
伊吹有喜 著
「彼方の友へ」
(実業之日本社文庫)※電子書籍
老人施設でまどろむ佐倉波津子に小さな箱が渡された。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった―戦中という困難な時代に情熱を胸に歩む人々を、あたたかく、生き生きとした筆致で描ききった感動傑作。巻末に書き下ろし番外編を収録。第158回直木賞候補作。−出版社HPより−
この作家さんは結構好きで読むのですが、好きなタイプの作品と、そうでもない作品があるのが難点。
この作品は、あまり面白いと思えずでした。
苦手な時代の話だというのもあるのでしょうが、ちょっとウジウジした男女の話が絡むとどうしても読みにくく感じてしまいます。
しかも、読み終えてから日にちが経ちすぎて忘れている部分も多いので感想が難しいです。
戦争中の日本が描かれています。ただ、爆撃されるような場面は一度しかありません。男性が出兵する様子はよく描かれているので、そこは辛いですが。
描かれているのは、戦時中の雑誌社です。そこで働くことになった佐倉波津子の人生が中心に描かれています。
彼女は「乙女の友」という雑誌に憧れているけれど、おしゃれは苦手な女の子(といってもいいくらいの若さ)。
ある事情で「乙女の友」を作っている雑誌社で働くことになります。・・が、うだつの上がらない彼女を見て、編集者たちは呆れて、というか無視に近い状態の態度をとりました。
女性誌の編集者といえば、戦時中とはいえある程度おしゃれな人が多い中で、おしゃれの出来ない女性が来ても確かに相手にされなさそうではあります。
もちろん編集などの経験もなく、文章力も芸術力もないとくれば仕方ないです。
そんな彼女がどのようにして「乙女の友」と関わり、どうやって雑誌を仕上げていくのか。そして、彼女を含む社員たちの人生が描かれていきます。
戦時中に雑誌を作ることの大変さ、何より女性が社会で活躍する大変さ、読んでいて苦しい場面も多かったです。
しかし、雑誌って今も昔も読むことないからわかりにくいところも多かったですが、カラー写真が使えない時代は今よりももっと大変だったでしょうし、ページを埋めるセンスがかなり必要だっただろうと思うと、その時代に作っていた人を尊敬します。
昔の雑誌、ちょっと見てみたい気がします。
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