
仲町六絵 著
「からくさ図書館来客簿〜冥官・小野篁と優しい道なしたち〜」
(メディアワークス文庫)
京都の一角に佇む「からくさ図書館」は、優しげな図書館長の青年と可憐な少女とが二人きりで切り盛りする、小さな私立図書館。 紅茶か珈琲を味わいながら読書を楽しめる、アットホームなこの図書館には、その雰囲気に惹かれて奇妙な悩みと出会ったお客様が訪れる。 それぞれに悩みを抱えるお客様に、図書館長・小野篁が差し出すのは、解決法が記された不思議な書物で―。 悠久の古都で綴られる、ときにほろ苦く、けれど温かなライブラリ・ファンタジー。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。
「図書館」という題名ですし、図書館で起きる様々な出来事を題材にして話は進むのだろうと思っていたら、突然ファンタジー色が強くなって驚かされました。
裏表紙の紹介文を読むと「ライブラリ・ファンタジー」とあったので、先に読んでおけば良かったんですよね。
それにしても、これが普通の図書館だったら通いたくなるだろうと思える素敵な図書館で、美味しいコーヒーや紅茶を飲みながら好きな本が読めるんです。
しかも、自分が読みたい本がすぐに見つかる!・・・まあ、これは色々事情があるわけなんですけど。
図書館嫌いな私が通いたくなる図書館、良いですよね。実際にあったら、コーヒーや紅茶のシミが本に付いていて、更に汚い本が増えそうで最悪ですけど。
この図書館の館長は小野篁という人物。私は全く知らなかったのですが、歴史上の人物だそうです。平安時代前期に生きた人。百人一首にも歌が載っています。「わたの原 八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟」この歌は知ってました。
この話の中で彼は、霊界まで“道なし”を案内する役目を担っています。“道なし”とは、良い行いをして天国に行けるはずが、訳あって現世に留まってしまっている人物(?)のことです。
“道なし”が憑いてしまった人たちを見つけて、引き離してあの世へ連れていくわけです。
「桜守」「うまし国」「葵祭」「迎え鐘」という5編に、5人の“道なし”の物語が描かれています。それぞれ、色々な事情を抱えて生きて来て、強い想いを残してこの世から旅立てない人たちの物語ですから、涙を誘うようなしんみりする内容になっています。
この図書館には時子という女性も働いています。篁に使われているはずなのですが、なぜか「時子様」と丁寧に呼びかける篁。時子の方も上から目線で会話しています。
2人にも事情があって、彼らの話も面白かったです。
シリーズ化されそうな話だったので、もし続きが出たらまた読もうと思います。
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