2023年11月30日

西條奈加「心淋し川」

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 西條奈加 著
 「心淋し川」
 (集英社文庫)


江戸、千駄木町の一角を流れる、小さく淀んだ心淋し川。そこで生きる人々も、人生という川のどん詰まりでもがいていた―。悪戯心から張形に仏像を彫りだした、年増で不美人な妾のりき。根津権現で出会った子供の口ずさむ唄に、かつて手酷く捨てた女のことを思い出す飯屋の与吾蔵。苦い過去を隠し、長屋の住人の世話を焼く差配の茂十・・。彼らの切なる願いが胸に深く沁みる、第164回直木賞受賞作。−裏表紙より−


「心淋川」「閨仏」「はじめましょ」「冬虫夏草」「明けぬ里」「灰の男」

小さくて淀んでいる川が流れているとある町に住む人たちの人生が描かれています。

表題作では、婚期を迎える若い女性の話が描かれています。小さい頃から実家のことも両親のことも川が流れて日によっては変な匂いがするこの町のことも嫌いだった彼女。何とかして抜け出そうともがいている姿が印象的でした。初めての恋をするのですが・・・。ちょっと物悲しい、でもある意味ハッピーエンドともいえる作品です。


「閨仏」
商家の主人に囲われて、見た目はイマイチながらも愛人として生きて来た女性の話です。ちょっとした才能があればこの時代の女性でも生きていけるってことですね。


「はじめましょ」
偶然出会った子どもが口ずさんでいた歌を聴いて昔を思い出す男性。飯屋を営む彼は昔の恋人を思い出してまた人生をやり直します。

「冬虫夏草」
これはゾッとしました。簡単に書くと、息子から離れられない母親の溺愛話なのですが、そこまでになる過程も怖かったですし、現在も未來も怖すぎでした。

「明けぬ星」
元女郎だった女性の話。苦界からは抜け出せたのに人生がどんよりとしてしまっています。そんな時、昔同じ店で働いていた女性と再会し・・。これも悲しい物語でした。

「灰の男」
ここまでの話で出て来た長屋の差配をしている男性の話。
連作短編のようになっているので、これまで出て来た住人たちも顔を出し、その後の人生が少し垣間見えます。
差配にも過去があって、どうなっていくのか?心配になる話でした。


直木賞というのがどんな賞なのかよくわかりませんが、とにかく賞をとるのは納得の作品でした。

淀んだ川とそこに暮らす貧しい人たちの人生を重ね合わせて描かれるのが、物悲しくもあり、ちょっと怖い所もあり、でも精いっぱい生きているから明るい未来も見えてきて。

短編ですがそれぞれに関連もあって、読み応えもありました。


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2023年10月31日

西條奈加「金春屋ゴメス 因果の刀」

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 西條奈加 著
 「金春屋ゴメス 因果の刀」
 (新潮文庫)


江戸国からの阿片流出事件について、日本から査察が入った。団長は大御所議員の印西茂樹。江戸城で評定が開かれる中、印西は秘密裡にゴメスに接触し、江戸国の開国と明け渡しを迫る。印西の目的は江戸国深くに眠る白緑石で、この資源を元にロケット燃料を開発し暴利を貪る算段だ。拒絶すれば江戸国は消滅−。建国以来の危機に襲われる江戸国をゴメスは守り切れるか。書き下ろし長編。−裏表紙より−


シリーズ3作目。1作目から2作目がなかなか読めなかったので、3作目は無いかな?と諦めかけていましたが、書いてくれて良かった!この調子でどんどん出版してほしい!


前作の阿片流出事件の後始末的に、日本からの査察が入ります。

印西という胡散臭い感じの議員を筆頭にやって来た査察団。好奇心旺盛に査察団に入った人のいるようです。その気持ちはわかるな〜。私も行けるなら行ってみたいです。リアル映画村ですもんね。

しかも、評定を江戸城でするなんて最高です。


今回の目玉となるのは、ゴメスの過去のこと。彼女って超人的な存在ですけど、怪力なだけではなく、頭も良かったんだ! 科学者としてかなり成功していたそうです。いや〜、彼女はほんと底知れない存在だわ。

ますます尊敬してしまいます。今の状態はともかく。


彼女の頭脳に嫉妬したことや、江戸国の地下に眠る石による利権などが原因で、江戸国が潰されるか!? ゴメスが処刑されるか!? という大ピンチに。

だいたい「江戸国」という物を開国される前にちゃんと調べてから許可しろよ!って思います。そこに何が眠っているのかをきちんと調べておけばこんな大騒ぎにならないのに。

いつでもそこに暮らす庶民が犠牲になるんですよね。上に立つ人間じゃなくてもそれぞれに人生があるし、それぞれに生きる権利があるわけで、権力者がどうにかして良いことではないのに。そんな簡単なこともわからずよく政治家やってるわ!とイライラさせられました。小説で良かった。


今回もゴメスの部下たちがそれぞれ大活躍し、命掛けでゴメスと江戸国のために戦いました。で、最後はゴメスに美味しい所を持って行かれてしまういつものパターン。何だかかわいそうになります。

でも毎回大変な目に合っても、乱暴に扱われてもゴメスを慕うということは、それだけの魅力が彼女にあるのでしょう。確かに、彼女について行けば何とかなる感じはありますけどね。


さ、4作目書いてもらえるかな? ぜひ江戸国の今後も読みたいものです。


<金春屋ゴメスシリーズ>
「金春屋ゴメス」
「芥子の花」


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2023年10月11日

西條奈加「曲亭の家」

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 西條奈加 著
 「曲亭の家」
 (ハルキ文庫)


横暴な舅、病持ち・癇癪持ちの夫と姑・・修羅の家で見つけたお路の幸せとは?当代一の人気作家・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路。作家の深い業にふり回されながらも己の道を切り開いていく。直木賞受賞後第一作。−裏表紙より−


曲亭(滝沢)馬琴の家に、息子の嫁として嫁いだお路の話です。滝沢馬琴といえば、「南総里見八犬伝」の作者ですね。とか言いつつ、この作品は読んだこと無い気がしますけど。

作家として神経質な舅、嫌味の多い姑に囲まれ、更に助けてくれるべき夫は更に横暴で癇癪持ちと来たら、なぜいつまでも離縁しないのか? そればかりが気になって読み進めたような気がします。

でも物語の始まりは、お路がブチぎれて実家に戻っている所なんですけどね。そのまま別れるのかと思えば、夫が迎えに来て「今度からは癇癪起こさないように気を付ける」と言い、お路は「今度からは我慢せずに言いたいことは言う」と宣言して戻ることになります。

「言いたいことは言う」宣言のお陰で、お路はケンカしても言い返すようになったのですが、そうなると夫はまたキレてしまい、ケンカが今まで以上にヒートアップするばかりです。ただ、子どもが出来たので、その子どもを鎹のようにして2人は夫婦を続けます。

夫による暴力、舅による横暴な態度と発言、姑の嫌味たっぷりな暴言。物語は終始、お路がいじめられているようにしか見えない状態でした。

これはいつか救いがあるのか?と読み進めても、その度に降りかかる不幸な出来事。

子どものためだけにこの家にいる、我慢する意味ってなんだろう? お路の気持ちが理解できないままでした。

この時代は離婚するのも簡単ではありませんし、世間の目も厳しいですし、子どもは夫の家に残すのが当たり前ですし、今のように簡単に別れられないのはわかるのですが。


最後に何となく「良い人生だった」的にまとめられますが、まあ一部分ではそうなのかもしれないですが、どうだろう・・・?

子どもが生まれて育てて、後世に残る偉大な作品に携われたということで、良い人生なのでしょうね。何もないよりは。私的には苦労が大きすぎて見合わない気がしますけど。


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2023年08月02日

西條奈加「わかれ縁 狸穴屋お始末日記」

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 西條奈加 著
 「わかれ縁 狸穴屋お始末日記」
 (文春文庫)


「もう、嫌だ!」定職にもつかず浮気と借金を繰り返す亭主の元を飛び出した絵乃は、ひょんなことから離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」の手代見習いとなる。そこに舞い込んでくるのは、いずれも家族の情”がこじれた難題ばかり。果たして絵乃は一人前の公事師となり、自身の離縁も成し遂げられるか!?−裏表紙より−


公事宿(くじやど)というのを初めて聞きました。江戸時代にあったそうですが、今の行政書士や弁護士のような役割をしていたそうです。宿と付いていることからわかる通り、裁判の間に泊まらせることもしていたそうです。今も昔も裁判は長引くんですね。

昔は移動にも時間がかかりますし、判決が出るまで泊まる所があるのは助かるでしょう。そこが弁護士事務所だったら、と思うと便利ですよね。


絵乃の夫は、働かない、浮気を繰り返す、借金は作ってくる、という最悪な男。さっさと別れたら良いのに。と思ってしまいますが、そういう男って口がうまいんですよね。だからいちいち腹を立てながらも浮気を赦し、健気に働いて支えてしまう。

心のどこかでは「このままではいけない」と思っていてもどうにもならない状況。そんな時、町で偶然、公事宿の手代・椋郎と出会います。そして公事宿に連れて行かれて話を聞いてもらっているうちに、女将に見込まれて、宿で手代見習いをすることになります。

他の夫婦の問題を目の当たりにしながら、自分たち夫婦のことを解決させようという考えのようです。

離縁するには、きっちりと自分の気持ちにキリをつけないと別れられませんから、女将さんはそれを絵乃にわからせようとしていました。


絵乃は無事に離縁して前に進むことが出来るのか?


絵乃の成長も読んでいて楽しいですし、手代・椋郎との仲も気になりますし、他の登場人物たちの個性的キャラクターも面白いですし、次々読み進められました。

シリーズ化してくれるかな?という期待が膨らんでしまう作品です。いくらでも話は作れそう? 楽しみに待つことにします。


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2022年12月06日

西條奈加「亥子ころころ」

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 西條奈加 著
 「亥子ころころ」
 (講談社文庫)


店の主の治兵衛が諸国をめぐり見覚えた菓子を手頃な値で売る「南星屋」。娘と孫の三人で店を繁盛させた治兵衛は、手首を痛めてしまう。納得のいかぬ代物に苛立ちが募る中、店先に雲平という男が行き倒れていた。京から来たわけを訊くと、込み入った事情があるようで・・。荒んだ心をほぐす人情味溢れる時代小説。−裏表紙より−


「夏ひすい」「吹き寄せる雲」「つやぶくさ」「みめより」「関の戸」「竹の春」「亥子ころころ」の7編収録。


前作を読んだのは2017年なので5年くらい前のことです。細かい部分は色々と忘れていましたが、和菓子を庶民も買いやすい価格で販売している店の話ということはもちろん覚えていました。

読み進めるとちょっとずつ色々思い出すのですが、前作を忘れていても楽しめるとは思います。もちろん順番に読んだ方が良いですけど。


前作で腕をケガして思うように菓子が作れない治兵衛。アイディアはあるけどどうしても形が不格好になったり、力仕事は難しかったり、もどかしい毎日を過ごしていました。

そんな時、店の前で行き倒れを発見します。助けてあげた所、同じ菓子職人だということがわかります。治兵衛と同じように全国を旅しながら菓子作りをしてきたという雲平。話を聞いているうちに、店の前で倒れていたのは運命ではないかという思いがわいてきます。

雲平は京から家族同然の弟弟子を探しに来たという。彼を見つけるまでの間、治兵衛の店で過ごすことになり、治兵衛の片腕として菓子作りも手伝うことになりました。

お陰で店を再開することが出来、お互いに刺激をもらいながら毎日美味しい菓子を作ってお客様に喜んでもらえました。


出てくるお菓子(治兵衛の作るお菓子)の美味しそうなこと! 細かい描写を読みながら想像しては食べたくなりました。これが安価で食べられるとなれば人気になるのもわかります。

雲平の人探しの方も少しずつ進展を見せ、ちょっと辛い出来事もありましたが、最後は幸せになる展開を見せてくれて読んでいてほっとしました。


続きも描いてもらえそうですし、治兵衛はもちろん、娘や孫の今後も楽しみになりました。もちろん、彼らの作るお菓子も楽しみです。


<南星屋シリーズ>
「まるまるの毬」


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2022年10月20日

西條奈加「芥子の花 金春屋ゴメス」

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 西條奈加 著
 「芥子の花 金春屋ゴメス」
 (新潮文庫)


人が月に住む近未来の日本に、独立を宣言し、鎖国状態の「江戸国」が出現した。上質の阿片が海外に出回り、その産地として日本をはじめ諸外国から槍玉に挙げられた江戸国。老中から探索を命じられた「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守は、阿片を祭祀に使用する異人たちが住む麻衣椰村に目をつけ、辰次郎や松吉に真相の究明を命じるがー。−裏表紙より−

なかなか続きが見つからず、これはもう古本屋でしか見つからないだろうと諦めかけていたのですが、やっと新装版が出版されました。やはり大きな賞を取ると違いますね〜。ありがたいことです。この流れで「はむ・はたる」も新作を書いてもらいたいものです。もちろん、ゴメスシリーズも。

前作を読んだのが2013年。ということは9年前! 細かい部分はすっかり忘れていましたが、近未来の話であること、日本の中に鎖国状態の「江戸」という国があること、奉行の話ということは覚えていました。

近未来でありながら、江戸国は武士がいる昔の世界を作り上げています。江戸時代で止まっているような国なので、科学の進化もない状態。病気になると治療方法を求めて江戸国を出ていく人もいるようです。


題名にあるゴメスというのは奉行のあだ名です。ただ、女性だということは途中まで忘れていたんですけど。前作でも途中で女性だと知って驚いた覚えがあります。

実は人間でもないんじゃないか?と思うほどの容貌と言動なんです。暴力的ですし、酒豪ですし、言葉遣いもなかなか・・。


鎖国状態の江戸国に持ち上がったのは、麻薬の密輸問題。日本や他の国に出回る阿片が、江戸国で作られて密輸されているのではないか?と言われます。捜査に乗り出したゴメスは、とある村に目を付けます。

阿片を祭祀に使用するその村で作られているのではないか?と考えるわけですが、そこから一筋縄ではいかない捜査が始まります。

鎖国状態にある江戸国から持ち出すということは、何か大きな力が働いているのでは?と考えるのが自然です。

捜査を進めるうちにとある過酷な場所が浮上します。部下を潜入させることになったのですが・・・。


結局、過酷な捜査は部下に任せっきりのゴメス。部下の報告を聞いては叱咤激励(いや、叱咤のみ)しています。でも最後の最後には全て持って行くという美味しい役どころでした。

これはまだまだシリーズが進められそうです。ぜひ次も書いてもらいたいと思っています。


<金春屋ゴメスシリーズ>
「金春屋ゴメス」


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2022年07月22日

西條奈加「隠居すごろく」

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 西條奈加 著
 「隠居すごろく」
 (角川文庫)


巣鴨で六代続く糸問屋の嶋屋。主人の徳兵衛は、三十三年間の仕事一筋の生活に終止符を打ち、還暦を機に隠居することにした。人生がすごろくならこれは上がりだ。だが、孫の千代太が住処にきて静かな生活は一変。犬や猫を拾っては連れてくる孫に「そのやさしさを人のために使ってみてはどうだ」と諭した徳兵衛は、千代太の仲間に囲まれ、賑やかな日々を送ることになる。第二の人生の上りはいったいどこに?心揺さぶる時代小説。−裏表紙より−


33年間も仕事一筋、質素倹約に努めて来た徳兵衛は、ある日突然、奉公人たちを前に「隠居する」と宣言します。六代続く糸問屋を大きく育て上げ、商いも軌道に乗せての隠居、本来ならみんなから祝福されそうな所ですが、日ごろから口やかましかっただけにあっさりと送り出されます。

みんなに言い出す前から隠居を決めていた徳兵衛は、店からも近く、でも田舎ある空き家を見つけて来ていました。そこに手を入れて住むことにしたわけですが・・。


徳兵衛がどんな人物なのかは言葉の端々からしかわからない状態からの隠居宣言。でもきっと退屈するぞ〜と心配していたらやはり数日で飽きて来た様子。色々やることを見つけていたはずなのに、ことごとく性に合わないことが発覚。

私も無趣味な人間ですから、仕事を辞めたら退屈するだろうと思っているので、徳兵衛のことを笑っていられません。


暇だし店の様子を見に行こうかな?でもすぐに退屈していると思われるのはプライドが許さないということで、悶々と日々を過ごしていました。そこへやって来たのは孫の千代太。特別親しかったわけではありませんが、なぜか彼はおじいちゃんが好きで訪ねてきます。

ただあそびに来るだけなら良いのですが、来る度に猫や犬などを拾ってくるので徳兵衛は辟易します。そこで「そのやさしさを人のために使ってみては」と余計な助言をしてしまいます。

これはまずいことになりそう・・と思ったらやっぱり。今度は動物ではなく言われた通り、子どもを連れてきました。明らかにちゃんとした暮らしをしていないであろう姿をしたその兄妹を見て焦る徳兵衛。そこからどんどん千代太が持ち込む騒動に巻き込まれていきます。

度々、孫に助言をする徳兵衛ですが、その助言をまっすぐに受け止めすぎる孫は、思わぬ問題ばかり持ち込んできます。今まで商いのことで手一杯だった徳兵衛が初めて人助けのために動きます。

そこはやはり大店を仕切ってきただけあって、見事な采配で孫のため、他人のために行動を起こし、うまく問題を処理していきます。その様子は読んでいて爽快な気分になれますよ。


これは面白いシリーズが出来たな、と思っていたら最後に残念な出来事が。シリーズにはならないようです。それだけが残念でたまりません。もっと色んな騒動が起きて、精力的に活躍する徳兵衛の姿が見たかったです。

なんとかして続けられないかな。


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2022年03月24日

西條奈加「雨上がり月霞む夜」

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 西條奈加 著
 「雨上がり月霞む夜」
 (中公文庫)


がさつだが情に篤い秋成と、死者や妖しと交流する力を持つ雨月。幼馴染の二人は人間の言葉を話す兎「遊戯」との出会いをきっかけに、様々な変事に巻き込まれることに―。掛け軸から飛び出す金鯉、歳を取らない美女、罪の果てに鬼にまでなった男まで。江戸怪奇譚の傑作『雨月物語』をモチーフに綴る、切なく幻想的な連作短編集。−裏表紙より−


「雨月物語」がモチーフになっている物語です。

と書きながら、「雨月物語」を読んだことがないのでどの程度関係があるのかわかりませんけど。「雨月物語」を書いた秋成が登場します。彼が「雨月物語」を書くまでの話という感じです。

秋成はあまり細かいことは気にしないタイプの人で、だからこそちょっと不思議な雰囲気を持つ雨月と仲良くいられるようです。雨月が出会った、人間の言葉を話す兎と3人(?)が巻き込まれて行く出来事が描かれています。

その出来事というのが普通のことではなく、霊や妖などが出てきて、悲しいことも多いのですが、悲しい中にもゾッとするようなことがあるので、怖いのが苦手な私としてはあまり想像せずに読まないと辛い部分もありました。


後半は秋成の幼馴染としてずっとそばにいた雨月のことが明かされて行きます。読者は結構早めに雨月は人間では無さそうだと気づくと思うのですが、一番そばにいるからこそ秋成は気づいていませんでした。

だからこそ“がさつ”と呼ばれてしまうのでしょうけど。


雨月は人間ではないだろうということには気づいていましたが、その正体は意外なものでした。こんな結末だとは。

私が想像したように誰かの霊だった方がスッキリ出来たと思うのですが、それではこの物語はうまく収まらなかったのかもしれません。人間が内に秘めている感情や欲望がテーマになっているわけですから。

でもやっぱり彼らが共に過ごしてきた年月を思うと悲しい気持ちになってしまいます。


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2022年01月17日

西條奈加「せき越えぬ」

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 西條奈加 著
 「せき越えぬ」
 (新潮文庫)


東海道箱根の関所には、曰くありげな旅人が訪れる。離縁され故郷に帰る女。江戸から夜逃げをした夫婦・・。実直な番士武藤一之介は、親友の騎山市之助から関所に関する法外な依頼をされる。一之介は逡巡するも決断する。友の人生の岐路に際し何もしないのは裏切りも同然。たとえこの身に害が及んでも必ず友を助けなければならない―。関所をめぐる人間ドラマを描いた圧巻の人情時代小説。−出版社HPより−


物語は、武藤という真面目な武士が箱根の関所を越えようとしている所から始まります。初めての箱根越えで汗だくになり、関所を越えるために必要な書類を濡らして文字が滲んで読めなくなってしまいます。

読めなくなるとは言ってもよく見れば読める程度だったのでいけるだろうと思っていたら、融通に利かない役人に止められてしまいます。融通が利かないというより、難癖をつけていじめているかのような役人の態度に、真っ向からぶつかって行ってしまい、ますます通してもらえなくなりました。

真面目過ぎるのも考え物です。

その役人の態度が気になった武藤は、下役と親しくなり、事情を聞くことに。事情を知っても放っておけば良いのに首を突っ込んでしまったため、関所の番士を入れ替える事態にまで発展し、気付けば武藤自身が番士として勤務することになっていました。


二話目以降は、番士となった武藤たちの仕事ぶりが描かれていきます。

箱根の関所というのはあまり歴史に詳しくない人でも知っている有名な関所ですね。ここを越えると江戸に出られますし、逆に江戸にも入ることが出来る重要な場所でした。

将軍のいる江戸に怪しい人を入れるわけにいきませんし、重要な人物を江戸から出すわけにもいかない。最後の関門でした。


色んな人が関所を越えていきますが、特に印象に残ったのは妊婦さんの話でした。この時代、男性でも越えるのが難しかった箱根ですが、女性は更に大変でした。妊婦だからといって調べが甘くなることはなく、足止めされることも多かったようです。

ここに出てくる妊婦さんも調べに時間がかかってしまい、関所内で産気づいてしまいます。でもここで産んでしまったら、子どもと離れ離れにならざるを得ないということで、武藤たちは必死で策を練ることになりました。

奔走する様子を読みながらも、なんて大変な時代なんだと腹が立ちました。


武家の女性はもっと大変で、基本的には江戸から出ることは出来ないくらいでした。武家の女性は将軍家にとって人質のようなものだからです。色々理不尽な時代ですね。


最後の話がメインのようでしたが、これはあっさり終わり過ぎていたのでちょっと物足りない感じでした。この終わり方だと続編は無さそうですが、出来ればまた武藤たちの活躍が読みたいです。


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2021年08月24日

西條奈加「永田町小町バトル」

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 西條奈加 著
 「永田町小町バトル」
 (実業之日本社文庫)


「夜の銀座」専門の託児施設を立ち上げた行動力を買われて衆院選に出馬、見事初当選を果たした芹沢小町。“現役”キャバクラ嬢でシングルマザーという経歴、物怖じしないキャラクターがメディアで話題となり、働く母親達を中心に熱い支持を集めている。ひとり親家庭、貧困、埋まらない男女格差。“ジェンダー不平等国”ニッポンに、小町のパワーは風穴を開けられるのか!?−裏表紙より−


この作家さんにしては珍しいジャンルの作品ですね。時代小説以外も読んでいますが、政治の世界ですか・・。

とりあえず「政治」というだけで拒否反応が出てしまう私。こんなことではいけないのですが、小難しいしゃべり方をしている政治家たちを見ていると虫唾が走ります。「結局何が言いたいの?」と怒りが湧くことが多いです。頭悪い私が悪いのでしょうけど、頭悪くてもわかるような話し方は出来ないものなんですかね? 人生で一度も聞いたことがないような単語(「忖度」が良い例ですね)を使うことで国民の疑問を煙に巻くつもりなんじゃないか?と疑ってしまいます。

某知事のようにやたらと横文字を使う人とか、本当にバカにしているとしか思えません。

これ以上書いてしまうと、クレームが付きそうなのでこの辺でやめておきます。実際これ以上語るほどの知識がありませんし。


この物語の主人公である芹沢小町は、キャバクラで働くシングルマザーです。それで選挙に当選し、野党とはいえ国会議員となりました。経歴が珍しいことと、派手な容姿もあって始めから注目されています。

彼女が立候補した理由は、子育て支援。シングルで育てている家庭の支援をしたいというのが一番の理由でした。子育てする女性が働きにくいこと、子どもを預ける所がないこと、低所得のせいで生活が立ち行かなくなり世間からも離れてしまう悪循環を起こしている家庭を助けること、などなど「子育て支援」と一言で言っても色んな問題が山積みです。

その根本には「母親(女性)が子育てをするのが当然であり、女性は子育てが出来て当たり前」という考えがあります。確かに、お腹の中で育てるのは女性にしか出来ませんし、母乳が出るのも母親だけではありますが、だから「母親が育てるのが当たり前」になるのは違うと思います。これも語り始めると長くなる上に、何かしらの批判もありそうなのでやめておきますが、「女性に働け!」というのであれば、「男性も子育てしろ!」は当たり前の話です。「両親ともに働け!」というのであれば、子どもを預ける保育園を充実させないといけないのは当然。

最近でこそ0歳から預けられる保育園は増えましたが、数年前まではなかなか預けられなかったですし、今でも夜は遅くまで預かってくれないことが多いですね。長くても19時くらいまででしょうか? それ以降まで残業する仕事が多い中、これではしっかり働けないのも仕方ないですよね。かといって、保育の仕事に携わる私個人の意見としては、「そこまで長い時間、親と子どもが離れているのはどうなのよ」と思いますから、本当の理想は、職場が子育てしている期間は早く帰らせるという措置が取れるようにしてくれることです。もちろん、気兼ねなくその状態にしてもらえるのが条件です。そうならない限り、子育てしながら働こうと思う女性は増えないと思います。

やはり長くなってきましたね。


もう一つだけ認可外保育園に対する記述にクレームを。認可保育園と違って、国や地方自治体から認可がもらえないのが認可外(無認可ともいいます)保育園なのですが「認可がもらえないのは設置条件をクリア出来ないから」だと書かれていました。ですが、認可外保育園にも認可園に近い設置条件があり、職員の配置人数や子ども一人当たりの面積などはほとんど変わりません。

ではなぜ認可園にしないのかというと、その条件が厳しいからなんです。一番クリアしにくいのは「一定期間以上、ここの県や市、区などで認可園を経営していたという実績があること」という条件です。これって新規参入は無理??ってことですよね。自治体によってはここをクリア出来なくても他の条件がクリア出来ていればいいという場合もあるようですが。例えば認可外保育園を5年以上運営していて過去に何も指導されなかったことなどの条件です。

また、設置したい自治体で募集されていなかったら、条件なんて全く関係なく設置出来ません。つまり、自治体から募集されていて、条件をクリアできる状態で、更に応募して受け入れられて初めて認可園が開設出来るわけです。

なので、認可外だから、認可がもらえない園だから預けるのは心配だとか、問題がある園に違いないと思うのは間違いだと思います。逆に認可外の方が色々な保育の特色があって預けやすい所もあると思います。保育料はどうしても高くなりますけど。


すっかり物語の内容から離れてしまいました。

物語としては、題名のようなバトルはほとんどなく、小町の奮闘ぶりや政治家の活動方法についての細かい記述が多くをしめています。政治を知らない私にとっては「そうなんだ〜」と感心しきりでしたが、知っている人にとっては長々しく感じそうです。もっと端折る所はありそうです。

バトル部分に関してはもしかしたら続編を書かれるのかな?と。ハッキリ言ってこの巻だけでは小町は何もしていませんから、これからが楽しみな状態なので。色々面白い法案を考えていたので、ぜひ続きを読みたいです。


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2021年06月21日

西條奈加「無暁の鈴」

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 西條奈加 著
 「無暁の鈴」
 (光文社文庫)


家族に疎まれ寒村の寺に預けられた武家の庶子・行之助は、手ひどい裏切りにあって村を捨てた。絶望から“無暁”と名を変え、ひょんなことから一緒になった万吉と江戸に向かう。悶着をきっかけにやくざの冲辰一家の世話になることになった無暁と万吉――波瀾万丈の人生が始まる。信じるものを見失った無暁が、最後にたどり着く圧倒的な境地とは?傑作が待望の文庫化!!−裏表紙より−


とある男性の人生を描いた作品です。

その男性は、家族に疎まれてある小さな寺に修行という名目で預けられていました。よくある田舎の厳しい寺という感じなのですが、そこの住職がなかなかの強欲者で、村の女性を無理やり・・ということもよくありました。

友だちになっていた女性が、それを原因にして目の前で自殺するのを見てしまったため、寺を出奔してしまいます。

まだ子どもだったのですが、二度と寺には戻るまいと決めて一人さまようことに。

空腹のまま倒れ込んだ所に偶然やって来た少年・万吉と仲良くなり、共に知恵を絞りながら江戸へと旅することになりました。寺にいただけに、坊主に見えてしまう彼は名を無暁と変えて、坊主頭のまま旅をしました。途中の寺に泊めてもらうこともあり、捨てたはずの仏の道の先にある何かを見つけたくなってしまいます。

しばらくは別の道を歩んでいたのですが、生きていくためにやくざの一員となり、万吉と助け合いながら生きていきます。そこからどんどん人生が複雑になっていきます。


あまりにも真っすぐな無暁が、その真っすぐさゆえに思いがけない試練にぶつかったり、不幸に見舞われたりするのを読むのはとても辛かったです。少し幸せになりそうな雰囲気が出ることもあるのですが、そうなると無暁がそこからいなくなり、より大変な道を歩んでいくんです。

そっちに行ったらしんどいのに・・と何度も止めたくなってしまいました。


最後の最後まで結局は辛い道を進んでいく無暁。彼の人生が終わるとき、彼は幸せだったのだろうか?と考えずにはいられませんでした。彼を慕っていた人たちも幸せだったのか?

読み終わったとたん、大きくため息をついてしまうような大作でした。大河ドラマのような長い映画を1本見終えた感覚になりました。


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2021年01月28日

西條奈加「銀杏手ならい」

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 西條奈加 著
 「銀杏手ならい」
 (祥伝社文庫)


手習所「銀杏堂」に集う筆子とともに成長していく、新米女師匠・萌の奮闘物語
子に恵まれず離縁され、実家の手習所「銀杏堂」を継ぐことになった二十四歳の萌。女先生と侮る悪童らに振り回されながら、忙しない日々を送っていた。ある朝、銀杏堂の門前に女の捨子を見つける。自身も血の繋がらぬ両親に愛情深く育てられた萌は、その子を「授かりもの」として育てることを決心するが…。真っ直ぐに子どもと向き合い成長する、時代人情小説の傑作。
−裏表紙より−


祝!直木賞受賞。 読書好きではありますが、直木賞ってどんな賞なのかよく知りません・・。でも、とにかく賞を取るのはすごいことですよね。これを機会に、手に入らなくなっている作品を再出版してほしいです。ゴメスシリーズとか読みたいものがたくさんあります。


「銀杏堂」という手習所を父親から受け継いだ萌。彼女は一度嫁入りしましたが、子供が出来ずに離縁されて戻って来ていました。嫁入り前に手伝っていた手習所を受け継いで、母親にも手伝ってもらいながら毎日を過ごしています。

ストーリーとは関係ありませんが、子供が出来ないから離縁って、昔は理不尽ですよね。どちらが原因かわからないのに簡単に実家に戻されてしまいますし、文句も言えない。出戻ったら、産めない女性としてレッテルを貼られた状態で生きていくことになる。嫌な時代です。


門の前に大きな銀杏の木がある所から「銀杏堂」と名付けられた手習所。ここには、勉強するために通っている子どもたちがいます。年齢も性別も、家柄も様々な子どもたちなので、教える方はなかなか大変です。

武士の家なら勉強も大事ですが、商人や農家だと勉強はほどほどで良いということにもなってきます。更に女の子なら家を継ぐわけでもないので、行儀見習いさえ出来ればそれで良いと言われてしまいます。

子ども自身が習いたいものと、親が習わせたいものが違ったり、師匠として教えたいものが違ったりして、問題が次々と。子どもたちの可愛らしいけど真剣な悩みや、言動にクスリと笑ってしまう所もたくさんありました。


子供が出来ずに出戻ることになった萌の元に、捨てられた赤ちゃんがやって来ます。門の前に置かれた赤ちゃんを抱っこした萌は自分で育てることを決意します。実は、萌自身も捨て子だったこともあり、血がつながらなくても愛情をたっぷりもらった経験がありました。

色々戸惑いながらも日々成長していく赤ちゃんと向き合って、萌も成長していく様子が心地よかったです。

子どもたちを含め、萌や赤ちゃんの成長と幸せを祈らずにはいられない素敵な作品でした。

旅に出ていた父親が帰ってくるようなので、また雰囲気も変わるであろう銀杏堂の今後の物語をいつか読みたいと思いました。続編希望です。


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2020年04月08日

西條奈加「みやこさわぎ」

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 西條奈加 著
 「みやこさわぎ」お蔦さんの神楽坂日記
 (創元推理文庫)


高校生になった滝本望は変わらず祖母のお蔦さんと神楽坂でふたり暮らしをしている。そんなある日、お蔦さんが踊りの稽古をみている若手芸妓の都姐さんが寿退社することに。けれど婚約祝いの会が行われた数日後、都さんが突然失踪してしまい?! 情緒と歴史が残る街・神楽坂を騒がす事件をお蔦さんが痛快に解決! 望が作る美味しい料理もたくさん味わえる、大好評シリーズ第三弾。−裏表紙より−


お気に入りのシリーズです。3作目となりました。

2作目を読んだのが3年前。まあほとんど忘れています・・が、お蔦さんと孫の望くんのことさえ覚えていれば大丈夫です。


でもこの3作目も読んだのがかなり前なので、高校生になった望くんがやたらと大人びていること、作る料理があまりにも美味しそうなこと以外は忘れてしまいました。

またいつか再読して感想をUPし直します。


<お蔦さんの神楽坂日記シリーズ>
「無花果の実のなる頃に」
「いつもが消えた日」


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2019年06月10日

西條奈加「睦月童」

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 西條奈加 著
 「睦月童」
 (PHP文芸文庫)


ある東北の村から日本橋の酒問屋に招かれた、不思議な目を持った少女・イオ。酒問屋の跡取り息子・央介は、その目を見たことで激しい良心の呵責に襲われ、かつて自分が犯した罪を償おうとする。やがて更生した央介とイオは、彼女の目を使って、江戸で起こる数々の事件を解決していくことになるが・・。青年と少女の交流と成長を通して、「罪と向き合う」ことの意味を描いた、感動のファンタジー時代小説。−裏表紙より−


ファンタジー時代小説というジャンル。この作家さんは得意なジャンルですね。


ある大店にやってきたみすぼらしい感じの少女・イオ。彼女は大店が招いてきてもらったのです。彼女の目を見た大店の跡取り息子・央介は、突然怖がり苦しみだし、自分のお明日罪を償おうとします。央介はあそび人で、仲間とつるんで色々と問題を起こしていたのです。でも、イオの力で改心し、仲間と共に償いを始めます。

その後もイオは江戸に残り、央介と共に過ごすうちに、町でイオの目を怖がる人を見つけては、どんな問題を抱えているのか調べ、助けていくことに。


イオは不思議な力を持っているのに、とてもあどけない少女で、言動が普通の少女と変わらずかわいらしかったです。そんなイオに愛情を感じた央介との関係がほのぼのしました。


でも話はそのままほのぼのとは終わらない・・。できればこのまま2人は楽しく幸せに過ごしてほしかったのですが、そうならないのが悲しかったです。


イオの出生の秘密が明らかになる頃には苦しくて辛くて何度も泣いてしまいました。 最後までスッキリはできませんでしたが、それでもきっとイオも央介も幸せなのだろうと思えて終われたのが救いでした。


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2018年10月29日

西條奈加「大川契り 善人長屋」

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 西條奈加 著
「大川契り 善人長屋」
(新潮文庫)


掏摸に騙りに美人局。住人が全員悪党の「善人長屋」に紛れ込んだ本当の善人・加助が、またしても厄介事を持ち込んだ。そのとばっちりで差配母娘は盗人一味の人質に。長屋の面々が裏家業の技を尽くして救出に動く中、母は娘に大きな秘密を明かす。若かりし頃、自らの驕り高ぶった態度が招いた大きな罰のことを―。流れゆく大川が静かに見つめた、縺れた家族の行方を丹念に描く人情時代小説。−裏表紙より−


裏家業を持つ住人が集まる善人長屋シリーズ第3弾は、再び短編集でした。

今回は加助が持ち込んだものだけではなく、事件の方から長屋に飛び込んできたパターンもありました。

驚いたのは、差配の一家にまだ家族がいたということ。しかもなかなかこじれた関係のようで、これを機に仲良くなれたら良かったのですがそれもまあ簡単にはいかない様子。

でも少しは長屋のことを見直してはくれたかな?とは思えたので、これからかな? 今後もこの人は出てきそうな雰囲気です。


そして、最終話が一番印象に残りました。あらすじにもある事件のことです。

差配の妻と娘が人質にされてしまいます。娘は女性だということで、犯人に襲われることも覚悟していて、その時は「舌を噛み切って死ぬ!」と言い切るのですが、それに対して母が言ったことは・・。

これを告白するのはなかなか勇気のいることです。でも、告白したことで母と娘の関係がより深く強くなったと思いますし、差配である夫との絆の深さを感じられて感動しました。

シリアスな話になりそうな場面で、娘の明るさがクスッと笑わせてくれる、このシリーズらしい展開で、感動しながらも笑わされてなかなか面白かったです。


ますますお気に入りになったシリーズ。また続きも読みたいです。早く文庫化を!!


<善人長屋シリーズ>
「善人長屋」
「閻魔の世直し」


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2018年08月24日

西條奈加「秋葉原先留交番 ゆうれい付き」

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 西條奈加 著
 「秋葉原先留交番 ゆうれい付き」
 (角川文庫)


電気とオタクの街―秋葉原。その交番に勤める権田は、筋金入りのオタク警官。対してコンビを組む長身イケメン警官・向谷は頭はからっぽだが、類い稀なコミュニケーション能力の持ち主。ひいては美脚の「足だけの幽霊」を連れてきてしまった。2人は「足子さん」と呼び、彼女の死の理由を探し始める。フィギュア盗難、抱きつき魔、迷子、メイド喫茶のいさかい・・ご当地ならではの「謎」に凸凹警官が挑む、新境地人情ミステリ!−裏表紙より−


東京とは縁のない人生を送っていますし、秋葉原は名前は知っていますしどんな街かは何となく知っていますが一度も行ったことが無い身としては、この話の舞台は想像するしかないわけですが、とりあえずオタクさんとメイドさんがいっぱいいるんだね〜ということはわかりました。日本っぽくない感じ??

そんな秋葉原の交番に勤める権田は、いわゆるオタクさん。交番の控室にはフィギュアやポスターなどを置いているくらいの筋金入り。その手の知識も豊富なので、オタクさんからは頼られる存在です。そして、とても頭が切れる人。事件をスマートに解決していきます。ただ、見た目はぽっちゃり系。

もう一人いる警官は、長身のイケメンで人付き合いもうまくて女性を惹きつけてしまう魅力の持ち主なのに、頭の回転がすこぶる鈍い向谷。

向谷が、女性をエスコートしながら交番に戻って来るところから話は始まります。その女性・季穂の視点で話は進められます。読み始めは普通の女性だと思うのですが、途中から何だかおかしな展開に。

どうやら彼女は幽霊らしい・・。向谷は、霊感が強くて、幽霊になった季穂のことがしっかり見えるのです。でも季穂はどうやら足だけの幽霊みたいです。

足だけなのに周りは見えるし、感情もあるという謎の現象が起きるのですが、まあそこは幽霊なので・・。

でも、さすがに口が無いからしゃべることが出来ず、足だけで何とかコミュニケーションを取らないといけなくて、ガニ股にしたり内股にしたりして、「はい」「いいえ」を伝えることになりました。

名前はわからないから「足子さん」と名付けられてしまいます・・何て安易な!


季穂がなぜ幽霊になったのか、なぜ足だけなのか、この世に未練があるであろう彼女の人生と死の原因を突き止めるために動き始めます。

前半はほぼ季穂とは関係のない事件を解決していくのですが、最後には悲しい事件が明らかにされていきます。結構コミカルに描かれているのについ涙してしまいました。

これで季穂も成仏する・・と思ったら・・・・。


どうやら続きそうな展開。警官二人のことも、足子さんこと季穂のことも気に入ったので、続編が出たらぜひ読みたいです。

足だけでやれることって限られているでしょうが、限界に挑戦してもらいたいものです。


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2018年08月09日

西條奈加「ごんたくれ」

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 西條奈加 著
 「ごんたくれ」
 (光文社文庫)


安永四年、京都。当代一の絵師を目指す豊蔵と彦太郎は、ひょんなことで奇跡の出会いを果たす。喧嘩しながら才能を認め合い、切磋琢磨し腕を磨く若きふたり。鼻つまみ者の「ごんたくれ」と呼ばれた彼らは、求めた道の先に何を見たか?京画壇の華やかなりし時代、実在した二人の奇想の絵師をモデルに、芸術を探求する人間の性と運命を描き出した、傑作時代小説。−裏表紙より−


実在した絵師をモデルにした物語です。

大きな絵師に弟子入りすることもなく自立した絵師の筝白と、円山応挙という大勢の弟子を抱える一門に所属している胡雪。2人はあるきっかけで出会います。


筝白は、円山応挙の絵を認めておらず、大した腕もないのに有名になってもてはやされていることに腹を立てていました。でも弟子の胡雪の絵の才能は認めていて、早く独立するように勧めることもありました。

2人は似ている所が多く、周りから「ごんたくれ」だと言われています。性格には難のある2人ですが、絵の才能は素晴らしく、名は売れていませんでしたが、熱烈なファンはいるため、それなりに仕事を受けて絵を描き続けていました。

この時代は、商家や武家や寺社からの注文を受けて、襖や屏風などに絵を描いていました。大きな屋敷だと、何枚もに渡って大作を仕上げることも。

失敗は許されない仕事ですね。頼まれる方も勇気がいりますが、頼む方も勇気が要りそう・・。実際、思った雰囲気と違うものが出来ることもあったようです。

でもまあ、一緒に暮らしているうちに何となく慣れるというか、愛着が湧いてくるようです。

大作の場合は、描きあがるまで時間がかかるため、寝食の世話も注文主が行い、泊まり込んで製作してもらっていたそうです。かなりの贅沢ですね!


話の中には実在していた有名な絵師も出てきます。日本画に詳しくない私でも名前だけは知っている、池大雅、伊藤若冲など。本当にこの中に描かれているような性格だったのかはわかりませんが、そういう部分でも楽しめました。

始めは未熟だった2人の若い絵師がどんな想いで作品を仕上げ、どんな人生を歩んでいくのか、どんな絵師になっていくのかが気になって次々読み進めました。

ページ数も多く、2人の人生をたっぷり読むことが出来て、面白い読書時間になりました。


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2018年06月23日

西條奈加「六花落々」

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 西條奈加 著
 「六花落々 りっかふるふる
 (祥伝社文庫)


「雪の形をどうしても確かめたく―」下総古河藩の物書見習・小松尚七は、学問への情熱を買われ御目見以下の身分から藩主の若君の御学問相手となった。尚七を取り立てた重臣・鷹見忠常とともに嬉々として蘭学者たちと交流し、様々な雪の結晶を記録していく尚七。だが、やがて忠常が蘭学を政に利用していることに気づき・・。蘭学を通して尚七が見た世界とは―。−裏表紙より−


ちょっと変わり者として見られていた小松尚七は、偶然出会った男と意気投合します。尚七はずっと「雪の形が見たい」と思っていたのですが、その気持ちを分かってくれたその男・鷹見忠常によって、その夢をかなえていきます。

御目見え以下という低い身分だったのですが、藩主の若君の学問の相手をするように言い渡された尚七。若君も尚七と同じようにあらゆることに興味をもち、色んな疑問を抱えて生きている人だったので、二人はすぐに打ち解けていきました。


雪の形を見るといっても、今と違って簡単に顕微鏡が手に入るわけでもなく、藩の力を借りずには実現しないことでした。若君のお相手をすることで、共に研究を進めていくことが出来たのです。

降ってきた雪を黒っぽい紙に乗せ、溶けない内に模様を写し取るという地道な作業。雪の形は色々あって、長年続けていくうちにたくさんの模様図を集めることが出来ました。

それを一冊の本にすることになり、尚七は喜んだのですが・・。


このまま、雪の形を写し取ったり、蘭学の勉強ばかりで終わってしまったら、これは何が言いたかったのか?と思ってしまいそうですが、そこから時代小説っぽい動きが。

忠常の動きと、若君の想い、そして尚七の庶民たちへの想いが痛くて苦しく感じる内容へと変化していきました。

刀を使った切り合いのような激しい展開は無いですが、静かな中にも激動があって面白かったです。


でも最後はすっきりと明るい終わり方をしてくれたので読んで良かったと思えました。


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2018年01月27日

西條奈加「世直し小町りんりん」

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 西條奈加 著
「世直し小町りんりん」
(講談社文庫)


長唄の師匠であるお蝶は三味線の腕前と美声で気性も粋な弁天との評判。お蝶の兄嫁の紗十(さと)はたおやかな色白美人で観音のたたずまい。人呼んで<弁天観音>美人姉妹は、頼まれ事を抜群の機知で解決していく。にぎやかな日々の裏で、お蝶を狙う影が大きく動き始める。凛とした痛快時代小説。(『朱龍哭く』改題)−裏表紙より−


旅行中に持って行って読みました。旅行中って、内容が重すぎても困るし、自分に合わないと困るからお気に入りの作家さんが良いし・・って考えてこれを持っていきました。

面白かったから、旅行中暇さえあれば出して読んでしまい、帰りには読む物が無くなりました。


冒頭に登場したお蝶の描写にまず引き込まれ、そこからはお蝶と紗十の人柄の良さと、機転の速さと、行動力に惚れ惚れしながら読み進めました。

特に、紗十の魅力的なこと! 普段は極度の方向音痴だったり、穏やかな物言いもあって、天然でぽわんとした性格だと思われるのですが、実際に事件を解決していく頭の良さは彼女の方で、しかも薙刀の名手ときたら最高でしょう!

そして、お蝶も真っすぐで一途でかわいらしかったです。彼女の真っすぐな性格と、紗十の一癖も二癖もある性格の対比が良かったです。

お蝶を溺愛する兄(紗十の夫)や、お蝶を守る陣内、その他幼馴染たちも個性的で魅力的でした。みんなのことが好きになってきたとき、意外な展開が!

そこから誰を疑って、誰を信じたら良いのか、どんどん目が離せなくなっていきました。

続きが気になって一気読みです。

結末は悲しい気持ちを払拭させるような、痛快なことが用意してあって、最後までにやりとさせられました。

笑いながら泣きそうになりながら読める作品でした。

登場人物たちが気に入ったので続編も書いてほしいところですが、事件が大きすぎたのでこれ以上は難しいかな?? そう思うと寂しいです。

最後まで面白く読んだのですが、最終的に気になったのはわざわざ改題した題名。なぜにこの題名に変えたのか? あまりにもピンとこない題名です・・。ちょっと手に取りにくい感じがしてしまいます。


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2017年10月26日

西條奈加「涅槃の雪」

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 西條奈加 著
 「涅槃の雪」
 (光文社文庫)


町与力の高安門佑は、新任の北町奉行・遠山景元の片腕として市井の取締りに励む毎日だ。その最中、元遊女のお卯乃を屋敷に引き取る。お卯乃との生活に安らぎを覚える門佑だったが、老中・水野忠邦が推進する天保の改革は、江戸を蝕み始めていた。改革に反対する遠山らと水野の鬩ぎ合いが苛烈を増す中、門佑は己の正義を貫こうとするが―。爽やかな傑作時代小説。−裏表紙より−


現代人にも馴染みの深い、遠山の金さんが出てきます。彼の片腕として活躍する高安門佑という与力が主人公なのですが、知っている人が出てくるだけで読みやすい気がしました。

さすがに時代劇のように金さんが町に出て、刺青を見せながら暴れるなんてことはありませんが、そんな姿を思い起こさせるような破天荒な感じの人として描かれていました。


ちょうど、有名な天保の改革の時代。質素倹約を押し付けられている江戸の人たち。特に商人たちは、商売に影響が出るくらいの取締りに合って苦しんでいます。

その改革を推し進めているのが老中の水野忠邦。有名どころがいっぱい出てきてちょっと嬉しくなります。

商人たちを苦しめる改革に対して、異議を唱える立場になるのが遠山奉行。水野の怒りを買わないようにしながらも、何とか改革を止めるように進言していきます。その駆け引きも面白かったです。

門佑はちょっとつかみどころのない人で、あまり好感はもてなかったのですが、彼を慕っている元遊女のお卯乃のことは好きになりました。なかなか武家の生活に馴染めないようですが、彼女の辛い過去と、その過去があるからこその深い想いに感動させられることが何度かありました。


最後までハラハラさせられる展開でしたが、最終的に良い終わり方をしてくれて嬉しかったです。彼らの幸せを確信しながら読み終えることができました。


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