2016年11月18日

椹野道流「最後の晩ごはん お兄さんとホットケーキ」

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 椹野道流 著
 「最後の晩ごはん お兄さんとホットケーキ」
 (角川文庫)


兵庫県芦屋市。元イケメン俳優の五十嵐海里は、夜だけ営業の定食屋「ばんめし屋」で、料理人見習いとして働き始めた。店長・夏神留二の謎めいた過去が気になるが、親しき中にも礼儀あり。打ち明けてもらえる日を待っている。そんなある日、獣医だという女性客がやってきた。彼女はなんと、海里の兄の婚約者。しかし海里と兄とは派手にケンカ別れをしたきりで・・。とびきり温かく、優しいきずながここにある。泣けるお料理青春小説。−裏表紙より−


シリーズ第3弾。海里のゴタゴタはほぼ片付いたと思っていたら、そういえばお兄さんとの関係があった・・ということで、今回はお兄さんと海里が対決!

とはいえ、彼らの確執はかなり根深いようで、まあ事情を考えたら仕方ないことなのかもしれませんが、簡単には仲直りできなさそうです。仲直りというか、海里が言うには「仲が良かったときがない」そうで、兄弟なのに?と不思議な気がしました。

海里の話を聞いていると、お兄さんは冷徹な男性に思えるのですが、婚約者がいるそうで、彼女の登場によって2人の仲に変化が起きそうな雰囲気に。


夏神さんの過去についても意外とあっさり明らかになりました。もっと引っ張るかと思ったのですが。

同じ経験をしても、悩まない人もいるだろうと思うようなことなのに、夜中にうなされるほど悩むなんて、夏神さんらしいと思います。どうにかして罪の意識が軽くなったら良いのに・・。

そこは、海里とロイドの力が大事でしょう。


今回は、幽霊の出番はあまりありませんでした。まあ、幽霊が必要なのかどうか微妙な設定なので、出てこなくても何とも思いませんでしたし、最後の方に出てきたとき、逆に「そういえば幽霊も出てくる話だったね」と思い出したくらいでした。


何だかすべての問題が片付いた感じもするのですが、まだシリーズは続いています。次も早めに読むことにします。

<最後の晩ごはん>
「ふるさとだし巻き卵」
「小説家と冷やし中華」


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2016年09月14日

椹野道流「時をかける眼鏡 新王と謎の暗殺者」

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 椹野道流 著
 「時をかける眼鏡 新王と謎の暗殺者」
 (集英社文庫)


過去の世界のマーキス島に呼び寄せられた、医学生の西條遊馬。元の世界に戻るその日まで、王室に仕える鷹匠クリストファーの弟子として過ごすことになった。しかし、新王ロデリックの即位式の夜、事件は起きた。接待客である外国の要人が不審な死を遂げたのだ。早急に犯人を見つけ出さなければ王室の信用にかかわる。遊馬は現代法医学の知識で真相究明に臨むが―!?−裏表紙より−


前作で活躍して犯人を見つけた(?)遊馬ですが、結局簡単には元の時代へは戻せないと言われてしまい、過去でしばらく過ごすことになりました。

勝手に呼び寄せた上に「簡単には戻せない」と言われるなんて、腹が立って仕方ない展開ですが、遊馬はあっさり受け入れて、過去の世界を楽しんでいるようです。

王室に仕える鷹匠・クリストファーの弟子として生活しています。過去の世界なので、ガスや水道、電気などが当たり前ですけどありません。よくそんな環境で生活できるな〜と感心してしまいますが、彼はそれなりに充実した生活を送っています。

いよいよ新王の即位式ということで、遊馬も裏方に駆り出されて色々なアイディアを出して活躍していきます。料理にまでアイディアを出して喜ばれていました。

そんな中、即位式に出席していた外国の要人が死体となって発見されます。当然、遊馬が調べることになるのですが、ここでもこの世界のしきたりによって様々な規制が。

遊馬は便利な道具もない世界で死因をつきとめ、犯人を見つけられるのか?・・・と盛り上がりたい所ですが、ここのミステリ部分はあっさりしたものになっています。

犯人は自ら出てきますし、全て自白してくれますし、よく考えたら遊馬っている?くらいの展開で終了。


それよりも、王室の兄弟たちの関係が深まっていく所や、遊馬が不自由な世界で成長していく姿などの方が気になりますし、楽しく読める部分です。

彼らの物語を追っていきたいので、また続きも読むことにします。


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2016年07月25日

椹野道流「時をかける眼鏡 医学生と、王の死の謎」

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 椹野道流 著
 「時をかける眼鏡 医学生と、王の死の謎」
 (集英社文庫)


母の故郷・マーキス島にある「法医学博物館」で突然過去の世界に飛ばされた、医学生の西條遊馬。わけがわからないまま、殺人事件の現場に居合わせたために投獄されてしまう。そこで出会ったのは、この国の皇太子ロデリック。彼は、父である王を殺した罪に問われているというのだが・・?そして、ロデリックの無実を証明するよう、遊馬に頼んできた人物とは―!?−裏表紙より−


この作家さんの本を読むのは2作目ですが、同じように面白い設定になっていて、気づけば話に引き込まれていました。しかも、登場人物たちが憎めないんですよね・・。

主人公は、法医学者を目指している、医学生の遊馬。この字を書いて「あすま」と読むのですが、漢字で書いてあると「ゆうま」と読んでしまうし、タイムスリップしてからは、カタカナで「アスマ」と書かれていて、今度は「すあま」と読んでしまうし、ややこしくて仕方ありませんでした・・私だけかな?


遊馬が過去に飛ばされてからは、怒涛の展開が。いきなり殺人現場に行きあたって、容疑者にされて投獄されます。でも謎の人物に助け出され、その人物からなぜ遊馬がこの時代に連れてこられたのか?を聞かされます。

結局、その当時の王族の相続問題に巻き込まれるような形ではありますが、殺人事件の調査をすることになります。法医学者を目指しているアスマにとっては良い勉強になるようで、黙々と、特に大きくパニクることもなく解決していきます。

まあこの謎解きははっきり言って大したことはないので、ミステリーとしてはイマイチなんですけどね。

ただ、昔の王族の内部事情のようなものを知ることができますし、何より王族の人たちが良い感じのキャラなんですよね。

特に3番目の王子が印象的でした。彼は、上に2人も男子がいるので、その当時のしきたりとして姫として育てられました。姫王子と呼ばれているわけですが、生まれてからずっと女装で過ごし、姫として扱われています。いつかは姫として他国へ嫁入りするのだとか。そんな彼に遊馬がそんな定めはつらくないか?と聞いたところ、国で作られているお菓子を渡してからこう返事をしました。

「これは、(中略)贅沢な菓子だ。我が国の大半の民は、この甘さを知らぬまま一生を終える。菓子など買う余裕がないからだ」(中略)「一方で、そんな民たちが納める税で、私は養われておる。(中略)すべて民のおかげだ」(中略)「ならば、私をここまで守り育ててくれた民の幸せのため、この身を捧げるのは当然のことであろうよ。王室に生を享けるとは、そういうことなのだ」

王族に生まれるなんて、想像もつかないですが、守られて育つだけに「民のため」という気持ちは強くなるのかもしれませんね。その覚悟に感動しましたし、ちょっと悲しい気持ちにもなりました。


まだ遊馬は現代に帰れないので、彼の成長を見届けるためにも、続きを読んでいきます。


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2016年06月24日

椹野道流「最後の晩ごはん 小説家と冷やし中華」

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 椹野道流 著
 「最後の晩ごはん 小説家と冷やし中華」
 (角川文庫)


兵庫県芦屋市。この街に、定食屋「ばんめし屋」はある。夜のみ営業、メニューは日替わり一種のみ、幽霊すらも常連客・・。この不思議な店で、元イケメン俳優の五十嵐海里は、ただいま料理修行中。芸能人としての挫折を乗り越え、常連客で小説家の淡海とも仲良くなり、順風満帆、と思いきや、後輩の若手俳優・里中李英が店を訪れたことで、再び嵐に巻き込まれ・・。人の優しさと美味しいごはんに癒される、泣けるお料理青春小説。−裏表紙より−


マスコミというのはしつこい物なんですね。現実でもワイドショーを見ていると「まだこの話題か・・」とあきれるくらいしつこく報道していることがありますもんね・・。

海里のことも、一旦下火になったかと思ったら、居場所が見つかったせいで再燃してしまいました。でも、騒動以来、めっきり大人になった彼は大人の対応でうまく切り抜けて見せます。

現実の芸能人や政治家たちも、こんな風にきちんと説明して、謝罪すべきは謝罪しておけば、もっとあっさりした報道で終われるのに、としみじみ感じてしまいました。不倫やら政治資金の使い道やら・・。


今回の話の中心となるのは、常連客の小説家。彼はある理由で冷やし中華が食べられません。どうして食べられなくなったのか、は霊の話になるわけですが。

メガネのロイド(読んでいない人にはわからないでしょうが)も活躍して、霊のことも、小説家のことも万事解決!その瞬間にはほろりとさせられました。

彼の人生はなかなか大変だったようです。

もう一つ気になるのは、定食屋の主人・夏神のこと。彼も毎晩うなされてしまうくらい、何か重い物を抱えているようです。とても気になりますが、海里は「本人が話してくれるまで待つ」と言っているので、待つしかなさそうです。

みんな良い奴ばかりなので、みんなに幸せになってもらいたいものです。


<最後の晩ごはん>
「ふるさとだし巻き卵」


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2016年05月11日

椹野道流「最後の晩ごはん ふるさととだし巻き卵」

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 椹野道流 著
 「最後の晩ごはん ふるさととだし巻き卵」
 (角川文庫)


若手イケメン俳優の五十嵐海里は、ねつ造スキャンダルで活動休止に追い込まれてしまう。全てを失い、郷里の神戸に戻るが、家族の助けも借りられず・・。行くあてもなく絶望する中、彼は定食屋の夏神留二に拾われる。夏神の定食屋「ばんめし屋」は、夜に開店し、始発が走る頃に閉店する不思議な店。そこで働くことになった海里だが、とんでもない客が現れて・・。幽霊すらも常連客!?美味しく切なくほっこりと、「ばんめし屋」開店!−裏表紙より−

初めましての作家さんです。


芸能人が活動休止って何だかタイムリーな内容です・・。それにしても、こんなふうにあっさりと芸能界から消えて行った人、たくさんいるんでしょうね〜。そう思うと怖い世界です。大物であれば話題にしてもらえますけど、あまり有名でなければさらっと消えてしまうんでしょうね。

この話の主人公・五十嵐海里は、これから売れていくであろう存在の俳優。演技力はイマイチみたいですけど、顔の良さで何となく残っていた人。スキャンダルの相手が大手事務所のアイドルさんだったから、海里が消されることに。

読んでいてゾッとする内容でした。直前までテレビという華やかな世界にいたのに、突然何もなくなるなんて。家さえも事務所名義で借りている物だからあっさりと追い出されてしまいます。

揚句には、悪者扱いになってしまったので、どこへ行くにも人目が気になります。何とか実家にたどりついたのにやっぱり追い出されてしまって自暴自棄になっていたら、ある人に拾われました。

そこからはかなりあっさり良い方向へ転がっていくので肩透かしにあった気分になりますが、でもまあかわいそうな人なので良かったのかもしれません。

更に、幽霊まで登場! ここでやっと、これはファンタジーなんだと気づかされます。幽霊だけではなくもう一つ不思議なことも起きて、どんどんファンタジー色が濃くなっていきます。

なるほど、このシリーズはそっちの方向へ行くわけね・・。

そうなると始めの方の“イケメン俳優”という設定は何なんだろう?とも思いますけど、きっとその辺りは今後出てくるのでしょう。


美味しそうな料理も出てきますし、ちょっとほろりとさせられたり、登場人物の言動にニヤッとさせられたり、なかなか楽しく読み切ることができました。

続きも読みます。


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posted by DONA at 15:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:椹野道流