
富樫倫太郎 著
「SRO[ 警視庁広域捜査専任特別調査室 名前のない馬たち」
(中公文庫)
その嘶きは、不吉な予告――関東近県で、乗馬クラブオーナーの死が相次ぐ。いずれも死因に不審な点は見られないものの、SRO(広域捜査専任特別調査室)室長・山根新九郎は奇妙な符合を見出す。人間の死と同時に、必ず馬が一頭、逝っているのだ。独自捜査を始めたSROの面々は、やがて北海道のある牧場にたどり着く……。彼らは、馬たちのダイイング・メッセージを読み解けるのか!?そして、最凶キラー・近藤房子の調教ゲームも新たな段階に。【警視庁のワケあり部署が活躍する、大ヒットシリーズ最新作!】−裏表紙より−
SROシリーズも8作目です。そして、偶数作なので、房子おばさんの登場は無し。・・のはずが、少し登場しました。
しかもまた恐ろしいことを画策しているようで、今後の展開が更にエグくなりそうです。自分で殺さず、人に殺させるって、ある意味殺されるより残酷かも。ほんと、恐ろしいことを考え付くおばさんです。
今回の事件は、乗馬クラブのオーナーとそこで飼われている馬の連続死事件。一見、殺人には思えないのですが、あまりにも近くで連続することを不審に思ったSROチームが誰に依頼されたわけでもなく捜査し始めます。
捜査に行ったメンバーが見たのは、用済みとなった馬たちの悲しい末路でした。
今回、殺人よりも、馬たちの生活環境のひどさが辛かった・・。レースで走ることも、人を乗せることも出来なくなり、食用肉としても売れない馬は、ただ餌代や諸経費がたくさん必要なだけの存在。「お金がかかるから手を掛けられない」と言うオーナーの気持ちも多少わからないでもないですけど・・。これならいっそ安楽死をさせてあげたいと思うのは何だかわかる気がしました。
何か方法があったのでは?とも思いますが、小動物ではないだけに飼うのは大変でしょう。維持費はかなりの金額でしょうね・・。
そして何より恐ろしいのは、今回の連続殺人を怖いと思わずに読めた自分自身。房子おばさんの殺人に比べたら全くエグさがなくて読みやすいとさえ思ってしまいました。
なんてこと!
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