
矢崎存美 著
「ぶたぶたのお医者さん」
(光文社文庫)
山崎動物病院は、病院に来られないペットのための往診もしてくれる、町で人気のクリニックだ。でも一つ、普通の病院とは違ったところがある。院長の名前は、山崎ぶたぶた。彼の見た目は、なんと、かわいいピンクのぶたのぬいぐるみなのだ!この院長、動物の病気だけじゃなくて、飼い主の悩みも解決しちゃう名医との噂。もしかして、ペットの悩みもお任せかも―?―裏表紙より―
これまで様々な職業をしてきたぶたぶたさんですが、私的には今回の動物病院の医者が一番好きです。
自分と同じくらい、もしくは自分より大きな動物とじゃれ合うようにしながら診察できるなんて最高です。ぜひその現場を見てみたい!かわいすぎます。
今回は「ビビリ猫モカ」「春の犬」「トラの家」の3話収録されています。
「ビビリ猫モカ」には、題名の通り怖がりのモカという猫が登場します。元野良猫だっただけに、まだまだ人間を信用していない所があり、抱っこもままならない状態。そんなモカを受診させるのは飼い主にとって最大の難関。爪も切れないので、引っかかれると流血してしまいますし「殺される〜!」的な泣き方をされると、かわいそうになって、ついついあきらめてしまいます。飼い主とモカの奮闘ぶりから、ぶたぶた先生による診察まで笑ってしまう場面がたくさんありました。
「春の犬」は、チョコという犬の話です。チョコはお金持ちの家に飼われていますが、そこの母親が興味本位で飼ったというかわいそうな犬。息子・伊織が、病気になっていたチョコを発見し、犬のことは何もわからないながらも、ぶたぶた先生や友だちに助けられながら看病します。犬を通して大きく成長する伊織の姿が微笑ましかったです。
「トラの家」は、トラという元野良猫の話です。これはほろりと泣きそうになりました。トラは、子猫や子犬が捨てられているのを見つけると、優しそうな人間に近づいて助けるように仕向ける、とてもかしこい猫で、かわいいとはいえない容姿ながら近所でかわいがられている猫でした。そんなトラが晩年になり、根岸夫妻の家へふらりとやって来て、そのまま居ついてしまいました。夫婦とトラの様子が軟らかく温かい雰囲気を出していて、自然と涙があふれました。
今作も楽しく読めました。次も楽しみです。
<ぶたぶたさんシリーズ>
「ぶたぶた」
「刑事ぶたぶた」
「ぶたぶたの休日」
「夏の日のぶたぶた」
「クリスマスのぶたぶた」
「ぶたぶた日記」
「ぶたぶたの食卓」
「ぶたぶたのいる場所」
「ぶたぶたと秘密のアップルパイ」
「訪問者ぶたぶた」
「再びのぶたぶた」
「キッチンぶたぶた」
「ぶたぶたさん」
「ぶたぶたは見た」
「ぶたぶたカフェ」
「ぶたぶた図書館」
「ぶたぶた洋菓子店」
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