
加納朋子 著
「てるてるあした」
(幻冬舎文庫)
親の夜逃げのため、ひとり「佐々良」という町を訪れた中学生の照代。そこで彼女が一緒に暮らすことになったのは、おせっかいなお婆さん、久代だった。久代は口うるさく家事や作法を教えるが、わがまま放題の照代は心を開かない。そんなある日、彼女の元に差出人不明のメールが届き始める。その謎が解ける時、照代を包む温かい真実が明らかになる。−裏表紙より−
「ささらさや」の続編です。
頼りなさげだったサヤもすっかりした女性になり・・ということもなく、それなりに相変わらずフワッとした天然な感じの女性になり、サヤの周りで助けてくれていた4人も健在で、今回も大活躍を見せてくれます。
この物語の主人公となるのは、照代という中学生。なんと両親の金銭感覚がおかしくて、贅沢をした上、借金まみれとなり、夜逃げした・・という大変な目にあった彼女は、両親と別れて遠い親戚だというお婆さん・久代の住む「佐々良」へとやってきました。
彼女の母親はとてもきれいな人で、家庭は母親を中心に回っていました。なかなかの浪費家だった母親のお陰で、家は常に火の車。更に父親も母親に惚れ込んでいたため、その浪費を止められず、本人も車に凝っていたため、借金だらけになるのは目に見えていました。
照代の高校入学金さえも使ってしまった両親。こんな環境で育った照代が色々とひねくれてしまうのも仕方ないのですが・・・。私は彼女の言動にイライラすることが多かったんですよね。
もう少し素直に慣れないのか!?と思うことが何度もあり、その度に居たたまれない気持ちになりました。でも、中学生で見知らぬ土地に来て、見知らぬ人と同居して、なかなかの度胸と根性はあります。
その精いっぱい背伸びをして強がっている所もまた痛々しいのですが。
同居することになった久代は、元教師ということで、説教くさい部分も多く、照代にとっては怖くてうっとおしい存在となります。言われたくないことをはっきり言われてしまい、それがまた正論だから辛い。
こういう大人って、子どもからすれば怖いし近づきたくない存在ですね。でも実はこういう人がいることはとてもありがたいことで、いなくなってみて初めてありがたみもわかるんですよね。
終わりの方は涙なしでは読めないほどでした。ずっと涙を拭きながらの読書。家で読んでいて良かったです。
最後に印象に残った言葉を書いておきます。
てるてる あした。きょうはないても あしたはわらう
嫌なことがあったとき、落ち込んだときに思い出したい言葉です。
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