2014年02月07日

柴田よしき「ランチタイムは死神と」

ランチタイムは死神と

 柴田よしき 著
 「ランチタイムは死神と」
 (徳間文庫)


わたしは死神。人が死ぬ時に魂を死後の世界、黄泉の国へと連れて行くのが仕事です。今、わたしがここにいるのは、あなたか、あなたのそばにいる誰かが、もうじき死ぬからなんですよ・・。憧れの男性の婚約者が死ぬという妄想に囚われてしまったOL多美。窓際族の総務部主任島野に悩みを打ち明けると、存在感の薄い中年男は、奇妙なことを言い出した―。感涙の不思議ミステリー。−裏表紙より−


ホント、色んな作品を書く作家さんだな、と再認識しました。途中、誰の作品を読んでいるのか忘れてしまうくらい、雰囲気が違う話でした。


幕前、幕間、幕後という3話には、入院中の母親からもらった千円で昔話の本を買った少年の様子が描かれています。まず少年が読むのが「おむすびころろん」次は「舌きりすずめ」。この2話が題名となって、多美と麦穂という2人の女性の話が描かれます。

この題名や昔話の内容と、話があまり合わない気がしたのですが、その辺は気にしなくても楽しめます。


あらすじにもあるように、この話には“死神”が出てきます。人間界では“島野”と名乗って生活しているわけですが、この死神はちょっと不思議。伊坂さんの「死神の精度」と違って、島野はいるのかいないのかよくわからない感じ。はっきり言って存在がややこしいです。

おむすびころりん」で出てくる多美は、島野から「好きな人が死ぬけど、あなたの人生と交換するか?」なんて言われてしまいます。片思いの相手が数日後に死ぬ、だからあなたの残りの寿命をあげたらどう?なんて、簡単に決められるわけもなく、悩んだ多美は、実家に戻って母親の顔を見ることにします。

そこにあそびに来た幼馴染の時枝という女性の話はほろりとさせられました。彼女が島野に切った啖呵も素敵でした。こんな友人がいる限り、多美は大丈夫だと安心できました。


舌きりすずめ」の麦穂は、島野から「ある人と綱引きをしていて、あなたが勝ったから相手が死ぬんだ」なんて言われます。相手が死んだのは自分のせいだと思いながら生きていく人生なんて耐えられない・・と悩む彼女。でも、最後には「相手も幸せな人生だったんだ」と納得できて、前を向いて生きていけそうな終わり方をしました。


そして、昔話を読んでいた少年ですが、彼にも悲しい出来事が起こりそうです。彼についてはちょっと後味が悪いというか、結末のわからない終わり方をしていました。何とか乗り越えていってくれることを願います。


解説の矢崎存美さんも書いていましたが、もし自分の前に死神が現れて「残りわずかです」と言われても、私は「あ、そうなんだ」としか思えない気がします。特に未練もないな・・と。でもこんな考えはダメですね。寿命が続く限り、きちんとしっかりと人生を全うしないといけない、と改めて思わされる作品でした。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
posted by DONA at 14:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:柴田よしき
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/86815143
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック