2014年06月30日

七尾与史「死亡フラグが立ちました!」

死亡フラグが立ちました

 七尾与史 著
 「死亡フラグが立ちました! 凶器は・・バナナの皮!? 殺人事件」
 (宝島社文庫)


“「死神」と呼ばれる殺し屋のターゲットになると、24時間以内に偶然の事故によって殺される”。特ダネを追うライター・陣内は、ある組長の死が、実は死神によるものだと聞く。事故として処理された彼の死を追ううちに、陣内は破天荒な天才投資家・本宮や、組長の仇討ちを誓うヤクザとともに、死神の正体に迫っていく。一方で、退官間近の窓際警部と新人刑事もまた、独自に死神を追い始めていた…。


初めましての作家さんです。

表紙の雰囲気と題名(副題)の感じから、もっと明るく楽しい雰囲気のギャグっぽい内容だと思っていたのですが、人もたくさん死んで、助かっても命がけの部分が多くて、結構暗いというか、濃い内容でした。

だって「バナナの皮」で死亡ですよ!? コントみたいじゃないですか!

始まりは軽い感じなのに、どんどん人が殺されていって、辛くなっていきました・・・。


「死神」と呼ばれる殺し屋の存在を知ったライターの陣内は、あるヤクザの組長の死亡事故について調べ始めます。バナナの皮で滑って転んだ所に鉄アレイが置いてあったため死亡した組長。あまりにも不幸な不運な事故として処理されたのですが、これも実は死神の仕業なのか!?

死神に依頼した人は、組長の手下である1人のヤクザのことも依頼したと告白します。死亡フラグが立ってしまったヤクザと陣内、そして陣内の信頼する友人・本宮は、死神の正体を暴こうと動くのですが、死神の「殺る気マンマン」なアクシデントが続き、命がけの調査になってしまいました。

死神から逃れることはできるのか?そして、正体は誰なのか?


なかなかスリリングな展開なんですよね。スリリングという言葉で片づけるには重たすぎるようなことばかりで、陣内たちがかわいそうになっていきました。

殺されても仕方ない人なんていないのでしょうけど、殺されるだけの理由がある(本当はどんな理由でも殺されるのはおかしいのですが)というか、まだ理解(?)できる理由があるならまだしも、そんなことで殺されたの!?と驚く理由が多いのが余計に読みにくかったです。

殺されるであろう人たちの1日なり、数日を自分も一緒に過ごしたかのように読み進めて、彼らのことを気に入ったとたんに、結局は亡くなってしまうのも辛かった・・。

もっとハッピーエンドな感じが良かったです。死神の勝利で終わるのは悲しかった。


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タグ:七尾与史

2014年05月19日

西澤保彦「解体諸因」

解体諸因


 西澤保彦 著
 「解体諸因」
 (講談社文庫)


六つの箱に分けられた男。七つの首が順繰りにすげ替えられた連続殺人。エレベーターで16秒間に解体されたOL。34個に切り刻まれた主婦。トリックのかぎりを尽くした九つのバラバラ殺人事件にニューヒーロー・匠千暁が挑む傑作短編集。新本格推理に大きな衝撃を与えた西澤ミステリー、待望の文庫化第一弾。


1話目からギュッとつかまれた感じがして、どんどん読んでいたはずなのですが、妙に時間がかかってしまいました。字がすごく小さかったんですよね・・。数年前の本だからなのでしょうが。行間も狭くて、思った以上に長い話でした。


9つの殺人事件が描かれています。しかもただの殺人ではなく、バラバラ殺人事件。本当なら読むのを躊躇うようなエグさを想像してしまうのですが、この作品はなぜか「あ〜なるほど。だからバラバラなのか」と納得して終わってしまいます。

被害者や犯人の人柄や人生などが描かれていないのも原因だと思いますが、文体がとても軽いせいもあると思います。

あ〜なるほど、ではあるのですが、冷静に考えるとそんなことで殺さなくても!と思う事件も多く、またバラバラにしなければならない状況になるのに殺すか!?と思う物も多いんです。

短編が続き、1話毎にバラバラになった死体が出てきて、ちょっとうんざりしかけたとき、なぜかお芝居の台本が登場します。7つの連続殺人事件が起きるというお芝居で、最後に刑事役のセリフにより事件の真相が解明されます。

ちょっとわけがわからない状態になったまま、次の話を読むと、今まで読んできた事件に対して、ある大きなオチが用意されています。

そうだったのか!!!!!とかなり驚かされましたし、全てが収まる所におさまって、スッキリしました。

その部分を読むまでは、1話完結だと思っていたんですけど、更にスッキリさせられました。


この作家さんの作品に今後もよく登場するタックこと匠千暁が初登場する話でもあり、ファンはぜひ読んでほしい作品です。

それにしてもこれがデビュー作だなんて!本当にすごいです。


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タグ:西澤保彦

2014年05月18日

メープルシロップバー

   メープルシロップバー

大好きなドーナツです。

今回、生地を成型してから時間が空いてしまったので、伸びすぎて微妙な食感になってしまいました。

それでもやっぱり美味しかったです。


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2014年05月02日

緒川怜「冤罪死刑」

冤罪死刑

 緒川怜 著
 「冤罪死刑」
 (講談社文庫)


三年前に発生し、犯人逮捕で終結したはずの少女誘拐殺人事件。しかし、冤罪スクープを狙う通信社記者と、正義感に燃える女弁護士が事件を洗い直すと、意外な新事実が。死刑判決、小児性愛、ハニートラップ、偽証、老刑事の告白―。どんでん返しの連続の後、幾重にも張られた伏線が鮮やかに回収される、会心作!−裏表紙より−


初めましての作家さんです。それで慣れないせいもあるのか、誰の話なのか、いつの話なのか、時系列さえもわかりにくい場面がありました。

しばらく、話に入り込めない状態が続き、読み終わるのに時間がかかりました。


少女を誘拐して殺したと逮捕された犯人が、実は冤罪ではないか?と疑ってしまうような証拠がいくつか見つかり、記事にするべく調査を始めた記者・恩田。そんな彼に近づいてきたのは、逮捕された犯人の女弁護士。彼女があげる証拠を基に更なる調査を続け、警察による策略まで見えてきました。

山崎というこの犯人は、本当に冤罪なのか?ということを中心に語られていくのだと思っていたら、途中から同じような事件を起こした栗原という死刑囚に話が移っていきます。

この2人が起こしたとされる事件がよく似ていることと、山崎についてはあまり描かれないのに栗原のことは細かく描かれていることで、だんだんどっちがどの事件を起こしたのかわからなくなることもありました。

これはまあ、私の理解力の問題でしょうけど。

栗原の内面というか考え方なんかが細かく描かれている文章を読むのははっきり言って辛かったです。辛いというか苦しい?感じでした。顔を背けたくなるくらい。こういう人の心理状態は理解できません。


頭の中がごちゃごちゃしたまま、ラストに差し掛かるとそこからは一気読みでした。色んな疑問や謎の行動などが全てきっちりと収まる所に収まる感覚がしました。

なるほど、そういうことか!を繰り返しながら読み終えることができました。

前半は読みにくかったですが、読み終わったときには「読んで良かった、面白かった」と思えたという、何とも感想の難しい作品でした。


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タグ:緒川怜

2014年04月25日

佐藤青南「消防女子!! 女性消防士・高柳蘭の誕生」

消防女子

 佐藤青南 著
 「消防女子!! 女性消防士・高柳蘭の誕生」
 (宝島社文庫)


横浜市消防局湊消防署で唯一の女性消防士、高柳蘭。新米の蘭は食事作りや洗濯などの雑務に訓練、消火活動と多忙な日々を過ごす。ある日、毎日確認しているにもかかわらず、蘭の使用している空気呼吸器の空気残量が不足していることに気づく。やがて辞職を迫る脅迫状まで届き、蘭は同僚の犯行を訝り疑心暗鬼に陥る。ちょうどその頃、世界一周中の豪華客船が横浜に寄港することになり・・・。−裏表紙より−

初めましての作家さんです。

文章は読みやすいのですが、慣れないせいもあって時々引っかかる所もあったのですが、話の内容が面白かったので一気に読めました。


女性消防士の話です。高柳蘭の父親も消防士として活躍していました。消防士の仕事に誇りを持ち、最後まで消防士として働いて殉職した父親の背中を追うように、蘭も女性ながら消防士になりました。

男社会の消防の世界で、体力差もありながら何とか食らいついている彼女ですが、新米の雑務も多くて日々疲れきっていました。そんなとき、彼女の装備に細工が加えられるようになり、更には「消防士を辞めろ」という脅迫状まで届いて、精神的にも追いつめられてしまいます。

命がけで働く仕事なのに、同僚のことさえ疑うようになっては、続けられないと考えても仕方ありません。心配した先輩も密かに調査してくれるのですが、なかなか真相はつかめません。


・・と、犯人探しに力を入れて、犯人とその動機がわかって終わるのかと思えば、この辺りは結構あっさりしていたんですよね。動機もぼんやりとしかわからず。とりあえず女性同士というのは色々あるよね・・って感じでしょうか。

ミステリーと呼ぶには物足りないですが、お仕事小説としてはとても面白かったです。

涙がじわ〜っと溢れる所もありましたし、何より蘭ががんばる姿は好感がもてて、思わず応援してしまいました。

周りの人たちも口は悪いですが、蘭をサポートしようという気持ちが強くて、彼らがそばにいればきっと彼女はもっと強くなれると思えました。

続編もあるようですので、文庫化されたら読もうと思いますし、この作家さんの他の作品も読むつもりです。


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タグ:佐藤青南

2014年04月19日

雫井脩介「仮面同窓会」

仮面同窓会

 雫井脩介 著
 「仮面同窓会」
 (幻冬舎)


高校の同窓会で、久しぶりに再会した旧友4人。かつて生徒を囚人扱いしていた教師・樫村の変わらぬ姿を見た彼らは、恨みを晴らそうと仕返しを計画。予定通り、暴行して置き去りにするも、翌日なぜか樫村は暴行現場から2km離れた溜め池で溺死体となって発見された。いったいなぜ?そして、4人のうち誰が彼を殺害したのか?それぞれが疑心暗鬼に陥る中、新たな犠牲者を出した殺人事件が、高校時代の衝撃的な秘密を浮き彫りにさせる。過去と決別できない者たちを巧妙に追い詰めていく悪魔の正体とは?


ブログには感想を載せたことがありませんが、この作家さんの作品を読むのはこれが3作目です。ブログを書き始めるより前に読んでいたのですが、結構ホラーっぽいというか、私の苦手なゾクッと系で、再読出来なくて、感想をUPできずにいます。

今回、「本が好き!」で献本になっていたので、久々に読んでみようかな?と応募してみました。


高校時代にいじめられた教師に同窓会で再会し、その当時のことを思い出した4人が、復讐のため、拉致して暴行を加えた上にその場に放置します。ところが、次の日、教師が死体で発見されたため、4人はお互いを疑っていきます。

高校時代に起きた様々な出来事もわかってきて、更に殺人事件も発生し、誰が犯人でどんな動機があったのか?推理が二転三転させられます。


途中までの展開はとても面白く、さすがだな〜と感心しながら読み進めました。誰が犯人なのか?はもちろんのこと、暴行した4人の関係性も何かありそうですし、主人公にも何か秘密がありそうで、彼の目線で語られることを鵜呑みにできない雰囲気もあったため、すごくドキドキさせられました。

いつもなら、このドキドキにゾッとする部分が加えられるのですが、この話ではそういうことはなく、最後の方になるまではスムーズに読めました。

ただ、結末が・・・。

やはり、素直な展開では終わらないんですよね〜。壊れてしまった人間って本当に怖いです。霊的な怖さではない怖さが、嫌になるくらいです。

かなり後味の悪い終わり方をして、結局この話は誰が救われたんだろう?誰のために起きた事件なんだろう?と考えると居た堪れなくなりました。

そんなことを考えるためにある小説ではないんでしょうね、きっと。


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タグ:雫井脩介

2014年04月16日

高殿円「トッカン3 おばけなんてないさ」

トッカン3

 高殿円 著
 「トッカン the 3rd おばけなんてないさ」
 (ハヤカワ文庫)


特別国税徴収官(トッカン)の鬼上司・鏡とのコンビも2年目に入り、ぐー子も自身の成長を感じていたある日、鏡の故郷・栃木への出張が決まった。今回の相手は鹿沼にある運送会社と日光の霊水を使った霊感商法だ。滞納者たちが秘めた恐るべき事情が明るみに出たとき、ぐー子が宙を舞い、鏡の推理が冴え渡る。おまけに思わぬところで鏡の元嫁が現れて・・人とお金の謎に迫る税務署エンターテインメントシリーズ第3弾!−裏表紙より−


あらすじを読んだだけでもかなりバタバタな展開だとわかりますね。展開が早くて楽しい作品になっていました。

サブタイトルが「おばけなんてないさ」・・・どういう意味なんだろう?と思いながら読んでいると、想像以上に様々な“おばけ”が出てくることがわかります。

本来の意味での“お化け”もありますが、生きている人間でも“お化け”になりうるということも出てきます。職場などで、自分の苦手な人がいたら、なるべく関わらないようにして、その人がいない者として扱ってしまうことありますよね?そんな態度を取ることで、その相手は“おばけ”のようなものになってしまうのではないか?というわけです。

確かにそうですね。自分が嫌だからと拒否してしまっては、人間関係がうまくいきません。何とか良い面を探して、できるだけ誰とでも関わりをもっていくことが大切なんですよね・・・・わかっていてもなかなか実践できないわけですが。

ちょっと刺さる話でした。


また、今回は鏡の実家がある栃木に出張することになり、前作に続いて、また新たな鏡の過去や友人関係が明らかになります。元嫁も登場し、鏡のことがだんだんわかってきた感じがします。


ぐー子も大きく成長しています。鏡に相談しなくても出来ることが増えていますし、あらすじにもあるように“宙を舞い”ました!1作目では取り立てに行く度に緊張して震えていたのに、すごく大きくなりました。


今回も税金を滞納する人が登場するのですが「払え!」と強く言うのが辛くなるような人もいました。日々、生活していくために税金をつい後回しにしてしまうのは、何だかわかる気はします。だからといって、1人でも払わないと他の負担が増えるわけですし、これは国民としての義務ですから・・・。でも気持ちはわかる。とても難しい問題です。


次もまだ問題が出てきそうな雰囲気です。楽しみに待ちます。


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タグ:高殿円

2014年03月19日

六道慧「代言人 真田慎之介」

代言人 真田慎之介

 六道慧 著
 「代言人 真田慎之介」
 (幻冬舎文庫)


ときは明治二十年。熊本から上京した望月隼人は、代言人・真田慎之介の事務所に出向く。代言人は弁護士の前身。数々の難事件を解決し名を轟かす真田は、極端な変わり者だった。翻弄されつつ持ち前の好奇心で事務所になじむ隼人。ある日、友人の無実の罪を晴らしてくれという依頼が入る。しかし本人は「自分が殺した」と言い張るのだった―。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

あまり読んだことのない明治時代の話で、武士の時代の名残もあり、ちょっとした身分格差もあり、時代背景的には興味深く読めました。熊本から上京した隼人が目をキラキラさせながら見るもの聞くものに興味を持って質問する度、同じように興味深々になりました。


隼人は、代言人になるため上京しました。そして、真田という特別代言人の元で修行することに。

特別代言人とは、普通の代言人よりも権限が多く、全国どこの依頼でも受けることができます。さすがに頭のキレる真田は、いくつかの依頼を華麗に捌いていきます。

彼は、かなりの変人だということで、今まで書生は居つくことがなく、何人も辞めてしまったとか。確かに変わってはいますけど、書生が務まらないほどの変人には思えず・・。その辺りは今後出てくるのか、もしくはこの中に出てきたエピソードだけで変人と思わないといけないのか、どうなんだろう?・・と、妙な所がずっと気になっていました。

また、やたらと黒光りした突然出てきたら思わず叫んでしまう虫(私は「ミスター・G」と呼んでいます)が登場し、その描写が細かかったのも気になりました。その度に、姿が思い出さされてぞっとしてしまいました。

気持ち悪かった・・・。思い出すのも嫌な人には向かない話かもしれません。


初めて読んだ作家さんだからなのか、誰がどの言葉をしゃべっているのかわからない部分もありました。私の理解力が無いせいなのか、会話の流れが止まってしまうことがありました。

まあ、誰がしゃべっていても別に困らないんですけど、気になってしまいました。


散々、書いてきましたが、話の内容は面白かったので、続編も読んでみようと思います。貸してもらえたら、ですけど。


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タグ:六道慧

2013年11月13日

藤野恵美「ハルさん」

ハルさん

 藤野恵美 著
 「ハルさん」
 (創元推理文庫)


(瑠璃子さん・・・今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ。まさか、この僕が「花嫁の父」になるなんて・・)結婚式の日、ハルさんは思い出す、娘の成長を柔らかく彩った五つの謎を。心底困り果てたハルさんのためにいつも謎を解き明かしてくれるのは、天国にいる奥さんの瑠璃子さんだった−児童文学の気鋭が、頼りない人形作家の父と、日々成長する娘の姿を優しく綴った快作!−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

帯に「泣ける!」的な文章が載っていたのですが、そこまで泣けるか?といったら微妙ですね。確かに感動はしましたけど、泣くほどではありませんでした。ウルウルって感じ??


人形作家のハルさんが、娘・ふうちゃんの結婚式に出席するわけですが、亡き妻のお墓参りをして結婚式までの間に、ふうちゃんの人生を思い返しています。

ふうちゃんが幼稚園のときから小学生、中学生、高校生、大学生、結婚式のエピソードが描かれていて、6つの短編になっています。その中には、ちょっとした謎が含まれていて、その謎を解くのは亡き妻・瑠璃子さんでした。ぼんやりしているハルさんのそばに居て一緒に考えてくれるのです。

何て睦まじい夫婦なんでしょう・・・とは思うのですが、初めは急に亡くなった人が語りかけてきてちょっとついていけない感じがしました。きっとこの部分は、ハルさんが「瑠璃子さんならどう答えるだろう?」と考えながら行動しているんだ、と思うようにすればクリアできましたけど。


ふうちゃんの幼い頃から大人になって結婚するまでの人生を、ハルさんと共に見つめてきた気持ちになって、最後はちょっと感動してしまいました。

ぼんやりしているけど、娘のことを心から愛して尊重している父親と、そっけない態度をとることはあっても、父親のことを尊敬して大好きでいる娘、こういう関係って素敵です。うちにはない関係なので、読みながらうらやましくてたまりませんでした。


読んでいる間穏やかな時間が流れる、優しい物語でした。


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タグ:藤野恵美

2013年11月05日

芦辺拓「三百年の謎匣」

三百年の謎

 芦辺拓 著
 「三百年の謎匣」
 (角川文庫)


億万長者の老人が森江法律事務所へ遺言書作成の相談に訪れた帰途、密室状態の袋小路で殺害された。遺されたのは世界に一冊の奇書と莫大な遺産。森江春策がその本をひもとくと、多彩な物語が記されていた。東方綺譚、海洋活劇、革命秘話、秘境探検、ウェスタン、航空推理−そして、数々の殺人事件。物語が世界を縦横無尽に飛びまわり、重大な秘密へと誘う。全てのピースが嵌まる快感がたまらない博覧強記の本格ミステリ。−裏表紙より−


ずっと読みたくて探していた作家さんですが、これは私には難しすぎました。理解力が足りないせいか、面白さがわからなかったんですよね。

現代の話から始まって、主人公の森江が依頼者から託された一冊の本をめくり始めたとたん、何の説明もなく不思議な話が始まりました。

どうやら旅行記のような物語が書かれていて混乱しました。内容が頭に入ってこなくて、面白さがわかりませんでした。

で、その不思議な物語が6話続いた後(しかも結構な長さでした)、突然現代に戻り、依頼者が殺害された事件についていきなり謎解きを始めます。

つまり、6つの物語と現代の事件の謎が合ってるというか、嵌ってるということなんですが・・。

その辺りが私には理解できず。帯に「すべてのピースが嵌る」と書かれているのですが、その部分がわからなかったら楽しめるわけがないですね。

というか、私にはなぜ6つの物語が書かれていたのかさえわかりませんでした。必要だったのかな??

関連が理解できず。


期待しすぎたせいもあるのかもしれません。


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タグ:芦辺拓

2013年08月19日

天野頌子「よろず占い処 陰陽屋あらしの予感」

陰陽屋あらしの予感

 天野頌子 著
 「よろず占い処 陰陽屋あらしの予感」
 (ポプラ文庫ピュアフル)


<イケメン毒舌陰陽師・安倍祥明とアルバイトのキツネ耳高校生・沢崎瞬太が迎える占いの店「陰陽屋」は本日も営業中。中学からの片思いの相手、三井にいまだに告白できない瞬太だが、彼女が好きなのはいったい誰・・・・・・?また、祥明が元いたホストクラブのバーテンダー葛城に頼まれた人物を捜していると、不思議なことがわかってきて・・・。平和ななかにも、少しずつ変化の兆しが。しかしほのぼのさは相変わらずの、大人気「陰陽屋」シリーズ第五巻!−裏表紙より−


あらすじにもありますが、相変わらずほのぼの・・とした雰囲気の話でした。変化の兆し・・はまあそれほどでもないですけど。

相変わらずかわいらしい雰囲気の瞬太くん。知り合いのおばあさんからプリンがもらえるというだけでウキウキしています。

今の悩みは、片思いの相手・三井に告白できないことと、二年生になれるか?ということ。授業中に爆睡していたら試験の点も良いわけがなく、留年の危険があるのは当然ですが。結構大変な問題だと思うのに、本人は「どうしよう!?」と言いつつも、周りの友だちが「一緒にランチしてやるから」と言ってくれたことで安心してしまうんですよね。すごいポジティブです。

片思いの方も、周りはみんな三井さんが誰のことを好きなのかわかっているのに、瞬太だけは悶々としています。

瞬太の友だちが本当に良い子ばかりで、彼らと一緒にいる場面は読んでいると思わず微笑んでしまうくらいです。瞬太に掛ける言葉も素敵ですし、率直に言うべき所は言って、なぐさめる所はきちんと心を込めた言葉でなぐさめています。瞬太のことを思いやっているのがよく伝わってきます。


今回は、ほんの少しですが変化が起きそうな雰囲気で終わりました。珍しく謎を残したまま終わったので、続きが気になります。

瞬太の仲間が増えるのか??・・次も読みます。


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タグ:天野頌子

2013年06月27日

西澤保彦「いつか、ふたりは二匹」

いつか、ふたりは二匹

 西澤保彦 著
 「いつか、ふたりは二匹」
 (講談社文庫)


眠りに就くと猫の身体に乗り移れるという、不思議な能力を持つ小学六年生のぼく。町で起きた女児襲撃事件の謎に、猫のジェニイの身体を借りて挑むことに。スリル満点、はじめての冒険の結末は−。子どもが大人になるために大切なことを教えてくれる、あったかくて、少し切ないファンタジック・ミステリ。―裏表紙より―


「猫に乗り移る」という文字だけを見ていると、もっとファンタジー色が強いのかと思ったのですが、意外と地味で真面目な感じでした。

確かに、眠ったら猫に乗り移るのは不思議ですけど、それ以外はしっかりとした謎解きになっています。


ぼくこと智己が乗り移ったのは、たぶん野良猫で名前がありませんでした。友だちになった犬のピーターに名前を聞かれ(テレパシーのようなもので会話できます)「ジェニイ」と名乗ります。

ジェニイという名前は、ポール・ギャリコの「ジェニイ」から取ったとか・・。この作品を知らない私はよくわからず、あっさりスルーしましたけど、智己はなかなか博学なようです。

小学六年生だというのが信じられないくらい、様々なことを知っていますし、じいさんっぽい落ち着きもあります。言動がどうも達観してる・・。

まあ、子どもだから猫に乗り移れることに対して何の抵抗も疑問ももたないのでしょうけど。


町で起きた女児襲撃事件の真相を探るべく、ジェニイの体を借りて、犬のピーターと共に捜査をする智己ですが、犯人らしき人物から命を狙われてしまいます。

ジェニイとして襲われた智己は、心に傷を負いながらも同級生たちを守るために捜査を続けます。

事件の結末は何とも悲しく寂しいものでした・・。思わずウルウルしてしまいました。でもちょっと救われる部分もあり、温かい気持ちにもなれました。気持ちが二転三転する感じでした。


最後まで、ジェニイの気持ちが明かされなかったのがちょっと残念でした。猫として彼女はどんな風に生きていたのか?知りたかったです。



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2013年05月02日

柚月裕子「検事の本懐」

検事の本懐

 柚月裕子 著
 「検事の本懐」
 (宝島社文庫)


骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が見事に融合した連作短編集。県警上層部に渦巻く男の嫉妬が、連続放火事件に隠された真相を歪める「樹を見る」。東京地検特捜部を舞台に“検察の正義”と“己の信義”の狭間でもがく「拳を握る」。横領弁護士の汚名を着てまで、恩義を守り抜いて死んだ男の真情を描く「本懐を知る」など、全五話。第25回山本周五郎賞ノミネート作品、待望の文庫化。


「最後の証人」が面白かったので、こちらも読んでみることにしました。佐方弁護士が検事だった頃の話です。つまり、時間は遡ることになります。

これを読むと、佐方が検事を辞めた理由がわかった気がしました。彼は組織に中にいると実力が発揮できないタイプ。上司の命令に逆らえず、不本意な捜査や取り調べをしなければならない検事という仕事は苦痛だったと思います。弁護士なら、組織といっても上司の命令という理不尽なものに立ち向かう必要はないですから。

弁護士と検事、どちらの仕事も、真実を明らかにするという点では同じですからね。


短編で5話収録されていて、それぞれの話で佐方検事が隠されていた真実を探り出していく結末が用意されています。その鮮やかなひっくり返し方が心地よかったです。

中でも「拳を握る」と「本懐を知る」は面白かったです。


拳を握る」では、特捜本部に呼ばれた佐方が、上司に命令されてある人物を取り調べることになります。その取り調べに対して不満を持っていた佐方が精いっぱい上司に抵抗する様子が描かれています。最後には彼の悔しさが伝わってきて、一緒に拳を握りそうになるくらいでした。


本懐を知る」は、佐方の父親の話なのですが、ずっと犯罪者とされてきた父親の本当の姿が明らかになって、思わず涙・・。恩を返すためにここまで自分の人生を投げ出せる強さはすごいです。私には絶対にできません。


「自分は親父から、形がないものを貰いました」(中略)「親父は人の道に外れるようなことをする人間じゃなかった。それがわかっただけで、充分です」

という佐方の言葉に感動しました。


前作では、佐方の人柄がよくわからず、彼のことがあまり印象に残らなかったのですが、この作品を読んで、彼のことがとても好きになりました。

愛想もよくないですし、見た目もイマイチのようですが、自分が信じた道をまっすぐに進んで行く姿はとてもかっこいいと思います。もっと彼の活躍を見てみたくなりました。


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タグ:柚月裕子

2013年04月08日

柚月裕子「最後の証人」

最後の証人

 柚月裕子 著
 「最後の証人」
 (宝島社文庫)


元検察官の佐方貞人は刑事事件専門の敏腕弁護士。犯罪の背後にある動機を重視し、罪をまっとうに裁かせることが、彼の弁護スタンスだ。そんな彼の許に舞い込んだのは、状況証拠、物的証拠とも被告人有罪を示す殺人事件の弁護だった。果たして佐方は、無実を主張する依頼人を救えるのか。感動を呼ぶ圧倒的人間ドラマとトリッキーなミステリー的興趣が、見事に融合した傑作法廷サスペンス。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。ずっと気になっていました。題名からしてもあらすじを読んでも、裁判物だと思ったのですが、裁判以外の場面が多かったです。主人公は佐方弁護士のようなのですが、彼の出番は少なかったです。まあ、敏腕ぶりは見えましたけど。


公判初日の様子から始まります。裁判の前に鉢合わせした検事と弁護士が腹の探り合いのようなことをする場面があり、「これから裁判が始まるんだな」と思っていると、急に誰だかわからない話が始まります。

高瀬という医者とその妻、そして息子の日常。小学5年生になる息子が塾へ行くのを見送った両親。なかなか帰って来ない息子・・・心配していると警察から連絡があり、交通事故に合ったことを知ります。結局亡くなった息子のことが忘れられず、精神的に立ち直れない母親。

しかも、轢いた運転手が原因ではなく、息子の信号無視による事故だとされてしまい、運転手は無罪となったため、両親のショックはかなり大きな物でした。


これらは7年前の話のようで、現在に戻ると、高瀬と妻は何かをたくらんでいるような雰囲気になっています。話の中心はこの夫婦の行動になっていて、何を考えて日々すごし、息子を轢いた加害者に対してどんな感情をもち、復讐を誓うことも描かれています。

で、時々挟まれる裁判の様子。

殺人事件の裁判で、被告人が無罪を主張していること、証拠は十分にあるため、検察官は一貫して被告人の罪を追及していること、は書かれているのですが、被告人が誰で、被害者が誰か?ということは明確にされません。

所々、おかしいな?と感じる部分はあるのですが、最後まで読んでびっくりしました。

意外な所にどんでん返しが・・。


高瀬夫妻の気持ちを思うととても辛くて、何度も泣きそうになりました。彼らが果たした復讐の内容もあまりにも壮絶で、子どもを想う親の気持ちの強さを改めて感じました。

決して明るい結末ではないのですが、きっとこれからはまっすぐ生きていけると信じたいような、終わり方でした。

佐方弁護士の活躍も少なかったので、彼が登場する別の作品も読みたいと思います。


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2013年03月12日

天野頌子「よろず占い処 陰陽屋アルバイト募集」

陰陽屋アルバイト募集

 天野頌子 著
 「よろず占い処 陰陽屋アルバイト募集」
 (ポプラ文庫ピュアフル)


王子稲荷のふもとの商店街、ホストあがりのイケメン毒舌陰陽師が営む占いの店「陰陽屋」は今日も細々営業中。ある日おしかけてきたのは、派手なスーツの綺羅綺羅しい一団。祥明が元いた店の若手ホストたちだった。人捜しを頼まれたはずが、なぜかカリスマホストと店を賭けた大勝負に。アルバイトの妖狐高校生瞬太の身の上もいかに!? やっかいな双子の恋占い、ラーメン番長捜しなど、よろず占い処に依頼人の訪問は絶えず。大好評シリーズ第四巻!−裏表紙より−


相変わらずゆるい雰囲気の漂う話でした。前作は、瞬太の仲間が現れる!?とか面白い展開もあったのですが、今回は、今まで以上に何もありませんでした。

題名を見ると、バイト先に新しい人が増えて、その人が瞬太の秘密を暴こうとするとか??・・なんて期待もしてしまったのですが、そういうこともなく、ひたすら穏やかに過ぎていきました。

何度も思うのですが、瞬太は高校生なんです。しかも男子。

なのにいつまでも小学生のような言動をしています。大人に頭を撫でられるなんてことも普通にされていますし、両親の過保護ぶりもすごいです。

とりあえず、高校生にもなって先生に対して「ありがとー」なんて言っているのはダメでしょう。祥明に対してなら仕方ないですけど。

まあ、そんなこともこの話だから許せるというか、こんな言動をするからこそ、狐耳と尻尾が付いていても違和感無いわけですが。

結局、瞬太の恋も全く進展しませんし、もっとしっかりしろよ!って感じですね。

今回は、祥明の意外な弱点が発見できただけでも良しとしますか。



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タグ:天野頌子

2013年03月09日

大山淳子「猫弁と透明人間」

猫弁

 大山淳子 著
 「猫弁と透明人間」
 (講談社文庫)


お人好しの天才弁護士・百瀬太郎の事務所は、ペット訴訟で放り出された猫でいっぱい。ある日“透明人間”から「ぼくはタイハクオウムが心配で、昼も眠れません」というメールが届く。婚約者と猫たち、依頼人たちの笑顔を守るため百瀬は今日も走る。絶好調ハートフル・ミステリー、早くも第2弾文庫化!−裏表紙より−


前作を読み終わったとき、シリーズ化しなくても良いのでは?と思ったのですが、今回も面白くて良かったです。前作のようにホロリと泣けることは無かったですが、温かい空気の流れる話でした。


亜子からプロポーズされ、婚約した二人ですが、ぼんやりしているので、いつになったら具体的な結婚話が進むのか、読んでいてイライラもどかしい気持ちになりました。基本、恋愛話に興味が無い私ですが、この二人のようにほのぼのした雰囲気だとつい応援したくなります。

百瀬の天才ぶりは、2作目になってもイマイチはっきりしないですが、透明人間という別の天才との対決のお陰で、少し垣間見れた気がします。

もっと、裁判の様子とかが描かれると際立つのでしょうが、それをメインにすると、このシリーズの柔らかな空気が壊れてしまうでしょうね・・。


今回は、事務所で働いている野呂という秘書が気になりました。前回は目立たなかった気がしたのですが。さり気ない言葉が意外と重かったり、私生活の秘密も明かされましたし、ちょっと好きになりました。今後も彼に注目したいです。

そして、今回も気になったのは視点の変わり方。一つの場面で、コロコロ視点が変わる!誰が何をしゃべってるのかわからない部分が何度かありました。

その部分は何度もくり返し読むことになり、ちょっと疲れました・・。そう感じるのは私だけなのかな??


亜子との関係もほんの少し前進したようですし、二人を含め、百瀬の人生はどうなっていくのか?事務所はうまく立ち行くのか?気になることが色々あるので、続きも楽しみに待つことにします。


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タグ:大山淳子

2013年03月04日

高殿円「トッカンVS勤労商工会」

トッカン

 高殿円 著
 「トッカンvs勤労商工会」
 (ハヤカワ文庫)


京橋中央税務署を揺るがす大事件が発生した。あの、悪質な滞納者から隠し財産を差し押さえまくり“京橋中央署の死に神”と恐れられる、特別国税徴収官(略してトッカン)の鏡が訴えられるかもしれない。しかも背後には、税務署の天敵・勤労商工会のお抱え弁護士がついていた。鬼上司のピンチにぐー子(トッカン付き徴収官)が立ち上がる! 面白くって、ためになる、大好評の税務署エンターテインメントシリーズ第2弾。−裏表紙より−


前作を読んだときは、ドラマをまだ見ていなかったので、登場人物たちを好きなイメージで読めていたのですが、今回はドラマを見てしまったので、すっかり脳内はドラマのキャストに変換されました・・。

だから、映像化されるのは嫌なんだ!・・と普段なら思うのですが、これは私の中で意外とはまり役だったのでそのイメージで読むことを楽しめました。

っていうか、この2作目までドラマ化されたのね〜。

お陰で、読み終わるのも早かったですし、理解するのもラクでした。まあ、ネタバレ状態で読むのは嫌いなんですけどね。これはそれでも面白かったので良いことにします。


ぐー子ではなく鏡特官に大きな問題が起きます。前作では頼りないイメージだったぐー子も大きく成長し(・・とは言い難いくらい悩み苦しみもがいていますが)、何とか鏡を助けます。

今回は「体裁」という言葉が何度も出てきました。人が誇り高く生きていくために築いてしまう「体裁」。大きさや重さは人それぞれですが、それが崩れたとき、人はどんなにもろい存在なのかということがよくわかります。

本音で語れて、体裁なく生きていけるのが一番なのでしょうが、そういうわけにもいきませんからね・・。

色々と考えさせられる内容でした。

続きも楽しみです。


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タグ:高殿円

2013年02月20日

赤川次郎、有栖川有栖 他「金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲」

金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲

 赤川次郎、有栖川有栖 他 著
 「金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲」
 (角川文庫)


もじゃもじゃ頭にぼんやりした姿。だがひとたび事件が起これば誰よりも鋭く謎を解き、犯人の心に潜む哀しみを見抜く、心優しき名探偵。横溝正史が生んだ日本を代表する探偵が現代作家の手でいま、甦る! 金田一耕助に正面から挑んだ快作から、ある事件の「その後」の姿を描いたパラレル作、近田一耕助や金田耕一、錦田一コンビ、金・田・一トリオが活躍する変奏作まで。趣向を凝らした豪華オマージュ競演!−裏表紙より−


読んだことのない作家さんがたくさんいました。気に入ったかも・・と思ったらもう亡くなっている方だったりして残念なこともありましたが、他の作品も読んでみようかな?と思う物もありました。

とりあえず、金田一耕助について詳しくない私では楽しめない作品もあったのが残念でした。だったら読むなよって感じですが。


やはり一番気に入ったのは
柴田よしき「鳥辺野の午後」です。金田一らしくない雰囲気で(と言っても、金田一らしい雰囲気がよくわかっていませんが)、これだけ単独の話でも良いくらいでした。女性同士の友情というのは怖いな〜と同性ながらゾッとしました。最後に一捻りあったのも良かったです。

他、印象に残ったのは
小川勝己「愛の遠近法的倒錯」菅浩江「雪花 散り花」服部まゆみ「松竹梅」の3作品。

愛の遠近法的倒錯」は、結構ありがちな設定ではあるのですが、物悲しくてドロドロしている感じが、金田一らしいのではないか?と思いました(私の個人的な見解ですが)。

雪花 散り花」は、話の内容というよりも、登場人物の名前が面白かったです。キムという韓国人とデンちゃんという友人、更に“一”と書いて“ニノマエ”と読む後輩という3人で、それぞれの名前を並べると「金・田・一」・・・なるほど〜。感心しました。

松竹梅」は、ありがちなお家騒動かと思いながら読み進めてみると、実はもっと深い物があって、後味の悪い結末だと思っていたら、どんでん返しが待っていて、それが更に心地悪い結末でした・・。


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2012年12月13日

大倉崇裕「小鳥を愛した容疑者」

小鳥を愛した容疑者

 大倉崇裕 著
 「小鳥を愛した容疑者」
 (講談社文庫)


銃撃を受けて負傷した警視庁捜査一課の鬼警部補・須藤友三は、リハビリも兼ねて、容疑者のペットを保護する警視庁総務部総務課“動植物管理係”に配属された。そこでコンビを組むことになったのが、新米巡査の薄圭子。人間よりも動物を愛する薄巡査は、現場に残されたペットから、次々と名推理を披露する!


短編で4話収録されていて、それぞれ「〜を愛した容疑者」という題名がつけられています。容疑者として警察に拘留されている人が飼っているペットがつけられていて、「小鳥」「ヘビ」「カメ」「フクロウ」の4つになっています。

動植物管理係の須藤警部補と、部下の薄巡査に与えられた仕事は、容疑者となった人のペットを世話すること。実際に罪を犯していて、自分でも捕まることを想定している人なら、ペットの世話を誰かに頼むこともできますが、容疑者として連れて行かれる場合は、実は無実という場合もあり、突然のことなので、ペットを放ったまま出かけてしまうことになります。

場合によっては数日帰れないこともあり、その間誰がペットを見るのか?という問題が発生したわけです。動物愛護団体からの要請もあり、警察では専門部署を作ることにしました。

実際にあるのか?はわかりませんが、確かに突然何日も帰れないとなると、ペットがかわいそうですよね。そういう部署があれば安心かも・・。


ペットの世話をすれば終わりのはずなのに、薄巡査はペットの様子や部屋の様子から、事件まで解決してしまいます。彼女は「人間よりも動物が好き」とはっきり言い切る潔い人物。ベテランの須藤警部補も振り回されてしまいます。

でも何だか心地良さそうにしているのが面白いのですが。


全てを動物目線で考えるのが、意外と事件解決の近道になる・・というのは新鮮でした。4話とも同じような流れで話は進むのですが、飽きることなく読みきることが出来ましたし、最後まで楽しく読めました。

ペットについても詳しく書かれているので、これを読んだら実際に飼えそうなくらい。絶対に動物は飼わないですけどね・・。

シリーズ化するのかわかりませんが、ぜひ続きも読みたいものです。


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タグ:大倉崇裕

2012年12月12日

茅田砂胡「祝もものき事務所2」

祝もものき事務所2

 茅田砂胡 著
 「祝もものき事務所2」
 (C−NOVELS)


通りすがりに偶然助けた(かもしれない)相手の無事が知りたい−なんだか奇妙なその依頼を百之喜は軽い気持ちで引き受けた。だが、安否を確認するだけのはずが、なぜか複雑奇妙な展開に? やる気のない所長のシリーズ第二弾!


糖尿病の発作で倒れた現場に偶然居合わせたという依頼者は、倒れた人が亡くなっていたらどうしよう・・と不安になり、もものき探偵事務所に調査を依頼してきました。

その依頼者は、助けようとして注射を打とうとした人に「量が多すぎる」と注意をし、注射を止めさせたそうですが、その知識は糖尿病だった飼い猫から得たものだったから不安になったとか。

奇妙な依頼でしたが、調査は簡単だろうとあっさり引き受けた百之喜。さっそく秘書と共に現場に行ってみたのですが、どうにも怪しい展開になってきます。

倒れた人物・樺林は元気で過ごしていたのですが、どうやら注射されそうになったのは事故では無さそうで、彼は殺されかけていたようだということがわかります。

そこで、彼の周囲を調べ始めた秘書と百之喜。まあ、主に活躍したのは秘書ですけどたらーっ(汗)


関係者と次々会っていくわけですが、特に調べ回ることもなく、会いに行ってその人と話して解決していく・・という流れになっていて、大きな動きはありません。

ただ、出てくる人物がみんな遺産相続人で、しかもその遺産額が半端ない金額なので衝撃は結構ありました。数百億という金額まで出てきて、凡人な私にはまったくピンとこない状況・・。

そんな額ですから、当然のように遺産相続争いが起きるわけで。もちろん「それって親戚になる?」と疑問に思うような関係の人まで口を出してくることになります。おこぼれでもすごい額でしょうからね〜。

すごく醜い争いなのですが、樺林を含め周りの人たちは、その遺産を「要らない」とあっさり言ってしまうような、カッコいい人たちなので、読んでいるとスカッとする感じでした。


今回は、百之喜の幼馴染たちがほとんど出てこなくて、活躍してくれ無かったのでちょっと残念でした。このシリーズは今後もお家騒動的な内容で進んで行くのかな?と思うと、楽しみなような、もうこれ以上、人間の欲望の醜さを知りたくないような、複雑な心境になってしまいます。

まあ、また貸してもらえたら読むでしょうけど。


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タグ:茅田砂胡