2018年03月17日

近藤史恵「シフォン・リボン・シフォン」

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 近藤史恵 著
 「シフォン・リボン・シフォン」
 (朝日文庫)


乳がんの手術後、故郷に戻ってランジェリーショップをひらいたオーナーのかなえ。彼女のもとを訪れる、それぞれの屈託を抱えた客たちは、レースやリボンで飾られた美しい下着に、やさしく心をほぐされていく。地方都市に生きる人々の希望を描く小説集。−裏表紙より−


着飾ることに興味が無いので、当然ながら下着にこだわったこともなく、下着一つでそんなに気分が上がるものなんだろうか?と終始疑問に思いながら読み進めました。


親の介護に疲れた女性が、素敵な下着を選んで身に着けたことで、親には見咎められてしまいますが、きちんと意見が言えるようになり、それからは介護が少し気分的に楽になるという話が一番印象的でした。

それは1話目なのですが、その話ではランジェリーショップの店主・かなえにはほとんどスポットは当たることはありません。でも、次の話からはかなえの視点でも描かれるようになります。

かなえがどんな人生を生きてきて、どうしてこの店を開くことになったのかということも少しずつ語られて行きます。

かなえみたいな女性は実は結構いるのかもしれません。でも彼女の行動力は、私には全くない物なのでうらやましい気持ちになりました。

起業して、小さいながらも店を持って、人を雇って、楽しく仕事が出来たら素敵でしょう。

フワフワやリボンに囲まれる幸せ・・・はちょっと理解できませんが、好きなものに囲まれて仕事ができるのは幸せだろうな・・。


女性として色々と考えさせられる話たちでした。

男性にはちょっと難しい話かもしれません。


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2017年12月08日

近藤史恵「薔薇を拒む」

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 近藤史恵 著
 「薔薇を拒む」
 (講談社文庫)


施設で育った博人は進学の援助を条件に、同い年の樋野と山奥の洋館に住み込みで働き始める。深窓の令嬢である小夜をめぐり、ふたりの想いは交錯する。洋館に関わる人物の死体が発見され、今まで隠されていた秘密が明るみに出た時、さらなる悲劇が―。気鋭の作家が放つ、最終行は、読む者の脳を揺さぶり続ける。−裏表紙より−


表紙の雰囲気や「山奥の洋館」というワードのせいか、勝手に昔(明治、大正の頃?)の話だと思っていたのですが、普通に携帯電話も出てきて、どうやら現代の話らしいとわかりました。

でも、かなり時代錯誤な生活をしている一族の話なので、携帯電話の方が違和感あります。


両親がいないため、施設で育った博人。彼が進学するためには、施設としては費用面で辛い・・ということで、ある一族から進学の援助を条件に住み込みで働かないか?と声を掛けられ、山奥へ出向くことに。

そこでは、小夜という綺麗な娘がいて、博人はさっそく目を奪われてしまいます。

この洋館に住み込みで来たのは博人だけではなく、同じ年の樋野という少年も一緒でした。彼と小夜は何だかいい雰囲気になっていて、博人は気になって仕方ありません。

まあその辺りは17歳という多感な青年たちですから仕方ないかな??とは思いますが、読んでいる側としてはうっとおしい感じです・・。

不思議な雰囲気の漂う洋館の、不思議な雰囲気の漂う住人たちと生活。始めの頃こそ、平和な日々でしたが、当然そのまま終わるはずもなく、いよいよ事件の始まり。

事件が起きると、不思議な雰囲気に怖さも加わって、どうなるのか展開が気になってほぼ一気読み。

結局、最後の最後までゾクッとさせられる展開でした。

これって、誰か救われたんだろうか??と疑問の残る終わり方で、何とも微妙な気持ちで読み終えました。


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2017年05月26日

近藤史恵「ホテル・ピーベリー」

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 近藤史恵 著
 「ホテル・ピーベリー」
 (双葉文庫)


職を失った木崎淳平は、鬱屈した心を抱えてハワイ島にやってきた。長期滞在型のホテル・ピーベリーは小さいけれど居心地が良く、他に四人の日本人旅行者がいた。だが、ある夜、客の一人が淳平に告げる。「楽しみにしてろよ。今におもしろいものが見られる」不吉な予感の通り、客の一人が溺死し、やがてもう一人―。様々な気候を併せ持つハワイ島の大自然と、人生の夏休みに絡め取られた人々の心の闇。巧緻な筆致で衝撃の真相へと導かれる、一気読み必至の傑作ミステリー。−裏表紙より−


何だか不思議な雰囲気のあるミステリーでした。

出だしから暗い雰囲気があって、この先どうなっていくのか気になってほぼ一気読みしてしまいました。

読み終わったら、あっさり終わりすぎて印象に残らないくらいの話なんですけどね・・。


でも、ハワイ島の情景が浮かぶ描写が素敵で、あまり好きではないハワイに行きたくなる感じがしました。変わりやすい天気なのはややこしいですが、自然環境は素晴らしいようで、大迫力の風景は見てみたいかも。


舞台となるホテル・ピーベリーも良い感じでした。まあ殺人事件が起きるまでは、ですが。一度しか泊まれない長期滞在型ホテル。長期とはいえ、3か月経ったら出て行かないといけないですし、一度泊まったらもう二度と泊まれません。そういうところも謎めいていて面白そうだと思ったのですが。

ホテルの女主人ともつかず離れずな感じが良いです。

まあそれも読み進めると嫌悪に変わっていくんですけどね・・。

何より主人公の木崎のことが、どうしても好きになれずに困りました。ほぼずっとウジウジしていて、「もっとシャキッとしろよ!」と怒鳴りつけたい感じだったのに、途中でこれまた嫌悪以外わかなくなりました。


読み終わっても、何だったんだろう?このミステリーは、って納得出来ない話でした。要らない登場人物もたくさんいましたし、出てくる人たち、誰一人好きになれないなんて珍しい話です。

気になって一気読みの割には、「面白かった〜」と言えません。だからといって「読んで損した!」とまで思うわけでもなく、自分の感想をうまくまとめられなくてもどかしい状態になりました。


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2017年04月10日

近藤史恵「演じられた白い夜」

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 近藤史恵 著
 「演じられた白い夜」
 (実業之日本社文庫)


小劇場界の著名女優・麻子は、夫で演出家の匠に呼ばれ、雪深い山荘へやってきた。山荘には匠によって、初対面である八人の俳優らが集められていた。匠の新作は本格推理劇で、演じる側にも犯人がわからないよう稽古は行われていく。台本が進行するにつれ、麻子を含む女優たちに疑心が兆し、それは恐るべき事件の形を取って表れた。作中劇の中に隠された真相は―。−裏表紙より−


大好きな作家さんなので読んだのですが、途中くらいから「何だろう?この話は・・」と思ってしまいました。

ちょっとアガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」っぽい感じでした。閉ざされた環境の中で、一人ずつ死んでいく所がそっくり。でも最後まで「誰もいなくなった」とはならないんですけどね。

とりあえず、どういう展開を見せるのかが気になって一気読みしました。


作中に書かれていた、演出家の描いた劇はなかなか面白そうで、本当に舞台化されたら見てみたいと思いました。推理劇だけあって、暗転が多い気がするので、実際に見るといちいち途切れて集中できないのかもしれませんが。

演じる役者も誰が殺されるのか、誰が犯人なのかわからないまま稽古が進みます。稽古するその日の台本だけが渡され、それを読んだら自分が被害者だとわかるわけです。

役者たちの人間関係もなかなか複雑なようで、演出家と女優たちの関係も何だか・・。

そして、劇中と同じような事件が実際にも起きてしまいます。


最後まで読んでしまってからも、この作品をなぜ書こうと思ったのか?という疑問は残ったままになりました。まあ「推理小説」ってそういうものなんですけど、この作家さんだから何か捻りがありそうな、理由がありそうなそんな気がしたんですよね。

題名も「〜〜殺人事件」とかじゃないわけですし、妙な期待をしてしまった私が悪いんですけど・・。

面白くなかったわけではないですが、なんか期待しすぎたかな?とは思いました。


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2016年11月04日

近藤史恵「胡蝶殺し」

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 近藤史恵 著
 「胡蝶殺し」
 (小学館文庫)


市川萩太郎は、蘇芳屋を率いる歌舞伎役者。先輩にあたる中村竜胆の急逝に伴い、その幼い息子・秋司の後見人になる。同学年の自分の息子・俊介よりも秋司に才能を感じた萩太郎は、ふたりの初共演『重の井子別れ』で、三吉役を秋司に、台詞の少ない調姫役を俊介にやらせることにする。しかし、初日前日に秋司にトラブルが。急遽、三吉を俊介にやらせることに。そこから、秋司とその母親・由香利と、萩太郎の関係がこじれていく。そしてさらなる悲劇が・・・。幅広いジャンルで傑作ミステリーを発表しつづける著者が、子役と親の心の内を描く白熱心理サスペンス!−裏表紙より−


歌舞伎を題材にした物語って初めて読んだ気がします。

生で見たことがないですし、あまり興味のない世界の話で、ついていけるか心配でしたが、読み始めると面白くてグイグイ引き込まれていきました。


よくわからない世界ですが、しきたりが多そうだとか、華やかさや大変さは何となく感じていました。この本を読んで、その大変さがよくわかった気がしました。

父親であるその家の看板役者が亡くなったことで、その息子の立場が難しくなるのも驚きでした。その後見人になることの大変さや難しさ。萩太郎には、同じ学年の息子がいる上に、それほどお芝居が好きそうではないとなると、後見人となった子どもを優先しそうになることがあっても仕方ないと思うのですが、やはり自分の家を考えるとそうもいかない。

テレビなどで「歌舞伎の家に生まれたからといって、絶対に歌舞伎役者にならないといけないということはない」と役者さんが言っているのを聞きますが、実際に一人息子だった場合そうも言っていられない雰囲気になるんですよね。当然と言えば当然ですが。

萩太郎の奥さんも男の子を生んだことで「肩の荷がおりた」と言ったとか。梨園の妻というのは、今の時代でもそういうプレッシャーにさらされるんですね。

女の子は、どんなに歌舞伎役者になりたくても、絶対になれない、というのも辛いことです。男女平等の世の中にありながら、古い伝統を守っているのも珍しい世界です。

だからこそ表現される、華やかさやはかない美しさなんかもあるのでしょうね。

この物語の中には、色々な演目が書かれています。歌舞伎を見たことがない私にとってはどれも知らない物ばかり。でもちょっと興味がわいてきたので、機会があったら見てみたいです。

特に子どもたちが舞うはずだった「胡蝶」は見てみたいです。


ミステリーだということですし、題名からも、いつか誰か殺されるのか?とドキドキしつつ読んだのですが、そんなこともなく。でもしっかりミステリーですし「殺し」なんです。

この題名には感心させられました。

何とも切ない展開になっていて、読みながら何度も泣きそうになりました。子どもって本当に健気で強いです。そして母親は強く見せながら実はもろくて弱い存在です。


最後は明るく終わってくれたのも良かったです。二人はきっと良い役者になってくれるでしょう。

私も早めに見に行きたいと思います。


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2016年04月27日

近藤史恵「キアズマ」

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 近藤史恵 著
 「キアズマ」
 (新潮文庫)


ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷つけるスポーツはしたくなかったのに―走る喜びに突き動かされ、祈りをペダルにこめる。自分のため、そして、助けられなかったアイツのために。感動の青春長編。−裏表紙より−


「サクリファイス」」から始まったロードレースシリーズも4作目。1作目で主人公だったチカは全く出てきませんが、また新たに気になる人物が登場しました。

今回の主人公・正樹も、チームのエースである櫻井も良い味出しています!

正樹はずっと柔道をやっていた大学生。過去に事件があって、そのせいで何に対しても強い想いで打ち込めない所がある彼が、あることをきっかけに大学の自転車部に入部することになりました。自ら進んで入部したわけではなく、半ば強引に入部させられたわけですが、もともと体を鍛えていたおかげもあって、一気に才能が開花します。

自転車で風を切って走る楽しさ、よくわかります。子どもの頃は大好きでした。これがレース用の自転車だったら余計に軽く走れて、飛ぶような感覚になれて更に楽しいのでしょうね。

走る喜びに溢れる正樹の様子がとても楽しそうで幸せそうで、読んでいても微笑んでしまうくらいでした。

ここで先輩たちを抜かしてしまうくらいの結果が残せるところは小説だな〜とあまりにも都合よすぎな気はしますけど、すでに正樹や櫻井たちに好感をもってしまっていたので、その辺りはあっさりスルーできました。


好成績をおさめて、櫻井のことも抜いてエースになるのか!?と思ったら、思わぬ事態に巻き込まれ、一気に正樹の過去の傷へと引き戻されます。

何かをきっかけに張りつめていた糸が切れると、一気に落ちていきますよね。その様子がリアルに描かれていて読むのが辛い場面がたくさんありました。登場人物たちに「大丈夫、まだいける!」と言って回りたいくらい・・。


最終的には前向きに頑張っていけそうな感じになったので、本当に良かった〜としみじみ思えました。彼らの今後もぜひ読んでみたいものです。


このシリーズ、まだ書かれているそうなので、チカのことを含めまた読みたいと思います。


<サクリファイスシリーズ>
「サクリファイス」
「エデン」
「サヴァイヴ」

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2016年02月29日

近藤史恵「カナリヤは眠れない」

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 近藤史恵 著
 「カナリヤは眠れない」
 (祥伝社文庫)


変わり者の整体師合田力は“身体の声を聞く”能力に長けている。助手を務める屈託のない美人姉妹も、一皮剥くと何がしかの依存症に罹っていた。新婚七ヵ月目の墨田茜を初めて診たとき、力は底知れぬ暗い影を感じた。彼を驚愕させたその影とは?やがて不安が現実に茜を襲うとき、力は決死の救出作戦に出た! 蔓延する現代病理をミステリアスに描く傑作、誕生。−裏表紙より―


あらすじを読まずに買って読んだので、読み終わった後でシリーズ物だと知り、しかも主人公がこの人だったなんて!という驚きもありました。整体師が主役だとわかっていれば、話の展開にもついていけたかもしれませんが、知らなかったので思わぬ方向に転がっていく話についていけない感じがしました。

そっか、ミステリだったんだね!って感じです。


話は、新婚生活を満喫している墨田茜という女性が、次々と買い物をしていくようすから始まります。“買い物依存症”というのでしょうが、彼女の気持ちは全く共感できず。私は彼女とは真逆で、ストレスが溜まるとどこにも出かけたくなくなるので。元々買い物は嫌いですし。

でも、ストレスで何かに頼りたいと思う気持ちはわからなくもないですが。新婚で幸せそうでも夫婦には色々あります・・。

茜の病状を心配しながら読み進めていると、突然別の男性の話に。短編だったのか・・と読んでいると、どうやら彼女と接点ができそうな展開に。買い物依存症の茜と、それを取材する記者の2人が出会って、どうやって依存症を解消していくのか?と、また読み進めると、今度は整体師・合田力が登場し、診察以外の所で活躍していきます。

茜の買い物依存症には、思わぬ事情が隠されていた! となるわけですが、展開の早さに驚いている間に読み終わる感じでした。


最終的には収まる所に収まって、ある意味ハッピーエンドのようになっていたので、良かった良かったという感じでしょうか?

まあ、茜の取った行動には理解しがたいことも多かったですが・・。あの男性の話は特にわからなかったな〜(読んでいない人にはわからないことですね、すみません)。


シリーズ物だということで、続きもあるのでとりあえず読んでみるつもりです


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2016年01月15日

近藤史恵「ふたつめの月」

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 近藤史恵 著
 「ふたつめの月」
 (文春文庫)


契約社員からようやく本採用になった矢先、解雇をいいわたされた久里子。心から喜んでくれた両親の手前、出社するふりをしては日中ぶらぶらと暇をつぶす毎日を送っていた。ある日、偶然すれ違った元同僚の言葉に不審な点が―。もしかして私、自分から辞めたことになってる? 近藤史恵版『隅の老人』第二弾。−裏表紙より―


「賢者はベンチで思索する」の続編で、「たったひとつの後悔」「パレードがやってくる」「ふたつめの月」の3編による連作短編です。


前作ではバイトしていた久里子が、やっと契約社員で働くことになったようですが、この短編集の始まりではすでに解雇されている状態・・。ある日突然「明日から来なくていいよ」だなんて、ドラマのような展開です。一家の大黒柱がリストラされたら場合は、家族には内緒にして公園などで時間をつぶすのもわかりますが、久里子の場合はさっさと話してまた就活すればいいのに、この子の性格上それも出来ずに公園などで時間をつぶしています・・。

暗い状況から始まったわけですが、赤坂という老人との再会をきっかけに少しずつ好転していきます。

赤坂老人は、多くを語らない人ですが、内容は重くて深いので、それをヒントにして久里子は様々な問題を解決していきます。

更に愛犬・アンとトモの存在も大きくて、2匹の力もあって立ち直っていく久里子。

良い子だということはわかるのですが、時々彼女の物分かりの良さに腹が立つことがあるんですよね・・。なんだろう?達観しすぎな感じが嫌なのかな?自分でもよくわからないですが、あまり好きにはなれません。自分の性格がゆがんでいるからかな??


彼氏のような存在の弓田との関係も、何だか微妙な感じで進むのが苦手です。まあ最後にはすっきりしたのですが、嫌なら嫌と言えばいいのに!と久里子の行動にイライラすることもありました。


表題作でもある最終話では、赤坂老人の秘密が少し明かされて、また謎が深まった感じではありますが、話しとしては一番面白かったですし、じ〜んとさせられました。


この作家さんの作品、まだまだ読んでいない物があるので、また探して読みます!


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2015年04月27日

近藤史恵「ヴァン・ショーをあなたに」

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 近藤史恵 著
 「ヴァン・ショーをあなたに」
 (創元推理文庫)


下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マル。フランスの田舎で修業した変人シェフの三舟さんは、実は客たちの持ち込む不可解な謎をあざやかに解く名探偵。田上家のスキレットはなぜすぐ錆びる? ブイヤベース・ファンの女性客の正体は? ミリアムおばあちゃんが夢のように美味しいヴァン・ショーを作らなくなったわけは? シェフの修業時代も知ることができる魅惑の一冊。


前作と同じように、短編集になっていて、前半はギャルソンの視点で描かれています。残りの2話は、シェフの修業時代の話が描かれていて、三舟シェフのファンにとってはたまらない一冊になっています。

前作から気になっていたホットワイン・ヴァンショーのルーツも明らかになり、しかもそのルーツは本当に人を思いやる優しい気持ちから来ていることがわかって、ますます興味津々になりました。赤ワイン嫌いな私でも飲めるだろうか??


前半の短編は、店に持ち込まれた謎をシェフが解き明かすというパターンで話は進みます。スキレットがなぜ錆びるのか?という話では、ちょっと涙が出そうになる感じで、子どもの気持ちを思うとかわいそうになりました。


気になったのは、あらすじにもあるブイヤベース・ファンの女性客の存在。彼女の気持ちは本当の所、どうだったんだろう?三舟シェフにも春がやってくるのかと思えば・・。でもなんだか彼は一生独身のような気がします。フランス料理が恋人。的な感じ?


後半は、シェフの修業時代の話が描かれています。とはいえ、彼がどんな風に修業をしているのかは描かれていません。フランスで出会った日本人とのエピソードの中に、修業中だと書かれているだけ。

でも、その頃から料理に対する熱意と、センス、そして謎解きの能力の高さはあったようです。


次は、彼がどうやってビストロ・パ・マルを開店させたのかを読みたいと思います。

あ〜、フランス料理が食べたい!


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2015年04月02日

近藤史恵「モップの精と二匹のアルマジロ」

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 近藤史恵 著
 「モップの精と二匹のアルマジロ」
 (実業之日本社文庫)


妻に内緒の行動を取っていた夫が3年間の記憶を喪失!
最先端のファッションでオフィスの清掃人をつとめ、日常の謎も解くキリコ。彼女は越野真琴という地味な女性から夫の友也の行動を探ってほしいと頼まれた。美形である友也の退社後には、数時間の空白があった。ところが友也が事故に遭い、3年間の記憶を喪失してしまう。その後、彼の身辺には不審な出来事が。キリコと夫の大介は、夫婦の絆をめぐる謎に迫るが・・。−裏表紙より−


今回は、シリーズ初の長編でした。しかも、夫・大介が全編通して登場し、しかも彼の視点で描かれる場面もあって、キリコの私生活がよくわかる話になっていました。


大介の働くビルの清掃をすることになったキリコの元に現れたのは、地味な格好の女性でした。その女性・真琴は、キリコの評判を聞いて、夫の浮気調査をしてほしいと頼んできたのでした。いきなりの展開に驚いたのですが、キリコが引き受けたことにも驚きました。プロに頼むよりは気安いのでは?と考えるキリコの気持ちはわかりますが、全く知らない夫婦の問題に首を突っ込むのは絶対に嫌ですし、明らかにややこしい結果になるのに・・と思います。

もちろん物語なのですから、どんどん夫婦の問題に巻き込まれていきます。しかも、意外な展開が続いていきます。まず、夫の足しげく通うマンションを発見し、更にはその夫が事故で記憶喪失!妻のこどを全部忘れてしまいます。

この夫婦はどうなっていくのか・・!? 気になって次々読み進めました。

でも途中くらいから、友也・真琴夫婦の仲がどうなるか?よりも、キリコ・大介夫婦の考えや2人の仲などの方が気になっていることに気づきました。

特に夫婦がどんな風に会話しているのかは興味深く読みました。なんか、自然体な感じの夫婦の様子が良いな〜と。言いたいことを言い合うけど、気遣いはあって、お互いに相手を思いやっている感じ。それを2人とも、自然に出来ているのが素敵でした。

こういう夫婦って理想ですね。


このシリーズはこれで終わりなのかな?いくらでも書けそうなので、続編を希望しつつ待つことにします。


<掃除人・キリコシリーズ>
「天使はモップを持って」
「モップの精は深夜に現れる」
「モップの魔女は呪文を知っている」


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2015年02月24日

近藤史恵「モップの魔女は呪文を知っている」

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 近藤史恵 著
 「モップの魔女は呪文を知っている」
 (実業之日本社文庫)


深夜の病棟に現れた“魔女”の正体を新人看護師が追うと!?
清掃作業員・キリコが日常の謎をクリーンにする本格ミステリー「女掃除人探偵」シリーズ、実業之日本社文庫初登場! 小児病棟に入院している子どもたちのあいだで「病棟に魔女がいる」との噂が立ち、新人看護師・さやかがその正体をつきとめようと奔走するが・・。深夜のオフィスで、スポーツクラブで、猫のブリーダー宅で、キリコが謎をあざやかに解決!
−裏表紙より−


今回から出版社が変わりました。実業之日本社文庫は見つかりにくいことが多いので、結局前作から間を空けて読むことになってしまいました・・。

水の中の悪意」「愛しの王女様」「第二病棟の魔女」「コーヒーを一杯」の4編収録されています。今回もキリコは様々な場所を掃除しています。スポーツクラブ、オフィスビル、病院・・・そこで偶然出会った働いている人と話すようになり、謎の話を聞かされてその解決をしていきます。

どの話も面白かったのですが、特に印象に残ったのは「第二病棟の魔女」でした。印象に残ったというか、この話を読み終わったら、他の話は飛んでしまうくらいだったんですよね。

病気でもない我が子を病気にして、「病気の子どもを献身的に看病している健気な母親」という印象を周りに植え付けようとする精神的な病になっている母親の話です。“代理ミュンヒハウゼン症候群”という名前で聞いたことはあったのですが、こういう病って、周りにいる人たちにとっては大変な問題になりますよね。特に子どもにとってはたまりません。

この話に出てくる子どもに対してもかわいそうに・・という痛ましい気持ちで読み進めていたのですが、実はこれだけでは話は終わりませんでした。最終的には意外な展開があって、最後まで「え!?」と何度も思わされました。

お陰で他の話が霞んでしまったわけですが、どんな展開になったのか?はネタバレになるので書けません・・。キリコにも思わぬ事情があって、そこにも驚かされました。

さり気なくシリーズとして話が前作から繋がっているんですよね。

今回は大介は出てきませんでした。話の中には名前は出てきますけど。キリコと大介の何とも言えないぎくしゃくした関係はいつうまくいくのか、その辺りも読んでみたいと思います。

シリーズはまだあるので、次こそは早めに読みます!


<掃除人・キリコシリーズ>
「天使はモップを持って」
「モップの精は深夜に現れる」


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2015年01月13日

近藤史恵「三つの名を持つ犬」

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 近藤史恵 著
 「三つの名を持つ犬」
 (徳間文庫)


犬を撫で、その温かさに触れることで、ようやく少し救われる。売れないモデルの草間都は、愛犬エルとの暮らしをブログに綴ることで、心が充たされるだけでなく、生活の糧も得ていた。だが、ある夜エルは死んでしまう。追い込まれた都は、エルそっくりの飼い犬を、思わず家に連れ帰ってしまった。ちいさな罪のはずが、それはやがて思いがけない事件に・・・切なく胸を打つ傑作ミステリー!


何でも読もうと思っている作家さんなので、あらすじを読まずに買ってしまいました。題名から、きっと泣けるような感動の物語なんだろうと予想していたのですが、思いがけない展開が次々と起こり、一気に読んでしまいました。


売れないモデルの都は、癒されるために飼った犬・エルとの生活をブログに綴ることで、少しずつ人気が出てきて、エルと共に仕事がもらえるようになっていきました。

エルの飼い主として有名になっていったのです。ところが、ある男性と密会して留守にしていた間に、エルは不慮の事故で亡くなってしまいました。

普通なら嘆き悲しんで終わるところですが、都の場合はエルによって収入を得ていたわけで、しかも自分の不注意による事故で亡くなったことを公表するとどんな非難を受けるかわからないこともあって、公表できずにいました。少しの間は病気ということにしていたのですが、それもだんだん言い訳が苦しくなっていき、困った都は、エルそっくりの犬を家に連れ帰ってしまいます。

ホームレスに育てられていたその犬を連れて帰ったことをきっかけにして、話はどんどん不穏な方向へ。ここからは、かわいい犬と飼い主の長閑な生活風景というわけにはいかなくなっていきます。


犬を飼いたいと思ったことも無いですし、これからも犬を飼うことは無いであろう私には、都の気持ちは理解できませんでした。「たかがペットのことで・・」とまでは思いませんが、やはりやりすぎだと思う気持ちは変わりませんでした。

飼われていたエルはもちろん、連れ帰った犬もかわいそうでなりませんでした。人間に振り回された彼らに同情します。

でも、最後はどうやらまっすぐ生きてくれそうな雰囲気で終わっていたので良かったです。お陰で後味は悪くなくてすみました。


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2014年10月28日

近藤史恵「モップの精は深夜に現れる」

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 近藤史恵 著
 「モップの精は深夜に現れる」
 (文春文庫)


大介と結婚した掃除人キリコは、短期派遣の掃除の仕事を始めた。ミニスカートにニーハイブーツの掃除のプロは、オフィスに溜まった人間関係の澱も死角も見逃さず、電器メーカーの子会社に編プロ、モデル事務所の謎を鮮やかに解き明かす。夫・大介が探偵役となる最後の謎は、キリコ自身。読後感温かなミステリ。−裏表紙より−


前作を読んでから1年くらい経つので、詳しい内容は覚えていませんでしたが、キリコと大介のことは覚えていました。前作の感想で「どうしてこんな展開にしたのか?」と書いていますが、その辺りははっきり覚えていませんでした。それでも何の違和感もなく読み進めることができました。


今回は大介の会社ではなく、色々な会社に掃除人として派遣されているキリコ。1話目の「悪い芽」では、電器メーカーで掃除をします。いきなりそこの会社の中年社員にキリコが掃除人としてふさわしくない恰好をしていると注意されてしまいます。一度は喧嘩してしまった2人ですが、2回目に会ったときから仲直りして逆に親密になり、会社の危機を救うことになりました。

2話目「鍵のない扉」は編集社での話。ワンマン社長が亡くなるという事件が起きて、社員の1人と犯人探しをします。珍しく殺人事件が起きました。

3話目「オーバー・ザ・レインボウ」はモデル事務所での話。モデルの1人と仲良くなり、お互いに色々なことを相談しながら仕事について、人生について考えていく物語になっています。前向きに進んで行こうとする2人の女性の姿が印象的でした。

最後「きみに会いたいと思うこと」で初めて大介が出てきます。この話だけはキリコが掃除をしている所での話ではなく、キリコのプライベートの話になっていて、彼女の結婚生活がどんな感じなのか知ることができました。

大介は相変わらず不器用なようで、キリコとの関係はハラハラさせられました。それでもさすがにハッピーエンドで、これからも2人を応援していきたくなるような展開になっていました。

まだ続編があるので、今度はあまり間を空けずに読もうと思います。


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2014年10月16日

近藤史恵「賢者はベンチで思索する」

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  近藤史恵 著
 「賢者はベンチで思索する」
 (文春文庫)


ファミレスでバイトをしているフリーターの久里子。常連にはいつも同じ窓際の席で何時間も粘る国枝という名の老人がいた。近所で毒入りの犬の餌がまかれる事件が連続して起こり、久里子の愛犬アンも誤ってその餌を食べてしまう。犯人は一体誰なのか?事件解決に乗り出したのは、意外なことに国枝老人だった。−裏表紙より−


“賢者”という言葉が付いているので、難しいのかもしれないと思っていたのですが、そんなこともなく、あっさりと読み切ることができました。

ミステリーなのですが、人が死ぬわけではなく、日常の謎を解く感じです。でも、コージーと呼ぶには事件の内容が重い・・。そんなミステリーでした。


主人公は、久里子というファミレスのウェイトレスをしている女性。彼女には夢があるのですが、その道を進もうとしてちょっと挫折をしてしまいます。そこで、フリーターという自分では納得できていない生活をすることになりました。

毎日に不満を感じながら、でも自分で選んだことだとあきらめも感じながら過ごしている彼女の前に、お客さんとしてある老人が現れます。

国枝という名前の彼は、店では同じ席に座って、おとなしく新聞を読んでコーヒーを飲んで去って行く、あまり目立たないタイプの客なのですが、偶然出会った公園での彼はまるで別人のようでした。

老人らしくない言動と、ハキハキとした態度に圧倒されている久里子に、愛犬が毒入りの餌を食べさせられる、という事件が起きてしまいます。

国枝と2人で事件の解決に動き出します。主に、国枝老人が考えて行動するのを久里子が助ける状態なのですが、彼と出会い、行動を共にすることで、久里子の考えが少しずつ前向きになっていく感じがしました。


このまま2人で良い関係を築いて、老人は元気になり、久里子は目標に向かって進んで行く・・という結末があると思っていたら、最終話で何だか不穏な雰囲気に。

どうやら国枝老人には秘密があったようで・・・。

とても意外な終わり方をしたわけですが、この作品には続編があるとか。どうやって続きを書いたのか不思議ではありますが、続きも読んでみようと思います。


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2014年09月30日

近藤史恵「巴之丞鹿の子 猿若町捕物帳」

巴之丞

 近藤史恵 著
 「巴之丞鹿の子 猿若町捕物帳」
 (光文社時代小説文庫)


江戸で若い娘だけを狙った連続殺人が起こった。南町奉行所同心の玉島千蔭は、殺された女が皆「巴之丞鹿の子」という人気歌舞伎役者の名がついた帯揚げをしていたことを不審に思う。そして、巴之丞の蔭に浮かぶ吉原の売れっ奴。調べが進むなか新たな被害者が―。はたして真犯人は!? 大藪春彦賞作家・近藤史恵の時代ミステリー小説シリーズ第一作がついに復刊!−裏表紙より−

猿若町捕物帳シリーズの1作目だそうです。驚くほどページ数の少ない本で、あっという間に読み終えてしまいました。


若い娘が次々殺される事件が発生し、被害者たちに共通点が無い所から無差別殺人だと思われるが、同心・玉島千蔭は、彼女らが同じ帯揚げをしていることに気づく。その帯揚げは「巴之丞鹿の子」と名付けられた、人気の歌舞伎役者が舞台上で締めている物と同じだということがわかり、その役者にも話を聞きに行くことに。

女形の役者・巴之丞の話をきっかけに、吉原の奴や、帯揚げを売っている店の者まで調べていくうちに、容疑者が浮かび上がる・・。



事件が発生し、帯揚げに気づいてから、すごい速さで解決しました。こんなにあっさり解決するなら、なぜこんなに殺されてしまったんだろう?と不思議に思うくらいです。

もう少し容疑者がたくさん現れて、この人も違ったか・・という展開が欲しかった気がします。


でも、登場人物たちが良いキャラクターをしていて、もっと深く知りたいと思いましたし、続編にも1作目に登場した役者や奴なども出てくるようなので、続きも読んでいきたいと思います。

普段時代小説を読まない人でも、文章が軽くて読みやすいのでお勧めですよ。


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2014年06月25日

近藤史恵「サヴァイヴ」

サヴァイヴ

 近藤史恵 著
 「サヴァイヴ」
 (新潮文庫)


団体戦略が勝敗を決する自転車ロードレースにおいて、協調性ゼロの天才ルーキー石尾。ベテラン赤城は彼の才能に嫉妬しながらも、一度は諦めたヨーロッパ進出の夢を彼に託した。その時、石尾が漕ぎ出した前代未聞の戦略とは──(「プロトンの中の孤独」)。エースの孤独、アシストの犠牲、ドーピングと故障への恐怖。『サクリファイス』シリーズに秘められた感涙必至の全六編。−裏表紙より−


サクリファイスシリーズの第3弾なのですが、続編というわけではなく、過去の話も含まれています。

白石選手も出てきますが、出てこない話もあり、でもシリーズを始めから読んでいる人には懐かしい名前が次々出てきて、うれしくなると思います。


石尾と赤城の関係がどうやって出来上がって、どんな関係性にあったのか、知りたいことが色々描いてありました。これを読んだら、またシリーズの始めに戻りたくなってしまいます。

で、サヴァイヴまで読んだらまた戻りたくなるんだろうな・・。

すっかりロードレースにはまっています。

1人ずつの競技に見えるのに、実はチーム戦だという不思議なスポーツ。しかも、ここまで自己犠牲の精神が強い競技はなかなか無いと思います。

アシストする選手がいることがすごいですし、そのアシストという仕事をする選手は、やはりそれなりにもやもやした気持ちを抱えながらも、結局はチームのため、エースのために自分を投げ出す。

エースは、周りの助けがあって初めてエースとして成績が残せるわけですから、華々しい姿の裏にはプレッシャーが重くのしかかっていることでしょう。ドーピング事件が起きるのはわかる気がします。もちろん、薬に頼って勝っても何にもならないのですが。

色んな事情を抱えながら走っている彼らの姿、ぜひいつか見てみたいものです。

日本人が好きそうなスポーツなのに、なぜ人気が無いんでしょうね。


シリーズは後1作あるようです。まだまだいくらでも話が書けそうなので、ぜひ書いてもらいたいです。

<サクリファイスシリーズ>
「サクリファイス」
「エデン」


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2014年05月09日

近藤史恵「タルト・タタンの夢」

タルトタタンの夢

 近藤史恵 著
 「タルト・タタンの夢」
 (創元推理文庫)


商店街の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。シェフ三舟の料理は、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。そんな彼が、客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。常連の西田さんが体調を崩したわけは? フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか? 絶品料理と極上のミステリをどうぞ!−裏表紙より−


面白そうだったので、ずっと文庫化を待ち望んでいました!期待が大きすぎたということもなく、期待通り面白かったです。

ページ数も少ないですし、短編になっていて1話ずつの長さも短いので、あっという間に読んでしまえました。


大衆フレンチというよりはちょっと高級感もあり、でも正装しないといけないほど高級店でもない店、ビストロ・パ・マル。そこのギャルソンの視点で話が進められます。

パ・マルに来るお客さんが持ち込んだり、巻き込まれたりする事件や、ちょっとした謎を、わずかな手がかりだけでズバッと解決してしまうのは、シェフの三舟。

まだ1冊だけでは謎も多いですし、キャラクターもはっきりしませんが、なかなか癖のある人物のようです。彼の作る料理はとても美味しそうで、料理の説明を読むだけでおなかがすいてしまいます。

フレンチって、ちょっと敷居が高いイメージがあってなかなか行けませんが、こんなお店があれば行きたいです。


どの話も短いのですが、内容は深くてしっかりしています。読み応えがある感じ。特に最後の「割り切れないチョコレート」の話が気に入りました。泣きそうになりました。

謎解きだけではなく、シェフの淹れるヴァン・ショーというホットワインにも癒されて帰って行くお客さんたちは、みんな幸せになれるであろう結末を迎え、読んでいても幸せな気持ちになれました。


続編もあるそうなので、また文庫化を待って読もうと思います。楽しみ!


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2014年04月23日

近藤史恵「エデン」

エデン

 近藤史恵 著
 「エデン」
 (新潮文庫)


あれから三年―。白石誓は唯一の日本人選手として世界最高峰の舞台、ツール・ド・フランスに挑む。しかし、スポンサー獲得をめぐる駆け引きで監督と対立。競合チームの若きエースにまつわる黒い噂には動揺を隠せない。そして、友情が新たな悲劇を招く・・・。目指すゴールは「楽園」なのか? 前作『サクリファイス』を上回る興奮と感動、熱い想いが疾走する3000kmの人間ドラマ!−裏表紙より−

ロードレースに全く興味のない私でも聞いたことのあるレース、“ツール・ド・フランス”に出場することになった白石選手。3年経って、フランス語も話せるようになり、フランスのチームでエースのアシストを立派にこなす選手になりました。

チームのエースはミッコという選手です。彼もフランス人ではないため、白石と同じように乗り越えなければならない問題はたくさんあるようです。それを乗り越え、エースとして活躍しています。

ミッコは周りのチームからも目を付けられているので、思うように飛び出せないこともあります。そこで、白石たちアシスト選手の活躍が必要なのです。

白石は特に山岳に強いので、山のコースになると彼の力が思う存分発揮されます。その様子は読んでいてワクワクしました。

前作と同じようにレースの描写はまるですぐ近くで見ているかのような臨場感があり、レースをしている選手たちの気持ちや駆け引きの様子まで克明に描かれているので、更に面白くなっています。


今回の白石は、ニコラという期待のフランス人若手選手と親しくなり、彼の問題に巻き込まれていきます。でも白石は、あまりしつこく悩むことも無く、自分の信念をひたすら守り抜き、問題にも立ち向かっていきます。

その立ち向かう姿勢や距離感が心地良くて、あまりドロドロしないのも読みやすくて良いです。


それにしても、ツール・ド・フランスって過酷なレースなんですね。何日もかけて色んなタイプのコースを走って総合優勝が決まるなんて、気が遠くなりそうです。でも、かなり面白そうなので、いつか見てみたいとも思いました。


今いるチームが解散することになったため、次はまた新たなチームでの活躍が見られそうです。続きも楽しみです。


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2014年04月09日

近藤史恵「サクリファイス」

サクリファイス

 近藤史恵 著
 「サクリファイス」
 (新潮文庫) 


ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすこと―。陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。アシストとしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。かつての恋人との再会、胸に刻印された死。青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた!−裏表紙より−


ロードレースに全く興味をもったこともなく、もちろんルールも何も知りませんでした。もし詳しければ更に面白いのかもしれませんが、私のように全く知らない人でも十分楽しめる作品です。

ルールを知らない私には、驚きの連続でした。レースの最中に選手同士で会話したり、チームのエースを勝たせるために、自分の勝利を捨てて、アシストに徹する選手がいたり。

風よけの役目を順番に担うために、選手同士で暗黙の了解で交代しながら先頭を走るということにはかなり驚かされました。「暗黙のルール」が守られている競技だなんて、かなり紳士なスポーツですよね。

ミステリー要素もあるのですが、はっきりと事件が起きるのが後半だということと、そこまで事件を調査するようなことがないので、まるでスポーツ小説を読んでいるようでした。


選手たちの思いや駆け引きにドキドキしながら読み進め、事件の被害者となった彼の想いに涙を流し、最後まで一気に読み切ることが出来ました。

続編があるので、早めに読みたいと思います。

きっと、更に強く成長した白石選手に会えるでしょう。


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2013年10月22日

近藤史恵「ダークルーム」

ダークルーム

 近藤史恵 著
 「ダークルーム」
 (角川文庫)


シェフの内山が勤める高級フレンチレストランに毎晩ひとりで来店する謎の美女。黙々とコース料理を口に運ぶ姿に、不審に思った内山が問いかけると、女は意外な事実を語り出して・・・(「マリアージュ」)。立ちはだかる現実に絶望し、窮地に立たされた人間たちが取った異常な行動とは。日常に潜む狂気と、明かされる驚愕の真相。ベストセラー『サクリファイス』の著者が厳選して贈る、謎めく8つのミステリ集。書き下ろし短編収録。−裏表紙より−


マリアージュ」「コワス」「SWEET BOYS」「過去の絵」「水仙の季節」「窓の下には」「ダークルーム」「北緯六十度の恋」の8編収録。


この作家さん、色んな話を書くんだな・・と言えるほど作品を読んでいませんが、ちょっと驚かされました。

結構ブラックな話が多くて、読み終わったらゾクッとすることがありました。


特に「コワス」はホラーっぽくて、早く次読まないと気持ち悪いな・・と思うほど。こういう話は苦手だな。

SWEET BOYS」「水仙の季節」「窓の下には」はブラックな話で、オチがわかる物もあったのですが、やっぱりゾッとしました。


ダークルーム」は、解説にも書いてありましたが、スッキリしました(スッキリというのはおかしいですが)。“かわいい妹”に妄想を描いている男性にとっては怖い話かも。女性はちょっと「ざまあみろ」的な気持ちになるかも?

北緯六十度の恋」だけは明るい未来が見える感じがしました。最終話がこれでよかったです。


あまりスッキリできず、暗い話が多かったのですが、文章は読みやすいというか、私には合うみたいなので、他の作品も読んでみようと思います。


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