2025年11月28日

中山七里「能面検事」

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 中山七里 著
 「能面検事」
 (光文社文庫)


巷を騒がす西成ストーカー殺人事件を担当している、大阪地検一級検事の不破俊太郎と新米検察事務官の惣領美晴。どんな圧力にも流されず。一ミリも表情筋を動かすことのない不破は、陰で能面と呼ばれている。自らの流儀に則って調べを進めるなかで、容疑者のアリバイは証明され、さらには捜査資料の一部が紛失していることが発覚。やがて事態は大阪府警全体を揺るがす一大スキャンダルへと発展し―警察内から裏切りと揶揄される不破の運命は、そしてストーカー事件の思いもよらぬ真相とは―大阪地検一級検事・不破俊太郎。孤立上等、抜身の刀、完全無欠の司法マシンが、大阪府警の暗部を暴く!−裏表紙より−


好きな役者さんでドラマ化されるということで、ドラマを見る前に読んでみました。この作家さんは合わない作品もあるので心配でしたが、これは面白かったです。

ただ、視点となる惣領美晴という新米事務官の性格がうっとおしいので読みにくさはありましたけど。


大阪地検で「能面」と呼ばれる検事・不破俊太郎。能面のように感情を表に出さない不破。被疑者の取り調べでも能面の状態で無感情に話すので相手がごまかそうとしてもうまくいかずについしゃべってしまうこともあるそうです。


ドラマでは俳優さんが無感情にセリフをしゃべっていて、なかなかのはまり役だと感心しました。もう少し若いイメージだとは思いますが。事務次官もはまり役かも。ドラマではより一層感情むき出しでイライラさせられたのでぴったりです。


ストーカー殺人事件を捜査しているうちに、捜査資料が一部無くなっていることに気づいた不破。普通なら警察とは仲良くしておきたい立場なのですが、彼はそんなこと気にせず、警察署に乗り込んで捜査をし始めます。

大阪府警全体を巻き込む大スキャンダルへと発展していき、更には不破にも被害が。

上司からも苦言を呈されるわけですが、能面らしく全く意に介さず、真っすぐに捜査を進めていく不破の姿はかっこよかったです。

もう少しうまく立ち回れないものか?とも思いますが、警察の悪しきルールを覆すためには多少強引さも必要かもしれません。


最後まで読んで、しみじみと現実の警察はこんなことが無いように・・と強く願ってしまいました。


シリーズ化されているので、読み進めていきます。


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タグ:中山七里

2025年10月02日

加藤元浩「捕まえたもん勝ち!七夕菊乃の捜査報告書」

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 加藤元浩 著
 「捕まえたもん勝ち!七夕菊乃の捜査報告書」
 (講談社文庫)※電子書籍


念願叶って捜査一課の刑事に抜擢された七夕菊乃。しかし元アイドルという経歴のせいでお飾り扱いされてしまい、おまけに、驚異的な洞察力を持つ天才心理学者・草辻蓮蔵と、FBI出身で報告書の書き方に異様な執念を燃やす鬼才、「アンコウ」こと深海安公が繰り広げる頭脳戦に巻き込まれることに!初めて挑む密室殺人事件の捜査は、一体どうなってしまうのか!−出版社HPより−


初めましての作家さんです。

もうすっかり内容を忘れてしまいました・・。


ただ、何となく覚えているのは、元アイドルという設定が必要なのかな?と終始思いながら読んでいたこと。

そして、彼女が見える謎の黒い影というのもなんだろう?これも必要なのか?と思っていました。


表紙の雰囲気や、元アイドルという設定を知ると、軽く読めるミステリかと思えば、意外と重い内容だった気がします。



シリーズ化されそうな内容ではありましたが、多分この先を読むことは無いかな。


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タグ:加藤元浩

2025年07月22日

下村敦史「コープス・ハント」

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 下村敦史 著
 「コープス・ハント」
 (角川文庫)※電子書籍


「1件は俺の犯行じゃない。“思い出の場所”に真犯人の遺体を隠した。さあ、遺体捜しのはじまりだ」8人を殺害したとして死刑判決を受けた猟奇殺人鬼・浅沼聖悟の告白は世間を震撼させた。事件に疑問を抱く刑事の折笠望美は真相解明に乗り出す。一方、引きこもりの中学生・福本宗太は動画配信仲間から誘われ「遺体捜し」に出かけるが・・。2つの物語が交わる時、驚愕の真実が浮かび上がる。予測不能のサスペンス・ミステリ。−出版社HPより−


題名の「コープスハント」は「死体捜し」という意味だそうです。勝手に「ハンド」だと思っていたら「ハント」でした・・・

読み終わったのがかなり前なのであまりしっかりとは覚えていないので、また再読して書きたいです。


8人を殺害して死刑判決を受けた連続殺人犯が、「1人は自分が殺したのではない」と告白します。そこから1人の女性刑事が捜査に乗り出します。

そのまま彼女の捜査を追っていくのだろうと思ったら、急に引きこもりの学生が登場します。そこからの展開こそが「コープスハント」で、ネットで知り合った人たちと死体を探しに行くことになります。

死体を探すことを提案した人には何やら事情がありそうで、ミスリードしようとする場面や言動が次々と描かれます。

単純な私はすっかりミスリードに引っかかって「そうか、こういうことね!?」と思ったわけですが、結末を読んでびっくりしました。

びっくりというか、なるほど・・って感じかな?


この作品は感想を書こうとするとネタバレになりそうで難しいです。しかも細かいところを忘れているので余計に難しい。


とりあえず読み終わるのにものすごく時間がかかり、途中何度も挫折しかけたのは覚えています。

捜査をしている女性警官の存在意義もよくわかりませんでしたし、彼女が色んな問題にぶち当たるのも必要かな?と思えたりしました。


感想がうまく書けないのでまたいつか再読したいですが、読むかな???・・自分に疑問。


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タグ:下村敦史

2025年03月11日

浅倉秋成「六人の嘘つきな大学生」

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 浅倉秋成 著
 「六人の嘘つきな大学生」
 (角川文庫)※電子書籍


成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。−出版社HPより−


様々な賞を受賞した話題作だそうです。映画化もしたそうですね。この原作を買ってから電車の吊り広告で知り、流行りに乗っかったみたい!と苦笑。配役は見ないようにして読みました。

読み終わって、どの登場人物も俳優さんの顔が浮かばなかったです。若い役者さんがわからないのが大きな理由でしょうけど、これを映像化しようと考えたのが不思議でした。

始めの事件が起きた部分を含め、どうやって映像にするんだろう? ある種のミスリードが面白いのに、映像で見たらミスリードも何もないと思うんですが。

気になるなら映画を見たら良いのでしょうけど、そこまで思い入れはないので見ないと思います。


個人的に就活というのを経験していないので、ここまで必死になるものなのかと、そこは面白かったです。だいたい、最終選考まで残った6人でチームを作れという無理難題にも驚いたのに、やっとチームが機能してきたと思ったら今度は「やっぱり1人だけ雇いますわ」って!

しかも、みんなで話し合って誰が就職するか決めてね!っておかしすぎです。私だったら「もう結構です」って帰ると思うのですが、せっかくここまで来たし・・と考えるのもわからなくもないです。

カメラが設置された閉ざされた空間での話し合い、というか蹴落とし合いが始まったと思ったら、6通の封筒が発見されます。それぞれの名前が書かれた封筒に入っていたのは、それぞれの過去の罪を告発した文章や写真でした。


誰がその封筒を置いたのか? それぞれ犯した罪の内容も衝撃的で、どこまでが真実なのかもわからず、疑心暗鬼にかられる6人。

罪が告発された人から脱落していく状態で話し合いが続き、最終的にどんな結末を迎えるのだろう?と気になりながら読み進めました。

・・が、読むスピードはあまり上がらずでした。

まず、就活で一つの会社に対してそこまで思い入れることが出来るんだろうか?と疑問でしたし、初対面に近いのに恋心が見え隠れするのも好きではないですし、何より登場人物たちが特徴がありそうなのにあまり掴み切れなかったのが読みにくい原因だとは思います。

名前があっても常に「誰だっけ?」と戻るような状態が続いたのがしんどかったです。

最終的に誰が仕掛けたことだったのかも、誰が採用されたのかもどうでもよくなっていました。

名前とキャラクターが一致しなくて困る、ということは映像を見た方が良いのか??


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タグ:浅倉秋成

2025年01月28日

柚月裕子「ミカエルの鼓動」

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 柚月裕子 著
 「ミカエルの鼓動」
 (文春文庫)


北中大病院の西條泰己は、手術支援ロボット「ミカエル」での心臓手術を成功させ、院内での地位を不動のものにした。しかし病院長は、心臓手術の名手・真木一義をドイツから招聘。難病の少年の治療方針を巡り、最先端医療か従来の術式かで二人は激しく対立する。そんな中「ミカエル」にある問題が発覚して―。−裏表紙より−


「ミカエル」と名付けられた手術支援ロボットを巡る問題がテーマになっています。

医師の西條は「ミカエル」を使っての心臓手術を成功させ、ミカエルの第一人者になっていました。もちろん所属する大学病院での地位も確固たるものにしていました。

病院長もミカエルを使う最先端技術を推進しているようでしたが、突然、ドイツから心臓手術の名医・真木を呼び寄せて病院で雇うと宣言しました。

納得がいかない西條。そんな中、西條を慕ってミカエルを使用した手術を行っていた若手医師が自殺したことを知ります。更に記者からミカエルのある問題について言及されます。

そして難病の少年が入院し、その治療方針を巡って、西條と真木は対立することに。



大きな流れとしてはこんな感じです。ページ数も多く、ずっしり読み応えのある作品ではありましたが、読んでいると不快なところが多かったです。

とにかく西條が「ミカエルに何が起きたんだ!?」と悩み始め、自分で使ってもわからず、誰に聞いても教えてもらえず、病院での地位も危うくなるし、病院長は冷たくなるし、夫婦仲もあやしくなるし・・・と不幸を一気に背負い込んだかのようなウジウジぶりで、何とも言えないプライドや権力に固執する感じとか、読んでも気持ちは理解できませんでした。

そんな医師1人のプライドよりも人の命の方が何倍も重要で、命を助けるためならあらゆる手を使ってほしいのに、どちらかというと後回しのようになっているのがイライラしました。

病院長ももっとはっきり言えばいいのに、絶対的権力をもっているかのように描かれている割には、西條に気を使っているのかきちんと説明しない。結局彼は病院の利益しか考えていないということなのでしょうけど。


最終的な手術についてはまあこれで良かったようには思えましたが、それまでの部分が長すぎて途中ダレてしまいました。

もっと削れる部分があったような気がします。


それとも、そういう削れそうな部分が無かったら、西條の苦しみが理解できないのか? 読んでも理解できなかったですけど。


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タグ:柚月裕子

2024年08月02日

木内一裕「小麦の法廷」

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 木内一裕 著
 「小麦の法廷」
 (講談社文庫)※電子書籍


杉浦小麦、二十五歳の女性弁護士。初めての担当は、仲間内で起きた傷害事件。罪を認める被疑者との面会を終え拘置所を出た小麦は、大勢のマスコミに囲まれてしまう。「あなたは、殺人犯のアリバイ作りに協力しているんですか!?」彼女が偶然引き受けた国選弁護の仕事が世間を震撼させる大事件へと変貌する。−裏表紙より−


初めましての作家さんでした。似た名前の作家さんがいるので読んだことがあると思い込んでいました。


主人公は新人弁護士の小麦。彼女は、ほとんどの人がやっているイソ弁をすることなく、いきなり1人で仕事を始めていました。1人だと自由に動けますし、自分で仕事を選べるので便利ではありますが、イソ弁と違って自分で仕事を取ってきて収入を得ないといけないので苦労も多いようです。

また新人なので、弁護の仕方などわからないことがあっても相談する相手に困ります。小麦には相談相手がいるのでそこは良かったのですが、後々の展開ではそれも良くないことがわかるので、なんだか・・。


国選弁護人として初めて担当することになった事件がこの話のメインになります。被疑者は罪を認めている傷害事件。一見簡単そうに思える裁判です。罪を認めているので量刑のみを争えばいいはずでした。

ところがその被疑者が実は他の殺人事件の容疑者でもあり、思わぬ展開になっていきます。

読者はこの話の始まりで、彼が殺人事件を起こしたことを知っているので、どうやって決着させるのか気になって次々読み進めてしまいます。


殺人事件が起きたのと同じ時に、別の場所で傷害事件を起こし、罪を認めて逮捕された被疑者。でも本当は殺人事件を起こしています。

一度逮捕送検した被疑者を「誤認逮捕でした」と認めて釈放するのは実はとても難しいです。

殺人事件の方の証拠が、目撃者しかいないというのも問題で、もっとしっかりした証拠があれば良いのでしょうが、目撃証言だけでは被疑者が見た目を変えてしまえば確証がもてませんから。


被疑者は当然、傷害事件で裁かれたいですし、逮捕した警察も送検した検察もそのまま裁判をしていきたい。でも殺人事件を捜査している警察としては彼を無罪にして殺人事件で逮捕送検したい。

小麦は色んな圧力に悩まされることに。


新人弁護士、しかもイソ弁でもない独立した弁護士にはなかなか荷の重い裁判です。

彼女がどうやって決着させていくか?は書きませんが、うまくやったと爽快になりました。


どうやらシリーズ化されそうな雰囲気で終わったので、もし続きが描かれたら読もうと思います。


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タグ:木内一裕

2024年07月16日

歌野晶午「密室殺人ゲーム・マニアックス」

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 歌野晶午 著
 「密室殺人ゲーム・マニアックス」
 (講談社文庫)※電子書籍


頭狂人″004APD″AXE″ザンギャ君″伴道全教授″。奇妙なハンドルネームを持つ5人がネット上で仕掛ける推理バトル。出題者は実際に密室殺人を行い、トリックを解いてみろ。とチャットで挑発を繰り返す。謎解きゲームに勝つため、それだけのために人を殺す非情な連中の命運は、いつ尽きる!?−裏表紙より−


以前、読書メーターの読友さんにお勧めしていただいた作家さん。でもこの作品は・・・。


こういうミステリって好きなんですけど、口調が汚い人がいたり、変に賢いことを鼻にかけるような人がいたりすると読むのが嫌になります。



ミステリは好きですけど、全く詳しくはないので、多分彼らの使っているハンドルネームは何かしらのミステリと関係があるのでしょうが、それもわからず、ほとんどの場面で頭の中に「?」が浮かんでいました。

何となくページ数も少なくサラッと読めるので、挫折することなく読んでしまいましたが、内容をしっかり把握できたのか?と聞かれると「いいえ」でしょう。


あらすじにもあるように、ネット上のチャットを公開して、実際に行われた密室殺人事件のトリックを解いていきます。そのチャット風景を文字にしてある内容を読む状態です。

パソコン上の画面が4分割しているのを想像しながら読みましたがそれで合っているのかはわかりません。ネットにも詳しくないので。


5人の中の1人が実際に殺人事件を起こし、その状況を説明していきます。写真や図解なども交えながら説明し、まだ未解決のその殺人事件のトリックを明かしていくわけです。

公開チャットなので当然、全員顔にはマスクなどして隠しています。そしてお互いに会話しながらトリックを明かしていきます。

そのトリック自体は面白かったのですが、会話の中で何度も相手をバカにしたり見下したり、悪態をついたりするのがいちいち読みにくかったです。


いくつかの殺人事件のトリックを解いていたら、警察もこのチャットに気づいて捜査が進められます。ここまで警察がバカにされて黙っているわけないので当然です。


結局チャットは閉じられるのですが、ネットの世界はいくらでも抜け道はあるのでまた新たにチャットが行われます。だんだん外の世界にも出たりして、行動範囲も広がっていきます。


で、結末が「へえ、そうだったんだ」となったわけです。私は、「そうか、だからこそここまで大胆に色々明かせたわけだね」という程度の感想しか出なかったのですが、他の方の感想を読むとものすごく感心されていたのでびっくり。

そんなに感心するか?と思ったら、実はこの本はシリーズの3作目だということでした。そこにかなりびっくり。これをシリーズにしていたとは!

過去の2冊もこんな風にチャットをしていたと思うと、確かに結末には驚かされるかも。

色んな方の感想を読むと「これは1作目から読むべき」と書かれています。そうだよね・・・失敗しました。


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タグ:歌野晶午

2024年04月10日

柚月裕子「月下のサクラ」

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 柚月裕子 著
 「月下のサクラ」
 (徳間文庫)


念願かない警察広報職員から刑事となった森口泉。記憶力や語学力を買われ、希望していた機動分析係へ配属された。自分の能力を最大限に発揮し、事件を解決に導く―。だが配属当日、会計課の金庫から約一億円が盗まれていることが発覚。メンバー総出で捜査を開始するが、内部の者の犯行である線が濃厚だった。混乱する中、さらに殺人事件が発生して・・・。組織の闇に泉の正義が揺れる。−裏表紙より−

前作「朽ちないサクラ」が映画化されるようですね。あまりしっかりは覚えていなかったのですが、展開が早かった覚えがあるので内容的には面白いかもしれません。でも多分、今作の方がより楽しめそうではあります。

主役の泉を誰が演じるか?はここには書きませんが、珍しくイメージに近い感じの役者さんだと思いました。演技をしているのを見たことは無いのでわかりませんが、見た感じは確かにこんなイメージだと思います。


前作では警察で働いてはいましたが、警察官ではなく広報課の職員だった泉が、今作では警察官になっています。しかもなかなかハードな部署に配属されています。

前作からそんなに時間が経っていない雰囲気ですが、そんな短時間でここまで有能な感じになるのか?という疑問はわきます。きっと、もともとの潜在能力が高かったのでしょう。

こんなにすごい能力があるのなら、もっと早くスカウトされそうですし、自分でももっと早く警察官になれば良かったのに。


一癖も二癖もある上司と同僚たちに囲まれながら、日々鍛えられていく泉。事件の内容も題名にある「サクラ」が裏にチラチラ見えてきますし、誰がどういう理由で事件を起こしたのか気になり、展開がハラハラするので読むのが止まらない感じでした。


ただ・・・・最後が気に入りませんでした。これって日本の話だよね?と疑いたくなる状態。海外ドラマではありがちな展開ですけど、こうなると現実的ではないというか、ちょっと興ざめします。

日本らしくしっかりと証拠を突き付けて、犯人に「まいりました」と言わせてもらいたかったです。


それにしても、1作目と2作目でここまで主人公の境遇がかわるのは珍しいかも。こうなると、3作目も期待してしまいます。


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タグ:柚月裕子

2024年03月04日

南原詠「特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来」

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 南原詠 著
 「特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来」
 (宝島文庫)※電子書籍


特許権を盾に企業から巨額の賠償金をふんだくっていた凄腕の女性弁理士・大鳳未来が、相方の弁護士と共に防衛専門の特許法律事務所を立ち上げた。今回のクライアントは、映像技術の特許権侵害を警告され、活動休止を迫られる人気VTuber・天ノ井トリィ。調査に乗り出した未来は、さまざまな企業の思惑が絡んでいることに気づき、いちかばちかの秘策に・・! 2022年第20回『このミステリがすごい!』大賞大賞受賞作。−出版社HPより−


初めましての作家さんです。ネットで感想を読んで面白そうだったので読んでみました。

確かに文章や展開はなかなか面白かったですが、内容が難しい・・。

特許なんて日ごろ触れることもない分野ですし、更に特許の内容が映像技術のこととなるとますますわかりません。

VTuber なんて見たこともないので、多分ほとんど理解できていないと思われます。

でもキャラクターの濃さと、展開の面白さと、大まかにしか理解できていないとは思いますが、どうやってやり込めていくのかが気になって、次々と読めました。

とはいえ、わからない部分が多くて読み終わるまでには時間がかかりましたけど。


普段は、小説を映像化したのを見るのが好きでは無いのですが、今回ばかりは映像で見てみたいと思いました。映像で見たら少しは理解出来そうな気がします。

特に VTuber のトリィはどんな動きをするのかが気になります。演じるのは難しそうですけど。


最後は華麗なる逆転劇ですっきり爽快な終わり方をするので読むとスカッと出来ます。

次を読むか?は微妙ですけど、この話は面白かったです。


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タグ:南原詠

2024年02月02日

帚木蓬生「閉鎖病棟」

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 帚木蓬生 著
 「閉鎖病棟」
 (新潮文庫)※電子書籍


とある精神病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった・・。彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは―。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。−出版社HPより−


初めましての作家さんです。現役の精神科医なんですね。

この作品、名前を聞いたことがあると思ったら、映画化されていたんですね。芸人さんがテレビで何度も言っていたので覚えていたようです、あの人はどっちの役なんだろう?ちょっと気になります。



物語の始まりは、とある産婦人科から。そこに父親の名前を伏せて堕胎手術を受けようとする少女の姿がありました。彼女が精神病棟に入院する話なのかと思ったら、ある精神病棟の日常が描かれ始めます。

ここに入院しているのか?と読み進めるとどうやらそうではないようで、この病院で行われている陶芸教室に通っている少女があの子なんだ、とわかってきます。

何やら心に傷を抱えていて、学校に通えていないらしい彼女のことを、精神病棟に入院している患者たちが付かず離れず見守っています。彼らと少女のやり取りは微笑ましくて良かったです。


しばらくは何も大きな事件が起きるわけではなく、ある意味淡々と日常が過ぎていきながら、入院患者たちのそれまでの人生が時々描かれ、どんな経緯で入院しているのかもわかります。

ほとんどの人は家族から捨てられるようにして入院している状態。読んでいるとそこまで大変なのか?と思うほど安定している人もいますが、入院して落ち着いただけで、以前は荒れていたんだとわかります。中には犯罪を犯している人も。


それぞれの人となりを読んでいると、事件が起きてしまいます。これは仕方ないというか、動機としてはわかる気がします。ただ、なぜ彼が?とは思いますが、そこは後で明かされますし、そこがこの物語の最大の見せ場にもなっています。


終始なんとなく暗い感じで進む物語ですが、最後は幸せな気分にさせられる終わり方をしていて、読んで良かったと思えました。
みんな幸せになってほしいと強く願ってしまいます。


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タグ:帚木蓬生

2023年11月22日

歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」

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 歌野晶午 著
 「葉桜の季節に君を想うということ」
 (文春文庫)※電子書籍


「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリー賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。−出版社HPより−


読書メーターでお気に入り登録している読友さんからお勧めされた作品です。初めましての作家さんです。

感想が難しい作品でした。何を書いてもネタバレになりそうで。

勘が鋭い人なら気づくかもしれないトリック?引っ掛け?ですけど、私はすっかり騙されました。

そのことについて書いてしまうと全てが台無しになるので書けません。そうなると感想が難しい・・・。


物語の始めからなかなか濃厚なシーンが続き、その辺りはとにかく読みにくくて困りました。この調子で続くなら読めないな、と飛ばすようにして読んでいると気づけばはまっていました。

その始めのシーンもミスリードされる要因なんですけどね。

要所要所にヒントはいっぱい入れてあります。でも私は華麗にスルー。自分で笑ってしまいました。


霊感商法の調査をするのがメインなのですが、それ以外にも色々と細かい問題が起きて、時系列もちょっと混乱する感じでした。真剣に読まないと置いて行かれる感じです。

ハードボイルドな内容の中で、主人公の妹さんの存在が癒しになりました。アクティブでかっこいい女性で、口を開けばピリッとスパイスの効いたことを言いだします。その言葉にクスっとさせられることしばしば。ほんと、ありがたい存在でした。彼女の存在もミスリードの1つなんですけどね・・。


文章は時々読みにくい所もありましたが、展開は面白かったです。題名も結構深いですし、また読んでみたい作家さんになりました。

いくつかお勧めしてもらっているので、また読んでみます。


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タグ:歌野晶午

2023年11月17日

谷春慶「筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない」

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 谷春慶 著
 「筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない」
 (宝島社文庫)


祖父が残した謎を解き明かすべく、実咲は大学一の有名人、東雲清一郎を訪ねるが、噂に違わぬ変人で・・。著名な書道家なのに文字を書かず、端正な顔立ちから放たれるのはシビアな毒舌。鑑定に持ち込むが―「気持ちに嘘はつけても、文字は偽れない。本当にいいんだな?」。鎌倉を舞台に巻き起こる文字と書、人の想いにまつわる4つの事件を描く、連絡短編ミステリー。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

文体は読みやすいのですが、題名にもなっている東雲清一郎の口が悪すぎて読みにくかったです。

よくあるパターンで、ある分野で天才と呼ばれる男性が、かなりのイケメンで目を引くけど、性格に難ありで、偏屈で人嫌い。・・はいはい、そういう人ね、って感じです。

このタイプの登場人物がいると、大抵、懐に入ると実は親切というパターン。口は悪いけど優しくて、でも人が嫌いだから態度は冷たい。

そして、このパターンだと、特に美人ではないけど積極的に関わってくる女性が出てきて、気付けば仲良くなっている。何なら好意をよせてくるというやつでしょ?と思ったらその通りになりました。

う〜〜ん。

ちょっとこの展開は飽きたかな?

書については興味あったのですが、実物がないので想像がつきにくいですし、それこそ映像化された方が良いのかもしれません。私は見ませんけど、見ただけで涙が出てくる書ってどんな物なのか、それだけは気になりました。


シリーズ化していますが、続きは読まないです。


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タグ:谷春慶

2023年04月11日

柚月裕子「孤狼の血」

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 柚月裕子 著
 「孤狼の血」
 (角川文庫)


昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上とコンビを組むことに。飢えた狼のごとく強引に違法捜査を繰り返す大上に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。やがて金融会社社員失踪事件を皮切りに、暴力団同士の抗争が勃発。衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが・・。正義とは何か。血湧き肉躍る、男たちの闘いがはじまる。−裏表紙より−


極道の世界が描かれている話は何度も読んでいますが、彼らの世界って昔の武士の考えとよく似ていて、命を懸けても仁義を通す所や、親兄弟を守る所なんかはある意味かっこよくもありますが、やはり読めば読むほど関わりたくないと思ってしまいます。一般人を巻き込まないではいられないですからね。彼らにとっては一般人は家族の仇を取る時に邪魔になったら排除するべき存在ですし、もし家族が名誉を傷つけられても絶対に許さないですから、敵になるとかなり怖い存在です。

最近は色々法律も出来て規制も厳しくはなっていますが、それでも抜け道はありますし、警察内部にも協力者がいるなんていう話を読む度に本当かもしれないと怖くなります。あり得そうですよね。政治家との関係も濃いそうです。


ここに登場する刑事は、マル暴らしいヤクザのような風貌の大上刑事。しかも癒着が噂されるような、ヤクザと近い存在の刑事。そんなベテラン刑事と組むことになったのは日岡刑事。新人ながら高学歴で頭は良いようです。そんな彼に大上は煙草を咥えて見せます。そして「火を点けろ!」と怒るのです。冗談かと思いましたけど、あわてて火を点ける日岡。「先輩がタバコを咥えたら火を点けるのが当たり前」だと言います。

それこそヤクザのようなことを言いだす彼に戸惑いますが、とりあえず精いっぱい気遣いながら共に捜査していきます。

噂されるような癒着があるか?はわかりませんが、ヤクザと馴染みの関係ではあるようで、次々家を訪ねていっては親し気に話していきます。

捜査というよりは茶飲み相手とお茶しているような感覚です。とはいえ、相手はヤクザですから、多少のピリッと感はあるわけですが。

大上のやり方ははっきり言ってグレイというより黒な状態。1人の人間としては良いかもしれませんが、警察官としては絶対にダメなやり方。相手が相手だけに綺麗ごとでは済まないのでしょうが、それにしても・・。でも彼に起きた出来事はひどすぎるとは思います。

日岡はどんな刑事になっていくのか?楽しみなような怖いような。
普通ならシリーズ物は早く追っていきたくなるものですが、これはちょっと間を空けて追うことにしようかな。続けてヤクザの話は読みたくないけど、日岡のことは気になるので。


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タグ:柚月裕子

2023年03月15日

松岡圭祐「ècriture 新人作家・杉浦李奈の推論Z レッド・ヘリング」

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 松岡圭祐 著
 「ècriture 新人作家・杉浦李奈の推論Z レッド・へリング」
 (角川文庫)


24歳になった李奈は引っ越しを終えた新居で心機一転、小説家として新たな一歩を踏み出そうとしていた。新刊の評判は上々。しかしそんな状況に水を差すような事態が! アマゾンの評価は軒並み星一個となり、行った覚えのない店での痴態が撮影され、書きもしない官能小説が自分名義で編集者に送られていたのだ。一体何が起きているのか? 混迷を極める中、出版社にいる李奈を呼び出す内線電話がかかってきて……。−裏表紙より−


本が好き」で献本申し込みしました。

前に読んだのは4巻。そして今回は7巻。その間に李奈の本は多少売れるようにはなってきているようで、引っ越しが出来ました。物語の出だしから、良かった良かったと思えたのですが。

当然そのまま終わるわけもなく、いきなり新居が世間に明かされ、アマゾンでの評価が軒並み下がり、挙句には出版社に書いた覚えのない官能小説が李奈の名義で送られます。若い女性が書いた官能小説は需要があると出版話が持ち掛けられてしまうのですから何とも悲しい展開です。

一気に嫌がらせを仕掛けて来たと思われる人物は、出版社にいた李奈を呼び出します。一人で呼び出された店に行くと、そこにいた男性にある依頼をされます。丁寧に頼めばいいのに、さんざん嫌がらせをして、これ以上続けられたくなかったら、という強迫をしてきます。

脅迫に屈したくない李奈でしたが、嫌がらせの仕方が巧妙で卑劣だったため、一応依頼を飲む形をとります。

その依頼とは、古い聖書を見つけることでした。脅迫してきた人物の身元はすぐに判明するのですが、依頼の意味がなかなかわかりません。その聖書もすでに新たな聖書が次々と作られたためにほぼ絶版状態であることがわかり、難航を極めます。

その聖書に詳しいという人物に会いに行くと亡くなっていて、事件を解決するなんていう寄り道もありました。

李奈は探偵ではなく、小説家なのですから、本業もあるため、かかりきりになるわけにはいかず、ちょっと別のことをしているとまた新たな嫌がらせがあったり、急に拉致されて脅されたりします。李奈やその友だちが脅迫される度に「まだそんなことを調べているのか!」と叱責するのですが、そんなに色々わかっているなら、とりあえず全て明かせば良いのに、屁理屈をこねて明かしてくれません。

いちいち捕まえては脅すのも意味がわかりません。それをされる度に調査が中断するのに。

絶版かもしれないけどそこまで価値があるとは思えない聖書を見つける目的は何だろう?と気になり、読み進めると、なるほど・・という目的が。ある意味納得ですけど、それってどうなの??

かなり前に一時期ブームになって、専門家たちがテレビ番組に出て来てはあちこち掘り返していましたけど、結局見つかることはなかったアレです。

李奈が最後に解決してくれるのですが、これが事実なのかは知りませんが、かなりしっくりきた気がします。


これでやっと本業に戻れそうですし、最後には嬉しい報告もあったので、これからきっと作家としても人気が出てくることでしょう。

シリーズを1巻から読まないといけないな。ってこれ前回も書いた気がしますけど。今度こそ実行したいです。更に、ここにも出て来た「万能鑑定士Q」なるシリーズも読んでみたくなりました。こちらはかなりたくさん出版されているようなので、追うのが大変そうですが。


<「ècriture 新人作家・杉浦李奈の推論」シリーズ>
「W シンデレラはどこに」


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タグ:松岡圭祐

2023年02月28日

知念実希人「天久鷹央の推理カルテ」

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 知念実希人 著
 「天久鷹央の推理カルテ」
 (新潮文庫)※電子書籍


統括診断部。天医会総合病院に設立されたこの特別部門には、各科で「診断困難」と判断された患者が集められる。河童に会った、と語る少年。人魂を見た、と怯える看護師。突然赤ちゃんを身籠った、と叫ぶ女子高生。だが、そんな摩訶不思議な事件”には思いもよらぬ病”が隠されていた・・?頭脳明晰、博覧強記の天才女医・天久鷹央が解き明かす新感覚メディカル・ミステリー。−出版社HPより−


「泡」「人魂の原料」「不可視の胎児」「オーダーメイドの毒薬」の4編収録

死神シリーズを書いている作家さんです。そういえば似た雰囲気はあるかも。


病院にやって来る患者の中に、原因が判断できない場合があり、そういう時に呼ばれるのが「統括診断部」。その責任者である鷹央がこの物語の主役なのですが、彼女のことは特に好きにはなりませんでした。こういう女性ってよく描かれますが、私は好きではないです。

頭が良くて美人で、でも暴力的で人を見下すタイプ。風変わりなのは良いのですが、人を馬鹿にするような言動は好きになれません。

でも彼女が解き明かす事件や病気については面白かったですし、時々悲しい場面もあって気づけば入り込んで読んでいました。


病気を解明することは少なく、ほとんどが事件なのが残念ですけど、判断しかねる病気を解明するのって、もし真剣に書かれても素人が読んでわかるのか?というと微妙なので、これで良いのかもしれません。


シリーズはかなり出ているようです。この先もきっと病院で巻き起こる色んな事件を解き明かしていくのでしょう。読んでいくうちに彼女のことも好きになれるかな? とりあえずしばらく追ってみるつもりです。


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タグ:知念実希人

2023年02月24日

田中啓文「漫才刑事」

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 田中啓文 著
 「漫才刑事」
 (実業之日本社文庫)※電子書籍


腰元(こしもと)興行所属の若手漫才コンビ「くるぶよ」のボケ担当・“くるくるのケン“。彼が大阪府警難波署の刑事・高山一郎であることは相方の“ぶよぶよのブン“にも言えない秘密だ。お笑い劇場で起こる数々の事件にも、刑事であることは伏せ事件解決に協力する。しかしある日、同僚の交通課巡査・城崎ゆう子に正体がばれ…爆笑間違いなしの警察&芸人小説!−出版社HPより−


「ふたつの顔を持つ男」「着ぐるみを着た死体」「おでんと老人ホーム」「人形に殺された男」「漫才師大量消失事件」「漫才刑事最後の事件」の6編収録。


どこかで聞いたことがあるようなお笑い事務所に所属している漫才コンビのボケ担当・ケン。彼には相方にも言っていない秘密があります。実は、大阪府警難波署の刑事なのです。お笑いが副業というわけでもなく、どちらも真剣にやっているから余計ややこしい状態。

刑事と漫才師の掛け持ちだなんて、現実にはあり得ないですね。

漫才師としてはほとんどテレビにも出ていないので出来る技だということになっています。少し人気が出てきて、テレビに呼ばれることがあっても、相方だけに出てもらうようにして自分は断るという徹底ぶり。劇場だけは出演して腕を磨いています。


そんな忙しい彼が遭遇する事件の数々。かなり軽いタッチと展開なので、事件も軽そうに思えますが、実はしっかりミステリになっています。その辺りは読み応えがあります。

ただ、彼の上司の惚けっぷりには笑えますが。

こんな上司だからこそ、彼の二刀流が成り立つわけですけど、警察官がこんな感じで大丈夫か?と心配にはなります。


ちょっとほろりとしてしまう話もあり、ゾクッとする話もあり、なかなか楽しめました。

んなあほな!と突っ込みつつ楽しい時間が過ごせました。

続編もあるのかな?もしあったら読みたいです。


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タグ:田中啓文

2023年01月26日

霜月りつ「神様の子守はじめました。5」

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 霜月りつ 著
 「神様の子守はじめました。5」
 (コスミック文庫α)


就活に失敗し、神社に神頼みをしにいった羽鳥梓が四神の卵を預かり、子供たちが生まれてから、はや5ヶ月。神子たちといろいろな感動体験もしたし、死にそうな目にもあった。神子たちを育てるのは普通の人間である梓にとっては大変なことだったが水精の翡翠と火精の紅玉がいつも力を貸してくれるのでなんとかなっていた。そんなおり、翡翠の故郷の村が土砂崩れの危険に迫られていると知り―!?−裏表紙より−


早5ヶ月って!5年じゃなくて?? というくらい一気に成長してしまった神子たち。人間で考えたらすでに4〜5歳にはなっていそうです。
ずっと家に閉じこもっているなら良いですが、子どもたちにも友だちが出来ているので、あまり一気に大きくなってしまうと違和感がすごすぎて心配。でも最近は成長も止まってきているようなのでそこは良かったですが。


今回の神子たちも大活躍。1話目から翡翠の故郷の危機を救います。人間たちの自然に対する冒とくや神を信じなくなり顧みなくなったことへの報復のような出来事。私自身も信心深くないので何だか身につまされる話でした。

便利な世の中の方が暮らしやすいけど、自然も大事にしないと、って難しいです。


梓が神子を預かるきっかけになった神社を掃除している時に、お世話になっている神様からまた手伝いを頼まれます。部屋に付いた霊を払ってほしいというものでした。心霊的なことは苦手な梓ですが、神子たちの力を借りて除霊していきます。

霊がたくさん出てくる割には軽く読みやすい話で助かりました・・。


最後の話では、いつまでも声が出せず、心の声で語りかけてくる白花の声を探しに行きます。心配しなくてもそのうち出るよ、ってことでもないのか、と感心。

苦しい思いをしてきた白花ですが、これからきっと明るく優しい子どもになっていくことでしょう。彼女の活躍も楽しみです。


<神様の子守シリーズ>
「神様の子守はじめました。1」
「神様の子守はじめました。2」
「神様の子守はじめました。3」
「神様の子守はじめました。4」


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タグ:霜月りつ

2022年06月23日

小前亮「残業税」

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 小前亮 著
 「残業税」
 (光文社文庫)


残業をすればするほど取られる税金が増える「時間外労働税」が導入された。残業時間は劇的に減って、社会のありようは変わりつつあった。だが、もっと働かせたい企業も残業したい労働者も多く、サービス残業という「脱税」は絶えないのだが・・。根っから真面目な残業税調査官と熱血労働基準監督官が働く人たちのために奮闘する、リアルすぎるお仕事ミステリー!−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

税金について詳しくないので、読み始めた時は「残業税」という物があるのかと思ってしまいました。よく考えたら払ったことないわ、と思い、架空の話だとわかって興味深く読み進められました。


正式名称は「時間外労働税」なるほど、こういう税金があっても面白そうとか思いつつ読んでいたのですが色々問題が出てきて、そう簡単には導入できない税金だということは分かりました。

税金を課せられなくてもサービス残業が多いのに、税金まで課せられたら更に増えそうですし、当然脱税も後を絶たないでしょう。

残業はさせられないけど、仕事は終わらない、となると人員を増やして、時間内に一気に済ませるしかないわけですが、何人もで出来る仕事も限られてくるでしょうし、なかなか難しそうです。

話の中でも問題が次々起こっていくわけです。それを残業税調査官と労働基準監督官が調査して税金を徴収していきます。


半分くらいまで面白く読んでいたのですが、税金の仕組みの細かい所を読み飛ばしていたらだんだんわからなくなってきました。後半は読むのが苦しくなり、結局挫折しました・・。

もっと税金について詳しく知っていくようにしないとこの話の面白さは完全にわからない気がします。なぜ「残業税」は実際には導入できないのか、なぜ脱税が増えるのか、などなどがわかっている方は楽しめると思います。

もう少し社会について知ってから読みなおしたいと思います。・・・いつになるやら。


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タグ:小前亮

2022年06月17日

松岡圭祐「ècriture 新人作家・杉浦李奈の推論W シンデレラはどこに」

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 松岡圭祐 著
 「ècriture 新人作家・杉浦李奈の推論W シンデレラはどこに」
 (角川文庫)


中堅・グライト出版が大々的に売りだした新人作家REN。刊行した作品が女子中高生を中心に次々ベストセラーになるが、既刊からのパクリ問題が浮上しブームは突如として失速。出版界の事件を解決してきた李奈には、被害作家からの相談がよせられる。自著からの盗作も判明し、頭を悩ませる中、別の難題も抱えていた。「シンデレラの原典を探れ」という不可解なメールが届いたのだ。送り主の意図、そしてその正体は一体・・!?−裏表紙より−


初めましての作家さんです。以前から感想を読んで面白そうだとチェックしていた作家さんだったので、「本が好き」で献本申し込みしました。

シリーズの4作目から読むことになったので、登場人物の細かい設定などはわかりにくい部分がありました。ただ、そこは読み進めるのに大きな問題とはならなかったので助かりました。


杉浦李奈は作家として活動していますが、どうやらあまり売れていないようです。出版されている本も少ない様子。でも彼女には謎解き能力があるので、出版界での事件などを解決してほしいと様々な人から声をかけられています。

本人としてはそれよりも作品を出させて欲しいわけですが。


今回持ち上がった事件は、ある作家による盗作疑惑問題でした。RENという新人作家が出す本が次々とベストセラーになり注目されますが、どうやらあまり売れていない作家の作品を盗んでいる様子。

ただ、盗作となると著作権で争うことになるのですが、その線引きが曖昧なので立証が難しいのです。確かに、小説の題材となる物、その設定、人物像、人物名などは考えることって重なることも多いですから、どこまで似ていたら盗作なのか?は微妙になってきます。

登場人物の名前から設定から全部同じだともちろんパクリとなるわけですが、性別を変えたり、住んでいる場所の設定を変えたり、少し違うようにすればそれはパクリとも言い難くなります。

でもパクられた人からすれば、絶対に自分の作品を使っている!とわかるわけです。小説を書くのが簡単という作家さんはいないでしょうから、血のにじむような努力をして生み出した作品をいとも簡単に盗まれたらかなりショックだと思います。

李奈の作品もパクられていることがわかり、この問題も解決しないといけないのですが、更に李奈の元に「シンデレラの原典を探れ」という謎のメールが届き、周りの人間に危害を加えると書かれていたため、そちらに取り掛かることに。

シンデレラの原典なんて考えたこともありませんでした。李奈がすでに知っているだけでもたくさんの話があり、調べていくと世界中に似た話があることがわかってきます。なかなかエグい内容の物もあり、なるほどと感心しながら読み進めました。

継母と義理の姉にいじめられる美少女という設定、そして王子様(お金持ちの男性)が助けてくれるという設定、苦労した子ども時代を過ごした人にとっては憧れの設定ですから、似たような話が作られるのは当然ではありますね。

日本にもあったのは驚きでしたけど。ディズニーのシンデレラで知った身としては、王子様、パーティー、魔法、ドレス・・と日本というかアジアではありえない設定なので。不幸な境遇の少女を領主が救うと考えればあり得ますね。

どのように解決したのか?は読んでもらったら良いですが、なるほどそうなりますか、って感心しましたし、爽快な結末でした。


盗作問題とシンデレラ、一見関係なさそうな問題ですが、きれいに回収されて面白かったです。ちょっとあっさりし過ぎな気はしましたけど、それまでの部分で興味深く読めたのが良かったです。

これは1作目から探して読まないといけないと思いましたし、他の作品も読んでみたいと思いました。
しかもすでに5作目も発売されている様子。急がないと!


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2022年06月13日

柚月裕子「チョウセンアサガオの咲く夏」

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 柚月裕子 著
 「チョウセンアサガオの咲く夏」
 (角川書店)


柚月裕子の13年がつまった短編集
美しい花には毒がある
献身的に母の介護を続ける娘の楽しみとは……。

柚月裕子は短編も面白い
「佐方貞人」シリーズ、「孤狼の血」シリーズ、『盤上の向日葵』『慈雨』など数々のベストセラー作品を世に送り出してきた著者。ミステリー、ホラー、サスペンス、時代、ユーモアなど、デビュー以来の短編をまとめた、初のオムニバス短編集。「佐方貞人」シリーズスピンオフ「ヒーロー」収録。柚月裕子の13年がつまった短編集。
−出版社HPより−


お気に入りの作家さんの作品集です。読みたいに決まっているので「本が好き」で献本申し込みしました。

「チョウセンアサガオの咲く夏」「泣き虫の鈴」 「サクラ・サクラ」「お薬増やしておきますね」「初孫」「原稿取り」「愛しのルナ」「泣く猫」「影にそう」「黙れおそ松」「ヒーロー」 が収録されています。

短編は何度か読んだことがありますが、オムニバス形式は初めてです。色んなジャンルの作品を書かれる方だとわかりました。

どれも面白かったですが、合うか合わないかはありますね。

表題作がやはり一番印象に残りました。でもとても短い話でびっくりしました。短いのに内容はギュッと詰まっていて、始めは親の介護をして大変な毎日を送る女性の話としてしんみりと読んでいたのですが、少しずつ方向が変わっていき、最後には「え〜!?」となりました。なかなかブラックな話です。

「初孫」これもブラックでした。なかなか子どもが出来ない夫婦の話で、こちらも応援するような気持ちで読み進めていたら最後にど〜ん!とオチが。まあそういうこともあるでしょうけど・・・いやいや、それはダメでしょう!な内容でした。

どちらも身内の話だけに怖さが倍増です。

「お薬増やしておきますね」「愛しのルナ」もブラックというかゾッとしました。オチが怖いのが多かったです。

「泣く猫」は短い話なのにほろりとさせられましたし、「ヒーロー」も感動的でした。

「ヒーロー」は佐方シリーズのスピンオフ作品で、シリーズのファンにはたまらない内容です。本人に自覚なく良い言葉をさらりと言ってくれる佐方にまた惚れ直しました。


目をそむけたくなるような話もありますが、この作家さんの新たな面が見られた気がして、読んで良かったです。

佐方シリーズだけではなく他の作品も読んでみようと思えました。

まだ読んだことが無い方にも、作家さんのことを知るきっかけとしてお勧めです。


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タグ:柚月裕子