2016年06月28日

新宮広明「サマーキャンプ 潜入捜査官・高階紗香の慟哭」

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 新宮広明 著
 「サマーキャンプ 潜入捜査官・高階紗香の慟哭」
 (幻冬舎)


1人目は東京立川に住む主婦。1年前に5歳の息子を幼稚園に預けたまま忽然と姿を消した。2人目は急成長中のディベロッパー勤務エリート社員。彼は半年前、職場のトイレで自殺。そして先々週、司法書士が幹線道路でダンプカーに轢かれ死んだ。一見何の事件性も関係もない3人の残された持ち物からは新興宗教「聖浄心会」のチラシが発見された。謎の教団が事件に関与しているのか。警視庁捜査一課「特殊班4係」の極秘捜査開始。 集団心理の機微をうがつ、骨太社会派ミステリ。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。あらすじを見て面白そうだったので「本が好き」で献本申し込みしました。

帯に「読者は3回騙される!」と書いてありました。こんな風に書かれるとつい身構えてしまいますよね??何かある度に「ここが騙しなのか?」なんて疑いながら読みました。

始めはちょっと入りにくい雰囲気なのですが、高階が本格的に潜入した辺りからは一気に面白くなって引き込まれていく感じがしました。ずっと肩に力が入りながら読んでいく状態が続き、何度か分けないと疲れてしまいました。

ドラマとかで、こっそり忍び込んで何かを探し出す・・みたいな場面ではつい目をそらしてしまうくらい蚤の心臓を持つ私としては、潜入捜査官の話はドキドキが止まらなくなってしまうんですよね。


潜入先は、新興宗教「聖浄心会」。なんだかありそうな名前ですね。キリスト教と仏教の良いとこどりしたような宗教。ってそのまんまやん!と突っ込みを入れたくなるような名前です。

宗教の内容としては何とも薄っぺらい教え!と思うのですが、人間って弱いのに強がるくせがあるせいで、心が折れやすくてつぶれやすい。だからこんな薄っぺらい宗教でも心に訴えかけるような何かがあればはまってしまうのはわかる気はします。

この教団が殺人に関わっているのか?というのが一番の謎なのですが、それよりも教祖の存在すらも謎。どんな教団でも教祖って大事で、その人物を全面に押し出して崇め奉るようにして成り立っていくものだと思うのですが、「聖浄心会」はほとんどの人が教祖を見たことがないという。

まあそのシステムのお陰(?)で謎は深まるし、事件も起きるし、潜入しやすいし・・となるわけですが。


殺人の動機と犯人については、同情はしませんが辛すぎて、読み終わってからもしばらく心が痛い感じがしました。安易な気持ちで起こした事件が色んな人の人生を狂わせてしまう。本当に辛い事件でした。

決して後味の良い話ではありませんが、最後まで楽しめました。楽しめた、と書くのがためらわれるような内容なので難しいですが。


社会派ミステリ、というよりも警察小説が好きな人なら楽しめるかと思います。後味は悪いので、口直しの本を用意してから読まれることをお勧めします。


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タグ:新宮広明

2016年06月22日

天野頌子「よろず占い処 陰陽屋猫たたり」

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 天野頌子 著
 「よろず占い処 陰陽屋猫たたり」
 (ポプラ文庫ピュアフル)


傷心の妖狐高校生、沢崎瞬太の夏休みは今年も補習とともに始まった。まったくやる気の出ないなか、陰陽屋に持ち込まれたのはアラフォー女子の恋愛相談。冷たい対応の店主安部祥明に対して、やけに相談者に感情移入する瞬太だがその理由は・・?また、行方をくらましていたバーテンダー葛城が帰ってきた。頼まれていた人捜しにも進展があり、化けギツネの仲間にぐっと近づいた瞬太たちなのだった。すっかりおなじみになった珍妙コンビの人気シリーズ第七弾!−裏表紙より−


シリーズも7作目になり、このほのぼの感に飽きて来てしまいました・・。

でも本当はまだ続くんですよね〜。

とりあえず、瞬太の仲間が出てきそうで出てこないまま進んでいきますし、片思いの相手との関係については「もうあきらめたら?」と冷たく思ってしまうくらいどうでもよくなっていますし・・。

今回もあまり大きな進展がないまま終わってしまいました。

瞬太の留年問題だけは何とかクリアできましたけど、まだまだ油断禁物です。

このシリーズはどうなったら終わりになるんでしょうね??ゴールが見えなくなりました。


続きはどうしようかな?? 

保留にしておきます。


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タグ:天野頌子

2016年05月17日

ヒキタクニオ「触法少女」

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 ヒキタクニオ 著
 「触法少女」
 (徳間文庫)


幼い頃、母親に棄てられた過去をもつ深津九子。児童養護施設から通う学校では、担任が寄せる暗い欲望を利用して教師を支配していた。同じクラスの西野も九子の下僕だし、里実からは憧れの対象として崇められていた。ある日、母親の消息を知るチャンスが巡ってきた。運命は激しく動き出す。母親なんていらない。戦慄だけでは終わらない、読者の心を震わせる書下し長篇完犯罪ミステリー!
−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

帯に「人を殺しても罰せられない魔法 それが刑法第41条」と書いてあったので、未成年しかも10代前半くらいの少女が殺人を犯す物語だろうと想像できていましたが、始めから終わりまでなかなか暗い内容でした・・。


主人公の九子は、母親に棄てられた少女。父親のことも知らずに育ちました。彼女は見た目がかなり美人らしく、それを自分でもわかっていてうまく利用して暮らしています。

担任や同級生の男子を手玉にとる感じはゾッとしました。中学生でこんな状態だったら大人になったらどうなるんだ!?と心配してしまいました。


幼い頃に虐待されて育つとこうなってしまうのか・・と思うと、かわいそうになるのと同時に親に対して激しい怒りを感じました。

人を殺すことはいけない、でも殺したい気持ちになるのはわからなくもない、そんな気分にさせられました。私は不自由なく幸せに育ったので、九子の気持ちなんて本当はわからないとは思います。でも自分がもしこんな目にあったら・・・と考えると、想像するだけでも泣けてきます。

虐待された子どもがみんなこうなるわけではないでしょうが、やはり心の傷は大きいでしょう。・・なんて、私が書いても何の説得力もないんですよね。

感想が書きにくい作品です。


単純に、完全犯罪を描いただけではなく、意外などんでん返しのようなものもあって、最後まで気が抜けない展開でした。

ただ、最後まで読み切っても、結局誰も救われていないよな・・と思うと悲しい気持ちになりました。


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2016年04月21日

長岡弘樹「教場」

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 長岡弘樹 著
 「教場」
 (小学館文庫)


希望に燃え、警察学校初任科第九十八期短期課程に入校した生徒たち。彼らを待ち受けていたのは、冷厳な白髪教官・風間公親だった。半年にわたり続く過酷な訓練と授業、厳格な規律、外出不可という環境のなかで、わずかなミスもすべて見抜いてしまう風間に睨まれれば最後、即日退校という結果が待っている。必要な人材を育てる前に、不必要な人材をはじきだすための篩。それが、警察学校だ。−裏表紙より−


この作家さんの作品を読むのは3作目。話の舞台は警察学校で、生徒たちにスポットを当てた連作短編になっています。

この作家さんが描く人物は、謎の行動をすることが多く、しばらく「何してるの?」と疑問がいっぱいになります。そして、最後になぜこんな行動をとったのかが明かされて「なるほど!」となるのです。

今回は教官の風間がそのタイプの人で、彼の行動一つ一つが謎だらけでした。登場の仕方からして謎な人でしたし。でも実は生徒のことを色々考えていることがわかり、感動することが多かったです。ただ、今までと違ってそこまで温かい人でもなくて、切り捨てる所は切り捨てる所がちょっと冷たい気もしました。

でもそこまで厳しくして無理そうな人はサッサと切り捨ててあげた方が本人のため、ということもあるでしょうけど。警察官という自分に厳しくいないといけない職業ですから余計にそうなのかも。


少しのミスも許されない環境で過ごす生徒たちのストレスは計り知れないもので、教官が見ていない所で生徒同士でもめるのは仕方ないことなのかもしれませんが、中には仕返しの仕方がエグイ物もあって、読んでいて顔をしかめることもありました。

障害が残るようなやり方はどうなんだ!?と思いつつも、やられた方の心の傷も深いだろうし、何とも言えない後味の悪さもありました。

最後の話では、脱落者もいましたが、卒業生たちには警察官として活躍していくであろう未来が見えてうれしくなりました。

新たな学生たちも入校してきて、彼らにもまた問題が起こるのでしょうが・・。


それにしても、警察官ってみんなこんな過酷な生活をしたのですかね?? なのに、たまに不祥事が起きるのはなんでだろう?すごく不思議です。これを乗り越えられたなら、その後の生活もきちんとできそうなのに。やはりストレスのせいなのか?

それだけ難しく厳しい職業ってことでしょうか?


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タグ:長岡弘樹

2015年12月11日

丸山正樹「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」

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 丸山正樹 著
 「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」
 (文春文庫)


仕事と結婚に失敗した中年男・荒井尚人。今の恋人にも半ば心を閉ざしているが、やがて唯一の技能を活かして手話通訳士となる。ろう者の法廷通訳を務めていたら若いボランティア女性が接近してきた。現在と過去、二つの事件の謎が交錯を始め・・・。マイノリティーの静かな叫びが胸を打つ。衝撃のラスト!−裏表紙より−


初めましての作家さんです。読書メーターで知った作品なのですが、あとがきによると読書メーターで人気が出たそうです。なるほど・・その流れに乗ったわけですね。

内容が面白そうだと思ったのと、手話の世界に少し興味があったので読んでみたわけですが、知らないことがいっぱいあって驚きました。

まず、手話に種類がいくつかあるということ。日本と海外では違う手話なんだろうとは思っていましたが、まさか日本語の中でも種類があるとは。しかも手話通訳の人と、ろう者が使う手話が違うとは!

ろう者はより一層苦労して理解しているのか、と思うとなんでこんな状態になったのか?不思議でなりません。

確かにろう者が使う「日本手話」は顔の表情や眉の上げ下げなんかでも表現するということなので、健常者には難しいのでしょうが。


そして、題名にも入っている「デフ」という言葉も知りませんでした。ろう者のことを Deaf と呼ぶそうです。


更に、この物語の主人公・荒井もそうなのですが、「コーダ」という言葉。これも知りませんでした。Children of Deaf Adults の頭文字を取って付けられた言葉で、「聞こえない両親から生まれた聞こえる子ども」だそうです。

このコーダの孤独が細かく描かれていて、読むのが辛い場面もありました。1人聞こえると大事にされるかと思ったらそうでもないんですね・・。そうか、異質な物になるのか・・と妙に感心してしまいました。


主人公が暗い過去をもっているせいで、全体的に暗い雰囲気が漂っている作品ではありますが、知らない世界を知ることができる喜びと、ミステリになっているので、どんな結末になるのかが気になることもあって、次々と読み進めることができました。

「法廷の手話通訳士」という副題のわりには、あまり法廷のシーンが無かったのが残念ではありますが、もしかしたらまた続編というか、シリーズ化でもして書いてくれるのかな?と期待してしまいました。


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タグ:丸山正樹

2015年12月08日

大山淳子「猫弁と魔女裁判」

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 大山淳子 著
 「猫弁と魔女裁判」
 (講談社文庫)


事務所に来ない。最愛の婚約者との挙式の相談もすっぽかした。天才弁護士・百瀬は、青い瞳をした女性国際スパイの強制起訴裁判にかかりきりになっていたのだ。それはまさか、幼い百瀬を置き去りにしたあの人? 百瀬によって幸せをつかんだみんなが彼の力になろうと立ち上がる。人気シリーズ、涙の完結!−裏表紙より―


とうとう最終巻。最終巻って寂しくて、読みたくない物ですが、このシリーズは読みたいと思いました。早く読んで、どんな結末を迎えるのか知りたかったです。

まあ、思った通りの展開だったかな? 特に涙涙で大変ってことも無かったですし、それなりに泣けて、それなりに笑えて、怒って、ふんわり良い感じの所に着地した感じはしました。

本当にこの人を旦那にして良いの?という思いは消えませんが、まあ亜子ならうまくやっていけるかな?とも思えます。亜子じゃないと無理かも。その辺の所がわかっていない百瀬には最後までイライラさせられました。

やっと母親も登場し、でも特に母と息子の感動の再会!というわけではなく、さらりと終わる所も、このシリーズらしい気がしました。

今回の話で良い味を出していたのは、亜子のお父さん。娘を嫁に出す父親としての複雑な心境を色々と語ってくれていて、亜子とのやりとりは特に感動しました。

結局最後まで、場面の途中で視点が変わっていくのが気になってしまい、時々集中できない部分があったのが残念でした。

でも最後まで百瀬の話が読めて、彼の人生の一部が見られて良かったです。

またいつか続編などが出たら読もうと思います。亜子との生活の様子も見てみたい気がします。ちょっと怖いですが・・。


<猫弁シリーズ>
「天才・百瀬とやっかいな依頼人たち」
「猫弁と透明人間」
「猫弁と指輪物語」
「猫弁と少女探偵」


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タグ:大山淳子

2015年08月27日

E・J・コッパーマン「海辺の幽霊ゲストハウス」

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 E・J・コッパーマン 著
  藤井美佐子 訳
 「海辺の幽霊ゲストハウス」
 (創元推理文庫)


ニュージャージーの海辺に建つ古い屋敷をリフォームしてゲストハウスにし、9歳の娘メリッサと新生活を始めようとしていたシングルマザーのアリソン。だがひょんなことから、屋敷に取り憑いている前オーナーと私立探偵の幽霊が見えるようになってしまう。彼らから、自分たちの死についての調査を手伝ってほしいと頼まれたのだが・・。明るく楽しいコージーミステリ・シリーズ!―裏表紙より―


あらすじを読んで面白そうだったので買って読み始めたのですが、どうも進まない・・。いつになったら読み終わるのか?と自分でも呆れてしまうくらいになりました。


まず、シングルマザーとしてがんばるアリソンは、明るくて面白い人のように感じていたのに、愚痴が多くて勘も鈍い人だとわかってきて、だんだん興味を失っていったのも原因の一つです。別れた夫のことを「豚野郎」と呼んでいる、という記述があるのに、どうしてそんな呼ばれ方をするのか?がよくわかりませんでした。でも本人は「良いあだ名を付けた!」と喜んでいる様子。まあ、まだ1作目ですから細かく書けていないだけかもしれませんが。

そして、何よりも肝心な幽霊たち・マキシーとポールが魅力的ではない! 自分たちが死ぬことになった事件を調べてほしいと依頼する所まではわかりますが、幽霊ってこんなに我儘なの!?と思うくらい、自分のことばかり。

アリソンが最後のチャンスだと言いつつ、アリソンの人生については後回しにしてほしいとあからさまに思っていて、調査を優先するように何度も要求しますし、マキシ―に至っては、アリソンがリフォームした部分を壊していくという暴挙にまで出ます。

自分の家を改装されるのが嫌なのはわかりますが、そうやって工事を遅らせれば遅らせるほど、調査に時間をかけられなくなるのに、そんなこともわからないのか!とイライラします。


始めの方からずっと、事件の調査をしているわりには、展開がなかなか無くて、盛り上がりがあったと思ったらすぐにまた平凡な毎日が続いて・・という繰り返しで、怠い場面が多かったのも、読み終わるのに時間がかかった原因だと思います。

これからどうなっていくんだろう?という緊張感や、ワクワク感があまりありませんでした。

娘のメリッサと、アリソンの母親のある秘密が明かされてからは面白くなり、2人が出てくる場面は楽しく読めました。


幽霊たちの事件は解決したので、シリーズ2作目からはアリソンの周りで起きる事件を調査していくのでしょうから、そうなればもう少し面白い展開もあるかな?と思います。

これは、2作目以降に期待かな??


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2015年07月27日

芦原すなお「ミミズクとオリーブ」

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 芦原すなお 著
 「ミミズクとオリーブ」
 (創元推理文庫)


讃岐名物の「醤油豆」。焼いたカマスのすり身と味噌をこね合わせた「さつま」、黒砂糖と醤油で煮つけた豆腐と揚げの煮物。カラ付きの小海老と拍子木に切った大根の煮しめ。新ジャガと小ぶりの目板ガレイ(ぼくらの郷里ではこれをメダカと呼ぶ)の唐揚げ・・・次々と美味しいものを作るぼくの妻は、なんと名探偵だった! 数々の難問を料理するそのお手並みを、とくとご賞味あれ。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。どんな作家さんか知りませんが、ある程度年齢を重ねた方かな?と思うような文章でした。優しい温かな文章なのですが、私にはちょっと入り込みにくい感じもありました。


「ミミズクとオリーブ」「紅い珊瑚の耳飾り」「おとといのおとふ」「梅見月」「姫鏡台」「寿留女」「ずずばな」の7編収録されています。

大抵の話が、作家をしている“ぼく”の元に事件が持ち込まれて、それをぼくの妻が解決していく、という展開になっています。奥さんは「事件の起きた現場を見たくない」と言うので、ぼくが代わりに事細かく見て帰って報告し、それを聞いてサラッと解決します。いわゆる安楽椅子探偵ですね。

この奥さんは、あらすじの通り料理がものすごく上手で、しかも着物の仕立てなんかもこなしてしまうような、昔の奥さんという感じの女性で、旦那さんを励まし、支えていく鏡のような人なんです。

繊細な心の持ち主でもあります。男性ならこんな女性が奥さんになってくれたら・・と憧れるだろうと思えるような女性です。しかも頭も良いんですよね。


それに比べて、主人の方は酒を飲んで、作家の仕事はいつしているの?と心配になるくらい常にダラダラしているような人。こういう頼りない人にはしっかり者の女性が似合うのかもしれません。


夫婦の生活ぶりや語り口などを読んでいると、昭和初期くらいの話かな?と思えるのですが、実はそれほど古い話ではないんですよね。表紙の奥さんも着物を着ていますし、いかにも日本家屋のような家ですし。なのに“携帯電話”とか出てきてびっくりしました。事件の捜査方法も細かい科学的な検査が出来ていましたし。その辺でも違和感がありました。


名探偵の夫である“ぼく”の目線で全てが語られるのもあまり好きではありませんでした。推理部分ではなるほど、と思える部分もありましたが事件の背景や、それに関わった人たちの人生などにあまり触れられていないので、全体的に浅くて軽い気がしました。


物語の雰囲気は良いんですけどね〜。シリーズ化しているようですが、続きを読むかどうかは保留にします。


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タグ:芦原すなお

2015年07月03日

友井羊「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん」

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 友井羊 著
 「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん」
 (宝島社文庫)


店主の手作りスープが自慢のスープ屋「しずく」は、早朝にひっそり営業している。早朝出勤の途中にぐうぜん店を知ったOLの理恵は、すっかりしずくのスープの虜になる。理恵は最近、職場の対人関係がぎくしゃくし、ポーチの紛失事件も起こり、ストレスから体調を崩しがちに。店主でシェフの麻野は、そんな理恵の悩みを見抜き、ことの真相を解き明かしていく。心温まる連作ミステリー。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

ネットでの評判が良くて読んでみました。・・が、期待値が高すぎたせいか、そこまでお気に入りにはならず、残念です。

まず、1話目から引っかかってしまったのは、登場人物の名前と人物がわかりにくかった所です。明らかに私の理解力の低さが悪いのでしょうが、名字で書いたり、名前で書いたりされてしまったせいもあって、誰が誰なのか、先輩後輩の関係性もわかりにくく、何度も前に戻って見直すことがありました。

日常の人が死なないミステリーは大好きですし、美味しそうな料理が出てきたら更に最高!と思うタイプなのですが、謎解きをするシェフの人柄が把握しきれなかったせいで、あまり魅力を感じられませんでした。

シェフの娘さんの露ちゃんはかわいかったんですけど。彼女がもっと活躍してくれたら楽しめたかもしれません。なので、彼女が謎の中心となった話は楽しく読めました。

最終話で、シェフの過去が明かされてびっくりしました。そういう過去を持つような人とは思えなかったので。もう少しそういう雰囲気がそれまでに出ていたら好感が持てたのかもしれません。


でも、ネットでは評価が高かったので、こんな感想になったのは私が原因だとは思います。出てくるスープは美味しそうなんですけどね〜。

シリーズとなって続いていきそうな雰囲気で終わりましたが、続きを読むかどうかは保留にします。


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タグ:友井羊

2015年05月28日

「晴れた日は謎を追って がまくら市事件」

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 伊坂幸太郎・大山誠一郎・伯方雪日・福田栄一・道尾秀介 著
 「晴れた日は謎を追って がまくら市事件」
 (創元推理文庫)


不可能犯罪ばかりが起こる街、蝦蟇倉市。賑やかな商店街や老婦人が営む和菓子屋があり、いわくつきの崖や海を望むホテルがあるこの街は、一見のどかなようで、どこかおかしい。蝦蟇倉警察署には“不可能犯罪係”が存在し、スーパーの駐車場では怪しい相談屋が混む所を開いている。この街の日常は、いつも謎に彩られている。第一線で活躍する作家による、不思議な街の道案内。−裏表紙より−


不可能犯罪ばかり起こるという蝦蟇倉市を舞台にした小説ばかり5話収録されています。道尾秀介「弓投げの崖を見てはいけない」、伊坂孝太郎「浜田青年ホントスカ」、大山誠一郎「不可能犯罪係自身の事件」、福田栄一「大黒天」、伯方雪日「Gカップ・フェイント

色々な作家さんが書いているわけですが、さり気なく他の話のことにも触れられていたりして、関連性も楽しめるようになっています。

どれも面白かったですが、一番気に入ったのは「浜田青年ホントスカ」です。この作家さんだけ読んだことがあるので、馴染やすかったのもあるかもしれません。

どんでん返しが多くて、始めから何気ない描写にも気を配って読んでおかないと、最後に置いて行かれる感じになるのは、伊坂さんらしい作品です。彼らが結局どうなったのか、その後を想像するのも面白いかもしれません。


他に読みやすかったのは福田栄一「大黒天」です。初めて読んだ作家さんでしたが、私には読みやすかったです。実は名前も知らなかった作家さんなので、今度からは本屋さんでも気を付けてみておきたいと思います。話の内容も面白かったですが、登場人物のキャラクターが入りやすかったです。


「不可能犯罪係自身の事件」も面白かったです。これは、キャラクターよりもまさしく不可能犯罪!という密室での殺人を解き明かす部分がミステリ好きにはたまらない内容でした。複雑だったのですが、あざやかというか、視点を変えるだけで解決できる、実は簡単な事件だったというオチも好みでした。もう少し人物が魅力的なら更に面白かったのでしょうが・・。


初めて読む作家さんも多く、興味が出た方もおられたので、新たな出会いができて良かったです。またアンソロジーも読みたいです。


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2015年05月12日

大山淳子「猫弁と少女探偵」

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 大山淳子 著
 「猫弁と少女探偵」
 (講談社文庫)


ひとりぼっちの少女とコンビを組み、失踪した三毛猫を探すことになった天才弁護士・百瀬太郎。忙しさのあまり婚約者の誕生日に気づかず、彼女はイケメンの同級生と急接近! さらに次郎と名乗る弟まで現れて・・。やっかいでかけがえのない人たちのために悩み、奔走する百瀬。絶好調、癒されるミステリ!−裏表紙より―


シリーズも第4弾になり、そろそろ百瀬の天才ぶりが明らかになっても良い頃なのに、その辺は相変わらず・・。隠れた天才で終わるんでしょうね。

でも相変わらず鋭い観察眼は持っていて、今回共に調査することになった少女の気持ちや、行動の意味などをズバリと言い当てたり、弟と名乗る男性のこともあっさり解決させました。

なのに、プライベートがひどい!!どうしてこんなに鈍いのか!

誕生日に気づかない上に、何とも外れたことを言い出して、さすがの亜子も呆れ気味です。彼女は百瀬のどこが良いんだろう??と毎回不思議に思います。確かに温かい人なんですけどね。

亜子が彼の気持ちを想像して、ちょっとしたシグナルを感知してってやっていかないと、かなり不安に思いそうです。絶対に裏切られない気はしますけど。


今回の依頼は、誘拐された三毛猫を救いだすこと。相変わらず仕事らしくない仕事をやっています。野呂さんが言うように、それは探偵の仕事な気がします。あざやかな解決ぶりや、ただ事件を解決するだけではなく、それに関わった人たちの人生もうまく導くような所はさすが!でした。


次回で最終巻だとか。亜子との結婚はうまくいくのか?や、百瀬の母親のこともどうなるのか、気になることをうまく解決して終わってほしいものです。楽しみに待つことにします。


<猫弁シリーズ>
「天才・百瀬とやっかいな依頼人たち」
「猫弁と透明人間」
「猫弁と指輪物語」


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タグ:大山淳子

2015年04月06日

佐藤青南「サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻」

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 佐藤青南 著
 「サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻」
 (宝島社文庫)


警視庁捜査一課巡査部長で取調官の楯岡絵麻。行動心理学を用いて、相手の仕草や行動パターンから嘘を見破る手腕から、通称「エンマ様」と呼ばれる。幼馴染殺害の容疑がかけられた歯科医、人気俳優の夫を殺害したと自白する国民的女優、クレーマー殺害の容疑がかかる占い師、絵麻の同僚を被疑者に追い込んだ音大生・・・。取調室で絵麻が被疑者に向かい合うとき、事件の真相が浮かび上がる。−裏表紙より−


ずっと探していて期待度が上がりすぎたのか、思ったほどの面白さはありませんでした・・。サラッと読めて面白いとは思ったのですが、期待ほどではなかったかな?と。


行動心理学を駆使して被疑者を自白に追い込む、という取調官の物語です。5話書かれていて、5つの事件が解決されます。取調室の中だけで。

しかも、被疑者はほとんどしゃべることがなく、被疑者のちょっとした表情や仕草から、全ての謎を解く、という方法で解決します。本人も意識しない程度の表情の変化や、手や足の動き、肩の上げ下げなど、本当に細かい変化を見逃さず、質問をすることで事件の真相を当てていきます。

正式な取り調べですから、もちろん書記官がいて、全てを記録しています。そういう描写も毎回出てくるのですが、これって、ちゃんと証拠になるのか?と不安になりました。

まず始めは人によって違う日常会話での表情や仕草、癖を見抜くために、サンプルを取ります。つまり、取調室で、絵麻と被疑者は事件と関係のない会話をするわけです。歯医者だったら、自分の歯の悩みを話したり、占い師だったら自分を占ってもらったり。その間も当然、記録が取られているのです。

そして、いざ事件の話になると、被疑者がいくら否定しても、「あなたには聞いてない」と言われて、ひたすら表情などを見て次々と被疑者が隠していることを当てていきます。それを聞いて焦った被疑者が最後には自白する・・というやり方なんですよね。あまり被疑者自身が進んで自白したようには思えない供述になりそうです。


5つの事件が描かれているので、5回同じような取調室でのやりとりがくり返されます。始めの2話くらいは面白かったのですが、3話目くらいになるとちょっと飽きてくる感じがしました。

もっと事件の数を絞って、反応が現れにくい被疑者、難しい被疑者と絵麻を対決させてほしかったです。そうなれば読み応えもありそうです。

この絵麻には、過去に解決できていない事件があり、それを引きずったままこの本は終わってしまったので、当然続編もあります。一応、読もうかな?と思っていますが、しばらく間はあけるかも?


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タグ:佐藤青南

2014年11月06日

柚月裕子「検事の死命」

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 柚月裕子 著
 「検事の死命」
 (宝島社文庫)


郵便物紛失事件の謎に迫る佐方が、手紙に託された老夫婦の心を救う「心を掬う」。獄死した佐方父の謎の確信が明かされる、感涙必至の帰郷小説「業をおろす」。大物国会議員、地検のトップまで敵に回して検事の矜持を貫く「死命を賭ける」。検察側と弁護側双方の、絶対に負けられない裁判の火蓋が切られる「死命を決する」。全4話を収録した、佐方貞人シリーズ最新刊。圧巻の人間ドラマが、胸を打つ!

4話収録されていますが、後半の2話は続きのようになっています。

どれも面白かったのですが、やはり印象に残ったのは「業をおろす」でしょうか。前作の終わりに大きな衝撃を与えた佐方父の深い謎が明らかにされています。

彼はなぜ罪をかぶったのか?前作を読んだときはそれだけ相手に恩義を感じていて、恩を返すためにやったことなんだと思っていましたし、それだけの強い想いを持っている佐方父の心意気というか、信念の強さに感動していたのですが、やはりそれだけではない気持ちがあったことがわかりました。

人間ってここまでできるか!?と半信半疑だったのですが、この話を読んで少し理解できた気はしました。とはいえ、自分に置き換えるとやっぱり誰かのために罪をかぶって黙っておくなんてこと出来ないという気持ちはかわらないですが。

親子や夫婦、兄弟など、家族のためならわかりませんが。

前作でも思いましたが、この父親あっての佐方だと改めて思いました。彼の信念は父親から来ているわけですね。


他の2話でも、佐方らしい信念と、ある意味不器用な性格がよく表れていました。検察という縦社会にいるのに、上司にも平気で言い返して、検事としての仕事を全うする彼の姿は、毎回感動させられます。

現実社会でもこんな検事がいれば良いですが。


今のところ、このシリーズに新作はないようですが、佐方が活躍する話をもっと読みたいですし、弁護士の姿もまた改めて読みたいと思います。続編を強く希望しつつ気長に待つことにします。とりあえず、映像化されるようなので、それを見ておこうかな?


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タグ:柚月裕子

2014年10月21日

遠藤彩見「給食のおにいさん 進級」

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 遠藤彩見 著
 「給食のおにいさん 進級」
 (幻冬舎文庫)


「味より栄養」という制約だらけの給食作りに反発しながらも、やりがいを感じ始めた元一流シェフの宗。そんな時、学校で生徒の居眠りや優等生の登校拒否が問題に。給食で彼らを助けたい!と奮闘する宗に、なぜか栄養士の毛利は「君は給食のお兄さんに向いてない」と冷たく言うが・・。「おかわり」の声に応えて、人気作が待望のシリーズ化!−裏表紙より−


「給食のおにいさんをする」と覚悟を決めたかのように思われた佐々目ですが、まだまだ悩みは多いようで、毛利からは冷たい言葉を何度も浴びせられてしまいます。

それでも、前作よりはプライドはかなり低くなり、いちいちつっかかる言動は減ってきました。「子どもたちのために」という思いも強くなってきたようです。まあ、佐々目の思いなんて、毛利に比べればまだまだなんですけどね。

毛利がどうしてここまで“給食”にこだわるのか?も少し語られて、彼の努力が報われる日がいつか来れば良いと思いました。この学校だけがうまくいっても、全面的な解決にはならないでしょうが、何事も少しずつ、一歩ずつ・・・。


今回は、給食の時間にいじめられる生徒の話が描かれています。そのいじめ方は陰湿で、読んでいて不快になりました。なんか、いじめ方が巧妙になったんだか、逆に幼稚になったんだかわかりませんが、先生にバレないようにしようという努力をするところはかなり嫌な感じです。

せっかく美味しい給食を作っても、楽しく食べられないと意味が無い!・・ということで、佐々目や毛利、そして先生たちも何とかしようと立ち上がります。


1作目ではほとんど出てこなかった生徒の親、つまり保護者のみなさまが、少しですが登場しました。給食が絡んでいない場面でも、教師の大変さも浮き彫りにされ、子どもを教育する立場って本当に大変だと思わされました。



給食だけでここまで問題が解決するか!?と思われるような安易な展開ではあるのですが、それでも解決していくことが心地良かったです。いじめられている子どもに笑顔が戻ると、小説の中とはいえ、本当にうれしくなります。

現実の世界でもうまく解決して、たくさんの笑顔が見られたら良いですね。

さて、次は「卒業」という題名が付いています。佐々目は給食のおにいさんを堂々と卒業していくのでしょうか?楽しみです。


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タグ:遠藤彩見

2014年09月18日

似鳥航一「下町和菓子 栗丸堂」

下町和菓子 

 似鳥航一 著
「お待ちしてます 下町和菓子 栗丸堂」
(メディアワークス文庫)


浅草の一角で、町並みに溶け込むかのように佇む栗丸堂。最近店を継いだ若い主人の名は栗田仁という。精悍にすぎる容貌で、どこか危なっかしいが腕は確かだ。 とはいえ、店の切り盛りは別物で。心配した知人が紹介したのが葵だった。若い女性に教わるのを潔しとしない職人気質の栗田。だが、葵との出会いが、栗田の和菓子を大きく変えることになる。 和菓子のやさしい味わいがもたらす、珍騒動の数々。下町の温かさ、そしてにぎやかさに触れるひとときをどうぞ。−裏表紙より−

初めましての作家さんです。

「豆大福」「どら焼き」「干菓子」の3編が収録されていて、それぞれの和菓子にまつわる謎解きが描かれています。


和菓子の薀蓄もあり、知らないことも多くて興味深く読めました。この3つの和菓子は全部苦手なんですが…。

ちょおと、何でもうまく行き過ぎな気はしましたが、サラッと軽い文章で、謎自体も複雑すぎず、読みやすかったです。

まだ1作目なので、主人公の栗田仁のことも、謎の和菓子ガール・葵のことも、人物像がはっきりしなかったので、続編があるなら読んでも良いかな?と思っています。


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タグ:似鳥航一

2014年08月18日

天野頌子「よろず占い処 陰陽屋は混線中」

陰陽屋 

 天野頌子 著
 「よろず占い処 陰陽屋は混線中」
 (ポプラ文庫ピュアフル)


夜行性ゆえに授業中寝ずにはいられない妖狐高校生・沢崎瞬太は、王子稲荷のご加護のおかげか、なんとか無事二年生に進級。先輩になった瞬太にふりかかる数々の恋の疑惑!? 一方、イケメン毒舌陰陽師・阿倍祥明がいるバイト先「陰陽屋」にも次々と相談ごとが。大事な柔道の試合の前に必ず体調を崩す少年は誰かに呪われているのか? 青白い顔で過剰勤務を続ける青年に取り憑いているものは・・・?ドラマ化もされて絶好調、ほのぼの大人気「陰陽屋」シリーズ第六弾!−裏表紙より−


前作で、ちょっと変化の兆しが・・という展開があったのですが、今回はまた失速。

結局ほとんど解決されることなく、ダラダラ、ほのぼのと進んで行きます。もう6巻なんですけどね〜。

相変わらず高校生と思えないくらい子どもっぽい瞬太。両親の親バカぶりに辟易しているようですが「あんたがもっと高校生らしくなったら親も変わるわ!」とイライラさせられます。

狐の力のお陰か、何となく二年生になっていますが、また落第の危機が訪れます。これはもう当たり前のことですし、もう今更じたばたしても仕方ないので「またか〜」という感じで読みとばしておきました。


あらすじにある「柔道の試合の前に必ず体調を崩す少年」の話が一番面白かったです。今時らしい話でした。少子化ならではですね。謎が解けたら笑ってしまいました。


瞬太と三井の関係は最後にほんの少し進展(とまでは言えないですが)した雰囲気。まあきっと次ではサラッと流されてしまうんでしょうけど。

と言いつつ、結局最後まで読むんだろうと思っています。


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タグ:天野頌子

2014年08月11日

吉永南央「名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ」

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 吉永南央 著
 「名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ」
 (文春文庫)


小蔵屋を営むお草は、新聞記者の萩尾の取材を手伝って以来、萩尾と、彼のライフワークである民俗学の師匠・勅使河原、その娘のミナホのことが気にかかっている。15年前のある〈事件〉をきっかけに、3人の関係はぎくしゃくしているらしいのだ。止まってしまった彼らの時計の針を、お草は動かすことができるのか。好評第3弾!−背表紙より−

前作を読んでから1年半くらい経っているので、主な登場人物以外は忘れてしまっていて、これは誰だろう?と悩みながら読み進める感じでした。

特に萩尾と勅使河原先生の2人は誰??状態でした。前回も出てきたんでしょうね・・。


今回も連作短編になっていて、1話毎に違う事件が起きるのですが、ずっと萩尾やミナホ、勅使河原の関係は続いていきます。お草さんは何だか今までよりもパワーダウンしたような気がしました。

今までならもっと早く踏み込んで、突き放して、お草さんの想いを伝えて解決していたと思うのですが、今回はとても奥ゆかしいというか、おとなしくて遠くから見守っていることが多かったです。

まあ確かにむやみに踏み込んで行ってどうにかなる問題でもなかったわけですけどね。

今現在起きた事件ならば、お節介を焼いて解決できますけど、今回の場合は過去の話なので、さすがに難しかったようです。読んでいても3人の気持ちがすれ違っているのがもどかしくて、イライラする所もありました。

こんなにすれ違っているなら近くにいなければいいのに、とても近くにいる人たち。わだかまりはあってもやはりお互い気にかかる存在のようです。

人の気持ちって複雑でややこしいですね。読みながらそんなことを考えてしまいました。それは年齢を重ねても解決していかないことなのかもしれません。


今回は店員の久実ちゃんの活躍があまり見られず残念でした。次ではもっとパワフルに活動してもらいたいです。そして、元気なお草さんにまた会いたいです。


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タグ:吉永南央

2014年07月29日

愛川晶「三題噺 示現流幽霊」

三題噺

 愛川晶 著
 「三題噺 示現流幽霊」神田紅梅亭寄席物帳4
 (創元推理文庫)


病に倒れ高座から離れていた六代目山桜亭馬春の復帰独演会までいよいよ一カ月半となったところで、師匠がネタ出ししたのは『海の幸』という噺だった。亮子ところか福の助やお席亭、落語界の生き字引きも首をひねるばかり。実はこの噺、晩年の彦六が最後に演じる予定だった、誰にも内容がわからない謎の噺で・・・。落語を演じて謎を解く!本格落語ミステリ集。―裏表紙より―

「多賀谷」「三題噺 示現流幽霊」「鍋屋敷の怪」「特別編(過去)」の4編収録。

前作のあとがきで「第一期の最終巻」と書かれていたのがこの作品です。「第一期の」ということは、まだ第二期、第三期と続いてくれるのかな? 期待してしまいます。

第一期の最終巻らしく、華々しい終わり方をしました。「鍋屋敷の怪」は、号泣しながら読み終えました。どんでん返しも多くて、福の助や亮子と一緒に騙されてオロオロさせられたのですが、とにかく最後に馬春師匠の落語が聞けて良かったです。

もう聞けないかと思ったけど、無事に聞けて良かった!と思ってしまった私。どれだけこの話の中に入り込んでいるんだか・・。冷静になると呆れてしまいます。

馬春師匠を想う、弟子たちや、奥さんの気持ちを考えると涙なしでは読めませんでした。本当に良かったです。


特別編」も面白かったです。馬春師匠の若かりし頃の話になっていて、今はどっしりとした雰囲気のある師匠も、若い頃は色々あったんだと思うと更に好感がもてました。

多賀谷」と「三題噺」はミステリーらしく、謎解きも楽しめました。


福の助の成長もめざましく、落語が絡むとより男らしさを増してキリッとしています。彼の今後の活躍も楽しみですし、師匠が本格的に復帰するのか、復帰した後はどんな落語を聞かせてくれるのか、色々と楽しみになってきました。

続きも楽しみに待ちます。


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タグ:愛川晶

2014年07月25日

伊岡瞬「もしも俺たちが天使なら」

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 伊岡瞬 著
 「もしも俺たちが天使なら」
 (幻冬舎)


偶然出会った3人の前に、「変な男に実家が乗っ取られそう」と捷の妹が現れたのが、すべての始まりだった―。この闘いは、大金のためか、友情のためか―。“詐欺師”+“ヒモ”+“元刑事”=“正義の味方”!?野良犬みたいなイケメン小悪党トリオが、人助けのために凶悪組織に立ち向かう。最注目のミステリー作家の痛快クライムノベル。 「BOOK」データベースより


初めましての作家さんです。

面白そうだったのと、表紙の感じからして自分でレジに持って行くことはないだろうと思い、「本が好き!」で献本申し込みしました。


詐欺師・谷川、ヒモ・松岡、元刑事・染井の3人が出会い、松岡の実家に現れた謎の男性について調べていく物語です。詐欺師とヒモと元刑事、かなり変な組み合わせですよね。でも何となく世間からズレている雰囲気は似ているのかもしれません(大体、ヒモって何だ!)

詐欺師の谷川は、職業柄(?)頭の回転が速く、体力よりも頭脳を使って物事を冷静に見つめて解決していこうとします。ちょっと情に厚いというか、人が良い所があって、何だか憎めないタイプでした。

元凶となった松岡は、あるお金持ちの奥さんの愛人として、彼女の家に入り浸っているわけですが、喧嘩には自信があり、頭で考えるよりも力ずくで解決させようとします。彼は、色々考えているようで考え切れていませんし、周りの人たちの本質を見抜く能力も低いので、読んでいてイライラさせられました。

元刑事の染井は、最後まで読んでもあまり人物像がつかめませんでした、一昔前の職人気質な刑事かと思ったら、意外といざとなったら力ずくで、と考えるタイプでもあり、周りを冷静に見ているようで、意外と見えていないことも多く、騙されやすいタイプでもありました。


そんな個性的な3人が、それぞれの考えを基に事件を解決しようと動くので、どうなるのか先が気になる展開が続きました。最後にどうなるのか?は何となく想像できるのですが、そこまでどうやってたどり着いていくのかが楽しみでした。

谷川が考えて行動し、解決していくわけですが、最後に彼がやった解決法が意外と難しくて、理解できるまで時間がかかってしまいました。完全に理解できていないかも。

かなり凶悪な敵だと植えつけられて読み進めてきた割に、あっさりと引き下がってしまう展開はちょっと残念でした。でも、こういう決着にするしかなかったのかもしれない、とも思います。


ネットで感想を読んでいたら、この作家さんにしては珍しい作風だったようです。いつもはどんな話を書かれるのか、興味をもちました。


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タグ:伊岡瞬

2014年07月11日

大山淳子「猫弁と指輪物語」

猫弁と指輪物語

 大山淳子 著
 「猫弁と指輪物語」
 (講談社文庫)


完全室内飼育のセレブ猫妊娠事件!? 天才弁護士・百瀬太郎のもとに大女優から依頼が持ち込まれた。一体いつのまに? お相手は誰? そして婚約者との旅行当日にかかってきた、盟友を訴えたいとの電話。一生懸命に生きる人たちが抱えた悩みと迷い。誰もが幸せになれる「癒されるミステリー」第3弾開幕!


猫弁の第3弾。1作目を読んだときは「シリーズ化しなくても良いのに」と思ったのですが、2作目を読んで「続編があって良かった」と思い、今回はまた成長した百瀬の姿と、進まない大福亜子との関係、野呂さんと秘密、獣医師・まこと先生の想いなどなど、より深い内容になっていて楽しめました。

相変わらず鋭いのか鈍いのかよくわからない百瀬ですが、謎解きというか、引き受けた仕事を如何にして気持ちよく終わらせるかについては素晴らしい活躍を見せます。

頭の回転も速く、依頼者も相手側のことも、事件に関わったすべての人たちに気配りができる弁護士になっていて、その鮮やかな手腕には惚れ惚れしました・・・というのはちょっと言い過ぎな気もしますけど、でも「へ〜そうやって解決するのか」と感心させられる所は確かにありました。

それなのに、仕事以外となるとどうにも鈍いんですよね・・。特に亜子との関係! 大抵の人は異性の気持ちがわからないものですが、それにしても百瀬の鈍さは目に余ります。

亜子が何とも初々しい、かわいらしい考えをもっていて、それを勇気を出して最大限に伝えるのに、相手が百瀬だから全く伝わらない!!読んでいてイライラしました。

そんな彼女の気持ちをズバリ言い当てた、三千代さんの言葉にはホロリとさせられました。彼女はやっぱりいい味出しています。


今回も関わったみんなが幸せに、それぞれそれなりに幸せになって終わっていて、気持ちいい読書時間になりました。

百瀬の過去も少し明らかになってきましたし、続きも楽しみに待つことにします。

<猫弁シリーズ>
「天才・百瀬とやっかいな依頼人たち」
「猫弁と透明人間」

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タグ:大山淳子