2010年01月05日

山本周五郎「夜明けの辻」

山本周五郎著 「夜明けの辻

(新潮文庫)


国家老の家で尊王論者・山県氏の講義を聞いた伊兵衛は、この思想はいずれ身を滅ぼすことになる・・と考える。山県氏が家中の者に襲われ返り討ちにしたことが藩の内紛につながり、やがて伊兵衛は巻き込まれていく−「夜明けの辻」他「嫁取り二代記」「遊行寺の浅」「梅月夜」「熊野灘」「平八郎聞書」「御定法」「勘弁記」「葦」「荒涼の記」「大納言狐」の計11話収録


江戸時代(だけではないですが)は、天皇を第一と考えることは、幕府(武家による政治)を否定する考えということになり、処刑されても仕方が無いような状況でした。

そんな時代に「尊王論」を唱えることは、命がけといえます。この話に出てくる国家老は、山県氏の考えをただの「尊王論」とはとらえず支持します。

でも、こんな危なかしい思想には当然反対する者も出てくるわけで、更にその思想の違いを利用して藩の権力を握ろうとする者も出てきます。

伊兵衛は初めは反対意見だったのに、徐々に山県氏を支持し始め、友人との関係を絶ってまで信念を貫きます。

武家の場合、家主が指示する道を家族も着いて行く必要があり、この話でも母親と妹が伊兵衛の信じる道を着いて行くことになります。武士としての出世もありませんし、もしかしたら命を落とすかもしれない道でも、ただただ迷惑を掛けないように応援するしかないわけです。厳しい時代ですね・・。

考えさせられたり、感動する話も多いですが、「嫁取り二代記」のように笑ったり、スカッぴかぴか(新しい)とさせてくれるような話も入っています。


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2010年01月04日

山本周五郎「菊月夜」

山本周五郎著 「菊月夜

(新潮文庫)


江戸詰めの間に信三郎の許婚・小房の父が狂死し、家族が追放されてしまった。国許へ戻った信三郎に両親や重臣から、身分の合わない相手との婚礼話が持ち込まれる。重臣になり、陰で政治の癌と呼ばれている人物を討つように依頼される。その人物について探っていると、思わぬ場所で小房と再会する−「菊月夜」他「其角と山賊と殿様」「柿」「花宵」「おもかげ」「一領一筋」「蜆谷」「忍術千一夜」「留さんとその女」「蛮人」の計10編収録


武家に生まれると、男だけでなく女も大変で、自分の人生よりも家のことや国のことを先に考え、そのためならいつでも命を投げ出せる覚悟が必要です。今では全く考えられない強い意志をもっていて驚かされますし、感動します。

「菊月夜」の信三郎も国のために小房に思いを残したまま重臣の娘と結婚しますし、重臣の娘も小房に遠慮して偽装結婚をする覚悟をします。二人とも自分の人生を捨てたわけです・・。最後には小房の思いもわかり、更に感動してしまいます。

「花宵」「おもかげ」は、母親の子どもを思う愛が書かれています。
花宵」は、自分ばかり叱られることに不満を感じていた弟が「自分が継子だからではないか?」と疑っているのですが、本当は・・母親はなぜ弟ばかりを厳しく育てたのか、それがわかり改めて立派な大人になろうと決心する兄弟の話です。母親の思いはなかなか子どもに伝わらないものですね。でも気持ちがわかると全てが納得でき、感謝の気持ちでいっぱいになる・・強い絆を感じます。
おもかげ」は、母親が早くに亡くなったため、叔母に厳しく育てられた男の子の話です。なぜこんなに厳しくされるのか?と悲しくて仕方ない男の子ですが、母親を忘れないためにあえて厳しく育てた叔母の気持ち。自分が嫌われても相手を叱る・・なかなかできないことだと思います。それを信念を持って叱り続ける。すごいと思いました。

他の話も感動する物ばかりですし、ちょっと笑える話もあり、一つ一つの話は短くてあっさり読めますよぴかぴか(新しい)


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2009年12月15日

山本周五郎「朝顔草紙」

山本周五郎著 「朝顔草紙

(新潮文庫)


学生時代から何度も読みすぎてボロボロな状態の本が多くなっている作家さんです。


幼い頃に両親が決めた許婚の二人、お互い顔も見たことのない相手をずっと心に想い続け、やっと出会うことができ結婚するまでの話−「朝顔草紙」他「無頼は討たず」「違う平八郎」「粗忽評判記」「足軽奉公」「義理なさけ」「梅雨の出来事」「鍔鳴り平四朗」「青べかを買う」「秋風の記」「お繁」「うぐいす」の計12編収録


昔は親が勝手に結婚を決めるのが当たり前で、しかも本人たちは子どもすぎて全く意味もわからない・・というのもよくあったことのようですね。今では考えられませんがバッド(下向き矢印)

この主人公も親同士が友だちだったという理由で決められた相手で、でも話を聞かされてからずっと相手を想像しながらお互い想い合ってきていました。見知らぬ相手を想い続けるなんてなかなかできないことだと思うのですが・・。これだけでも純粋な心の持ち主だということがわかります。

大人になって会いに行ったら「亡くなった」と聞かされ、愕然とするわけですが・・まあこの先は書かないでおきます。最後にはホロッとさせられる切なくて感動する話です。

違う平八郎」は三河の豪傑として有名な本多平八郎と同姓同名のせいで苦労させられる武士の話。戦に出ても名乗ったとたんに勘違いされ、名を上げるために大勢に切りかかってこられてしまい、思わず逃げてしまった平八郎はみんなに笑われてしまいます。でも最後には本物の平八郎と出会い・・。この話は感動というより、思わず笑顔になるような話です。

粗忽評判記」は粗忽者で失敗ばかりしている主従の話。同じように失敗するからこそ強い絆で結ばれた主と家来。最後には家来が起こした大きな失敗のお陰で、主が救われます。二人の粗忽ぶりに笑わされ、最後には誇らしくなる・・そんな話です。

12話すべてを紹介するとすごい量になるので、このくらいで終わっておきます。

どの話も最後には納得できるような終わり方で、感動させられたり笑顔になったりします黒ハート

短編ということで、初めてでも読みやすいと思いますグッド(上向き矢印)


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今読んでいるのは・・
posted by DONA at 12:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:山本周五郎

2009年09月14日

山本周五郎「花枕記」

山本周五郎著 「花枕記」 (新潮文庫)


私が児童文学から離れてから初めて読んだ本は、山本周五郎の本だったと思います。家にたくさんあったんですよ。

中学生の頃だったと思いますが、周りの子たちがマンガとかイラストのたくさん入ったティーン文庫みたいな本を読んでいる中で、結構しぶい選択だったでしょうね〜あせあせ(飛び散る汗) マンガも読んではいたんですけど、数は少なかったです。

この「花枕記」は初めて読んだ本ではありませんが、特にお気に入りの一冊なので紹介します。


表題を含む短編集。武士の生き様・死に様をそれぞれの主人公を通して表現されている。


私が特に好きなのは「御馬印拝借」。主君の行動を敵に悟らせないために、おとりとして少ない兵を指揮して戦いに挑む話です。その少ない兵たちを指揮する立場の武士が、主君から「御馬印」を借り受け、それを掲げることで兵の士気を上げ、敵を欺こうとするわけですが、圧倒的に兵の数が少ないため、何をしても結局は討ち死にすることはわかっているんですよね・・。

最終戦の前夜に婚約者から届いた手紙で、直属の部下と思わず口約束で婚約してしまったことを知り、その部下に自分たちの戦いぶりを報告する役目を負わせて地元に帰らせ、助けるのです。


私の説明では軽い話に思われそうで残念なのですが、武士の死に様や、主君に対する思い、婚約者の辛い気持ち、部下の一緒に死ねなかった悔しい気持ちが伝わってきて、感動しました。武士って不器用なんですよね・・。それがまた辛いんです。そしてかっこいい。現代人には絶対に真似できない生き方ですね。「命をかける」なんてことになかなか出会えませんから・・。


山本周五郎の作品は、他にもたくさん読みました。いつかまた感想を書きます。

今読んでいるのは
posted by DONA at 15:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:山本周五郎