2014年02月18日

伊坂幸太郎「マリアビートル」

マリアビートル

 伊坂幸太郎 著
 「マリアビートル」
 (角川文庫)


幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から蜜命を受けた、腕利きの二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の社内で、狙う者と狙われる者が交錯する―。小説は、ついにここまでやってきた。映画やマンガ、あらゆるジャンルのエンターテインメントを追い抜く、娯楽小説の到達点!−裏表紙より−


「グラスホッパー」の続編です。とはいえ、それぞれ独立した話になっているので、どちらを先に読んでも大丈夫・・とはいえ、やはり順番に読んだ方がより楽しめると思います。

「グラスホッパー」と同じように殺し屋が活躍する話です。鈴木や槿(あさがお)が再登場します。2人とも良い味出してます。特に鈴木はこんなキャラだったっけ?と思うくらい。まあ、色んな経験をしたわけですから、性格に変化があってもおかしくないかも。


今回の舞台は、東北新幹線の中。東京駅から出発し、盛岡までの道のりで様々な困難や事件が発生します。登場人物のほとんどが“殺し屋”や闇の社会の人間なのですから、当然ではあるのですが。狭い空間で、人が驚くほど死にます(殺されます)し、ナイフや拳銃が多く登場します。

実際の新幹線でこんなことが起きていたら・・・ありえませんけど、ゾッとします。ネットでどなたかが書かれていましたけど、こんなに人が死んでいる新幹線の掃除大変そうです。しばらくこの車両は使えないですね。


登場する殺し屋は前回と同じようにとても個性的な面々です。

文学通の「蜜柑」と相棒の「檸檬」。檸檬は機関車トーマスの大ファンで、誰に対してもトーマスに出てくるキャラクターに例えます。彼がトーマスのことを語るときは必ず「トーマス君」と言うのが笑えました。

かなり運の悪い「七尾」は、「てんとう虫」と呼ばれています。彼の運の悪さには本当に呆れます。このタイミングでなぜこんな目に!?と驚くような事が必ず起きます。あまりのひどさにこれも笑ってしまいました。彼は見た感じが好青年で頼りない雰囲気をかもし出していて、言葉遣いも丁寧で優しいので、普通にしていたら良い人っぽいのですが、実は相手の首を折るという残虐性の高い殺し方をするんです。

そして誰よりも存在感を出し、不快にさせたのが中学生の「王子」。彼の外面と内面の違いは本当にゾッとしましたし、読み進める度に腹が立って仕方ありませんでした。中学生にしてこの考えと冷静な判断力は末恐ろしい・・。

この王子がした「なぜ人を殺してはいけないのか」という質問に、鈴木が答えるのですが、この答えが納得できるような、妙に冷めた気持ちになるような、何と表現すれば良いのかわからないのですが、モヤモヤしてしまいました。

どんな答えをしたのかはぜひ読んでみて下さい。


ページ数の多い作品ですが、読み進めると止まらないスピード感があり、思ったよりも早く読めました。続きが気になって寝不足になるくらいでした。

最後の方でちょこっと出てきた人たちが全て美味しい所を持っていった感じですが、結末はある意味、ハッピーエンド?というか、一応、スッキリできました。私のお気に入りまで死んでしまったのは残念でしたけど。


読み終わってから題名の意味がわかりました。なるほどね〜。


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posted by DONA at 13:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:伊坂幸太郎
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