
近藤史恵 著
「天使はモップを持って」
(文春文庫)
深く刺さった、小さな棘のような悪意が、平和なオフィスに8つの事件をひきおこす。社会人一年生の大介にはさっぱり犯人の見当がつかないのだが−「歩いたあとには、1ミクロンの塵も落ちていない」という掃除の天才、そして、とても掃除スタッフには見えないほどお洒落な女の子・キリコが鋭い洞察力で真相をぴたりと当てる。−裏表紙より−
ずっと気になっていた作家さん。やっと本を手に取ったので読んでみることに。題名からして面白そうな本です。
オフィスビルの清掃をたった一人でこなしているのは、まだ十代と思われる女性・キリコ。「お掃除のおばさん」とは全く違い、コギャルのようなかわいらしい外見をしています。
そんな見た目からは想像できないくらい、完璧に掃除しているキリコですが、掃除だけではなく会社で起きるちょっとした事件や謎を解くのも得意です。
キリコが掃除している会社に入社した大介は、社内で起きる事件に翻弄されてしまいますが、キリコの力を借りて(・・というか、ほとんどキリコ一人で)解決していきます。
きっかけはほんの小さな出来事でも、当事者にとっては大きな問題で、謎を解明したとき社会の中で生きている人たちの暗い闇の部分が見えてくる感じでした。女性同士も陰湿ですが、男性が絡んでも色々ありますね・・。大きな集団になると余計に火種は増えるわけで。軽いタッチで描かれていますが、なかなか重い内容の物も多かったです。
キリコが言っていた「ゴミの中からも、その人のプライベートが透けて見える。まだ、ゴミになっていないものには気を払っても、ゴミ箱に捨ててしまえば、もうその先は消えてしまったも同然だと思っている人が多いのだ」という言葉にはハッとさせられました。ゴミ箱に捨ててしまったら無くなるとまでは思いませんが、収集日に出した後、どうなってるかまで意識していませんでした。ゴミって最大の個人情報かもしれません。
最後の1話は強引すぎるというか、なぜ急にこんな展開にしないといけなかったのかよくわかりませんでしたが、次に繋がる何かになるのかもしれないので、次も読んでみます。
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