吉永南央 著
「雨だれの標本 紅雲町珈琲屋こよみ」
(文春文庫)
北関東の紅雲町で杉浦草が営む珈琲豆と和食器の店「小蔵屋」が、高名な映画監督の新作の撮影候補地になった。店員の久実や常連客たちは色めき立つが、乗り気になれないお草。だが、店を訪れた監督は、お草に別の意外な頼みがあると言う。彼に大きな影響を与えた古い映像作品を作った、ある無名の男を捜してほしいというのだ。わずかな情報とおぼろな記憶を頼りに、お草は持ち前の行動力で男の姿を追うが――。気丈で小粋なおばあさん店主が「日常の謎」を解くちょっぴりビターな大人気シリーズ第11弾!−裏表紙より−
いつのまにこの場所にいたんだっけ? この人、いつのまにここにいたんだっけ?と思うことが多かったです。
以前から気になっていたのですが、今回は本当に多くて、何度も少し戻って読み直すことがあり時間がかかりました。
このシリーズの魅力、お草さんが身体のあちこちが痛いと言いながらも元気でいてくれるのが本当にうれしいです。親友も記憶が時々あいまいになりつつも仲良く元気でいてくれていますし、それだけでも読む価値があると思います。
従業員や、客の様子を見てはさり気なく手を差し伸べるところも素敵です。あまりべったりせず、少ないアドバイスで、本人に任せてくれるのは、年齢を重ねているからこその余裕のある対応です。
従業員というか共同経営者並みに活躍している久実ちゃんと、恋人・公介の関係はいつまで経ってももどかしいですが、色々ありながらも乗り越えられそうで良かったです。
今回もややこしい相談が持ち込まれてドタバタな毎日を過ごすことになりますが、そればかりに掛かり切らなくても解決できるのはさすがです。
新しく登場した芸術肌の青年は、結局どうしたいんだろ?と疑問になったまま終わったのは気になります。
このシリーズはもうすぐ終わりそうですが、良いころ合いなのかもしれません。
<紅雲町珈琲屋こよみ>
「萩を揺らす雨」
「その日まで」
「名もなき花の」
「糸切り」
「まひるまの星」
「花ひいらぎの街角」
「黄色い実」
「初夏の訪問者」
「月夜の羊」
「薔薇色に染まる頃」
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