2024年05月08日

ジャナ・デリオン「ミスコン女王が殺された」

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 ジャナ・デリオン 著
  島村浩子 訳
 「ミスコン女王が殺された」
 (創元推理文庫)※電子書籍


今度こそ計画どおり静かに暮らそうとしたCIA秘密工作員フォーチュンの決意は、あっさりくじかれる。ハリウッドに行った元ミスコン女王パンジーが町に帰還したのだ。札つきのお騒がせ女と対面するなり、フォーチュンは大衝突してしまう。その後、パンジーが殺され、疑われたフォーチュンは地元婦人会の老婦人コンビと真犯人捜しに乗り出すが、そのせいで町には再び大混乱が!―出版社HPより―


シリーズ2作目。前作でもかなり目立ってしまったフォーチュンですが、今回も大暴れで悪目立ち状態に。

命を狙われているはずの彼女ですが、ここまで目立っても見つからないなんて、狙っている組織の能力が低すぎる気がします。


以前、この町に住んでいたという元ミスコン女王・パンジーが戻って来たことで、殺人事件に発展します。かなり嫌なタイプの女性であるパンジーにはたくさん敵がいそうですが、殺される直前に揉めていたのがフォーチュンだったため、第一容疑者になってしまいます。

だいたい、フォーチュンもCIAの秘密工作員なのに、修行が足りないんじゃない?と呆れるほど短気。大したこと言われていないのにすぐに頭に血が上って、相手に対して言いたい放題。

まずそこを治さないと静かになんて暮らせないでしょう。どんなに田舎に行ったとしても、どこかに人がいる限り、もめ事は起こるもの。いかに聞き流すか、いかに関わらずに過ごすかが大事なのに、どんどん町の人たちと関わって行くし、もめ事も多発していたら仕方ないですね。


そういう部分を始め、老婦人コンビとの関係性、彼女らの言動などなど、ツッコミどころ満載。

問題は、老婦人コンビがどっちがどっちかわからなくなる所。これは偏に私の理解力の無さの問題なのでしょうけど、彼女らが登場する度にどっちだっけ?となってしまいます。

性格はかなり違うのですが。


そして、地元の警察官とも何だか親密になっていきそうな雰囲気なのも心配です。親密になってどうするんだ! しっかりしろ!と喝を入れたくなります。

フォーチュンは本当にCIA工作員なのでしょうか?そこから疑いたくなります。


<ワニ町シリーズ>
「ワニの町へ来たスパイ」


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2023年05月25日

ホリー・ジャクソン「自由研究には向かない殺人」

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 ホリー・ジャクソン 著
  服部京子 訳
 「自由研究には向かない殺人」
 (創元推理文庫)※電子書籍


高校生のピップは自由研究で、自分の住む町で起きた17歳の少女の失踪事件を調べている。交際相手の少年が彼女を殺して、自殺したとされていた。その少年と親しかったピップは、彼が犯人だとは信じられず、無実を証明するために、自由研究を口実に関係者にインタビューする。だが、身近な人物が容疑者に浮かんできて・・。ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、傑作謎解きミステリ!―出版社HPより―


初めましての作家さんです。文章は読みやすかったですし、展開も面白かったです。ただ、題名がどうもしっくりこない感じがしました。それは作家さんのせいではないかもしれませんが「自由研究」と聞くと日本人はどうしても夏休みの宿題のイメージをもつと思うんですよね。もっと軽いイメージ。なのに、殺人事件の調査を自由研究で!?と不思議な感じがしました。というか、「自由研究に向く」殺人事件なんてないでしょう!と思いますよね。

読み始めると「自由研究」というよりも「卒業論文」に近いというか、もっと真剣で重い宿題だとわかります。世界情勢について自論を述べるような。物語の中では「自由研究で得られる資格」「大学入学に必要な試験を受けるのと並行して独自に行うプロジェクト」だと書かれています。それだけ重要な課題ということです。


主人公のピップが選んだのは5年前に失踪した17歳の少女の事件についてでした。学校に提出した計画書には「メディアが報道することが事件に重大な役割を果たしていることについて考察する」と書きましたが、ピップがやりたいのは事件を解決することでした。

失踪した少女は殺害されたと目されていて、容疑者となったのは彼女と付き合っていた男性でした。彼は彼女が失踪後、警察から取り調べを受けた直後に自殺していました。被疑者死亡で解決したとされているわけです。

ピップは過去に彼に助けてもらったことがあったため、どうしても彼が犯人だとは信じられず、課題をきっかけに調査に乗り出したわけです。

殺人事件の捜査を高校生がやるなんて無謀なことを・・と思っていたら、何とも行動力があり、根性もあり、どんなに脅されても冷たくあしらわれてもへこたれません。

ただずっと気になってしまったのは、失踪した少女のことをみんな「死んだ」と思っていること。遺体は見つかっていないわけで、もしかしたらどこかで生きているかも?と誰も思わないんだな、と不思議でした。もしかして生きているんじゃない!?と予想したのですが、まあ結末は読んでのお楽しみ。


そしてやっぱりイギリスの学生は大人だなと感心、と同時に怖い。飲酒はもちろん、ドラッグも当然という世界。真面目でそういう物と無縁という学生もいるのでしょうが、使用率は日本より確率はかなり高そうです。そんなに早く大人にならなくても良いのに・・

シリーズ化しているようなので、2作目も読むつもりです。


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2023年01月20日

バリー・ライガ「さよなら、シリアルキラー」

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 バリー・ライガ 著
  満園真木 訳
 「さよなら、シリアルキラー」
 (創元推理文庫)※電子書籍


ジャズは高校三年生。町ではちょっとした有名人だ。ある日、指を切りとられた女性の死体が発見され、ジャズは連続殺人だと保安官に訴える。なぜジャズには確信があったのか―彼が連続殺人犯の息子で、父から殺人鬼としての英才教育を受けてきたからだ。親友を大切にし恋人を愛するジャズは、内なる怪物に苦悩しつつも、自ら犯人を捕えようとする。全米で評判の青春ミステリ。―出版社HPより―


初めましての作家さんです。

題名からして明るい内容なわけがないのですが、それにしても暗い・・。そして、残虐なシーンもたくさん。「青春ミステリ」というには暴力的すぎました。


主人公のジャズは、シリアルキラーだった父親に育てられました。この父親、息子に対してシリアルキラーであることを隠していたわけではなく、正体を明かした上に、殺し方や死体の処分の仕方、更には被害者の女性から「記念品」をどうやって取るかなど、細かく何でも教えていました。

そんな環境で育った割には真っすぐ育っている方だとは思いますが、自分の中にも恐ろしい父親の血が流れていることで、同じような殺人鬼になるのではないか?と日々恐れています。

父親は刑務所にいるため、その母親である祖母と共に暮らしているのですが、少し認知も始まっていると思われる彼女もまた暴力的で、決して良い環境とはいえません。彼女はまだジャズに対しては暴力を振るわないだけマシですが。


ジャズには親友と恋人がいて、彼らの存在はものすごく助けになっています。彼らがいなければジャズはとっくに壊れていたでしょう。また、父親を逮捕してから何かと気にかけてくれる警察官の存在もあり、良い支えになってくれているのが救いかもしれません。


連続殺人が起きたことで、ジャズが活躍して解決に導くのですが、なかなか危なっかしくて読んでいてハラハラする場面がたくさん。

しかも、この作品だけでは解決しない・・・・まあ中でさんざん父親のことを引っ張っておいて、このまま終わるわけないとは思っていましたが。

シリーズ化されているようで、すでに数冊発売されています。私はもう続きは読まないかな? ジャズを始め、登場人物が誰も好きになれなかったので読むのが辛いです。


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2021年06月18日

ジャナ・デリオン「ワニの町へ来たスパイ」

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 ジャナ・デリオン 著
  島村浩子 訳
 「ワニの町へ来たスパイ」
 (創元推理文庫)※電子書籍


潜入任務で暴れすぎたために、敵から狙われる身となった超凄腕CIA秘密工作員のわたし。ルイジアナの小さな町で、自分と正反対の女性になりすまし潜伏するつもりが、到着するなり保安官助手に目をつけられ、住む家の裏の川で人骨を発見してしまう。そのうえ町を牛耳る老婦人たちに焚きつけられ、しかたなく人骨事件の真相を追うことに……。型破りなミステリ・シリーズ第一弾。―出版社HPより―


初めましての作家さんです。海外小説を開拓したくて読んでみました。

CIAの超凄腕という女性工作員が主人公なのですが、いきなり任務に失敗して裏社会の大物から命を狙われることになった所から話が始まります、

つまり、どの程度の凄腕なのかよくわからないままです。でも、今回の失敗は殺し損ねたとかではなく、人助けをしたことによる失敗だということで、結構人間味のある人だということはわかります。

ただその人間味は、CIAとしては致命的な欠陥ともいえるのでしょうが。


命を狙われてしまったので、ほとぼりが冷めるまで、とりあえず田舎の町に隠れ住むことになりました。もちろん身分も隠して違う女性になりすますわけですが、田舎のおとなしい女性になるはずがなかなかうまくいきません。今までと違い過ぎて簡単にはいかないでしょうけど、それにしても目立ちすぎです。

まず田舎に着いたとたんに保安官助手に目を付けられ、自宅付近で死体を発見し、近所に住む老婦人たちに巻き込まれるようにして事件を調べることになります。

目立たず暮らしていくはずが、どんどん目立っていくわけで、上司からはかなり叱られるのですがどうしようもなくなっていきます。


事件の捜査自体はどうでも良いというか、誰が犯人でもどんな動機でもあまり興味がわかなかったのですが、主人公のバタバタぶりと、老婦人たちのかっこよさにどんどん惹かれていきました。


老婦人たちの正体も明らかにされ、これはこのシリーズを追いかけずにはいられません。主人公との絡みも楽しみですし、彼女は本当にこのまま隠れていられるのか、仕事に戻る日は来るのか、きっといつか彼女が命を狙われる日がくるのでしょうが、その時は老婦人たちが大活躍して助けてくれるのでしょうし、その辺りも楽しみです。


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2021年06月11日

リース・ボウエン「巡査さん、事件ですよ」

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 リース・ボウエン 著
  田辺千幸 訳
 「巡査さん、事件ですよ」
 (原書房)※電子書籍


雄大な自然の広がるウェールズ地方のちいさな村。都会から赴任してきた巡査のエヴァン・エヴァンズは、畑荒らしやアップルパイ泥棒の捜索、住民どうしのけんかの仲裁などにあけくれていた。悩み事といえば、大家さんの作る食事がおいしすぎてズボンがきつくなり始めたことと、パブのウェイトレスが猛アタックをしてくることだった。そんなある日、多くの登山客が訪れる山で死体が発見された。準備を怠ったことによる不幸な事故かと思われたが、エヴァンズはどうしてもひっかかることがあり……。 ―出版社HPより―


この作家さんは「貧乏お嬢さま」シリーズを1作だけ読んだことがありますが、始めは気づかずに読んでいました。それほど作風が違うように感じたのですが、それはきっと訳者が違うからでしょう。


ネットでの感想を読むと、巡査の人柄が良いとか、のどかな田舎の風景が良いとか書いてあったのですが、私的には巡査の人柄もよくわからないままでしたし、のどかな田舎の風景もイマイチ魅力的に感じられませんでした。

確かに山に登って素晴らしい景色を眺めるような日常って田舎感があるのですが、都会でも山に登ったら田舎感があるよね・・とか思ってしまいます。

田舎の良い所というよりも、知らない人がいなくて、それぞれの人生を事細かに知っているという好きではない部分が出ていて、出来れば住みたくないと思ってしまいました。


巡査は元々別の町に住んでいて、刺激的な毎日を送っていただけに、事故が起きると捜査に参加したがっています。実際に事故ではなく事件ではあったのですが、何だか事件を喜んでいるようにも感じられました。

もちろん、田舎ならではの、ケンカの仲裁しかないようでは、ミステリとして成り立たないんですけどね。


うまく田舎の風景と馴染んでくれたら読みやすかったのかもしれません。もっとおせっかいな人が出てきて、協力的に事件を解決していくとか・・?


このシリーズは何作か出ているのですが、私はもう読まないかな? もしかしたら、2作目以降の方が面白くなっているのかもしれませんが。


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2020年01月23日

エリー・アレグザンダー「ビール職人の醸造と推理」

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 エリー・アレグザンダー 著
  越智睦 訳
 「ビール職人の醸造と推理」
 (創元推理文庫)


南ドイツに似た風景が広がる、ビールで有名なアメリカ北西部の町・レブンワース。町で一番のブルワリーを夫とその両親と切り盛りするわたしは、幸せな日々を過ごしていた―夫の浮気が発覚するまでは。わたしは家から夫を追い出し、新規オープンするブルワリーで働くことに。開店初日は大盛況。しかし翌朝、店で死体を発見してしまい―。愉快で楽しいビール・ミステリ登場!―裏表紙より―


初めましての作家さんです。

あらすじを読むと、アメリカの設定なのですが、ドイツの村を真似て作られた町ということで、読んでいるとどこだっけ?と何度か戸惑うときがありました。

調べてみると、本当にある町のようですね。実際にドイツの町を再現したような町だそうで、混乱しても仕方ないかな?と。先に写真を見ておけば良かったのですが、妙に古臭いイメージで読んでしまって、主人公の息子がPCを駆使して作業するのを読んで戸惑ってしまいました。

アメリカでビール造りというのも珍しいような気がしますね。ワインのようにこだわって作っている職人たちの話です。


でも、物語の冒頭は、主人公が夫の浮気現場を目撃する場面なんです。題名に合わない状況・・。

浮気相手は若い従業員となれば、怒り炸裂するのもわからなくもないですが、主人公の性格もどんな生活を送っているのかも、家庭環境も何も知らない状況でいきなり旦那を追い出す所から始まるので、一瞬置いて行かれた感じがしてしまいました。

夫を追い出した後は、少しずつ主人公の生活ぶりが明かされていきます。

どうやら、夫の両親が営むビール醸造所を手伝っている様子。さすがにそのまま手伝うわけにもいかず、別の新しく出来る店で働くことになります。

そこで色々なアイディアを出していく様子を見ていると、なかなかのやり手みたいだとわかってきます。料理の腕も良さそうです。そして何よりもビール造りの腕もかなりのもののようです。


これから順調に働いて馴染んでいくんだろうな・・と思ったら、死体発見!となります。

そういえば題名も「推理」と付いていましたね。

そこからは何となく事件のことも気にしつつ、色んな人を疑いつつ、店もうまく切り盛りしつつ話は進んでいきます。


はっきり言って、ミステリの部分はいらないんじゃないか?と思うほどあっさりしたものでした(というか、覚えていないくらいの結末でした)。

ミステリが無くても、ビール造りの奥深さや、ビールに合う料理の数々、町の雰囲気や、最低な夫の家族たちの素敵な人柄、かっこいい息子の存在などなど、面白い要素がいっぱいでした。

主人公のことはイマイチすきになりきれなかったのですが、それ以外の部分でも楽しめたので、もしシリーズ化するのであれば、続きも読んでみようかな?と思いました。


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2018年08月06日

レイ・ペリー「ガイコツは眠らずに捜査する」

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 レイ・ペリー 著
  木下淳子 訳
 「ガイコツは眠らずに捜査する」
 (創元推理文庫)


大学講師の母と高校生の娘、お喋りな骸骨シドの三名が愉快に暮らすサッカリー家。娘マディソンが出演する劇に、シドも頭蓋骨だけ参加することとなった。ところがある日の練習後、頭だけ学校で一夜を過ごす羽目に。翌日回収されたシドは、“殺人”の音を聞いたと言う。そんな事件は報道されていないが、母ジョージアは親友を信じ調べはじめる。真相をあばくのは母娘と骸骨の絆?―裏表紙より―


前作を読んで気に入ったので、再び献本になっていたのを見つけて「本が好き!」で申し込みました。


前作では娘・マディソンはシドの存在を知らなかったのですが、今作ではばれてしまっているのでシドの行動が大胆に。ばれないようにコソコソするのも面白かったですが、行動範囲が広がっても面白かったです。

今回はなんと、マディソンの通う高校にまで出かけて行きます。しかも頭だけ。劇の小道具に使われるために登校するなんて・・。家に頭蓋骨がある高校生って何なんだ??怪しすぎます! でもそこは誰も突っ込まずサラッと流されて受け入れられているようです。

毎日当然持って帰るつもりだったシドの頭を、色々な偶然によって忘れて帰ったマディソン。翌日あわてて回収したら、シドが殺人を目撃、いや耳撃?聴撃?したと言うのです。声がしても頭だけだと動けないシドは、殺人と思われる物音と話声だけを聞いたわけです。

でも殺人ということは死体があるはずなのに、発見されたというニュースは無く、なかなか事件が発覚しません。

事件が発覚するまでにも紆余曲折あり、発覚後もその遺体が本当にシドが聞いたときの物なのかも不明で、調査は難航します。


今回は事件と共に、ジョージアが働く環境、特に非常勤講師の待遇の悪さ、そしてアメリカの大学受験の裏側なんかが描かれていて興味深く読めました。

アメリカって大学に入るのは簡単だけど卒業するのが難しいというイメージだったのですが、それなりに大変なようです。

ジョージアは授業もうまくて、頭も良いようですが、非常勤講師に留まっているのはなぜなのか?その辺りの事情もわかりました。

そして、シドがどんな思いを抱えながら一家の中で暮らしているのかもわかり、ちょっと切なくなりました。人間誰しも誰かの役に立ちたいといつも願っているんですよね・・骸骨も同じだそうです。


次作では、シドにも新たな目標や生きる(?)意味が見つかりそうで、ますます読むのが楽しみになりました。訳されるのを待つことにします。


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2017年11月02日

レイ・ペリー「ガイコツと探偵をする方法」

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 レイ・ペリー 著
  木下淳子 訳
 「ガイコツと探偵をする方法」
 (創元推理文庫)


大学講師の職を得て、高校生の娘を連れ故郷へ戻ってきたジョージアは、親友のシド(世にも不思議な、歩いて喋る骸骨だ!)と再会した。人間だったときの記憶のない彼が、見覚えのある人物と遭遇したのをきっかけに、二人はシドの“前世”を調べはじめる。だが、その過程でできたての死体を発見、殺人事件も背負いこむことに。たっぷり笑えてちょっぴり泣ける、ミステリ新シリーズ。
―裏表紙より―


気になる題名だったので、「本が好き!」で献本申し込みしました。

題名を見たときは、骨格標本が家にあって、それに話しかけながら事件を解決していく探偵の話かと思ったら、あらすじを読んでびっくり! “歩いて喋る骸骨”だなんて!

ますます興味がわきました。


今回のメインになるのは、歩いて喋る骸骨のシドの前世(?)を調べること。これって、普通はシリーズ最終巻にやりそうなことですが、このシリーズでは1作目からやるそうな・・。

これがまたなかなか大変な調査になってしまい、何度も立ち止まることになります。何せ彼が生前のことをほぼ覚えていないのですから。しかも別の殺人事件にも巻き込まれて大変な事態に。

まあこの殺人事件は何ともつまらない動機だったんですけど。アメリカ人で、しかも大学で研究をしていたら理解できる動機なのかもしれませんが、日本人の私には全く理解できず。

そんなことどうでもいいやん!って思ってしまいました。それで人まで殺すか!?・・よくわかりません。


それにしても、シドは謎めいた存在としていた方が良いんじゃないの?と心配になったのですが、よく考えたら彼が生前どんな人物でどんな名前だったとしても、謎めいた存在であることは変わらないんですよね。だから1作目に彼のことがわかっても大丈夫なんです。

彼と、彼の友人、家族として幼いころから一緒にいるジョージアとの関係も良い感じです。お互いを思いやって生活しているのが素敵です。骸骨と過ごす毎日って想像出来ませんけど。

しかも、ジョージアには「ニヤッと笑った」とか怒ったとか、表情の無い彼の感情がわかるんです。これまた素敵ですし、笑えるポイント。

彼の過去がわかったとき、そして、彼がジョージア家族と新たに歩んで行こうと決めたとき、ちょっとホロリともさせられました。

登場人物たちのことも気に入りましたし、彼とジョージアたち家族が今後どんな生活をして生きていくのかも楽しみになったので、シリーズを追いかけようと思います。

本国では3作目まで書かれているとか。訳されて発売されるのを気長に待ちます。


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2017年08月25日

ジュリア・バックレイ「そのお鍋、押収します!」

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 ジュリア・バックレイ 著
  上條ひろみ 訳
 「そのお鍋、押収します!」秘密のお料理代行1
 (コージーブックス)


昼間は両親の不動産業を手伝う普通のOL。そんなライラにはもうひとつ別の顔があった。それは秘密のお料理代行。ちょっと訳ありの依頼人―料理下手なのを隠したい、高齢で料理できなくなったことを家族に内緒にしたい―さまざまな事情を持つお客さんのもとに、美味しい料理を作ってこっそり届けるのだ。ところがある日、いつもどおり秘密の注文を受けて作ったチリコンカンがイベントで振る舞われると、最初に口にした女性が死亡してしまった。何者かが鍋に毒を混入したらしい。ライラはその料理を作ったのが自分だとすぐに警察に話そうとするものの、依頼人は秘密を明かすことを許してくれない。そのせいでライラはとんでもない窮地に追いやられてしまい!?―裏表紙より―


初めましての作家さんです。新たなシリーズに出会いたくて読んでみました。

主人公・ライラは、料理代行という実際にあるのかわからない仕事をしています。この仕事、なかなか面白いです。確かに料理下手よりも料理上手な方が魅力的に感じてもらえますから、恋人や知人たちに言い格好をしたくて頼んでくる人は多そうです。

パーティー好きなアメリカですしね。ちょっとしたホームパーティーをするにも、教会でのパーティーにもとにかく料理は必要なわけで、作れない人は誰かに作ってもらいたいと思うでしょう。

ケータリング業者はいますが、それだったら手作り感は出ませんから、「自分で作ったのよ」と言いたい人にはぴったりです。


そんな面白い仕事をしているライラが依頼されて作った料理を食べた女性が突然苦しみ出して亡くなってしまいます。当然、ライラが疑われるところなのですが、秘密の仕事なので、依頼人が「自分が作った」と言い張ってしまいます。

疑われても秘密を明かさない依頼人の根性はある意味あっぱれですが、「人が死んでるのに!?」と呆れる気持ちにもなりました。料理上手と思ってもらうことがそんなに大事か?

そのお陰でライラは捜査上にも浮かばないわけですが、秘密にしたせいで最後に悲しいことにつながるので、良かったかどうかは微妙です。


事件の内容や人間模様はどうでもいい感じですが、ライラが飼っている犬のミックは最高に可愛いですし、料理代行という仕事も面白いですし、ライラの家族も良い人たちなので、続きも読んで行こうと思います。

気になる出来事もありましたし。

もう発売されているので早めに手に入れることにします。


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2017年05月17日

ロバート・クレイス「容疑者」

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 ロバート・クレイス 著
  高橋恭美子 訳
 「容疑者」
 (創元推理文庫)


ロス市警の刑事スコットは相棒とパトロール中、銃撃事件に遭遇する。銃弾はふたりを襲い、相棒は死亡、スコットも重傷を負った。事件から九カ月半、犯人はいまだに捕まっていない。警備中隊へ配属となったスコットはそこで新たな相棒―スコットと同様に、大切な相棒を失ったシェパード、マギー―に出会った。アメリカ探偵作家クラブの生涯功労賞を受賞した著者の大作登場。―裏表紙より―


初めましての作家さんです。

何だか久しぶりの海外小説で、相変わらず物覚えの悪い私らしく、登場人物一覧を指で挟みつつ読みました。


いきなり、シェパード・マギーが相棒を失う場面から始まります。マギーの視点と気持ちが描かれているので、読んでいて心が痛くなってしまいました・・。

心と身体に傷を負ったマギーがどうなったのか?と次の章に進むと、今度は刑事2人がパトロールしている場面に。どうやらこの2人はカップルなのかな?と思っている間に銃撃戦が始まってしまい、女性警官が亡くなってしまいます。

生き残ったスコットも重傷を負い、恋人も失ってしまった心の傷を抱えてしまいます。

そしてスコットとマギーが出会うんだね?・・と読み進めてみても、なかなか出会わず、そこまでがちょっと読みにくい感じでした。早く出会わないと、スコットが壊れてしまいそう・・と思ったらやっと出会いが。

同じように大事な相棒を失くした者同士、とはいえ、片方は動物ですからそう簡単には仲良くなれるはずもなく。

更にスコットは元々動物に慣れていたわけでもないので、時間がかかってしまいます。

教官の教えを忠実に守りつつ、時間をかけてゆっくりとマギーとの関係を深めていくスコット。

2人がどんどん心を通わせていく様子は、とても穏やかで幸せな気持ちにさせられました。とはいえ、殺人事件の捜査という重いテーマが背後にあるのでそこまでほのぼのできたわけではないですが。

どうやって2人が事件を解決していくのか、どんな活躍を見せてくれるのかを楽しみにしながら読み進めているうちに終わってしまった、という感じでした。


どうやら続編も発売されるそうで、スコットとマギーの関係が今後どんな風に深くなっていくのか、楽しみになりました。


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2015年10月07日

アリ・ブラントン「書店猫ハムレットの跳躍」

書店猫ハムレット

 アリ・ブラントン 著
  越智睦 訳
 「書店猫ハムレットの跳躍」
 (創元推理文庫)


ニューヨーク、ブルックリンの書店を大叔母から相続した、三十代半のダーラ。堂々と書棚を徘徊し、緑色の目で冷たく客を睥睨する黒猫ハムレットが店のマスコットだ。ある日、ダーラは近所の工事現場で常連客の死体を発見してしまう。その脇には動物の足跡が。最近、夜に外を出歩いているらしいハムレットのものなのか? 名探偵猫ハムレット登場の、コージー・ミステリ第一弾。―裏表紙より―


新たなコージーシリーズに出会いたくて、「本が好き」で献本申し込みしました。


書店と黒猫。私の好きな2つがミックスされるなんて!ワクワクしながら読み始めました。

でも、途中で何度か引っかかりが。初めての話のはずなのに“ご存知の通り”的な記述が出てくるんです。もしかして2作目なのか?とあとがきを見ても“本邦初紹介”とありますし、裏表紙にも“第一弾”とあります。訳し方の問題か?と再び読み進めてみたのですが、やはり引っかかりが。改めてあとがきをじっくり読んでみると、本邦初紹介ではありますが、シリーズとしては2作目だとか。

なるほど納得です。ハムレットの魅力が2作目(本作)の方がよく出ているからという理由だそうですが、やはり順番に読まないとつじつまが合わない所や、登場人物たちの性格や人生などが把握しきれない部分が多くて、しっくりいきません。

2作目から訳すのであれば、それなりに文章に説明が必要になるでしょうが、それも出来ないから頭に“?マーク”が浮かんだままになる所がありました。


でもやっぱり、黒猫はかわいいです。黒猫は愛想がいいことが多いと思っているのですが、このハムレットは猫らしくツン!としたクールな性格。それが書店にぴったりなんですよね。あまり客にくっついてくるような猫だったら書店には向かない気がします。本を選んでいるときに、サラッとそばを通過する猫。最高のシチュエーションです!


物語は、ダーラが従業員を探す所から始まります。普通に面接して、人柄や経歴で決めるわけにはいかないのが、ダーラの悩み。面接で好印象でも、ハムレットが嫌いだったら不採用。そこが簡単そうで難しいのです。

今回の面接でハムレットが気に入ったのは、若い男性。彼はダーラと何やら問題があったようなのですが、そこはクリアできたようです。この部分も1作目を読まないとわからないのかもしれません。


コージーらしく、動機はわからなくても犯人は何となくわかりますし、主人公が特に調べを進めて犯人に近づいているわけでもないのに、ボロを出すパターン。ただ、このシリーズでは黒猫・ハムレットが犯人のヒントをいくつか与えてくれますから、それを元に推理すれば良いわけです。主人公は解けなかったのですが。


主人公・ダーラがどうも好きになれなかったのですが、書店員の2人や、元刑事で探偵をやっているジェイクや、刑事のリースなどは魅力的だったので、また続きも読んでみようと思います。次に訳されるのは、3作目らしく、1作目はいつ読めるのか?不安ではありますが。


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2015年02月03日

パトリック・デウィット「シスターズ・ブラザーズ」

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 パトリック・デウィット 著
  茂木健 訳
 「シスターズ・ブラザーズ」
 (創元推理文庫)


粗野で狡い兄・チャーリー。普段は優しいが、キレると大変なことになる弟・イーライ。悪名とどろく凄腕の殺し屋シスターズ兄弟は、雇い主の“提督”に命じられ、ある山師を消しにサンフランシスコへと旅立つ。ゴールドラッシュに沸く狂乱のアメリカ西海岸で、兄弟は何に出遭い、何を得て、そして何か失うのか? 世界の読者に衝撃を与えたブラッディ&ブラックな傑作、文庫化!−裏表紙より―


本屋さんで平積みされているのを見て興味を持ち、「本が好き!」で献本申し込みしました。


まず表紙のインパクトにやられました。銃を構えている2人の姿と見せかけて、実は背後に髑髏! よくできた表紙ですよね。内容にもぴったり合っています。

古い時代の西部劇的な話で、馬に乗って旅をしたり、銃で決闘したりするような内容になっています。凄腕の殺し屋、シスターズブラザーズという兄弟の物語で、弟・イーライが語る方法で話が進められていきます。

そのせいで、弟が兄のことをどう思っているかはよくわかるのですが、兄・チャーリーが弟のことをどう思っているのかはわからないままでした。とりあえず「かわいい奴め!」的な感情をもっているのはわかりますけど。

この2人が雇い主である“提督”に命令された仕事(もちろん暗殺)をこなすために、サンフランシスコまで旅をするその道中から描かれています。旅の間にもさまざまな人物と出会い、次々と殺害し(!)事件を巻き起こしていく兄弟。

やたらと人は死ぬし、すぐにキレるし、読んでいて顔をしかめたくなる描写も多いのですが、なぜかこの2人は憎めないんですよね・・。

イーライに至っては、実は良い奴なんじゃないか?と思ってしまうほどでした。まあ実際にはサラッと人を殺せる奴なんですけどね。でも兄のチャーリーよりは人間味はありました。


この旅で兄弟が何を感じて何を手に入れて、何を失うのか?がテーマになっていて、最後には良い物を(再び)手に入れることができたので、救われました。

彼らのその後の人生を読みたいと思いましたが、冷静に考えてみるとこれで終わって良かったような気もします。この先の人生はきっと物語にするほどにもない平凡で平和な、ある意味とても幸せな人生になるはずですから。


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2015年01月09日

ピエール・ルメートル「その女アレックス」

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 ピエール・ルメートル 著
  橘明美 訳
 「その女アレックス」
 (文春文庫)


お前が死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが・・・しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理小説作家協会賞受賞作。−裏表紙より―


初めましての作家さんです。

ネットで評判が良かったので読むことにしました。とても面白かったのですが、ページ数の多さと字の細かさに時間がかかってしまいました。

続きはかなり気になって、自分的には次々読んだつもりだったのですが・・。


感想を書こうと思っても、この作品は難しいです。何を書いてもネタばれになる気がします。

読み終わったら、この題名に納得させられます。始めは、誘拐監禁の被害者の名前を題名に付けるとは・・・と疑問に思っていましたし、結構早い段階で容疑者が判明した上に、犯人が死亡するという事態になり、残りのページは何に使ってるんだ!?と思っていたら、驚きの展開が待っていました。

あらすじにあるように「ここまでは序章にすぎない」のです。大逆転かどうかはともかく、帯にあるように「予想が全て裏切られる」かどうかもともかく、正しくアレックスの物語であって、他の人たちは脇役にすぎません。

ただ、脇役ではあっても、警察側の人間たちは個性的で魅力的でした。最愛の妻を殺害された傷心の警部・カミーユを始め、部下の凸凹コンビも素敵でした。彼らの活躍する話は他にもあるようです。


とても面白いミステリーで、ラストまで衝撃の展開があって、お勧めです!とみんなに宣伝したい所なのですが、アレックスの人生があまりにも壮絶すぎて、事件の内容がエグすぎて、大きな声では勧めにくい感じがします。

なので、エグイのが比較的大丈夫な方、海外ものが大丈夫な方は読んでみて下さい・・ということにします。


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先日、久しぶりに本屋さんに行ったら、この本が平積みですごい宣伝されていました。何やらタイトルを6つもとったそうですね〜。そうか・・これをそこまで推すなんてすごいな〜!


2014年09月10日

ローナ・バレット「本を隠すなら本の中に」

本を隠すなら本の中に

 ローナ・バレット 著
  大友香奈子 訳
 「本を隠すなら本の中に」本の町の殺人3
 (創元推理文庫)


「いますぐわたしの家から出ていって!」大学時代のルームメイト、パミーが家に転がり込んで二週間、家を占領するだけでなく、書店で客に迷惑をかけるにいたって、ついにトリシアの堪忍袋の緒が切れた。なのに追い出したその日のうちに、隣の書店の店主でトリシアの姉が、彼女を雇ってしまったのだ。そのパミーが店の裏で殺された。古書と専門書の町、読書家の聖地ストーナムで起こる事件を描く、ライトミステリ。アガサ賞候補作。−裏表紙より―


面白そうだったので、「本が好き!」で献本申し込みしました。

シリーズの第3作目から読んだので、いきなり主人公・トリシアがパミーという友人を追い出すところから始まり、その展開に驚いてしまいました。

たぶん、前作にも登場し、色々と迷惑をかけていたのでしょうが、登場してすぐに追い出されてしかも殺されてしまったパミーに同情する暇もありませんでした。

事件の調査をするときに聞こえてくる話によると、どうやらパミーは良い人とは言え無さそう。彼女はフリーガンだった!という事実が判明するのですが、フリーガンって何?と思ってしまいました。どうやらゴミ箱を漁って、ごみの中から賞味期限切れの食品や使えそうな食器や電化製品などを拾ってきて生活する人たちのことのようです。

調べた所、Freegansと綴るそうです。自由とか無料という意味の「free」と菜食主義者の「vegan」を合わせた言葉のようです。フーリガンではないんですよ。

一瞬、ホームレス的なことかな?と思ったのですが、家はあって仕事もあって、でもごみを減らしたいとか、生活費を減らすためとか色々な思想をもって、ごみを漁っているそうです。

パミーは同じフリーガンからも疎まれていたようで、彼女の貪欲さが気に食わないと思う人も多かったわけです。彼女の新たな一面を見せられて戸惑うトリシア。容疑者も多くてなかなか解決できそうにもありません。

そのうち、トリシアにも脅迫めいた電話がかかってきて・・・。


今までの2作では警察関係者と険悪なムードだったようですが、今回は新たな警察官が事件を捜査していて、トリシアはちょっと恋をしそうな雰囲気です。この2人の関係もこれから楽しめそうです。

トリシアを含め、彼女の姉や恋人、従業員など、面白そうな人物がたくさん登場していたのですが、やはり3作目から読んでもキャラクターが把握できませんでした。

これは、1作目から読むべきでしょう! 何しろ、ミステリー専門店や料理本専門店など、本屋さんがたくさんある小さな町の物語なんですから、楽しいことが次々起こりそうで読みたくなってしまいますよね。

次は1作目に戻って読み始めることにします。


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2014年08月21日

リース・ボウエン「貧乏お嬢さま、メイドになる」

パイは小さな秘密を運ぶ

 リース・ボウエン 著
  古川奈々子 訳
 「貧乏お嬢さま、メイドになる」
 (コージーブックス)


20世紀初頭のスコットランド。英国王族でありながら、侯爵令嬢ジョージーの暮らしは貴族とは名ばかりの貧乏生活。凍えそうな古城でこのまま一生を終えるのかしら? ところがある日、最悪の縁談を耳にしてしまったジョージーは、思わずロンドンへ逃げ出すことに。そこで生活のためにはじめた仕事は、なんとメイド!王族にあるまじき行動が王妃さまの耳に入らないことを祈りつつ、慣れない掃除に悪戦苦闘する毎日。でも、メイドから見た貴族の生活は意外に面白いかも!?そう思いはじめた矢先、仕事帰りの彼女を待ち受けていたのは、浴槽に浮かぶ死体! 初めての仕事に殺人事件まで・・・ジョージーのロンドン生活は一筋縄ではいかず!?−裏表紙より―


はじめましての作家さんです。シリーズ1作目ということで、始めの方はほとんど主人公の人生やとりまく環境の説明で終わってしまっていました。


主人公・ジョージーは、王族ということですが、王妃からはかなり遠い親戚ということで、先祖代々の由緒ある家柄の割にはお金がありません。なのに、広いお城に住んでいてそのお城も維持しなければならず、中身は驚くほど貧乏です。

貧乏なくせに体面は保たないといけない・・まるで、昔の日本の武士のようです。

王位継承順位もかなり下の方となれば、女性の生きる道は結婚しかありません。いかにお金持ちで由緒正しき家柄の男性と巡り合うか、が重要な課題になっています。

でもジョージーは家柄よりも人柄を大事にしたいタイプなので、嫌な縁談から逃げ出すために家を出ました。ロンドンで一人暮らし!少しは掃除などの家事が出来るので、それを仕事に活かそうとメイドになる決意をします。

ただ、メイドといっても日本で言う“家政婦”とは違い、お掃除係って感じです。しかも、田舎からロンドンの別宅に久しぶりに出てくるお金持ちを相手に、ロンドンに来る前に家を掃除しておくという何とも楽そうな仕事。ジョージーも電話で「はたきをかけてシーツをかけておきます」としか言いません。

それだけで大金をもらえるなんて羨ましい・・。まあ確かに広い家にはたきをかけるわけですから、それなりに時間はかかるかもしれませんけど。

なんてことを思いながら読み進めているとやっと事件が起きます。題名から想像すると「家政婦は見た」的な感じで事件に巻き込まれるんだろうと思っていたのですが、主人公の自宅に死体が!という展開でした。これからやっと推理が始まるわけね?と思ったのに、さすがコージーだけあって、特に何もしないまま事件は解決。

ということで、謎解き部分は物足りない感じでしたが、舞台設定とジョージーのことも気に入ったので、続きも読んでいこうと思います。2作目以降は、説明も減って多少ドタバタ劇も増えるかな??


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2014年07月09日

アラン・ブラッドリー「パイは小さな秘密を運ぶ」

パイは小さな秘密を運ぶ

 アラン・ブラッドリー 著
  古賀弥生 訳
 「パイは小さな秘密を運ぶ」少女探偵フレーヴィア・シリーズ
 (創元推理文庫)


11歳のあたしは、イギリスの片田舎で、化学実験に熱中する日々をすごしてる。ある日、何者かがコシギの死体をキッチンの戸口に置いていき、父が尋常ではない恐れを見せた。そして翌日の早朝、あたしは畑で赤毛の男の死に立ち会ってしまう。男は前日の晩に、父と書斎で口論していた相手だった……。活溌な少女の活躍を温かくのびやかな筆致で描く、CWAデビュー・ダガー受賞作。


初めましての作家さんです。ネットで感想を読んで面白そうだったので楽しみにしていました。

イギリスの田舎を舞台に巻き起こる殺人事件。それを解決しようと立ち上がるのは、11歳の少女! フレーヴィアという名前の天才少女の視点で話は進んで行きます。

彼女は、何よりも化学が大好きで、何でも科学的に物事を考えようとしています。特に毒薬関係は大好きなので、気に入らないことを言ってくる姉にもこっそり毒薬を仕込みます。・・とはいえ、殺そうとしているわけではありません。口紅に混ぜて、唇を腫れさせてやろう!というまだまだかわいらしい(かどうかは微妙ですが)ことを考えているのです。年頃の娘にとっては、唇が腫れるだけでも大事ですけどね・・。

フレーヴィアが死体の第一発見者となってしまい、父親に容疑がかかったので「自分が解決しなければ!」と力が入った彼女は、色々な仮説を立てては、自らの足で聞き込みをして、また別の仮説を立てて・・と大活躍します。

ただ、やはりまだ子どものすることなので、読んでいてハラハラさせられることも多いです。どこに犯人がひそんでいるかわからないのに、自分の推理だけを頼りに突き進んでいく彼女の様子は心配させられました。

まあ、あまり鮮やかに解決!というわけにはいきませんが、彼女のがんばりによって解決したといっても良いかも知れません。


色々細かく書かれているようで、意外と人物像がつかめない人も多かったので、続きも読んでいきたいと思います。


最後に訳者による解説を読んでびっくりしました。この作家さんはなんとデビューが70歳だったそうで、そんな年齢の人が少女探偵を主人公にするなんてすごいですよね。

また、イギリスが舞台なのに、カナダの人だとか。イギリスには行ったことが無いそうです。色々驚かされる作品でした。


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2014年06月04日

S・J・ボルトン「緋の収穫祭」

緋の収穫祭

 S・J・ボルトン 著
  法村里絵 訳
 「緋の収穫祭」
 (創元推理文庫)


「血の収穫祭」と呼ばれる伝統的な儀式が残る英国の小さな町。ある日、教会の墓地の塀が崩れて、そばにあった幼い少女の墓が壊れてしまう。だが墓からは、そこに眠っているはずのない二人の子供の遺体までもが発見された。少し前まで土には埋められていなかったようで、頭蓋骨には酷い損傷があった。この地でかつて何があったのか? 血塗られた町の秘密を暴く戦慄のミステリ!−裏表紙より−


初めましての作家さんです。面白そうだったので、「本が好き!」で献本になっていたので申し込んでみました。


読み終わるまでかなり時間がかかってしまいました・・。ページ数が多いということもありますが、私の苦手なホラー要素が多くて読み進めにくかったのも原因になっています。

ホラーは、結末を読んでスッキリさせた方が良いのですが、先に結末を読むのは自分の流儀に反する!・・だからがんばって地道に読み進めるしかないのに、進まなかったんですよね。



「血の収穫祭」という伝統儀式がある小さな町が舞台になっています。この儀式は、簡単に言うと家畜を解体して、冬支度をすることなのですが、血が大量に流れますし、家畜たちの叫び声もこだまして、近所には住んでいられないくらいです。

その儀式が行われる場所の近くに引っ越した来た一家が、この物語の主軸を担います。中でも長男で10歳になるトムが、様々な体験をして、精神科にかからなければならないくらいの状態になってしまうのですが、彼は長男らしく弟と小さな妹を必死で守っています。


あらすじにはすぐに教会の塀が崩れて遺体が発見されたようになっていますが、この事件が起こるまで半分くらい読み進めないといけません。そこまでが特にホラー的で怖かったです。

真相がわかれば納得できるのですが、殺人事件の動機については、それまでのホラー要素以上にゾッとさせられました。狂わされてしまった犯人に同情したくなる部分もありますが、大半は「だからといって、なぜあの子を殺すんだ!」と怒りの気持ちになりました。

何とも後味の悪い結末でした・・。


夜のシーンが多いせいか、ずっと暗い画面が続く感じもあり、住んでいる人たちの行動や考え方などがかなり古い気がして、勝手に西部劇のような恰好をした人物たちを思い描いていました。

なのに、パソコンが携帯電話が登場するので違和感を感じてしまいました。

古い伝統の残る小さな町ってこんな感じなんですかね?


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2013年11月28日

デボラ・クーンツ「私の職場はラスベガス」

私の職場はラスベガス

 デボラ・クーンツ 著
  中川聖 訳
 「私の職場はラスベガス」
 (創元推理文庫)


ラスベガスでも有数の巨大カジノホテル<バビロン>で働くラッキーは、つねに様々なトラブルの対応に追われている。今夜は顔見知りの従業員がホテルの遊覧ヘリから落ちて死ぬ事故が発生。事態収拾のため動きだすが、信頼するオーナーは何かを隠している様子。この件、単なる事故ではないというのか? 歓楽の都で裏方として働く行動派ヒロインの活躍を描いた、期待の新シリーズ。−裏表紙より−


この本は「本が好き」で献本申し込みしました。


こういう、珍しい職業の裏側的な話、好きなんです。ドラマとかもついつい見てしまいます。ラスベガスは行ったことありませんが、華やかで煌びやかで派手なイメージがあり、海外ドラマも見ていました。

お陰で、このホテル<バビロン>の雰囲気も想像しやすかったですし、出てくる人たちの格好やしゃべり方なんかも思い浮かべながら読むことができました。


主人公のラッキーは、顧客関連係という仕事をしています。簡単に言うなら「苦情係」でしょうか。カジノ経営をしているホテルに宿泊する客が、お行儀の良い人ばかりのわけはなく、彼女の元には日々山のような仕事が押し寄せてきます。

その問題たちを、時にはとびっきりの笑顔で、時には暴力と脅しをかけて、ビシビシと処理していく彼女の姿は、読んでいてかなりスッキリさせられました。とても魅力的な女性なんです。

ラッキーの周辺にいる男性たちも魅力的です。彼女のボスであるホテルオーナーのビッグボス、親友の女装ものまねタレント・テディ、謎めいた警備員や辛辣な言葉を投げかけつつもきちんと助けてくれる部下たち。ちょっと登場しただけの人物もみんな個性的で魅力的です。

彼らもこの華やかなラスベガスの雰囲気を彩っています。


この物語では、殺人事件の捜査をしていくわけですが、その謎解きの部分はあまり興味がわきませんでした(犯人は誰かわかった上で探していたので謎解きにもなっていなかった)。でも、それ以外の部分が面白くて、どんどん読み進めることができました。ページ数が多いので時間はかかりましたが。

ただ、ラッキーやほかの人たちの性的な話が多すぎる気がしました。途中で「もういいって!」と放り出したくなることも。でもまあ、これもラスベガスなのかな?とも思います。

もし続編が出たら読もうかな?


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2013年08月23日

マシュー・ディックス「泥棒は几帳面であるべし」

泥棒は几帳面であるべし

 マシュー・ディックス 著
  高山祥子 訳
 「泥棒は几帳面であるべし」
 (創元推理文庫)


マーティンの生業は泥棒。といっても、窓ガラスを壊したり家を荒らしたりはしない。盗みに入る家を慎重に選び、住人の外出時間や周囲の環境を徹底的に調べて、“お得意”を決め、泥棒が入ったことに気づかれないように食料品や宝石などを盗んでいるのだ。だがある日、とんでもない“事件”が発生してしまい・・。とびきり几帳面な愛すべき青年の活躍(?)を描くお仕事ミステリ!―裏表紙より―


ルパン三世的な華麗なる泥棒が厳重な警備をどのようにかいくぐってお宝を盗むのか?という話を想像していたのですが、全然違いました。まあ、ある意味題名にも表紙の絵にもぴったりの内容でしたけど。

始めのうちはくどくどと泥棒であるマーティンがどうやって盗むのか?ということばかり描かれていて、読むのがだるくなっていたのですが、気づけばマーティンに惹かれていて、読むスピードも上がりました。

このマーティン、はっきり言ってルパン三世とは大違いの小さな泥棒です。もし捕まってもきっと数年で出所できるだろうと思われるくらいです。盗む物は、日用品や食料なんです。しかも、盗み方が巧妙!読みながら感心してしまいました。この盗み方はこの本の面白い部分なので、ここには書かないでおきますけど。

私の家にもしこんな泥棒が入って盗んでいっても、絶対に気付かない自信があります。そんな自信はどうなんだ!?と思いますけど、これに気付く人っているのか?と思うくらい巧妙です。・・・・というか、そこまでして何で盗む?おかしいんちゃう?と何度も突っ込んでしまうくらい。その神経質で緻密な計画を立てられる頭を他に活かせよ!って感じです。

ヘアキャップをかぶり、ラテックスをはめ、一つに家に居るのは15分以内・・・などなど、彼にはたくさんのルールがあり、それを確実に守って今まで捕まらずに盗んできていました。

このまま彼の泥棒生活が描かれて終わるのか?と心配になる頃、やっとある事件が起こります。まあ、事件とは言っても笑ってしまうようなことなんですけどね(すでに読んでいる方に言うと、歯ブラシ事件のことです)。

でも、この辺りからどんどん面白くなりました。

彼が本当に良い奴なんです。“良い奴”は言い過ぎか?・・・う〜ん、でも憎めない奴なんですよね。人が良いというか、性格は良いので、こんな泥棒ならもし鉢合わせても痛い目にはあわされずに済みそうです。泥棒と鉢合わせするなんて、絶対にいやですけど。


結末はあまりにも都合よくいきすぎで、それは無いでしょ!と思いましたけど、憎めないマーティンなので、これはこれで良いかと思えました。こんな都合よくいっても、自信過剰になったりするタイプではないので、大丈夫でしょう。


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2013年07月30日

カーリン・イェルハルドセン「お菓子の家」

お菓子の家

 カーリン・イェルハルドセン 著
  木村由利子 訳
 「お菓子の家」
 (創元推理文庫)


数週間の入院生活を終えた老婦人が自宅で見つけたのは、見知らぬ男の死体だった。その頃殺人者は、高揚した気分で自らの行為を思い返していた。悔やんではいない。ただ、もっと苦しめてやらなかったのが残念だった。ショーベリ警視率いる警察の調べはいっこうに進まず、そのあいだにも次の被害者が。スウェーデン・ミステリ界に開花した新たな才能。ショーベリ警視シリーズ第一弾。―裏表紙より―


この本は面白そうだったので、「本が好き」で献本申し込みしました。


紹介文を読んで「ショーベリ警視シリーズ」だということを知りました。確かに警視の部分もあったけど、それほど活躍したわけでも無かったんですけどね〜。

まあ、面白いというか、興味深い人物ではあるのですが。ショーベリ警視だけではなく、他の捜査チームのメンバーも個性的でした。まだ掴めない感じもありますし、何でこの人のことをここまで色々描くのかわからない部分もあったので、これは今後の作品で明らかにされていくのかな?と思いますが。


始めは読みにくい雰囲気でした。陰湿な場面から始まりますし、文章が硬くて読みにくい感じだったんですよね。でも、殺人者の日記という部分を読むと面白くて、その辺りからは読みやすくなりました。


最後にはどんでん返しがあって、「お!」と思わされたのですが、解決してもスッキリしない感じが私の好みではありませんでした。もう少し救いがあると良いのですが。

中に出てきた、元幼稚園の先生にもイライラ。彼女がもう少し、イヤ、もっと広い目線を持っていれば、子どもに情熱をもって接していれば・・と思うと腹が立ちます。

大人の干渉を受けないまま、おのれの狭いテリトリーと社会的立場を守るために、必要なことをしたまでだ。
という文章に激しく共感しました。

ネタバレになりそうなので、あまり詳しくは書けませんが、幼い頃って、幼稚園や学校など、生活範囲が狭くて、世界も狭いんですよね。狭い世界で生きていると、何か少しでも嫌な事があると全てが嫌になったり、人生さえも悲観してしまう・・。もっと冷静に自分のことを見つめられたら、いじめによる自殺や陰湿ないじめも無くなるのに。

なんてことを考えながら読み終えました。


三部作の一作目だそうなので、続きを読めば、ショーベリ他警察官たちのキャラクターがはっきりしてくるのかもしれません。

少し描かれた事件も解決していませんし、これは続きも読まないとダメでしょう!


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