
近藤史恵 著
「おはようおかえり」
(PHP文庫)
おはようおかえり――それは「無事に、早く帰ってきて」という願いが込められた言葉。北大阪にある和菓子屋「凍滝」の姉妹、小梅とつぐみ。姉の小梅は家業を継ぐため、毎日和菓子作りに励み、自由奔放な妹・つぐみはエジプトへの留学を目指していた。ある日、亡くなった曾祖母の魂が、何故かつぐみの身体に乗り移ってしまう。戸惑う小梅に曾祖母は「ある手紙を探してほしい」と頼んでくるが――。芋あんのキンツバ、六方焼き、すずめのこなし、最中・・和菓子の香りもふくよかに、正反対の姉妹をあたたかく描く家族小説。−裏表紙より−
あらすじを読む前に題名を見ていると「おはよう、おかえり」と朝の挨拶と帰ってきたのを迎える挨拶を続けて書いているのだと思っていました。関西弁だと思って読むとわかりやすいですが「早く帰っておいで」ってことでした。
老舗和菓子屋の姉妹の話です。姉の小梅は長子だということで、何となく和菓子屋を継ぐのかな?と考えていて、毎日和菓子作りをしています。ある意味長女らしいタイプかな?
妹の小梅はそんな姉の姿を見ているせいか、正反対に自由奔放で、演劇に精を出し、エジプトに留学したいと言い出しています。姉が和菓子屋を継ぐのも、長子だからと継ぐ必要はないのでは?と考えているようです。
まあ姉妹ってそんなものかな?とは思いますが、お互いになんとなくイライラするのもわかる気はします。
ある日小梅がいつものように店に行こうとしている時、珍しく起きていたつぐみから掛けられた言葉が「おはようおかえり」でした。あまり若い人が使う言葉でもないのでちょっと違和感を覚えながらもその時はそのまま流していたのですが、だんだんつぐみの様子に変化が。
その後、亡くなった曾祖母の魂が乗り移っていることが判明します。始めは戸惑うのですが、意外とあっさりとその状況を受け入れる小梅。そして寝ている間に身体を乗っ取られているつぐみは疲れが取れず、しかも何となく記憶もあって悩んでいたため小梅がつぐみに状況を説明することに。張本人であるつぐみもこれまたあっさりと状況を受け入れるのには驚かされました。
でもそこに時間をかけている場合ではないわけです。老舗和菓子店の危機を心配して戻ってきたと思われた曾祖母ですが、実はそれ以外に大きな理由がありました。
個人的にはその辺りからの流れはいらないと思ってしまったのですが。もっと和菓子店のために色々工夫していく描写が読みたかったです。
心残りはわかりますが、亡くなってまで気にすることか?と納得できずでした。
結末は良い感じに収まってくれたので、姉妹のこの先の人生も読みたいと思いました。でも曾祖母の心残りが解決したからには続編はないのかな?
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