
角野栄子 著
「ラストラン」
(角川文庫)
やっちゃおうかな、そうよ、私のラストラン! 74歳のイコさんは、真っ黒なライダースーツに身を包み、真っ赤なオートバイを走らせる。目指すは、幼い頃に死に別れてしまった母親の生家がある岡山。東京から約640kmの快適な旅。古い写真を頼りに、当時の姿で残っている家をようやく探し出す。そこで出会ったのは、12歳の姿をした母親の幽霊!?なぜか気が合った2人の旅が始まる―。『魔女の宅急便』の著者が贈る自伝的小説!−裏表紙より−
初めましての作家さんです。「魔女の宅急便」でお馴染の方ですね。ページ数も少なく、あっという間に読めてしまいました。
主人公のイコさんが、74歳にして大型バイクをかっ飛ばして旅行に行こうとするような、スーパーおばあちゃん(74歳をおばあちゃんと呼ぶのは違うかも?)で、その言動や考え方に、読みながらニヤニヤしてしまいました。
ある日突然、“ラストラン”をしようと思いついたイコさんは、幼い頃に死に別れた母親の生家を訪ねてみることにします。東京から岡山に行くのに「よし、バイクで行こう!」と思うイコさんの行動力にまず感動します。
見つけ出した生家で出会ったのは、亡き母親の少女時代によく似た女の子。「ふーちゃん」と名乗った彼女は、幽霊でした。
まずこの設定に驚かされます。母親の幽霊と出会ってしまうなんて!しかも、なぜ12歳の幽霊。自分の母親の12歳の頃と出会うなんて変な気分でしょうね・・。
イコさんも戸惑いつつ、彼女と共にツーリングに出かけることに。ふーちゃんがなぜ幽霊のままでいるのか?その理由を聞くと、どうやら何か心残りがある様子。その心残りが何なのか、本人も忘れてしまったというから何とも情けない幽霊です。
イコさんとしては、「子どもの成長が見たかった」という答えを聞きたかったのでしょうが、全く思い出せそうもない母親。ちょっとイライラするような、でも思い出さなければ母親とずっと一緒にいられるから良いという思いの間で揺れ動きます。
・・と、何だか小難しそうに書いていますが、実際の物語はずっとほのぼのして、温かくて、微笑みながら読める感じで進んで行きます。
2人旅の途中で様々な出会いと別れを繰り返しながら、母親と娘の不思議な関係を続けていきます。
最後は唐突に話が終わってしまった気がしました。そんなに急ぎ足で終わらせなくても、まだまだ読んでいたかったのに・・と残念に思いました。
それくらい楽しく読める物語でした。
↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。


タグ:角野栄子
ご無沙汰しております。こんにちは。
ラストラン、読まれたんですね。
もっと続きが読みたいと私も思いました。
幽霊と言うありえない設定が気にならなくなるような、不思議なリアリティと言うか・・そういうのを感じました。
「ふーちゃん」可愛かったです。
先日「図書館戦争」を借りてみたんです。
評判の言い作家さんだし、人気のある本なので、どこかで世界観に入っていけるかと思って読み進めたのですが、半分くらいで諦めてしまいました。
どうも主人公の女の子と上官の関係が受け付けなかったようです。
「頑張る天然の女の子と、それを見守る出来る大人」
こういう関係性がきらいというわけではないのですが、年のせいなのか?それとも、ちょっと「狙いすぎ」感が強かったのか、ちょっとだめでした。
若い時に読んだら、また違ったのかも知れませんが。
いつ手に取るか、で本との関係も違ってくるものなのかも知れませんね。
長々とすみませんでした。
またお邪魔させてもらいます。
お久しぶりです。「ラストラン」すすめていただいてありがとうございました。面白かったです!
「図書館戦争」は微妙ですね・・。私もずっと好きになれないまま読み進めました。本が検疫にかけられて、読めるものが減っていて、それを守るために戦う!という設定が面白かったので読んでいましたが、主人公がどうしても好きになれず、辛かったです。上官も主人公と絡むとうっとうしい奴になるのが嫌でした。
若いときに読んだら受け入れられたんですかね〜? 昔あったドラマ「スチュワーデス物語」っぽい雰囲気じゃなかったですか?このドラマ、若い頃にやっていましたが、挫折してますから無理だったのかも・・。
でも、本によっては今だから惹かれる物もありますね。本屋さんで何度も目にしても手に取らなかった本が急に呼びかけてくることがあります。そういうときに読むとすごくはまったりして。
こちらも、長々と書いてしまいました。またあそびに来てくださいね。(コメントだぶっていませんでしたよ)