2013年12月25日

加納朋子「螺旋階段のアリス」

螺旋階段のアリス

 加納朋子 著
 「螺旋階段のアリス」
 (文春文庫)


大企業のサラリーマンから憧れの私立探偵へ転身を果たした筈だったが−事務所で暇を持て余していた仁木順平の前に現れた美少女・安梨沙。・・亡夫が自宅に隠した貸金庫の鍵を捜す主婦、自分が浮気をしていないという調査を頼む妻。人々の心模様を「不思議の国のアリス」のキャラクターに託して描く七つの物語。−裏表紙より−


この作家さんの作品、久々に読みましたが、これまたちょっと系統の違う作品でした。でも、全編通して流れている優しい空気感は同じでした。

題名やあらすじからわかるでしょうが、「不思議の国のアリス」をモチーフにして描かれている話です。主人公は探偵を始めたばかりの仁木という男性。大企業のサラリーマンから転身したという、ある意味変な人です。奥さんはよく文句言わないな・・と思っていたら、後々その辺は明らかになっていきます。


「探偵始めました」と言ったところですぐに依頼がくるわけもなく、暇な毎日を過ごしていた所へ、不思議な雰囲気を持った美少女・安梨沙が現れます。探偵に憧れていたという彼女の助けも借りて、持ち込まれる依頼をこなしていきます。


どの話も面白かったのですが、特に気に入ったのは「最上階のアリス」という話です。

仁木の先輩から持ち込まれた依頼で、なんてことのない調査のはずが意外な事実が発覚します。相手を思いやる気持ちって、こんなに深いものなのか、と考えさせられました。何とも言えない重い終わり方をする話ですが、これで良かったのかどうか、読み終えてしばらく考えてしまいました。


最後の「アリスのいない部屋」という話で、仁木の私生活や安梨沙の人生や悩み、秘密などが明らかにされていきます。この話で』活躍するのは仁木の妻・鞠子。彼女のキャラクターはなかなか印象的で、私は結構気に入りました。今までの美味しい所を全部持っていたような感じさえしました。

個人的には安梨沙よりも鞠子の方が好きかもしれません。


全編通して、アリスの話が盛り込まれているので、アリスを読んだことがある人なら更に楽しめると思います。私は一度しか読んだことが無く、あまり記憶に残っていなかったので、またアリスの世界に浸りたくなりました。

続編もあるようなので、また探して読んでみようかな?


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posted by DONA at 15:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:加納朋子
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