2014年06月10日

碧野圭「書店ガール3」

書店ガール3

 碧野圭 著
 「書店ガール3 託された一冊」
 (PHP文芸文庫)


「私、亜紀さんみたいになりたい!」きらきらした目で新人バイトの愛奈に告げられ、困惑する亜紀。子育てに疲れ、不慣れな経済書担当として失敗を重ね、自信を失いかけていたからだ。一方、仙台の老舗書店のリニューアルを任された理子は、沢村店長との出会いを通し、被災地の現状を知る。そんな亜紀と理子が、気持ちを一つにした目標とは!? 書店を舞台としたお仕事エンタテインメント第三弾。文庫書き下ろし。−裏表紙より−


今回も、理子と亜紀2人の仕事ぶりを中心に描かれています。ただ、今までと違って、理子が東エリア長に抜擢されたため、ほとんど店にいないので、2人はほとんどバラバラに仕事しています。

理子は、仙台にある老舗書店のリニューアルを任され、店長の沢村と共にどうすればより良い書店になれるか悩みながら進めています。

仙台の店は、東日本大震災で被災した店で、そこを手伝うことで、被災地の現状にも触れることになりました。

震災について、多くのページが使われています。私は被災していませんが、阪神淡路の震災のことが甦る気がして、読むのが辛い部分もありました。

でも、これは書店員の目から通した面も書かれていて、本屋だからできることは何か?という所は興味深く読めました。ただ、理子が考え、亜紀が実現させた「震災フェア」は、もし近くの書店で開催されていても見るかどうかはわかりませんけど。

震災の写真を手元に置いておこうとする気持ちは何だかわかる気がします。忘れたいけど、忘れてはいけない。でも忘れないといけない、複雑な心境なんですよね・・。なんて、身近な人を亡くしたわけでもない私が語ることではないですが。


一方、亜紀は大好きな文芸の担当から外れ、経済書の担当になり、慣れないことで四苦八苦しています。常連客からもクレームを言われますし、棚を作っても前担当者からダメだしされる毎日。更には子どもも小さくて、保育園からの呼び出しに怯えつつ、仕事をしているため、自分の好きなようにならないもどかしさもありました。

でも、理子が持ち込んだ企画を実現させることで生き生きとした亜紀が戻ってきました。ただ、このフェアの実現させるためにしたであろう苦労の部分がちょっとあっさり終わりすぎた気はしました。もう少しどんな風にして実現させたのか見たかったです。


今回、亜紀が仕事に行き詰って悩んでいたときに夫が言った言葉が私にも刺さりました。

仕事を楽しくしようと思ったら、楽しくなるように自分で動かなきゃダメだ。

そうですよね、ほんと、そうだ! 楽しく仕事するために、自分は何をするべきかな?考えようと思います。


結末が何だかこのシリーズが終わりそうな雰囲気に思えたのですが、まだまだ書店の話が読みたいので、続編を待ちたいと思います。


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posted by DONA at 15:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書:碧野圭
この記事へのコメント
このシリーズ、話がうまく行き過ぎるような気もしますが、結局のところ、紙の本と書店を愛する作者の、「リアル書店」を応援する場で、ストーリーは二の次なのだと思っています。

私も本が好きですし、本屋はもう、1日中居ても良いくらい好きな空間なので、その気持ちが伝わってくるだけで満足してしまいます。このシリーズは好きなので、まだまだ続いて欲しいです。

ちなみに、解説を読むと、「櫂文堂」のモデルは神戸の「海文堂」ではないかということですが、DONAさん、行ったことあったりして?
Posted by 北旅 at 2014年06月10日 21:12
>北旅さん、コメントありがとうございます。

ストーリーはともかく、愛情を感じる作品で、共感できたり、勉強になったりするので、お気に入りです。
本屋さん、私も大好きです。やはりお気に入りの店とそうでもない店があるのが面白いですね。同じ本を扱っているのに。
「海文堂」は、繁華街から少し離れた所にあるので、いつか行こうと思っているうちに閉店になってしまいました。とても残念です。
Posted by DONA at 2014年06月11日 14:33
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