2015年06月16日

有川浩「三匹のおっさん ふたたび」

127635.jpg

 有川浩 著
 「三匹のおっさん ふたたび」
 (新潮文庫)


剣道の達人キヨ、武闘派の柔道家シゲ、危ない頭脳派ノリ。あの三人が帰ってきた! 書店での万引き、ゴミの不法投棄、連続する不審火・・。ご町内の悪を正すため、ふたたび“三匹”が立ち上がる。清田家の嫁は金銭トラブルに巻き込まれ、シゲの息子はお祭り復活に奔走。ノリにはお見合い話が舞い込み、おまけに“偽三匹”まで登場して大騒動! ますます快調、大人気シリーズ第二弾。−裏表紙より−

三匹の紹介は前作の感想の所に書いていますので、そちらでご覧ください。

相変わらず元気な老人・三匹は、町の平和の為にがんばっています。今回も最近の社会問題が取り上げられていて、考えさせられることも多かったですし、事件が起きるときには、思わず顔をしかめたくなるような場面もありました。


まずは、書店での万引き。これは本好きにとってはたまらなく辛い問題です。本を一冊売ってどれだけのもうけになるのか、どれだけ大変なことなのか、ちょっと考えればわかることなのに、気軽に万引きなんてしないでもらいたいですね。町の本屋さんが消えていく一方で、大型書店は次々開店するので、意外と儲かっているのでは?なんて思われてしまうのでしょうか??

いくら儲かっている店でも、万引きはダメなんです。犯罪なんです。そんな簡単なことがわからない人がいることが本当に信じられません。何なら「お金払えばいいんでしょ?」と開き直ってしまう親まで出てくる始末。本当に情けない!

三匹と書店の店長がビシッと、でも優しく諭すように、万引き犯たちを改心させていく様子はスッキリしました。


今回は、三匹が出会う問題だけではなく、それぞれの家族が抱える問題も取り上げられています。キヨさんの息子の嫁や、シゲさんの息子、ノリさんの娘も色々な形で貢献し、問題を提起し、解決へと導いていきます。

特に目立っていたのは、キヨさんの奥さんかも? 最後に登場する“偽三匹”にも関わっていますし、キヨさんの孫や嫁に対して彼女が言う意見はなかなか鋭くてかっこよかったです。


三匹の話以外に、最後に短編が収録されています。これは甘すぎて途中でリタイア・・・・。でも、ネットでは評判が良かったですよ。甘いのがお好きな方は読んでみて下さい。

三匹の話はこれで終わりなのかな?? また三匹に出会いたいので、楽しみに待とうと思います。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 15:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:有川浩

2013年08月27日

有川浩「植物図鑑」

植物図鑑

 有川浩 著
 「植物図鑑」
 (幻冬舎文庫)


お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子です−。思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクだった。樹という名前しか知らされぬまま、週末ごとにご近所で「狩り」する風変わりな同居生活が始まった。とびきり美味しい(ちょっぴりほろ苦)“道草”恋愛小説。レシピ付き。−裏表紙より−


題名にふさわしく、本をめくるとまず植物の写真が現れます。花屋さんに並んでいるような花ではなく、いわゆる“雑草”と呼ばれる類の花ばかりが紹介されています。短編の題名もそれぞれ花の名前が付けられています。


主人公・さやかはある夜、イツキと名乗るイケメンを拾いました。それから始まる奇妙な同居生活。イツキが家事全般を担うことになり、彼が作る料理の美味しさにすっかり胃袋をつかまれてしまったさやか。彼女が少しずつ彼に惹かれていくのは何だかわかる気がしました。

家の中で過ごすことが好きなさやかを、イツキは外へ連れ出します。食べられる植物を「狩り」に行くことにしたのです。ツクシやフキなど、私でも知っている植物もあれば、全く聞いたこともないような植物もありましたが、二人が夢中になって採っている場面は楽しそうでした。


でも、この作家さんが恋愛要素を入れずに進めるわけもなく、どんどん甘さが出てきました・・。

これが楽しめる人はきっとこの作品も気に入るのでしょうが、私にとっては途中から読むのがしんどくなる展開でした。

この作家さんが描く男性は、女性が理想としてあげる要素を全てもっています。この場面でこう言ってほしいと思うタイミングで甘いセリフを吐いてくれる・・・きっと昔ならきゅんとしたのでしょう。こういうセリフにきゅんとしなくなった私は枯れてしまったのかな?と寂しい気持ちにさせられました。


他の場面では楽しめました。特に「雑草という名の草はない。すべての草には名前がある」という言葉には感心しましたし、紹介されている植物を使った料理も美味しそうで良かったです。これからは、道端に生えている植物にも目を向けてみようかな?と思いました。まあ、食べてみたいとは思いませんけど。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 12:13| Comment(6) | TrackBack(0) | 読書:有川浩

2012年07月31日

有川浩「阪急電車」

阪急電車

 有川浩 著
 「阪急電車」
 (幻冬舎文庫)


隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった・・・。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車−人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。−裏表紙より−


買ったときにも書きましたが、テレビで映画版を見て、面白そうだったので読んでみました。映像を先に見ると、演じていた俳優さんが浮かぶのであまり好きではないんですけど・・。今回も思いっきりそれぞれの俳優さんが浮かびながら読みすすめることになりました。

きっと映像を見ていなかったら好きになっただろうな・・と思う登場人物もいましたバッド(下向き矢印) それが残念です。


阪急今津線という実在する線での出来事が描かれています。片道15分という短い路線。西宮北口−宝塚を結ぶこの路線には8つの駅があります。

私は神戸に住んでいますし、この路線には何度も乗っているので雰囲気もつかみやすかったです。全く知らない人はどう感じるんだろう??・・そんなこと思いながら読み進めました。


今津線の乗客にスポットを当て、それぞれの想いが話しになっています。短篇ですが、全て繋がっている連作短篇なので、前の話では主役となっていた人たちを他人から見た様子として読むことができて、なかなか面白かったです。

出てくる乗客たちは、みんな良い人ばかり。これはこの作家さんの特徴でもあるわけですが。青春していたり、人生の壁を乗り越えようとしていたり、恋が始まったり、今津線の中で色々な物語が生まれます。普通なら知らないフリをしがちな出来事でもきちんと声を掛けてフォローし、それで救われる人がいる・・本当にこんな事が起きるなら今津線の沿線に引っ越すのに!って思うくらいでした。

私が特に気に入ったのは、元婚約者を同僚にとられた女性。こんな風に自分に自信をもって突き進めたらどんなに良いだろうとうらやましく思いました。青春しているカップルも良かったのですが、青春は遠い昔ですからね〜。


この本は、通勤時間に読むのがよく合います。1時間ほどで読めてしまいますし、時々、本から目を上げて周りの人が見たくなります。まあ、こんな素敵な出会いなんてないんですけど、それでも普段見ない周りを見たくなりました。

この作家さんらしい甘々な部分もありますが、今まで読んだ中では何とか許容範囲といえる作品でした。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 22:06| Comment(6) | TrackBack(0) | 読書:有川浩

2012年05月14日

有川浩「三匹のおっさん」

三匹のおっさん

 有川浩 著
 「三匹のおっさん」
 (文春文庫)


還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか、とかつての悪ガキ三人組が自警団を結成。剣道の達人・キヨ、柔道の達人・シゲ、機械いじりの達人の頭脳派・ノリ。ご近所に潜む悪を三匹が斬る!その活躍はやがてキヨの孫・祐希やノリの愛娘・早苗にも影響を与え・・。痛快活劇シリーズ始動!紹介・児玉清、解説・中江有里−裏表紙より−

キヨこと清田清一、シゲこと立花重雄、ノリこと有村則夫の幼馴染3人・・いや、三匹は、還暦を迎えたのですが「自分はまだまだ若い!ジジイとは呼ばせない」と奮起し「地域のお役に立てないか?」と考えたのです。そこで自警団を結成し、夜の見回りを開始します。

キヨさんは、定年退職して嘱託勤務になり、暇な時間が増えました。父親の代からやっていた剣道場を継いでいましたが、還暦を迎える頃になって生徒がいなくなり、こちらも閉めることになりました。でも剣道の腕前は確かで、年齢を感じさせないスッとした姿勢を保ち、長い物を持たせると無敵の存在となります。

シゲさんは、居酒屋を経営しています。最近、息子夫婦に任せたので、今は手伝いと形で店に出ています。柔道の達人でもあり、こちらも腕に覚えあり!です。

ノリさんは、工場経営者で、機械いじりが得意です。二人に比べて小柄ですし、腕に自信はありませんが、色々と改良を重ねた武器(スタンガンなど)を自在に操り、こちらも無敵です。他の二人が行動派なので、ノリさんが考える役を引き受けています。

とまあ、こんな個性的な三匹が、地域に現れる悪を倒して、世直しをしていくわけです。

更に、キヨさんの孫・祐希も協力し始めます。彼は高校生で、ここ数年は祖父であるキヨさんにも近寄らなくなり、ほとんど会話もしてませんでした。ところがキヨさんの定年退職祝いの会をきっかけに、少しずつ距離が縮まり始めます。

祐希はノリさんの愛娘・早苗をある事件で助けたことで、彼女とも急接近。微笑ましい関係を築いています。この二人の場面がこの作家さんらしい甘々な部分になっています。私には辛い場面・・でもまあ、このくらいなら許容範囲かな?と。


内容としては、三匹が悪を見つけ成敗する!という時代劇風な展開なのですが、扱われる事件が今の社会の問題を取り上げていて、結構考えさせられることが多かったです。

独居老人の問題や、小動物を平気で傷つけたり、女同士の友情や詐欺など・・。

でも三匹がすっぱりとカッコ良く解決してくれるので、さわやかな気分で読み終わることができました。痛快!な話でした。

続きも出たようです。文庫化を待つことにします。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 11:10| Comment(6) | TrackBack(0) | 読書:有川浩

2011年07月05日

有川浩「図書館革命」

図書館革命

 有川浩 著
 「図書館革命」図書館戦争シリーズ4
 (角川文庫)



原発テロが発生し、それと酷似した内容の本を出版していた作家・当麻蔵人に対し、疑いがかかる。良化隊が彼の身柄を確保しようと迫るため、図書隊は様々な方法で保護することに。図書隊内部に内通者がいる疑いもあり、状況は更に悪化していく。


このシリーズもとうとう終わり。最後らしく盛りだくさんな内容になっていました。

原発テロから始まった、作家・当麻をめぐる事件は、今まで自分に直接被害が無いから関係ないという感じだった国民に問題提起することになります。

無関心というのは、ある意味怖いものなんだということを教えられた気がしました。私自身、あまり世の中の事に興味をもたないタイプで、野次馬根性的な物も欠如しています。「どうせ何を言っても変わらないやん」という思いが強いんです。仕事では違いましたけど。

政治なんかも何を言っても無駄だし、いくら報道しても変化が感じられない日々を送るうちに、興味も無くなって来ていました。怒りは感じるけど、怒ったところで何も変わらないしな〜って感じ。

やっぱりそんな考えではダメなんですよね。行動する力はありませんが、せめて日々起きる物事に耳を向けていこうかな?と思うようになりました。


で、恋愛の方ですが・・。郁と堂上の恋愛話はハッキリ言ってどうでも良いんですが、他の部分では楽しめました。特に小牧と毬江ちゃんの関係は見ていて微笑ましかったです。幼い頃からの憧れにも似た片想いを実らせるなんてすごいですぴかぴか(新しい)

郁と堂上の展開には驚かされました。すごい速足で駆け抜けた感じがして・・。でもそれもやっぱりどうでも良いと思ってしまうふらふら 結局、私は主人公・郁があまり好きではないんでしょうね。だからどうでも良いんでしょう。堂上は素敵ですが、郁と絡むとちょっとウザくなる。そんな気がしました。


“別冊”として後2冊あるようですが、恋愛がメインになりそうな雰囲気なので、どうしようか?と悩み中です。感想を読んでからにしようかな?


<図書館戦争シリーズ>
「図書館戦争」
「図書館内乱」
「図書館危機」


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 11:21| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書:有川浩

2011年06月03日

有川浩「図書館危機」

図書館危機

 有川浩 著
 「図書館危機」図書館戦争シリーズ3
 (角川文庫)



ずっと憧れていた「王子様」の正体を知ってしまい、どうしても固い態度をとってしまう郁。そして、記者・折口が人気俳優にインタビューした記事が世間を巻き込む大問題に発展し、更には美術展で飾られることとなった“自由”をテーマにした絵画が検閲される危機に陥り、堂上班も応援に向かったのだが・・。


前作で、憧れの王子様の正体を知った郁。当然、今までと同じ態度で接するわけにはいかず・・。という感じで、前半は何とも甘々ハートたち(複数ハート)状態もうやだ〜(悲しい顔)

これは、恋愛小説なのかexclamation&questionと突っ込みたくなるくらいの甘さで、辛くなってきた頃、話は動き始めました。


玄田隊長の親しい友人(?)でもある折口がインタビューして書いた記事が、人気俳優のお気に召さず出版すらできないかもしれない・・という状態に。

その俳優がインタビューで使ったある言葉が、検閲の対象になるということで、別の言葉に置き換えたことが、気に入らなかったわけです。両者が譲らない状況のとき、折口は玄田に助けを求めます。

そして玄田が出した答えはなかなかカッコいいもので、一石二鳥というか、スカッとする対策でした。まあ、普通は無謀過ぎてやらないことですけどねあせあせ(飛び散る汗)

この話は第3章「ねじれたコトバ」なんですが、この章は色々考えさせられました。言葉って本当に難しいですね。こうやって気軽にブログなんて書いてますが、知らないうちに誰かを傷つけていることもあるのかもしれない・・と思うとちょっと怖くなります。

こんな素人の人気も無いようなブログでもそんなこと考えるんですから、世の中の作家さんや編集に携わる人たちは大変な苦労があるんだろうと思います。言葉って簡単に別の物に置き換えられない場合も多いですよね。そうなると、自分の表現したいことを優先させるべきか、それよりも傷つくかもしれない人がいるならそちらに配慮すべきか・・それを決めるのは、本当に難しい選択だと思います。

今の世の中でも悩むわけですから、もし、この話のような世界になったら・・と思うとゾッとしますね。そして、もしそんな世界になったとしても、それに何となく慣れていくであろう自分自身も怖いです。


と、色々考えさせられた今回。次回もきっと甘さが増しているでしょうが(柴崎&手塚まで何かありそうですし・・)、そこらへんはサラッと流しつつ読もうと思います。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 11:33| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書:有川浩

2011年05月12日

有川浩「図書館内乱」

図書館内乱

 有川浩 著
 「図書館内乱」図書館戦争シリーズ2
 (角川文庫)



郁は図書館で中澤毬江という耳の不自由な女の子と出会った。彼女は小牧の幼馴染だということだったが、どうやら小牧に密かな想いを寄せている様子。小牧が毬江のためにある本を選んであげたことが思わぬ大きな問題に発展し、検閲機関である良化隊は小牧を連行してしまった・・。


2作目・・やっぱり甘々度が増してきましたよ〜あせあせ(飛び散る汗)


毬江のことを幼い頃から見てきた小牧にとって、彼女は妹のような存在でした。毬江は小牧に対してずっと恋心を抱き続け、耳が不自由になってから小牧に救われたことで、更にその想いは強くなっていました。

そんな彼女が小牧のいる図書館に通うのは当然のことで、彼に本を選んでもらうことも自然なこと。あるとき選んでもらったのが、耳の不自由な女の子が主人公という本で、それが後に問題となりました。

そして難癖を付けるようにして連行された小牧。「実家に知らせるな!」と叫んで去った小牧の本心は「毬江に知らせるな」だということは誰にでもわかることでした。

堂上は知らせずに解決しようとしますが、郁と柴崎は猛反対します。「好きな男性が自分のせいでひどい目にあっていたと後で知ったら悲しむ」と言うわけです。


小牧の件だけではなく、郁にも問題が起きますし、良化隊だけではない、図書館内部での不穏な動きが出てきます。


今回は、小牧の恋愛、そしてクールな柴崎の恋愛?も出てきます。

個人的に、柴崎に共感することが多い私としては、恋愛に関しても慎重で、なかなか入り込めない彼女の様子が気になります。ちなみに、柴崎と似ているわけではありません。決して美人ではありませんし、全くモテません。ただ、人に深入り出来ない所や、変に空気を読んでしまう所が似ているんです。

彼女のお陰で、続きも読みたいと思えるのかも。

自由に好きな本が読める幸せをかみしめつつ・・。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 12:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:有川浩

2011年05月10日

有川浩「図書館戦争」

図書館戦争

 有川浩 著
 「図書館戦争」図書館戦争シリーズ1
 (角川文庫)



公序良俗を乱す表現を取り締まる「メディア良化法」が施行されて30年。その行き過ぎた検閲から本を守るために図書館側は特殊部隊を作った。高校時代に図書隊員と名乗る男性に助けられたことで憧れを抱き、図書館隊に入隊した笠原郁は、厳しい訓練にも耐え抜き、女性で初めてエリート部隊・図書特殊部隊に配属されることになった。


メディア良化法は、本などの内容が公序良俗を乱し、人権を侵害する恐れがある場合、それを取り締まるという法律で、その規定が曖昧だったため、行き過ぎた取り締まりもありました。

唯一対抗できたのが「図書館の自由法」でした。

ただ、両者の対立は激化することになり、お互いに武装部隊を持つことになったのでした。

図書館の武装部隊・図書特殊部隊というエリート部隊に配属された郁は、成績は良くないのですが、真っすぐで体力には自信がある体育会系。

負けず嫌いでがんばり屋。そんな彼女の上官となったのは、堂上。本人たちは認めないけど、似た者同士の二人は、上官と部下という関係でありながら、事あるごとに衝突します。


自由に読みたい本が読めないという世の中になった設定の話で、初めの方でその世界観を説明されている部分があります。その数ページがなぜかどうしても理解できず、止まってしまったんです・・もうやだ〜(悲しい顔) 自分の頭の悪さにがっかりバッド(下向き矢印) しました。数回読み返してふと我に返り「完璧に理解できなくても読めるんじゃ??」と思いついて、やっと読み進めることができました。ホント、馬鹿です・・私

そこからは流れにも乗ることができ、なかなか面白く読めました。まあ、恋愛絡みも控えめですしね・・。これからヤバそうですけど。

読み進めると、この世界観がいかに細かく設定されて書かれているのか?がわかり、初めの難しい説明文も必要だったんだと思いました。きちんと考えられて書かれていてすごいと思います。


時々、誰の目線で書かれているのかわからなくなる場面もあったりして、まだちょっと慣れていない感じはありますけど、世界観は面白かったので、続きも読もうと思います。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 12:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:有川浩

2011年03月24日

有川浩「シアター!2」

シアター!2

 有川浩 著
 「シアター!2」
 (メディアワークス文庫)



「2年間で劇団の収益から300万円返せ。返せなかったら解散」という試練を乗り越えるため、新シアターフラッグは走り出した。アクシデントに見舞われながらも持ち前の団結力で何とか持ちこたえていたのだが、メンバー内に亀裂が・・。更に元メンバーとの確執も持ち上がり、新たな危機が。


前作であまり目立たなかったメンバーにスポットが当たり、更に個性が際立ってきました。

“うっかりスズべえ”というあだ名を付けられているスズ。彼女が起こしたうっかりを発端にしてメンバー内に亀裂が。

関西弁を話すゆかり。「好きなことをしているんだから貧乏でも仕方ない」という考えが嫌いな彼女。役者として食べて行くことを目標にオーディションを受けまくっているのですが、なかなか合格できません。オーディション会場で再会した元劇団員の優衣とやりあうことに・・。

巧のことが好きでずっと片想いを続けている牧子。客演する彼女の元を訪れる巧や千歳が自分に向けて言ってくれた言葉に感動します。

司は、今回あまり目立った活躍がありません。とはいえ、なぜか劇団員たちの先生や保護者のように相談役みたいな形で深く関わってきます。一定の距離を保ち、線を引いていたつもりだったのに気付けば深く人生に踏み込んできているメンバーたちに突き放すような態度をとりつつも、心配で仕方ない感じの司。相変わらず素敵です。


今回、私に深く刺さった言葉がありました。使えない奴を使えないなりに使えるようにならなきゃそこ止まりだぞ。

これは、司が入社3年目に上司から言われた言葉です。私は使えない奴を何とか使ってみて、それでもだめなら切り捨てるタイプだったので、グッサリと刺さったんですよね〜もうやだ〜(悲しい顔)

「使えない奴」と切り捨てるのは誰でもできるんですよね。「どうすれば使えるか?」を考えるのが上に立つ人間の役目。それができない私は、上に立つ資格が無いってこと・・・。

心に留めておこう!と強く思った言葉でした。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 11:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:有川浩

2011年03月14日

有川浩「シアター!」

シアター!

 有川浩 著
 「シアター!」
 (メディアワークス文庫)



小劇団「シアターフラッグ」の主宰・春川巧は、借金の返済に困り、兄の司に泣きついた。兄は300万円という大金を貸す条件として「2年間で劇団の売り上げから返済すること」と言い渡したのだった。お金の管理に無頓着だった劇団員たちは司の条件に茫然としてしまう・・。声優として活躍している羽田千歳も劇団員として加わり、新生「シアターフラッグ」が始動する。


“鉄血宰相”と呼ばれるようになった兄・司。それだけ厳しいことを言うからなんですが・・。

あまりにもずさんな管理体制に呆れながらも、一つ一つ問題点を指摘し、劇団員たちを指導していきます。口癖は「吊すぞ!」あせあせ(飛び散る汗)

でも、弟のことは大事だから、口に出すほどには冷たい人ではなく、愛情があっての厳しさ。だから弟を始め、劇団員たちも司の言うことをきちんと聞いて従います。

司が弟に厳しくするのは、父親が同じように役者をしていて貧乏だったから・・。母親の苦労を知っているぶん、弟には同じ道を歩んでほしくない。この思いで助けているのです。

弟・巧は、末っ子気質が抜けず、甘えん坊です。そして「好きなことをしているんだからそれで食べられなくても仕方がない」という考えで生きています。それは父親と同じ・・。司が厳しくするのもわかる!

巧の甘い考えを変えたのは、声優でもある羽田千歳。笑える名前の彼女がシアター・フラッグのオーディションを受けに来たことで、プロとしての自覚が目覚めた巧。

彼が少しずつ変わっていく様子も面白かったです。


300万を2年で。どうやって返していくのか?がメインになっていて、小劇団の細かい裏側もわかりますし、何よりも登場人物たちが活き活きと描かれていて、一気に読みきることができました。

司が巧のことを理解し始めた所で終わっているので、早く続きも読みたいですぴかぴか(新しい)


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:有川浩