
山本一力 著
「ほかげ橋夕景」
(文春文庫)
娘の祝言が決まった日から急に態度が冷たくなった父親の心情が胸に迫る表題作ほか、他人の物を盗った息子に右往左往する両親を描く「泣き笑い」、晩年の清水の次郎長が小気味よい「言えねえずら」、土佐の長宗我部家に伝わる文書に秘められた一族の尊い使命「銀子三枚」など、とびっきりの人情話8編。−裏表紙より−
「泣き笑い」「湯呑み千両」「言えねえずら」「不意蛾朗」「藍染めの」「お燈まつり」「銀子三枚」「ほかげ橋夕景」の8編が収録されています。
この作家さんの作品を読むのは2作目ですが、前作の長編の方が合う気がしました。私自身は短編も好きなんですけど、この作品集は突然話が終わってしまう物が多いように感じたんです。
何が言いたかったのかわからない作品もありました。私の読解力が低いせいなのでしょうが・・。
でも、面白い作品ももちろんありました。
表題作が一番好きでしたが、他にも「不意蛾朗」「藍染めの」は結構気に入りました。
表題作は父親の娘を想う心が痛々しくて、不器用で、読み終わったときほわっと温かい気持ちになれました。
「不意蛾朗」は、妙に長く感じて、飽きそうになった部分もあったのですが、自分の仕事に誇りを持って働く姿がかっこよく、最後の行動にも感動しました。ちょっと突然すぎる感じはありましたが。
「藍染めの」は、職人の不器用さと危うさが細かく描かれていて、読みながらハラハラする部分が多く感情移入してしまいました。これは将来の目標が出来て、明るい終わり方をしているのが良かったです。
今度はまた長編を読んでみようと思います。
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