2014年05月08日

姉小路祐「署長刑事 徹底抗戦」

徹底抗戦

 姉小路祐 著
 「署長刑事 徹底抗戦」
 (講談社文庫)


関西有数のファンド総帥・金倉盛一を、インサイダー疑惑で内偵中の大阪地検特捜部。摘発に向け、重要証人の警護にあたる古今堂だったが、目の前で証人の男は忽然と姿を消し、謎の死を遂げる。威信回復に焦る特捜部と、過失隠蔽を謀る府警に反旗を翻した古今堂は、一人真相究明の戦いに挑む。文庫書下ろし完結篇−裏表紙より−


今回もコテコテの大阪弁で進んでいって、面白かったです。

今まで以上にどんでん返しが多く、ヒントが出される度に、私の考えも二転三転させられました。何せ、単純な性格ですから・・。


相変わらず署長らしくない働きを見せる古今堂は、検察から頼まれてある証人の警護をします。ところが、対象者が警護中に姿を消してしまい、死体となって発見されてしまいます。

責任を感じた古今堂は、腹心の部下を使って、独自に捜査を始めます。


途中で「隠蔽捜査」を読んだせいもあるのかもしれませんが、ちょっと似た感じの内容になっていました。警察内の派閥とか、警察と検察の争いとかが描かれていて、本当に面倒くさい世界だと改めて思いました。

失敗を隠蔽したい府警とそれまでに不信感をもたれている検察、2つの組織の間に立たされて、戸惑う古今堂ですが、彼は自分の考えを貫くことを決意します。

キャリアの彼がそんなことをしたら、上層部から睨まれることは間違いがなく、もしかしたら本庁に戻ることができないかもしれません。


・・という所で話は終わりました。次はもしかしたら別の所轄に飛ばされているかも?と思いながら本を閉じた所、裏表紙に「完結篇」と書いてあるではありませんか!

どうやらこれでこのシリーズは終わってしまうようです。残念でなりません。

これからますます活躍してくれるだろうと楽しみにしていたのですが。


<署長刑事シリーズ>
「署長刑事」
「署長刑事 時効廃止」
「署長刑事 指名手配」


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2014年03月26日

姉小路祐「セカンド・ジャッジ 出口の裁判官 岬剣一郎」

セカンド・ジャッジ

 姉小路祐 著
 「セカンド・ジャッジ 出口の裁判官 岬剣一郎」
 (光文社文庫)


元警察官僚の岬剣一郎は、更生保護委員を務めることになった。受刑者の仮出所を決める、いわば「出口の裁判官」だ。最初に担当したのは、十八歳の時に殺人を犯し少年刑務所で服役する青年だった。岬が更正を信じた彼は、出所後間もなく行方をくらましてしまう。そして、青年がかつて殺害した男の知人が不審死を遂げた!またも彼の犯行なのか!?待望の新シリーズ!−裏表紙より−


更生保護委員なんて職業があるのを初めて知りました。更生保護委員というのは、受刑者の仮出所を決めるのが仕事です。仮出所させて良いかどうかを判断するわけです。「出口の裁判官」とはうまい言い方です。

この仕事では、受刑者がどんな罪を犯して刑務所に入っているのかは考慮せず、刑務所でどんな態度なのか、反省しているかどうか、出所した場合、受け入れ更生の手助けをする人(家族)はいるのか?などが調査の対象となり、その調査をするのが委員で、それぞれが調査したケースについて、委員会で話し合って出所させるかどうかを決定します。

仮出所は、刑期の三分の一を経過したときから考えられます。つまり、10年の刑でも3年経てば出られるってことですよね?そう思うと、報道されている事件などの受刑者は期間が短い気がしますね。

更生保護委員の仕事は担当ケースが多くて大変そうですが、主人公・岬のように、1つ1つのケースをじっくり調査して悩んで仮出所させるかどうか決定させてもらいたいものです。

あまり簡単に決められて、出所させられても困ります。確かに、長く刑務所にいたら社会復帰が難しくなるのはわかるのですが、殺人を犯しておいて、数年で出所されてもどうなんだろう?と思います。・・・簡単に言えない問題ですね。


この物語の中心となるのは、岬が担当した18歳の青年が起こした事件です。とても真面目そうで、悪い評判も聞こえてこず、反省の色も濃い彼が、出所したとたんに姿を消してしまいます。そこで、岬は彼が起こした事件そのものに疑問を持つようになります。

そこからは、岬が色々と推理(想像)して、事件を解決に導こうとし、話が二転三転していきます。二転三転すると面白くなるものですが、今回の場合は、ただ単に岬が想像をたくましくしてしまい、ウロウロしていただけ、という感じがしました。

冷静に考えると、その考えはおかしいんじゃない?と思える所も多そうです。その辺りを省いたら意外とあっさりした事件だったのかもしれません。


最後の方に書いてあった
発覚した殺人事件だけでも、全国で千二百人以上が毎年殺されている。よほど衝撃のあるものか、前代未聞の事件でない限り、人々の記憶にはまったくと言っていいほど残らない。
という文章はドキッとさせられました。確かにそうですよね。ここ数年、殺人事件が多すぎて、どれがどの事件なのかわからなくなるくらいです。1か月もすれば忘れてしまっているかもしれません。怖い事ですね。


これはまたシリーズになりそうな雰囲気がします。鋭いんだかお人よしなんだかよくわからない岬の活躍をまた読みたいと思います。


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どうでもいいことですが、「剣一郎は〜」と書かれているのを読む度に「つるぎいちろう」と読んでしまっていました・・。

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2013年12月12日

姉小路祐「偽装捜査官 警視庁都民相談室 七曲風馬」

偽装捜査官

 姉小路祐 著
 「偽装捜査官 警視庁都民相談室 七曲風馬」
 (角川文庫)


小劇団の人気俳優だった七曲風馬は、父親の病気をきっかけに、警察官になることを決意する。神楽坂警察署に配属されて3年目。突然の辞令により、東京都庁の地下に創設された「都民相談室」に異動となる。そこにはシングルマザーの浅川室長ほか、クセのある面子が揃っていた。七曲は、老人詐欺の疑いがもたれている投資会社を捜査することに。実態の見えない組織に対し、かつて所属した劇団の協力のもと、黒幕を追い詰めていくが−−裏表紙より−


珍しく関西弁じゃないのがちょっと違和感があるくらい、この作家さんの関西弁に慣れてしまいました。

今回も心地よいリズム感、スピード感で進んで行く話に一気読み状態でした。


元劇団員という面白い経歴をもつ七曲風馬は、収入の安定を求めて公務員になることにしました。で、受かったのが警察官だったというこれまた珍しいタイプの警察官。でも元々正義感が強かったので、実は合う職業だったようです。

彼の珍しい経歴に目を付けた上司により、七曲は「都民相談室」に異動になりました。クセのある面子が集まるその部署で、都民から持ちかけられた相談を受けて、警察にしかできない捜査を行うことになりました。


こういう気軽な部署ですから、取り扱う事件も小さな物かと思っていたら、意外と大がかりな詐欺事件で、本格的な捜査を行っていました。殺人もありましたし・・。

ただ、もう少し盛り上がりがあっても良かったのかな?という気はしました。あっさり事件が解決しすぎのような・・。もう少しページ数があっても、絶対読めると思います。

それと、「クセのある面子」があまり活かされていない気もしました。でもまあ、これはきっとシリーズ化されるのでしょうから、これからどんどんクセも出て来て、うまく活躍されていくんでしょう。

それを期待しながら、続きを待とうと思います。


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2013年04月03日

姉小路祐「署長刑事 指名手配」

指名手配

 姉小路祐 著
 「署長刑事 指名手配」
 (講談社文庫)


セレブ相手を謳って躍進するミナミの高級美容院の娘が、生徒会室で殺害される。指名手配されたのは、同校定時制の男子生徒だった。「殺したのは僕です」と自ら通報したあとも逃走を続ける少年の態度に疑問を拭えない古今堂航平は、刻一刻と身柄確保が迫る中、執念の捜査を開始する。書下ろし警察小説第三弾!−裏表紙より−


シリーズ第3弾。今回も軽快な(コテコテな?)大阪弁が光って、とても面白かったです。

1作目では捜査の仕方もたどたどしく、味方も少なかった古今堂ですが、3作目になり本当にたくましくなりました。署長らしいか?というとその辺は、1作目の方が明確だった気がしますけど。

今では普通の捜査員のようです。時々「署長自ら聴取ですか」と言われているのを読んで「そうだ、署長だったんだ」と思い出すくらい。良い意味でエリートらしくない人です。そこが好感もてるんですけどね。


ある高校の生徒会長をしている女子生徒が、生徒会室で殺害されたという事件が発生。容疑者として浮かんだのは、同じ学校の定時制に通う男子生徒・悠斗。彼は以前から被害者の女子生徒に想いを寄せていたことが知られていたため、フラれた腹いせに殺害したのでは?と疑われます。

目撃情報もあり、しかも行方をくらましているため、悠斗の容疑は深まりました。

悠斗の無実を信じているのは、父親のみ。父親は息子を逃がすために、様々な方法で警察を撹乱しようとします。ところが、悠斗本人の声で警察に自白の電話が掛けられ、彼が犯人であることはほぼ間違いないという状態になりました。

古今堂は捜査本部の確信とは裏腹に、自白電話を掛けても姿を現さない悠斗の行動に不信感をもち、独自に捜査を始めることに・・。もちろん、今までと同じように由紀や頼りになる部下たちをうまく使いながら。


最後の方まで、というか、古今堂が真相を語るまで、犯人が誰なのか全くわかりませんでした。予想した数人の中にはいましたけど、最後まで確信がもてないまま、二転三転させられました。

真相を知ると、親子って何なんだろう?と思わず考えてしまいました。ほんの小さなきっかけさえあれば、相手を思いやる気持ちがあれば、違う人生を歩めたはず・・と思うと、被害者の女子生徒が可哀そうでたまりませんでした。


次も楽しみに待つことにします。今度はもう少し、署長という立場を活かした活躍が見たいです。


<署長刑事シリーズ>
「署長刑事」
「署長刑事 時効廃止」


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2013年01月21日

姉小路祐「見当たり捜査25時」

見当たり捜査25時

 姉小路祐 著
 「見当たり捜査25時 大阪府警通天閣署分室」
 (徳間文庫)


見当たり捜査とは、指名手配犯の顔写真を覚えて繁華街の雑踏に立ち、いつ現れるともわからぬ犯人を発見し逮捕することを任務とする。ウラやんこと浦石大輔は大阪府警捜査共助課通天閣署分室見当たり班に所属。“逃げ得は許さない”をモットーに、捜査に励んでいる。今回、熱海の老舗ホテルをめぐる殺人事件の被害者を心斎橋筋で見事逮捕。しかし起訴後の裁判は意外な展開をみせる・・。(『二重逆転の殺意』改題)−裏表紙より−



相変わらず軽快な大阪弁での会話が心地よかったです。大阪弁が苦手な人には読みにくい作品だと思いますが。かなりコテコテですから・・。


見当たり捜査をする専門部署があるなんて、知りませんでした。その仕事の内容が詳しく書かれています。すごく大変そうだと思いました。何よりもストレス溜まりそう。指名手配犯の写真を見つめて頭にインプットしてから町に出て、さり気なく町に溶け込みながら、人の観察をします。

そして、指名手配犯を見つけて逮捕するわけですが、かなりの数いる犯人の顔を写真だけを見て覚えて探すなんて、考えただけでも難しそう。かなりの集中力が必要なので、数時間すれば限界がくるそうです。

見当たり班に所属する浦石の妻・姫子も大阪府警に勤めているのですが、彼女が所属しているのは「女性警官コント班」・・驚きの名前です。名前の通り、女性警官だけが所属しており、彼女たちは数人で組んで、コント仕立ての出し物をすることで、防犯意識を高める活動をしているそうです。

架空の話だろうと思っていたのですが、この班も実在するそうで、警察のイメージが少し変わった気がしました。


浦石たち見当たり班が逮捕した人物は、ある殺人事件の容疑者でした。素直に自白したのですが、裁判になったとき彼は突然、容疑を否認しました。アリバイまで主張し、どうやら違う人物を逮捕したのではないか?と、見当たり班が疑われてしまうことに・・。


容疑者が否認し、生い立ちがわかった時点で、何となく狙いはわかりましたし、その後の展開も想像がつきました。それでも、想像が出来ない展開もあって、飽きることなく最後まで楽しく読むことができました。

何より、「姫」「殿」と呼び合う夫婦に好感がもてましたし、今後も彼らの活躍が見たいと思いました。

続編が出たら読みたいです。


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2012年06月22日

姉小路祐「刑事長 越権捜査」

刑事長 越権捜査

 姉小路祐 著
 「刑事長 越権捜査」
 (講談社文庫)


春団治刑事長こと岩切鍛治は、組織や規律だけを重んじる警察の体質に刃向かう大阪府警の一匹狼だ。彼を慕う若手刑事が市内で屋台を撤去しようとして暴力警官として告発された。その直後、告発した男が不可解な死を遂げる。事件にきな臭さを感じた岩切は単独捜査を開始!<刑事長シリーズ>興奮の第三弾!−裏表紙より−


今回の話は大阪の「あいりん地区」が舞台です。そして以前、ダンさんこと岩切とコンビを組んだことのある川喜多刑事がそのあいりん地区でもめ事を起こした所から話は始まります。

私はあまりこの地区について知識が無かったのですが、簡単に言うと、日雇い労働者が集まる所で、身分をハッキリさせられない人でも雇ってもらえるような仕事に就いたり、お金が無いときはそこで寝たり、安く泊まれる宿泊施設もあるようです。不景気の時にはなかなか仕事も無いので、お金が足りずに路上で寝ることになり、そのせいで凍死することも多いとか・・。

あまりにもよくある出来事なので、一見して凍死だと判断されてしまうと、詳しい捜査は行われず、あっさり警察は引きあげてしまいます。転落事故と見られる死体でも同じような感じで、ただの事故として処理されてしまいます。

警察がこの地区の人たちを見下している・・と取られても仕方がない状況ですよね。もしそこに他殺体が混ざっていたら・・と思うと怖いです。


自分を慕う川喜多が困っているのを放ってはおけず、自分の管轄ではない所で起きた事件の捜査を始めるダンさん。しばらくは上司にも気づかれずに比較的スムーズに捜査をしていたのですが、ある人物と接触したとたんに、上層部からの捜査妨害が入ります。

刑事ドラマなんかでよくある展開ですね。圧力をかけなければ犯人だと気づかれないのに、権力がある人は圧力をかけずにはいられない・・。

「越権捜査だ」と叱られながらも地道に捜査を続け、解決させていきます。


今回は、川喜多もその婚約者の鳥居理香も捜査を手伝ってくれるのでダンさんは少しラクそうでした。いつも最後はボロボロ状態なのに、手分けして捜査できるのは良いことです。


さてこの次は「殉職」という題名です。どうやら悲しい話になりそうで、読むのを躊躇してしまいそうですが・・。


<刑事長シリーズ>
「刑事長」
「刑事長 四の告発」


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2012年04月07日

姉小路祐「刑事長 四の告発」

刑事長

 姉小路祐 著
 「刑事長 四の告発」
 (講談社文庫)


大川で背広姿の水死体が浮かんだ。男は市内の外科医で借金苦による自殺と断定された。事件にきな臭さを感じたベテラン刑事・岩切鍛治は、独自の捜査を開始する。見え隠れするパチンコ業界の利権争い、そして思いもよらぬ同僚刑事の死。岩切の行く手に暗雲が立ちこめる。好評<刑事長シリーズ>興奮の第二弾!−裏表紙より−


今回もなかなか面白かったです。ダンさんの地味だけどコツコツと少しずつ進めていく緻密な捜査が光っていましたわーい(嬉しい顔)


大川に浮かんだ水死体。いち早く駆けつけたダンさんは、その死体を見ていくつか疑問を感じました。ところが、捜査に当たった警察署では「自殺」という決断を下したのです。

あわてて抗議に行ったのですが聞き入れてもらえず、気になったダンさんは独自に捜査を始めます。

もちろん、一度下した判断を覆すのはかなり大変なことで、上司や同僚からはうとまれてしまい、何度も叱責をかいます。それでめげるような人ではないので、半休を取って警察関係の知人に協力を仰ぎながら、密かに捜査を続けました。

そんなダンさんの捜査に立ちはだかる同僚の死。遺族からの抗議・・。

亡くなった同僚から送られた遺書とも言える手紙を胸に捜査を続け、意外な真実をつきとめます。


「一度自殺と判断した物を覆すことは警察の威信にかかわるから出来ない」なんて言葉、本当に呆れます。人の命を何だと思ってるのか!?パンチ

もし、自殺じゃなかったとき、亡くなった人を殺した人がいるわけで、その犯人は野放し?・・情けない考えをする人が上層部にいるものです。

大きな組織の上の方に立つ人間は、組織の体面やそれこそ威信を保つために、ある程度どこかで目をつむるというか、線を引く?ようなことは必要だとは思います。良いことだとは思いませんけど。でもそれを警察がやったらダメでしょう!この小説に出てくる警察上層部は本当に情けないし、腐っているな〜と呆れます。

だからこそ、ダンさんこと岩切巡査部長の活躍が光るわけですが。彼の必死な捜査を見て、周りの人たちがどんどん考えを変えて協力していく様子は、嬉しくなりました。

ダンさんの娘・サユリの存在も話を明るくしてくれました。彼女がいれば大丈夫!という気持ちになります。


このシリーズは後2作。続きも読みます!


<刑事長シリーズ>
「刑事長」


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2012年03月26日

姉小路祐「署長刑事 時効廃止」

時効廃止

 姉小路祐 著
 「署長刑事 時効廃止」
 (講談社文庫)


「昔ついた嘘のバチがあたった」という言葉を残し、建設作業員が転落死した。天神祭のハイライト"船渡御"に沸く晩、今度は大阪城外堀で警備会社専務の死体が見つかる。十七年前のストーカー殺人事件との関連に気づいたベテラン刑事谷と古今堂は、時効廃止で動き出した新たな犯罪を追う。書下ろし警察小説第二弾!−裏表紙より−


一人の建設作業員が転落死した単純な事件、更に天神祭の夜に起きた自殺と思われる事件が、17年前の殺人事件を再び浮かびあがらせます。

17年前に犯人として裁かれた男性の無実を証明するべく単独で捜査をしようとした谷刑事に協力する形で捜査を始める古今堂。調べを進めるうちに明らかになる出来事・・。事件は思わぬ展開を見せます。


前回は少し頼りない雰囲気だった古今堂署長も、今回はなかなかの鋭い推理力をもって事件の捜査をし、部下のことも適材適所に使い分けて、スマートに解決していきました。お気に入りの由紀も大活躍しましたし。古今堂の親友が由紀ちゃんのことをあるキャラクターに似ていると言った所では、笑ってしまいました。最高の例え!わーい(嬉しい顔) 私もそんなイメージで読んでいたので・・。

捜査を進める度に少しずつ謎が解明されていく様子はまるで、パズルのピースが一つずつうまっていくような快感があって、とても楽しく読み進めることができましたぴかぴか(新しい)


相変わらずの大阪弁ですが、コテコテ度は少し減ったかな?と。心地良い感じでした。

大阪らしく、秀吉にまつわる話もたくさん書いてありました。私は秀吉のことがあまり好きではないのでその辺はイマイチでしたが、好きな方にはより楽しめると思います。

お城も大阪城よりも姫路城の方が好きなんです!!・・だからどうした!って感じですねあせあせ(飛び散る汗) 大阪城は石垣が素敵だと思います。中は近代的ですけど、外見は雄大ですね。外から見た方が良いお城かも。


また、続きが出ることを楽しみに待ちます。


<署長刑事シリーズ>
「署長刑事」

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2011年10月15日

姉小路祐「刑事長」

刑事長

 姉小路祐 著
 「刑事長」
 (講談社文庫)



大阪府警御堂筋署の岩切鍛治は、“春団治”というあだ名をつけられるほど仕事一筋で職人気質なベテラン刑事。彼は市内で起きた婦女暴行殺人事件の決着に疑問を感じ、一人で捜査を続けようとしていた。そんな彼の動きを快く思わないエライさんたちからは何度も注意を受けるが、自分が納得できるまでは・・と捜査を続ける。


警察小説ということで、次々と警察官が登場し、誰が主人公なんだろう?としばらく悩むほどでした。しかも、話の始まり方が先日読んだ「署長刑事」とよく似ていて、一瞬「間違えて買った?」と慌ててしまいました。この話に出てくる署長は古今堂くんとは違って、明らかなお飾りでした・・むかっ(怒り)


主人公の岩切鍛治は、巡査部長という階級ですが、51歳のベテラン刑事です。昇進することを良しとせず、あえて現場にこだわり試験も受けずに刑事を続けてきた刑事。一つの事件に掛ける思いはとても強くて、上司と衝突することもしばしば・・。

そんな職人気質から「春団治」とあだ名をつけられ、周りからは「ダンさん」と呼ばれています。捜査本部で「解決」とされた事件をいつまでも捜査する彼のことを上司だけではなく、同僚や部下までも疎ましい存在だと思ってしまいます。でもこんな刑事さんがいてくれたら、警察内部も日本も安心だと思えるのですが。

味方が得られず、捜査も妨害されてしまうダンさんですが、よれよれになりながらも単独捜査を続けます。捜査費なんて出ませんから全部自腹。家族は大変です。でもがんばるダンさんを見ていると応援したくなりました。


最後にエリートさんや同僚に啖呵をきったダンさんは本当に素敵でした。スッキリとした気持ちで読み終えることができました。

これも「署長刑事」と同じで、大阪弁が辛くなければ楽しめる作品だと思います(河内弁も出て来ますから慣れない人には少しキツく感じるかも)。私は気に入りました。続きも読もうと思います。

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2011年09月09日

姉小路祐「署長刑事」

初めての作家さんです。

署長刑事

 姉小路祐 著
 「署長刑事 大阪中央署人情捜査録」
 (講談社文庫)



背がかなり低くてパッとしない感じだが、正義感に溢れたキャリアの古今堂警視は、大阪府警中央署の署長になった。着任してすぐに、警官によるひき逃げ事件が発生し、いきなり記者会見を開くはめになった古今堂は、事件に疑いをもち、独自に調べ始めた。


久々にがっつりと警察小説を読んだ気がしました。始めの方に書かれていた警察の構造的な説明文は頭が混乱する気がして、ちょっと話に入り込めない感じがあったんですが、それ以降は面白く読めました。


署長になった古今堂という人はキャリアでありながら、部下のことを親身になって考える、キャリアらしくない警察官です。背の低さや顔の平凡さなど見た目でも警察官らしくないと言える人です。でも人柄は良いからすごく魅力的に思えました。そして、彼を助けてちょこまかと働く塚畑由紀巡査も魅力的。古今堂とは対照的に大柄な女性ですが、身を惜しまず働くとてもまっすぐな性格で、彼女のことも大好きになりました。


着任早々起きた署員の不祥事。記者会見ではボロボロだった古今堂は、いつまでもそれを引きずることなく、被害者遺族や加害者の家族に会って事情を聞いたり、事故現場に出向いたり、意欲的に動き始めます。そして事件その物に疑問を感じ、副署長らに疎まれながらも独自に捜査をします。

捜査の仕方は決してスマートとはいえないのですが、彼の人柄に惹かれるようにして、キャリアとか関係のない下の方の警察官たちが味方してくれるようになり、どんどん進んで行きます。そして、事件の真実が見えてきたのでした。


大阪の話なので、ほとんどの人は大阪弁で話しています。「わて」とか書かれているとちょっと違和感を感じてしまいます(今でも「わて」って使うのかな?)。まるで「難波金融伝・ミナミの帝王」みたい!!・・って関西人しか知らないんですよね?あせあせ(飛び散る汗) でも、私自身も大阪弁に近い神戸弁を話すので、頭の中で音読しながら楽しく読みました。

ということで、大阪弁や大阪の雰囲気が苦手な人には辛い話かもしれませんが、警察小説が好きな人は楽しめる作品だと思います。キャリアとノンキャリアの違いとか色々細かいことがわかりますよ〜。


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