2012年03月17日

藤原伊織「ひまわりの祝祭」

初めましての作家さんです。

ひまわりの祝祭

 藤原伊織 著
 「ひまわりの祝祭」
 (講談社文庫)


自殺した妻は妊娠を隠していた。何年か経ち彼女にそっくりな女と出会った秋山だが、突然まわりが騒々しくなる。ヤクザ、闇の大物、昔の会社のスポンサー筋などの陰がちらつく中、キーワードはゴッホの「ひまわり」だと気づくが・・・。名作『テロリストのパラソル』をしのぐ、ハードボイルド・ミステリーの傑作長編!−裏表紙より−


主人公・秋山(僕)は、温めた牛乳とホイップクリームの入ったドーナツが好き・・“ハードボイルド=酒”という勝手なイメージをいきなり覆されましたあせあせ(飛び散る汗) たばこは吸いますが特別ヘビースモーカーというわけでもなさそうです。

ハードボイルドの主人公らしく、堕落した生活はしていますが。人生を達観しているというわけではなく「どうでもいい」と諦めてる、無気力な人生を送っています。仕事もせず一日中家でぼんやりしている。唯一の趣味は映画鑑賞。しかも昔の映画をビデオで見る・・。

「つるつるのプラスチックみたいに平板な生活」を送っていた彼にある夜、転機が訪れます。あらすじにも書かれているように今まで何の縁も無かった闇の世界の人たちと関わりをもつことになり、ゴッホの名作まで絡んできて、彼は今までのような無気力、無関心ではいられなくなります。


展開も早くて、登場人物たちも面白くて(特に気に入ったのは新聞配達員の佐藤くん)、一気に読めそう!と思っていたのに、なぜか読み終わるまでに何日もかかってしまいました。途中、ゴッホの説明が長かった・・というのもありますけど。

最後の解説を読んで、その理由がわかったのですが、この作家さんは文章がとても丁寧なんです。主人公の行動や、その場所の描写など、とても詳しく書かれています。そういう場面って普段ならサラッと読み飛ばす感じになるのに、この本はそれが出来なかったんですよね。一つひとつを頭に思い浮かべてしまう。ぼんやりではなく、結構しっかりとしたイメージとして浮かべないと先に進めない感じがしました。しかも、自分では特に意識していないのに、自然とそうしていた・・という感じ。それで時間がかかったようです。


そして、最後はとても悲しい結末。でも悲しいだけじゃなくて、ちょっと見える光・・という感じがとてもよかったです。主人公の奥さんの話は泣きそうになりましたけど、想いが伝わったのは良かったです。


この作家さんはもうお亡くなりになっているそうで、新しい作品は望めませんが、まだ他にも色々ありそうなので追いかけてみようと思います。


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2012年02月23日

田中啓文「ハナシにならん!」

ハナシにならん!

 田中啓文 著
 「ハナシにならん! 笑酔亭梅寿謎解噺2」
 (集英社文庫)


金髪トサカ頭の竜二が飲んだくれの落語家・笑酔亭梅寿の内弟子となって、はや一年。梅駆の名前はもらったものの、相も変わらずどつかれけなされの修業の日々を送っている。そんな中、師匠の梅寿が所属事務所の松茸芸能と大ゲンカ、独立する羽目に―!東西落語対決、テレビ出演、果ては破門騒動と、ますますヒートアップする笑いと涙の落語ミステリ第二弾!−裏表紙より−


今回も落語の題名がそのまま使われていて、話が始まる前に解説がついています。


相変わらず滅茶苦茶な師匠・梅寿。弟子たちだけでなく、所属事務所や落語協会なんかにも迷惑をかけまくっています。

お金にいつも困っている師匠は、竜二が落語対決のテレビ収録の為に東京へ行く費用までも遣い込んでしまう始末・・。こんな師匠についていると苦労します。

竜二は始めからなかなかのセンスを持っているようで、メキメキと力を付けています。でも、自信はかなり無い。自分に自信が無いというよりも、落語という芸に対して自信が無い感じなので、若手の漫才やコントなんかを見ては落ち込み、東京の“粋”な落語を見ては落ち込み・・と、なかなか前に進めません。

で、話の最後には必ず、師匠の落語を聞いて感動して「やっぱり落語で行ける!」と思うんですから、いい加減気づいたら良いのにと、読んでいるとイライラします。

まあ、師匠が竜二に暴力ではなく、声をもっと掛けてあげたら違うんでしょうけどね。修業は辛いです。


前作は謎解きが必ず入っていて、唐突な感じがしたんですが、今回は謎解きよりも竜二の成長や落語界、芸能界、更には梅寿の独立話などがメインになっています。私はこちらの方が読みやすかったです。

道具屋」という話では最後に泣きそうになりました。電車の中じゃなかったら間違いなく泣いていたでしょう。


ますます行動がヒートアップしてきた梅寿師匠から目が離せなくなってしまった私。続きも楽しみです。


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2012年02月18日

滝田務雄「田舎の刑事の動物記」

田舎の刑事の動物記

 滝田務雄 著
 「田舎の刑事の動物記」
 (創元推理文庫)


野生のサルの被害が問題になり、変人学者の主張でサル対策を警察が主動しなければならなくなった。しかも不可解な状況で発生したボスザルの死の謎をも解き明かす必要に迫られ、黒川刑事はしぶしぶ捜査に乗り出す―田舎でだって雑事件は起こる。鬼刑事黒川鈴木、今日も奮闘中。第三回ミステリーズ!新人賞受賞作家による脱力系ミステリ第二弾、肩の力を抜いてお楽しみください。−裏表紙より−


まさしく「肩の力を抜いて」楽しむミステリーです。でも、笑えるだけじゃなくて、結構本格的な推理もあるんですよね。そのギャップにはまっています。

このシリーズはドラマ化され「デカ黒川鈴木」という題名で今放送されています。ドラマを見ているので、本を読みながらドラマのキャストが頭に浮かんでしまいました。まあ、それだけはまり役ってことなんでしょうけど・・。ただ、黒川鈴木は人物は浮かばなかったんです。きっとドラマでは関西弁だからでしょう。イメージも違いましたしね。


今回も大きな事件から、小さな事件まで6つの事件を解決する黒川たち。普段、部下の白石や奥さんに振り回されいじめられている情けない黒川ですが、事件の捜査を始めると鋭い観察眼を発揮します。普通なら気づかないような小さな出来事をつなぎ合わせ、事件を解決していきます。普段の姿が嘘のようにカッコイイ黒川に変身です。

前作は、田舎の中で起きた事件だけでしたが、今回は何と海外にまで行って偶然遭遇した事件を解決して見せます。海外では更に情けなくなる黒川の姿に笑ってしまいました。


私の大好きな奥さんもまだまだ健在。前作より行動の突飛さは少しおとなしくなった気はしますが、それでも十分変な行動をしますし、黒川に対する態度もなかなかです。白石もパワーアップし、唯一まともに見えていた赤木もだんだん行動が変になってきました。これから良いキャラになりそうです。


疲れた頭で読むとリラックスできるような、笑えるけど意外と本格的なミステリーです。今後も楽しみになりました。


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2012年02月16日

長岡弘樹「陽だまりの偽り」

陽だまりの偽り

 長岡弘樹 著
 「陽だまりの偽り」
 (双葉文庫)


物忘れがひどくなってきた老人が、嫁から預かった金を紛失。だがこのことで、老人は同居している彼女の気持ちに触れる―表題作。市役所管理の駐車場で人が転落死した。事件は役所内の人事に思いもよらぬ影響を与えた―「プレイヤー」。日常に起きた事件をきっかけに浮かびあがる、人間の弱さや温もり、保身や欲望。誰しも身に覚えのある心情を巧みに描きだした5編。2008年度日本推理作家協会賞受賞作家のデビュー作、待望の文庫化!−裏表紙より−


表題作の他に「淡い青のなかに」「プレイヤー」「写心」「重い扉が」が収録されています。

初めて読んだ「傍聞き」がとても私の好みだったので、デビュー作も読んでみました。デビュー作とは思えないほどの出来でこちらも私の好みでした。


日常の謎を解いていくと、人間同士の繋がりというか、相手の気持ちがよくわかるようになり、「人って良いな」と思わせられる話ばかりで、一話読むごとにじ〜んと感動が広がる感じでした。「プレイヤー」だけは最後まで居たたまれない感じですが。人も死にますしね。


私が特に気に入ったのは表題作と「重い扉が」です。

表題作「陽だまりの偽り」では、物忘れがひどくなった老人が、嫁にそのことを気づかれないように毎日を過ごしているその微妙な気持ちの揺れ動きが伝わって来て、次々読み進めました。最後は嫁の気持ちがわかり、血は繋がらないながらもその絆の深さが感じられて、泣きそうになりました。

重い扉が」は、父親と息子の絆が描かれています。なぜか突然、反抗的な態度をとる息子を持て余す父親。でも息子の気持ちがわかったとき、全ての行動に納得ができて、感動が広がります。父親を思いやる素敵な息子の姿が、さわやかな気持ちにさせてくれました。


どの話も短くて、でも中身が濃い、そして短時間で読めてしまえるそんな作品集です。

これからも、この作家さんを追いかけようと思います。


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2012年02月14日

天野頌子「陰陽屋へようこそ」

陰陽屋へようこそ

 天野頌子 著
 「よろず占い処 陰陽屋へようこそ」
 (ポプラ文庫ピュアフル)


母親にひっぱられて、中学生の沢崎瞬太が訪れたのは、王子稲荷ふもとの商店街に開店したあやしい占いの店「陰陽屋」。店主はホストあがりのイケメンにせ陰陽師。アルバイトでやとわれた瞬太は、じつはキツネの耳と尻尾を持つ拾われ妖狐。妙なとりあわせのへっぽこコンビがお客さまのお悩み解決に東奔西走。店をとりまく人情に、癒されるほのぼのミステリ。単行本未収録の番外編「大きな桜の木の下で」収録。−裏表紙より−


知人から借りたので、内容を知らずに読み始めて、驚きました。中学生がいきなり妖狐だなんて!!まあ「妖狐」という名前を聞くとちょっと怖いイメージですけど、瞬太は耳と尻尾が狐になるのと、狐火(しかも熱くない)が出せるくらい・・。狐の耳と尻尾だけなら、怖いよりも逆に可愛いかも??ただ、これ以上成長すると辛いでしょうけど。男子高校生に狐の耳と尻尾ってあせあせ(飛び散る汗)・・・想像しただけで怖いです。

王子稲荷に捨てられていたという瞬太ですが、育ての親たちがとても明るくて瞬太に本当の親以上の愛情を注いでいるので、暗さが全くありません。


安倍祥明という「安倍晴明」をもじったような名前を持つインチキ陰陽師と、妖狐の瞬太という二人がやっている陰陽屋。主人である陰陽師がイケメンだということで、女性に人気となってきました。お祓いなんかもやりますが、特に評判なのはやはり占い。しかもイケメン陰陽師に手を握ってもらえるという理由で「手相」が特に人気です。

占い以外にも「両親が狐に憑かれたから祓ってほしい」とか「家出した娘を探してほしい」とか「祖母の遺言書を探してほしい」とか様々な依頼や謎も持ち込まれ、祥明はそれらしい言葉を並べながら解決していきます。もちろん、瞬太も共に行動し、祥明を助けます。


とまあ、登場人物や背景なんかも軽くて、あっさり読み切ることができる話でした。

特に番外編の「キツネ取材日記」は面白かったです。瞬太は周りに自分が「妖狐」だとバレないように努力しているのですが、クラスメートたちは意外と彼のことをあっさり受け入れて、とても好きでいてくれている・・ということがわかって心が温かくなりました。

とにかく良い人ばかり出てくる話で、ほっこりしたいときに読みたい作品でした。


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2012年02月04日

田中啓文「ハナシがちがう!」

初めましての作家さんです。

ハナシがちがう

 田中啓文 著
 「ハナシがちがう! 笑酔亭梅寿謎解噺」
 (集英社文庫)


上方落語の大看板・笑酔亭梅寿のもとに無理やり弟子入りさせられた、金髪トサカ頭の不良少年・竜二。大酒呑みの師匠にどつかれ、けなされて、逃げ出すことばかりを考えていたが、古典落語の魅力にとりつかれてしまったのが運のツキ。ひたすらガマンの噺家修業の日々に、なぜか続発する怪事件!個性豊かな芸人たちの楽屋裏をまじえて描く笑いと涙の本格落語ミステリ(『笑酔亭梅寿謎解噺』改題)。−裏表紙より−


連作短編で、話ひとつひとつに落語の噺の題名が付いています。話に入る前に月亭八天さんによる解説が書かれていて、よりわかりやすくなっています。もちろん、話の中でもその落語が演じられます。

題材となっている落語は比較的初心者向けという感じ。「らくだ」とか「平林」とか、落語に詳しくない(ほとんど知らない)私でも知っているような落語が多いので1冊目としては入りやすいと思います。「時そば」が上方では「時うどん」と言うなんてことも知らず、勉強になりました。


不良少年・竜二が梅寿に弟子入りして、少しずつ成長していく姿が描かれています。竜二は落語のことを全く知らないですし、興味も全くない状態で無理やり弟子入りさせられました。ハチャメチャな師匠・梅寿に振り回され、どつきまわされながらも何とか食らいついていく・・。

この師匠があり得ないほど傍若無人で、大酒呑みの上に暴力を振い、弟子には稽古をつけない放任主義・・という弟子にとっては良いこと無し!な感じの人です。でも実は落語の腕が最高で、落語を知らない竜二でさえも惹きつけられてしまうようなすごい話術をもった落語家なんです。一度は聞いてみたいもんです。解説の文珍さんによるとモデルは六代目笑福亭松鶴では無いか?ということですが、お亡くなりになってますし・・。


謎解きもあるわけですが、それはあまり気になりませんでした。というか、必要かな?と思うくらい。事件が解決するのは痛快なんですが、あまりにも唐突すぎる気がして、自分も謎解きを楽しむようなことはありませんでした。それでも話に入り込めるのは、それだけ出てくる人たちが魅力的だからでしょう。それと軽快な大阪弁!ぴかぴか(新しい)(ということで大阪弁が苦手な人には楽しめない作品だとも言えます)

落語家だけではなく、芸人さんたちの裏の様子が詳しく書かれていますし、何よりも竜二の成長ぶりや師匠の破天荒ぶりが気になって仕方なくなるんですよね。

ぜひ続きも読もうと思います。


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タグ:田中啓文

2012年02月02日

初野晴「退出ゲーム」

初めましての作家さんです。

退出ゲーム

 初野晴 著
 「退出ゲーム」
 (角川文庫)


「わたしはこんな三角関係をぜったいに認めない」―穂村チカ、廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。上条ハルタ、チカの幼なじみのホルン奏者。音楽教師・草壁先生の指導のもと、吹奏楽部の“甲子園”普門館を夢見る2人に、難題がふりかかる。科学部から盗まれた劇薬の行方、六面全部が白いルービックキューブの謎、演劇部との即興寸劇対決・・・。2人の推理が冴える、青春ミステリの決定版、“ハルチカ”シリーズ第1弾!−裏表紙より−


結晶泥棒」「クロスキューブ」「退出ゲーム」「エレファンツ・ブレス」という4話からなる連作短編集です。

青春ミステリと書いてあったので、軽い気持ちで読み始めたのですが、なかなか濃い内容のミステリでした。でもノリは高校生の軽い感じなんですよね。だから雰囲気に流されると、意外と濃い内容に戸惑うことになります。そのギャップが良いのかもしれませんが。


あらすじに「2人の推理が冴える」とありますが、実際はチカの推理は冴えませんたらーっ(汗) ワトソン君にもなれていないくらいの実力で、ただハルタに暴力を振ってやらせ、慌てて騒ぐ役ですあせあせ(飛び散る汗) そんな彼女の視点で話は進むので、私みたいに全く推理力の無い人には共感しやすい感じになっています。

ただ、ハルタらすごい推理力の人たちにはついていけない・・。チカと一緒にぼ〜っと彼らの推理を眺めて終わる状態が続きます。

ハルタだけでもすごいのに、チカ以外で出てくる人たちはほぼ全員、頭が恐ろしく切れる!本当に高校生か!?どれだけ偏差値いが高い高校なんだろう??・・でも、チカみたいな子もいるんですよね。高校自体も謎です。


ハルタとチカは幼馴染でありながら、恋のライバルでもある。その辺りの設定も面白いと思ったのですが、この1作目ではあまりその関係が必要だと思えませんでした。2作目以降でもっと出てくるのかな??彼らが好きになる相手のこともまだまだ謎だらけですし、これはぜひ続きを読まなければ!


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タグ:初野晴

2012年01月31日

大倉崇裕「三人目の幽霊」

三人目の幽霊

 大倉崇裕 著
 「三人目の幽霊」
 (創元推理文庫)


衝撃の辞令を受けて泣く泣く「季刊落語」編集部の一員となった間宮緑は、牧編集長の洞察力に感嘆しきり。風采は上がらず食べ物に執着しない牧だが、長年の経験で培った観察眼に物を言わせ、しばしば名探偵の横顔を見せるのだ。寄席の騒動や緑の友人が発したSOS、山荘の奇天烈も劇的な幕切れはご覧の通り。意表を衝く展開を経て鮮やかに収斂する、妙趣あふれるデビュー連作集。−裏表紙より−



同じように落語をテーマにしたミステリーでも、愛川晶さんの「神田紅梅亭寄席物帳」シリーズとは雰囲気が違う話でした。「神田紅梅亭寄席物帳」では、落語家とその妻がメインとなって事件を解決していきますし、事件は全て落語界での出来事です。でもこの話では落語家がメインではありませんし、落語界の出来事以外のことも題材になっています。

謎解き方法も、落語を通してというよりは、落語をベース(ヒント)にして解く感じで、落語はメインではなく脇役って感じです。

個人的にはガッツリ落語の方が好きかも・・。


三人目の幽霊」「患う時計」の2話は、落語界で起きた事件を解決しますが、「不機嫌なソムリエ」「崩壊する喫茶店」では間宮緑の周辺で起きた謎を解明します。

三鶯荘奇談」なんて、それまでずっとライトミステリー色を出していたのに急に人が死んでしまう・・しかも私には怖かったもうやだ〜(悲しい顔)


崩壊する喫茶店」で、ちょっと納得できずに読み終わったとしても、それはあとがきの「解決噺」という所を読めばスッキリできると思います。ぜひ最後まで読んで下さい。


どれも軽く読めて面白い話ばかりなのですが、元になる落語を知っているとより楽しめる気がしました。

探偵役の牧編集長のとぼけた感じは好感もてますし、彼自身まだまだ謎が多い人なので、これからその辺りも明らかにされていくのかもしれません。


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タグ:大倉崇裕

2012年01月21日

長岡弘樹「傍聞き」

ネットで評判が良かったので買ったみました。初めましての作家さんです。

傍聞き

 長岡弘樹 著
 「傍聞き」
 (双葉文庫)


患者の搬送を避ける救急隊員の事情が胸に迫る「迷走」。娘の不可解な行動に悩む女性刑事が、我が子の意図に心揺さぶられる「傍聞き」。女性の自宅を鎮火中に、消防士のとった行動が意想外な「899」。元受刑者の揺れる気持ちが切ない「迷い箱」。まったく予想のつかない展開と、人間ドラマが見事に融合した4編。表題作で08年日本推理作家協会賞短編部門受賞!−裏表紙より−


題名は「かたえぎき」と読みます。直接言われたことよりも、他人同士が話していることを漏れ聞いた方がより本当らしく聞こえる・・という意味だそうです。

この表題作も面白かったですね〜。刑事である母親と小学生の娘という母子家庭の話なんですけど、始めのうちはこの娘がかわいくなくて、イラッむかっ(怒り)としてしまうんですが、最後に「良い子だった」とわかり、より深く感心してしまいます。


「そうか、そうだったのか」・・これが、この短編集の全ての話に通じる私の感想といえるかもしれません。それぞれの話で不可解な行動を取る人物が登場し、周りは意味がわからず混乱する状態になります。そして、最後にその行動の意味が明確にされ「そうか、そうだったのか」になるわけです。

しかも、心温まる話ばかり(「迷い箱」だけはやりきれない気持ちになりますが・・)。

私が特に気に入ったのは「899」です。消防士が隣に住む女性に恋する所から話は始まるのですが、自分の玄関から隣の様子を窺う所では思わず「ストーカーの話か!?」と思ってしまいました。心が汚れてます・・私ふらふら 実際には淡い恋心で、まるで中学生かのような微笑ましい様子でした。


一つ一つの話は短いですし、ページ数も少ないのであっという間に読んでしまえます。でも中身は濃い。とても充実した時間を過ごした気がしました。

この作家さんの他の作品も読んでみようと思います。


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タグ:長岡弘樹

2012年01月10日

宮部みゆき「ステップファザー・ステップ」

ステップファザー・ステップ

 宮部みゆき 著
 「ステップファザー・ステップ」
 (講談社文庫)


中学生の双子の兄弟が住む家に落っこちてきたのは、なんとプロの泥棒だった。そして、一緒に暮らし始めた3人。まるで父子のような(!?)家庭生活がスタートする。次々と起こる7つの事件に、ユーモアあふれる3人の会話。宮部みゆきがお贈りする、C・ライス『スイート・ホーム殺人事件』にも匹敵する大傑作!−裏表紙より−


ドラマ化すると知って読むことにした本なので、あらすじを読まずに買いました。今、読んでみてびっくりしました。もしこんなあらすじを読んでいたら、きっと買わないな・・と。ここまで期待感を煽ってしまうと、ハードル上がりすぎでしょう。これが、大好きな作家さんの本なら迷いなく買うでしょうけど、そこまで好きじゃない作家さんだと止めそうですたらーっ(汗)

それはともかく・・。


孤高の泥棒が、とある事情で双子の父親になることに・・という設定はとても面白くて、始めはワクワクしながら読んでいたのですが、だんだんスピードが落ちてしまいました。

短編集なので読みやすいですし、謎解きの部分も面白いんですけど・・。主人公の“俺”にも、双子にもあまり感情移入できなかったからかな?とあせあせ(飛び散る汗) 誰のこともあまり好きになれなかったんですよね。唯一、“親父”のことは結構気に入ったんですけど、出番は少なめですし。

誰のこともきちんと理解できなかったというか、人物像がつかめないまま終わった気がしました。もう少し長ければわかったのかもしれませんし、それぞれの感情をもっと描いてもらえたら良かったのかも。

ネットで感想を読んでいると「双子ちゃんがかわいかった」とよく書かれていました。でも私にはかわいさがわからなかったんですよね・・ふらふら “俺”が嫌がりながらも、双子にどんどん惹かれてしまって、冷たくできない感じは面白かったんですけど、それも浅い気がしました。

あ〜、なんか辛口になってます・・もうやだ〜(悲しい顔)


面白くないわけではないんですよ。たぶん、私はこの作家さんとの相性がイマイチなんでしょう。でも「火車」は楽しめたので、合う物と合わない物があるんだと思います。「火車」の前に読んだ作品(題名も忘れましたが)も好きじゃなかったですし。

評判は良いので、きっと楽しめると思います。・・って説得力ないですね、すみません。


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ドラマは・・
タグ:宮部みゆき

2011年12月08日

大倉崇裕「福家警部補の挨拶」

初めましての作家さんです。


福家警部補の挨拶

 大倉崇裕 著
 「福家警部補の挨拶」
 (創元推理文庫)



冒頭で犯人の視点から犯行の様子が描かれ、その殺人事件を福家警部補がどのようにして解決していくか?を描く倒叙ミステリー。図書館館長、科警研の元主任、女優、酒造会社社長が起こした事件を、ちょっと冴えない容姿の福家警部補が解いていく。「最後の一冊」「オッカムの剃刀」「愛情のシナリオ」「月の雫」計4編収録


帯に「刑事コロンボ、古畑任三郎、そして・・福家警部補」と書いてあったので、先に犯行の様子や犯人が明らかにされてから話が進むことはわかっていました。「相棒」でもそういう話がありますし、気に入って見ていた2時間サスペンスなんかでもありがちな方法なので、違和感なく読み進めることができました。読んでみて、そういえば活字で読むのは初めてだということに気づいたんですけどね。倒叙形式っていうんですね〜。


シリーズ1作目ということで、福家警部補が女性であることに驚かされるのですが、それ以外ではあまり個性が無いというか、キャラクターが弱い気がしました。きっとこれから色々出てくるんでしょうけど。刑事コロンボや古畑みたいに、決め台詞みたいなものが無いのも原因かも?

この作品では、4人の犯人が出て来ます。どの人も必死で完全犯罪を狙っていることがわかります。かなり細かい部分にまで気を使っています。ただ、その工作が裏目に出ることも・・。

そして4人とも、福家警部補に疑問を投げかけられると、必死で「こうだから、被害者はこんな行動をしたのでは?」などと答えようとするんですよね。自分で自分の首を絞める感じ。犯人じゃないなら放っておける疑問も何とか解決しようとしてしまうんですね。犯人の心理って不思議です。

4話とも面白かったのですが、特に気に入ったのは「オッカムの剃刀」です。どれだけ細かい部分まで読み込めるか?が試されたような気がしました。私はかなり適当に読んでいるということがよくわかる話でした。何度も「そんな記述あったっけ?」と戻らないといけない感じで、読むのに時間がかかりました・・。

福家警部補の記憶力の良さと観察眼に感心しきりでした。


シリーズの続きを読むのが楽しみです。


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タグ:大倉崇裕

2011年11月30日

芦辺拓「裁判員法廷」

旅行記はまだ続きますが、これも読み終えたので先に感想を書いておきます。
初めましての作家さんです。

裁判員法廷

 芦辺拓 著
 「裁判員法廷」
 (文春文庫)



あなたのもとに届いた、裁判員候補に選ばれたという通知。裁判など初めての経験となるあなたは、同じように突然呼び出された仲間・他の裁判員と共にきちんと評決を下すことができるのか?


プロローグでいきなり作者から「あなた」と話しかけられます。そして裁判員に選ばれたことを知った「あなた」は、「審理」「評議」「自白」という3つの裁判を経験することになります。

自分自身が主人公になるという不思議な視点で話が進み、しばらくはとまどってしまいました。でも、いつ選ばれるかわからない、私でも選ばれる可能性のある「裁判員」がテーマということで、とても興味深く読めました。

3つの裁判に関わる検事、弁護士、裁判長や裁判官たちはずっと同じ人たちです。弁護士は森江春策という男性で、彼はのらりくらりとしていてつかみ所のない感じですが、意外と敏腕??と思わせる部分もあり、隠された真実をさりげなく掘り起こすことがあります。

検事は菊園綾子という女性。彼女はキレイな見た目でみんなの目線を釘付けにするようですが、腕もなかなかで、鋭い質問で被告人を追い詰めます。

裁判長は藤巻脩吾。彼は裁判員制度になってから、素人集団をうまくサポートして、彼らが評決を出すのを見守ります。裁判の場でも個性的な弁護士と検事をうまくさばいてくれます。


裁判の進み方もきちんと書かれていて、常に自分ならどうするかな?どう考えるかな?と想像しながら読み進めました。

特に「評議」では裁判員たちの話し合いが描かれているので、自分がそこにいたらどんな発言をするだろう?と考えさせられました。この人たちみたいにきちんと発言できるかな?とか、感情に流されないで判断することなんてできるかな?とか、色々不安にもなってしまいました。でも、選ばれたら断る理由も無いですし、後悔しないようにやるしかない!わけですけどね・・。


この作家さんのことはずっと気になっていたので、他の作品もぜひ読んでみたいと思います。


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タグ:芦辺 拓

2011年11月08日

宮部みゆき「火車」

火車

 宮部みゆき 著
 「火車」
 (新潮文庫)



足を撃たれリハビリのため休職中の刑事・本間は、亡き妻の親戚に頼まれて彼の失踪した婚約者・関根彰子を探すことになった。調べを進めると、彼女が自分の意思で失踪し、徹底的に連絡を絶っていることがわかってきた。やがて、彼女の生い立ちや人生にも秘密があることがわかり、実は関根彰子とは違う人物だということが明らかになる・・。


ドラマ化されるのを知って読もうと思ったこの作品。評判をみてみると、どうも賛否両論みたいでとても不安でした。私自身、昔この作家さんの本を読んで合わなかったこともあった(今となってはどの本を読んだかも忘れてしまいましたけど)ので、余計に心配しながら読み進める感じでした。

始めのうちは何度も男性作家が書いているような気がして(男性が主人公だからということもあり)どうも読みにくかったのですが、後半になってくると魅力的な女性がたくさん出てきて、しかもタイプがそれぞれ違っていて、その描写を読んでいるうちに「これは女性ならではの視点だな」と思えるようになってきました。


失踪した関根彰子という女性を探しているうちに、重大な秘密を知ってしまう本間。唯一残っていた写真を関係者に見せると「違う人だ」と言われたのでした。そこで今度は“関根彰子”と名乗って、親戚と婚約したこの女性の正体を探ることになります。

彼女の過去を探るために、本間は関根彰子の人生も遡り調べを進めていきます。どうして彼女は関根彰子の人生を乗っ取ることにしたのか?彼女はどこにいるのか?本物の関根彰子はどこにいるのか?・・調べを進める度に出てくる謎。


とてもページ数の多い本で、これって必要かな?と思うような場面もあるのですが、読み終わってみるとやっぱり必要だと感じました。謎の女性の人生を知る上で重要なこと。

依頼してきた親戚に「もう探すな」と言われたにも関わらず捜査を続けた本間が、自分がなぜ彼女をいつまでも探し出そうとしているのか?と疑問に思い、自分自身に問う場面があります。その理由を「彼女に会ってなぜこんなことをしたのかと尋ねてみたい。彼女の答えが聞きたい」からだと明かすのですが、それを読みながら思わず大きくうなずいてしまうくらい、私自身も彼女にどんどん興味がわいてきてました。

ラストは・・・とても中途半端な終わり方をしています。もっときちんと最後まで書いてほしいと思う人もいるでしょう。でも私はこれで良かったんじゃないか?と思うんですよね。これでもう彼女は1人で苦しまなくても良いんだ・・と何だかホッとしたんです。彼女の人生に寄り添いすぎたのかもしれません。

犯罪を犯した彼女ですが、どうしても同情せずにはいられなかったんです。もちろん被害者に対してもかわいそうだと思いますし、なんでこんな目に合わないといけないんだ!と怒りも湧くのですが、彼女だけを責める気になれないというか・・・うまく言葉にできませんが。

途中、涙しながら読み終え、長かったけど、読んで良かったと思えました。

さて、ドラマはどんな風になっているのか?楽しみなような、不安なような・・。今夜見てみることにします。


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タグ:宮部みゆき

2011年10月24日

東直己「バーにかかってきた電話」

バーにかかってきた電話

 東直己 著
 「バーにかかってきた電話」ススキノ探偵シリーズ2
 (ハヤカワ文庫)



いつものように行きつけのバーで呑んでいたは「コンドウキョウコ」と名乗る女性から電話で依頼を受けた。以前会ったことがあると彼女は言うがには記憶がなかった。依頼された通り任務を果たし、家に帰ろうとした所、電車のホームにつき落とされ殺されそうになった。俄然興味がわいたは、依頼人の正体を暴こうと調べ始め、同姓同名の女性が放火事件で殺されていたことを知った。


1作目であまり乗り切れなかったこのシリーズですが、2作目の方が面白いということを聞き、読んでみることにしました。確かに、面白い! こっちを映画化する理由がわかる気がしました。

1作目では女性が馬鹿みたいに書かれていたのが気になって仕方が無かったのですが、今回はそれが無くて読みやすかったというのもあります。相変わらず女性を見たら値踏みせずにはいられない感じはありましたけど。まあそれは現実世界でも同じでしょうし、女性も男性を見て評価を下すことありますから・・。


はバーで「コンドウキョウコ」と名乗る女性からの電話で依頼を受けます。依頼の内容は「ある人物に伝言をし、その反応を見てほしい」という奇妙な物でした。先にお金が振り込まれていたこともあり、何となく引き受けたは任務を果たします。ところが帰り道に命を狙われます。そこから積極的に調べ始めるのです。

ヤクザが絡んできたり、地上げ問題、そして傷害致死と思われた事件まで殺人だとわかり・・。どんどん複雑になっていきますし、も次々危険にさらされてしまいます。でも相変わらずお酒を飲みまくり、部屋はゴミだらけ。


前作ではのことが気に入らなかったのですが、今回は意外と良い奴かも・・と思えるようになりました。人間臭さが良いかも。ゴミだらけの部屋はゾッとしますが、怒りと恐怖が混在した状態のときに一気に部屋を片付ける所とか、暴力を振るわれるとすぐに謝ってしまう所とか、でも次の瞬間「やり返してやる!」と息巻く所とか。


依頼人の正体は早い段階で予想がついたのですが、最後にはウルッとしてしまいました。あまりにも切ない、やりきれない結末・・。この終わり方しかなかったのかもしれないですけど、それにしても辛かったです。


というわけで、とても面白く読み終えましたぴかぴか(新しい)

ただ、気になること一つ。表紙の絵なんですが、春の話なのになぜか雪景色なんですよね。色合いはきれいだと思いますが。


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タグ:東直己

2011年10月20日

永嶋恵美「別れの夜には猫がいる」

泥棒猫ヒナコ 別れの夜には・・

 永嶋恵美 著
 「泥棒猫ヒナコの事件簿 別れの夜には猫がいる」
 (徳間文庫)



「あなたの恋人、友だちのカレシ。強奪して差し上げます」という怪しげな広告を出しているオフィスCATには、次々と依頼の電話がかかってくる。様々な事情を抱えた女性に成功率100%の泥棒猫ヒナコが、優しく手を差し伸べる・・。「宵闇キャットファイト」「孔雀たちの夜宴」「夜啼鳥と青い鳥」「烏の鳴かぬ夜はあれど」「別れの夜には猫がいる」計5編収録


泥棒猫ヒナコシリーズの第2弾です。前作よりも更にパワーアップしたヒナコさんの活躍が見られます。


オフィスCATの社員・楓さんの悲しい過去の話が表題作で書かれています。リストカットを繰り返していた過去を持っている楓さんだからこそ、今では依頼者の女性に対して誠心誠意向き合うことが出来るのかもしれないな・・と。リストカットをしてみたいと思ったこともない、そこまで恋愛で傷ついた記憶もない私みたいな人には勤まらない仕事だと再確認。まあ、こんな仕事をしたいとは思いませんけど・・。困っている人を助けるという意味では素敵な仕事ですけど、それに恋愛が絡むとなるべく関わりたくないと思ってしまいます。


今回も悲しい事情を抱えたカップルがたくさん出て来ます。どれも面白かったのですが、私が特に気に入ったのは「烏の鳴かぬ夜はあれど」です。

家庭内暴力や小さな子どもも絡んできて、痛ましい事件ではあるのですが、ヒナコさんの身体を張ったがんばりがより際立っていました。

赤の他人を助けるためにここまでできるなんて・・と単純に感動してしまいました。

今回は楓さんの過去が明かされたので、いつかヒナコさんの過去も明らかになるのかもしれません。知りたいような、知りたくないような・・。どうしてここまで身体が張れるのか、知りたい気もしますし、明かされたらそれで話が終わりそうで残念な気もしますし。

とりあえず、しばらくは続けてほしいと願っています。



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タグ:永嶋恵美

2011年10月13日

赤井三尋「花曇り」

花曇り

 赤井三尋 著
 「花曇り」
 (講談社文庫)



わたしは名人位をもつ棋士として、若き棋士との名人戦を控えていた。娘と二人暮らしだが、もうすぐ娘が嫁ぐことになり、身の回りにも変化が訪れようとしていた−「花曇り」他「老猿の改心」「遊園地の一齣」「クリーン・スタッフの憧憬」「紙ヒコーキの一齣」「三十年後」「アリバイの一齣」「青の告白」「善意の一齣」「誘惑の一齣」計10編収録


この作家さんは「翳りゆく夏」を読んで、結構あっさりとしたミステリを書かれる方だと思っていたので、意外とハードボイルドやブラックな作品もあって驚かされました。


花曇り」では、主人公の“わたし”が名人位の棋士ということで、囲碁について詳しく書かれています。囲碁は全くわからない私でも支障なく読むことができましたけど、詳しい人ならもっと楽しめたのかもしれません。主人公の静かな暮らしぶりが好感もてる作品です。現代ではなく戦中戦後の話なので、主人公の日常だけではない深い味わいもありました。


私が気に入ったのは「クリーン・スタッフの憧憬」です。テレビ局の掃除係をしている女性の話なのですが、この女性がとても好印象で、素直で真面目で一生懸命な感じが良かったです。短い話ですが中身が濃くて面白かったです。もう少し長く書いてくれたらもっと長く楽しめたのに・・と残念に思うくらいでした。


ほとんどの話が楽しめたのですが「三十年後」はどうしても頭にストーリーが入ってこなくて、最後の方は読み飛ばしてしまいましたバッド(下向き矢印) ゲームの話が延々と続くのが辛かったんです。


題名を見てもらえばわかると思うのですが、一つおきに「〜の一齣」という話が入っています。これは短編の中でも更に短い話で、2〜3ページ程度の長さで書かれています。

でもギュッと内容が詰まっていて、中には暗い終わり方の物もありましたけど、ほとんどはニヤッと笑ってしまうようなオチついていて短いながらも楽しめました。


色んな作品を書かれる作家さんだとわかったので、他のも読んでみようかな?と思いました。あらすじ読んで吟味しないといけないかもしれませんけど・・。


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タグ:赤井三尋

2011年10月04日

永嶋恵美「泥棒猫ヒナコの事件簿 あなたの恋人、強奪します」

初めましての作家さんです。

泥棒猫ヒナコ

 永嶋恵美 著
 「泥棒猫ヒナコの事件簿 あなたの恋人、強奪します」
 (徳間文庫)



年下の彼から逃げていた梨沙は、携帯サイトの掲示板で「あなたの恋人、友だちのカレシ。強奪して差し上げます」という怪しげな広告を見かけ、つい電話してしまった。梨沙の依頼を受けた皆実雛子は、梨沙の彼を強奪する。雛子は依頼人である梨沙の心のケアもしてくれ、梨沙は癒されていった。


題名を見たときに想像した内容と違って、意外とあっさり後腐れなくさわやかに読み終えることができました。


いわゆる“泥棒猫”というのを職業にしているヒナコさん。彼女の手にかかればどんな男性も心を奪われてしまいます。つまり、成功率100%という彼女。そんなヒナコさんがどうやって男性の心をつかむのか、そして依頼してきた女性の心も癒すのか・・が物語になっています。


6話からなる短編集で、1話目では彼のDVから逃れるために依頼してきた梨沙という女性の話が書かれています。最近ではありがちなカップルかもしれませんが、DVから逃げるのはかなり大変なことみたいですけど、ヒナコさんのお陰でキレイに別れることができました。

1話目から面白かったのですが、こんな感じで話を続けてたら6話分もネタがあるか?と心配になってしまいましたあせあせ(飛び散る汗) でも、最後まで読んで納得。カップルって色々なタイプがいるんですよね。だからそれぞれの事情も別れたい理由も色々あるわけです。お陰で最後まで飽きずに読めましたし、とても面白く読み終えることができました。

切ない話やちょっとゾクッとする話など、内容も盛りだくさんで良かったです。

しかしまあ、付き合うって大変ですね〜。幸せなときは良いけど、別れようと思ったら本当に大変・・。お互いの気持ちが同時に冷めたら問題ないですけど、なかなかそうはならないですもんねたらーっ(汗) ここまでこじれたことがない私にとっては「ふう〜ん大変なんだね・・」って感じで他人事として読めましたが、そうでない人には読むと何か思い出してしまうこともあるのかも。

女性が読むと共感できる部分もあるでしょうが、男性が読むとどう思うんだろう?とも思います。とりあえず、私は読んで痛快!でしたわーい(嬉しい顔)

続きもあるので、また買って読もうと思います。


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タグ:永嶋恵美

2011年09月07日

東直己「探偵はバーにいる」

初めましての作家さんです。

探偵はバーにいる

 東直己 著
 「探偵はバーにいる」ススキノ探偵シリーズ1
 (ハヤカワ文庫)



はススキノで便利屋をしている。いつも通りバーで飲んでいたに話しかけてきたのは大学の後輩だった。同棲している彼女が急に連絡が付かなくなったから探して欲しいと依頼されたは、簡単な調査で済むだろうと軽く引き受けたのだが・・。


同棲相手がいなくなる・・なんてよくあることだろうと軽く引き受けたわけですが、少し調べ始めると意外と複雑だとわかりました。

チンピラやヤクザたちまで絡んで、更には殺人まで・・。自身も暴力を受けるはめに。バーを中心にお酒を大量に飲みながら彼女探しを続けます。


久しぶりのハードボイルドで、文章の感じもちょっと慣れなくて、波にのるのに時間が必要でした。北海道の方言はともかく、それ以外の不良っぽい言葉使いの方が気になってしまい、引っかかったんですよね・・バッド(下向き矢印)

後輩の彼女がいなくなったことと、殺人事件の関係が気になって読むスピードはどんどん上がっていきました。

ただ、その彼女のイメージが何だか急に変わったような気がして、ついていけない部分も。

女性の描かれ方も何だかひどかったので、それも残念でした。女性の職業は別に良いんですが、あまりにも頭が悪そうに書かれているので、感情移入しにくかったです。


・・と色々思ったのに、どうも気になる話なんですよね。のことは最後まで好きにはなれなかったのですが、周りにいてに振り回される気の良い人たちのことが気に入ったんです。

バーのマスターや友人たち、利用されるだけされて、怒りつつもなぜかに協力してしまう・・。それだけに魅力があるんでしょうけどね。「おじさんががんばってる」という感じが好感もてました。実際は「おじさん」と呼ぶほど年齢はいっていないんですが。


1冊だけでは、判断がつきにくかったので、とりあえず2冊目も読んでみようと思います。


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タグ:東直己

2011年08月24日

赤井三尋「翳りゆく夏」

初めましての作家さんです。第49回江戸川乱歩賞を受賞した作品です。あまり賞のことは意識せずに読んだのですが。


翳りゆく夏

 赤井三尋 著
 「翳りゆく夏」
 (講談社文庫)



東西新聞に誘拐犯の娘が入社することが週刊誌のスクープ記事となったことで入社をやめようとしている優秀な彼女を必ず入社させるべく、人事部長・武藤は説得を始めた。一方で、20年前の誘拐事件の再調査を始めた東西新聞の窓際社員・梶は、当時の関係者から話を聞くうちにある事実をつきとめた。


面白かったです。一気に話に入り込めましたし、一気に読みきる感じでした。

最近読んだ、乃南アサさんの「風紋」「晩鐘」と同じようなテーマで、一つの事件が起こす波紋(影響)の大きさが描かれています。ただ、同じことを書いているのに、雰囲気は全く違いました。こちらは少し軽い感じがしたんですよね。

それは被害者や加害者の子どもの心境が書かれていないことが原因だと思います。第三者的な立場の新聞記者が当時の関係者たちに取材することで解決していくので、当事者と言える人たちの心の中は想像するしかない。

そのお陰で、最後まで暗くなりすぎず、でも適度に重くて読みやすかったんです。最後まで楽しめたんですよね。

ただ一つ残念だったのは、被害者本人(ネタバレになりそうなのでこんな説明になりますが)の未来が書かれていなかったこと。この人はどうやって事実を受け入れたのか?そしてどうやって乗り越えたのか・・が知りたかったです。


この作家さんの作品、他の物も読んでみたいと思いました。


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タグ:赤井三尋

2011年07月22日

愛川晶「芝浜謎噺 神田紅梅亭寄席物帳」

芝浜謎噺

 愛川晶 著
 「芝浜謎噺 神田紅梅亭寄席物帳」
 (創元推理文庫)



寿笑亭福の助は二つ目ながらその腕前を高く評価される落語家。彼の妻・亮子は全く落語のことを知らなかったが最近ではすっかり噺家の女房らしくなってきた。福の助の弟弟子・亀吉が故郷で独演会を開くことになりそこで「芝浜」をやりたいので稽古をつけてほしいと頼んできた。二つ目になったばかりの亀吉がやるには難しいこの演目。なぜ彼はこの噺にこだわるのか?−「芝浜謎噺」他「野ざらし死体遺棄事件」「試酒試」計3編収録


亮子が少し落語会について詳しくなってきたので、説明も少し細かい部分が多くなってきました。前作が“落語入門”なら今作は“初級編”という感じです。亮子と共に少しは成長できたかな?なんて思ったりして・・あせあせ(飛び散る汗) まあ、気のせいですけどね。

今回も不可解な出来事が起き、それを高座で落語をやりながら解決する・・という手法で話は進みます。


以前、弟弟子だった亀吉(昔は「はる平」でした)から「芝浜」の稽古をつけてほしいと頼まれた福の助。歴代の師匠たちも敬遠することがあったというこの演目。人情噺で亀吉にはあまり合わない噺だったので、稽古も大変です。

でも、亀吉がなぜこの噺をやりたいのか?事情を聞いた福の助は引きうけることにしました。ただ、師匠に教えてもらった噺をそのままやると、亀吉に合わない。独演会まで時間が無いので、日々悩むことになります。

そこで馬春師匠に相談に行き、ヒントを貰います。そして何とか亀吉に合うように改良し、うまく仕上げたのでした。


この「芝浜謎噺」も面白かったですが、私がもっと気に入ったのは「試酒試」です。

3年前に倒れてからうまくしゃべることが出来なくなり、64歳という年齢でありながら事実上引退してしまっている馬春師匠。彼にリハビリを続けてまた復帰してもらいたい!という願いはみんな持っていました。

江戸っ子らしい潔さでリハビリを止めてしまい、人前に出ることも嫌がり、元弟子の前でも筆談しかしない馬春師匠を何とかできないものか?

その強い願いが通じて、師匠を高座にあがらせることに成功したのです。その様子はまるで実際に目の前で演じられているかのようで、すごい迫力でした。思わず拍手しそうになる感じ。


馬春師匠は、実際の落語家さんでは誰に近いのかな?なんて考えつつ、一度寄席の雰囲気も味わってみたいと思うようになりました。


続きも楽しみです。


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タグ:愛川晶