原田マハ 著
「まぐだら屋のマリア」
(幻冬舎文庫)
東京・神楽坂の老舗料亭「吟遊」で修行をしていた紫紋は、料亭で起こった偽装事件を機にすべてを失った。料理人としての夢、大切な仲間。そして、後輩・悠太の自殺。逃げ出した紫紋は、人生の終わりの地を求めて彷徨い、尽果というバス停に降り立った・・。過去に傷がある優しい人々、心が喜ぶ料理に癒され、紫紋はどん底から生き直す勇気を得る。−裏表紙より−
この作家さんらしい、温かい雰囲気の中で話が進んで行きます。
題名もですが、出てくる人物もちょっと変わった名前が多くて、キリスト教に関係があるのか?と思ってしまいますが、内容は全く関係ありません。読み終わった後で、解説を読むと確かに題名の意味が見えてくる感じはありますが。
老舗料亭で料理人の修業をしていた及川紫紋(しもん)は、ある事件で、心に大きな傷を負ってしまいました。その傷が癒えることなく、死に場所を求めて彷徨った彼は「尽果(つきはて)」というバス停にたどり着きます。
名前に惹かれて降り立った所にあったのは「まぐだら屋」という定食を出す店でした。匂いに誘われるように中に入って思わず注文していた紫紋は、そのまま「まぐだら屋」で料理の手伝いをすることに。
そこにいた女主人・有馬りあことマリアは、客に好かれ、癒される料理を出す人。彼女にも重くて大きな過去がありました。
まぐだら屋にはオーナーがいて「女将」と呼ばれているのですが、彼女は病気で療養中です。そんな彼女から認めてもらった紫紋は、マリアと心に癒えない傷を負った者同士、美味しい料理でお客さんを喜ばせたいという思いも共通し、息の合った状態で店を切り盛りしました。
この女将もとてもミステリアスな人です。どうもマリアと昔何かがあった様子なのですが、その内容は全く明かされないまま話は進みます。
過去に傷を負った人ばかりが出てくる話で、読むのが辛い場面もあったのですが、それぞれがお互いを支え合うように、励まし合うようにして、少しずつ癒され、許されていくのが嬉しくなりました。
最後にはみんなが前向きに、明るい未来に向かって生きていけそうになったので、爽やかな気持ちで読み終えることができました。
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