
椹野道流 著
「最後の晩ごはん 後悔とマカロニグラタン」
(角川文庫)
芦屋の定食屋「ばんめし屋」に節分の時期が。巻き寿司の提供で盛り上がる中、海里の後輩・李英が店を訪れる。体を壊し役者を休業中の彼は、海里が通う朗読のレッスンに参加したいと言う。海里は快諾するが、師匠で女優の悠子と李英のやりとりを聞いて、李英のほうが才能があるのではと愕然とする。それを機に仲違いをしてしまうが、店長の夏神のはからいで、有馬温泉に2人きりで旅行することに・・。友情と親子愛に涙溢れる第17弾!−裏表紙より−
前作で身体を壊してしまった李英。なかなかの重症だったため、リハビリに時間がかかり、役者として復帰するのはまだ先のようです。
そんな李英が、海里が習っている朗読のレッスンに一緒に行きたいと言い出します。良いリハビリになるだろうと喜んで一緒にレッスンを受けましたが・・。
李英を連れて行くと言ったときになんとなくこんな展開になるのでは?と心配しましたがやっぱりね。
何か月もレッスンを受けてきている海里よりも、初めてレッスンを受けた李英の方が才能あるのか!?と愕然とするまでは仕方ないですが、その後の拗ね拗ねモードはいただけません。
挙句に李英にまでキツく当たってしまう始末。さすがの李英も怒ってしまい、珍しく喧嘩になってしまいました。
大人同士のことですし、普通ならこのまま縁を切って終わるのですが、周りの助けもあって2人で話し合うため温泉旅行へ。
彼らの性格が素直なので、自分の気持ちをしっかり伝えて、きれいに仲直りします。ここはさすが海里だな、と感心しました。こうやって自分の否を認め、自分に向き合って言葉で伝えられたらどんなに良いだろうと羨ましくなりました。
いつもの霊の話は、朗読の師匠・悠子の亡き息子のことでした。この場面は涙なしでは読めません。こちらもしっかり向き合うことが出来て、愛情を確認し合えて本当に良かったです。
それにしても、この作品に出てくる人たち、良い人ばかりです。こんな人ばかりなら世の中平和だろうな。
まだまだ続きそうなので、楽しみです。
<最後の晩ごはん>
「ふるさとだし巻き卵」
「小説家と冷やし中華」
「お兄さんとホットケーキ」
「刑事さんとハンバーグ」
「師匠と弟子のオムライス」
「旧友とおにぎり」
「黒猫とドーナツ」
「忘れた夢とマカロニサラダ」
「海の花火とかき氷」
「聖なる夜のロールキャベツ」
「秘された花とシフォンケーキ」
「閉ざされた瞳とクリームソーダ」
「地下アイドルと筑前煮」
「初恋と鮭の包み焼き」
「後輩とあんかけ焼きそば」
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