
吉永南央 著
「薔薇色に染まる頃」紅雲町珈琲屋こよみ
(文春文庫)
一度は売ったものの、手放したことを後悔していた帯留。それが戻ってきたと「小蔵屋」を営むお草のもとに連絡がくる。さっそく東京の店に向かうが、そこで、旧知のバーの雇われ店長が殺されたという話を耳にする。その後、お草は、新幹線の車中で何者かに追われている母子に出会い、事態は思わぬ方向へ・・。人気sリーズ第10弾!−裏表紙より−
10作目です。前作もそうでしたけど、少しずつ内容がハードになってきた感じがします。
今回はそれにも増してアクション要素も。高齢なお草さんには無理なんじゃないか?という問題にまで首を突っ込んでしまいます。よくぞご無事で!とホッとしました。
今までも読んでいて急に場面が変わったり、時間が飛んだのか?というような急展開があったり、ちょっとついて行けない時があったのですが、今回はそれが一段と激しくてかなりおいて行かれた感じがありました。
急に出てくる帯留めと、それを怪しげな質屋が連絡してきて買い戻しに行って、いつの間にそんな話になったんだ?と疑問がわきました。更にその店の近くで昔とある男の子と関りがあったようで、その話も突然出てくるので「これは何が起きているの?」状態でした。
いつもはそういう急展開があっても読み進めたらそのうち理解出来てくるのですが、今回は置いて行かれたまま話がどんどん進んで行き、しかも突然知らない子どもと逃避行が始まるという展開。
ずっと頭に「?」が浮かんだまま、でもお草さんのことが心配で、無事に帰って来てほしくて、必死で次々読み進めました。
ハラハラドキドキの展開が続いたのですが、突然あっさりと終了するところはこのシリーズらしいのかもしれません。
ミステリとかハードボイルドとかだとここから更に裏切られて、誰を信じたら良いんだ?的な展開になりそうなものですけど、良い人は良い人でちゃんとお草さんを助けてくれて終了。ある意味良い展開ではありますけど、物足りなさもあるかも。でもこのシリーズであればこれで良いかな。
まだまだ頭の展開は早いし、頭がキレるし、杖をついている割にはしっかり動けるし、お草さんの活躍は続きそうです。今後の展開も楽しみです。
<紅雲町珈琲屋こよみ>
「萩を揺らす雨」
「その日まで」
「名もなき花の」
「糸切り」
「まひるまの星」
「花ひいらぎの街角」
「黄色い実」
「初夏の訪問者」
「月夜の羊」
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