高田郁 著
「美雪晴れ みをつくし料理帖」
(ハルキ文庫)
名料理屋「一柳」の主・柳吾から求婚された芳。悲しい出来事が続いた「つる家」にとってそれは、漸く訪れた幸せの兆しだった。しかし芳は、なかなか承諾の返事を出来ずにいた。どうやら一人息子の佐兵衛の許しを得てからと、気持ちを固めているらしい―。一方で澪も、幼馴染のあさひ太夫こと野江の身請けについて、また料理人としての自らの行く末について、懊悩する日々を送っていた・・・。いよいよ佳境を迎える「みをつくし料理帖」シリーズ。幸せの種を蒔く、第九弾。−裏表紙より−
色んなことが前進した巻です。
今回も、前回同様、悲しい涙よりも嬉しい涙がたくさん流れました。
「神帰月」では、芳が大きな決断をします。これで彼女は幸せになれそうで、嬉しくなりました。ただ、澪は寂しいですけど。そして、芳の代わりとなる新しいお運びさんが登場します。大きな体を持つお臼という名前の女性。口の悪い客には「下足番には妖怪、お運びさんには相撲取りを雇ったのか?」とまで言われてしまうのですが、明るい彼女はうまくみんなと溶け込めたようです。
「美雪晴れ」では、芳と過ごす最後のお正月を迎えることになります。つる家の主人から「輿入れまでの期間はうちで過ごしてほしい」と言われたため、住み慣れた長屋も出ることに。身の回りで大きく変化が起きる話でした。つる家の主人が寂しがる様子がたまりませんでした。
「華燭」では、芳と柳吾の結婚祝いの膳を作ることになります。大好きな芳のため、温かくて晴れやかな食事を用意する澪。この話で、芳の息子・佐兵衛にも大きな転機が訪れそうな予感がありました。更に、野江ちゃんの姿をこっそり見る機会にも恵まれ、澪は決意を新たにします。
「ひと筋の道」では、野江ちゃんを見受けするため、奮闘する澪の姿が描かれています。かなり苦労をすることになる澪ですが、周りの人や、思いがけない人からの助言や手助けによって、何とか乗り越えることができました。最後には、ある人のことを再確認というか、改めていつもそばにいてくれたんだ、と気づかされることになります。これは、嬉しい展開でした。
野江ちゃんを見受けするという大きな目標以外に、澪には料理人としての悩みも出てきます。一流料亭で修業をし、後世に名を残すような立派で高級な料理を作って技を磨いていくのか、それとも今のように庶民に愛されるお手頃価格で満たされ癒されるような料理を作っていくのか。
澪は自分自身もどうしたいのかわからず、ずっと悩み続けています。この問題も、最後には少し光明が見えた感じで、次の巻では大きく話が動きそうです。・・・というか、次で終わりなのですが。
次の最終巻は8月に発売されるそうです。楽しみです。でも、このシリーズが終わってしまうのは本当に寂しいです・・。
<みをつくし料理帖>
「八朔の雪」
「花散らしの雨」
「想い雲」
「今朝の春」
「小夜しぐれ」
「心星ひとつ」
「夏天の虹」
「残月」
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