
辻村深月 著
「ツナグ」
(新潮文庫)
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員・・・ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連絡長編小説。−裏表紙より−
「使者」と書いて「ツナグ」と読みます。物語を読めば感心する、素敵な読み方です。
ツナグとは、死者と生きている人を、一晩だけ再会させてくれる人のことです。
心の支えだったアイドルに会いたい女性、母親に会いたい息子、親友に会いたい女子高生、失踪したままの婚約者に会いたい男性、という4人が、会いたい死者と再会するためにツナグに依頼します。
満月の夜に、夜が明けるまでという短い時間だけ再会できる。その短い時間でどんなことを語り合うのか?
それぞれが死者と会って語り合い、ツナグに感想を述べる所まで書かれています。ただ、それだけでは彼らのその後がわからず自分で想像するしかないのか・・とちょっと残念な気持ちになりました。
それが、最後の話を読んで解決されました。
最後の話は、依頼者側ではなく、ツナグ側の話になっていて、どんな気持ちで依頼を受けて、どんな気持ちで会わせたのか、更に感想を聞いてどう感じたか?など、知りたかったことが書かれています。依頼者たちのその後も書かれていて、読んでスッキリできました。
最後の話が一番感動しましたし、一気に涙が出ました。
ツナグに依頼して死者と会えるのは、一生に一回だけ。死者の側も一回だけと決められています。どちらも一度誰かに会ってしまうともうどんなに願っても会えない・・・。
私なら誰と会うかな?とか、私が死んだら誰か会いたいと思ってくれるかな?とか考えながら読みました。
身近な人が亡くなった経験がある人はきっと感動することでしょう。幸い、私はそういう経験がまだないので感動は少なめだったかもしれません。
それでも、最後まで面白く読むことができました。映画は見ないと思いますが、原作は読んで良かったです。
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