
深町秋生 著
「ドッグ・メーカー」
(新潮文庫)
黒滝誠治警部補、非合法な手段を辞さず、数々の事件を解決してきた元凄腕刑事。現在は人事一課に所属している。ひと月前、赤坂署の悪徳刑事を内偵中の同僚が何者かに殺害された。黒滝は、希代の“寝業師”白幡警務部長、美しくも苛烈なキャリア相馬美貴の命を受け、捜査を開始する。その行く手は修羅道へと繋がっていた。猛毒を以て巨悪を倒す。最も危険な監察が警察小説の新たな扉を開く。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。
警察小説・・ではあるのですが、普通の警察小説とは違いました。大抵は捜査一課などの刑事さんたちの物語なのですが、これは監察。警察の中の警察のような部署なので、刑事たちからも嫌われる存在の人たちです。
しかも、主人公の黒滝は「ドッグ・メーカー」というあだ名が付けられる人物。よく警察小説を読む人にはわかると思いますが、警察のスパイのようなことをする人のことを「イヌ」と呼び、そういうスパイを人の弱みを握って作り上げるから「ドッグ・メーカー」。
決して良いあだ名ではないのですが、そのあだ名に負けないくらいの活躍ぶりで、弱みを見せた人物に首輪をはめていきます。
首輪をはめるだけならともかく、その首輪から抜け出さないように、緩まないように、常に監視を怠らず、時には叱り脅し、時には褒めて伸ばしていきます。それを大の大人に対して行うのですから恐ろしいことです。
そんなことをするわけですから、黒滝の言動には思わず顔をしかめたくなるようなことも多く、読むのに時間がかかりました。でも、話の内容は面白くて続きが気になって次々読みたいし・・となかなか難しい読書時間になりました。
内容ももし本当に警察内部が現実にもこんなに腐っていたらどうなるんだろう?と不安になる物で、決して読んでいて気持ちいい物ではありませんでした。
でも読み終わったら、このシリーズの続きも読みたくなるという不思議な感覚になりました。
何だかんだ言って、結局黒滝のことも他の警察官たちのことも気に入ったということなんですよね。上司たちも不思議な雰囲気で、まだ謎がありそうですし、ここまで強く自分の道を貫ける人たちがいれば警察も大丈夫だろうと思えましたし、きっと見つけたら続きも読むと思います。
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