2019年12月09日

山口恵以子「愛は味噌汁 食堂のおばちゃん3」

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 山口恵以子 著
 「愛は味噌汁 食堂のおばちゃん3」
 (ハルキ文庫)


オムレツ、エビフライ、豚汁、ぶり大根、麻婆ナス、鯛茶漬け、ゴーヤチャンプル―・・・昼は定食屋で夜は居酒屋。姑の一子と嫁の二三が仲良く営んでおり、そこにアルバイトの万里が加わってはや二年。美味しくて財布にも優しい佃の「はじめ食堂」は常連客の笑い声が絶えない。新しいお客さんがカラオケバトルで優勝したり、常連客の後藤に騒動が持ち上がったり、一子たちがはとバスの夜の観光ツアーに出かけたり―「はじめ食堂」は、賑やかで温かくお客さんたちを迎えてくれる。文庫オリジナル。−裏表紙より−


「歌と麻婆ナス」「寂しいスープ春雨」「愛は味噌汁」「辛子レンコン危機一髪」「モツ煮込みよ、大志を抱け」の5編です。


シリーズ3作目ですが、前作が昔の話に戻っていたので、進み具合は2作目という感じですね。

1作目からかなり間が空いてしまったので、人間関係がちょっと忘れている部分もありました。とはいえ、別に困ることもないですけど。ただ、勝手に二三さんの子どもが男の子だと思っていたので、女性だったことに戸惑いました。なんでそう思っていたのか・・??


今回も食堂にやってくるお客さんたちの色々な事情や謎を解決していく一子と二三、そしてアルバイトの万里。まあ基本的に万里はあたふたしているだけという感じですが。でも万里は料理の面でかなり戦力になってくれているので一子と二三は楽になってきたようです。

今までの定番メニューに加えて、万里の若い感性で新たなメニューも登場するようになった食堂は、ますますお客さんを増やしています。


どの話もあったかい雰囲気で癒されたのですが、特に「愛は味噌汁」では泣きそうになりました。

万里の同級生が店にやってくるのですが、学生の頃は男性だったはずの彼が、女性へと変わっていました。最近ではそういうことにも理解が得られるようになってきているとはいえ、身内となるとまだまだ簡単には受け入れられないようで、親に反対されてしまっています。

絶縁状態になっている彼女のために、はじめ食堂のみんなが手助けをしていきます。

もちろん、簡単に「良いよ」とはなりませんが、これから前向きに受け入れようとはしてくれるようで、安心できました。自分だったらどう思うのか?を考えながら読んでいました。



最後の話では、テレビの取材までやってくることに。肩に力が入ってしまう万里に、一子と二三は「いつも通りで良い」と声を掛けますが・・。

この話は万里の気持ちもわかるな〜と。若さゆえの力の入り方です。テレビとなると余計に気合が入るのはわかる気がします。

この取材でますますお客も増えそうです。


またドタバタの展開になることでしょう。次も読んでいくことにします。


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2019年12月03日

柚月裕子「慈雨」

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 柚月裕子 著
 「慈雨」
 (集英社文庫)


警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。旅先で知った少女誘拐事件は、16年前に自らが捜査にあたった事件に酷似していた。手掛かりのない捜査状況に悩む後輩に協力しながら、神場の胸には過去の事件への悔恨があった。場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。事件の真相、そして明らかになる事実とは。安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。−裏表紙より−

最近お気に入りの作家さんです。

・・が、細かい部分はすっかり忘れてしまいました。

「慈雨」という題名がしっくりくるような内容だったことは覚えています。退職後の警察官がお遍路に行っているときに起きた事件が過去に扱った事件と酷似していて、もしかして冤罪??という状態になって悩む・・。


お遍路姿と雨がぴったりな内容。


またいつか再読して感想をあげたいです。



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2019年11月27日

ヒロモト「ニャーロック・ニャームズの名推理」

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 ヒロモト 著
 「ニャーロック・ニャームズの名推理 猫探偵はタマネギをかじる」
 (宝島社文庫)


野良猫として流浪していたニャトソンは、鰹が丘という街で理知的な猫・ニャームズと出会う。以後とな推理をする彼に導かれ、ハリモトフジンに飼われることになったニャトソンは、キャッという間にニャームズのもとへ舞い込む事件に巻き込まれていく。動物たちの目を通して見ると、人間の世界は複雑怪奇に思えてくる。クールなニャームズと、語り部のニャトソンが贈る、ユーモアたっぷりの動物ミステリー。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

ネットで感想を読んで面白そうだったので読んでみたのですが、詳しい内容が思い出せなくなってしまいました。


名探偵ホームズに憧れる猫・ニャームズと、その助手猫、ワトソンならぬニャトソンの物語です。

舞い込む事件の数々をニャームズの名推理で解き明かし、その謎解きをニャトソンが猫集会で披露します。


謎解き自体は面白かった覚えがあるのですが、ニャームズもニャトソンもかわいいと思えませんでした。外国っぽいユーモアも理解できませんでしたし・・。

ハリモトフジンはなかなか魅力的な人みたいですが、まだまだ謎が多すぎて理解しきれませんでしたし。


海外物、特にホームズが好きな人、猫が好きな人なら楽しめるのかな?と思います。


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2019年11月13日

吉永南央「花ひいらぎの街角 紅雲町珈琲屋こよみ」

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 吉永南央 著
 「花ひいらぎの街角 紅雲町珈琲屋こよみ」
 (文春文庫)



「小蔵屋」を営むお草のもとに、旧友の初之輔から小包が届く。中身はかつて彼が書いた小説に絵を添えた巻物。お草はその小説を活版印刷の本にしようとして、制作を依頼した印刷会社の個人データ流出事件に巻き込まれ、さらに周囲の人々の<過去>を辿ることに・・。お草さんの想いと行動が心に沁みる一冊。シリーズ第6弾。
−裏表紙より−


前作は展開が早くて面白かったのですが、今回はお草さん自身の問題ではないことが多くて、もどかしい気持ちにもなりました。

メインで描かれるのは、旧友の書いた小説を、こっそりと活版印刷の本にしてプレゼントしてあげよう!というお草さんの素敵な企みについてなのですが、それ以外にも色々と。

中でも久実ちゃんの恋愛模様については、うまくいってほしくて「お草さん何とかしてよ〜!」ともどかしい気持ちが出てしまいました。でも私の思いが届くわけもなく、お草さんは人生経験豊富なので、ほとんど口出しすることもなく、ひっそりと応援するにとどまります。

背中を押してあげたら良いのにとも思いますが、背中を押されて付き合ってもそんなにうまくいくとも思えませんね・・。この件は何とも苦い苦しい終わり方になってしまいました。


また、印刷会社の事件にも巻き込まれてしまいます。そこは複雑になってしまって、イマイチわからない展開だったのですが、活版印刷で本を作るって素敵だなというのはよくわかりました。

推理小説なんかだと雰囲気が違うでしょうけど、恋愛小説や時代小説なんかだったら合いそうです。

本の装丁を考えるのも楽しそうです。私自身には文章を書く能力は無いのですが、誰かのために本を作ってあげるというのは楽しそうです。売れ行きを考えないで良いなら楽しそう。


最後には、旧友とお草さんに何か起こるのか?と予想していたのですが、特に何が起こるでもなく、ふんわりと良い感じで話は終わりました。素敵なプレゼントが出来るセンスのあるお草さんは本当にかっこいいですし、あこがれます。


まだ続きがありそうです。文庫になったら読んでいきます。


<紅雲町珈琲屋こよみ>
「萩を揺らす雨」
「その日まで」
「名もなき花の」
「糸切り」
「まひるまの星」

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タグ:吉永南央

2019年09月27日

横関大「チェインギャングは忘れない」

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 横関大 著
 「チェインギャングは忘れない」
 (講談社文庫)


護送車が襲われ、五人の受刑囚が脱走した日、シングルマザーの早苗は記憶喪失の青年・修二と出逢う。母子は次第に彼に心を惹かれていく。一方、池袋署の刑事たちは連続殺人犯“サンタクローズ”を追っていた。二つの事件が交錯するとき、チェインギャングたちが動き出す。過去と現在を繋ぐ爽快な真相とは。−裏表紙より−


チェインギャングとは、鎖につながれた囚人という意味だそうです。




かなり前に読んだので、内容が思い出せず。感想も書けないので、時間があるときに軽く再読して書きます。




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2019年08月05日

長岡弘樹「赤い刻印」

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 長岡弘樹 著
 「赤い刻印」
 (双葉文庫)


時効間近の事件を追う、刑事である母。捜査線上に浮かんだ人物に、母と娘の胸中は―。40万部超のベストセラー『傍聞き』の表題作(日本推理作家協会賞短編部門受賞)で主人公を務めた母娘が、再び登場!(表題作「赤い刻印」)辛い現実にさらされた人間たちの謎めいた行動と、その先に待つ一筋の希望を描いたミステリー短編集。緻密な伏線から浮かびあがる人生の哀歓が、深々と心に沁みる。
−裏表紙より−


赤い刻印」他「秘薬」「サンクスレター」「手に手を」の4編収録されています。


「傍聞き」は、2012年に読んだので、7年前の記憶を掘り起こしながら読むことになるわけですが、最近のことすら怪しいのに思い出すはずもなく・・。

今回の表題作「赤い刻印」の母娘のこともすっかり忘れていました。でも、忘れていても大丈夫な内容だったので良かったです。前作を読まなくても十分楽しめると思います。

あまりいないタイプの母娘でした。クールな関係であまりベタベタしていないのに、さり気なくお互いのことを想い合って信頼している感じが素敵でした。

どんでん返しというか、ラストが意外な展開を見せてびっくりさせられつつも、納得できましたし、感心もさせられました。他の3作も驚きと納得が待っています。

前半、なぜこんなことが起きるのか?と不思議に思う行動も、ラストでスッキリ解決されますし、どんな終わりを迎えるのか?と不安な展開を見せていても、なるほどな終わり方が待っていてスッキリできます。


最後の話も暗い展開しか予想できなかったのですが、何とか良い方向へ収まってくれてホッとさせられました。


短編というのも読みやすく、ギュッと内容が詰まっていてとても面白かったです。

また他の作品も読みたいと思います。お気に入りの作家さんになりました。


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タグ:長岡弘樹

2019年07月12日

アミの会(仮)「毒殺協奏曲」

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 アミの会(仮) 著
 「毒殺協奏曲」
 (PHP文庫)


合唱部の女性顧問の「毒殺未遂事件」。学校側は事故と主張するが、生徒たちは犯人捜しを始めて・・(「伴奏者」)、作家が開いた鍋パーティーで、ある書店員の様子が急変して・・(「猫は毒殺に関与しない」)、ネットで知り合いm意気投合した自殺志願の男女。服毒自殺を図るも、事態は思わぬ展開に―(「劇的な幕切れ」)。サスペンス、心理戦、謎解き、どんでん返し。人気作家8人による「毒殺」縛りの多彩な傑作アンソロジー。−裏表紙より−


永嶋恵美「伴奏者」柴田よしき「猫は毒殺に関与しない」新津きよみ「罪を認めてください」有栖川有栖「劇的な幕切れ」松村比呂美「ナザル」小林泰三「吹雪の朝」篠田真由美「完璧な蒐集」光原百合「三人の女の物語」の8編収録されています。

好きな作家さんがたくさん参加しているアミの会(仮)。今回は永嶋恵美、柴田よしきしか読んだことがありませんでした。もしかしたら他のアンソロジーではあるかもしれませんが・・


柴田よしきの作品は読んだことがありました。柴田よしきで「猫」といえば「正太郎!」 これは、猫探偵正太郎シリーズに入っていた作品です。クスリと笑えて、ちょっとゾクッとする面白い展開です。


印象に残ったのは、「劇的な幕切れ」「罪を認めてください」「吹雪の朝」です。


劇的な幕切れ」は、初対面の男女が一緒に服毒自殺しようと、森の奥深くへ入っていくのですが、いざ毒を飲むぞ!というときになって、思いがけない出来事が。 だいたい、自殺を一人で出来ないから誰か一緒にお願いします、というのが納得いきません。その呼びかけに手を挙げる人がいるのもどうなんだ!? 今回はこういう幕切れで良かったですけど。


罪を認めてください」は、愛猫を亡くした婦人が起こした事件の話です。始めの方はどういう展開になるのかよくわからず、ぼんやりと読み進めていたのですが、後半どんどん引き込まれました。猫一匹で・・と思わなくもないですけど、ペットってそれだけ大事な存在になるんですね・・。ちょっと切なかったです。


吹雪の朝」は、話の展開はともかく、毒に対する蘊蓄が勉強になったな〜と思いました。毒を使う予定も無ければ、入手方法もないですけど、普通にサスペンスとか見るのが好きなので、そういうときに役に立ちそう! なるほど「致死量」ってそういうことなのね〜でした。物語としては愛するが故に・・という切ない内容でした。



アミの会(仮)のアンソロジーは他にもあるようなのでまた探して読もうと思います。


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2019年06月11日

伊岡瞬「代償」

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 伊岡瞬 著
 「代償」
 (角川文庫)


平凡な家庭で育った小学生の圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに、遠縁で同学年の達也と暮らすことに。運命は一転、過酷な思春期を送った圭輔は、長じて弁護士となるが、逮捕された達也から依頼が舞い込む。「私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。私の弁護をしていただけないでしょうか」。裁判を弄ぶ達也、巧妙に仕組まれた罠。追い詰められた圭輔は、この悪に対峙できるのか? 衝撃と断罪のサスペンスミステリ。−裏表紙より−


初めましてかと思ったら、実は二作目だった作家さんです。以前読んだ作品のことは覚えていません・・。前の方は珍しい話だったようなので、この作品の方がこの作家さんらしいのかもしれません。


二部構成で描かれています。第一部では、圭輔という小学生が、ある事故をきっかけにその平和な暮らしから一気に転落し、遠縁の同学年だった達也とその母親と暮らすことになります。

この達也というのがかなりの曲者で、彼の言動を読む度に怒りと気持ち悪さが止まりませんでした。本当に小学生なのか!?と何度も疑ってしまいました。育て方ひとつでこんなにねじ曲がってしまうものなのか、と思うと恐ろしくもありました。 達也の母親もまたひどい人で・・。2人で共謀して、素直などこにでもいそうな平均的ともいえる純粋な小学生の圭輔を貶めていく様子は、辛くて仕方ありませんでした。


そして、第二部では、すっかり大人になった圭輔が逆境に負けず弁護士になっています。あんな環境で育って、どうやって司法試験を受けられたのか?とても不思議ですが、その答えは後々明かされていきます。 彼にも見方がいたというのが本当に救いでした。

弁護士となった圭輔の所に、達也から依頼が。とても丁寧に頼まれるのですが、あの達也ですからそんな殊勝な態度のまま終わるわけもなく・・。

心配は当たりどんどん追いつめられていく圭輔。いつまで苦しめられるのか・・と読むのがしんどくなりました。でも展開が気になって次々読み進めることになるのですが。最後は大逆転してくれると信じて読みました。


結局、最後までスッキリ爽快!という解決ではありませんでしたが、今後はきっと達也とその母親に苦しめられることはなさそうなので、ホッとはできました。


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タグ:伊岡瞬

2019年06月05日

山口恵以子「恋するハンバーグ 食堂のおばちゃん2」

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 山口恵以子 著
 「恋するハンバーグ 食堂のおばちゃん2」
 (ハルキ文庫)


トンカツ、ナポリタン、ハンバーグ、オムライス、クラムチャウダー・・帝都ホテルのメインレストランで副料理長をしていた孝蔵は、愛妻一子と実家のある佃で小さな洋食屋をオープンさせた。理由あって無銭飲食した若者に親切にしたり、お客が店内で倒れたり―といろいろな事件がありながらも、「美味しい」と評判の「はじめ食堂」は、今日も大にぎわい。ロングセラー『食堂のおばちゃん』の、こころ温まる昭和の洋食屋物語。巻末に著者のレシピ付き。−裏表紙より−


「食堂のおばちゃん」シリーズの2作目ですが、内容は1作目より前の話になっています。一子さんの若かりし頃のお話です。


有名ホテルで副料理長をしていた孝蔵が、実家の跡に洋食屋をオープンさせました。孝蔵の料理の腕はもちろん、妻・一子の美貌と気風の良さ、面倒見の良さが評判となり、人気の店になりました。

とはいえ、始めのころは、一流ホテルの料理人としてのプライドもあって、お客との距離が縮まらず苦労させられることもありました。孝蔵はとてもやさしい人なので、一子の口出しにも文句を言わず、取り入れるべきだと思えば、きちんと取り入れ、お客の舌に合うメニューを仕上げていきました。

おかげで人気の店となったのですが、色々とトラブルの起きます。 まあ、そうじゃないと話は成り立たないのですが・・。


6編に分けて、それぞれ問題が起きるわけですが、冷静に物事を判断する孝蔵と、お人よしで自らトラブルに巻き込まれに行っているようにも見える一子が、周りの力も借りながら解決していきます。


泣きそうになったり、思わず笑顔になったりするドタバタな話たちに、ほっこりしました。


巻末には美味しそうなレシピもあって、お得です。

シリーズの続きも描かれるのかな? まだまだこの食堂のドタバタが読みたいです。


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タグ:山口恵以子

2019年05月30日

小路幸也 「スターダストパレード」

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 小路幸也 著
 「スターダストパレード」
 (講談社文庫)


1年の刑期を終えたその日、オレを迎えに来たのは刑事の鷹原さんだった。不審な死で母を亡くし、言葉を失った5歳の少女・ニノンを匿えと切り出す。なぜオレに? かつて鷹原さんを裏切ったこのオレに? ニノンとオレとの切ない逃避行が始まった―。それぞれの想いを乗せた、ハートフル・ミステリー!−裏表紙より−


若者が拘置所か何かから出所しようとしている場面から話は始まります。 題名からは想像もつかない始まり方です。

そして、出所する若者を刑事が迎えに来ます。その刑事と若者は何か関わりがありそう。多分、逮捕した人なのでしょう・・。でも話が進むにつれ、どうやらそれだけではない何かがありそうな記述が。なのに全く説明がない。もしかして続編から読み始めたのか?と不安になるくらい置いて行かれた感じがしました。


この若者・マモルが“オレ”として、彼の視点で話は進みます。捕まっていたはずなのかれのことをどんどん好ましく思えることに戸惑ってしまいましたが、その理由は後々わかってきます。

彼に、迎えに行った刑事・鷹原はある少女を守るように頼みます。どうやらその少女は命を狙われている様子。細かい事情を知らされないままですが、彼は少女のかわいらしさに助けられつつ、しっかり守っていきます。


この少女もかわいかった! マモルも良い人ですし、みんな幸せになってほしいと思うようになってしまいました。何とかそんな展開になってくれてよかったですが、それまでの流れはちょっと盛り上がりにかけるような・・。

最後まで何が言いたかったのかよくわからず。

でも、これは登場人物の魅力だけで十分なのかもしれません。


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タグ:小路幸也

2019年05月20日

柚月裕子「パレートの誤算」

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 柚月裕子 著
 「パレートの誤算」
 (祥伝社文庫)


ベテランケースワーカーの山川が殺された。新人職員の牧野聡美は彼のあとを継ぎ、生活保護受給世帯を訪問し支援を行うことに。仕事熱心で人望も厚い山川だったが、訪問先のアパートが燃え、焼け跡から撲殺死体で発見された。聡美は、受給者を訪ねるうちに山川がヤクザと不適切な関係を持っていた可能性に気付くが・・。生活保護の闇に迫る、渾身の社会はミステリー!−裏表紙より−


なかなか重い内容でした。

生活保護受給者の問題です。 不正受給の問題はよく聞きますし、ニュースでもやっていてわかっていましたが、受給者に集る人がいるとは・・。何となくそんなこともあるだろうとは想像できますが、こんなにあくどいとは知りませんでした。この部分はフィクションではなさそうです・・。そのお金も税金から出ているかと思うと悲しいですし、腹が立ちますね。


ただ単純に不正受給の問題だけを描いていると多分退屈してしまったでしょうが、そこに殺人事件を絡めて、誰が犯人なのか、どうして殺されなければならなかったのかを推理しつつ社会問題にも立ち向かうことになって、最後までハラハラしてしまいました。

働きたくても様々な事情で働けない人たちに国が力を貸すのは絶対に必要なことだとは思います。だからこそ、不正をする人がいると正直な人の規制が厳しくなってしまい、必要な所に行き届かないのが難しいです。


ケースワーカーの仕事の大変さもよくわかりました。人手不足なんですね。かなりハードなようですし、怒鳴られたりすることも多いからなりたくないのはわかります。私も出来ればなりたくない・・。

それでも、何とか成り手を増やして、もっとしっかり調査出来ると良いのでしょうけど。


ほんと、難しい問題です。


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タグ:柚月裕子

2019年03月22日

斜線堂有紀「私が大好きな小説家を殺すまで」

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 斜線堂有紀 著
 「私が大好きな小説家を殺すまで」
 (メディアワークス文庫)


突如失踪した人気小説家・遥川悠真。その背景には、彼が今まで誰にも明かさなかった一人の少女の存在があった。 遥川悠真の小説を愛する少女・幕居梓は、偶然彼に命を救われたことから奇妙な共生関係を結ぶことになる。 しかし、遥川が小説をかけなくなったことで二人の関係は一変する。梓は遥川を救うため彼のゴーストライターになることを決意するが・・・。 才能を失った天才小説家と彼を救いたかった少女―なぜ彼女は最愛の人を殺さなければならなかったのか?−裏表紙より−


初めましての作家さんです。ネットでの感想を読んで面白そうだったので読んでみました。


『憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのを見て、「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で「それでも生きてくれ」と願うのが執着だと思っていた。だから私は、遥川悠真に死んで欲しかった』という文章で始まるこの物語。この文章でグッと惹きつけられる感じがありました。

その後、誰かの遺書らしいということはわかります。どんな人が自殺したのか・・。

読み進めるとこの遺書の主は、小説家・遥川悠真が助けた少女・幕居梓だということがわかってきます。遥川悠真と共同生活を始めることになった梓。“少女”というくらいですから、さすがに同棲ではないのですが、保護者代わりという感じです。梓の母親はネグレクトなので、日々の生活に困っていた梓を見兼ねて「家に来ても良い」ということになりました。


梓は実は遥川悠真のファンでもありました。そばにいられることにただただ喜びを感じていたのですが、彼が小説を書けなくなったことで、少しずつ2人の関係に変化が。


この辺りから渡しは少しずつ置いて行かれた気がしました。遥川の気持ちはともかく、梓の気持ちがどうしても理解できなかったのです。彼を独占するために色々画策したり、彼の気持ちを想像して先回りして何かしようとしたり。更には愛するあまり殺さなければならないとまで思い詰める・・・。う〜〜ん。ある意味ここまで愛することが出来るのは、羨ましいような、ここまで落ちたくはないような。


これを暗く悲しい物語だと感じてしまった私は、まだまだなのかな?と思ってしまいました。


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タグ:斜線堂有紀

2019年03月06日

加藤実秋「モップガール」

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 加藤実秋 著
 「モップガール」
 (小学館文庫)


なんなのこの人たち? なんなのこの会社!?
高級優遇・初心者歓迎・・求人広告に誘われて、フリーターの桃子が就職した先は、事件・事故現場の後始末が専門の掃除会社だった。そこで働くのは、超犬好きの社長を筆頭に、売れない役者の重男、ギャルの未樹、イケメンだが不愛想な翔と、変人ばかり。 ようやく仕事にも慣れてきた桃子だったが、ある事件現場の清掃中、フラッシュバックに襲われる。  個性豊かな清掃員達が、桃子に起こる超常現象を手がかりに、事件や事故の謎に挑む日本初!お掃除サスペンス。
−裏表紙より−


初めましての作家さんです。


事件現場の掃除をする会社に入ることになった桃子。事件現場の掃除。たまに2時間ドラマなどで見かけますが、確かにいないと困る人たちですね。ただ、自分でやりたくない・・。清掃業者でも断る所が多いというのは納得できます。

桃子が入ったのは、変な社員ばかりの会社でした。まず社長。彼はほぼしゃべらない謎の多い人物。ただただ犬が大好きというのだけはわかります。そして、売れない役者で次の仕事の役柄になりきって性格さえも変わる重男、事務をやっているギャルの未樹、イケメンだけど性格がよくわからないこちらも謎の多い翔、という4人。そこに入った桃子も見た目は大人しくてまじめですが、実は時代劇マニアという珍しい女性。

私も時代劇は好きなので出てくる話は結構知っていましたが、さすがに彼女ほどのマニアではない・・。でも血生臭い事件の中で、彼女のマニアっぷりがちょっと話を軽くしてくれている気がしました。

そんな彼女は初めての現場以来、体調に異変が起こるようになりました。そこからどんどん事件に入り込んでいきます。変人たちと事件を解決していく桃子の成長も楽しめるようになっています。


マニアな感じと変人たちの様子が面白かったので、続編も読んでみようと思います。


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タグ:加藤実秋

2019年02月26日

アミの会(仮)「アンソロジー 捨てる」

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 アミの会(仮) 著
 「アンソロジー 捨てる」
 (文春文庫)


連作ではなく、単発でしか描けない世界がある―9人の人気女性作家が、それぞれの持ち味を存分に発揮し、今大変注目を集めている「捨てる」をテーマに豪華競作!女性作家ならではの視点で、人の心の襞をすくいとり丁寧に紡がれた9篇は、いずれも傑作ぞろい。さまざまな女たちの想いが交錯する珠玉の短編小説アンソロジー。−裏表紙より−


アミの会(仮)によるアンソロジーです。女性作家ばかりが集まってできた会だそうです。名前の由来はあとがきを読めばわかるようになっています。

収録されているのは9篇。

大崎梢「箱の中身は」ミステリーっぽくもあり、ちょっと不思議な雰囲気もありました。ただ、結局何だったのかイマイチ理解できず。自分の理解力の無さが情けない・・。


松村比呂美「蜜腺」嫁姑の確執の話。かなりイライラさせられる内容でした。そして、最後が怖い。でもちょっと気持ちはわかる気がするのが、自分でも怖いです。


福田和代「捨ててもらっていいですか?」ハラハラさせられる内容。でもちょっとほのぼのします。遺品を捨てるって難しそう。特にこの遺品は・・。



篠田真由美「forget me not」これも遺品整理の話。娘が母の家を片付けるのですが・・。自分のときはちゃんと片付けておかないと、と強く思わされました。


光原百合「四つの掌編」人形の話は怖そうなので途中でやめておきました。



新津きよみ「お守り」お守りをいつどうやって捨てる? 確かに悩みますね。捨てずに持っていたお守りを捨てたとき・・・。



永嶋恵美「ババ抜き」女性が集まると駆け引きが怖いです。これも色んな意味でゾッとさせられました。



近藤史恵「幸せのお手本」祖母に憧れていた主婦の話。これも結末はゾッとさせられました。でもある種よくある夫婦で、一線を越えるかどうかだけな気もします。


柴田よしき「花子さんと、捨てられた白い花の冒険」謎がいっぱいのミステリー。軽い感じなのに本格的でした。最後はすっきり解決して良い感じです。


彼女たちのアンソロジーは他にもあるようなので、文庫化されたら読みたいと思います。


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2019年02月18日

中山七里「テミスの剣」

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 中山七里 著
 「テミスの剣」
 (文春文庫)


豪雨の夜の不動産業者殺し。強引な取調べで自白した青年は死刑判決を受け、自殺を遂げた。だが5年後、刑事・渡瀬は真犯人がいたことを知る。隠蔽を図る警察組織の妨害の中、渡瀬はひとり事件を追うが、最後に待ち受ける真相は予想を超えるものだった!どんでん返しの帝王が司法の闇に挑む渾身のミステリ。−裏表紙より−


以前、ドラマをやっていたので録画したのですがまだ見ていません・・。原作を先に読むことにしました。


不動産業者の殺害と窃盗事件が発生し、渡瀬刑事とベテランの鳴海が捜査することに。そこで浮上した容疑者を逮捕し、強引な方法で自白させてしまいます。

容疑者は死刑判決の末、自殺をしてしまいます。なのに、5年後に別に犯人がいることが判明。

普通ならその事実を公表し、亡くなったとはいえ冤罪で逮捕され死刑判決を受けた人の名誉を回復させるべきなのですが、警察と言うのは隠蔽体質のようで、上司たちは何とかして隠そうとします。

渡瀬も公表したときの波紋の大きさを恐れてかなり葛藤し、信頼している検事や冤罪を作ることになってしまった裁判官にも相談しに行きます。

彼の苦しみはわからないこともないですし、勇気も必要だとは思います。でも、間違えたことを組織全体で公表し、そのミスをカバーできるようになるべきなのに・・と思うと、情けない気持ちになります。

唯一、裁判官と検事だけはまともでいてくれたことが救いでした。


現実社会でも時々聞かれる冤罪。人が人を逮捕して裁くことの難しさ、怖さを痛感させられました。


ドラマも見てみよう! どんなアレンジがされているか楽しみです。


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タグ:中山七里

2018年11月21日

横関大「グッバイ・ヒーロー」

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 横関大 著
 「グッバイ・ヒーロー」
 (講談社文庫)


立て籠もり現場にピザを届けることになったバンドのリーダー、伊庭亮太。だがそこにいたのは、腰の低いおっさんだった。託されたメッセージ。奇しくも今夜は大切なライブの日。だけど困っている人がいたら助けなければならない。おっさんと亮太の長い一日が始まる。次々くり出される意外な展開が止まらない!−裏表紙より−


数年前に読んで「お気に入りの作家さんが増えた」と喜んでいたはずなのに、ずっと読まずにいた作家さん・・。

久しぶりに手に取って読み始めたらやっぱり面白かったです。


まずプロローグで、ある少女がライブに行く様子が描かれています。どうやら彼女は一人で来ることになったようです。一緒に行くはずの友人が体調不良で参加できなかったようです。そのくらいの情報だけでプロローグは終わってしまいます。

本編になると、少女は出てきません。出てくるのはピザの配達のアルバイトをしている男性。バンドのリーダーもやっている伊庭亮太は、ピザの配達という仕事に誇りを持っています。

注文されればどんな所にでも運ぶ!という心意気を見せる彼ですが、そのせいで事件に巻き込まれることに・・。

立て籠もり事件の現場に届けた上に、そこにいた人質から伝言まで頼まれて、どんどん巻き込まれる亮太。人質であるおっさんと共に事件を解決に導き、いわくありげなおっさんのことも手助けしていきます。

しかも、大事なライブを控えている日に。


どんな結末を迎えるのか、おっさんが隠していることは何なのかが気になってほぼ一気読みでした。

プロローグのこともすっかり忘れていて、第二章になって「そういえば・・」と思い出すほど入り込んでいました。おっさんがどうなったのか、曖昧な結末でしたが、きっといい方向に進んでくれると信じられる感じでした。

それにしても、亮太は良い人すぎ! 人を信じる気持ちは強いし、親切心がすごい。お人好し過ぎ。こんな人、身近にいたらある意味うっとおしいのかもしれません・・。


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タグ:横関大

2018年10月12日

妃川螢「お弁当代行屋さんの届けもの」

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 妃川螢 著
 「お弁当代行屋さんの届けもの」
 (富士見L文庫)


フレンチシェフとして活躍した石嵜眞琴が始めた“お弁当代行屋”には、ワケアリの依頼がやってくる。今度のオーダーは事故で母を失って以来、どんなお弁当も食べられなくなってしまった5歳の透のお弁当。眞琴は血のつながらない甥の陽仁とともに、依頼人の思い出からレシピを探り、味付けから盛り付けまで、お母さんのお弁当を再現するのだが・・。  「お弁当を届けにいくんじゃない。想いを届けにいくの」  幼い透が望んだ、本当のこととは―? 心を温かく満たしてくれる、3編のお弁当の物語。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。ネットで感想を読んで面白そうだったので読んでみました。どうやらBL物の作家さんのようですが、この作品はそういう要素はありません。お陰で読みやすかったです。

でも、ページ数の割には時間がかかりました。


「晴れの日には約束のコロッケサンドを」「追憶のきんぴら」「明日をむすぶお花見弁当」の3編が収録されています。

1話目は、アレルギーの強い男の子のお弁当を、亡き母親の代わりに作ることになります。これだけのアレルギーがあって、よくお弁当なんか作れるなと感心しきり。母親ってすごい。

突然、妻を失った夫は息子の食事をどうすれば良いのかわからず、ひたすら手抜き料理に頼ってしまいます。そこで「お弁当代行屋」の出番。・・なのですが、なかなか息子が食べてくれず戸惑ってしまいます。

この話の依頼人がどうにも好きになれず、大変だろうなとか可哀そうな息子だなとか思いながらも読み進められず時間がかかってしまいました。


2話目も亡くなった人の味を再現する依頼。今度は奥さんの味を再現してもらおうとするわけですが、レシピを知っているわけではなく、味も曖昧な記憶しかなく難航します。

想い出の味って、結構美化されているものですしね。ハードルはかなり高いと思われます。これも登場人物たちが底知れない感じでいまいち好きになれず。


3話目は突然、妻から離婚を切り出された中年男性の話。これは涙涙の話で面白かったです。長年夫婦をやっているとお互いのことを思いやるあまり、相手の望まない決断をしそうになるものなんですね。

この夫婦がこれから幸せになれるかどうかは難しいかもしれませんが、この決断で悔いは残らない気がします。それはある意味幸せなのかもしれません。


全編通して美味しそうな料理がたくさん出てきますし、代行屋さんの苦労や工夫は面白くて興味津々で読めました。登場人物たちが好きになれなかったのが残念ではありますが、続きは読もうかな?


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タグ:妃川螢

2018年09月18日

太田愛「犯罪者 上下」

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 太田愛 著
 「犯罪者 上」
 (角川文庫)


白昼の駅前広場で4人が刺殺される通り魔事件が発生。犯人は逮捕されたが、ただひとり助かった青年・修司は搬送先の病院で奇妙な男から「逃げろ。あと10日生き延びれば助かる」と警告される。その直後、謎の暗殺者に襲撃される修司。なぜ自分は10日以内に殺されなければならないのか。はみだし刑事・相馬によって命を救われた修司は、相馬の友人で博覧強記の男・鑓水と3人で、暗殺者に追われながら事件の真相を追う。−裏表紙より−


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 太田愛 著
 「犯罪者 下」
 (角川文庫)

 
修司と相馬、鑓水の3人は通り魔事件の裏に、巨大企業・タイタスと与党の重鎮政治家の存在を掴む。そこに浮かび上がる乳幼児の奇病。暗殺者の手が迫る中、3人は幾重にも絡んだ謎を解き、ついに事件の核心を握る人物「佐々木邦夫」にたどり着く。乳幼児たちの人生を破壊し、通り魔事件を起こした真の犯罪者は誰なのか。佐々木邦夫が企てた周到な犯罪と、その驚くべき目的を知った時、3人は一発逆転の賭けに打って出る。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

ドラマ「相棒」の脚本家だとか。なるほどの内容でした。「相棒」は大好きなドラマだったのですが、最近はとあるキャストが苦手で見ていません。残念でならないのですが、我慢できないので仕方ない・・。


メールで女の子から呼び出された青年が駅前広場にやって来たところから話は始まります。そしてあっという間に通り魔事件に巻き込まれてしまう!

驚きの展開に目が離せなくなるわけですが、これはほんの序の口。

犯人はすぐに捕まるのですが、どうも彼は犯人ではなさそうな雰囲気。しかも、一人だけ奇跡的に助かった青年・修司が搬送された病院で謎の人物から「逃げろ」と言われて、更に謎が深まっていきます。

訳も分からないまま、とりあえず誰にも言わずに病院を出るのですが、再び襲われてしまいます。

なぜ、修司は狙われるのか、通り魔事件ではないのか?

事件自体に謎が深まっていきます。でも捜査本部は捕まえた容疑者で満足しそうな状態。それに納得出来なかったはみだしものの刑事・相馬が修司を助けながら捜査していきます。

相馬の昔の知人である鑓水も巻き込まれるようにして事件を調べ始めます。


上巻で、きっと事件の黒幕であろう人たちの視点でも描かれてしまったので、ほとんどの謎は判明してしまい、下巻は何のためにあるんだろう?と不安になりました。

急いで下巻を読み始めた所、これでもか、これでもか!と逆転劇が。

「これで勝った!」と思ったらまたやられてしまい、3人ともボロボロ状態に。下巻は気になってほぼ一気読みになりました。


最後はもっとすっきりさせてほしい気もしましたが、あまりにもハッピーエンドだと嘘くさくなるのかもしれないとも思います。これくらいがちょうどいいのかな?

読み終わってから上下巻並べて表紙を見ると泣けてきます・・。「しっかり生きて行ってね!」と応援したくなりました。


現実世界でもよくある会社の隠蔽事件。保身のためなら何でもするという考えが怖すぎました。幼い子どもたちが犠牲になっても平気でいられるなんて人間とは思えないです。動機が情けなすぎて腹が立ちました。


後味の悪い話ではありましたが、3人のキャラクターも話の展開も面白かったので、もう少しこの作家さんを追ってみようかな?


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タグ:太田愛

2018年08月22日

藤崎翔「神様の裏の顔」

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 藤崎翔 著
 「神様の裏の顔」
 (角川文庫)


神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみに包まれ、誰もが涙した。・・のだが、参列者たちが「神様」を偲ぶ中、とんでもない疑惑が。実は坪井は、凶悪な犯罪者だったのではないか・・。坪井の美しい娘、後輩教師、教え子のアラフォー男性と今時ギャル、ご近所の主婦とお笑い芸人。二転三転する彼らの推理は!?どんでん返しの結末に話題騒然!!第34回横溝正史ミステリ大賞≪大賞≫受賞の衝撃ミステリ!−裏表紙より−


「こんにちは刑事ちゃん」が面白かったので、作家さん買いをしてみました。「こんにちは〜」の時も思いましたが、面白い発想をする作家さんです。


神様のようだと評されていた教師・坪井が亡くなり、その通夜が話の舞台になっています。いきなり通夜の場面からスタート。亡くなった坪井は一切自分では語ることは出来ませんが、通夜に参列した人たちから坪井の人物像について様々語られていき、それによって読者は故人がどんな人物だったかを知っていきます。

こういう話の進め方をすることで、どんどんミスリードされていくわけですが。

それぞれの場面で、参列者たちの視点で話は進みます。そして、どんな知り合いだったのか、故人をどういう風に思っていたのか、エピソードも交えて語られていきます。

参列者の思い出話に浸っているうちに、通夜も進んでいきます。

気づけば、参列者たちはふとした疑問を感じるようになり、何となく流れて参列者たちが集まって話し合うことに。そこで話し合われるのは、故人の意外な一面・・。


ここからどんどん話は意外な方向へ転がっていきます。その転がり方が面白い! 一人が言い出したら「そういえば私も」的に話が膨らんでいく様子が面白いです。こういうことってあるな〜と感心。

あっという間に故人のイメージが覆ってしまいます。

発言が強い人によって自分の考えも変化していくのを目の当たりにすると、ニヤニヤが止まらなくなります。

なるほど、これがどんでん返しか〜と思っていたら・・・・ここからはぜひ読んでみて下さい。

とはいえ、最後の場面はちょっと納得しにくいんですけどね・・。まあよくある展開ともいえるかも?


次は「こんにちは刑事ちゃん」の第2弾に期待したいです。




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タグ:藤崎翔

2018年08月20日

吉永南央「まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ」

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 吉永南央 著
 「まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ」
 (文春文庫)


紅雲町では山車蔵の移転問題が持ち上がり、お草が営む小蔵屋の敷地が第一候補に。話し合いが必要だが、お草は母の言いつけで「うなぎの小川」とは絶縁状態で、話し合いができない。かつては親友だった女将と亡母の間に、なにがあったのか。紅雲町を歩き回るうち、お草は町全体に関わる重い事実にたどり着く。シリーズ第5弾。−裏表紙より−


5作目になるこのシリーズ。今作が今までで一番展開が激しくて面白かったかも。お草さんも行動的でしたし。ただ、お年寄りですから、無理しすぎてハラハラするところもあったのですが。もっと久実ちゃんに任せても良いのかな?とも思いました。

ちょっと気弱になる場面もあったので、もっと元気なお草さんが読みたかったです。でも話の内容としては面白かったです。


紅雲町の山車蔵を移転しなければならないことになり、古い契約のせいで小蔵屋の敷地が第一候補にされてしまいます。さすがに敷地内に山車蔵が出来てしまったら営業は続けられないので、閉店することになるかも!?という事態に。

お草としては「まあそれも仕方ないか」と諦めの気持ちにもなっていたのですが、久実を始め常連たちからの強い要望もあって、他に候補地はないか?と一通り探ることになりました。

そこで候補に挙がったのが、「うなぎの小川」の向かい側にある工場跡地。そこに移動させたら便利なことも多いと思われたのですが、実は小川の女将と絶縁状態になっているお草が関わっているせいでなかなか移転させられそうにもありません。

誰とでも大抵仲良くやっていけるはずのお草がどうして小川の女将と絶縁状態なのか? そこには亡き母の言いつけがありました。昔は親友だったはずの女将と亡母との間には何があったのか? 亡き母が遺していった女将に渡すはずの着物も引き出しにあるのを見つけて複雑な心境になってしまいます。


普段は慎重なお草さんですが、お母さんのことが絡むと冷静ではいられないようです。心のどこかでは「亡くなった人のことをいつまでも気にしたって仕方ない」と思っているのですが、その相手が母親となると無下にも出来ず・・。

その気持ちはわかりますが、何せ亡くなっているので詳しい事情を聞けなくて大変な苦労を強いられることに。


最後には、一個人ではなく町全体に関わる大きな出来事になってしまいますが、それぞれが反省すべき点は反省して進んでいきそうなので丸く収まって良かったです。

お草さんの元気な姿にもまた会えそうなので、続きを楽しみにしておきます。

<紅雲町珈琲屋こよみ>
「萩を揺らす雨」
「その日まで」
「名もなき花の」
「糸切り」


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タグ:吉永南央