
森沢明夫 著
「虹の岬の喫茶店」
(幻冬舎文庫)
小さな岬の先端にある喫茶店。そこでは美味しいコーヒーとともに、お客さんの人生に寄り添う音楽を選曲してくれる。その店に引き寄せられるように集まる、心に傷を抱えた人人―彼らの人生は、その店との出逢いと女主人の言葉で、大きく変化し始める。疲れた心にやさしさが染み入り、温かな感動で満たされる。癒しの傑作感涙小説。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。
軟らかい文章と、温かい雰囲気が読みやすくて良かったです。
長いトンネルと抜けてすぐに立っている小さな看板を見逃すとたどり着けないような、小さな岬にぽつんと建っている喫茶店がこの物語の舞台になっています。
ある年の春から始まり、数年後の夏までの出来事を、6編で描いています。
季節だけではなく、年数も経っているので、前の短編に出てきた人たちのその後の様子が、次の話でチラッと垣間見えたりするようになっていて、その部分でも楽しめました。・・楽しめたというか、悩み疲れた人たちが立ち直ろうとする物語なので、その後がわかるとホッと出来て良かったです。
この小さな喫茶店には、悦子さんという女主人と、三本足の犬・コタローがいます。悦子さんが淹れるコーヒーは抜群に美味しくて、お客さんに合わせて選んでくれるBGMは、悩んだり落ち込んだりしていても元気になれる物ばかりです。
悦子さんとの会話、そして、この喫茶店にある綺麗で不思議な虹の絵が、更にお客さんの気持ちを落ち着かせてくれるのです。
悦子さんと話した人たちは、みんな前を向いて生きていけるようになりました。中にはちょっと悲しい最期を迎えてしまった人もいましたが、その人も人生に悔いは無かったと思います。
また、悦子さん自身もお客さんや家族に囲まれて、幸せに暮らせたのではないか?と思えました。最後の悦子さんの話は涙があふれる良い物語でした。目の前に大きな虹が見えるようでした。
本の中に何度も美味しそうなコーヒーが登場するので、コーヒー好きにはたまりません。私も悦子さんみたいに魔法の呪文を唱えたら、美味しいコーヒーが淹れられるのかな?一度試してみようと思います。
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