
高野和明 著
「ジェノサイド 下」
(角川文庫)
研人に託された研究には、想像を絶する遠大な狙いが秘められていた。一方、戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けていたのは、人間という生き物が作り出した、この世の地獄だった。人類の命運を賭けた二人の戦いは、度重なる絶体絶命の危機を乗り越えて、いよいよクライマックスへ―日本推理作家協会賞、山田風太郎賞、そして各種ランキングの首位に輝いた、現代エンタテインメント小説の最高峰。−裏表紙より−
下巻に入ってからは、世界観というか、言葉や登場人物たちの立場などもわかってきたので、読むスピードが上がりました。もちろん、細かくて専門的な部分は理解できていませんが。
それにしても、どんな感想を書いていいのかわかりません。読み終わっても言葉に出来ない感じです。
すごく壮大で、リアルで、でも現実であってほしくない出来事の数々に加え、息をつかせぬ展開があって、どんどん引き込まれていきました。
とても残虐性の高い事が多く起きて、思わず読みたくない、目をそらしたい所もあったのですが、そこで目をそらしてはいけないと思うようになりました。
きちんと人間がやって来たひどいことを知っておかないといけない気がしました。
戦争という物を見ないふりをして生きている自分が恥ずかしいというか、それではいけないと強く感じさせられた話でした。
感想がとても難しいので、印象に残った言葉をいくつかあげてみます。
科学者・ハイズマン博士の言った言葉です。
「すべての生物種の中で、人間だけが同種間の大量虐殺(ジェノサイド)を行なう唯一の動物だからだ。それがヒトという生き物の定義だよ。人間性とは残虐性なのさ」
「現在、地球上に生きている六十五億の人間は、およそ百年後には全員が死に絶える。なのに、なぜ今、殺し合わなければならないんだろうな?」
そしてこれは、命を懸けてある者を助けたイエーガーという戦士の言葉です。
世界はこんなに美しいのに、とイエーガーは思った。この星には、人間という害獣がいる。
登場人物の中に、このイエーガーや仲間たち、研人や韓国人の相棒などがいてくれて良かったです。彼らのような人間がいることで、まだ私たちはこの世に存在しても良いんだと思えますから。
いつもなら、小説を映像化することに反対するのですが、この作品は映画で見てみたいと思いました。残虐的なシーンも多いので、映像になると見たくないところもあるでしょうが、この壮大な話を映像として見たらどうなるだろう?と興味がわきました。
変にアイドルなんかを使って話題性を上げるのではなく、小説をそのまま再現してもらいたいです。
かなり重い話だったので、次は出来れば軽い物が読みたいな・・。
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