
越谷オサム 著
「いとみち」
(新潮文庫)
相馬いと。青森の高校に通う16歳。人見知りを直すため、思い切ってはじめたアルバイトは、なんとメイドカフェ。津軽訛りのせいで挨拶も上手に言えず、ドジばかりのいとだったが、シングルマザーの幸子やお調子者の智美ら先輩に鍛えられ、少しずつ前進していく。なのに! メイドカフェに閉店の危機が~。初々しさ炸裂、誰もが応援したくなる最高にキュ-トなヒロインの登場です。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。
主人公のいとが、自分と重なる部分も多くて、共感しながら読みました。高校生ではないのに、今でもいとに共感するなんて何とも情けないことですが・・。
人見知りを直したくて接客業でバイトしようと決意したいとが選んだ店はメイドカフェ。私だったら選ばないな・・と思うのですが、メイド服にも憧れがあって、いとは決心したわけですが、当然のように接客に苦労します。
しかも、いとは津軽弁がキツくて、同級生には伝わらないくらいの濃い津軽弁をしゃべるため、メイドカフェでは絶対に必要な「おかえりなさいませ、ご主人様」という決め台詞がどうしてもスムーズに言えません。「ごすズんさま」になってしまうのです。それはそれでかわいいですけど、地元の人からすれば洗練された標準語で聞きたいですよね。
こんな簡単なセリフが言えないことにも落ち込み、緊張しすぎてドジをしてしまう度に落ち込み、初日から「辞めよう」「辞めたい」ばかり考えてしまいます。
更に、父親と祖母にメイドカフェでバイトしていることを言えずにいます。問題は山積み状態。せっかく少し慣れてきたカフェが閉店になるかもしれない・・という問題まで出てきて、ほぼずっとバタバタしている感じの展開でした。
ドジで引っ込み思案のいとが、少しずつメイド仲間たちに打ち解け、バイトに慣れていく様子は微笑ましかったですし、読んでいて思わず応援したくなる感じがしました。最後にいとが得意の三味線を演奏する場面では思わずウルウルしてしまうくらい、感情移入しながら読んでいました。
この話には続編があるようです。ぜひ続きも読もうと思います。
↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。


タグ:越谷オサム