をライバル視している相楽警部補や鑑識の重鎮・石倉や安積の上司・榊原も主役となって活躍しています。

お陰で彼らから見た安積の姿がよくわかるようになっていて、更に班長がかっこよく見えました。

特にお気に入りなのは、村雨の話。彼はメンバーたちの特徴をしっかりつかんでいて、冷静にどうすれば各々が動きやすいかを考えて行動しています。特に気にかけているのが班長のこと。須田の能力は認めているものの、彼には安積は助けられないと思っていて、いかに安積がストレスなく活躍できるかを考えて、防波堤になれるのは自分だけだときちんと理解しています。

普段はあまり多くを語りませんし、須田の陰に隠れてしまっている村雨の安積を思う気持ちに感動する内容でした。


それと、石倉の話もよかったです。鑑識は職人って感じが強くて、中でも特に偏屈なイメージの石倉ですが、部下からはかなり慕われていることがわかりましたし、彼も安積班長に一目置いていることがわかりました。

石倉が安積から諭されて、急におとなしくなるのは面白かったです。


そして、登場以来気になっている女刑事・水野ですが、どうやら安積も彼女のことを認めたようですので、私も仲間として見ていくようにしようかな?と。今回は女性として活躍してくれましたし、今後に期待することにします。


さ、次はいつ文庫になるのかな?楽しみです。


<安積班シリーズ>
「二重標的」
「虚構の殺人者」
「硝子の殺人者」
「警視庁神南署」
「神南署安積班」
「残照」
「陽炎」
「最前線」
「半夏生」
「花水木」
「夕暴雨」
「烈日」
「晩夏」

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2016年04月08日

今野敏「宰領 隠蔽捜査5」

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 今野敏 著
 「宰領 隠蔽捜査5」
 (新潮文庫)


衆議院議員が行方不明になっている。伊丹刑事部長にそう告げられた。牛丸真造は与党の実力者である。やがて、大森署管内で運転手の他殺体が発見され、牛丸を誘拐したと警察に入電が。発信地が神奈川県内という理由で、警視庁・神奈川県警の合同捜査が決定。指揮を命じられたのは一介の署長に過ぎぬ竜崎伸也だった。反目する二組織、難航する筋読み。解決の成否は竜崎に委ねられた!−裏表紙より−


新刊が発売されたらすぐに買いに走るシリーズです。そして、読んでいる途中の本があっても、放置して先に読んでしまいます。

5作目も面白かった〜! 相変わらず竜崎は変な人です。でもまっすぐでまじめな所が好感もてます。まあ同僚や後輩にはなってほしくないですけど。上司なら良さそう。竜崎がこんな人なんだ、と理解するまでは大変そうですが。でももし自分が失敗しても絶対に責任をとってくれそうですし、一度許可したら最大の味方になってくれると思うので、理想の上司なのかもしれません。


今回は、政治家の誘拐事件が発生し、色々な流れで竜崎が指揮をすることに。伊丹の判断、間違ってないけどどうなんだ!? あらすじにもあるように“一介の”所轄の署長が指揮をとるような事件じゃないでしょう!どれだけ重い責任をとらされるのか・・と思うとドキドキしてしまいますが、竜崎は「仕方ないな」という感じであっさり引き受け、揚句の果てには捜査本部に入り浸るわけでもなく、署長室に戻ってハンコ押しをし始める始末。

それだけ部下を信じているわけですけど。普通なら「責任が!」と思うと離れられないし、全ての情報を知っておきたいと思う状況なんですが・・。

さすが竜崎!ですね。刑事部長である伊丹のこともアゴで使ってみせます。普段は上下関係にも厳しいですし、周りから「伊丹刑事部長とは同期ですから」なんて言われようものなら「それは関係ない!」なんてちょっと怒るくらいなのに、自分は良いんだ(笑)


事件はいったん解決したように見せかけて、更にもう一つの謎、という感じで最後まで読み応えがある展開でした。竜崎らしくスマートとは言えないけどある意味サラッと解決してみせました。上層部からするとかなり問題ある解決法だったようですが、彼らしく一蹴してみせて、スッキリしました。

私生活では、息子の受験がありました。父親らしい一面をのぞかせる竜崎の姿は更に好感度アップでした。今回は奥さんがあまり出てこなかったのが残念です。

次はいつ文庫化されるかな??かなり楽しみです。


<隠蔽捜査>
「隠蔽捜査」
「果断」
「疑心」
「初陣」
「転迷」


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2015年10月15日

今野敏「任侠病院」

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 今野敏 著
 「任侠病院」
 (中公文庫)


日村誠司が代貸を務める安岐本組は、所帯は小さいが、世の中からはみ出た若者を抱えて、天下に恥じない任侠道を貫いてきた。ところが最近一部の地元民から暴力団追放の動きが起こり、めっきり肩身が狭くなった。そんな中、今回、組長が持ち込んだのは病院の再建話。日村は、個性豊かな子分たちと、潰れかけた病院の立て直しに奔走するが・・。笑いあり涙ありのおなじみ「任侠」シリーズ第三弾!−裏表紙より−


「とせい」から続くシリーズ第三弾。今回、表紙の雰囲気が急に変わって驚いています。それに合わせて、今までの一作目の「とせい」は「任侠書房」として再出版されました。「任侠学園」も表紙が変わって再出版。シリーズの人気が出るのはうれしいことです。


出版社、高校と立て直してきた彼らですが、今回はとうとう病院に手を出してしまいます。組長はのんきな感じですが、日村は相変わらず振り回されて、板挟みになって大変そうです。ニヤニヤしながら読み進めました。

今回、病院不振の裏には別の組織の存在があって、更に日村は胃が痛い状況になっています。しかも、組がある地域で追放運動まで起こり、マル暴刑事からは「外出禁止」とまで言われてしまい、ますます動きにくい状況に。

でも組長は何も変わりがありません。どっしりと構えていて、日村に「誠司、考え過ぎだ」と言います。頼りがいのある良い親分なんですけど、頭の中で考えていることを全て出してくれるわけではないので、不安が募ってしまうんですよね。

読んでる者としては、この後親分がどうやってスカッと解決させてくれるのか、楽しみでしかないのですが。


病院経営というのは、なかなか複雑で、素人では踏み込めない部分もたくさんありました。このシリーズらしく、最終的には自分たちでがんばって行こう!と前向きな気持ちにさせて、手を引くわけですが、今回も鮮やかな手腕でした。

若干、何でもうまくいきすぎな感じはありますが、このシリーズはこれでオッケー!

最後までスッキリ楽しく読めました。


次はどんな仕事に手を出すのかな? 今から楽しみです。


<とせいシリーズ>
「とせい」
「任侠学園」


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2015年09月04日

今野敏「ヘッドライン」

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 今野敏 著
 「ヘッドライン」
 (集英社文庫)


報道番組「ニュースイレブン」の記者、布施。素行の悪さに目をつけられながらも、独自の取材で多くのスクープをものにしてきた彼が興味を示した女子学生猟奇殺人事件は、警視庁捜査一課第二係、黒田の担当だった。警察も知らない事実を布施が握っているらしいと感づいた黒田は、彼に張り付くことを決める。記者と刑事、異色のタッグを組んだ二人は、やがて事件に潜む大きな闇の核心に迫って―。−裏表紙より−


1作目を読んだのは2009年なので、もう6年前になります。でも最近、ドラマになったのを見たので、雰囲気は思い出すことができました。


相変わらず飄々として会議にも出ないこともあるようないい加減に仕事をしているように見える布施。今回はそんな布施がテレビ局で過去のある事件を調べていました。他の記者が調べていても誰も興味をもたないでしょうが、布施の場合は周りが興味を持ち始めます。彼が調べ直すなら何か出てきたんだろう、となるわけです。

その事件とは女子学生が殺された事件。しかも遺体がバラバラにされて遺棄されるという猟奇的な事件です。迷宮入りになりそうなその事件を捜査しているのは捜査一課第二係。捜査員がどんどん減らされる中、黒田刑事は地道に資料を読み返して何か見落としていないか日々調べています。

そんなとき、布施が興味を持っているらしいと知ったため、刑事でありながら記者に張り付くことを決めます。かなり異例のことではありますが、布施のお陰で裏社会の重要人物とも顔を合わせることができ、事件は意外な展開を見せます。

事件が起きたとき、テレビや新聞では、こぞって報道したわけですが、被害者が女子学生でしかも猟奇的な事件だったので「被害者がかわいそう」という流れで終わってしまいました。その傾向を布施は間違っている!と訴えます。

「俺たちの仕事は、視聴者の耳や眼の代わりになることです」というのが彼の持論。

テレビでは殺人や誘拐、強盗など誰かがけがをしたり殺されたりする話になると、神妙な顔つきになり真面目に静かに報道しています。でも本当はどのニュースも淡々と事実だけを並べるべきなんですよね。

それを聞いて「ひどい!」とか「かわいそうに!」と思うのは視聴者なんです。先に「ひどい事件だ」と言われる必要はないんですよね。今まであまりそんなことを考えたことがなかったので、これを読んで考えるいいきっかけになりました。

視聴者もすぐに苦情を言って、報道に対して色々と注文をつけすぎているのも原因の一つだと思うので、見る側、受け取る側にも責任はあると思います。

難しいことですが。


話の展開的には、布施がスーパーマンすぎではありますが、深い内容でしたし、最後まで楽しめました。次も発売されているので、今度は早めに読みます。


<スクープシリーズ>
「スクープ」


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2015年08月03日

今野敏「確証」

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 今野敏 著
 「確証」
 (双葉文庫)


都内で起きた強盗事件と窃盗事件。警視庁捜査3課で盗犯捜査ひと筋の萩尾秀一は、ふたつの事件には繋がりがあるとして、部下の武田秋穂とともに捜査を始める。捜査1課との軋轢や駆け引きの中で、ベテランの萩尾は何を見て、若い秋穂は何を考えるのか。「継続」と「ひらめき」が融合した円熟の警察小説、待望の文庫化。連続テレビドラマ原作。−裏表紙より−


この作家さんの作品を読むのは約半年ぶり。作品が多いですし、色んな作風の物があって、たぶん私には合わないだろうと思う作品も多いので、選んでいるうちに間が空いてしまいました。

でもやっぱりこの作家さんの警察小説は読みやすいし面白いな〜と再認識しました。

主人公は同じようなタイプの刑事が多いんですけどね。部下をうまく使いつつ、上司にも堂々と意見を言って、でも「言い過ぎたかな?」とか「あいつは自分のことをどう思っているんだろう?」とか後で悩むタイプ。そして、刑事という仕事に誇りを持っていて、この仕事を守るためなら何でもやるという気持ちが溢れているような人。

この「確証」では萩尾がその人物です。萩尾の部下は若い女性なので、他の人たち以上に「こんなとき相手が男ならこうやれば収まるけど、女性だとどうしたらいいかわからない・・」という悩みまで増えていて、なかなか大変そうです。女性からすると、女性だからって色々考えなくても良いのに、と思うんですけどね。集団になるとややこしいのですが。


この作品は捜査3課の話で、盗犯係と呼ばれるように窃盗事件の捜査をする部署なので、事件も窃盗事件です。ただ今回は3課が扱う窃盗事件と、1課が扱う強盗殺人事件との関連性が考えられたので、捜査1課も絡んできます。

そうなると、1課の妬みとか嫌味っぽい言動とかが増えてきて“捜査1課は嫌な部署”という図式になってくるわけです。それぞれの仕事に対するプライドが変に出てきてしまって、衝突もくり返されます。たまたま理解ある上司がいてくれたおかげで、捜査は円滑に進むのですが、それでも細かい問題は山ほど出てきて、もっとスムーズに捜査出来ないものかと呆れる所もありました。

萩尾がいなかったら解決できなかったであろう事件。萩尾のような職人という刑事がもっといないとダメなんじゃないの?と変なことを心配してしまいました・・。



萩尾と武田秋穂のコンビもどんどん息が合ってきて、良い感じになってきました。これはシリーズ化するでしょうから、続編を楽しみに待つことにします。


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