
西條奈加 著
「世直し小町りんりん」
(講談社文庫)
長唄の師匠であるお蝶は三味線の腕前と美声で気性も粋な弁天との評判。お蝶の兄嫁の紗十(さと)はたおやかな色白美人で観音のたたずまい。人呼んで<弁天観音>美人姉妹は、頼まれ事を抜群の機知で解決していく。にぎやかな日々の裏で、お蝶を狙う影が大きく動き始める。凛とした痛快時代小説。(『朱龍哭く』改題)−裏表紙より−
旅行中に持って行って読みました。旅行中って、内容が重すぎても困るし、自分に合わないと困るからお気に入りの作家さんが良いし・・って考えてこれを持っていきました。
面白かったから、旅行中暇さえあれば出して読んでしまい、帰りには読む物が無くなりました。
冒頭に登場したお蝶の描写にまず引き込まれ、そこからはお蝶と紗十の人柄の良さと、機転の速さと、行動力に惚れ惚れしながら読み進めました。
特に、紗十の魅力的なこと! 普段は極度の方向音痴だったり、穏やかな物言いもあって、天然でぽわんとした性格だと思われるのですが、実際に事件を解決していく頭の良さは彼女の方で、しかも薙刀の名手ときたら最高でしょう!
そして、お蝶も真っすぐで一途でかわいらしかったです。彼女の真っすぐな性格と、紗十の一癖も二癖もある性格の対比が良かったです。
お蝶を溺愛する兄(紗十の夫)や、お蝶を守る陣内、その他幼馴染たちも個性的で魅力的でした。みんなのことが好きになってきたとき、意外な展開が!
そこから誰を疑って、誰を信じたら良いのか、どんどん目が離せなくなっていきました。
続きが気になって一気読みです。
結末は悲しい気持ちを払拭させるような、痛快なことが用意してあって、最後までにやりとさせられました。
笑いながら泣きそうになりながら読める作品でした。
登場人物たちが気に入ったので続編も書いてほしいところですが、事件が大きすぎたのでこれ以上は難しいかな?? そう思うと寂しいです。
最後まで面白く読んだのですが、最終的に気になったのはわざわざ改題した題名。なぜにこの題名に変えたのか? あまりにもピンとこない題名です・・。ちょっと手に取りにくい感じがしてしまいます。
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